休憩茶屋「たぬきや」で 鉄橋眺める河川敷の麦酒特別な心地良さ

tanukiya.jpg川面を眺めながらの河原での夕涼みとか、 川辺でのバーベキューの麦酒とか、いいよね。 海辺の魅力とはまた違う水辺の情緒が素敵です。 その一方で、電車が踏切を滑り抜ける姿とか、 鉄道車両が鉄橋を駆けてゆく光景には、 鉄ちゃんならずとも、しばしそれをじっと眺めてしまう魅力がある。 そんな、川沿いの魅力と鉄道脇の情緒をお酒と一緒に一度に楽しめてしまう場所があると知って、 以前から行きたいなぁと思っていました。

タワーマンションが林立し躍進目覚しい武蔵小杉駅でJR南武線に乗り換えて、 降り立ったのは稲田堤駅。 そこから一路、多摩川の方向へと向かいます。 多摩川の土手を走る車をやり過ごして、土手の向こうに立てば、 お目当ての建物が見下ろせる。

戸外に置かれたテーブルは既にもう、お客さん達で賑やか。tanukiya01.jpg運よく席を離れる親子がいて、居場所を得ることができました。

早速、厨房があるらしきところの列に並ぶ。 残念ながらもう「牛もつ煮込み」は、品切れの様相と知る。 隅ではおばちゃんが焼きそばを炒めたり、 焼き鳥の串を動かしたりしています。tanukiya02.jpg振り返って眺めた店内が割とガランとしているのは、 こんないい日和の午後にはみんなやっぱり外の席がいいからに他なりません。

さてさて、ジョッキの麦酒をゲットして、いざいざ乾杯!tanukiya03.jpgジョッキを傾け、ぷはーとしたところにそよそよっと風が吹いて、 あー、なんともいい心地であります。

盛り合わせをするにももう、おでん鍋の中は空になる寸前で、 ではそれだけでもと頂戴した「おでん」の竹輪。tanukiya04.jpg残り物にたっぷりと汁が沁みています。

多摩川の向こう岸は、調布の街並み。tanukiya07.jpg鉄パイプを組んだ簡易な屋根に日除けの葦簀。 流れる雲に秋の色が覗いています。

品切れだったけれど、やればできるよと云われてお願いした「枝豆」は、 つまりは湯掻き立て。tanukiya06.jpgまだまだ温かい枝豆をつるんと口に搾れば、ああ旨い。 塩梅よき湯掻き立ての枝豆がいただけるとは思いませんでした。

そして、川のやや上流を走るのが京王の相模原線。tanukiya08.jpgこの自転車に乗り、犬を連れてやってきた捻じり鉢巻きのおやじさんは、 店の入口を入ったり出たりしながら何かしらお世話をしているようだけど、 常連さんなのかな、それともお店のスタッフなのかな、どっちだろ(笑)。

「ホッピー」と迷いつつ、シンプルに「チューハイ」を。tanukiya09.jpg一緒に注文んだ「冷奴」も、このシチュエーションでは格別に美味しく思えます。

そして、タレでお願いしていた「焼き鳥盛り合わせ」5本がやってきた。tanukiya10.jpg「とり正肉」「つくね」「白モツ」と豚の「カシラ」「レバー」あたりでしょうか。 そうそう、この辺りで「焼きそば」もと思ったら、なんと売り切れ。 しまった、さっき注文しておくのだった! ないと知ると益々募る、「焼きそば」恋し(笑)。

そうこうしている裡に、鉄橋の向うに夕陽が沈んでゆく。tanukiya11.jpg川縁からは、爪弾くギターの音が聞こえてきました。

多摩川の河川敷に建つ、心地良き休憩茶屋「たぬきや」。tanukiya12.jpg「たぬきや」はなんと、昭和10年から営んでいるという。 嘗て、鉄橋の下辺りを渡し船が行き来し、土手の両側が桜並木で、 何十軒もの茶屋が並ぶようなちょっとした名所であったらしい。 それが今や、一軒のみ残る川岸の憩いの場となっているんだね。

ちなみに、河川法では、河川を排他・独占的に使用したり、 河川に工作物を設置することを制限している。 河川管理者が特定の者に、河川敷の占用を許可している場所もあるけど、 一般に許可を得られているのは地方自治体である模様。 「たぬきや」の心地よさは、 昭和の初頭からの歴史があるからこそ享受できる特別なことなのかもしれません。

秋が深まった頃には、冬季限定「とりなべ」「湯豆腐」や「みそおでん」で、 お酒を舐めるのもきっといい。 その時には、食べそこなった「牛もつ煮込み」や「焼きそば」もいただかなくっちゃ(笑)。


「たぬきや」 川崎市多摩区菅稲田堤2-9 [Map] TEL非公開
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札幌ラーメン「さっぽろ純連」東京店で 味噌ラーメン老舗の匂いまた

jyunren.jpg高田馬場の駅を降りると何故か、 早稲田通りを明治通りの方へ進むか、 とんかつ「成蔵」のある緩い坂道の方へと足が向く。 嘗てジャズ喫茶「土井茶廊」そして「DUO」のあった、 さかえ通りも随分とご無沙汰だけれど、 久し振りにそれらとは別の方向、 早稲田通りを小滝橋方面へと歩きます。

通りを往けば、此処でも眼に入ってくるのがラーメン店の看板たち。 「光麺」に油そばの「ぶぶか」「力」に「天スタ」なる天理市からやってきた店もある。

その先では、なんとラーメン店3軒が横並び。jyunren01.jpgまるで一軒の店の包囲網のようにも、寄生するかのようにも、 正面から挑んでいるようにも見えます。 そして今夕のお目当ては、その3軒の真ん中。 札幌ラーメンの「さっぽろ純連」です。

食券を渡して見上げるのは、 カウンターに沿うように下がった暖簾と「純連」の文字。jyunren02.jpgこふいふぐるっと横長暖簾を施したお店って他に覚えがないけど、なんだか良いね。

お願いしていた「味噌ラーメン」がやってきた。jyunren04.jpg大判チャーシューもバターコーンも味玉トッピングもない、 デフォルトなのが食べたかったのだ。

ひとまず蓮華から啜るスープは、 ラードの膜が加減のいい効果を発揮して期待通りのあっつ熱。jyunren05.jpg 濃密な味噌のコクを生姜の風味がすっきりとした輪郭にして、なかなかどうして。 10数年前の印象があまり良くなかっただけに、 ちょっと襟を正していただく感じになるところ(笑)。 直截な美味しさを想うスープでありますね。

麺は勿論のかん水添加の黄色味を帯びたやつ。jyunren06.jpg狙い通り、熱々のスープにもへたることなく、抗うことなくシュッとした食べ口を齎してくれる。 うんうん、この麺とこのスープのコンビはこれはこれで不滅のような気がするな。

jyunren03.jpg券売機の脇や業務用冷蔵庫には、二枚の貼り紙がある。 その一枚が「さっぽろ純連」東京店の閉店を知らせてる。 もう一枚は、今の従業員が独立して店名を「さっぽろ羅偉伝」と改めて早々に営業を始めるという挨拶だ。

札幌ラーメン「純連(すみれ)」の流れを正統に汲む、 「さっぽろ純連(じゅんれん)」東京店。jyunren07.jpgまたひとつ、老舗の匂いのするお店がなくなろうとしています。

口 関連記事:   札幌ラーメン「さっぽろ純連」で 味噌ラーメンスープのえぐ味ははて(02年12月)   とんかつ「成蔵」で 余熱火入れカキフライ繊細な揚げ口に何思う(13年03月)


「さっぽろ純連」東京店 新宿区高田馬場3-12-8 高田馬場センタービル1F [Map] 03-5338-8533 http://www.junren.co.jp/
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ホッピー専門店「ホッピー仙人」で 白生堀越さん都橋の仙境の男前

hoppy.jpg野毛のオヘソ辺りの有名焼鳥店の行列に、 急遽並んだ夏の日のこと。 「末広」のひと時を堪能したその足で向かったのは、 昼間その佇まいをじっくり眺め愉しんだ都橋商店街。 ひと気のほとんどなかった商店街も夜の帳が降りる頃には、少しづつ妖しさを帯びてくる。 沢山のお店が小さな看板に灯りを点して、その所在を示し、酔客ならんとするひと達を誘っています。

目指すお店は、商店街の二階にある。hoppy01.jpghoppy02.jpg商店街の両脇及び中央にある階段の、都橋寄りの階段を二階へと上がり、 大岡川に沿って湾曲した狭い通路を中央付近へと向かいます。

開店時間には少し間があるので、その扉は閉じている。hoppy03.jpg海から上がってくる風に吹かれながら暫く待つことにいたしましょう。 川面を向かい側の風俗店のネオンが妖しく照らしています。

開店を待つひと達が5~6名になった頃、 すぐ開けるからね!っと店主が現れた。 それが、初めてお会いする”仙人”、その人なのであります。

その日の一番乗りでL字カウンターの左奥へ。 お店の間口は、他の店と同じく一間半ほど。 小さなお店に酒瓶などなどあれこれがぎっしりと置かれ、 忽ち満席となり立ち飲みの人々が囲む店内は早速、 濃密な空気に包まれ始めました。hoppy04.jpghoppy05.jpg思わず、「仙人!一度来たかったのですよ~!」と訴えてしまう(笑)。 正面には「キンミヤ」のラベルを貼ったガラスの樽が鎮座しています。

仙人の発声により、この夜がスタート。 まずは、「白生ホッピー」をお願いしましょう。

仙人が、渋い真鍮色のサーバーからジョッキにホッピーを注ぐ。hoppy06.jpgジョッキに氷が入っていないのは、 ホッピー・焼酎・ジョッキの3つをよく冷やす、 所謂”三冷”での飲み方を仙人が説いているから。 それは、氷を入れると風味が損なわれるのでくれぐれも注意! とホッピービバレッジも推奨しているところ。

そして、ジョッキのひとつには、うっすらとハートマーク。hoppy07.jpgこれも仙人が供してくれるサービス精神の賜物のひとつ。 そして、仙人の音頭で皆一斉に「カンパ~ィ!」。 狭い店内が一体となる瞬間です。

ああ、円やかな呑み口のホッピーであることよ。hoppy08.jpg仙人、旨いであります。

hoppy09.jpg カウンターにあるのは、おつまみスナックのあれこれ。 「大人のばかうけ ナポリタン」が見つかりません(笑)。

そうそう、卓上には、類さんのサインの入った、 「BS-TBS 酒場放浪記」の酒枡や箸おしぼりセットなんかが置いてある。 仙人は、「キンミヤ」謹製の腕時計なんかも披露してくれました。

吉田類さん命名の「北米大陸の風」とどちらにしようか悩んだ末に、 もう一杯とお願いしたのが、その名も「堀越さん」。 注文に頷いてくれた仙人は、徐に白いスタンドのようなものをカウンターに置く。 スタンドの背には、「REAL HALF HOPPY By Project K」とある。hoppy10.jpg白ホッピーと黒ホッピーのハーフ&ハーフ「リアルハーフホッピー」を置くために作られたもののようだけど、他のジョッキの二層仕立てもきっとよく魅せてくれます。

「堀越さん」は、青リンゴサワーと白ホッピーのハーフ&ハーフ。hoppy11.jpg眺めて思わずニッコリの楽しいジョッキは、青りんごサワーの風味がいい感じに和らいで、 そこへ白ホッピーが顔を出す、少々女性向けな感じもするホッピーでありました。 「堀越さん」は、横須賀にホッピーを広めた元ホッピービバレッジの社員の方らしい。

ちなみに、「北米大陸の風」は、レモンサワーと黒ホッピーのハーフ&ハーフ。 仙人は、スプーンの背を使ってレモンサワーを静かに注ぎ入れてくれます。hoppy12.jpghoppy13.jpgこれもまた、つまりはホッピーによるぷちプースカフェスタイルだね。

長っ尻は無用、「また来ます!」と仙人に挨拶して席を立つ。 背中で呑んでいた方達に止まり木を譲りましょう。

野毛・都橋商店街の仙境、 ホッピー専門店「ホッピー仙人」は、この9月で13周年。hoppy14-02.jpg「ホッピー仙人」は、ずっとずっと訪ねたかったお店の正に筆頭でありました。 そんな、永いこと温めちゃった期待をまったく裏切らない素敵な空間。 コアなファンも初めて訪れて立ち飲みするひと達も一気に和気藹々と愉しくなれる。 常連が常連ぶることもないまま、にこやかに新参者も迎え入れてくれる感じもまた、 仙人こと熊切さんの、ひとあたりよくクレーバーで、分け隔てなく懐深い、 男前なキャラクターの賜物であるのは、誰も疑うものではありません。 仙人、またお邪魔しますね。

口 関連記事:   焼鳥「野毛末広」で 塩で皮ハツたれでレバモツ間合いも心地よき皿(14年09月)


「ホッピー仙人」 横浜市中区宮川町1-1-214 都橋商店街2F [Map] 045-242-1731 http://hoppysen.web.fc2.com/
column/03441

家庭料理「椥の実」で 富士宮焼きそばしらす丼静岡家庭料理新店

naginomi.jpg新富町の日本料理「松し満」からの帰り道。 ランチ営業を休止してしまっている「サンシビリテ」の様子を、少し寂しく横目で見ながらゆっくり歩きます。 角のタイヤ屋さんを曲がる手前で、 飲食店のものらしき真新しいスタンド看板に気がつきました。 家庭料理に続いて「椥の実」とある。 はて、なんと読むのでしょう。

落款のように印された”なぎのみ”の文字に、 へーそう読むのかと思ったその翌日早速、お邪魔しました。 引き戸の内側に下がっている萌葱色の暖簾を払います。

店内は、その暖簾の脇に仕切られた部屋がひとつあって、 奥には二人用のテーブルが並んでる。naginomi01.jpg人数によって自在に並び替える立て付けなのでしょう。 壁には棚が続き、酒瓶やグラス・食器なんかが並んでいます。

店頭の黒板にあったように、ここ最近のランチメニューは、 「富士宮焼きそばセット」か「しらす丼セット」のいずれかとのこと。 先ずは、未だにご当地での試食叶わぬ富士宮焼きそばをいただきましょう。

グラスいっぱいの冷たい緑茶を嬉しく思いながら待っていると、 厨房の中から炒め音が聴こえてきた。naginomi02.jpgたっぷりの魚粉を頂いた富士宮焼きそばの膳が届きました。

naginomi03.jpgやっぱりこの削り粉がキモかぁと思いつつ、啜った麺はしっかり歯応え。 水分を余計に含ませないで解した感じの、柔じゃない気風がいい。 富士宮市内の製麺業者から仕入れているのでしょうか。naginomi04.jpgソースもばしゃばしゃせず、それでいてパサつくこともない。 細かい粒が所謂「肉かす」と思われる。 肉からラードを搾った後に残ったものを油で揚げたものらしい。 ホントに”滓(かす)”って感じはするものの、そこまで使い切る感じが健気であります。 これの風味が何気に富士宮焼きそばの味を下支えしているのかもしれません。

日を改めて、タイヤ屋さんの角をふたたび曲がる。 今度は、ランチメニューのもう一方、「しらす丼セット」が目的です。

届いたドンブリには、真っ正直に、しらすがたっぷり載っている。naginomi05.jpg時季ゆえなのか、やや大きめの稚魚にも思えるしらす達。

流石に生しらすではないよなぁとちょっぴり想いつつ、 豪快に大口開けて、その下のご飯とともに喰らいます。naginomi06.jpgうんうん、しらすの素朴な甘さがそのままたっぷし味わえて文句なし。 あ、匙でいただいた方が、よりその醍醐味が愉しめるかもしれません。

naginomi07.jpg店頭の夜のお品書きのタイトルは、「おすすめ静岡郷土料理」。 「静岡おでん」に始まって、「黒はんぺん焼」や「桜海老のかき揚げ」などなどが並んでるのを眺めると、静岡の大衆居酒屋「多可能」の晩を思い出しました。

新富町に新規開店は、静岡由縁の家庭料理の店、その名も「椥の実(なぎのみ)」。naginomi08.jpg訊けば、藤枝市ご出身の姉妹だという。 東銀座で「楓 木挽町」という店をやっていたが、 銀座松坂屋近くでやっている姉の店と同名でややこしいこともあって、 移転を機に店名を改めたそう。 旧店名が「楓」であったことから、木偏をつかった文字がよいと考える中、 妹さんの名前から”知”の文字に木偏を添えた「椥」の字に白羽の矢が当たったそう。 そして、椥の木は、縁起のよい木だと知り、店名に決めたのだそうだ。 成る程、椥(梛)の木の葉は、熊野神社などでは神木とされているようで、 神事に用いられる榊の葉にも似ているようにみえるもんね。 寒くなったら「静岡おでん」で「萩錦」あたりをいただくのも、きっとよいぞ。

口 関連記事:   日本料理「松し満」で 古の料亭の残り香と肩肘張らない昼定食(14年09月)   Bistro「サンシビリテ」で 自家製サバのスモーク新富ビストロ通り(13年06月)   大衆酒場「多可能」で生しらす黒はんぺん桜エビ天喧噪の心意気(13年05月)


「椥の実」 中央区新富1-11-13 [Map] 03-6222-8343
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日本料理「松し満」で 古の料亭の残り香と肩肘張らない昼定食

matusshima.jpg有楽町線の駅入口も間近な新富町の裏通り。 ちょうど京橋税務署の裏手辺りといえば、 凡その当たりはつくかもしれません。 なにやらちょっとお高いのではないのと思わせる、 静かな佇まいの店がある。 ぴしっと閉まったサッシの格子戸。 神楽坂の割烹の前にでもありそうな、行灯看板。 でも近づいて壁の小さなボードをみるとそこには、 「週替わり 豚肉生姜焼」とある。 見掛けは格調あるも、お献立は肩肘張らないようにも思えます。

恐る恐る格子戸を引き開けると、予想に反して迎えるのが、 右手から二階へと導く階段。matusshima01.jpgmatusshima02.jpg思わず、靴を脱いで進もうとすると、「そのままおあがりください」とある。 なんだかちょっと妙な気分のまま、そろりそろりと階上へ向かいます。

鴨居に頭をぶつけそうになりながら、客間へ。 すると帳場のおばさまが小声で「いらっしゃい」。 テーブルの並ぶフロアは、畏まった接待の場にもなるような、 品良くすっきりとして、でもどこか味気ないようなそんな雰囲気です。matusshima03.jpgmatusshima04.jpg卓上のお品書きには、店先に告知のあった週替わりの定食に、 「エビフライ定食」「エビ重定食」「ロースかつ定食」「かつ重定食」の基本軸。 そして、季節限定の「稲庭うどん定食」と限定品「お刺身定食」。 少なくともおひる時メニューに関しては、肩肘張った様子は見られません(笑)。

ではではとお願いした、週替わりの品「豚肉生姜焼き」がやってきた。matusshima05.jpg成る程、ロース肉数枚の洋食屋さん的生姜焼きではなく、 バラ肉野菜鉄板炒め的生姜焼き。 こふいふ生姜焼きも悪くありません。

炎天強い日には、これも週替わりの「冷しゃぶ定食」。matusshima06.jpgそれは、糸唐辛子で飾った胡麻ダレ仕様。 どう云えばよいでしょう、なんでもない冷しゃぶかもしれませんが、 そこはかとない安定感を思う冷しゃぶなのであります。

偶には、定番品の中からと、なさそなありそな「エビ重定食」を。matusshima07.jpgしっかり大振りなエビフライ2尾が丁寧に盛った御飯の上に鎮座。 エビ重ではなくてエビ丼だよなぁとも思いつつ(笑)、早速その一方に齧り付きます。 これまた取り立てて際立つことはないけれど、実に遜色のない出来上がり。 火の入った海老の甘さを楽しむと同時に衣や玉子、 出汁の重ね合わせがそつなく愉しめます。

新富町の裏道に、静かに佇む日本料理「松し満」。matusshima08.jpgその居住まいには一方ならぬ風格を感じずにはいられない残り香がある。 その実、数年前までは、創業200年を数える立派な料亭が、 新館である今の建物の向かいに建っていたらしい。 この界隈は嘗て、銀座からちょっと離れた、 お忍びで財界人が訪れるような料亭が散在するようなエリアだったとも聞く。 そう云われてみるとそんな光景を見憶えているような気もするものの、 きっとその時は畏れ多くて近づけなかったのかもしれません(笑)。


「松し満」 中央区新富2-9-1 [Map] 03-3551-8000
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