戸越銀座「CURRY & SONS」で牡蠣燻製油漬なめらかルウカレー

curry&sons.jpgそれは水無月の末の頃。 商店街・戸越銀座の東端にある蕎麦処、 「翁」にお邪魔した帰り道。 銀六会エリアの通り沿いで、 古の黒塗りビートルに気がついて足を止めました。 近づくと、ビートルの横や後ろに開店を祝う花が幾つも飾られているのが分かる。 オープンし立てのお店のようです。
curry&sons02.jpg 既に灯りを落とした店先にあったパネルを見るに、 通りかかった日の前日がオープン日だった模様。curry&sons01.jpg平日は12時-15時のひるの営業のみ(当初)で、それゆえもう灯りが消えている。 近々お邪魔してみようと振り返りつつ、第二京浜方面へと戻ったのでありました。

早速、その週末の戸越銀座。 祝花を横目に、古民家風硝子戸をガラガラっと開ける。curry&sons03.jpgcurry&sons04.jpgcurry&sons05.jpgまだ、初々しい雰囲気も漂う店内には、古材を用いたカウンター。 なんだか居心地良さそうです。

curry&sons16.jpgひるのビールをまずいただいて。 真新しいメニューに載る「今週末のおつまみ」に牡蠣ネタを見つけて、 早速お願いします。curry&sons06.jpg白ワインも似合いそうなのは、「牡蠣の燻製油漬け」。 丹後・久美浜湾産のふっくらした牡蠣の燻製油漬け、とある。 固くならないよう油漬けした牡蠣に凝集した旨みと燻製の香気が纏います。

牡蠣でビールを干した頃、「カレーライス」のお皿がやってきた。curry&sons07.jpg「CURRY & SONS」オリジナルの、顔となるカレー。 ゴテゴテ色々と飾ってしまったカレーも少なくない中、 白いライスとカレーソースのみの潔い姿勢が印象的であります。

キーマらしく挽肉由来の香りも勿論するものの、 沢山の野菜の旨みを含むブイヨンが綺麗にそそるソースがいい。curry&sons08.jpg動物性の旨みも多層的。 シンプルにみえて、贅沢なカレーにカッコ良さが宿っているような気がします。


盛夏を跨いで、ふたたび訪れたのは、平日の夜。 6月のオープン後暫くしてから、一旦営業を止めていて、 その後、営業時間帯を金・土・日曜日の昼、そして夜と切り替えて再開していたのです。

やっぱりビールをいただいて、お供に「アンチョビマッシュポテト」。curry&sons09.jpgポテトサラダ、とせず、 アンチョビと合わせたものに仕立てたところに、ちょっとした粋を想います。

カレーを前にして、なんだかさらに食欲増してきて(笑)、 「牛すじのチリトマト煮込み」にも触手を伸ばします。curry&sons10.jpg丁寧にコトコトした様子が思い浮かぶ、 牛スジの旨みがしみじみいただけるスープです。

調子に乗って、シャルドネのハウスワインのグラスもいただいて、 以前はなかったメニュー「旬の揚げ野菜のマリネ」を。curry&sons11.jpg万願寺と思う唐辛子にパプリカ、人参に南瓜、そしてゴーヤの素揚げ。 そこへ垂らしたバルサミコの酸味風味がいい按配であります。

そして、〆でメインのカレーをいただきましょう。 今宵は、数量限定「なめらかなルウのカレーライス」を所望します。curry&sons13.jpgcurry&sons14.jpgオリジナルのルウにさらにひと手間掛けた、と謳うカレー。 さらに濾して、加えて等々を施したカレーは、 濃度を増しつつよりするっと滑らかに。 ふと、「ラ・ソース古賀」を思い出したのは、 このお皿に力みのない実直な魅力を感じたからかもしれません。 いいね、マスター、美味しいです。 強いて云えば、もうちょっとご飯は固めに炊いたのが合うと思うし、好みかな(笑)。

戸越銀座・銀六会エリアに誕生した、 BEERとWINEとおつまみにオリジナルなカレーが控える「CURRY & SONS」。curry&sons15.jpg人生の後年を大好きな厨房と仲間が集うようなカウンターで過ごしたい。 きっとあれこれ趣味の広いであろうマスターが、そんな風に想い、そして実現したお店。 お店の成り立ちを勝手に、そんな風に想像を巡らせたりしています。

口 関連記事:   フレンチからのワンプレート「ラ・ソース 古賀」 でソースキュリー(05年08月)


「CURRY & SONS」 品川区豊町1-4-18 [Map] 03-3781-8320 http://www.curryandsons.com/
column/03310

お肉割烹「三つ味」で 路地の古民家官能の名物ビーフカツサンド

mitsuaji.jpg新しいお店が幾つも出現していて驚かされる、 最近の茅場町界隈。 相変わらずの暑さ厳しいおひる時に、 何気なく裏道を歩いて気がついた。 どなたか住んでいるのかなぁと思っていた古い民家に白い暖簾が掛かってる。 おおお、と近づけばお肉割烹「三つ味」とある。 古民家再生の料理屋が何時の間にか生まれていました。

路地が似合う古民家の風景。mitsuaji01.jpg建物と建物の間からにょっと出た樹木もいい具合に彩りと木蔭を添えています。

玄関の三和土も表情があるけど、 それ以上に翼を描いた板張りの表情がいい。mitsuaji03.jpgmitsuaji02.jpgmitsuaji06.jpgmitsuaji04.jpgmitsuaji05.jpg 店内の造作も、元の造りを極力活かしつつ、 違和感のないようにデザインされています。 二階はどうなっているのかなぁと想像しながら、 L字カウンターの隅へとお邪魔しました。

前菜の小鉢に載ったジュレが何気にオツなお味に引き立てる。mitsuaji07.jpg茄子も美味しくいただけて、 ロケーションからの好感度がさらに上昇してしまいます(笑)。

mitsuaji08.jpgお願いしたのは、「とんかつ御膳」。 お肉割烹であるならば、という単純な発想からなのだけど、 佇まいに適うような端正な姿でそれは届きました。mitsuaji09.jpgもろきゅう越しに眺めるとんかつは、 例えば蒲田の「丸一」「檍」「鈴文」といった、 とんかつ専門店のそれのようなタイプとは違う表情のもの。

噛めば細やかな脂と旨みが軽やかに解ける感じ。mitsuaji10.jpg小皿で添えてくれたソースは甘めに仕立てたヤツなのだけど、 そこに独特の食感のものが潜んでた。 ビーツみたいにも思うのはなに?と訊けばそれは、パパイヤだという。 へー、そうきたか、であります(笑)。

mitsuaji11.jpgお肉割烹だから、ランチもお肉の膳ばっかりかというとそんなことでもなくて、 「本日のおすすめランチ」がお魚系であることが多いし、 「銀だら西京焼き御膳」は定番のランチメニュー。mitsuaji12.jpg西京味噌の風味がよく似合う深海魚も、最近は高級魚となりつつあるのか、 なかなかに小振りな身がふた切れ。 オヤジさんが御存命の頃の八丁堀「殿長」の豪快な銀鱈をふと思い出しちゃった(笑)。

此処のランチでは、コレもいただかなきゃならないのでしょうと、 奮発して挑んだのが、一日限定5食の「名物 ビーフカツサンド」。mitsuaji13.jpg紅い身を晒した4切れのビフカツサンド。
その断面をじっと眺めてから、どれどれとそっと手に取って、 徐にそのまま齧る。mitsuaji14.jpg謂ってしまえば単純に、官能的ですらある柔らかさ。 赤身肉の旨みが、これまたやや甘いソースに引き出されて、 そっと唸る感じになる。 薄いスライスのトーストもバランスの良さを思うところ。 訊けば、オーストラリア産のヒレだそう。 ああ、贅沢なランチになってしましました(笑)。

茅場町の裏路地の古民家が生まれ変わっての、お肉割烹「三つ味」。mitsuaji15.jpgmitsuaji17.jpg“三つ味”ってどんな意味合いからなのですかと問えば、 たまたま此処の住所が3-3-3だからと、そう応える。 でも、そこ以外にも想うところを含んでいるんでしょうとツッコむと、 それは追々考えます、とかわされちゃった。 仕舞っておきたいことも、そりゃありますもんね。


「三つ味」 中央区日本橋茅場町3-3-3 [Map] 03-6661-7346 http://www.mitsuaji.com/
column/03309

沖縄料理「きよ香」で 中身イリチー泡盛比べチキアギ在京半世紀

kiyoka.jpg高円寺北口の駅前に立つとどうも、 目線は高野青果脇の路地を探す。 立派なゴーヤなんかが並び賑う店の横を抜けると、 何時ぞやお邪魔した煮干しらぁめん「ひら石」の収まる「大一市場」がある。 久し振りだから様子を眺め浸らなければと闖入して、 タイ料理店やベトナム料理店が醸し出すアジアの片隅的雰囲気に和むのもいい。 「ひら石」も健在のようです。

そのまま「大一市場」を向こう側に抜けて、くるっと回って駅の方へと戻り、 ふと振り向いた路地にも飲食店のものらしき看板が窺える。kiyoka01.jpgここの奥なんじゃない?と進んだところで、 目的地の沖縄料理「きよ香」の提灯が見つかりました。

じっくりと時間を掛けて味わいを増した風情の店内が、いい。kiyoka02.jpg賑うカウンターの様子を眺めながら、予約の名を告げる。

kiyoka03.jpg上に上がってと伝えられて、階段を上がりかけたところに、 中二階の屋根裏部屋みたいな個室が目に留まる。 此処いいですか?と訊けば、あ、どうぞとなりました。

包まれ感が心地いい個室で、待ち人を待つ間に届いた、 オクラにおかかを振ったお通し。kiyoka04.jpg早くオリオンを呑みたいぞ。

待ち人ふたりは先に二階の座敷に通されていて、すでにジョッキを空ける頃(笑)。 やっとこ合流して早速、お待ち兼ねの「オリオン」をいただいて、乾杯です。kiyoka05.jpgそんなビールによく合うと謳うは、 ぴり辛いチョリソーを炒めた「ポチギ」だ。

意外そうでいて成る程、沖縄チックだなぁと思うのが、「カジキマグロの天ぷら」。kiyoka06.jpg石垣や沖縄でマグロ?と思う向きも少なくないかもしれないけれど、 石垣島でもそれ相応のマグロが水揚げされているのです。

「中身イリチー」は、つまりはモツの炒め物。kiyoka13.jpg味噌仕立てで炒めてあって、 嫌味のないモツの風味をシャキッとした野菜たちと一緒にいただく。 泡盛・古酒にも勿論ぴったりのお皿です。

って、ことで何杯か泡盛をいただいたところで改めて、 「きよ香」提供の「飲み比べ泡盛」をお願いします。kiyoka08.jpgそれは、3種類の泡盛・古酒を組み合わせて、税別700円でどうぞ、というもの。 割と定番な3種類、宮古島の「菊之露」、ご存知沖縄本島の「久米仙」(久米島にも「久米仙」がある)、そして石垣で親しんでいるところの「請福」の組み合わせを選びました。

うん、同じ30度の泡盛であっても、 鼻を抜ける香りや感じる重さ、角の有無などが微妙に違う。 ま、呑む程に判らなくなってくるのだけど、ね(笑)。

「スヌイの天ぷら」の”スヌイ”は、もずくのことだよね。kiyoka09.jpg当地では、割と見かけることの少なくないもずくの天ぷらだけど、 あれば注文したくなるのは何故でしょう。

いままで見覚えのなかった「チキアギ」とは、 一般に白身魚のすり身に牛蒡や人参を入れて揚げたものを云うらしい。kiyoka10.jpg丸くするのが定番なのかなぁ。 揚げ色しっかりなあたりは、石垣の「マーミヤかまぼこ」とはまたちょっと違う魅力のする。 揚げ立てをホフハフいたたけばもう、不味かろうはずもありません。

そして、ご存知「ソーミンチャンプルー」。kiyoka07.jpg優しくお腹を満たしてくれます。


泡盛の心地よい酔いとともに、あっという間に時間が過ぎて、 気がつけば終電間近に。kiyoka11.jpgふと、忘れ物があるよな気がして、その路地を振り返る。 うん、いい路地だ(笑)。

東京の沖縄料理店の中では、古株中の古株ではないかと思う、高円寺「きよ香」。kiyoka12.jpg個室の壁に貼られていたポスターにはなんと、「本店きよ香50周年記念」とある。 Webサイトによれば、石垣島出身の高橋淳子ママが開業したのが、1961年のこと。 そこ頃きっとまだ、よく知られていなかったであろう沖縄料理。 あったのは、在京沖縄料理店の草分け、池袋「おもろ」くらいだったのではないかなぁ。 そして今もなお、じわじわと伝え続けてくれていることに、そこにあることに感謝です。

口 関連記事:   らぁめん餃子「ひら石」で ジャンボ餃子煮干らぁめんありがとねー(09年09月)   沖縄料理「おもろ」で 豚尾のおもろ煮豆腐よう草分け沖縄料理店(10年01月)


「きよ香」 杉並区高円寺北3-22-2 [Map] 03-3339-5722 http://www.dachibin.com/kiyoka.html
column/03308

BISTRO & GALLERY「ZOЁ」で 昔ながらのナポリタン玄米ハヤシ

zoe.jpgそれは、梅雨ど真ん中だというのにカラッとした、 まさに五月晴れのおひる時。 いつもの様に何気なく、 今はランチ営業を止めてしまっている、 「Les TONNEAUX」の裏手辺りを徘徊する。 生姜焼きのランチを思い浮かべる「金太郎」の手前に、見慣れないオープンカフェが出来ているのを眼に留めました。

へーと思いつつ近づいて、路上の看板を眺めると、 「ナポリタン」がある(笑)!zoe01.jpgちょっくらお世話になりましょう。

店先のテーブルに路上へ向かって座れば、 成る程な開放感に思わず「ビール!」と叫びたくなる。 zoe03.jpgそうもいかんかと気を取り直して、 改めて捲るメニューには、素材への拘りが伺える自然派なカフェ飯ラインナップ。 気取った割にはナンチャッテなカフェ飯とは、違っていそうな気配もいたします。

白く塗った壁には、様々なサイズの額装の写真なぞがみっしりと。zoe02.jpg“and GALLERY”としているってことは、 場合によっては販売もするアートたちなのでしょうね。

まずはやっぱり、「昔ながらのナポリタン」から。zoe04.jpg厨房のひと達がその昔食べてたナポリタンには、烏賊や海老の海鮮が入ってたんかい! と思わずツッコミを入れたくなるところ(笑)。 ただ、自家製というトマトソースを使っているという割には、 シャツに飛びにくい系に仕上がっていて、悪くない。

個性を発揮したい気持ちは分からなくもないけれど、 もしも”昔ながらの”と題するのであるならば、zoe05.jpgケチャップの割合いを増して、 さらにもうひと越え炒め込んでいただきたいなぁ、と思うであります。

同じような、五月晴れの六月下旬。 日替わりメニューから選んだのが、「玄米ハヤシ からあげのせ」。zoe07.jpgzoe08.jpg酸味とコクと旨みのバランスなかなかで、ベタつかない感じも好感のハヤシソース。 玄米とハヤシとの取り合わせにも違和感はない。 ちょこっとアクセントが欲しいところに唐揚げ、ってのもアリですね。

そんなこんなで、ご飯モノは白米か玄米が選べるスタイル。 「野菜たっぷりの黒豆キーマカレー」も玄米を選んでみます。zoe09.jpg辛さ程よく、何気にスパイスの利いている。 トッピングでカラフルに飾る野菜たち。 潜んだ黒豆は、丹波・但馬産。 ディナーメニューにもそんな文字が窺えて、なんらかの地縁があるのか、 但馬、丹後、丹波地方の食材が基調になっているようです。

オープンエアが良く似合う、街角の新しいビストロ、「ZOЁ(ゾイ)」。zoe10.jpg「ZOЁ」は、”ゾーエー”でなくて、”ゾイ”と読むンだそう。 ホール担当のおねーさんに訊けば、その意味は「女性の名前」といい、 厨房のおにーさんに訊けば、「ギリシャ語で、太陽とか命とかを示す、哲学的な用語」という。 そこには、ちょっと深い想いも隠れていそうだけど、 それはまた、秋の夕暮れ時に白ワインでもいただきながら伺いましょうか。 なぁーんてね(笑)。

口 関連記事:   MODERN BISTRO「Les TONNEAUX」で 颯爽ランチプレート(10年09月)   丼呑倶樂部「金太郎」 でしょうが焼き丼どんぶりモノを想う(08年02月)


「ZOЁ」 中央区八丁堀2-3-3 [Map] 03-3552-5090 http://zoe-bistro-gallery.com/
column/03307

台湾家庭料理「喜来楽」で緑竹筍絲豆腐菜脯蛋牡蠣煎大腸麺線

shirairu.jpg間を置かずやって参りました、 バーボンストリート。 バーボンストリートといえば、 ご存じ、蒲田の池上線高架脇。 昼間は、開けているお店も少なくて、 どこかのんびりとした味わいの通りも、 夕闇迫った以降は本気になって、 俄然色濃い雰囲気で迎えてくれます。

妖しい灯りが誘う通りを往き、 過日、ご馳走になった平壌冷麺の「食道園」の前を通り過ぎ、 ご無沙汰の「上弦の月」のさらに先へ。shirairu01.jpgshirairu02.jpg踏切の向こうの路上に、「喜来楽」の看板が見えてきました。

店の前に立ち、ひょいと店内を覗くと、そこはすっかり常連溜まる呑み屋の風情。 ここに予約のテーブルがあるのだろうかと顔を見合わせる。 だって、たった2卓のテーブルひとつの上にお犬様が鎮座してたりするのだもの(笑)。

と、ニコっとした表情でオヤジさんが顔を出して、右脇の階段に誘います。 ああ、二階があるのねと、その急な階段をギシギシと上ります。shirairu03.jpg扉の中は、よくいうところの、誰ん家の居間に上がり込んだよう。 蒲田の女王ことkimimatsuさん夏休み中のlaraさん達と囲む座卓に座布団。 テレビの映像が壁に大写しにされています。

冷たいおしぼりを手渡しながら、やぁやぁよく来たね、とオヤジさん。 見慣れないメニューを説明してもらったり、おススメを訊ねたり。 そのやりとりは、本当に叔父さんの家を訪ねたみたい。 幾つかをお願いして、後はもうオマカセで、みたいなことになりました。

最初のお皿は、「緑竹筍」。shirairu04.jpgshirairu05.jpgなんだ、ただの湯掻いた筍かいなと思うなかれ。 生でも食べれてほの甘い、というのが「緑竹筍」の謳い文句なのだ。 さらに面白いのは、そこに添えてくれた二種類のマヨネーズ。 小さなチューブのままで出してくれた台湾のマヨネーズがとっても甘い(笑)! でも、嫌味な甘さでなくて、そのマヨネーズで筍を幾つか口にしているうちに、 これも悪くないなぁと思えてきます。

続いて届いたのが、「絲豆腐」の炒め物。shirairu06.jpg普段メニューに載っているものではないそうで、 蒲田の何処かにある食材屋さんから絲豆腐を仕入れた時にだけ出せるお皿。 ごろんと粒のまま入った大蒜がいい感じに利いていて、旨い。 台湾料理のひとつとして、妙に印象深いお皿です。

オヤジさんが、肉とか魚とか?をミンチにしたみたいなスープみたいな、 と云ってたのがこれでしょか(笑)。shirairu07.jpgshirairu08.jpgなんかもう、手放しで美味しいという感じ。 鶏ガラ系の旨味しっかりスープに、ざっくり叩いて片栗で繋いだ的な肉つみれに野菜や茸あれこれが具沢山に入ってる。 これって、「貢丸湯」でいいのかな。

台湾風薄焼き卵焼き、とでもいえそうなのが「菜脯蛋」。shirairu09.jpg薄く焼いて香ばしいオムレツには、切り干し大根が入っていて、 その塩っ気とちょっと酸っぱいような風味が次のひと口を誘います。

ふと思い付いて、二階の窓をググイと開ければ、 踏切を通り過ぎる池上線や多摩川線が見降ろせる。shirairu10.jpgこれも一種の撮り鉄的所作となるでしょか。

割とポピュラーな「大根餅」。 油が余計なのかベッタリしちゃった大根餅も少なくない中、 表面香ばしく、内側ホコモッチリで、美味しく出来上がり。shirairu11.jpgshirairu12.jpg「葱油餅」はといえば、意外としっとりとした焼き上がり。 粉の風味が活きていて、葱卵焼きを包んで、いいコンビ。 どちらも素朴にして、お酒のアテにもお茶うけにもなりそうなオツな佳品だね。

卓上には、唐辛子系辛い調味料あれこれが揃っているので、 それをちょんと載せてみたり、さっきの甘いマヨネーズを試してみたり。 日本人が口にすることを考えて、最初から辛くしないように配慮されているようです。

shirairu13.jpg オヤジさんが、「茶葉蛋」という、茶色い殻の煮玉子を届けてくれた。 へー、お茶で煮ることで、殻が茶色くなってるのねと思いつつ殻を剥く。shirairu14.jpgつるつるっと殻を剥いたらば、あら、びっくり。 蜘蛛の巣状に模様が入って、芸術的ですらある感じ。 さらに、箸先に載せたり、割った時の触感も所謂煮玉子と違って、想定外。 ぷよっと柔らかく、口に含めばお茶の風味がふわっとね。

shirairu15.jpg 二階に上がってすぐ、壁の貼り紙にみつけた「牡蠣」の文字に反応して、 すぐさま注文していたのが「牡蠣煎」という料理。shirairu16.jpg謂わば牡蠣入りのオムレツは、「菜脯蛋」とは違って、とろとろに仕上げた薄焼き卵焼き。 牡蠣はどこ?と眺めると、あれあれ?随分と小さい牡蠣の身ではありませんか。 思わず、「か、会長、大変です!あの、ヴァージンオイスターに似た牡蠣がここにも!」と叫ぶことに(笑)。

訊けば、台湾ではこのサイズの牡蠣が普通に流通しているものだそう。 逆に日本に来て初めて真牡蠣を見た時には、あまりに大きくてびっくりしたという。 すると、もしも最初に岩牡蠣「弁天プレミアム」に出会っていたら、 腰抜かしてたかもしれないね。 それにしても、こんな小さい牡蠣が台湾では当たり前のことだなんて知らなかったなぁ。

やっぱり点心も欠かせないよねと「水餃子」に「小龍包」。shirairu17.jpgshirairu18.jpg美味しそう!とスープをちょとっと啜ることを忘れて、 あちちとなるのが「小龍包」のお約束(笑)。 唐辛子系の調味料が揃っていると、ここでもいろいろ試せて楽しいのであります。

そして、〆にはこれでしょと「大腸麺線」を。shirairu19.jpg「大腸」はつまりはそのまま、モツのこと。 モツをことこと出汁で煮込んだスープにオイスターソースあたりで調味して、 そこに素麺のような煮込み用の極細麺をたっぷりと。 お好みでパクチーを散らしていただけば、うん、美味しいぃ。


まさに家庭的な魅力の抽斗あれこれの台湾家庭料理「喜来楽(しーらいるー)」。shirairu20.jpgああ、ご当地台湾へ行きたくなってくる。 ただ、台湾出身の女将さん曰くは、 唐辛子や八角あたりの香辛料には得手不得手があるので、 最初からお皿の中に使うのは控えめにしているそう。 全体に優しいトーンで美味しくいただけたのは、 そんな女将さんオヤジさんの配慮もあってのことなのかもしれないな。 寒い頃には、鍋料理も交えてまた、本場で家庭的な料理を愉しみたい。 そして、びば☆蒲田。

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「喜来楽」 大田区西蒲田7-60-9 [Map] 090-4527-3392 http://homepage3.nifty.com/shirairu/
column/03306