SUNTORY PUB「ブリック」で 懐かしのダルマのハイボール

brick.jpg薬師参道を示す提灯揺れる中野北口一番街。 存在感ある「第二力酒蔵」では、 硝子ケースの殻付き生牡蠣やきんきの赤なんぞを路上から覗いて物色できる。 そんな大箱の一角で海の幸のあれこれを堪能した帰り道。 ふと振り向いたクランク状の道の角地に古色が誘うファサードと「SUNTRY PUB」の文字。 そうだ、「ブリック」にハシゴしよう。

二階席の様子も気になりつつ、 一階のカウンターの奥に止まり木です。brick01.jpgランプが照らす目の前のバックバーには、 角瓶を中心にジャック・ダニエルやI.W.ハーパーが並ぶ。

メニューには、「ホワイト」のシングルが200円、 懐かしの「オールド」が300円也とある。 “ダルマ”の響きも懐かしい、オールドをハイボールでお願いしました。 brick02.jpg「レーズンバター」をお供にオールドのハイボール。 なんだか20数年前にタイムスリップしたような気分が過って悪くない。

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バックバーの更に左奥には、タイル張りのコーナーがあって、 コンロ3台を擁するキッチンになっている。 「カニクリームコロッケ」や「揚げシューマイ」なんかは寸胴の油で揚げるのでしょう。brick04.jpgそして、左右のコンロには小さめのフライパン。 そのひとつには、注がれた玉子の上にチーズの欠片たちがみつかりました。

優しい焼き目のオムレツがハイボールに寄り添ってくる。brick05.jpgトリスのハイボールでもお代わりしようかな。

昭和39年(1964年)創業というサントリー・パブ「ブリック」中野店。brick06.jpg往時からの匂いをそのまま留めているよな雰囲気が堪らない。 きっと昭和が漂う二階の様子も覗いてみたい。 一号店になる、銀座の「ブリック」にも止まり木しなくっちゃ。


「ブリック」 中野区中野5-61-3 [Map] 03-3388-1263
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和カフェ「ハントコCafe」で 知多半島ビーチ定食味噌ハッシュド

hantoko.jpgワインと豚の「ぶーみんヴィノム」や イタリアン・バー「BARDIGO」のある、 新金橋交叉点は、首都高京橋ランプのすぐ近く。 さらに京橋ランプに近い、 案内表示ゲートの足元に ファサードに古民家の板壁を巻いたお店がある。 円く抜いた硝子窓も印象的な店の側面には、 「ハントコCafe」。

店先の暖簾や小物からも女性営むお店であることが窺える。hantoko01.jpghantoko02.jpg水色ペンキのかき氷器も気になります。

席は、厨房に向かうカウンターか、 卓袱台のような丸テーブル囲む座布団の上。hantoko03.jpghantoko04.jpgカウンターの上を眺めたら、 常滑焼きらしき小さな置物たちが佇んでいました。

hantoko05.jpg初めての注文は、「知多半島ビーチ定食」。 ああ、常滑とか、知多半島とか、あちら方面を根っこにしたお店らしい。 厨房廻りでは、三人の女性が急くことなく、きびきびと所作に勤しんでいます。

食前酒ならぬ、食前酢としてブドウベリーミックスの小グラス。 この日の「ビーチ定食」の主菜は、鯖の味噌煮。hantoko06.jpg温やっこの根菜あんかけなどの小鉢の充実も女子ウケしそうです。

鯖味噌の味噌は当然、八丁味噌系。 パリッとした皮目。hantoko07.jpgたっぷりの脂としっかり漬かった八丁味噌の連携が美味しいな。

裏を返してのお昼どき。 今度は、「味噌ハッシュドビーフオムレツ丼」をいただいてみる。hantoko08.jpg一見すると極普通のデミソースオムライス。 端から崩していただけば、なるほど赤味噌の風味が程よく支配する。 包んだ玉子の中は雑穀米になっています。 お椀もちゃんと赤出汁でね(笑)。

首都高速京橋ランプ脇に開業4年の和カフェ「ハントコCafe」。hantoko09.jpg半田常滑で、ハントコ。 知多半島に縁のある女性たちによる、 故郷を愛するがゆえの発露がいたるところに見つかるお店。

Webサイトに、店名「ハントコ」の由来が示してある。 名古屋から知多半島道路に乗って、南へ30kmほどのところにあるインターチェンジ。 「半田中央インター」と改称される前は、「半田常滑(はんだとこなめ)インター」、 略して「ハントコインター」と地元の人に呼ばれていました。 知多半島のちょうど真ん中に位置する、このインターの懐かしい愛称にちなんで、 知多半島の魅力を東京で発信する基点になれたら。 そんな願いをこめて、「ハントコ・cafe」と名付けました。

hantoko10.jpg知多半島は、別名「醸造半島」といわれるほど、 古くから醸造産業が盛んであるらしい。 今も、ねのひ、國盛、白老、生道井、冠勲、金鯱といった銘柄の酒蔵がある。 そうそう、知多半島にはシングルグレンを醸すサントリーの蒸溜所があるのだね。

口 関連記事:   ワインと豚と世界のお料理「ぶーみんヴィノム」で ぶた焼きランチ(12年03月)   イタリアン・バール「BARDIGO」で ネグローニとカキスパゲッティ(09年10月)


「ハントコCafe」 中央区新富1-4-1 [Map] 03-6280-5779 http://blog.hantoco.jp/
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麺処「まるよし商店」で 夏のおもひでわざび入り濃口しょうゆつけ

maruyoshi.jpg甘露な塩らぁ麺の店として印象的な桜台「美志満」。 「塩ワンタン麺」も「魚介塩味玉らぁ麺」も旨かった。 桜台駅前のやきとん「秋元屋」前を過ぎて、 「美志満」へと向かう途中で目に留めていた空席待ちの列の主が、麺処「まるよし商店」の味なファサード。 数名の空席待ちの最後尾に並びましょう。
そもそも中華そば店の店舗として仕立てられた建物ではない気のする。 以前は豆腐屋でした、なんて話を聞けたら嬉しい感じ。maruyoshi01.jpgmaruyoshi02.jpgmaruyoshi03.jpg 屋根瓦や木枠の横すべり出し窓が並ぶ表情がとってもいい風情を醸しています。

初めて訪れたのは、陽射しギラギラのお盆近くのこと。 空調なしの開けっ広げのカウンターに腰掛ける。 maruyoshi04.jpg「夏だけ」の文字に惹かれて選んだのは、 「夏だけわさび入り 濃口しょうゆつけそば」。

太麺は、如何にも全粒粉使いの色合いと量感で迫る。maruyoshi05.jpg山葵の風味が濃いぃ醤油に溶け込んでキレが出る。 真夏にも一種の涼味を添えて、 成程いい手を思いついたものだなぁと感心しながら、 豪快に音を立てて啜ったものでした(笑)。

店先の彫り込み立て札にも「タンメン」とあるように、 タンメンのお店でタンメンをいただかずとはと日を替えて。maruyoshi06.jpg球状に練った辛し味噌であるらしい「赤玉」もこちらの特徴であるようなのだけど、 おしながきに小さく書かれた”割と辛いので”に怖気づいて(笑)、 「たんめん(並)」をオーダーです。

小海老の風味に野菜たちの旨味や甘みが素直に引き出されたスープ。 ニンニクがっつりや塩キメキメでなく、 やや物足りなさを覚えるくらが、ナチュラルな味わいなのだと感じ入る。maruyoshi07.jpgシャキシャキとした歯応えと一緒に野菜を摂る悦び。 太麺でもいただいてみたいと思ううちに、 「赤玉」の「ビー玉(1/4)」も載せてみたいかもとも気が変わってきました。

桜台の裏道角地にタンメンを軸にした麺処「まるよし商店」がある。maruyoshi08.jpg次回はきっと、「ビー玉タンメン」とするか「みそカレーつけタンメン」にするか迷うことでしょう。

口 関連記事:    らぁ麺「美志満」で 甘露なまろみ塩らぁ麺花開く魚介塩嗚呼旨い(13年02月)


「まるよし商店」 練馬区桜台1-3-10 [Map] 03-5999-6180
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とんかつ「鈴文」で待ちに待ったかきフライ帰ってきた宮城の牡蠣

suzubun.jpg西蒲田の五叉路辺りに吹く強い風はきっと、 威容を誇る東京工科大学の建物によるビル風に違いないといつも思う。 そんな風に吹かれながら信号を渡れば、 とんかつ「鈴文」の黄色い灯りとスタンドサインが見えてくる。 カウンターに席の空きはあるかなぁ。

暖簾を潜るとほぼ満席のL字カウンター。 首を傾けて窺うようにすると、 奥に立つおばさまが空いている場所に誘ってくれる。 唯一の空席は、大将の正面でありました。

まずは、「ハイサワー」と「お新香」。suzubun01.jpg塩梅よき白菜のお新香で一杯だけいただくのがよい感じ。 冬深まった頃には、燗のお酒に代えるもよし。 一杯を干したところでお願いしたいのは、 待ちに待った「かきフライ定食」だ。

実は、店に入ってからどこか視線が泳いでいたのは(笑)、 この冬こそ「牡蠣フライ」がメニューに上がっていることを期待して、 それを探していたから。 椅子に腰掛けてから見上げた排煙フードのステンレスの貼り紙。 そこに「かきフライ始めました」との手書き文字を見つけてニンマリしたのは、 果たして気付かれていたでしょうか。

大将が、パットの中に牡蠣の身を並べてる。 それを玉子に潜らせ、粉をはたき、パン粉にそっと包む。 なるほど、牡蠣ひとつのものと二個付けしているものとがある。 大将が然るべしと考えるサイズになるように、やり繰りしているんだ。

貼り紙のあるステンレスの幕板をよく見ると、 何本もの食パンが棚に収められているのが反射して映ってる。suzubun02.jpgそれは、バターを減らすなどしたパン粉用のパン。 営業開始前に大将みずからがシンクの脇に据えた機械でパン粉にするのだそうだ。

目に前の大将からすっと手渡されたお皿には、 待ちに待った「かきフライ」。suzubun03.jpgやや大振りのフライ5つに千切りキャベツ。 ちゃんとタルタルも添えてくれているのも嬉しいところ。

いただきますと両手を合わせてから、檸檬をちょっと搾りかける。 そしてそのまま箸にとり、ふーふーとしてから囓り付く。suzubun04.jpgああ、なんだか感無量。 期待通りにさっくりと軽く歯触りと芳ばしさの衣だ。

そんな衣と一緒に炸裂する牡蠣の旨みといったら。suzubun05.jpg確かな、そして甘さにも似た旨みを湛えた牡蠣は宮城から届いたもの。 ああ、旨いなぁとほっこりとして、思わず目を閉じてしまいます。

振り返ればそれは、東日本震災後の最初の冬のこと。 絶滅さえ危惧された三陸の宮城の牡蠣は、なんとか種牡蠣を失わずに済んで、 難問課題にひとつひとつ対処工夫しながら一部の海で養殖を再開していました。 飲食店で牡蠣フライを口にすることも増えてきたそんな中で、 「鈴文」での牡蠣フライがいただけるのではと訪ねたことがありました。

しかし、残念ながらその冬に「鈴文」に牡蠣フライのメニューが上がることは、なし。 絶好調のものを知る大将の目には恐らく、 その頃の宮城の牡蠣は、まだ安定していないものに映ったのでしょう。 訊けば、広島産の牡蠣で試してみたりしたのだけれど、大将が求める味とは違って、 やはり宮城・三陸の牡蠣でなくてはということになったのだそう。

そしてこの冬のシーズンを迎えて、「鈴文」に「かきフライ定食」が帰ってきた。 なんと喜ばしいことでしょうか。 フライにしている牡蠣は勿論、宮城・三陸のもの。 “待ちに待った牡蠣フライ”とはそんな経緯あってのことなのであります。

魅惑のとんかつの店「鈴文」は、牡蠣フライもまた白眉。suzubun07.jpg朴訥なる大将がじっくり拘った「かきフライ」をいただきに、 この冬何度お邪魔できるかな。

口 関連記事:   とんかつ「鈴文」で とんかつ定食達観の表情と絶妙の完成度(12年01月)


「鈴文」 大田区西蒲田5-19-11 [Map] 03-5703-3501
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ひな鳥「そのだ」で 揚立て絹豆腐魚肉ソーひな鳥素揚げのお店

sonoda.jpgJR大井町駅の東口改札で待ち合わせて、 大井銀座商店街のアーケードを第一京浜方面へ。 何気ない有名店「萬来園」を横目に進み、 アーケードが途切れたところが池上通りとの交叉点。 そこからちょっと左手に回り込むとラーメン店ほか数店の灯りが点る裏道に出ます。 そういえば、京急の鮫洲駅周辺から散策した時に通ったことがありました。

薄暗い通りを仄かに照らす灯りは、ひな鳥「そのだ」。sonoda01.jpg元小料理屋をそのまま居抜きで営んでいる、 そんな雰囲気の暖簾です。

手前のテーブルとL字のカウンターとで10数席の小ぢんまり。sonoda02.jpgカウンターや厨房の棚などに所狭しと焼酎の一升瓶が並んでいます。

sonoda03.jpg飲み物と一緒にまず注文したいのが、 この店の主役にして揚げ上がりまで20分ほどの時間を要する、 「ひな鳥の素揚げ」だ。

それを追い駆けるようにお願いしたのが「手作りポテトサラダ」。sonoda04.jpgジャガイモの解し加減、水分の飛び加減が好ましい。 なんかこう、味わいの軸がしっかりしたポテサラで、 いままでの経験上でも特に印象的だ。

今日はあります的なお声掛けで口福とさせてくれたのが、レバー刺し。sonoda05.jpgああ、旨い。 ねっとり柔らかそうで歯応えがあり、 口腔に広がる滋味の中に鉄分が過ぎります。

そして、たっぷりの小葱をいただいた「揚げたて絹あげ」。sonoda06.jpg葱が零れ落ちないようにそのひとつをずらすと、 顔をみせた断面から上がる湯気。 お皿のポン酢を底面に含ませてからそっと口に運ぶ。 熱々で軽快な香ばしさと葱の青みが弾けると同時に、 絹豆腐の肌理が滑らかに甘く解けてゆく。 はふほふしながらもう一片。 これもまた素揚げの店ならではの酒肴なのでありますね。

どういう訳か、どこの呑み屋居酒屋でも思わず反応してしまう、 “煮込み”の文字(笑)。sonoda07.jpg此処ではそれは、「鶏煮込み」のお皿となる。 鶏モツの誘いが塩仕立てで迫ります。

これまた前割りの焼酎のグラスにも似合うのが、「鹿児島県産 鳥ユッケ」。sonoda08.jpgゴロゴロな感じに粗く刻んだ鶏の身の歯応えと滋味。 崩した黄身のコクが艶かしさを深めます。

一瞬梅干にも見えるヤツ。 さてこれは何でしょう?と設問したくなるお皿が届いたよ。sonoda09.jpg正解は、素揚げの「ソーセージ(魚魚)」。 添えてくれたタルタルでいただけば、オツなおつまみ。 これもまた素揚げの店ならではのものでありますね。

そして満を持して登場したのが、「ひな鳥 素揚げ」のセット。sonoda10.jpg薄手にカラっと揚がった皮目に無造作に歯を立てる。 香ばしさの中から透明な脂の滲む。 手掴みで繊維質をかじかじする臨場感がいいね。

続いて届くは、ももの素揚げ。sonoda11.jpgセットというのは、手羽付きのむね肉とももの両方ということで、 どちらかのみの注文も承ります(笑)。 〆ちゃいましょかと発注しました「鶏スープにゅうめん」。sonoda12.jpg煮出したエキス十分のスープは程良い塩加減。 満腹な筈の胃の腑にするんと収まりました。

池上通りから外れた裏道に、素揚げの店「そのだ」の灯りが点る。sonoda13.jpgご主人の柔らかな対応が心地いい。 蒲田「うえ山」直伝の、という辺りのことも訊ねに、またお邪魔しなくっちゃ。

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「そのだ」 品川区南品川5-14-11 [Map] 03-3471-2322
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