居酒屋「江戸一」で 味噌で冷トマトにオムライス女将さんの手料理

edoichi.jpg村田和人Againライブを愉しんだ後、例によって武蔵小山のディープゾーンに忍び込む。 日曜日の夜ということもあって、シャッターを下ろしている店も少なくないけど、縦横に走る横丁を散策するように歩くと、ちらほらと灯りを点けている店が見つかります。
そんな中の一軒が、居酒屋「江戸一」。ディープな小径の向こうで子供たちが遊んでいるのが、地元の日常だ。 暖簾の脇から覗くカウンターは、なかなかの賑わい。 座れるかなぁと話しながら戸を引くと、どうぞこちらへと角近くの席を開けてくれる、ちょっと酔い顔のオヤジさん。 促されるまま其処へ腰を落ち着けて訊けば、カウンターを埋めている皆さん殆どが顔見知りの常連同士だそう。edoichi02.jpgedoichi03.jpgホッピーならぬ、ハイッピーをいただいて、手垢に気合いの入った棚に貼られた品札を物色します。 「ナスの生姜焼」をお願いすると、外連味のない女将さんの動きが更にキレ味を増す。 包丁の動き、フライパンの捌きが流れるように無駄がなく素早い。 花カツオが踊る熱々を早速いただけば、うんうん、旨い。edoichi05.jpg今が茄子の旬なんだっけ?と考えたりして(笑)。 カウンターに用意されている大皿からマカロニサラダに鰤大根。 何気ないポテトサラダやマカロニサラダに作り手のセンスが現れると思うのだけど、そんな意味からもイケてるサラダだ。 edoichi04.jpgedoichi06.jpg 鰤大根の主役はお大根。 鰤の旨みや脂をしっかと滲み込ませつつ、素知らぬ振りして脇役の表情でいらっしゃるのがニクい。 席を譲ってくれたオヤジさんが、そうだそうだと棚をごそごそ。 どうぞ食べてくれと韓国海苔のパッケージをみっつも手渡してくれる。 カウンターの真ん中くらいを指差して、あそこのチョーさんが韓国に里帰りしたときに沢山買って帰ってくるからいいのいいの食べちゃって、あそうそうこの筋子とか明太子を包んで喰うといいんだぞ、と。 はい、ありがとうございます、いただきます。 さらに「厚あげ焼」なんぞをいただきながら、ハイッピーの中身をお代わり。 女将さんが棚の奥のグラスを取る時は、菜箸で引き寄せるようにすっとやる。 その手馴れて躊躇ない動きに微笑ましくも感心します。 カウンターの一番隅にいた常連さんが、「トマト、味噌でね」と女将さんに声を掛けた。 ん?冷しトマトを塩でもマヨネーズでもなく味噌でいく、のだ。 ああ、それは盲点、ありかもありかもと便乗しようとするとその常連さん。 いやいやダメダメ、この喰い方オレの専売特許だから、と満更でもないような、でも真似されては困るのよと仰る。 え?いゃーそっすか、と笑っていると、今度は女将さんが、なーにを偉そうなこと言ってんのよ、ねー、カカカカカ〜、と一笑に付して、お皿を差し出してくれました。edoichi07.jpgたっぷり添えた白味噌をトマトに擦って咥えれば、むほほ、やっぱりありなんだなぁ。 如何にも酒呑みの発想であるところがいいのだなぁ。 〆にはなにがいいですかねぇと何気なく訊けば、なんつってもオムライスがいいね、と常連オヤジさん。 いいですねーとお願いすると、早速フライパンをふたつ取り出して見惚れるばかりの所作でみるみるうちにケチャップライスのオムライスの出来上がり。 コロンとして均質な表情の玉子が覆うオムライスにケチャップの紅が映える。edoichi08.jpgedoichi09.jpgどれどれとスプーンを動かすと、パラパラとしたケチャップライスと薄焼き玉子の名コンビが素敵に旨い。 洋食屋ハダシのオムライスに武蔵小山ディープゾーンの居酒屋で出会えるなんて、これを僥倖と云わずしてなにをそう呼べるでしょう。

しゃきしゃきとした女将さんが常連客を「お帰りぃ」と迎えてくれる、 武蔵小山の横丁居酒屋「江戸一」。edoichi10.jpgお隣の常連オヤジさんに、ここってお休みはいつですかと訊けば、休みはないんだよね、と。 それじゃぁ女将さん毎日働いてるですかーと驚けば、オイラは毎日来てるけどね、とオヤジさん(笑)。 大塚の「江戸一」との関係や如何に。


「江戸一」 品川区小山3-13-5 [Map] 03-3784-5082
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