Bistro「Käfer」で 空港で堪能するバイエルン伝統料理ブランチ

kafer.jpgミュンヘン空港のターミナル1。 時計と睨めっこしながら足早に、 広い広いターミナルを縦断するように進みます。 目的地は、ターミナルの端っこ、エア・ベルリンのカウンターの向かい側。 ドイツの高級食料品やケータリングで有力な「Käfer」が営むビストロでブランチしちゃおうという魂胆なのであります。
ひと影もまだ疎らで、そんな静かなざわめきの中、右手のテーブルへ。 早速、ヴァイスビアのグラスを所望します。kafer01.jpg kafer02.jpgやってきたのは、「ERDINGER(エルディンガー)」。 Erdinger Weissbräuは、ミュンヘンを州都とするバイエルン州、バイエルン地方を代表するヴァイスビアの醸造所。 鼻先を寄せると、ふわっと華やぐような香りがして、傾けたグラスのあとには、どこかクリーミーにも思う爽やかな甘さに包まれる。 好きだなぁ、こふいふの。
そして、時間はまだ十分に午前中(呑んでるけど、笑)。 そうとなれば、これをいただかねばなりません。kafer03.jpg機上のクルーもこれを目指して操縦桿を倒すとか倒さないとか。 どうもヴァイスビアとセットで考えてしまう、ヴァイスヴルストWeißwurst。 ナイフをこう入れてとのご指南に従って、ソーセージの横腹にすっと切れ目を入れ、そこから半ば剥ぐようにケーシングを除きます。 微塵切りしたパセリの混じるあたりの表情を愛でつつ、まずはそのまま齧ると、どこか遠くに檸檬のような香気がして。kafer04.jpgブリュンとした食感は、作り立ての鮮度を思わせて、ただただ真っ直ぐな旨さのする。 これまたバイエルンの甘いマスタードWeisswurstsenf をちょんと載っけていただくのもまた、オツなもの。 もちろん、そこにはプレッツェルBrezelが添えられていて。kafer05.jpg薄く絶妙にサクッとした表皮に塗した塩の粒がまたまたヴァイスビアを誘うのが不思議です。

ヴルストには、焼きソーセージNüernberger Rostbratwurst もある。kafer06.jpgジューシーに滴る脂とちょっとスパイシーな香ばしさ。 付け合わせの定番ザワークラウトは酸味穏やかで、流石なる仕立ての良さを想います。

そして、「Unions Bräu」でも縁のカリカリが絶品!と感心した豚肉料理、 KrustenSchweinsbraten(クルステン・シュヴァイネブラーテン)もいただいてしまいます。kafer07.jpg kafer08.jpgkafer09.jpg ほらほら、旨そうなカリカリが柔らかな豚肉を縁取っているでしょう。 ちょっと塩辛っぱめのソースとの相性もよろしく、カリカリ食感もアクセントにしつつ、するすると平らげてしまうのです。 あ、ヴァイスビアのお代わりを(笑)。

ミュンヘン国際空港の隅っこで、 上等なミュンヘン伝統料理がいただける止まり木「Käfer Bistro」。kafer10.jpg“Käfer”は、”かぶと虫””てんとう虫”。 ほぼ全店の「ケーファーショップ」で「Käfer」のデリカを取り扱いしている三越のWebサイトによると、幸運を呼ぶ虫、てんとう虫が「Käfer」のシンボルマーク。 ケーファー社は1930年創業で、ポール&エルゼ・ケーファー夫妻が開いた小さな食料品店がはじまり、だそうだ。 口 関連記事:   Biergarten「Unions Bräu」で 蔵の麦酒とクセなき雄鹿のロースト(11年01月)


「Käfer Bistro」Terminal 1 Terminal 1 Abflug A vor der Sicherheitskontrolle Ebene 04 Terminalstraße West 85356 Flughafen München [Map] +49 89 975-9 33 00  http://www.feinkost-kaefer.de/japanese/
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ラーメン「揚子江」本店で いつもの澄んだラーメン肩の力抜いて

yosuko08.jpg紅い観覧車を見上げながら、 梅田のHEP FIVEの脇を往く。 ひょいと右に折れて、 HEP NAVIOの裏の路地を抜けるのもいつものルートのひとつ。 その路地にあるのが、 昼に夜にとお邪魔しているラーメン「揚子江」。 気がつけば、大阪で一番お世話になってるラーメン店かもしれません。
路地の逆側には「一風堂」梅田店があって、いつも賑わっている。yosuko01.jpgでも結局、まだ一度もここの「一風堂」には入ったことがありません(笑)。 居酒屋半分の新御堂脇のお初天神「林記」や東通商店街の「名門」、兎我野町の「林記」には寄っているのにね。

そうそう、ここ「揚子江」本店の個性のひとつが、このステンレスを曲げたカウンター。yosuko02.jpg無機質なステンレスの板が積年のくすみで味わいを滲ませて。 ふと、今はなき池尻「まっち棒」のカウンターを思い出す。 このカウンターはきっと、あんなコジャレデザインが提案されるずっと前からあるのでしょうね。

「五目ラーメン」や「チャンポン」も気になりつつも、注文するのはいつも「ラーメン」。yosuko03.jpgシンプルなのが「揚子江」のラーメンだ、という想いもあるけれど、呑んだあとの小腹を抱えてお邪魔することが多いからという理由も否定できません(笑)。 澄んだスープをひと口して、妙に安堵して、肩の力がふっと抜ける。 yosuko04.jpgyosuko05.jpg 柔っとした細麺をひと頻り啜ってから、卓上の「揚タマネギ」を投入します。 容器の蓋にテプラで示す、スプーン一杯が適量とする要領を忠実に守って、揚げタマネギの香ばしい甘さの加わったスープの魅力と変化を愉しむのです。 菊菜(春菊)の青みもこのスープなればこそのトッピングでありますね。

大阪の人々の秘かなソウルフードのひとつではないかと勝手に思うラーメン「揚子江」。 yosuko06.jpgともすれば油脂や塩分が過剰になりがちなドンブリの景色はどこ吹く風の感じがいい。 ずっと変わらずにそこにあって欲しいお店の一軒です。 口関連記事:   揚子江ラーメン「林記」 で菊菜載るアジアンなワンタンメン(08年02月)


「揚子江」本店 大阪市北区角田町7-17 東宝OSMビル1F[Map] 06-6312-6700

Restaurant「esszimmer.」で 鮪大鮃に子牛鞍それぞれのグラス

esszimmer.jpg旧市街からザルツァッハ川に沿うように北へちょっと行った辺り。 Müllner Hauptstraßeが、Lindhofstraßeへと左に大きく弧を描く交差点。 行き交うトロリーバスの向こうに眺める何気ないベージュの建物がこの日のランチの目的地。 壁に縦書きした看板が茜色に白抜いて示す店の名は、「esszimmer.」。


ドアを押し、店の中に一歩足を踏み入れると、 外観の愛想からの予想を裏切る、シンプルに洗練されたフロア。esszimmer01.jpgesszimmer02.jpg目の前を走るトロリーバスのパンダグラフが架線を擦る音もなく、静かで穏やかな雰囲気だ。 まずは、仄かなピンクが綺麗なシルヒャーの泡から。

「MENU ESSZIMMER」から、前菜のみっつのカップ。 esszimmer03.jpgesszimmer04.jpg 意外と濃い味仕立ての雉子のコンソメと人参ペーストに載せた帆立、鹿のタルタル。

長方形に切り出したような黒い石のプレートに載せられてやってきたのは、鮪のマリネ。esszimmer05.jpgその下に敷いているのは、saddle of veal。 子牛の鞍のあたりの部位の肉のことだそう。 日頃食べ慣れた鮪の赤身は、こちらではちょっとキッチュな食材なのかもなぁと思ったり。 酢漬けした赤キャベツと一緒にトッピングされているのは、ビーツの甘いチップスだ。

esszimmer06.jpg 「esszimmer.」のメニューの特徴は、お皿それぞれに対してオススメのグラスを用意してくれること。 そんな鮪のマリネと子牛とのプレートには、 「Weissburgunder Klassik 2009,Gross,Südsteiemark」。esszimmer07.jpg垂らしたオリーブオイルに岩塩の欠片を載せて齧るバゲットと交互に愉しみます。

微かに翠色がかった泡ソースに包まれてやってきたのは、柔らかな魚の白身。 大鮃(オヒョウHalibut)というカレイの仲間だそう。esszimmer09.jpgesszimmer10.jpgesszimmer11.jpg紅い彩りを添えてくれているのは、ビーツの根っこ。 そして、エスプーマちっくなソースを仄かな緑色にしているのが、Wasabi。 ホースラディッシュなどでなく、山葵であることが嬉しくもなんだかちょっとこそばゆい。

これなんだろね?と思うムースというかパテというかは、グリューワインの入ったマグロの。esszimmer19.jpgこれが、おりょりょと思うほど旨くてびっくり。 買って帰りたい感じ(笑)。

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続くお皿は、子牛の膵臓sweetbread。
esszimmer12.jpgこちらも主題であるかのように表情を魅せているのが、薄切りした林檎で挟んだ菊芋(エルサレムアーティチョーク)のムースだ。

メインのメニューにふたたび目にしたのが、”Saddle”の文字。esszimmer14.jpgesszimmer15.jpg子牛の鞍のあたりの部位のお肉の柔らかグリルがロール状にして中央に。 癖のない真っ直ぐな旨味が溢れ出るように口腔に広がって。 それと並んでロール状なのが、オーストリアの代表的なスイーツのひとつ、シュトルーデルstrudelをモチーフにした料理。 くるくるしてサクカリの衣とそれで包んだソテーとの相性やよし。 お供は、「Roter Veltliner -alte reben 2008」の赤だ。

デザートをあれこれ盛り込んでくれたお皿には、 ちょっとビターなものやキャラメル風味のものなどなど。 esszimmer16.jpgesszimmer17.jpg 仕上げに一杯いかがですかと、透明ボトルにキルシュguglhof wildkirsch。 舐めるようにいただいても、利いてしまうのですね(笑)。

新しい工夫への気概と気鋭を想うレストラン、「esszimmer.(エスツィンマー)」。 esszimmer18.jpg“ess(essen)”=”食べる”+”zimmer”=”部屋”で、”esszimmer”。 シェフのアンドレアスが用意するメニューの、例えば「MENU GREEN」にはこだわり野菜の5皿があったりする。 きっと季節を変えては訪れる常連さんも多いことでしょう。 音楽祭の時季には予約も難しくなるようです。


「esszimmer.」 müllner hautpstr. 33, Salzburg[Map] 0 662 / 87 08 99 http://www.esszimmer.com/
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中華そば「掃部介」で 優しく穏やかなねぎラーメンもやしラーメン

kamonnosuke.jpg入船の焼き鳥「さくら家」の並び。 以前ここには、別の中華そば店があったような気もします。 一瞬、″ロンバケ″のロケ現場として一時話題になった「萬金」がなくなってしまったのかと思うも、「萬金」のある筋とは違うよなぁと思い直す。 ひと目を惹く橙地の看板には、「掃部介」というどこか由緒のありそうなお名前が。 なんと読むのでしょう。
そうか、かもんのすけ、と読むのだねと看板を見上げつつ、暖簾を払います。kamonnosuke01.jpg間口から想像する通りのカウンター。 いつもどうも!と、初めての訪問であってもそう歓迎してくれます(笑)。

kamonnosuke02.jpg メニューには、スタンダードに思う中華そばのラインナップとそれに沿うようなつけ麺4種類。 まずは葱好きを誘う限定品、「ねぎラーメン」からお願いしましょう。 kamonnosuke03.jpgkamonnosuke04.jpgkamonnosuke05.jpgそのドンブリは、丁寧に刻んだ白髪葱をこんもり盛った素敵な見映え。 ちょっとしたオトナの辛みと香りを摘んで、麺と一緒に啜ります。 スープは、野菜の旨味甘さもふんだんに抽出した感じの懐かしくも優しい仕立て。 つるんとした麺との相性もよく、食べ飽きしない和みの一杯と云えましょう。

辛い風味も欲しい時には、「ピリ辛みそラーメン」。kamonnosuke06.jpgベースのスープがもつ一種の甘さは、ピリ辛い刺激を受けて、奥行きのある味わいをもたらしてくれます。

お隣のオヤジさんが啜っていて気になったのが、「もやしラーメン」。kamonnosuke07.jpgkamonnosuke08.jpg厨房の大将の所作を眺めていると、市販品でいうところのもやしひと袋まるまるを麺のテボと並べたテボに投入して、ささっと湯掻く。 そうして、たっぷりともやしをいただけるドンブリとなる。 某「二郎」となにかを争うつもりは毛頭ない、甘露なコクの中に優しさと穏やかさの滲む一杯だ。

入船で密かな人気の中華そば、その名も「掃部介(かもんのすけ)」。kamonnosuke09.jpg命名の訳を訊いたらば、ずっと昔この界隈に掃部介と称する人物の屋敷や蔵があったことに由来するそう。 柔和そうな大将は、お店にカモン!なんて言葉の響きも考えて、とニヤリ。 思い出しては時折足を向ける、そんなお店になりそうです。 口 関連記事:   やき鳥「さくら家」で ピンク刺し豆ヒゾー寒雀おばあちゃんの笑顔(09年01月)


「掃部介」 中央区入船2-2-2 志村ビル1F [Map] 03-3551-0393
column/03119

Oyster Bar「MAIMON」で チャリティオイスター隠岐の銘牡蠣春香

maimon.jpg「MAIMON」で思い出すのは、駒沢通り沿いのアーケードに出現した”Oyster Bar”というフレーズ。 もう10年くらい前のことになるかもしれません。 狭い間口ではあるものの、煌びやかなディスプレイが印象的でした。 そんな「MAIMON」恵比寿は、いつの間にか移転して、大箱飲食店ビルの最上階に。 グループの「IMAIYA」のあとを引き継いた、ゴージャスなインテリアのオイスター・バーとなっていました。
夜の営業前の陽射しの射す中、 ウェルカムにいただいた泡越しに見上げる高い天井。maimon01.jpg第2回を迎えた「東日本カキ産地支援復興対策会議」の隅っこに参加するため、会場提供してくれた「MAIMON」へとお邪魔した次第であります。 「MAIMON」さんのさらなるウェルカムは、 カクテルグラスに飾られた牡蠣、その名も「マイモンダイヤ」。maimon02.jpgmaimon03.jpgそれは、北九州豊前海産の、なんと「MAIMON」の自社ブランド。 あっさりしつつ、清澄な旨みを湛える感じの真牡蠣。 季節によって産地を変え、おのずと味わいも変わっていくとするブランドのようだけど、みずからのブランドを持つオイスター・バーなんて、他に知らないよね。

白ワインをいただいたところに到着したのは、持っているには重そうな大きなトレー。maimon04.jpgこちらが本日のチャリティオイスターの牡蠣、「春香」だ。

岩牡蠣「春香(はるか)」は、島根の沖合いに浮かぶ隠岐の産。 日本で一番最初に商業化した岩がき、だそう。 海士町の海士(あま)いわがき水産が供する「春香」は、玄人筋も一目置くブランドという。maimon05.jpgちょこっと檸檬を搾っていただく印象は、真牡蠣と岩牡蠣の間のような。 クリアな滋味を仄かなクリーミーさの気配が包んでいて、そこにバランスと品を想う。 「春香」は三年もので、二年目に”耳吊”と呼ぶ工程で手間をかけるのも特徴のひとつ。 それぞれが互いに接着したような状態で垂下ロープに付着した牡蠣をひとつづつばらし、牡蠣ひとつひとつの蝶番の先端に小さな穴をあけ、そこへテグスを通して放射状になるように垂下ロープにふたたび固定する。 そんな大きな手間をかけて、育成の密度を調整し、牡蠣に万遍なく栄養が廻るように。 そうすることで、プランクトンの多い海域を敢えて避け、清澄な海域を選びながら、幻の、とも呼ばれる牡蠣を育んでいるのだそう。 そんな「春香」に「MAIMON」の5種類のソースからオススメの薬味ぽん酢を垂らしてみる。 maimon06.jpgmaimon07.jpgmaimon08.jpg うほほ、なるほど、途端に旨みの輪郭がよりくっきりとして、ちょっとした変化も愉しめる。 と、いうことで、もうふたつください(笑)。

「マイモン」「春香」と白のグラスをひと廻り味わったところで、 ミーティングにするんと移行します。 復興取り組みの状況や実施イベントの報告、主だった企画提案の内容・進捗を共有し、会議第1回以降に集まった義援金の使い方を決めたり、これからの会議あり方をあれこれ意見交換したり。 結局、予定時刻を大きく上回る、会議&チャリティオイスターとなりました。 三陸を代表する名産品の牡蠣で、三陸の自活への路を少しでも手助けしたい。 会議の様子や取り組み内容は、随時、日本オイスター協会特設サイトに掲載されます。 復興牡蠣オーナーも着実に増えています。

恵比寿、銀座、そして大阪・梅田に展開する、 スタイリッシュOyster Bar&Charcoal Grill「MAIMON」。maimon09.jpg夕闇とともにそのラグジュアリーな雰囲気がきっと華開く。 正規の営業時間にもお邪魔しなくっちゃ。


「MAIMON」恵比寿 渋谷区恵比寿南2-3-14 CONZE恵比寿7F [Map] 03-3715-0303 http://www.secret-table.com/brand/maimon/