Mozart Distillerie「DIE DESTILLE」で カカオの香りに包まれて

mozart.jpgザルツブルク駅前から出発したバスは、 線路に沿うように北へ向かいます。 住宅地を抜け、線路を潜り、 アウトバーンのインターチェンジ方面へ。 バスを降りたのは、Maxstraßeという停留所。 来た道を戻りつ、どこだろうとキョロキョロしていると、 通りの向こうに黒地に金で示した「Mozart」と示した看板が見つかりました。 そう今日は、Mozart Distillerie社の醸造所見学にやってきたのです。

アプローチから臨む工場は、周辺の環境としっとりと調和したシンプルな佇まい。mozart01.jpg笑顔がチャーミングな女性スタッフが迎えてくれました。

ホールのショーケースには、 カカオビーンズをはじめとする素材のサンプルや蒸溜工程を示す硝子器具が飾られている。mozart02.jpgmozart03.jpg別の棚には、「Gold」「White」「Black」、そして「Dry」の「モーツァルト」が、 ボトルのサイズさまざまに並んでいます。 あれ?パッと見は、「Black」だけど、ラベルの色が違うかも?と思うミニボトルがある。 コレナニ?と訊くと、それは後のお愉しみということで(笑)。

白衣を着て、キャップを被って急に工場見学の臨場感。 裏手の扉を開くと途端にカカオの薫りに包まれます。mozart04.jpgmozart05.jpgmozart06.jpg さしずめ、整然としたストックヤードとったところでしょうか。 ガーナから届いたカカオの大袋が積まれたパレットの向かいには、 バーレルくらいのサイズの樽が並んでいます。 そのカカオ豆やヴァニラをアルコールに漬けたマセレート。 どれどれと少々を舐めるようにいただくと、なはは、さっと揮発しちゃうくらいの度数のアルコールと苦いくらいのカカオの香り! もしかしたらまだ誤解しているヒトがいるといけないので最初に云っておくと、 「モーツァルトリキュール」は、このカカオが主原料。 工業製品的混ぜ物リキュールにカカオフレーバーを足したようなものではないのです。

別棟へと一旦外に出ると、 積み上げられた「モーツァルト」のボトルがひっそりと出番を待っています。mozart07.jpg「Dry」用かな。

そのまま別棟へ潜り込むと、またちょっと別のカカオの香り。 打ち出しの雪平鍋のような文様の四角いタンクに円筒形のタンク。 小窓から覗く色はまさに、チョコレート色だ。mozart08.jpgトップにある小さな蓋を開けて、鼻先を近づけると、うぉぉ! まだまだ強烈なアルコールとカカオのノートだ。

その先は、瓶詰のためのラインのあるスペース。 想像以上にシンプルで、手作り感のあるその様子がなんだか嬉しくも微笑ましい感じ。mozart09.jpg mozart10.jpgmozart11.jpg このボトルは、20mlのちびっこボトルだね。 そして左手奥の一角は、薬瓶の沢山並ぶラボになっていて、日々研究を重ねているそう。

さらにその奥に、なにやらちょっと秘密めいた、 関係者以外立入禁止的な表情の扉がある。mozart12.jpg扉に貼られた真鍮のプレートには、「DIE DESTILLE」。 つまりは、醸造所の中の”醸造所”、醸造所の中の”バー”ってな意味でしょか。 どうぞ、と招かれた扉の中では、半円を描くバー・カウンターが見下ろせる。mozart13.jpg mozart14.jpgmozart15.jpg ああ、こんなところにこっそりとBarがあるなんて! 隅には、銅色が艶かしいかつての蒸溜器なんかが置かれていて、いい雰囲気だ。 ホールのショーケースで見たと同じ硝子器具の下にアルコールランプを置いて、着火。mozart16.jpg蒸溜実験の開始です(笑)。 工場の一角にラボと並んであるこのバーは、工場関係者のための活用はもとより、 バーテンダー研修や見学者などへの対応の場として使われていたそう。

そして、実はバーがもうひとつあるのです、ということで、 白衣を脱いでから移動したのがモダンでメタルでソリッドなカウンター。mozart17.jpgつまりはこちらが今現在主に稼働しているバーなのだ。

さてなににいたしましょう、とニコニコとする彼女(笑)。 まずは、シルクハットを被った口髭も眉も真っ白の老紳士がニヤっとしたラベルの、「LEIBWÄCHTER」。mozart19.jpgLEIBWÄCHTERというのは、ボディーガードを意味するらしい。 グラスに少々注いでくれた滴は、ダークなカラメル色。mozart18.jpgぺろぺろと舐めると、なるほど、ザ香草系のハーブでビターなリキュール。 何故にそんな名前なンだろね。 きっと大阪・曾根崎の「Boby’s Bar」にはストックしてあるに違いないと思い至って、 こちらもニヤリ(笑)。

そして、この「Mozart」が、ホールのショーケースで見つけて、あれ?と思ったヤツ。 そう、ラベルには、「Bitters」と記してある。mozart20.jpg掌に少々をいただいて舐めると、 おおお、きゅっと濃縮したようなカカオの風味と明確なビター。 これをストレートで呑むことを考えると可笑しいくらいだけど(笑)、 ボトルの口に1mmくらいの径のキャップが施されていることでも判るように、 この「Bitters」は、つまりはエッセンス。 この「Bitters」の1ダッシュが、カクテルが表情を変え、 個性を増すことを考えると愉しくなってくる。 カクテルだけじゃなくって、 アイスクリ―ムにちょっと垂らせば、ちょっとオトナなヤツになったりと、 「Bitters」フレーバーを活かすアイデアが色々と膨らみそうだ。

そして、やっぱり「Dry」もいただきます。mozart21.jpgmozart22.jpg こっちは、冷やしたストレートで舐めるのも悪くないシュナップス。 「Dry」のプロモーションのために作られたイメージ写真が印象的。mozart23.jpg「Gold」「White」「Black」もそれぞれの表現がされていて、それぞれの滴を舐めながら眺めてみるとなるほどと思わせてくれるのじゃないかなぁ。 いずれ「Dry」が日本で発売される日もくるのでしょうね。

ザルツブルクで生まれ育ったチョコレートリキュール&スピリッツ「Mozart」。mozart24.jpgザルツブルクを代表する銘菓「モーツァルト・クーゲルン」と双璧をなすチョコフレーバー・アイテムは、土産物に留まらない魅力をぐぐっと発揮してくれています。 「Mozart」やMozart Distillerie社のあれこれについては、 seppさんの精緻な工場見学レポート(09年12月)へぜひどうぞ。

口 関連記事:   AUTHENTIC BAR「Boby’s Bar」で liqueurの森40年の節目(09年02月)


Mozart Distillerie GmbH「DIE DESTILLE」 Ziegeleistraße 29a-33 A-5022 Salzburg [Map] +43 662 875772 0 http://www.mozart-spirits.com/
column/03148

らーめん「でびっと」中延で 季節限定味噌ひばり立体感ある旨み

debitto.jpgちょくちょくお世話になっている、いつもの「でびっと」。 大井町線と浅草線との乗り換えの際には、多くのひとがそのファサードの表情を横目にしています。 最近は、夕日を背にしたデビット伊東のポスターと「無料券配布中」の貼り紙がアピール中。 餃子の無料券を財布の底に忍ばせ(笑)、またまたちょこっと寄り道です。
それは、ゴールデンウィークも近づいてきた頃のこと。 実は何度か既にいただいている、季節限定モノらーめんを改めていただきに。 プロとしての気持ちの芯を感じさせて、 きびきび動く厨房を囲むカウンターは今日も賑やかで、 それゆえ空いていたテーブル席へ久し振りに。debitto01.jpgそういえばいつぞやこの席に、内山くんが座ってたことがあったっけ。 debitto02.jpg お願いしていた、 味噌らーめん「ひばり2011ver.」のどんぶりが届きました。debitto03.jpg湖面に窺う白味噌系の仕立ては、 麻油とのコントラストがよりそのようにみせるのか。 その印象は、カウンターで味玉チャーシュー麺バージョンでいただいたときも同じもの。debitto04.jpg啜るスープは、化調の妙と塩分摂取が気になるものの、 濃厚にしてベタつかず、甘そうにして辛味を含み、立体感のある旨みが広がる、 なかなかの完成度。 そのスープをしっかりと持ち上げるのが、加水低めな手打ち風の麺。debitto05.jpg粉の風味を残した、さくさくとした食感がニクイのだ。

ゴールデンウィークを終えて、も一度「ひばり」を啜りたいとやってきた中延駅前。 ところが、季節限定らーめんはもう既に夏向け仕様の冷麺に替わってる! そうだよなぁ、さすがにもう冬仕様じゃないよなぁ、でも定番通年モノにしちゃってもいいのなぁと呟きつつ、「餃子無料券」を差し出しました(笑)。debitto06.jpg例によって、サービスの「餃子」を専用のタレでいただいていると、 厨房のビールサーバーが気になってきます。

いただいたのは、定番三種「醤油豚骨」「醤油」「塩」の中から、「醤油らーめん」を。debitto07.jpgぱっと見の印象と違って、油のコクと濃度のある旨みが迫る、香り高きスープ。 センスの良さを窺わせる一杯、と云って遜色はないでしょう。

いつもお世話になってます、らーめん「でびっと」中延本店。debitto08.jpgデビちゃんは、ここの二階で新作らーめんなんかの試作を繰り返したり、一階の厨房にいたりすることもあるようなのだけど、今のところお遭いしたことはない。 たまには、当主ご本人からどんぶりを受け取りたいなと思う昼下がりでありました。


「でびっと」中延本店 品川区東中延2-10-10 [Map] 03-3782-8029
column/03147

和食屋「まめや」で 高野豆腐のカツご膳ほっこり優しいお惣菜と

mameya.jpg新富町の裏通り。 旧い民家に手を入れた佇まいが印象的な「まめや」の前に、幸福の黄色いハンカチならぬ、山吹色のタオルが風に揺れています。 それがきっと、「野菜いっぱい、まめやのお昼ごはん」やってます、のサインなのでしょう。 この2月から開始したという、「まめや」のランチへと足を運びました。

ちょっぴり床を軋ませて、久し振りの「まめや」さん。mameya01.jpgmameya02.jpg開け放った扉から覗く夏の裏通りや簾越しに窺う路地の陽射し。 ちろりんと風鈴が涼しく揺れるのが似合いそうな風情があります。

mameya03.jpg「まめやのお昼ごはん」は、どんな事情か、水木金のみの営業で、 お品書きは週替わり。 基本形は、温かい前菜に野菜たっぷりおばんざいのプレート、メインのおかず、そして玄米ごはん&味噌汁、プチデザートという組み合わせだ。

一品づつ順番に出していきますからね、ということでやってきたのは、 「じゃがいものスープ」とそれを追うように「おばんざい盛り合わせ」。mameya04.jpg暑くなってきた頃に「じゃがいものスープ」と訊けばすぐさま、 和風のビシソワーズかな?と思うけど、手にした器は明らかに熱々。 黒七味のそれのような粉末が振られているけれど、 スープ自体はじゃが芋で作った粥のような、兎に角優しい味わいで、 既に和んでいた気分がさらに和らぐのが判ります。 丸皿に綺麗に並べられたお惣菜は、可愛らしき小宇宙。mameya05.jpgおかかのかかった薇のおひたしに、人参とめかぶとろとろには胡麻油の風味を添えて。 具たっぷりの玉子焼きには、パプリカや冬瓜が織り込まれています。 これでちょこっと晩酌したいと思うのは、ボクだけじゃないでしょう(笑)。

玄米ご飯が甘くて優しいなぁと思いながらあおさの味噌汁を啜ると、mameya06.jpgこれまた塩分控えめの優しい仕立てです。

mameya07.jpgそして、今週のメインのおかずは、「高野豆腐のカツ」。 高野豆腐をカツにしちゃうなんてのはもう、 すっかり精進料理の発想なのでしょう。 云われぬまま眺めたら、衣をつけて揚げたはんぺんか。mameya08.jpgはんぺとは違う重量感を箸の先に感じながら、えい!っとばかりに(笑)齧ると、 なるほどこうするに絶妙の厚みにスライスした高野豆腐。 軽く締まった歯触りが柔らかな肉で揚げたカツを食んでいるような気にさせる。 ソースも用意してくれたけど、衣に塩した加減だけで十分だ。

お茶を啜りつ、きっとお手製であろう「豆乳チョコムース」を舌の上で蕩かしていると、mameya09.jpg改めて首尾一貫した女性らしい優しさに気づくのです。

新富の裏通りの一軒家でしっとり営む、ほっこり和食処「まめや」。mameya10.jpgビルとビルの谷間にこんな空間があるって、もっと知って欲しいような知られたくないような。 口 関連記事:   和食屋「まめや」で 満寿泉マテ貝いかワタ焼き金目ブイヤベース(09年01月)


「まめや」 中央区新富1-7-12 [Map] 03-3206-3155  http://mameya502.exblog.jp/
column/column/03146

ねりたてアイス「リタティーノ」で お持ち帰りできる本格パフェ6脚

ritatino.jpgやっぱり麻布十番のオヘソだなぁと思う、 十番パティオ。 ロータリー下側には、和食「もち玉」やBar「tellus」。 いつも人気のカフェ「LA BOHEME」の店内を覗きながら、つらつらとゆるやかな傾斜を上がると、「きみちゃん」の銅像の向こうにピーコックが見えてくる。 その右手角の「東京ラスク」も視野に右に視線を振ったところに見つかるのが、「リタティーノ」。 今日は、麻布十番で「パフェラッチ!」です。

この角っこあたりって、山田ヒロさんの店「ヒロソフィー」があったところじゃなかったかな。 そんなことを考えながら、店頭のパネルを覗き込みます。ritatino01.jpgそこには、お子様からご年配の方まで、安心して食べていただけるように、安定剤を自然素材に代えて、パティシエが考えたリタのジェラートを是非、とある。ritatino02.jpgそしてその下に示すのが、”本日のねりたてアイスクリーム”。 「煮出しバニラ」「ブラッドオレンジ」「フランボワース」「灘の酒かす」などといった10数種類の小さなプレート並んでいて、それらが「ただいまのフレーバー」と「これからのフレーバー」とに分けられている。 どうやら、その10数種類のアイスが順繰りに”練り立て”で供されるということらしい。 冊子には30にも及ぶフレーバーが示されているから、時季に応じたバラエティはもっと広がるってことなんだろね。

木目の扉の向こうは、白を基調とした明るくポップな意匠。 ショッキングピンクのカウンターがアクセントになっていて、 その奥が硝子越しの”練り練り工場”か。

SMILE SIZE(150g)かHAPPY SIZE(225g)のねりたてアイスを所望するひと達に交じって、「イートインでパフェを」と告げると、応じてくれるニッコリ笑顔。 出来上がりを待つは、右手の壁際に据えられたスレンダーなカウンターのスツールで。 すると、待つ間、いずれかのフレーバーのねりたてアイスを試供してくれるという。

カップの「麻布ショコラ」はなるほど、練り立て感あるとろんとした表情。ritatino03.jpgどれどれとスプーンを動かすと、 一瞬のねっとりしたテクスチャがさらっとした感触に一変して消えてゆく。 そこへ、オトナなショコラ風味が追い掛ける。 皆が知っている、溶けはじめそうな頃のアイスの美味しい瞬間が、 最初から愉しめるってな感じでしょうか。 それがだらしなく蕩けたものじゃないのは、 マイナス6度という絶妙な温度に秘密があるのかもしれません。

それはちょっと面白そうと思わせる「麻布バジルパフェ」。ritatino06.jpgただ、そのグラスを真上から眺めるも、肝心のバジルの気配がない。 おねえさんオーダー間違えちゃったのかなぁと、 怪訝な表情でトッピングの苺スライスやキャラメルなチップスを平らげて。ritatino07.jpgその下へとスプーンの先を進めると、 なははは、いたいた、フレッシュバジルのアイスクリーム。 この香りの弾けっぷりは、まさに今そこで刻んだばかりのバジルの葉を織り込んだよう。ritatino08.jpg「バジルパフェ」は、グラスの横から覗くのが正しい観賞の仕方のようでございます(笑)。

「リタティーノ・マンゴーパフェ」といえば、 トップをごろごろと飾る大振りブロックのマンゴー。ritatino05.jpg濃密バニラアイスを覆っている円い酸味を含む南国の香気は、 石垣島・川平ファームのパッションソースらしい。 川平湾の煌びやかなエメラルドグリーンの情景が脳裡を過ります。

ピルスナー的フォルムのグラスがクリアなプラスティックなのは、 まさにテイクアウト仕様であるがため。 折角の”ねりたてアイス”もたっぷりフィーチャーしたパフェになるともっといいけど、 順繰りにその場で作るフレーバーとの兼ね合いが難しいのでしょう。

「リタティーノ」をプロデュースしたのは、 神戸の洋菓子店「レープ ドゥ シェフ」のオーナーシェフ佐野靖夫氏。 例えば、イタリアンジェラートとの違いを、 セレクトした日本の旬の素材と日本人シェフの感性、 そして作り立て&練り立てのフレッシュさに見出そうとしているようだ。

ねりたてアイスクリームとパティシエ自慢のパフェの店「リタティーノ(RITATINO)」。ritatino09.jpgこの時季のパフェラインナップは他に、「いちごのルージュパフェ」「抹茶好きの満足パフェ」「まるごとメロンパフェ」「NYショコラオランジェパフェ」。 アソートボックスにドライアイスと一緒に詰めればパフェだってお持ち帰りに。 TakeOutできる本格パフェってなかなかないもンね。 口 関連記事:   麻布十番・和食「もち玉」で 焼きなす〆さんまいももちそぼろの煮(06年09月)   Bar「tellus」で MIDORI×MIST香りと風味三段活用の萌黄色(10年05月)


「リタティーノ」 港区麻布十番2-8-8 [Map] 03-3452-0032 http://www.ritatino.com/
column/03145

軍鶏しゃぶ「さざん」で しゃも丼くじらユッケ丼金山豚ロース定食

sazan.jpgもう、5年以上前に一度お邪魔して以来ご無沙汰してしまっていた茅場町「さざん」。 ランチをやらなくなった記憶のままでいたのだけれど、割烹「辰巳」からの道すがら覗くと、開け放った扉の中でお食事中のひと影がある。 四品の載るお品書きを掲げて、お昼どき鋭意営業中のよう。 日を改めてお邪魔してみました。
あれ?っと思うのは、 以前は普通の対面カウンターだったところ全面が焼酎瓶の棚になっていること。sazan01.jpg顔が見えない感が残る反面、選りすぐり焼酎を前面に押し出してる感が明確に。 そもそも置き場所が、ってな事情もあるのでしょうね。

sazan02.jpgランチ四品のお品書き。 結局まだ、こちらの軍鶏しゃぶはいただいてないものの、やっぱり気になるのは、品書き筆頭の「しゃも丼」でしょう。 「さざん」のお昼の特徴のひとつは、ドンブリの前に小さな膳が届くところ。sazan03.jpgひとつの箱庭のようなお膳には、サラダに小鉢がふたつほどに味噌汁のお碗。 へー、と思っているところへ空かさずドンブリが届く感じです。sazan04.jpg 「しゃも丼」の仕立ては、親子丼。sazan05.jpgsazan06.jpg軍鶏の玉子を使っているかどうか訊かなかったけど、半熟の玉子が甘めで、その分軍鶏肉のそれらしさを真っ直ぐ味わうものにはなってない。 まぁ、軍鶏肉を直球でごろごろ使ったら、お高いものになっちゃうンだろね。 刻んだ生姜がいいアクセントになっています。

「さざん」ランチ、もうひとつのドンブリが、「くじらユッケ丼」。sazan07.jpgユッケらしく、真ん中に玉子の黄身の黄色が映える。 カイワレの間から覗くのは、赤黒いくじらの身であります。 勿論、解凍した赤身なのでしょうけれど、 蕩けるレアっぽさとクセなき独特の風味はまさに鯨らしい。 ヅケのタレとも相性よく、玉子を崩していただきましょう。

sazan08.jpg お肉系定食のひとつが、「金山豚ロース定食」。 金山豚というのは、愛媛県の金山出石岳山麓の標高600mあたりで育てられているブランド豚ということらしい。sazan09.jpgそそるルックスではあるけれど、さてさてどれどれと口に含むと、おお、なるほど自然な脂の甘さがじわわと広がって、滋味な旨みがそれを追い掛けてくる。 いいんじゃないでしょうか(笑)。

sazan10.jpg 「牛タン定食」が、もうひとつのお肉系定食。sazan11.jpgぺらっとした厚みのくせして妙に硬い牛タンに出喰わすこともあるけれど、 これはそんなことはない。 タンらしい風味が甘さにも思う旨みとともに素直に愉しめます。

茅場町裏道の一軒家の佇まいで、こだわりある端正なお膳がいただける「さざん」。sazan12.jpg店の名「さざん」は、諸説あるようなんですけどっ、と微笑うおねえさんによると、サザンが好きってこともあるけど、なんか仏像とか仏教のなにかにも由来があるみたいですよ、と。 いまひとつよく判らない(笑)ので、今度は宵闇どきにお邪魔して、「地鶏のたたき」「しゃも唐揚げ」、そして「軍鶏しゃぶしゃぶ」をいただきつつ、改めて訊いてみたい。 隅っこの階段を上がる二階には、隠れ家ちっくな個室もあるようです。 口関連記事:   割烹「辰巳」で 潔くも実直なぶり大根にカキフライ其は南東にあり(11年04月)   軍鶏しゃぶ「さざん」で ささみレバー砂肝炭火網焼と軍鶏味噌鍋(05年03月)


「さざん」 中央区日本橋茅場町2-3-4 [Map] 03-3664-0503  http://www.syamo-sazan.com/
column/03144