韓国家庭料理「オモニの台所」で メチャ肉丼にユッケジャンうどん

高輪台の病院で、診察をさくっと終えてから、 お昼を摂ろうとひと駅乗って泉岳寺。 そのまま行けばお水を出さない英国風カレー「サンライン」だなと思いつつ、伊皿子坂をてろてろと上る。 N響の建物を過ぎたところにあるビルの地階にあるのが、韓国家庭料理「オモニの台所」です。
階段を下りたエリアは、地階のデッキに屋根を被せて、 店を拡張しているようにも見える。 冬の日にはゴッツいストーブが焚かれていて、 夏にはぷちオープンエアが愉しめそう。omonis01.jpgフロアの中央には、逆さにした北京鍋に太いチューブを繋げたような、排煙のためのダクトがあって、その下に焼肉の焼き台が配置されている。 omonis10.jpgおひとりさまは、手前のテーブルに陣取って、 ランチメニューと正対します。 「通常メニュー」は、「コムタン」「ユッケビビンバ」やナッジ、イカ牛、春雨から選ぶ「オモニウルトラライス」。 焼肉あれこれの「焼き物セット」もあれば、数量限定「参鶏湯」、「冷麺」ももちろんと迷わせる。 そして「日替わりメニュー」には、 月曜から金曜までの5種類のドンブリものが並んでる。 土曜日には、日替わりドンブリのどれでもできるというので、月曜日判「メチャ肉丼」をお願いすることにしました。 メニューと一緒に届けてくれていたのが、赤いコップの冷たいお茶に浅漬けしたキャベツのサラダ、そして小振りな丸壺。 この壺の中はやっぱりあれかな?と想像しつつ蓋を外すと、 期待通りにキムチが覗く。 omonis02.jpgomonis03.jpg ドンブリが届くまでのしのぎにと小皿にとったこのキムチが特に凝ったものでもないのに旨くって、もうちょっともう少しと止まらない。 酸味や辛味が控えめで、ニンニクも感じずして、軽やかなのであります。 壺から出したらそれは全部平らげるべしというのがルールになってるけど、残しちゃう心配はあまりなさそうだ。 やってきたドンブリには、辛味ダレをしっかり纏って赤橙に染まった牛スジに玉葱、長葱が載る。omonis04.jpgomonis05.jpg全体を覆う唐辛子色にちょっぴり慎重になりながら(笑)、牛スジを口に運ぶと、じわわと旨みが解けて、やっぱり辛味が追い掛ける。 あ、でも仄甘さを一緒に含んでいて、丸い辛さ。 そう思うところへ早速、額に滲む汗。


ふたたび土曜日の泉岳寺。 なぜだか前回と同じ席に陣取って、冷える今日はと「ユッケジャンうどん」。 手馴れた風情で、キムチの丸壺を引き寄せて、シャクシャクと噛んではまた壺に手を伸ばす。 これとご飯とスープでもいいンだけどなと思ったりする(笑)。 お待たせしました、と届いたドンブリはやっぱり赤い。omonis06.jpgダイジョブかなと考えつつ箸をスープに突っ込んで、 引き上げたうどんにハッとする。 そうか、ここで云う「うどん」は所謂冷麺の太い版なんだね。omonis07.jpg啜るスープは意外と辛さの加減よろしく、あっさりしながら旨みを含んでる。 思いのほかスープに馴染む麺の食感や心地よし。 もうちょっとお肉が入っててもいいかもとふと思いつつ、サービスでつけてもらった小ライスを投入します。 これもひとつのお約束。omonis08.jpg赤いスープでコーティングしたご飯を啜るうちに、辛いスープの過半を平らげることになるのです。


伊皿子坂の韓国家庭料理店「オモニの台所」。omonis09.jpg刺すような辛さやこってりとしたニンニク使いに頼らない、どこか軽やかな仕立てが印象的だ。 そこには、韓国のお母さん(オモニ)が家族に用意する日々の糧に注ぐ温かさがあるような、そんな気もいたします。


「オモニの台所」高輪本店 港区高輪2-16-49 B1F[Map] 03-3441-4542 http://www.omoni.co.jp/
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オランダ家庭料理「アウデ・カース」で トマトスープドイツェステーキ

oudekaas.jpg御堂筋が堂島川を渡る、大江橋。 その橋の袂に建つ交番の脇を裁判所方向に入ったところに、ずっと気になっている店がある。 店の名を「アウデ・カース」。 ありそでなさそな、 オランダ家庭料理を謳う店です。
oudekaas01.jpg深紅に塗り上げた扉の脇に、ワインボトルを突っ込んだ木箱があって、そこに立て掛けた黒板が日替わりのランチメニューを示しています。 お店のフロアは、そのドアからやや急な階段を上がった二階にある。 カウンターの隅にお邪魔です。 右手を振り返り、テーブル席の向こうを明るくしているのは、 堂島川の川面を照らす日差し。oudekaas02.jpg特別綺麗な景色ではないけれど、窓際のテーブルは、川面を眺める情緒が多少はありそうだ。 oudekaas03.jpg左手の窓の下には、様々な銘柄のビールが冷やしてあって、それぞれ用のビールグラスが出番を待っている。 これから仕事でなければ、間違いなく呑んでるね(笑)。 お願いしたのは、 この日のランチの「ドイツェ(ハンバーグ)ステーキとジャガイモパン」。 スープにコーヒーもつけてもらいます。 トマトのスープが何気なくも旨い。oudekaas04.jpg澄んで丸い酸味が心地よく、トマトの香気に富んだ仄甘さが追い掛ける。 貫禄のあるコックコートは伊達じゃないぞと素直に思う。 その主は、パッドに用意していたハンバーグをフライパンの上に載せ、隣のレンジでソテーしているジャガイモの様子をチェックする。 オーブンで温めたパンと一緒にハンバーグのお皿がやってきました。oudekaas05.jpg ナツメグらしきスパイスの香りとともに、赤身肉の旨みが真っ直ぐに。oudekaas06.jpg脂のジューシーさに頼らない、熟練の手腕を思います。 oudekaas07.jpg焦げ色をつけたジャガイモも素朴にイケるのだ。 メニューをみると、「スタンポットStamppot」というマッシュポテトの料理もオランダを代表するものらしいことが伺える。 毟り齧ったパンも「じゃがいもパン」なんだね。 そして、計62種類あるという「パンネンクーケンPannenkoeken」は、つまりはパンケーキ。 ベーコン、ゴーダチーズ、玉葱なんかを組み合わせたトッピングでもいいし、林檎、バナナ、ラム酒漬けレーズンなんかでデザートチックにしてもいい、ということらしい。 なんだか、とっても女子にウケそうだよね。

オランダ国旗、紅いテントに風車のイラストが目印の「アウデ・カースOudeKaas」は、1996年のオープン。oudekaas08.jpg今度は、夜の部にお邪魔して、19種類揃えているというビールやワインのグラスを片手に、「スタンポット」「パンネンクーケン」をはじめとするオランダ料理の愉しさを教わりたいな。


「OUDE KAAS」 大阪市北区西天満2-5-6[Map] 06-6361-3292 http://restaurant.gr.jp/oudekaas/
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Restaurant「Coulis」で 自家製カレーにナポリタン洋食的クーリ

coulis.jpg時折そうだそうだと思い出しては、 お店のWebサイトを覗いて、 週替わりのメニューをチェックする。 そんな習慣が定着しつつあるのが、 「クーリ」のランチなのであります。 野菜やキノコが魅力と特徴の「クーリ」にあってもやっぱり、肉か魚かがメインのお皿。 でも、日本の洋食へのアプローチもまた愉しいのが、「クーリ」なのであります。
coulis01.jpg 1月のある週には、黒板から「coulisの自家製カレー」をチョイス。 毎日のプレゼンテーション、15種類の野菜のお皿には、おほほ、ピッツァが載っていたりする。coulis02.jpg そして、届いたお皿の、カレーもなるほど、クーリ流。coulis03.jpgカレーにも野菜たっぷりがお約束。 素揚げした野菜の甘さやキノコの食感を愉しんでから、徐にカレーのソースを掬えば、そこにも野菜由来と思しき深いコク。 coulis04.jpgcoulis05.jpg ライスは雑穀米。 酸味とスパイシーさの頃合いもよろしく、うん、イケるカレーだ。


そして、2月のこの週のPasta Lunchは、「Coulisのナポリタン」。 coulis06.jpgcoulis07.jpgcoulis08.jpg 15種類の野菜のお皿をフォークとスプーンで平らげて、入れ替わりに受け取るお皿にも水菜やマッシュルームがトッピング。coulis09.jpgその下から、ナポリタンぽい炒め色が覗く感じ。 蕗の薹の芯の甘さを齧ったり、 成田産だという葉たまねぎの長葱のそれのような玉葱のそれのような甘さを愉しんでから、その下のパスタへとフォークの先を挿し込みます。coulis10.jpg そうだよね、Restaurantでのナポリタンは、こういう方向の仕立てになるんだよね。coulis11.jpg流石に、ケチャップたっぷりに太麺使って、やや焦げるくらいに炒めるって訳にはいかないのものの、 結構しっかり炒めてくれているのが、ナポリタンへのオマージュか。 新富の、花屋さん二階のレストラン、「クーリ」。coulis12.jpg「しょうが焼き」もあるでよ(笑)。 □関連記事:  Restaurant「Coulis」で カキのカダイフ極細衣と牡蠣のトキメキ(10年01月)  Restaurant「Coulis」で 彩り野菜の活力長野収穫のキノコたち(09年10月)  Restaurant「Coulis」で 15種野菜とハーブでポワレとキノコのパスタ(09年08月)


「Coulis」 中央区新富2-10-10 2F[Map] 03-6228-3288 http://www.coulis23.com/
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まぜそば「インフィニ」で 意外にノンジャンクまぜそばヤサイカライ

infini.jpg通過するばかりで、下車する機会のあまりない戸越公園駅。 その戸越銀座の駅前を通る商店街から外れたところに、ちょいと気鋭のラーメン店があると訊く。 こんなところにヨーカ堂があったのねと呟きつつ、歩くその先の暗がりに一点、スポットに照らした店が見つかった。 どこか「ajito」チックにも思うのが、 「インフィニ」のファサードだ。
手作り色満点の造作の、キーアイテムは緑に塗ったカウンター。 infini07.jpgそして店全体に鏤めた、サッカー嗜好のアイテムたち。 “FOOTBALL 麺CLUB”と謳う趣味の部屋に友達を招くような、そんなノリの6席であります。 お願いしたのは、「インフィニのまぜそば」。 「卵」「辛味マヨネーズ」「とろけるチーズ」のトッピング全部のせで挑みます。 なるほど、「ジャンクガレッジ」とほぼ同じ見栄えのドンブリ。infini01.jpg底のタレを十分に絡めるように、よーく混ぜ混ぜする、如何にも旨そうな麺は、ご存知浅草開花楼謹製。 粉の風味が活きた噛み応えの心地いい麺は流石で、口の廻りを汚しながらも、啜る動作が止まらない。infini02.jpg「ジャンクガレッジ」に思った、まさに”ジャンクな魅力”は、ここではそれがすっかり丸いものになっている。 尖がった味わいの代わりに少量のスープがドンブリ全体に旨味を齎して、上品ですらあるンだ。 牛骨を使っていると云われるのがなんだか頷ける、そんな仕立てのまぜそばだ。 日を変えてふたたび、師走の夜。 今度は、まぜそばでなく、「ヤサイカライ」と呼ぶ、つまりはラーメン。 湯掻いたキャベツ、人参、ほうれん草と、やや厚めにスライスしたチャーシューののった、穏やかな佇まい。infini03.jpg「カライ」というのはきっと、ドンブリの脇に添えている、魚粉や胡麻、干し海老などと和えた唐辛子を指す。 じゃ、「ヤサイ」というのはトッピングはもとより、野菜のピューレをたっぷり織り込んだもののように思えるスープのとろみを指しているのかと思いきや、これが和牛牛骨をじっくり時間をかけて煮出したものらしい。 これまた、動物系に思えない、意外なほどに優しい仕立て。 infini04.jpg開花楼の麺によく絡むそのスープに辛味を溶かし込むと、味わいの輪郭が立ってきた。 サッカーフリークの店らしく「ロスタイムライス」と呼ぶ、玉子と豚肉のスネほぐし、ライスボールのセットを追加して、辛味を足したスープに投入するのがどうやらお約束。infini05.jpginfini06.jpgノンジャンクなスープがゆえに、スープ完飲にも罪がない。
「ジャックガレッジ」で目覚めて生まれ営んでいた、 ネット販売専門ラーメン店「infinitus 0」。 業界初の無店舗型にはやはり無理があったのか、ネットからリアルなカウンターへと回帰したのがここ「インフィニ」だ。infini08.jpg無限大∞を意味する店名に籠めた想いは、どんなさらなる展開をみせるのでしょう。


「インフィニ」 品川区豊町4-1-14[Map] 03-6423-1788
column/02949

おこめやカフェ「八丁堀 鈴木米店」で まぐろユッケご飯優し旨し

suzukikometen.jpgランチのアイデアが浮かばない時によくお世話になっているのが、八丁堀のお米屋さん。 週替わりの「ごはんセット」にするもよし、 「お魚セット」はなんだろな?と考えながら、 路地を入るものまたよろし。 米屋の一角をカフェにした感じのお店ゆえ席は多くないので、出遅れると満席のこともある。 さて、どれにしようかな。
suzukikometen01.jpg 黒板から選んだのは、 10食~15食限定の「まぐろユッケ定食」。suzukikometen02.jpg鮪の赤身にうずらの玉子を溶いて、ユッケちっくにしてご飯のお供にするという作戦だ。 軽くヅケにした鮪と玉子は想像通りによく似合う。suzukikometen03.jpg小鉢や香の物、味噌汁、そして勿論茶碗のご飯が何気に優し旨し、なのであります。 別のお昼には、こちらも定番「鶏唐丼中華風オーロラソースがけ」。suzukikometen04.jpgフリッターっぽいというか、竜田揚げ風の鶏唐揚げにとろみしっかりのオーロラソースが垂らしてある。 ドンブリものじゃなくて定食仕立てにした方が、唐揚げ、ご飯、唐揚げ、ご飯の行き来を愉しむにより相応しいのでは思いつつ、ソースの利いたあたりの唐揚げをまた齧ります。 新メニューと謳う「ハヤシライス」はというと、さらさらとしたデミソースが意外な完成度。suzukikometen05.jpg自家製のソースなのだろうなぁ。 優しい風合いの中に旨みがしっかり滲んでいます。

suzukikometen06.jpg二階への階段の壁には、「NO RICE, NO LIFE」と訴えるオリジナルTシャツ(米Tby亀吉)のサンプルが飾られている。 普段は殊更そう意識はしていないけど、日本人たるもの、お茶碗によそったご飯のない人生は考えたくないものでありますね。

八丁堀の路地裏で、お米屋さんが営む”おこめやカフェ”、「八丁堀 鈴木米店」。suzukikometen07.jpgsuzukikometen08.jpg店先に置かれたガラ袋には、米糠がたっぷり。 回収してもらうために置いてあると思しき米糠が、ここでは精米し立てのご飯を提供してますよと謳っているようでもあります。 □関連記事:  おこめカフェ「鈴木米店」で 穴子ご飯とお惣菜ご飯の甘さと和み(06年05月)


「鈴木米店」 中央区八丁堀3-20-8[Map]03-3551-1011  http://www.suzuki-kometen.com/
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