ALAIN DUCASSE「ベージュ東京」で シンプルかつエレガントな

beige.jpg出来ればミシュランの星のついた飲食店は、 避けて通りたいのが普段の気分。 ステレオタイプな内容が鼻につき、 どこか木で鼻を括ったような言い回しに残念ながら信頼感を憶え得ずに、最初の2008を一度買ったきり。 誰が見てる訳でもないのに、ミシュラン片手にレストランを巡っていると思われるのはなんだか妙に恥ずかしいと考えてしまう。
もっとも、星つきレストランを端から訪れるには、 そもそも全くもってお足が足りないことが根っこにあるのだけど(笑)。 そんなこんなで、普段ミシュランのことは埒外で、 気がついたら星つき店だったということが極稀にある程度。

ただ偶には、名の知れたレストランの片隅にもお邪魔してみたいもの。 きっと、いや間違いなくここには星がついちゃっているのだろうなぁと思いつつ、 Web予約したのが、ご存知「ベージュ東京」です。

黒い格子を基調としたCHANEL銀座ビル。beige01.jpgその脇のマロニエ通り側の硝子面に何気なくあるのが、「ベージュ東京」のエントランス。

やや重い硝子扉を開くと、ご案内スタッフが迎えてくれ、そのままエレベーターへ。 beige02.jpg広いエレベーターの中には、シャネル・ロゴ入りのボタンが並ぶ。 それらを飛び越えて、10階へと一気に上がります。

落ち着いたアプローチから階高を活かした全面の開口が明るく照らすフロアへ。 意外と云ったら失礼だけど、フロアは見る限り満席だ。beige03.jpgそれでもテーブルの間は微妙な距離が保たれ、見上げる大きな窓には青空が覗く。 ゆったりした空間になっています。

beige04.jpgグラスに注ぐは、フランスの炭酸水「OREZZAオレッツァ」。 コルシカ島ラパッジオ渓谷からやってきたミネラルウォーターは、 由緒ある、割りとレアなものらしい。 お好みの3皿を含むコースをお願いしました。

ひと口サイズのチーズのシュー、グレージュに続いて、 beige06.jpgbeige07.jpgbeige08.jpgbeige09.jpg 角切り野菜を含んだジュレの器と自家製生ハムを載せたフォカッチャのアミューズ。 仕込んだ野菜は、総料理長・小島景氏の出身地、鎌倉の野菜たちなのかな。

アントレENTREESに選んだのは、「ポルケッタ、仔ウサギの詰め物」。beige10.jpg肩肉、背肉、肝の部分をハーブと一緒にマリネし、テリーヌに仕立てたもの。 “ポルケッタ”とは、ハーブとニンニクで香りをきかせた豚の丸焼きのことで、イタリア料理。 切り口を覗けば確かに、ニンニクの断面が確認でき、 ちょっと鼻を寄せればハーブの香り高い。 ボルケッタをフレンチとして再構築した感じ、でしょうか。

ワインは「ブズロンBouzeron」の2009年。 ロマネ・コンティのオーナーが自ら作る白ワイン。 酸味の強いアリゴテ品種も近年では温暖化でその酸味が和らいできているという。 あんまり酸が尖るばかりのワインは苦手なのだけど、そんなこともなく美味しくいただけます。

ポワソンPOISSONSは、「スズキのオーブン焼き、ジャガイモとポワロー」。beige11.jpgポワロー葱のローストとジャガ芋と葱のピューレを添えている。 ソースは鱸の頭だけを使ったものだそう。 そう聞くと卑しくソースを舐めたくなるのが心情というもので(笑)。 さすればなるほど、魚のフォンが綺麗に美味しい。

ヴィアンドVIANDESは、「アルウェットサンテット、シャンピニオンのロースト」。beige12.jpgbeige14.jpgbeige15.jpg 仔牛の薄切り肉の中にフォアグラと菠薐草とを生ハムで包んで焼き上げたもの。 添えてくれているのは、フランス産のフレッシュなセップ茸。 とろんとしてジューシーなセップ茸は、つまりは、ポルチーニ。
beige13.jpg 合わせてくれた赤は、「Coudoulet de Beaucastel」2009。 とても深い赤色に凝縮感があって滑らか、カシスのアロマ。 蕩けたフォアグラのコク風味と仔牛肉の凝縮した旨みとの掛け算によくバランスしています。

デザートには、「ババ モンテカルロ風」。 ラムかアルマニャックかを選んで、というのでアルマニャックを。 すると、ドーム型の銀器を開いて、 そこに仕込んであったブリオッシュにアルマニャックを注ぎかける。beige16.jpg beige17.jpgbeige18.jpgbeige19.jpg さらにたっぷりの生クリームでデコレート。 ブリオッシュにはシロップが沁みている。 子供のように大口開けていただけば(笑)、 シロップと生クリームとそれぞれの甘さをアルマニャックの香気がオトナな気分に。 サヴァランとはどう違うのだろうね。

静かなざわめきに満ちていたフロアもひと影が引いて。beige20.jpg妙な重厚さを排したシンプルなデザインは、きっと誰もが好感を抱く。 beige21.jpg窓際のテーブルの上にカエルをモチーフにした鋳物の置物を見つけた。 訊けば、ココ・シャネルの自宅にあったカエルのオブジェが元になっているそう。

CHANELとALAIN DUCASSEが出逢っての、「ベージュ東京」。beige22.jpg“シンプルかつエレガントなエスプリ”と謳う味わいと空気感は、 なるほどねと合点がいくところ。 上品な”ベージュ・カラー”を基調とする意図をそのまま店名に表したということなのかな。 夜の雰囲気もきっとまた、そのイメージ通りなのでしょう。


「BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYO」 中央区銀座3-5-3 銀座シャネルビル10F [Map] 03-5159-5500 http://www.beige-tokyo.com/ja/
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皆様の店「コロナ」で 名物玉子サンド御大永らくお疲れさまでした

corona四条通りが高瀬川を渡る小さな橋の上。
川に沿って上ルよりも、下ルのが気分。
川の右手の裏道を往くと例によって、
千枚漬けの「村上重」のファサードが見えてくる。
そのまま左のクランクに入り込めば、
いつぞやお邪魔した釜めし「月村」の細道だ。

今夜のお目当ては、「月村」ではなくて、そのお向かいのひと影の方。corona01.jpg床屋さんの三色縞模様もその組み合わせではなかったっけ、 とふと思わせるテントが目印、有名店「コロナ」だ。

4〜5人待ちの最後尾について、のんびりと順番を待つ。corona02.jpgお向かいから温かな雰囲気が洩れてくるのを微笑ましく眺めつつ。 たまたまのタイミングか、回転は芳しくないけれど、 そこはご高齢のマスターを慮れば何を焦ることでしょう。

ひとり客ゆえ、かぶり付きのカウンターをイメージしていたものの、 ご案内はテーブルでのご相席。corona03.jpgそれもまた巡り合わせの妙。 カウンターのお客さん越しにマスターの一挙手を拝見することに致します。 corona04.jpgふと見上げたカウンター上方の壁。 そこには池上の「自由雲」でも見つけた”Pelé”のサイン。 ご存知、あの番組でとんねるず憲武が書き込んだヤツだ。

サービス全般を切り盛りしているおねえさんが大活躍。 それによりマスターは調理に専念することが出来ている。 注文を大きめの文字でメモに書き、壁に貼る。 オーダーの受け方、マスターへの伝達の仕方など、色々とお約束が整っている模様です。

ご注文はやっぱり、「玉子サンド」。 corona05.jpgまだ先客さん達の手元にも料理が届いていないので、 そうね、のんびり待ちましょう。 玉子を割ったり、それを解したりの所作のゆっくり加減を眺めるのもまた一興と心得ます。

「玉子サンド」のお皿が届きました。corona06.jpgどんな見映えかは見知っていても、本物を拝むとやっぱり感心してしまう。 一般の厚焼き玉子以上の厚みある玉子に挟んだパンが薄く凹んでる。

そーっと両手にとると軽くズシリとする。corona07.jpgパンに玉子をサンドしたというよりは、玉子にパンを添えた感じでもある。

極力パンと玉子とを同時に咥えるように大口開けて噛み付いてみる。 うんうん、玉子そのものの甘さにも思う優しい甘さに控えめな塩っ気。 パンに薄く塗ったソースがいい塩梅で、物足りない味付けではない。 こうして気持ちまで和ませてくれるのは、調理するマスターにこれ見よがしの気持ちが一切ないのが伝わるからなのかもしれません。

創業60有余年、名物「玉子サンド」で夙に知られた洋食「コロナ」。corona08.jpgcorona09.jpgいつ引退されても何の不思議はないよねと誰もが思う、 皆様の店「コロナ」は、この2月にそっと店を閉じたようです。 その訳が、伝え聞く限り、御大がやりたいことをやりたいから、 であることに素直に納得しています。

口 関連記事:   釜めし「月村」で 聖護院大根煮ぐじえび芋蒸かき釜めしの汁っけ(11年01月)   サントリーラウンジ「自由雲」で トリスとPIZZA懐かしさに包まれて(10年06月)


「コロナ」 京都市下京区西木屋町通四条下る船頭町201 [Map] 075-351-0567 [閉店]
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お食事処「藤や食堂」で 二度蒸し後がけソースの石巻焼きそば

fujiya.jpg万石浦を臨むかき小屋「渡波」で、 絶品に旨い焼き牡蠣を堪能した後、 万石橋の近くにあるバス停から石巻駅方面のバスに乗りました。 バスの車窓から見えるのは、 ほとんど瓦礫の撤去を済ませた後の更地。 所々に津波の被害を受けたままの様子の痛々しい建物が残る。 駅の手前、シャッターの降りた店舗が並ぶ商店街でバスを降りました。

と、交叉点角の歩道に仁王立ちしているヤツがいる。 紅いボディスーツに身を包み黄色いマフラーを靡かせ、石巻駅方向を見据えているのが、 かの石ノ森章太郎画伯が生んだ「サイボーグ009」の主人公009島村ジョーだ。fujiya01.jpgパネルの説明書きを眺めると、 閉館中が残念だった「石ノ森萬画館」へと向かうマンガロードに沿って、 他の00ナンバーのサイボーグや仮面ライダー、ロボコンといったキャラクターたちが迎えてくれるそう。 そんな009の背中越しにお食事処「藤や食堂」の袖看板を見つけました。

外観通りにくすんだ古色がいい感じの店内はほぼ満席。 先客さん達と入れ替えるように隅のテーブルへと腰を据えます。

窓への貼り紙には、 石巻焼きそば伝道師「ちゃちゃ丸」のキャラクターがコテを手に微笑んでる。fujiya02.jpgfujiya03.jpg注文んだ麦酒のラベルは、「第6回 B1グランプリ 姫路大会」誂えのもの。 石巻観光協会の「茶色い焼きそば食べ歩きマップ」によると、 こちら「藤や食堂」は、愛Bリーグ会員「石巻茶色い焼きそばアカデミー」の会長の店なのだ。 ということで、「特製焼きそば」をお願いします。

なにやら妙に忙し気な厨房のご様子。fujiya04.jpgお時間掛かります、とのおねえさんのプチ困り顔にうんうんと頷いて、 麦酒グラスをちょこちょこ傾けつつ、待つことにします。

ややあって届いた「特製焼きそば」には、目玉焼きが中央に載り、たっぷりの紅生姜。fujiya05.jpg焼きそばそのものは、妙な押しを思わせないシンプルな表情です。

目玉焼きの脇から引き出して啜る焼きそば。fujiya06.jpg脂の甘さを思うツルンとした感触とあくまで柔らかな噛み応え、仄かな出汁の旨み。 それは勿論のノーモア・アルデンテ(笑)。

fujiya07.jpg玉子の黄身を崩したりしながら1/3ほどいただいたら、 卓上のチューブを手にします。 ラベルにはキャラクターのちゃちゃ丸くんと石巻焼きそばソース、の文字。 こんなもんかなとソースを回しかけ、軽く和えて再び口へ運びます。fujiya08.jpgfujiya09.jpgうん、ソースをかける前の素朴さもソースをかけた後の素朴さも、 どちらにもなんだか和んでしまいます。 おねえさんのTシャツの背中には、 “石巻焼きそば、二度蒸し後がけソース”とプリントされている。 そうか、この麺は、二度蒸しているんだね。

石巻焼きそばの麺は、一度蒸し上げた麺を水で洗い、もう一度蒸し上げて作っている。 二度蒸しされることで、麺に含まれる「かんすい」が熱で変化し、茶色くなるのではというのが通説らしい。 麺を蒸したのは、まだ冷蔵庫が一般的でなかった昭和20年頃に常温保存するために工夫を施したことが起源という。 保存のため麺を蒸したことから生まれた伊那の「ローメン」のことが脳裏を過ります。

創業60年、石巻焼きそばアカデミー会長の店「藤や食堂(ふじやしょくどう)」。fujiya10.jpgfujiya11.jpgこれからも「石巻焼きそば」を石巻のひとつの顔として、 少しずつでも石巻を活きいきとさせていってくれることでしょう。 渡波駅まで復旧なった石巻線に乗り込んで、仙台へと向かいます。

口 関連記事:   かき小屋「渡波」で 万石浦採れ立て焼き牡蠣の衝撃的な旨さ(12年03月)   中国風菜館「萬里」で 伊那地方特有の麺料理ローメン発祥の店(11年05月)


「藤や食堂」 石巻市立町2-6-17 [Map] 0225-93-4645
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RISTORANTE「ACQUA PAZZA」で 日高シェフなす春香のフーガ

acquapazza.jpg恵比寿以上にご無沙汰なのが、広尾〜天現寺界隈。 というか、振り返れば、ご無沙汰という程そもそもそんなに足を運んでいない。 思い出すレストランといえば、せいぜい「incanto」とか、山田シェフの「MARCHE AUX VINS」とか。 「ACCA」や「LA BISBOCCIA」なんて妙に懐かしい。 「エノテカ」二階のレストランはまだあるのかな。 移転前の「Aroma-fresca」にも一度潜入したっけ。

そんな広尾に久々に呼ばれたのはきっと、都内某所で行われたあの品評会がきっかけ。 日本オイスター協会内におかれた実行委員会が、実施にあたっての制約に苦慮し、 延期を経て開催した「かき日本一決定戦」
その審査委員長が、”牡蠣養殖の父”と呼ばれる宮城新昌さんの娘にして、 “おいしゅうございます”でも知られる料理研究家、岸朝子さん。 審査会でもそのチャーミングなところをみせてくれた岸さんの向かいに座っていたのが、 特別審査員の日高シェフなのだ。

acquapazza01.jpg日本一と評した牡蠣を日高シェフの手で、という展開ではないけれど、 そんな繋がりの上にある今宵のディナーで、「アクアパッツァ」の地階フロアは貸切です。

随分前に一度だけ訪れたことのある「アクアパッツァ」。acquapazza02.jpg中央に階上の「ACQUAVINO」への吹き抜け部があって、 そのために凹形になっているのを思い出します。

acquapazza03.jpg ノンビンでも美味しいスプマンテ「corte di Cavour Brut」で乾杯。 そして、岩牡蠣「春香」を主題とした今宵限りのスペシャルコースを日高シェフが解説してくれる。acquapazza04.jpgacquapazza05.jpg海士いわがき水産が提供してくれた「春香」は、 島根県・隠岐の島の海で育った、春先に採れる岩牡蠣。 一般に真牡蠣の時季が終わり、岩牡蠣にはまだ早いと思われているこの時期に万を時して出荷する、岩牡蠣の長所と真牡蠣の長所をいいとこ取りをしたような牡蠣だ。
「ジャック・ポット」佐藤さんの説明によると、 今季あたりから”ミミズリ”ではなく、”カイデライト”を用いる手法で垂下しているそう。

その「春香 Special Menu」の口開きは、 「海苔の衣で揚げた”春香”のゼッポレ ナポリ風」。acquapazza06.jpgナポリ名物という”ゼッポレ”とは、ピザ生地に海藻を練り込んで揚げた揚げ団子。 その中に細かく刻んだ春香が入ってる。 軽さがグラスの泡を軽快にしてくれます。

Antipastのふた品めは、「サッとしゃぶしゃぶにした”春香”海の香りのゼリーを添えて」。acquapazza07.jpg昆布出汁と網焼きした海苔とで作ったゼリーに包むように浮かべた春香。 牡蠣の身にさらに磯の風味を掛け合わせる手法に思わずニンマリ。 底の方に仕込んだのは意外な展開のじゃが芋のピューレ。 なにより、生のままでなく、サッと湯掻いたところに磯風味の掛け算を美味しさに纏めたキモがありそう。 これぞ、素材を活かす「アクアパッツァ」らしい料理であります。

このあたりからワインが「Inycon Sicilian Fiano」に。

続いて、「”春香”のスフォルマート あおさ海苔のフリット添え」。acquapazza08.jpgスフォルマートは、和食で云えば、茶碗蒸し。 春香をロボ・クープにかけ、裏漉しし、茶碗蒸しのベースに。 青海苔をフライにしたものをトッピング。 これが、旨い(笑)。 春香の滋味を真っ直ぐ上手に温かいペーストに仕立ててある。 そこへ海苔のパリッとした歯触りがいい合いの手を添えてくれています。

4皿目は、「”春香”と魚介のフリット ジェノヴァ風のクリームソースで」。acquapazza09.jpgacquapazza10.jpgacquapazza11.jpg 公魚、黍魚子、ほたる烏賊、そして春香のフライ。 六角形の容器に沸々と湧いた若草色のバジリコソース。 ジェノヴェーゼなソースはなんでも大好きなのだけど(笑)、このソースもこれまた旨い。 フリットした春香にたっぷりとソースを絡ませていただきます。 ああ、こんな取り合わせのパスタもいいかも。

acquapazza12.jpg 意外やワインがロゼ「Cerasuolo d’Abruzzo Terre Casali lo」に。

Primoには、「”春香”とルーコラのスパゲッティー」。acquapazza13.jpg粉をはたいて軽く揚げ焼きして旨みを閉じ込めた春香とルッコラと。 一転シンプルに春香を楽しむお皿になっている。 これもまた、「アクアパッツァ」らしい料理ともいえましょう。

そして、Secondには、「カダイフで巻いた”春香”のカリカリ焼き ジャガ芋のピューレと菜の花のカリカリ揚げカレー風味」。acquapazza14.jpgカダイフはご存知、 トルコなどで伝統的に使われている小麦粉でつくる細い麺状の衣。 日本の洋食的カキフライとはやっぱり違うアプローチ。 うんうん、こふいふカキフライもあっていい(笑)。

Dolceは、「果肉たっぷり甘夏のジュレとリコッタチーズのムース ローズマリー風味のグラニテを添えて」。acquapazza15.jpg甘夏の甘酸っぱさとリコッタチーズの柔らかなコク味とがよく似合う。 流石にデザートに春香は使っていないようです(笑)。

“春香のフーガ”と喩えたいコース料理のお皿たち。 きっとあれこれ思案したであろう日高シェフと、 “春香”を提供してくれた海士いわがき水産さんに感謝です。

1990年西麻布に生まれ、広尾で今を供する老舗イタリアン「アクアパッツァ」。acquapazza16.jpg「ACQUA PAZZA」は、姉妹店「ACQUA VINO」の地階に潜んでる。 今度は陽射しが気持ちのいい頃に、 フロア真ん中の吹き抜けテラスでのんびりランチでもいただきとうございます(笑)。

口 関連記事:   RISTOTANTE「LA BISBOCCIA」で 4種のチーズのリゾット(02年02月)   Ristorante「Aroma-fresca」で 深夜の仔牛の脳のソテー(02年05月)   ビストロ「MARCH AUX VINS」でフォアグラポアレに目を閉じる(05年02月)   RISTORANTE「ACCA」で黒鮑のリゾットこのこのフェットチーネ(07年04月)   osteria e wine bar「incanto」でルカーニカからエトフェに至る(08年10月)


「ACQUA PAZZA」 渋谷区広尾5-17-10 EASTWEST B1F [Map] 03-5447-5501 http://www.acquapazza.co.jp/
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中華そば「末廣ラーメン本舗」で 京都のあの店と駅前屋台中華と

suehiro.jpgすっかり満ち足りた気分で、 銘居酒屋「一心」を後にする。 粋な地階を離れ、広瀬通りに出ればすぐ、 震災前よりも繁盛しているとも聞く繁華街・国分町のゲートが見える。 ちょっと冷やかしてからホテルに戻ろうと、 足を向けます。

どれも同じようにみえる、キャバクラ系と思しき店の客引きが多い。 どこか陰鬱にギラついているように映り、ちょっぴり遣る瀬ないような気分にもなって、 ホテルに戻ろうかと国分町通りを離れ、一本仙台駅寄りの筋にUターン。

すると、そんな国分町通りとコントラストを示すような風情を魅せる光景に出会いました。 店の幅目一杯の大判な暖簾に大きく力強く描いた「中華そば」の紅い文字。 額に置いた檸檬色の看板がヒトを誘う。 いいねー、と頷き合って早速、暖簾を払います。

紅いメラミンのカウンターの上には、ドンブリに盛った刻み葱。suehiro01.jpgsuehiro02.jpg「一心」であれこれいただいたその足なので、 そこは素直に「末廣中華そば(並)」。 「末廣塩中華そば」にも(大)、(特大)と3段階の盛り具合が用意されています。

カウンター越しに受け取ったドンブリを手元に置いてまず、あれっ?と思う。suehiro03.jpg明らかに黒いスープの色。 極薄いスライスのチャーシュー。

おおお、と思いながらスープを啜って、あれれ?とまた思う。suehiro04.jpg黒いスープから引き上げたストレートな細麺を啜ってまた、おおお、と思う(笑)。 これはどう捉えても、京都のあの中華そばと同じ系統じゃん。

洛中の〆にと「新福菜館」の「中華そば(小)」を平らげるに同じく、 するっと美味しく啜れる感じも符合する。suehiro05.jpg薄いスライスがスープに馴染んでいい感じのチャーシューのテクスチャもまた然り、だ。 どこが違うと探すより、どこが似てるか探したい感じが面白くもある。

お代を手渡しながらおずおずと訊いてみると、 ええ、その通り京都の店の流れを汲んだ店ですよとお兄さん。 そうか、そうなんだ。 仙台で京都の味に偶然出逢えた感じが妙に嬉しかったりなんかして(笑)。

昭和13年創業、駅前屋台中華そば、登録商標「末廣ラーメン本舗」。suehiro06.jpg店内に掲げられていた品書きのパネルの写真を見返してみたら、 “京都屋台の中華そば”と副題が記されてるじゃん。 聞くまでもなかったことなのね(笑)。
仙台駅前にも店を構える「末廣ラーメン本舗」は、秋田に本店があって、 青森や盛岡、そして高田馬場にもその暖簾があるようです。

口 関連記事:   地酒と旬菜旬魚「一心」で 石巻純吟日高見に松島の穴子白焼き(12年04月)   中華そば専門店「新福菜館」府立医大前店で 中華そばやきめし(12年03月)


「末廣ラーメン本舗」国分町店 仙台市青葉区国分町2-1-1 [Map] 022-748-7371
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