居酒屋「やまだや」で 日本の海の幸の魅力溢れる酒肴ここにあり

yamadaya.jpg久し振りの築地「やまだや」は、 師走のとある夜。 この店の師走となれば予約で一杯なのでしょう、店内は既にちょっとした熱気を帯びはじめていました。 今宵は、在ザルツブルグのフルート奏者laraさん日本凱旋レセプション。 母国日本のモノあれこれを口にしたいと渇望するlaraさんに相応しい、つきじろうさんのナイスチョイスでありました。
麦酒での乾杯で迎えたひと皿めが、「本乾ししゃも炙り焼」というのがシブく、かつ「やまだや」らしく。yamadaya01.jpgカペリンでなくて、日本固有種といわれる柳葉魚はおそらく、彼の地では口にできないものな。 そして早速、疑う余地もなく旨い「白子の昆布焼」のコクまったりを。yamadaya02.jpg白子を昆布にのっけて、レア気味に焼き炙って食べちゃうなんてのも、墺太利ではしないでしょー。 牡蠣はといえば、 前後してやってきた生の「長崎 小長井産カキ」に「カキの赤玉みそ焼」。 yamadaya03.jpgyamadaya04.jpg たっぷりと檸檬を搾っても、清澄な磯旨みをぐいと主張する生牡蠣に「うー!」と唸り、朴葉焼きした牡蠣のぷっくりと厚みある滋味と赤味噌の合奏にまた「うー!」と小さく叫ぶ。 隣でlaraさんも、「うー!」と(笑)。 刺し盛りのお皿には、 長崎「〆サバ」、天津「地金目」、金沢「寒ブリ」、大分「活け〆カワハギ」。yamadaya05.jpg yamadaya06.jpgyamadaya07.jpgyamadaya08.jpgyamadaya09.jpgyamadaya10.jpg 特にカワハギは、添えてくれているその肝を仄かに桃色がかった透明な身で包んで岩塩を振っていただくのがまた格別。 こんなこと考えるのもきっと、日本人だけなのかもね。 yamadaya12.jpg はたまた、「やまだや」のスペシャリテと云えば、 「自家製豆腐のみそ漬け」に「やまだやベーコン」。yamadaya11.jpg どこかで日本酒を呑んでる時にときどき思い出しては「いまここにあれがほしい!」と思うことのあるのが、絶佳な酒肴、やまだや謹製「自家製豆腐のみそ漬け」なのでありますぞ。 もう既に何杯となくいただいている日本酒、焼酎に最高に合い、次を誘うのです。 ほー、そうきましたかと思わず覗き込んでしまったのが、 「サバのへしことモッツァレラチーズのピザ」。yamadaya13.jpg薄いタイプの生地にたっぷりのモッツァレラ。 そこに挿し色トッピングの、プチトマトの薄切り。 さらにその上に、極薄スライスのニンニクと鯖へしこの欠片。 へしこの塩っ気を含む糟風味が、シェーブルあたりのチーズを想わせたりして。 本日の土鍋ご飯は、「金目」。yamadaya14.jpg金目鯛の切り身から滲み落ちた脂と旨みがご飯に軽やかに沁みていて、いい。 ムニっとした皮目の食感も、同じ金目のお椀も、ね。

日本の海の幸の魅力に思い切り浸ってみたい。 そんな内外の貴賓にも自信をもってご案内できる、ここ「やまだや」。yamadaya15.jpg勿論、お酒とのマッチング絶妙であるのも誰もが認めるところ。 きっと、laraさんも喜んでくれたことでしょー。 □関連記事:  居酒屋「やまだや」で 驚嘆感心絶品佳品の酒肴たち(07年12月)


「やまだや」  中央区築地7-16-3クラウン築地1F[Map] 03-3544-4789
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博多屋台料理「九州屋台劇場」で白湯スープ炒めの焼ちゃんぽん

kyushuyatai.jpg新亀島橋から臨む、川の畔の九州屋台。 以前の表情が少し変わっていて、特に山吹色を地色にした看板が目を惹いている。 「九州屋台劇場」が早くも3周年を迎えて、リニューアルを果たしていました。
kyushuyatai02.jpg 「煮込みカレー」や「網焼鶏の重」といった感じのメニューも一変していて、軸になっているのが「名物・焼きちゃんぽん」。 九州ちゃんぽん麺を使用した「炒麺」のバリエーションがランチメニューになっているのです。kyushuyatai01.jpg
「名物・焼きちゃんぽん」は、 ちゃんぽんの麺を汁なしの状態に白湯スープで炒めたお皿。kyushuyatai03.jpg飾る具材もキャベツに玉葱、もやしに木耳に蒲鉾、イカゲソなどなどと如何にもちゃんぽんのそれである。 そしてなるほど、麺もやや細めのちゃんぽん麺。kyushuyatai04.jpgその麺が纏うスープと脂は、云われてみれば確かに、ちゃんぽん風味ではある。 でも、「あはは、ちゃんぽんだ!焼いちゃったちゃんぽんだ!」と笑いながらブンブン頷くほどの醍醐味にはやや欠ける気もする。 こってり仕立ての「焼きラーメン」では、本家ドンブリの魅力をうまいこと伝えてくれている事例もあるので、この「焼ちゃんぽん」にももうひと工夫が必要なのかもしれません。


そうは云っても、もう3回ほど食べていて、いつも「焼ちゃんぽん」ばかりではなにかと、「上海炒麺」を所望してみる。 九州屋台で上海とは如何なる繋がりか、なんてことは考えない方がいい。 考え始めると、じゃぁサンバルソース「エスニック炒麺」のインドネシアとの関連は?なんてことになってややこしいンだもん(笑)。 「上海炒麺」は云わば、オイスターソース味の「焼ちゃんぽん」。kyushuyatai05.jpgそれじゃぁ、上海炒麺というよりは、「広東炒麺」などと呼んだ方がいいのかもねと思いながら、啜る麺。 オイスターソース味である分、味わいの輪郭はくっきりしていて、サービスで添えてくれる小ライスのおかずにもよく合う感じだ。

亀島川の畔に立つ博多屋台劇場「九州屋台劇場」の昼の顔は「焼ちゃんぽん」。kyushuyatai06.jpg山吹色の看板には「焼ラーメン」の文字もある。 姉妹店(というより、本丸)の「じのもん家」でいただいた「焼ラーメン」がここでも夜にはいただけるってことらしい。 夜の帳の下りた川沿いで、ホルモン食って、九州おでん食べて、仕上げに焼きラーメン、なんてちょっとイケナイ感じが、博多・中洲にいる気分を誘うのかもね。 □関連記事:  博多のホルモン屋台「九州屋台劇場」で トリッパ肉片煮込カレー(07年09月)  九州めし処「じのもん家」で 塩とソースの焼ラーメン屋台の情景(09年04月)


「九州屋台劇場」茅場町店  中央区新川2-1-1 進藤ビル[Map] 03-5540-8110 http://www.jinomonya.com/home/
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刀削麺の西安屋台「リトルシーアン」で びろびろ刀削麺あれこれ

littlexian.jpgいつからここにあったのかな。 霊岸島の信号近くにある刀削麺の店、 「Little XI’ANリトルシーアン」。 フランチャイジーの感じもふんふん匂うけど、どうなのでしょう。
店頭の硝子越しに覗けるのが、まさに”刀削”するところ。 お兄さんやお姉さんが、代わる代わる胸の前に構えた玉から麺を削り出す。littlexian01.jpg削られた麺は、そのまま湯殿へと降下して、湯掻かれてゆきます。 まずはとお願いしたのが「タンンタン刀削麺」。littlexian02.jpg中央に香菜をあしらった、でもシンプルな見栄えのどんぶりがやってきました。 見た目通りに辛さは控えめで、胡麻ペーストなところも平易な仕立て。 といって不味い訳では決してない。 箸の先で引き揚げた刀削麺は、およそ均一なびろびろ麺だ。littlexian03.jpg 初めて刀削麺を啜った時の感嘆はもう感じられないのかなぁと新たに掬った麺を箸にぶら下げながら、ちょっと遠い目になったりする。 あれは確か、飯田橋の「刀削麺荘」。 そこで初めて、さっきお姉さんが削っていたのとほぼ同じ光景を珍しいものをみつけた子供のようにじっと眺めたことを思い出しました。 ランチ限定と謳うのが、「牛スネ肉のせ刀削麺」に「ジャージャー刀削麺」。 前者は、辛くないラー油に削った麺を浮かべたような印象のもの。 littlexian04.jpglittlexian05.jpg 後者は、ジャージャー麺という割には汁なしでなくて、削った麺が甘味噌で炒めた挽肉から溢れた脂がたっぷり浮かぶスープに浸ってる。 香りが強すぎて、山盛りなシャンツァイは得意ではないけど、こうして油のこってりとしたものに添える適量の香菜は、いい涼味になることを再確認。 麺に妙に不揃いなところを感じないのは、削るテクニックが安定したものだということなのでしょう。littlexian06.jpgでも、やや厚い中央と周囲の薄いところの食感の違いが刀削麺の一番の魅力だとしたら、ちょっと不揃いな変化があっても面白いかもとも思う。 うどんみたいに冷水でシメる、なんてことはしないのかなぁとも考えたりして。

霊岸橋の刀削麺の店「Little XI’ANリトルシーアン」茅場町店。littlexian07.jpgあの時の「刀削麺荘」は、「XI’ANシーアン」飯田橋店になっている。 経営が変わったのか、店名を変えただけなのか。 今はもう、刀削麺のお店は珍しくなくなったもンな。 日本で初めて刀削麺を提供したお店ってどこなんだろね。


「リトルシーアン」茅場町店 中央区新川1-6-12[Map] 03-3552-9500  http://www.hoso-foods.co.jp/shop_912/
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お食事「島正」で ランチのどてめしオムライスに味噌おでん定食

shimasho.jpg住所は栄なれど、名古屋・伏見は桑名町通り。 「どて」の有名店といえば、 やはりここ「島正」。 宵闇にお邪魔して、どての鍋を囲む奥の席あたりで、ガハハと酔っぱらうのが当然よく似合う。 そして訪ねる度に感心するのは、この手のお店でお昼も当たり前のように営業しているところ。 そうだ、「島正」のランチに行かなくちゃ。
錦通り、広小路通りと辿って、「島正」の暖簾前。 しっかりと夜と同じ暖簾が風に揺れています。 shimasho01.jpg 「島正」のランチメニューは、潔くも、定番の五本立て。 まずは、ちょっと酔った脳裡にも刻んでいた「オムライス」をいただきましょう。 「島正」の「オムライス」は勿論、ただのオムライスではありません。shimasho02.jpgメニューにも、”どてめしにオムレツをのせた味噌オムライス”と解説されていた通り、それは、牛スジやこんにゃくなどなどを八丁味噌のどてタレと一緒にどんぶり飯にトッピングした「どてめし」の上にオムレツを配置して、その上にもどてタレをぐるっと垂らしたヤツ。 疑う余地のない、半熟の玉子とどてタレの相性に頷きながら、匙を動かすと今度は、とっぷりと煮込まれつつも自分を見失っていない牛スジをはじめとする具材たちが主張する。shimasho03.jpg酒のアテにしながら思った、ご飯にも絶対合うよね!は、やはり正解だったとふたたび頷いたりして。

日を変えたお昼に、今度は「味噌おでん定食」。 一日15食限定のどて焼き(味噌おでん)の定食だ。 このお膳もまさに、夜の部の鍋前で拝む雄姿がそのままに。shimasho04.jpg昼の陽射しを浴びても照れることなく、堂々と湯気を上げている。 最初に箸の先を伸ばしたのは、例の大根。 ああ、大根のやや酸っぱいような甘さが昼なお乙で、ご飯を誘う。 shimasho05.jpgshimasho06.jpg どての滲みた豆腐、こんにゃくを経て、串かつでご飯、もまたいい。 「矢場とん」の「みそかつ」ではTOO MUCHだと思うヒトでも、この「串カツ」の定食だったらフィットするのではないかなぁ、なんて。


お酒の伴で活躍してくれる「どてやき」「牛スジ」「串かつ」が、お昼どきのご飯でも味わえる伏見「島正」。shimasho07.jpgお昼にも、おとうちゃんとおかあちゃんと兄ちゃんが迎えてくれます。 □関連記事:  お食事 「島正」 で卵コンニャク豆腐大根牛スジどて焼き(07年12月)


「島正」 名古屋市中区栄2-1-14[Map] 052-231-5977 http://www.shimasho.biz/
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とんかつ「いずみ」で ふっくらカキバター焼きに熱々石焼カキチゲ

izumi.jpgいつもお世話になっている旗の台商店街の定食屋さん「あらき」。 その「あらき」の隣にあるのが、 今宵の目的地、とんかつ「いずみ」です。 ちょうど、酒魚菜「三友」のお向かいになるね。 初めてじゃないのに、やっぱりどことなく入り難い空気を感じつつ暖簾を潜ると、以前いらしたおばあちゃんが同じテーブルに今日もいる。 ほぼ毎日、ここで夕食を摂られているのかもしれません。
とんかつのお店であるらしいのですけれど、こちらのとんかつはまだ知らない。 なのに今夜も、前回と同じく牡蠣の料理をいただこうという魂胆なのです。 生ビールの小さい方をお願いして、 まずは卓上にあった大皿の煮つけた鰯をいただく。 やりいかの刺身をぺろんと平らげたところで、黒板に書かれた「カキのバター焼き」をと女将さんに声を掛けると、そのまま奥の厨房へと注文を通してくれます。 すると、厨房から「そんなンどこに書いてある!」とまる聞こえの声。 女将さんが「黒板に書いてありますよ」と至って冷静に応答すると、 無言になる厨房。 いけないオーダーだったのでしょうか、すいません(苦笑)。 でも、隙間から覗く厨房で、牡蠣の剥き身に粉を絡ませる様子がすぐ見れたので、安心してビールのグラスを干しましょう。 やや強面で、お愛想が苦手そうな大将が「どぞ」と「カキのバター焼き」のお皿を手渡してくれる。izumi01.jpgお皿には、檸檬のスライスを下敷きにして、ぷっくりとした牡蠣が鎮座。 そのひとつをそっと箸に載せるようにして口に運ぶと、まるで鱈の白子でもあるかのようなふっくらとした柔らかさで口解けしていく。 軽やかな甘酢のようなあんも気が利いていて、やっぱり旨い。izumi02.jpgizumi03.jpg以前いただいたお皿と多少表情が違うのも面白く。 繊細さをも思う、揚げ焼き具合に感心しつつ、角ハイボールをいただくのであります。 そしてもう一品の牡蠣料理で食事としましょう。 「石焼カキチゲとご飯をください」。 今度は、石焼き鍋を手にした大将がそのままカウンターを出て、直接チゲを届けてくれました。 「熱いので気をつけて」。izumi04.jpg「ども」と会釈をして早速、ふつふつしている赤い汁をレンゲで掬います、真ん中の玉子を解きつつ。 フーフー、ハフハフ、はふはふ。 濃度のある汁は見た目の色相通りになかなか辛い。 その中で泳いでいた牡蠣の身がこれまたぷっくりとしていて、辛さに溺れることなく自らの滋味を発揮してくれています。izumi05.jpgフーフー、はふはふ。 辛さと熱さとで忽ち額やこめかみに汗が流れるけど、 気にせずにフーフー、はふはふ。 ご飯がどんどん食べれます(笑)。 izumi06.jpg チゲの具を大方いただいたところで改めて雑炊にしてもらって、ふたたび石鍋に挑んで、ハフハフ、ふーふー。 は~、満腹至極であります。


額の汗が冷えていくのを感じながら振り返り眺める、 旗の台商店街のとんかつ「いずみ」。izumi07.jpgご主人、今度は必ずとんかつをいただくようにしますので、是非笑顔をみせてくださいね(笑)。 □関連記事:  酒魚菜「三友」 でごはんうまうま豚生姜焼きさば味噌煮(08年04月)  定食「あらき」 で焼き目麗しき家庭的豚レバーソテー(08年01月)


「いずみ」 品川区旗の台3-11-9[Map] 03-3785-4824
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