麺類丼物一品料理「中西食堂」で特製栄螺ドンブリが曙丼海辺の集落の食堂で

nakanishiずっとずっと昔一度だけ、大分空港を利用したことがある。
その時、空港から市内への移動にホバークラフトに乗ったことを印象深く思い出す。
スカートの下から吐き出した空気に乗りながら滑るように、海上から埠頭に乗り付ける感じがなかなか格好良かったのだけれど、それももう09年に廃止されてしまったと聞く。
そんなこともふと思いながら、生まれて初めて北九州空港に降り立ったのは、師走も最終コーナーに差し掛かった冬の日のことでありました。

スターフライヤーの機材を離れ、車で向かった先は、
JR日豊本線の椎田という駅の近くにある築上町文化会館。
エピソード満載のステージ(笑)の後には、
行橋から特急ソニック号で一路博多へ。
随分とお久し振りに博多へとやってきました。

翌朝、レンタカーを駆って博多駅前を発ち、
真っ直ぐ北上して、海の中道と呼ばれる砂浜の上の一本道を往く。
辿り着いたのは、外周10kmちょっとの小さな陸繋島、志賀島(しかのしま)。
田圃の中から金印、漢委奴国王印が発見されたことから、
金印海道と名付けられた海岸沿いの道へと集落を抜け、
島の北端辺りにある海水浴場で車を降りる。nakanishi01nakanishi02nakanishi03小雨混じりの曇天の下、遠くでサーファーが波を待つ。
向かいの小島には、志賀海神社沖津宮の鳥居が見える。
海岸に立つ石碑が刻んだ歌は、
海辺で働き暮す海人の激しい毎日を直截に表していました。

もう半周をくるっと進むとすぐにさっきの集落近くに戻って来られる。
金印街道がY字に分かれる分岐点辺りで車を停めると、
その近くにお誂え向きに食堂の看板が目に留まる。
掠れた「出前迅速」の文字が、いい。nakanishi04nakanishi05nakanishi06看板が誘う路地の入口には、猫ねこネコ(笑)。
路地の向こうに「中西食堂」の看板が見付かりました。

お店の外観の印象通り、店内も長閑な空気。
厨房の下がり壁に沢山の品札が貼られています。nakanishi07nakanishi08特に大きな貼紙は、「さざえ丼」に「曙丼」。
「さざえ丼」と「壺焼き」のセットなんて手もあります。

注文を終えて、さらに落ち着く。nakanishi09ご常連らしき親爺さんが「特製皿うどん」をやっつけている、
その頭上の壁には芸能人著名人のサイン色紙が並んでいて、
成る程、そこそこ知られた店なのだと気が付きます。

いい感じだもん、呑んじゃったらと相棒に勧めたら、
燗をつけたコップ酒がやってきた。nakanishi10お酒を註文すると此方では、
お酒のお供にと特製、栄螺の内臓の佃煮を出してくる。
鮮度が少々気になる栄螺の肝も、
さっさと佃煮にしてくれているならそんな心配もない。
くっそう、昼間っからこんなの肴にコップ酒なんて、
なんて羨ましいのでしょう(笑)。

傾けるコップ酒の様子を睨みつけつけてたら(笑)、
お願いしていたドンブリがやってきた。nakanishi11nakanishi12「さざえ丼」のデラックス版と謳う、
「曙丼」は、栄螺や海老が「さざえ丼」の倍量載っているという。
確かに溢れんばかりの栄螺さざえサザエ海老。
新鮮で滋味深い磯味の魅力に思い切り喰らい付く。
うーむ、いいなぁ。

相前後して「さざえの壺焼き」もいただいてしまう。nakanishi13煮付けた栄螺の身や肝も良いけれど、
壺にして焼いた栄螺がやっぱり基本中の基本だと思わせる。
ちょろっと垂らした醤油が断然威力を発揮するのは、
皆さんご存知の通りであります。

なんだか勢いついちゃって、
親爺さんが召し上がっていた皿うどんにも感化されて、
やっぱり追加註文してしまう。nakanishi14海辺の町の食堂でいただく、
まろやかな食べ口の「ソース焼きそば」。
なんだかとっても癒されます(笑)。

ご馳走様をして、通ってきた路地を横目に店前の道を辿るとすぐに、
石造りの鳥居の下に出た。nakanishi15「中西食堂」は、参道の入口にある食堂でもあるのですね。

志賀島の集落の鳥居の奥に大衆食堂「中西食堂」がある。nakanishi16店内に横綱曙の手形があるのでやっぱりと訊けば、その通り。
「曙丼」は、曙関のために拵えた特製ドンブリが、
メニューに載るようになったものだそうです。

「中西食堂」
福岡市東区志賀島583-7 [Map] 092-603-6546

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大衆酒場「豊田屋」でああ勘違い初平井駅焼酎ハイボール鮟肝牡蠣白子鍋ああ旨い

toyotayaふと気が付けば、錦糸町より先の総武線沿線には、今のところ残念ながら、そして不思議な程縁がない。
特に西船橋に至るまでの江戸川区の各駅周辺には、今までなかなか用事がなかった。
亀戸餃子がずっと気になっていたり、新小岩の大衆酒場が頭の片隅に浮かんだりすることもあるものの、足を向ける行動力がすっかり欠けている。
そんなことに加えて、自分の呆け具合(!)に気づかせてくれたのが、kimimatsu姐さんからの「豊田屋」へのお誘いでありました。

姐さんからのお誘いなら、
いちもにもなく都合を合わせて馳せ参じるつもりが、
どこでどう勘違いしたのか、
日暮里の居酒屋「豊田屋」だといつの間にか思い込む。
お店に一番乗りしたつもりが、大遅刻となり、
面目ないやら、くそ恥ずかしいやら(笑)。

慌てて乗った山手線を秋葉原で乗り換えて、
人生で初めて訪れた平井駅を北口に出て、徒歩4分。toyotaya01蔵前橋通りの向こう側に、
浅草無双と謳う大衆酒場「豊田屋」の雄姿が浮かんでいました。

満席の熱気にすっかり包まれた店内を掻き分けるように進み、
kimimatsu姐さんご無沙汰の油ちゃん
そしてグヤ父さんの待つテーブルへ。
恥ずかしさ紛れに姐さんを詰ったりなんかしつつ(汗)、
すっかり乾いた喉を乾杯のビールでやっとこ潤すのでありました。
いやはや、すんません(^^ゞ。

まずは「ギョーザ」のお皿にこんばんは。toyotaya03やや薄手の皮に包まれた餃子に繊細なる焼き目が載ってる。
あれま、何気にうんまい餃子ではありますまいか。

「シメサバ」も脂のノリと〆加減のバランスやよろし。toyotaya04グヤ父さんが発する「うまいね~」に、深~く頷きます。

「カキフライ」もあるよと振り向いた壁には、
ずららんと品札の列。toyotaya02品札は黒いのと黄色いのとがあって、
黄色い札は差し詰め、
飲み物類に季節のおススメ品といったところでしょうか。

しっかりした衣に包んだ「カキフライ」がやってきた。toyotaya05火傷しないようにそっと齧ると、
やや厚手の衣に守られていた牡蠣のエキスが、
待ってましたとばかりに零れ出る。
うんうん、どこからやってきた牡蠣なのでしょう。

そして、どどんとメインのステンレスの鍋がテーブルの上を占める。toyotaya06改めて壁の品札を眺めると、
鮟鱇の鍋には「キモ入アンコウ鍋」と「アンキモ鍋」がある。
他にも「白子鍋」「白子チリ」「カキ鍋」に、
「カモ鍋」「牛鍋」「とん鍋」「ねぎま鍋」、
さらには「タラチリ」「穴子鍋」「どじょう鍋」などと、
冬場の鍋ニーズに対する隙はなしだ。
そして目の前の鍋は、姐さんが、
あんきもと牡蠣を1人前に2人前の白子を一緒にとオーダーした鍋なのだ。

鍋が煮える間にとお代わりしたのは、
「焼酎ハイボール」。toyotaya07toyotaya08ホッピーをなんて口走ってみたものの、
するっと柳に受け止めて作ってくれたジョッキでもある(笑)。
下町の居酒屋で時々出会える梅シロップ入りのとは、
色合いからもちょと違うよな気もする甘さ控えめの「特製ハイボール」は、
初めてお目にかかったアズマ炭酸のボトル。
成る程、アズマ炭酸は割とご近所の本所吾妻橋の、
株式会社興水舎のブランドであるらしい。

煮えてきた煮えてきた。toyotaya09鍋の様子をちらちら見守ってくれていた、
オヤジさんのゴーサインを待って、一斉に伸ばす箸。

鮟鱇の七つ道具の幾つかやキモは勿論のこと、
牡蠣も真鱈のものだという白子も小皿に盛り付けてニンマリ。toyotaya10はふはふほふほふ。
おほほ、美味い、美味しい。
スープに溶け出したキモのコク具合が、
過ぎることなくちょうどよい。

綺麗に平らげた鍋に汁を足してもらい、
たっぷりのきしめんを泳がして。toyotaya11toyotaya12ちょうど届いた穴子天をのっけたりなんかして、
〆までもの大満足、大満腹。
はぁー、美味かった!

旧中川と荒川に挟まれたJR平井駅北口の蔵前橋通り沿いに、
浅草無双と謳う大衆居酒屋「豊田屋」がある。toyotaya13大人気居酒屋は、鍋の季節にはさらに予約困難な店になるらしい。
そこへ潜り込んだ姐さんの予約とナイスチョイスに感謝しつつ、
そして膨らんだお腹を擦りつつ、
さっき初めて降りた平井駅へとゆっくりと戻ってゆくのでありました。
また、参りましょう。

「豊田屋」
江戸川区平井6-15-23 [Map] 03-3618-1674

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洋食屋「クメキッチン」で洗足池の桜と牡蠣フライ揚げ物もハヤシライスも得心の味

kume中原街道沿いにある洗足池。
洗足池駅から歩道橋を渡れば、疾うに閉めてしまった湖畔のレストラン「テラス・ジュレ」の看板が今も正面に見える。
歩道橋を右に降りて、ハワイアンなカフェ「Hukilau Cafe」の先を回り込めば、時々お世話になっている洗足池図書館の玄関前に出る。
歩道橋を左に降りて池に沿って往けば、改装なった池月橋の太鼓橋から千束八幡神社の鳥居に至る。
桜の季節には、池を囲んでずらっと屋台が立ち並びます。

今年、桜の時季に足を運べたのは、
冷たい雨の降った翌日のこと。kume01曇天のグレーを背にして、
仄かに赤みを含んだ桜の花弁から、
前夜の雨の雫が滴ろうとしています。
ぱきっとした青空を背景にした桜の絵も、
華やかで清々しいけれど、
こうした水墨画のような桜も、
風雅なものでありますね。

洗足池のお食事処と云えばやっぱり、
真っ先に頭に浮かぶのがこちら「クメキッチン」。kume02鉄扉の前に掛かった暖簾にもさりげなく、
「クメキッチン」の意匠が施されています。

桜が花開く前までのご馳走と云えば、
毎度お馴染みの「クメキッチン」の「カキフライ」。kume03岡山は寄島町産の牡蠣を、
漁師さんの声を聞きながら仕入れ、
「クメキッチン」の衣に包んでいただく牡蠣フライに、
毎回うんうん頷くのもまたお約束であります(笑)。

「クメキッチン」の揚げ物が素晴らしいのは例えば、
こんがり揚がったポークカツでも良く判る。kume04肌理の整ったパン粉の香ばしさが、
均質な厚みで具材を包み込む。
衣そのものへの微妙な味付けも、
美味しさに寄与しているような気がします。
そんなカツをいただいた「カツカレー」が、
そんじょそこらのカツカレーでないことが、
お皿の表情からも滲み出ています。

カツと云えば「クメキッチン」のメニューには、
「チキンカツ」「チキン南蛮」とふたつの鶏料理がある。kume05ピカタ風に玉子を含んだ衣に包み、
浅葱をたっぷりとトッピングしたのが「チキン南蛮」。
和風のソースのままもよし、タルタルを添えてよしの、
これまたイケてるひと皿であります。

「カツカレー」でいただいた欧風カレーの、
気風のいいコク味に、まさに味を占めて、
「ハヤシライス」への期待のハードルを上げて臨んでみる。kume06そうしてハードルを上げ過ぎたことに、
後悔することも少なくないのだけれど、
ベタつくことなく素直な甘味と大人な香ばしさを伝えてくれる、
ハヤシソースの美味しさに思わず、
動かすスプーンのスピードが妙に上がってしまいました(笑)。

二回に一回は、スープセットにしてもらう。kume07日替わりのスープは例えば、じゃがいものポタージュ。
スープにも手作り作り立ての鮮度ようなものが窺えて、
嬉しくなってしまうのであります。

そして、スープをセットした本丸はと云えば、
ご存知「ナポリタン」。kume08デフォルトにしてたっぷりのボリューム。
大盛りにしようとしたらやんわりと制止されてしまいました(笑)。

洗足池のボート乗り場のお向かいに、
町場の枠を食み出す美味しさの洋食屋「クメキッチン」がある。kume09これら一連の腕利き具合は、
一体どこで培ったのだろうかと訊けば、
「クメキッチン」のご主人は、東京會舘に永く勤め、
その後グリル満天にも4年ほどいたのだという。
ああ、成る程!
得心がいく、というのはこふいふことを云うのでしょうね。

「クメキッチン」
大田区上池台2-30-3 ビスタ洗足池 1F [Map] 03-6421-9517

column/03669

桜蕎麦「正乃家」で桜の借景と桜蕎麦大人のポテサラ月見韮お浸し鴨せいろもいい

masanoya大崎駅を新西口から出て、百反坂を漫ろ歩きすることがある。
坂のどこかに寄り道した後には、そこから大崎駅には引き返さずに、迷路のような裏道を大崎広小路駅を目指して探索する。
家々がみっしり詰まった住宅地の途中、南北に交叉する道を北進すれば、古式ゆかしい中華料理店「平和軒」のある、立正大学キャンパスの正門前に至る。
偶には逆方向へと進路を南にとると、これまた家々がみしみしっと詰まっていて、次第に方角を怪しく思う瞬間が増えてくる。

そんな道中の、戸越銀座の通りに到達するちょっと手前。
そこだけスポットライトを浴びたように華やいだ場所に、
偶然にも初めて出会したのが、
今からちょうど一年前の春のことでありました。

今度は、戸越銀座駅から戸越銀座商店街を真っ直ぐ進み、
第二京浜を突っ切って更に往く。
大東京信金の角でここ辺りと振り向くと、
その先に何時ぞやの桜の木の枝振りが望めました。masanoya01曇天の下ながら、凡そ満開の咲きっぷりを眺め上げ、
ちょうど客を送って扉を開けていた女将さんに小さく会釈します。

お品書きには、冷たい蕎麦うどんに温かい蕎麦うどん。
丼ものに牡蠣フライを含む各種定食。
唐揚げ野菜炒めなんぞの肉料理に江戸前天麩羅。
そして何故だかオムライス。
中華、と題したラーメン5品までもがラインナップしています。

酒肴系と思しき品書きもなかなかの粒揃い。
その中からちょっとだけよとまず選んだのが、
「大人のポテトサラダ」。masanoya02どの辺りが”大人の”なのかと思ったら、
糸唐辛子以外にもちょっと辛味を含んでいて、
その按配もジャガ芋マッシュのまったり具合もちょうど良い。

お蕎麦屋さんですものと蕎麦湯割りをお願いしたら、
ちょっと意外にもそれはグラスでやってきた。masanoya03とろーんとした蕎麦湯の風味の後ろから、
ぐいっと焼酎のボディが届く。
お品書きを読み返したら、
蕎麦湯割りオーダーは、もれなくダブルになるようです(笑)。

もうひと品で蕎麦湯割をやっつけちまおうと、
お願いしたのが「ニラのお浸し月見仕立て」。masanoya04韮の鮮やかな翠色が麗しい。
しゃくしゃきとした歯応えと明瞭な風味。
いい按配に湯掻いた韮に玉子の黄身のコクを添えると、
これまた魅力が増してくる。
シンプルにして粋な酒肴でありますね。

そろそろお蕎麦をと女将さんに声を掛けると、
今は期間限定の「桜蕎麦」がおススメだと仰る。masanoya05蒸篭に載ってやってきたそれはやっぱり仄かな桜色。

蕎麦の表情をよくよく拝むとそこには、
緑色の粒子が織り込んである。masanoya06桜の葉を細かく刻んで蕎麦粉に混ぜているそうで、
仄かな桜色は、桜の花弁を混ぜ込んでいる、
のではなくて、食紅を少々垂らした成果であるとのこと。
しゃきっとした歯触り喉越しのお蕎麦で、
するっと美味しくいただきました。

裏を返したおひるどき。
「鴨せいろ蕎麦」とともにお願いした、
江戸前「野菜天ぷら」がやってきた。masanoya07厚く切った南瓜に茄子、人参に隠元豆。
パプリカ(黄ピーマン?)の天麩羅もなかなかオツなもの。

蒸篭の蕎麦は、信州の丸抜き粉を使った手打ちの二八蕎麦。masanoya08脂の加減も柔らかな噛み応えもいい感じの鴨の肉。
辛汁とのバランスも特段の文句なし。
今度は「地鶏せいろ」を試してみようかなぁなんて考え始めます(笑)。

後日「地鶏せいろ」を試すつもりが何故だか、
「ラーメン」を註文んだら、これは大失敗。
お蕎麦屋さんでは基本、お蕎麦をいただくのがよろしいようです(笑)。

戸越銀座の横丁に”桜蕎麦”と謳う蕎麦店「正乃家」がある。masanoya09よくよく眺めるとその桜の木は、
お隣の和菓子屋さんの敷地から育っている様子。
借景というか、お隣の木一本で、
こうにも雰囲気を醸している事例も珍しいのではないでしょか。

「正乃家」
品川区戸越1-19-24 [Map] 03-3787-4835

column/03668

Trattoria「Locanda」で隅田川の桜並木と於岩稲荷の桜の木もっちり春めく生パスタ

locanda今年東京に桜の満開が宣言されたのは、年度末たる3月31日のこと。
別に宣言を確かめるまでもなく、桜の枝々が「いまヨ!」とばかりに華開いているのは、都内の其処此処で目に留めることが出来る日がやってきた。
相応に年季の入ってきた呑兵衛仲間と集う葛西臨海公園でのお花見宴会も恒例の最たるものなのだけど、天気のいい日を見計らって新川の隅田川土手にふらふらっと足を向けるのもまた、恒例になっています。

穏やかな陽射しの下、
土手の斜面やベンチに腰掛けてお弁当を広げるひと達がいる。locanda01並木の桜の花弁の向こうの水面を、
水上バスが滑るように下っていきます。

土手に面した住友ツインビル近くの裏道に、
ひっそりとした神社があって、
その境内と思しきところにも立派な桜の木が、
桜色の華やぎを放ってた。locanda02お参りしてから気がついたのだけど(笑)、
その神社の名は、於岩稲荷田宮神社。

こんなところにも、
あの「四谷怪談」のお岩さんを祀る神社があるなんて、
知らなかったなぁ。
そんなことを思いつつ、
その先を眺めてみつけた空席待ちのひと影。
看板が、Trattoria「Locanda」とその名を告げていました。

一席だけ空いていた窓辺のカウンター席へ。
お願いした本日のランチパスタは、
「桜海老と春キャベツのペペロンチーノ」。locanda03土手で眺めた光景にも通じてしまいそうな、
如何にも春めいたタイトル通りの朗らかなお皿に、
なんだか妙に和んでしまいます(笑)。

ただ、意外(といっては失礼か)だったのは、
中太の生パスタの食感や風味が魅力的だったこと。locanda04ソースをたんまりと纏って汁っぽくなく、
ありきたりの言い回しだけれど、
このもっちりしてしつこくない生パスタに、
しっかりとファンがついているのがよく判ります。

裏を返すように訪ねて今度は、
厨房を眺める方のカウンター席へ。locanda05レジ脇の状差しの一枚を手にとると、
そこには一ヶ月間のランチメニューが一堂に紹介されている。
成る程、月間メニューと基本メニューに加えて、
ディリーな組み合わせ5種類を曜日をずらして回すことで、
安定したバリエーション対応をしつつ、
季節に応じた変化をつけていこうとしているのですね。

ご註文は「粗挽きミートソース」。locanda06locanda07ラグーソース、なんて云わないところがなんかいい(笑)。
そしてここでも、もっちりとして味わいのある麺が威力を発揮。
やっぱりの混雑の理由は、
近くに巨大オフィスビルがあるからだけではないみたい。

ふたたび於岩稲荷田宮神社に寄り道したら、
たった数日で随分と桜が散って絨毯のようになっていた。locanda08この散り際の儚さもまた桜の花の魅力なのであります。

新川は隅田川の土手近く、
住友ツインタワーの足許にTrattoria「Locanda(ロカンダ)」がある。locanda09“Locanda”というのは”旅館”というような意味だけど、
こちらでは”寛げる空間”という意味合いからそう名付けたのだそう。
きっと夜の部でも気の置けない感じで、
心地よく過ごせるのじゃないかなぁ。

「Locanda」
中央区新川2丁目25-10 [Map] 03-5542-0216
http://www.farm-to-table.jp/

column/03667