一品料理「うさぎ」で まつも槍烏賊宗玄酒粕浜千鳥仮設でほっこり

usagi釜石のメインストリートに面して建つ、
中華料理「新華園本店」でじわっとくる、
釜石ラーメンの美味しさを堪能した後。
ふたたび車のお世話になって、
港方面などに案内いただく。
石釜ピザの店「PIZZARIA」や車中での話が、
面白いように色々繋がって、
唐突に知人の実家を訪ねたりなんかして、
釜石の夕暮れ近くを過ごしました。

何気なく眺めた光景のひとつ、
イオンタウンを出たところの右手にドブのような掘割りが、
倉庫のような建物に沿って続いていたところ。
訊けば、その上に呑み屋が軒を連ねて賑わっていたのだけれど、
津波を浴びて今はもう何もないという。
ほろ酔いのオッチャンたちが陽気に過ごしていた様子を想像して、
それが一瞬のうちに消えてしまったなんて切なくて残念で。

その後の様子は店々で勿論色々あるようだけれど、
そんなお店たちの幾つかを含めた呑み屋さんが、
釜石製鐵所近くの鈴子町の仮設店舗で営業していると訊いて、
すっかり陽の落ちた通りを釜石駅方向へと向かいました。

夜の釜石駅に辿り着いたら、なんと駅舎が素敵なことになっていた。usagi01「銀河鉄道の夜」をモチーフとしたLEDのディスプレイが、
銀河ドリームライン釜石線を静かにアピールしていたのです。

手前で引き返して迷ったりなんかしつつ(笑)、
鈴子公園に設置された「釜石はまゆり飲食店街」に到着。
飲食店街は、5棟に分かれて建っていて、
二階建てで居酒屋、小料理屋からスナック、バーまでを擁したA棟やB棟から、
ラーメン屋、寿司屋、蕎麦屋の並んだE棟までがある。usagi02「吞ん兵衛横丁」のゲートが迎えるB棟へと闖入しましょう。

目当てにしていた「とんぼ」の扉を開けると、小さなカウンターは満員御礼。
並びの「和 なごみ」は、席に空きはあるものの目星い惣菜は出ちゃってもうないという。
それでいて、誰も先客のいないところというのも気が退けるもの。
そんなこんなで、やや入り難い感のある仮設店舗の並びを前に右往左往(笑)。
「和」の女将さんが例えばと薦めてくれた「うさぎ」の扉を開けてみます。

すると、先客が二組あって、いい具合に手前の席に空きがある。
お淑やかそうで若めの女将さんが笑顔で迎えてくれました。

お酒は何がということで、
釜石の地酒、浜千鳥の山廃仕込みを燗につけてもらう。usagi04いくらの醤油漬けのお通しできゅっといただくぬる燗は、
さらっとして酸味の立った吞み口だ。

続いて女将さんが出してくれたお皿には、
芽葱のような松葉のような、鮮やかな緑色にして線状のものが浮かんでる。usagi05これは一体と訊ねるとそれは、「まつも」という海藻だそう。
しゃきしゃきした歯触りに磯の風味。
出汁酢に浮かべていただいたり、
味噌汁やお吸い物、ラーメンなどの汁物にもよく似合うという。
面白いね、土産にもいいねと頷き合います。

この日のお刺身から、槍烏賊を。usagi06まだ透明、って訳ではないけれど、十分な鮮度を思わせてくれる白肌の色艶。
噛めば甘いのは、柔らかな歯応えの下足までも。
うんうん、旨いね美味しいね。

焼きか天ぷらでと黒板メニューにあったのが、「宗玄酒粕」。
酒粕に漬け込んだ何かかと一瞬思うも然にあらず。
宗玄酒造は、釜石ではなくて石川の酒蔵らしい。
そこで醸した板状の酒粕を焼いてもらうことにしました。usagi07辺りに漂う酒粕の匂い。
焼き目のついた酒粕をそっと齧れば、
脳内に立ち昇るのは酒麹の風味か、馥郁たる発酵の残滓か。
香ばしくて、オツなものだねと頷きます。

柳鰈もなめた鰈も喜知次も既に出てしまったらしく、
目抜けのアラを炊いてもらうことにしました。usagi08骨の間や裏側をほじほじしながら燗酒を舐めるってのもまたオツでありますな。

お銚子のお代わりをして、
予想が外れた意外な仕立てだった「油揚げ焼き」なんかを摘んでいたら、
何の話題が切欠だったか、カウンターの奥にいたおふたりと会話を交わすようになる。usagi09「田酒、好きですよ~」というととっても喜んでくれたりしたおふたりは、
ともに青森は南部の出身で、釜石の港で潜水士として働いているという。
防波堤が破られ、地形の変わってしまった釜石の港の底や岸壁の縁に対して、
海中の見えないところでの土木工事を続けているのだそう。
冷たい海に何時間も潜って作業するのがどれだけの重労働か。
温かな南の海で、えへへへっとファンダイブしているのがなんだか申し訳ないなぁと、
そんな気分にもなったものの、
同じ”海に潜る仲間”のように扱ってもらえて助かりました(笑)。

釜石はまゆり飲食店街「吞ん兵衛横丁」の一室に一品料理「うさぎ」がある。usagi10仮設店舗のそれぞれに並んだ行燈看板はすべて、「浜千鳥」の名が載っている。
それはきっと、浜千鳥が地元釜石の酒蔵として提供したものなんだろうなぁと思うもの。
自信をもって薦めらる我が町の酒があるっていいですね、女将さん。
ほっこりとしたひとときをありがとーございました。

口 関連記事:
  中国料理「新華園」本店で 釜石ラーメン人形劇と海鮮ピザと釜石の今(15年01月)

「うさぎ」
釜石市鈴子町14 釜石はまゆり飲食店街 B棟114号 [Map] 0193-22-4155

column/03508

Hawaiian Cafe 「HIWAHIWA OHANA」で ロコモコにスパムむすび

ohana池畔にある八幡神社にお参りしたり、
時には勝海舟のお墓を訪ねたり、
池に浮かぶ辨財天の鳥居を潜ったり、
水生植物園の八ッ橋を辿って、
ちょろちょろ動く御玉杓子の様子を眺めたり、
連なる杭の上に並んで留まる水鳥に感心したり、
そんな風に過ごす洗足池にいつも癒されています。

図書館の読書室にお世話になってる時など、
洗足池にいてのゴハン時ともなれば、
まず筆頭に思い浮かべるのは、洋食屋「クメキッチン」。
バスの駐機場の脇にあるハワイアンカフェ「Hukilau Cafe」にも、
何度かお邪魔しています。

そして、ずっと気になっていたお店が、
洗足池から環七方向へ中原街道の坂をてろてろ上がるその途中にある。ohana01それは、アメリカングリーンを綺麗に塗り上げた外壁が印象的なカフェ。

浜辺からそのまま上がっていくかのような、
白いペンキの階段には、木彫りのサーフボードが”SUNSET BEACH”と謳ってる。ohana02ああ、彼の地のサンセットビーチで夕焼け眺めてから、
随分と時が流れたことを思い出します(笑)。

窓辺に沿ってカウンターが据えられていて、その背後に2卓のテーブル席がある。
カウンターの隅に腰掛けて横目に留まるのは、
ウクレレにレイ、フラを踊るおねえさんなど、ハワイアンな装飾品たち。ohana03木製のブラインドの隙間から車行き交う中原街道の様子が覗けます。

ワックスを塗り込めている木の床をシャカシャカ云わして動き廻るヤツがいるかと思えば、
テーブル席の椅子に上がり込む勢いで嬉しそうにする、わんこ一匹。ohana04メニューの裏にしっかりと「Dog Menu」があるように、
こちら「HIWAHIWA OHANA」は、
Hawaiian Cafeであると同時にDog Cafeでもあるようです。

そこへ注文の品「グレービーソースのロコモコ」が到着しました。ohana07ドンブリものになるパターンが多いロコモコですが、
ココでは、ソースを敷き、ご飯、ハンバーグ、目玉焼きと縦積みにして、
平皿に高さを強調するように盛り付けている。

肉汁のベシャメルソースという感じのグレービーがまったりとして、いい。ohana06玉子の黄身が零れ、ハンバーグが崩れ落ち、ご飯とソースがより混ざり合って、
段々とぐっちゃぐちゃな状態になっていく。
それがちょっとジャンクな喜びに通じるような気になってきて、
不思議な満足を憶えたのでありました(笑)。

硝子扉を開け入ると、正面にオーダーのためのカウンターがある。
右手の棚にはハワイアンなコーヒーやリキュール類などが飾られていて、賑やか。ohana08ランチセットのドリンクで選べるお代わり自由なコーヒーは、
カフェハワイか、バニラマカダミア。
なにやら妙に高価らしい、懐かしの100%コナコーヒーも、
REGULARサイズ550円でいただけるようです。

今度は、あれ、をいただいてしまおうと洗足池からの道すがら。
例によって、カウンターの一席に佇みます。
この日は二匹のわんこがいるので、前回よりもさらに賑やかだ。

お迎えしたのは、木彫りの器に「スパムむすびプレート」。
スパムむすびを包んでいたラップを解けばこんな見映え。ohana09彼の地で初めてスパムにぎりを食べたのも、遥か遠い昔になりにけり。
お餅の粉を衣に使ってるというハワイアン唐揚げ、モチコチキンを齧っては、
崩れ落ちないように気をつけながらスパムむすびに齧り付く。
スパムとご飯の間に挟んだペッパーマヨがいい塩梅。
でもちょっと、女性が食べるには大きすぎないのかなぁ(笑)。

洗足池近く中原街道沿いに、
もうひとつのハワイアンカフェ「HIWAHIWA OHANA」がある。ohana10ハワイ語で「HIWAHIWA ヒヴァヒヴァ」は”大切な”、
「OHANA オハナ」は”家族”という意味であるという。
お店のイメージは、ラニカイビーチに行く途中、
ふと立ち寄った一軒のお店「KALAPAWAI MARKET」であるらしい。
実はずっと、なんちゃってハワイアンに違いないと思っていました、ごめんなさい。
次回は、「マヒマヒプレート」が狙い目です。

口 関連記事:
  洋食屋「クメキッチン」で 洗足池にこんな美味しい洋食屋があった(15年01月)
  Aloha!!「Hukilau Cafe」で ロコモコ的カレーにコナコーヒー(10年09月)

「HIWAHIWA OHANA」
大田区上池台2-14-4 03-3728-6700
http://www.h-ohana.com/

column/03508

回転レストラン「GINZA SKY LOUNGE」で 鉄道ジオラマとオムライス

ginzaskylounge生まれて初めてパスポート申請をしたのが、
ココの二階にあるパスポートセンターで、
お食事処に困った時に潜り込むのが、
「大正軒」や「ひょっとこ」のあるココの地下街で、
一階にある三省堂では、おざわゆきさんのコピー本、
「東京ヘタレめし 有楽町ガード下」を買い求め、
北海道どさんこプラザを覗くこともある。

そんな有楽町の東京交通会館ビルは、1965年の開業であるらしい。
都の交通局の庁舎跡地と「すしや横丁」一帯との再開発によって建設されたもので、
特に開業当時の人気と話題の中心であったであろう施設が、
最上階に載せたUFO形状の構築物。ginzaskylounge01有楽町ビルヂングの前からもその特異なフォルムが望めます。
往時は、まさに大注目の的だったのでしょうね。

UFOが待つ最上階へは、限られたエレベーターに乗り込んで向かいます。
エントランスとなっている14階からさらに階段を上がって振り向けば、
その先に明るく広がる視界の気配がしてきます。

案内いただいたテーブルに腰掛けて見遣るその先は、
床がドーナツ状に円を描くと同時に、
下界を見下ろすように斜めに収めた硝子がラウンドしています。ginzaskylounge02

そして、窓の外を眺めれば、
幾筋ものレールが走り、その上をミニチュアの列車が滑りゆく。ginzaskylounge03なんだか鉄道ジオラマを眺めている気分。
Nゲージなどについては、こちら「イヌゲージ鉄犬」へ是非どうぞ(笑)。
東京駅の駅舎やホームが間近に思えます。

東京會舘が営むレストランのランチには、
コースメニューあれこれに並んで洋食メニューが用意されている。
ビーフやシーフードのカレーもよいけれど、やっぱりオムライスも気になるところ。
「ふわとろ チキンオムライス ドゥミグラスソース」をお願いしましょう。

南瓜のポタージュスープがまず美味しい。ginzaskylounge04流石、東京會舘は伊達じゃないと思ったりなんかして(笑)。

じわじわ動く窓越しの景色をちらちら眺めつつスープをいただいて、
替わりに届いたお皿にオムライス。ginzaskylounge05「たんぽぽオムライス」よろしく、ライスの上にゆったりと玉子を横たえてある。
ご飯が既に褐色を帯びているのは、
たっぷりのドミグラソースでチキンと一緒に炒めているからと思われます。

お約束通り、真ん中から真横一文字にナイフを入れて、
玉子が内包していたところをひけらかす。
そこへポットに添えてくれていたドミグラソースをたっぷりと回しかける。ginzaskylounge06うーん、やっぱりズルい景色になるですね。
ふわとろの玉子の甘さとドミグラのすっきりした旨味とが重なり合って、
負けじとチキンライスが顔を出してはするっと渾然となる。
ああ、いいね、美味しいね。

帰りがけに14階のホールに置かれた料理サンプルを見てちょっと驚いた。ginzaskylounge07だって、今食べたオムライスの本物に見紛うほどの出来映えなんだもの(笑)。

東京交通会館の頂上で廻り続けて半世紀、
回転レストラン「GINZA SKY LOUNGE」。ginzaskylounge08このドーナツ状レストランは、およそ80分で一回転するらしい。
山手線で一周するよりもゆっくり廻っているんだね。
ここから見渡した開業当時の銀座の街並みは、
きっと今より空が広かったんだろうなぁなんて思ったりもする。
そうそう、西洋料理「Chez Rossini」のある丸の内の東京會舘ビルは、
区画の再開発により、取り壊してしまうそう。
今の本館での営業は、2015年1月末日までのようです。

口 関連記事:
  西洋料理「Chez Rossini」で 12種類の薬味とずわいがにと筍のカレー(07年02月)

「GINZA SKY LOUNGE」
千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館15F [Map] 03-3212-2776
http://www.kaikan.co.jp/branch/skylounge/

column/03508

アジアキッチン「ヤマニャ」で ミャンマー料理シャン族風ソーセージ

yarmanya所在地や足回りの都合から、
高田馬場で会いましょうとなった時。
古くからの学生の街だけあって、
チェーン系の居酒屋あたりだったら、
いくらでもありそうな気はする。
行こうとは思わんけど(笑)。
ただ、呑む!という訳でもない場合には、
さて、どんなお店があるんかいなと、
腕組みして思案することになったりします。

例えば、早稲田通りからちょと離れた裏道にある、
台湾料理の店なんかどうだろうねということになりつつ、
当日の晩を迎えたのでありました。

やや出遅れて駅に着くと、先陣は当該地に辿り着いたという。
ところがね、どうもその住所にその名前の店がない。
でも、目の前にしているお店も面白そうだというので、
突撃することなったのであります。

戸三小通りという裏道を進んで店の前。
なるほど、ネットに上がっていた写真と構えは同じながら、
看板が知らせる店名や色合いはすっかり替わってる。
店の名を「ヤマニャ」という、アジアンなお店だ。

テーブルに合流して、乾杯のビールを所望する。
こんなところにも「ホッピー」がある!と思いつつ、
ご当地ビールをお願いすれば、
やってきたのは「Myanmar beer」の翠色の缶。yarmanya03それは如何にも東南アジアのモノらしい、すっと軽い味わいのヤツ。
瓶での用意はしてないみたいです。

既に卓上に上がっていたお皿のひとつが、「特選サラダ」。yarmanya01豆苗や玉葱なんぞを胡麻油で和えて、そこに海老粉がたっぷり載せてある。
シャキッとした歯触りと海老粉の香ばしさが美味しいね。

お、ピンクなお肉が並んでいるねと「ヌー・ソム・ムー」。yarmanya02豚肉をバナナの葉で包んで発酵させたシャン風ソーセージ、との説明書きがある。
辛そうでいてそうでもなく、でもやっぱり辛いタレがいい具合。
豚肉が孕んだ甘さと酸味をグイっとひき立てて食べさせます。

「ゴーヤ ジョ」は、タイ風ゴーヤチャンプルー。yarmanya04ナンプラーを利かせつつ、こうしてあっさりとした仕立ても悪くない。
メニューにある、「蓋肉」は、「豚肉」の間違いだろうね(笑)。

メニューに「大人気です!」と謳っているのが、「ヤマニャ ワッター・ド・トゥ」。yarmanya05つまりは、豚の串の煮込みなのだけど、
煮込んだ汁が醸すスパイス風味がやっぱりアジア的。
口に含んだホルモンが柔らかに。
小さめの器の下に固形燃料を炊いて、温かいままいただけるようにした工夫が嬉しい。
我等が大衆居酒屋の「煮込み」も同じようにしてくれたらいいのにね(笑)。

「ラベットゥ」は、お茶の葉サラダ。yarmanya06丸皿に刻んだトマト、キャベツ、豆の類に干し海老、
そして青菜のような葉が載ってきた。

それらを云われるままチャカチャカと混ぜ合わせる。yarmanya07お茶の葉っぱの柔らかな発酵具合がいいドレッシングになって、
全体が纏まって美味しいのが、なんだか不思議な気がします。

ご存知、蒸し鶏ご飯は、ココでは「ジャ・スイ・タミン」。yarmanya08やや細めに刻んだ鶏肉の感じと長粒米ではないところが面白い。
長粒米は、その辺では売ってないものね。

豚肉と竹の子の旨煮「ワッターミ・チン」がなかなか美味しい。yarmanya09竹の子の発酵由来にも思う酸味と辛味。
しなっとした竹の子と豚とに含んだ汁がいい。
これで定食にしたいであります(笑)。

そして、「ジェイオーシージェー」は、ホルモンのビーフンラーメン。yarmanya10ラーメンといってもほとんど汁なしで、
たっぷりのホルモンとビーフンを調味油で軽く和えた感じのドンブリ。
成る程、しつこくなくて、旨いであります。

デザート代わりに、ココナツ、タピオカ、バナナの特製ミックスジュース、
「オウ・ターグ・ガァビョー・パウ」をいただいてみる。yarmanya11意外と甘くなく、さらりとバナナやココナツの仄甘みを愉しめるのだ。

高田馬場の裏道の暗がりに、ミャンマー料理の店「ヤマニャ」がある。yarmanya12訊けば、台湾料理店から入れ替わって半年程のことだという。
店名の「ヤマニャ」は、出身地であるミャンマーの町の名前だと、
ちょっとはにかみながら応えてくれた。
メニューの所々に「モン族の」とか「シャン族の」とかあるのは、
どうやらミャンマーの少数派民族なぞのことであるらしい。
図らずも稀少な体験をしたのかもしれません。

「ヤマニャ」
新宿区高田馬場3-14-16 太田ビル 101 [Map] 03-5348-7150

column/03507

中国料理「新華園」本店で 釜石ラーメン人形劇と海鮮ピザと釜石の今

shinkaen仕事納めも近い年の瀬の週末のこと。
ちょっと早起きして、東京駅で乗り込んだのは、
盛岡へと向かうやまびこ43号。
福島を過ぎる頃から白い景色が増えてきて、
日差しに照らされ反射する雪景色が流れゆく。
そんな車窓を眩く眺めながら車列は進みます。
やまびこ号を降りたのは、新花巻駅。
そこから釜石線に乗り換えて、
一路釜石へと向かいます。

真っ白の雪面を比較的のんびりと走る快速「はまゆり」。shinkaen01釜石線に「銀河ドリームライン」という愛称がつけられているのは、
釜石線の前進、岩手軽便鉄道が、
ご存知、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のモデルだと云われていることによるもの。
冬季限定の活性原酒「雪っこ」を舐めながら、
ワンマン運転の気動車に揺られること一時間半ほどで、
初めて降り立つ釜石駅に到着しました。

いま乗ってきた列車の顔を改めて眺めると、
その向こうに別の塗装を施した車両が覗いてる。shinkaen02

改札に向かいながら近づけば、
向かい側のホームには、「三」「陸」「鉄」「道」と看板が並んでる。shinkaen03初めて生でみる三陸鉄道の南リアス線。
赤と青のラインが愛らしい一輌編成に、
なにやら業務用のカメラを担いだ一群が乗り込んでいきました。
その是非は兎も角として、JR山田線の宮古-釜石間の三陸鉄道への移管が進んで、
三陸縦貫鉄道が復活するのも復興のひとつなんだろうなと思ったりいたします。

ある方々に駅にお迎えいただいて、車で旧市街方面へとご案内いただく。
瓦礫の撤去が済んだ更地が続く通りの左右の所々で、
錆びた鉄骨の柱が剥き出しにしたまま朽ちた建物が切ない表情をみせている。
そんな中で真新しいイオンタウンの建物がよく目立ちます。

イオンタウン釜石は、東日本大震災後の被災地でイオングループ初となる、
新設ショッピングセンターであるらしい。
そのSCのテナントのひとつとして知人が開いたのが、「ピザリアPIZZARIA」。
ダンススタジオなどを営む傍らで、
飲食店の経営にも発起して立ち上げた、
釜石ピザ、じゃなかった(笑)、石釜ピザのお店だ。shinkaen04shinkaen05イクラや海老や烏賊の載った「海鮮ピザ」も、
味噌味仕立ての「三陸産つぶ串」も、真っ直ぐな旨味の届く味。
うん!と膝を打つ美味しさなのであります。

イオンタウンを背にして県道に向かうその間は、駐車場や空地になっている。
此処にも高い波が襲ったのだなぁと考えながら見遣った先に、
大きく「新華園」の赤い文字が見つかりました。shinkaen06何故だか見憶えがある気がしたのは気の所為でなく、
ファサードの様子などなどが、takapuの日記にも刻まれていたからです。

疾うにおひるどきを過ぎた時間帯。
開いてて良かったと擦り切れた紅い暖簾を払います。

素朴な中華料理が並ぶお食事メニューには、
「めかぶラーメン」なんてのもあるけれど、
ご注文はやっぱり「ラーメン(釜石ラーメン)」だ。shinkaen12それは、飾り気のない懐かしい見映えの中華ソバ。
蓮華で啜る澄んだスープは、野菜たちのふくよかな甘さに、
昆布や帆立を思わせる魚介の出汁が旨味を滲ませるもの。

箸の先に載せた麺は、極細い縮れ麺。shinkaen08この細い麺も釜石ラーメンの特徴で、
それでいて、直ぐ伸びてしまうような気配なく、しっかりしたコシ付きを含んでる。
顔を見合わせて、美味しいねと呟きあっては、一気に食べ切ってしまうのでありました。

ご案内いただいたお二人は、
釜石で人形劇団「あすなろキャラバン」をされている方々。shinkaen09港近くの建物に仕舞ってあった人形が波を被っても、
諦めることなく続けてゆく工夫を重ね、人形も生まれ変わって今にある。
ピークを過ぎたとは云え、まだまだ様々なご苦労の最中。
さらに人形劇が繋げる輪が広がるといいですね。

ご馳走さまをして、外に出ようとしたその手前の壁に、
何枚もの写真がパネルとなって飾られているのを認めた。shinkaen10今はないアーケードや店の前に押し寄せた家屋の残骸や瓦礫。
厨房にも侵入した濁流が、調理器具や食器のあれこれを滅茶苦茶にしたのが分ります。
こうして写真を掲げるのは、思い出したくないことを思い出させることでもあり、
忘れてはならないとすることを伝え、思い出させることでもあり、
やっぱり複雑な心持ちなのでありましょう。

釜石のメインストリートに、中国料理「新華園」本店が敢然とある。shinkaen11応対してくれたオバちゃんによれば、
店先に架けた擦り切れた暖簾も波に流されて行方不明になっていたものの、
幸いなことに発見することができたという。
そうして再開を果たした”いつもの味”に、
周囲の方々はどんなに勇気づけられたか知れません。

「新華園」本店
釜石市大町2-1-20 [Map] 0193-22-1888

column/03506