皆様の店「コロナ」で 名物玉子サンド御大永らくお疲れさまでした

corona四条通りが高瀬川を渡る小さな橋の上。
川に沿って上ルよりも、下ルのが気分。
川の右手の裏道を往くと例によって、
千枚漬けの「村上重」のファサードが見えてくる。
そのまま左のクランクに入り込めば、
いつぞやお邪魔した釜めし「月村」の細道だ。

今夜のお目当ては、「月村」ではなくて、そのお向かいのひと影の方。corona01.jpg床屋さんの三色縞模様もその組み合わせではなかったっけ、 とふと思わせるテントが目印、有名店「コロナ」だ。

4〜5人待ちの最後尾について、のんびりと順番を待つ。corona02.jpgお向かいから温かな雰囲気が洩れてくるのを微笑ましく眺めつつ。 たまたまのタイミングか、回転は芳しくないけれど、 そこはご高齢のマスターを慮れば何を焦ることでしょう。

ひとり客ゆえ、かぶり付きのカウンターをイメージしていたものの、 ご案内はテーブルでのご相席。corona03.jpgそれもまた巡り合わせの妙。 カウンターのお客さん越しにマスターの一挙手を拝見することに致します。 corona04.jpgふと見上げたカウンター上方の壁。 そこには池上の「自由雲」でも見つけた”Pelé”のサイン。 ご存知、あの番組でとんねるず憲武が書き込んだヤツだ。

サービス全般を切り盛りしているおねえさんが大活躍。 それによりマスターは調理に専念することが出来ている。 注文を大きめの文字でメモに書き、壁に貼る。 オーダーの受け方、マスターへの伝達の仕方など、色々とお約束が整っている模様です。

ご注文はやっぱり、「玉子サンド」。 corona05.jpgまだ先客さん達の手元にも料理が届いていないので、 そうね、のんびり待ちましょう。 玉子を割ったり、それを解したりの所作のゆっくり加減を眺めるのもまた一興と心得ます。

「玉子サンド」のお皿が届きました。corona06.jpgどんな見映えかは見知っていても、本物を拝むとやっぱり感心してしまう。 一般の厚焼き玉子以上の厚みある玉子に挟んだパンが薄く凹んでる。

そーっと両手にとると軽くズシリとする。corona07.jpgパンに玉子をサンドしたというよりは、玉子にパンを添えた感じでもある。

極力パンと玉子とを同時に咥えるように大口開けて噛み付いてみる。 うんうん、玉子そのものの甘さにも思う優しい甘さに控えめな塩っ気。 パンに薄く塗ったソースがいい塩梅で、物足りない味付けではない。 こうして気持ちまで和ませてくれるのは、調理するマスターにこれ見よがしの気持ちが一切ないのが伝わるからなのかもしれません。

創業60有余年、名物「玉子サンド」で夙に知られた洋食「コロナ」。corona08.jpgcorona09.jpgいつ引退されても何の不思議はないよねと誰もが思う、 皆様の店「コロナ」は、この2月にそっと店を閉じたようです。 その訳が、伝え聞く限り、御大がやりたいことをやりたいから、 であることに素直に納得しています。

口 関連記事:   釜めし「月村」で 聖護院大根煮ぐじえび芋蒸かき釜めしの汁っけ(11年01月)   サントリーラウンジ「自由雲」で トリスとPIZZA懐かしさに包まれて(10年06月)


「コロナ」 京都市下京区西木屋町通四条下る船頭町201 [Map] 075-351-0567 [閉店]
column/03261