酒場「酒じゃらしの唄」で古民家の風情に気の利いた酒肴と酒がよく馴染む

茅場町を抜け往くすずらん通りと平成通りの間には、幾筋もの横丁がある。
著名なご主人は疾うに門前仲町へ引っ込んでしまっているてんぷら「みかわ」も手作りのお惣菜ランチが嬉しいat home Dining「スイッチ」もワシワシ喰らう豚そばの量感で誘う大衆酒場「JUJU分家」もそんな横丁の一角にある。

すずらん通り沿いに建つホテル、
Villa Fontaine東京八丁堀の裏手路地には、
芸者さんが暮らした古民家に手を入れた落ち着いた雰囲気の中で、
気の利いたランチもいただけるお肉割烹「三つ味」。
でもその暖簾も過日降ろしてしまったことを知りました。

ある日、足を向けた件の路地。
暫くそのままだった「三つ味」の跡を覗くと、
ジビエフレンチ「NicoChelsea」なる紅い突出看板が掲げてある。
そしてその並びの壁に見付けた小さな黒板には、
「酒じゃらしの唄」という店名とも判別のつかない件が、
書き込まれていたのです。

八丁堀のカメラマン氏と待ち合わせた縄暖簾。嘗ての「三つ味」の建物と棟続き故、
迎い入れられたL字のカウンターもいい風情。
硝子越しに覗けるお向かいさんには、先輩諸氏のお姿が。
近頃のオヤジたちは、
野郎ばかりでジビエフレンチに繰り出すのだと、
心強くも感心したりなんかして(笑)。

雲丹豆腐の突き出しに始まった、
日本酒の盃愉しむひと時。時季の酒肴を黒板や壁の貼紙から探し、
店のオニイサンの話も訊きつつ、
それに合いそうなお酒を選ぶ。
それが似合って愉しい酒場であります。

また後日、同じカメラマン氏とふたたび。
今度は狭くて急な階段を上がっての畳の間。
座卓に向き合い、胡坐を掻いての小宴と相成ります。古民家の風情を満喫できる二階でのひと時もまた佳し。

茅場町の路地にある古民家酒場「酒じゃらしの唄」。雰囲気ばかりの酒場ではない処が嬉しい誤算。
Webページに「居酒屋以上、割烹未満」とあるのも頷ける。
永く永く続いてくれることを願います。

そうそう、二階にある厠は、
お隣の「NicoChelsea」と繋がっていて、
そのため両側の扉の鍵を閉めてから用を足さないと、
妙なことになりますのでご注意の程を(笑)。

「酒じゃらしの唄」
中央区茅場町3-3-3 [Map] 03-3808-5566
http://yumemania.jp/

column/03721

Bar「Mesón del Champiñón」で鉄板焼シャンピニオンここにもズルい美味しさが

時の移ろいは早いもの。
卒然とマドリードを初めて訪れてからもう一年が過ぎてしまいました。
カラッとした陽気な明るさの印象を憶えたマドリードの街。
なんだか太陽が近いような気がしていたのは、なかなかに標高が高いと知った所為もちょっとあるのかもしれません。

少し陽が傾き始めた頃。
黒猫に誘われて止まり木したシェリーバー「LA VENENCIA」から、
生ハムの原木印マークを看板に掲げた「EL LACON」に寄って、
サンミゲル市場MERCADO DE SAN MIGUELにやってきました。大きな大きな水槽の中に市場を収めてしまったかのような、
吹きっ曝しの築地場外とは随分と趣が異なります(笑)。

フレッシュな牡蠣をちゅるんといただきつつ、
立ち呑みなんかしている裡に通りは陽も暮れて。カバ・デ・サンミゲルCava de San Miguelと呼ばれる坂をてろてろと下り、
市場からも程近い通り沿いの店へと階段を上がる。
壁には食卓の画が丁寧に描かれた12毎のタイルが張られています。

少々熱気の籠る店内に進んでふと天井を見上げる。あああ、白塗りの天井に生えているのは、もしや(笑)!

開いていた硝子戸から視界に飛び込んできたのは、
トレーに並べられ、積み上げられたソレたち。もしかして、なかなかの大きさではありますまいか。

湯気と油ですっかり曇った硝子越し。どうやらソレが鉄板でジュジュっと焼かれているらしい。

横並びで陣取ったカウンター。
オマチドーとばかりにいよいよソレが眼前にやってきた。ピンというかスティックというか。
無造作にソレに突き刺した大型楊枝が並び立つ様子も印象的だ。

軸を外した大振りなマッシュルームの中に、
これまた無造作に詰め込まれているのは、
パンチェッタの一種でありましょか。大型楊枝を箸のように駆使して(←日本人、笑)、
火傷しないようにハフハフしながらいただきます。
ガーリックの利いたオリーブに中からも熱したシャンピニオンが、
いやはや旨いのなんの!
シャンピニオンの器に包まれたオイルごと、 有難く平らげましょう。
ここにもまた”ズルい美味しさ”がありました。

サンミゲル市場から下った坂道沿いに、
鉄板焼きシャンピニオンとタパスの店「Mesón del Champiñón」がある。
観光客にも有名なバルのようだけど、
こんなお店にサクッと寄れる街で暮らしているなんて、
ご案内いただいたmiwaさんやSちゃんが羨まし過ぎるのであります。

「Mesón del Champiñón」
Cava de San Miguel, 17 Madrid [Map] (+34) 915596790
http://www.mesondelchampinon.com/

column/03720

餃子専門店「中央亭」で大中小焼いて茹でる餃子の旨さに裏を返す

何故だか離れ小島のように西武百貨店がある処としての印象と西伊豆を訪れる際の玄関口にして漁港の佇まいもまた印象に残っていた沼津の町。
車移動での中継点であることが多いこともあって、物凄く久し振りに降り立った沼津駅の南口。
2013年(平成25年)01月に撤退した西武百貨店の跡地は今、よしもと劇場等をテナントに擁した「沼津ラクーン」と呼ぶ施設になっていました。

そんな沼津を訪れていることを知った、
友人が教えてくれたキーワードは、
宇都宮でないのは勿論のこと、
浜松でもない”沼津餃子”。
正直なところ、へっ!?ってな気持ちをも抱えたまま、
南口正面に伸びる停車場線を南下します。

大手町交叉点にある紅い看板の銀行の裏手。
店があると思しき裏通りへと折れ入って、吃驚。既に大勢のひと達が今か今かと、
開店を待っているではありませんか!

店前のテント地庇の下に、
営業中と示した小さな幟が吊るされる。待ちかねた様子の皆さんの頭越しに認めた幟には、
餃子を模したであろう、
小さく描かれたイラストが歓迎の意を表してくれています。

「中央亭」のメニューは餃子専門店たる潔さ。
それぞれ6個8個10個からなる「小」「中」「大」の餃子に、
大盛りか普通かの「ライス」。
店内に貼られた品書きにはもはや、
「餃子」とはどこにも書いていない!
そして、ドリンク類の中にビールがあることにニヤリとします(笑)。

いきなり大というのもなんなのでと、
お願いしていた「中」のお皿が届きました。両サイドが三角に突き出てはいるものの、
フォルム全体の印象はぷっくり丸々。
厚手に思わせる皮にパリッとしたテクスチャはまったくありません。

促されるまま、まずはそのまま大口開けて齧ってみる。
ムニッとした包みの中からじゅわっと解け出るあん。
ありゃ!!
うまひ!!
芳ばしい餃子の美味しさとは対極にある、
でも、水餃子のニュルうまとは明らかにノリが違う。
成る程こりゃぁ行列するわなぁと膝を打つ。

正に裏を返して翌日また行列のひととなる(笑)。
卓上には、醤油注しに七味唐辛子の缶、
そして自家製からし油とテプラの貼られた油注し。
自家製ラー油には激辛注意のものが少なくないので、
加減しながら使うとこれが、あんまり辛くない。
油っぽくなり過ぎてもなんなのでと思えば、
七味に手を伸ばす手もありかと思ったり。

そして、昨日の今日でやっぱり美味しい。
ひと口でいけるサイズにしたらもっと旨いのではと思ったり、
いやいやこの量感だからいいのだと思ったり。「大」をぺろっと平らげお会計。
昨日もいらしてたわよね?とお姐さんに云われ(笑)、
ハイと頭を掻きつつ厨房を覗くと、
既に焼いたらしき餃子を並べたフライパンに、
たっぷりの湯が注がれている。
そう、ここ「中央亭」の餃子は、
焼いてから茹でるという方法で供される餃子なのだ。

それからおよそ二週間後。
またまた「中央亭」の行列に並んでいました。今度は、ライスの代わりにビールを所望しての「大」。
餃子の脇のお皿を覗けば成る程、
焼いた後に茹でたであろう、
油と湯が渾然となったような汁がみられます。

けれど決して油っこい印象はなく、
ムニンとしてちょっと官能的な皮と、
なにやらやたらと旨味充満のあんとの取り合わせは、
素朴にして唯一無二のもののようにも思えてしまいます。勿論ビールとの相性も悪くないけれど、
勿論ライスとのタッグも悪くないけれど、
ここ「中央亭」の餃子は、
ただただそれだけを貪り喰らうのがいい!
そんな気がいたします。

入口扉の脇の壁には、こんな内容の貼り紙がある。
当店には、支店、姉妹店、のれん分け等の店はございません。
類似店にご注意くださいませ。それが、沼津駅北口にある、その名も、
「北口亭」を指すのは暗黙の周知のことのよう。
はてさて何があったのかなと勘繰りたくなってきますね。

沼津餃子の店といえばそれは、
大手町にある餃子専門店「中央亭」のこと。テレビの下に貼られた貼り紙には、
3月にして、年末のお持ち帰りの予約が既に終了したとある。
「中央亭」の餃子を年末の恒例にしているひと達がどれだけいるのか、
地元に根付いた人気のほどが圧倒的な温度で伝わってきます。

「中央亭」
沼津市大手町4-4-7 [Map] 055-962-4420

column/03719