Ristrante「KOUJI Cordiale」で 青物横丁の真っ当イタリアン

kouji.jpg大井町で買い物を済ませて、駅前のロータリーからタクシーに乗って、下るは仙台坂。 第一京浜の横断歩道を潜って直進したタクシーを、 青物横丁の駅前を過ぎた辺りで停める。 降り立った交差点のビル3階にあるのが、 リストランテ「コージ コルディアーレ」。 今宵は、築地王ほかの皆さんで囲む忘年会。 青物横丁でイタリアン?なんて声がどこからともなく聞こえてきそうな、そんな感じもまた愉しい。
リースも飾った板張りの階段からアプローチ。 白基調がすっきりと温かな、正統に洒落たホールが迎えます。 テーブルにまず届いたのは、「有機野菜のバーニャカウダ」。kouji03.jpgkouji01.jpgkouji02.jpg お皿には、アンチョビソースを中心に花開いたようにレイアウト。 この野菜って何?って話になって、「黒大根、黄カブに、紫人参、黄色いのが島人参で、これが金時ですね」。 そこで、ホールスタッフの勘違いを遮るように、「コールラビでは?」とその野菜の名前を説いたのが、ちょっと遅れてやってきたベジアナこと小谷さん。 一同「お~!」、さすが野菜ソムリエであるなぁと感心頻りであります。 続く前菜には、「和牛もも肉のカルパッチョ」。 kouji04.jpgkouji05.jpg そして、赤貝、ミル貝、ツブ貝、ホッキに帆立などの貝あれこれを生姜とエシャレットのソースでいただく「いろいろ貝のサラダ」。 ここで築地王、ちょうど刷り見本届きましたと取り出したのが「鈴与」三代目の生田さんとの共著、「築地じこみの魚の肴」。kouji06.jpgパラパラとページを捲ると、そこに書かれた肴のレシピはおよそ3ステップ。 ずらずらと冗長なレシピはお手製の酒肴には時に煩わしい。 グラス片手にキッチンに立つようなイメージが沸いてきて、写真も魅力的な実用派冊子だ。 スタイリングに奥さんが活躍の、「しずる!写真グルメガイド」の元さん宅で撮ったンだって。 お、それはもしや白子では~と覗き込むように受け取ったお皿は、 「北海道産真鱈白子とエリンギのフリット」。kouji07.jpgバルサミコソースのほの酸味を呼び水に、白子のとろんとそれを包む衣の好相性をぬははと愉しむ。 それはもう、エリンギの方はそっちのけ(笑)。 しゃかしゃかと豪勢に鏤めているのは、トリュフでありますなぁと再び覗き込んだお皿には「グリーンアスパラガスの炭火焼 温泉玉子と黒トリュフソース」。kouji08.jpgkouji09.jpg崩し溶いた温泉玉子にトリュフを混ぜ込んでソースにしちゃうというのは、 常套なれども、やっぱり反則だなって思っちゃう。
これまた待ってましたの牡蠣メニューは、 「大粒牡蠣と豆苗のクリームソース 手打ちタリアテッレ」。kouji10.jpgその名の通り、ぶりぶりっとした牡蠣がふっくらしたままクリームソースに包まれて、粉の風味の利いた平打ちパスタと主役を張り合ってるぞ。 パスタがもう一丁とは?というところでやってきたのが赤々と伊勢海老。 海老にはリングイネと誰が思い付いたのだろうねと思いつつ、くるっとして口に運ぶフォークの先。kouji11.jpgぶりっと力強いその身はもとより、トマトソースにたっぷりと滲んだ海老の旨みがいい。 そうそう、新刊書籍といえば、晴れて築地まんがガイド「築地あるき」を発売して大反響という、おざわゆきさん&なべひろさんもご同席。kouji12.jpg色紙にさっとペンを走らせては、キャラクターがみるみる描きあがっていく様子を、なるほどそんな手際を重ねて一冊になっていったのだなぁと、感心しながら眺めます。 いやーそろそろお腹も満ちてきたぞーというところで、メインの登場だ。 それがステンレスの大皿に豪快に盛られた、 「乳飲み仔牛の骨付きロースの炭火焼 焼野菜添え」。kouji13.jpgkouji14.jpg黒板にはジェノベーゼソースとあったけれど、仕立て変更の紅いソースがソースペリグー。 盛り合わせのデザートを平らげて、ふー、満腹満腹。 幹事のジュネさん、メンバー紹介にぴったりのしおり作成お手数さまのつきじろうさん、いつもコンビのGingerさんeatnapoさん、まいどのromyちゃんに祝ご結婚佃の旦那さんにもご同席多謝、ありがとーございました。 下町ノリの青物横丁で洒脱真っ当イタリアン、リストランテ「コージ コルディアーレ」。kouji15.jpg“コージ”はそのままシェフの名、”浩次”から。 “コルディアーレ”とはイタリア語で”真心のこもった”という意味だそうです。 「KOUJI Cordiale」  品川区南品川2-17-18 3F[Map] 03-5461-3762 http://www.kouji-cordiale.com/
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釜めしやき鳥「与志万」で 名物かき釜めしホフハフご飯と磯風味

yoshiman.jpg冷たい雨のそぼ降る銀座。 串揚げ「アンジュ」のある通りを歩いていると見つかるのが、角柱型のスタンド看板の上に載った羽釜。 そのお釜には、プレートがぶら下げてあって、「名物かき釜めし」と書いてある。 あ、ここがいつぞやのむのむさんが日記してたお店かと、看板の奥を覗き込む。 通路の奥の提灯で誘っているのが「与志万」だ。
冷えた両手を擦りながら、コの字に回したカウンターの隅に腰掛ける。yoshiman01.jpg目の前の硝子ケースの中には、今はなにもないものの、 清潔に整えられたその様子が気持ちいい。 夜の部のお品書きyoshiman02.jpgの筆頭は、串焼き(やき鳥)だ。 yoshiman03.jpgランチメニューはというと、目的の「かき釜めし」に続けて、 「五目釜めし」「竹の子構えめし」「えび釜めし」「しいたけ釜めし」「とりぞぼろ釜めし」「かに釜めし」「鮭釜めし」「穴子釜めし」と釜めしラインナップがずらっと並んでいます。 熱いので気をつけてくださいね、 という声とともに「かき釜めし」のお釜がやってきました。 パカリと蓋を外せば、沸き上がる湯気。yoshiman04.jpgグリーンピースを彩りに、牡蠣や竹の子、椎茸なんかの具材がごろごろっと載っている。 左隅から箸の先を入れて、ホフハフしながら口へと運ぶ。 ご飯全体を包む香りと牡蠣の磯な風味が相俟って、うん、いい。yoshiman05.jpgホクホクとしたご飯の温かさに、胃の俯からみるみる温まってゆきます。 後半には、釜の底辺りから薄っすらとしたおこげが現れて、香ばしさと焼おにぎり的歯触りが愉しめる。yoshiman06.jpg牡蠣を仕込んだ焼きおにぎりって、どこかで作ってくれないかなぁ、 なんて妄想が広がります(笑)。 銀座の真ん中の縄暖簾、釜めし・やき鳥「与志万」。yoshiman07.jpgやき鳥でちょっと呑って、釜めしで食事する。 きっと、そんな諸先輩も多いだろうことが容易に想像できるであります。 口関連記事:  串揚げ「アンジュ」 で 今年もカキ料理片栗に揚げた牡蠣かきそば(09年10月) 口オイスターパラダイスブログ:「カキタベ! ~牡蠣を食べよう!~」 「与志万」 中央区銀座3-3-6 モリタビル1F [Map] 03-3567-1767
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中華そば「麺屋○竹」で 名物中華そば魚出汁深い旨みと完成度

marutake.jpgずっと気になっていた、 丸太町の中華そば店「麺屋○竹」。 早い夕方に訪れても、売り切れ仕舞いを知るに留まること幾度か。 確か、魚介系スープが世間に広く伝播するに前後してのことだったと思うので、随分永い間の課題店だったことになる。 行列を作ることも少なくないらしかったけど、今は流石に落ち着いてきているのでしょうか。 昼下がりの竹屋町通りを辿り、お邪魔しました。
marutake01.jpgカウンターの一番奥に腰掛けると、オープンキッチンの正面に羽釜がでんでんと2器、据えてある。 「玉子かけご飯定食」や「焼豚まぶし定食」などは、この羽釜で炊いたご飯をいただけるんでしょね。 お品書きmarutake02.jpgには「中華そば」に「背脂醤油」「つけそば」「味噌そば」が並ぶ。 デフォルトに思う、「名物 中華そば」の並をいただきましょう。 キッチンから「ボーー!」と聞こえてくるのは、チャーシューを炙っているバーナーの音。 捧げるようにして、ドンブリが届きました。 キャプションを差し込むように立て掛けた海苔一葉には、 「京都 名物 魚出し 麺屋○竹」の白い文字。marutake03.jpgmarutake04.jpg「なんでんかんでん」で見るプリント海苔と同系の技術なんだろね。
およそ澄んだスープには、揚げ葱と刻み九条葱が浮かび、脂は少ない。 まずはと啜った蓮華のスープは、じっくりと深い旨みが濁りなく満ちていて、膨らんだ期待通りの味わいだ。 ダクダクと乱暴に沸かして煮出したら、こんなスープにはならないに違いない。 海産物の出汁スープを動物系のスープが下支えする、その按配がいい。 二つ折りのショップカードには、京都産の生醤油や沖縄産の海水塩などをブレンドして使っているとある。 marutake05.jpgmarutake06.jpg エッジが利いて熟成した粉の風味がサクサクと味わえる麺も好みのタイプだ。 marutake07.jpgふとお店の奥をみると、そこにはもうひとつの暖簾があって、頭上に「○竹庵」とする木看板が掲げてある。 「麺屋○竹」はその奥に和食処を設けていて、「地魚定食」「海老ふらい定食」「天ぷら定食」といった定食を始めとする魚料理も提供しているらしい。 羽釜のご飯は「○竹庵」のためでもあったのだね。 ラーメン好きが高じて、創作志向の海鮮中国料理の店からラーメン店に転身したという「麺屋○竹」。marutake08.jpgラーメンマニア×中華料理人が奇を衒うことなく仕立てたラーメンに、完成度への感心と満足とを思いつつ戻る、竹屋町通りでありました。 「麺屋○竹」  京都市中京区竹屋町通堺町西入ル和久屋町101番地 [Map] 075-213-1567
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食事処「かどや」で 吾が町新富45年お好み惣菜とおにぎり定食

kadoya.jpgナポリタンも魅力な新富町の喫茶「バロン」。 その窓際のソファーからふと見下ろすと、視線の先におでんや鯛焼きの「にしみや商店」の赤い暖簾。 そしてその隣の角地に緑の縞模様のテントを庇に張った建物がある。 その昔、なにかの商店として使っていたのかなぁという風情の佇まい。 「バロン」で食事を終えて眺めてみると、「お食事処」と白抜いた茶色い暖簾が出ていて、引き戸に小さな黒板をぶら下げている。 その黒板には、鮭中塩、たら焼き、あじ、野菜天、けんちん汁。 素朴なフレーズが並んでいて、600、700、800と値段が小さく書いてある。
入るのにちょっとした勇気のいる雰囲気が反って気になるのはへそ曲りの証左(笑)。kadoya01.jpg再びその暖簾の前に立って、一瞬の躊躇。 さりげなさを装って、さもいつも訪れているように、ガラガラっと引き戸を動かします。 kadoya03.jpg コンクリートの土間に古びたテーブルがふたつ置かれ、右手のカウンターには渋い風情の丸椅子が並んでいる。kadoya02.jpgと、オバチャンがそのカウンターの上からこちらを覗き込むように顔を出して、「いらっしゃーい」と応じてくれる。 少々所在なげにその丸椅子に腰掛けると、 「これ、鮭のおにぎり、これでどう?」とオバチャン。 思わず、へ?という顔をすると、「野菜の煮つけとかね、菜っ葉炊いたヤツとか、あ、やきそばあるよ」とつけ加えるオバチャン。 「普段はその場で掻き揚げ揚げたり茄子炒めたりするんだけど、今日はまだできてないなぁ」「そうそう、麻婆もあるよ」。 どうやら黒板に品書きはあるものの、いろんなお惣菜を組み合わせて定食にしてくれちゃうらしい。 おにぎりの定食ってのも面白いかも~と「オバチャン、おにぎりでいいよ、それとね、菜っ葉と野菜の煮物にお椀ちょうだい」とお願いする。 オバチャンはふんふん、てな感じで軽く頷いて年季の入った厨房で背を向ける。 おにぎり定食のお皿が揃いました。kadoya04.jpg おでんな煮物と高菜の炒め煮とお新香を交互に口に運びつつ、しっかり海苔の巻かれた丸いおにぎりを頬張る。 kadoya05.jpgkadoya06.jpgkadoya07.jpg こふいふ懐かしい雰囲気の中でいただくに相応しくって、和んでしまうお昼ご飯だなぁとなんだか嬉しくなる。 「以前は、大鍋でとん汁沢山作って、それがよく売れた」。 「しょくりょうしんてん(食料品店)やってから、その後食堂んなって、45年かな」。 問わず語りにお店の経歴を話してくれるオバチャンは、ここ最近で10軒飲食店がなくなって、新しく8軒できた、などと界隈の状況にも何気に詳しい。 勝手知ったる吾が町の日々の変容をずっと眺めてきたのよ、そんな感じかな。 塩鯖焼いた定食とか、野菜の掻き揚げの定食とか。 kadoya08.jpgkadoya09.jpg 暖簾を潜ると、「今日はなんにする?」と訊いてくれるオバチャン。 あるものならなんでも作ってくれるなんて、「深夜食堂」みたいだね(笑)。 枯れた風情とオバチャンの手料理がいい、新富町の食事処「かどや」。kadoya10.jpg試しに、なんで「かどや」って云うのと訊いたら、予想通りの応えが返ってきました。 「角にあるからよー(笑)」。 口関連記事:喫茶「バロン」で ケチャップ官能ナポリタンとナポリタンなグラタン(09年11月) 「かどや」 中央区新富1-10-7 [Map]
column/02917 @700-

BAR「HIGH FIVE」でカカオ風味の協奏モーツァルト・リキュール

highfive.jpgある朝の日経新聞にサントリーが仏オレンジーナ・シュウェッブス社を買収という趣旨の記事がありました。 紙面には買収・提携している他のブランドも補足してあって、その中に「モーツァルト・ディスティラリー社」という一節があるのを目に留める。 ちょこっと調べてみると、それはリキュールのメーカーらしい。 へーそんなブランドもサントリー傘下なんだ、と思ったその日。 在ザルツブルグのフルート奏者laraさんから、日本のツアーで「モーツァルト・リキュール」の小瓶を提供していただけることになりそうですと訊く。 ほー、なんというタイミング。 途端にどんなリキュールでどんな呑み方ができるンだろかと俄然興味が沸いてきました。
そんなこんなで、久し振りに銀座のバーへ。 店の名を「HIGH FIVE」。 あの「ロック・フィッシュ」の入っているビルと云えば、ピンとくる方もいるでしょう。 「HIGH FIVE」は、26ポールスタービルの一角にあるんだ。 ウッディな印象の店内と一面のバックバー。highfive01.jpgカウンターの椅子に腰掛けると、 バックバーを背にした「ニン!」とにこやかな上野さんの笑顔。 一気にひとを和ませてくれる、魅力的な笑顔だ。 laraさんが一輪の薔薇を差し出して、ひと通りのご挨拶。 今宵のチョコテルの会のメンバーは、 laraさんカクテル・マニアなつきじろうさんのむのむさんMさん。 上野さんが背にしているバックバーの真ん中あたりにすぐに見つかるコロンと丸いボトルが「モーツァルト・リキュール」たち。 さてさて、どんな風に仕立ててもらったらいいのかな。 highfive02.jpg「モーツァルト・リキュール」には幾つかの種類があって、 まずは「ブラック」を使って。 ロングのグラスを並べる上野さんが口にしたタイトルは、「シトラス・ショコラ」。highfive03.jpgふたつのジンジャーエールから辛い方を選んで、ステアするは、モーツァルト・ブラックとジンジャーエールの出会い。 ほほー、力強いカカオな風味とジンジャーエールの辛甘い風味がくるくるとツイストしてるような、そんな呑み口が愉しいな。 そうそう、愉しいと云えば、ライムをピールするときの上野さんの所作。 ひゅっと搾ったところを追い掛けて、掌底を繰り出すように「はっはっ」と。 そう口に出してる訳ではないけれど、まさにそんなイメージのする動きなんだ。 そして、上野さんがそんなちょっと不思議な所作をグラスに施すのは歴とした理由がある。 ピールした際の果物の皮のスキンオイルには重い油と軽い油があって、重い油の方はすっと下に落ちるけれど、軽い油はそのままふわふわと空気中を漂う感じになる。 重い油の粒子は苦みを伴うのでそのまま避けておいて、漂う軽い油を寄せるように集めるように、「グラスに行きなさい」とばかりに「はっはっ」として、シトラスな香りをつけるのであります。 なるほどー。 ふと棚の左寄りをみると、緑色が個性なボトル「MIDORI」がある。 メロンなフレーバーと「ホワイト」に想像するクリーミーさがきっと合うのじゃないかなぁと上野さんに告げると、なんとその組み合わせは、上野さんがモスクワでプレゼンしたレシピに相当するものだという。 おおー(笑)。 早速そのカクテルをとお願いすると、上野さんが手にしたのがプラスチックのシェーカー。 ステンレスのものと違って柔らかいので、 クリームなカクテルや氷の破片をカクテルに残したくない場合に使うんだそう。highfive06.jpg香港のかっぱ橋的なエリアで見つけて買い込んだというプラスチックのシェーカーを使っているのは、きっと自分だけだ、と上野さん。 highfive07.jpg 「サントリー角」や生クリームもちょっと使ったショートグラスは、 その名を「トップ・スクープ」。 ふんわり白雪のような白が仄かに緑がかっている。highfive08.jpgすっきりと繊細なクリーミーさとメロンの風味がすっと溶け込んでいて、 想像した以上に美味しい。 うーん、なるほどー。 それでは、オリジナルな「モーツァルト」はどうでしょう、と手にしたボトルは、金色の紙に包まれている。 その、「モーツァルト・チョコレートクリーム」のボトルのパッケージは、オーストリア、ザルツブルグで名物となっているチョコレート・トリュフ、「モーツァルト・クーゲルン」がそのモチーフとなっているそう。 highfive04.jpg モーツァルトのキャラクターを刻んだネクタイを首に揺らす上野さんが再びシェーカーをシャカシャカ振ってつくってくれたのが、カクテル「モーツァルト」。 チョコレートクリームに、黒糖っぽい蜜や生クリーム、ブランデー(クロバジェ・ルージュVSOP)、シナモン・リキュール(Kaneel likeur)、そして「ブラック」少々を添えたのがそのレシピ。highfive09.jpgチョコレートの風味はやっぱり生クリームの生地によく合うのだけれど、それがとっても大人な奥行きのある呑み口になっていて、これまた想像した以上に旨い。 そしてさらなるエポックが、世界でも極一部の都市でしかお目に掛かれない、「モーツァルト」の新種ボトルがカウンターに鎮座していること。 それがクリームリキュールの「モーツァルト」にして、透明なボトルがクールな「Dry」。highfive10.jpg 無色透明のその滴に鼻先を近づけると、間違うことなき、カカオの香り。 口に含むと、冷たい当初はキリっとした刺激を見せるかと思うと口の中で温度が上がるにつれて、カカオ風味を膨らませてくる。 おほほー、面白~い。 highfive11.jpghighfive12.jpg 「チョコレート・クリーム」は、チョコレートヌガーにミルクとチョコを加えて、キルシュワッサーなどのスピリッツをブレンドして寝かせてつくるけど、この「Dry」は路線が違っていて、カカオを素材にしたスピリッツそのものとも云えそうだ。 ボトルについた栞には、for exciting drinksとある。 laraさんたちが行った工場見学記にも登場しているぞ。 試しに、ライムとお友達にしてみて、とリクエストしてみる。 「ギムレット」の「Dry」版でしょうか。 今度はステンレスのシャーカーを振る上野さん。 さっきよりアクセントの強い振り方だ。 粒子の揃った美しいグラスの向こうに「Dry」のボトル。highfive13.jpg絶妙なバランスの上にのっけてくれているものの、柑橘と真っ向勝負させるのは「Dry」の持ち味を活かせないのかもなぁと自分のイメージ不足をちょと反省(笑)。 でもこの「Dry」は断然面白い。 世界のバーのカウンターで話題になっていくのじゃないかなぁ。 そうそう、お隣でグラスを舐めては、「うん、おいしー」と瞳をきらっとさせていたのがlaraさん。 laraさんの日本ツアーは、この25日(金)の日比谷・松尾ホールが皮切り(チケットはこちら)。 そして、長野から元旦・2日の岐阜、4・5日の神戸と回るそうです。 上野さんが「STAR BAR GINZA」から独立して、 「HIGH FIVE」をオープンしてまだ1年ちょっと。highfive14.jpgでも安定したこの愉しさはなんだろう。 同じカクテルは二度と作れず、ひとつひとつのグラスと一期一会で出口がないので止められない。 そう、上野さんはにこやかに実直に話してくれる。 留学経験と語学力を活かして「STAR BAR」在籍時に培った、国際的な交流や人脈も広いのだけど、妙な気取りは一切ないのもまた突き抜けた魅力です。


「HIGH FIVE」  中央区銀座7-2-14 第26ポールスタービル4F[Map] 03-3571-5815 
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