寿し「福助」で路面電車に薬売りふっと誘われ地魚にぎりサスに八目に白海老に

fukusuke路面電車の走る街ってやっぱりいいなとそう思う。
過日訪れた富山県高岡市にも、万葉線と呼ぶ鉄道に高岡軌道線という路面電車があるのを初めて知った。
ひと気の少ない街の停留所から乗り込んだ路面電車にも乗客が少なくて、その存続が心配になる。
その昔、富山新港が整備される前には、射水線を経由して富山軌道線と直通運転をしていたらしい。
大掛かりな橋を渡して、鉄路を残そうとはしなかったのでありますね。

富山の駅に降り立てばすぐさま、
嘗て高岡とも繋がっていたという富山軌道線の車輌に出逢える。fukusuke01近代的なフォルムの「セントラム」や「サントラム」もいいけれど、
やっぱり7000形辺りのレトロな電車に惹かれてしまう。
そして、色々な塗装色があるのでありますね。

市電の行き交う駅前の通りの向こうには、
富山と云えば、の薬売りのブロンズ像がある。fukusuke02こんな入れ子の柳行李を背負って、
各地を巡回訪問していたのですね。

そんな富山駅前のすぐ近く。
「西町大喜」の富山駅前店の手前に寿司屋の暖簾を目に留める。fukusuke03fukusuke04アクリルの看板には「地魚定食」や「晩酌定食」。
「地魚のにぎり寿し」の案内も勿論あって、
肩肘張らない装いに好感を抱きます。

春の気配のする頃には、一本だけと燗のお酒を所望する。fukusuke05fukusuke06銘柄はやはり「立山」で、
時季の蛍烏賊は、期待以上の甘さがぷちっと弾けて唸らせます。

この日の「地魚のにぎり寿し」の下駄はこんな感じ。fukusuke07fukusuke08白海老の澄んだ甘さの誘惑断ち難く。
富山で「サス」と呼ぶ脂の細やかなマカジキの中トロも美味くって、
ぺろっと一気に食べちゃった(笑)。

晩夏には、蛍烏賊の代わりに墨烏賊の黒づくり。fukusuke09fukusuke10fukusuke11オレンジ色が目を惹くのが「サス」で、
北陸で割りとポピュラーな「八目」はメバルのことだと大将。
あれま、メバルってこんなに上品な身質だったでありましょか。

路面電車の行き交う富山駅前近くに何気なく、
地魚の寿し「福助」はある。fukusuke12駅構内に新しく設えた風の寿司処でもなく、
ちょいと敷居を高く構える寿司店でもなく、
ふらっと誘われるような風情がいいんだな。

「福助」
富山市新富町1-3-22 [Map] 076-442-0001

column/03693

印度カレー「中栄」で印度カレーに玉落ち合いがけ何気なくも魔性のカレー皿

nakaei列を成す魚がし横丁の4号館から9号館。
「磯野家」などが収まる10号館はほんのちょと離れているけれど、それは正門に向かって開いた位置にある。
市場正門と対角を成す位置にある門が、海幸門。
海幸門からの動線上にあるのが、魚がし横丁1号館。
経営者の移ったという「豊ちゃん」や「吉野家」1号店を収めた1号館は、4号館からの列からは、これまたちょいと離れた位置にある。
あれ?そふ云えば、2号館と3号館は一体何処にあるのでしょう?

そんなことを考えながら、
1号館前の荷捌きエリアにちょっとだけお邪魔する。nakaei01綺麗に並んだターレの先、
プラットホームの向こうに「岩佐寿司」のオレンジの暖簾に並んで、
印度カレー「中栄」のファサードが覗けます。

1号館の前にそこはかとなく漂うカレーの匂いに誘われる。nakaei02硝子越しに覗くコの字のカウンターは、
時に空席待ちを生んで賑わいます。

基本形の「印度カレー」は何度いただいたことでしょう。nakaei03nakaei04クセのないコク味と旨味を後押しするような過ぎない辛味がいい。
チャーシューの端っこを添えた、
「特製玉子焼き」をのっけたり、
別皿の「キャベツ」を添えてもらったりも気分次第だ。

偶には「野菜スープ」のカップを啜る。nakaei05セロリの香気がひと捻りの個性を示し、
カレーのコク味との対比をも思わせます。

これまた定番なのが「合いがけ」。
例えば「ビーフカレー」と「ハヤシライス」に、
「生卵」のトッピング。nakaei06nakaei08合いがけの両者の真ん中に収まったライス。
そのライスに刻んだスリットに生卵が隠れんぼ。
白味を含めた卵があちこちに踊らないようにする工夫なんだろね。

やや性質の異なるふたつの河の合流点を眺めるような、
そんな心象を抱かせるアイガケの接点がある。nakaei07右を掬って口に運び、次は左側を掬って口に運ぶ。
両者の甘さや風味の違いを愉しんだら次は、
甘めの方から一気果敢に攻め込んだりするのです。

少々肉々しい気分も交錯する時には、
「炙りチャーシュー」を奢る手もある。nakaei09腿肉でしょか。
だらしなく蕩けるよなチャーシューでなく、
しっかりした噛み応えと炙った香ばしさの中から、
ジワワっと旨味が滲む。
気風のいいチャーシューなのであります。

「みそ汁」を註文むなら”ギョクオチ”にするのも選択肢のひとつ。nakaei10味噌汁の温度が下がるけど、
半熟の玉子の黄身と味噌汁の取り合わせも何気に好きなのだ(笑)。

築地場内だもの魚介でなくちゃと断じる諸兄には、
それ相応のカレーが勿論用意されている。nakaei11その名も「築地魚河岸シーフードカレー」。
紅ズワイガニのものだという蟹爪がアクセント。
帆立に海老に烏賊に浅利の具が潜む。
まあでも、此処ではやっぱり基本形の「印度カレー」か、
やや甘い「ビーフカレー」がおススメです(笑)。

築地場内魚がし横丁1号館中央に印度カレー「中栄」がある。nakaei12何気ないフリしてるクセに、
思い出したら堪らず食べたくなる、そんな魔性を孕むカレー皿。
仲卸しの方々と思しきオッちゃん達が、
カウンターのあっちとこっちで奢り合いをしている光景によく出会う。
市場関係者の食堂としてもきちんと機能しているように思えて、
ちょっと嬉し愉しくなっちゃう瞬間だ。

「中栄」
中央区築地5-2-1 築地市場 魚がし横丁1号館 [Map] 03-3541-8749
http://www.nakaei.com/

column/03692

珈琲舘「純」でしっかり炒めの正しきナポリタンひと気少なき西那須野にて

jun那須と聞いて思い出すのは、ハンターマウンテンという名のスキー場。
あんまり天候が優れなくて、足許もベチャっとしたゲレンデの風景。
きっと避暑にもよい処だと思うのだけど、そふ云えば夏の行楽に訪れた記憶が浮かばない。
涼し気な温泉宿なんかあったりするのかしらん。

そんなこともふと思いながら降り立ったのは、
那須塩原からひとつ宇都宮寄りの西那須野。
着いてからおひるを済まそうと思いつつ、
微かに抱いていた杞憂が現実のものとなる。
例によって駅前にはなんにもないのでありまする。

はてさてと、そすい通りと呼ぶ通りを往くと、
煉瓦調の建物の脇に「珈琲」の文字が見える。jun01ランチをやってくれているかもと、
早足で近づきました(笑)。

柔和な笑顔の親爺さんに迎えられ、
窓辺のテーブル席へ。
早速眺めたメニューには、
期待通りの「生姜焼き」と「ナポリタン」の文字。

註文から間もなく聞こえてきた炒め音に耳を欹てる。
ぢゃっちゃっしゃっ、ぢゃっちゃっしゃっ。jun02よく鳴るナポリタンが、
その音からイメージする通りの麗しい姿でやってきました。

マッシュルームの縁の焦げ具合で、
炒め具合の手練が窺える。jun03ケチャップにどれだけ火を通すのかが、
ナポリタンの要諦のひとつなのだと、
ひとりブツブツ呟きます(笑)。

うんうん、しっかり炒めのシャツに飛ばない系。jun04粉チーズの助けを借りずとも美味しくいただけるのが、
正しいナポリタンなのでありますね。

西那須野駅正面のそすい通りに珈琲館「純」がある。jun05割と最近外装を改めたようで、
改装前はまた趣のある喫茶店だったのでありましょう。
喫茶店で「純」というとどうも連動して思い出すのが、
松本零士の「男おいどん」。
純喫茶「不純」という店が登場してたのです(笑)。

「純」
那須塩原市扇町6-17 [Map] 0287-36-1310
http://kohiyakata-jun.com/

column/03691