武蔵野うどん「じんこ」で肉ネギつけ汁武蔵野うどんの定義と境界

jinko.jpg96年のキャロットタワーの完成で、 もうすっかり再開発が済んだような気もしていた、 三軒茶屋駅周辺。 ところが、駅の真上の三角地帯は、 今も取り残されたように昭和の匂いを残してる。 迷路のような路地を往けば、なんだかそれだけで愉しくなってきます。
そのさらに裏手のような場所にあるのが、武蔵野うどんの「じんこ」。 居抜きの元呑み屋にうどん打ちの小部屋を設えた感じで、 硝子越しに打ち粉の白が浮かぶ麺打ち台が覗けます。
jinko02.jpg お品書きには、 あれこれと居酒屋メニューも並んでる。jinko01.jpg でもここは敢えて、お目当ての武蔵野うどんのみに注目しましょう。

「当店イチオシ!」とアピールしているのが、「肉ネギつけ汁うどん」。 量のレベルが小から特々盛りまで5段階用意されていて、特々盛りは、1,000g。 たんまり食べたい気分ではあるけれど、流石に1kgは無理(笑)。 それでも多いかとも思いつつ、店のおねえさんが「ワタシでも食べられます!」という、 大盛り500gをいただくこととします。

麺を湯掻く湯気の様子を眺めながら、 ゆっくりと出来上がりを待つひと時。 ややあって、「肉ネギつけ汁うどん」のお膳がやってきました。jinko03.jpgjinko04.jpg うどんは、想定よりも太く、縮れっぷりや捻れっぷりからも麺の力強さが想像できます。

jinko06.jpg 箸の先に載せても感じる量感のうどんを、 豚バラ肉や葱、刻んだ油揚げがたっぷり浮かぶつけ汁にどっぷりと浸します。jinko07.jpg ずずずず。 と、啜り上げる感じで啜ろうとするも、麺の剛性逞しく。 縮れや捻じれがほぼそのまんまなので、どうもつるんと啜る訳にはいきません。 結果として、ほんの数本のうどんをちょっとづつ咥えて齧る感じになる。

コシが強いというよりは、硬くて噛み応え満点のうどん。 きっと、茹でが足りない訳ではなくて、こふいふ打ち方のうどんなのでしょう。jinko05.jpg成る程、粉の風味が活き活きとかんじられて、いい。 お気に入りの一軒、「豚や」の「黒うどん」に似ていなくもないけれど、 わざわざ硬くすることに注力しているのではと思うと、ちょっと残念にも思えます。

jinko08.jpgお品書きには、「武蔵野うどん」が、埼玉県北部から東京多摩地域にかけての武蔵野平野発祥の伝統のうどんであることを記してる。 ただ、うどん生地への足踏みを一切しないところが、他の店との違いという。

体重を利用しないで、手の力だけで生地を折り畳んで延すのは、重労働な筈。 その点を含め、足踏みをしないことの良さがどこにあるのか判らないけれど、 それがうどんにしなやかさを欠くことの要因なっていやしないか、 なぁんて余計なことまで考えたりして(笑)。

後日、「カレーぶっかけうどん」も試してみました。 ごわごわっと麺が硬い印象は大きくは変わらない。jinko09.jpgカレーのうどんもやっぱり、ずずずと啜りたいことを想うと、 それが適うテクスチャのうどんが好ましいということなる。 でもそうすると、此処の個性や拘りを希薄にすることに繋がるだけなのか。 またまた余計なことながら、ひとり腕組みして考えてしまいました(笑)。

三軒茶屋の裏路地に、武蔵野うどんの「じんこ」あり。jinko10.jpg店先の丸い看板をよくみると、「神粉」という文字も窺える。 神の粉もしくは粉の神と書いて、「じんこ」。 埼玉県が香川県に次いで小麦粉の消費量が多いことを伝えているお品書きにも、 そんな埼玉産や群馬あたりの地粉を使用しているとは示していない。 この辺りも「武蔵野うどん」の定義と境界の曖昧さを現していることのような気がします。

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「じんこ」 世田谷区三軒茶屋2-11-11プレジオ三軒茶屋1F 03-3411-0588 http://jingo-udon.com/
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