イタリアン・バール「BARDIGO」で ネグローニとカキスパゲッティ

bardigo.jpg野菜とキノコを活かしたお皿たちを堪能した「クーリ」を後にして、新富町の裏通り。 ずっと気になっている「トニーの店」の前に立つも、中からカラオケをがなるオッチャンの声が漏れてきて、渋いバーであったらいいのに、という期待はどうやら当ての違うものだったらしい。 少々残念な心持ちと、それでも一度訪ねちゃおうかなという野望(笑)を抱えたまま、首都高・京橋ランプの方へ向かって歩く。 目的地は、その京橋ランプ入口のすぐ脇にあるバール、「BARDIGO」だ。
店入口の両脇に置かれたテーブルにも先客さんがあって、空席があるか心配になるも、 ちょうど空いたテーブルがあって、すんなりとそこへ潜り込む。 週末のちょい深い時間帯の店内は、バールらしい賑やかさに包まれています。 カジュアルなカクテルが気分かなぁとメニューを漁って、指差したのが「ネグローニ」。 ジンベースで、カンパリとベルモットによる鮮やかな夕焼けのような色相のグラスだ。bardigo01.jpgフィレンツェの老舗リストランテ「カソーニ」が、常連客の伯爵ネグローニのために食前酒としてつくり、伯爵の名を冠するのを許可されたものらしい。 イタリアン・バールに似合いのカクテルのひとつ、ってことになるね。 そんなグラスになにかお供をとメニューを辿って目に留ったのが「カキと水菜のスパゲッティ」。 お腹は十分に満たされていても、「カキタベニスト」精神がひょっこり顔を出すのです(笑)。 Sサイズでお願いできるのが嬉しいぞ。bardigo02.jpg想定通りのお皿全体に小振りの牡蠣の風味がちゃんと廻ってる。 気仙沼の「生牡蠣」や「牡蠣のラルド巻きフリット」の用意もあるんだね。 どこからともなく夜な夜な仲間が集まってカジュアルに愉しんでいる、 そんなイメージのイタリアン・バール「BARDIGO」。bardigo03.jpg70年代のBGMが醸す懐かしさがオッチャンたちにも居心地のいい空間にしています。 口関連記事:Restaurant「Coulis」で 彩り野菜の活力長野収穫のキノコたち(09年10月) 口オイスターパラダイスブログ:「カキタベ! ~牡蠣を食べよう!~」。 「BARDIGO」 中央区新富1-4-3 レプレビル1F [Map] 03-3551-5535
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手打ちつけうどん「めんこや」で 肉汁うどんは武蔵野うどん派生形

menkoya.jpg幡ヶ谷にも武蔵野うどん系統と思われる手打ちうどん店があるという。 新線の階段を上がり甲州街道に佇んで、 首都高の高架を見上げる。 その足元に「カンパイ生ビール30円」とする看板menkoya01.jpgが立て掛けてある。 そのまま右手を振り向いて目を凝らすと、 その先の路上に「手打ちうどん」と書かれた木目の看板が見つかりました。 手打ちつけうどんの店「めんこや」は、云わば、幡ヶ谷の駅上にあるんだ。
menkoya02.jpg 円に”め”と書かれた硝子戸に手を掛けると、その右手で麺を打つ姿が目に留まる。 麺打ち場が通りに面して硝子張りになっているお店は少なくないけど、打ってる様子が覗ければ、ほうほうとか云いながら、そのお店に吸い寄せられてしまうこともあるよね(笑)。 menkoya03.jpgおひとりさまは、左手のカウンターへ。 つけ汁に茹で玉子を浮かべた「ぶったまうどん」とか、桜エビ・小エビの天ぷら載せの「エビ汁うどん」、ピリ辛肉味噌を和える「ピリ味噌うどん」「辛肉うどん」などなど、ラインナップはあれこれ。 でもやっぱり、注文むのは「肉汁うどん」大盛りであります。 「桜エビのあげ玉」を追加することもできるけど、それも我慢のデフォルトでいただきたい。 30円のカンパイビールを一気に呑んで待つひと時。 つけ汁に続いて、うどんの器がやってきました。menkoya04.jpg つけ汁に葱と一緒に浮かんでいるのは、武蔵野うどんお約束の薄切りバラ肉ではなくて、東坡肉のスライスという風情。 10時間煮込んだトロトロ肉、という謳い文句は、まさに煮豚であることを示しているね。 オリジナリティ含みで仕立てたい気持ちは判らなくはないものの、できれば薄切りバラ肉仕様であって欲しい。 ま、そんなこと思うのは極々少数派なのかもしれないけどね。 茹でたてシメたてと思しきうどんは、艶々として美しい純白。menkoya05.jpg太さや捩れからくる躍動感はなかなかも、見た目の表情からは地粉っぽさが窺えません。 つけ汁にトプと浸して一気に啜る。menkoya06.jpgつるつると滑らかに口元を過ぎた後、噛めばムチムチっとした弾力と歯切れ。 讃岐のコシとはまた違う個性ではあるものの、これは武蔵野うどんのキャラともまた違う。 ま、それはそれとして、適度につけ汁を絡ませながら、しなやかに逞しい量感を伝えてくれるあたりがなかなかニクイ。 たまたま運びこまれた粉袋は、日清製粉の「金すずらん」。 その「金すずらん」だけではなくて、他の粉もブレンドしているのかな。 武蔵野うどんから派生して独自世界に及んだ、手打ちつけうどんの店「めんこや」。menkoya07.jpg川越にあるという、元祖武蔵野うどん「めんこや 本店」との関係や如何に。 「めんこや」 渋谷区幡ヶ谷1-2-7 松井ビル1F [Map] 03-3320-4455  http://accele.cool.ne.jp/menkoya/
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ラウンジ「Peter」で 包む夜景沁みる歌声と響&ペリエの心地よさ

peter.jpg日比谷パークビルが鋼板で囲まれ、解体が始まったのはいつのことだったかな。 それはもう、おそらく5、6年前のこと(2003年)。 「アメリカン・ファーマシー」など、駐留米軍が及ぼした匂いの残滓があちこちにあって、独特の雰囲気があったことを覚えています。 その場所が「ザ・ペニンシュラ東京」に生まれ変わったのが、2007年9月のこと。 以来、見上げることはあっても、ホテルの中にアプローチする機会もなく過ごしていました。
日比谷パークビルに同じく解体されてしまった三信ビルの跡地では「大つけ麺博」やってるンだよね、などと話しながら皇居側のメインエントランスへ。peter01.jpg柔らかなローズピンクに照らしたホテルの威容を見上げつつ、エントランスのレストラン「ザ・ロビー」を通じてエレベータに乗り込みました。 降り立ったのは、最上階のラウンジ「Peter」。 ピンク、パープル、ブルーのグラデーションの光が包むpassageが迎えてくれます。peter02.jpg ステージを囲むようにゆったりと配されたテーブルたち。 そしてそのラウンジ全体を、全面硝子越しの夜景が、包むように迫るように。 黄昏時の眺望なんか特にきっと、素晴らしいンだろうなぁ。 今宵の「Peter」は、 Suntory「響12年」とのコラボ・ナイト「TOKYO NIGHT CLUB at Peter」。peter03.jpg暗がりに浮かび上がるように飾られた「響12年」は、30年、21年、17年に並んで、この9月に発売された新しいラインナップだ。 peter04.jpg
ここ「Peter」でのリコメンドが「響&ペリエ」。 円やかな甘い風味を基調としている「響」と、爽やかなミネラルの風味の「Perrier」の出会い。 そのスムースで甘美な呑み口に、思わず一気飲みしてしましいそうになる(笑)。 二杯めのグラスをいただいたところで、 スタンダードな歌声がラウンジに沁みるように響いてきた。peter05.jpg朗らかで安定感のあるその歌声と「響&ペリエ」のゆるゆるとした酔い気分が相乗して、 心地いい。 peter07.jpg 「響」を練り込んでいるというショコラを読点にして、おずおずと三杯目(笑)。peter06.jpg「響」の持つ一種の甘さは単調なものではなくて、幾つものニュアンスの違う香気がサテンが折り重なる様に通り過ぎてゆく。 その襞の間を「ペリエ」の泡の煌めきがそよいでいくような、 そんなグラスが「響&ペリエ」なんだ。 peter10.gif「TOKYO NIGHT CLUB at Peter」。 ちょうど日付の進む頃、大人なラウンジのざわめきとパノラマな夜景が包む世界を後にします。

その帰り際にいただいたお土産の箱を開けば、 「響12年」のミニチュアボトルと「ペリエ」のボトル。peter08.jpgいつものグラスで一杯つくってみたけれど、フルートグラスの方がお似合いだったかな(笑)。 「Peter」 千代田区有楽町1-8-1 ザ・ペニンシュラ東京24F [MAP] 03-6270-2763 http://www.peninsula.com/Tokyo/Peter/
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京寿司「祇園いづ重」で鯖姿寿司と鱧そぼろの箱寿司鯖の肝旨煮

idujyu.jpg八坂神社西楼門の目の前という立地ゆえ、どうもあからさまな観光スポットのひとつのように思えて、気になりつつもお邪魔することのなかった「祇園 いづ重」。 向かって左手の硝子越しでは、「鯖姿寿司」を筆頭に「箱寿司」「巻寿司」「小鯛笹巻」「海藻巻」「サンマ巻」「粟麩巻」といった京寿司がディスプレイされて、覗き込むひと達を誘っています。 ふと、ちょっと呑んでお腹を満たすのちょうどいい機会かと思い付いて、茜色の暖簾を払う。 奥でいただけるんですよね、と訊くと、ハイでもただいま満席ですのでお待ちください、と火鉢の脇の長椅子へと掌で促してくれました。 「く」の字を描くように奥へ進む、その両側は格子の壁。idujyu01.jpg能の謡か科白かを貼り込んでいて、 古色を含む雅な空間になっていて不思議に落ち着きます。 idujyu02.jpg店頭の品書きも念頭に、テーブルで睨むお品書き。 兎に角「鯖寿司」は外せないのだけど、一本はもとより半本でも「鯖姿寿司」だけだと飽きちゃうかもですよ、と小声でアドバイスしてくれる姐さん。 ですよね~と応えて、となれば、京寿司の組み合わせモノが相応しいのでしょう。 では、組み合わせ「鯖とぐぢ」では訊くと、「ぐぢ」が売り切れ(泣)。 気を取り直して、お願いしたのが「鯖と箱」であります。 ちょこっとお酒をいただいて、そのお供にとなにかと改めて品書きを眺めつつ、 何気なくちら見した柱の貼紙に「鯖の肝旨煮あります」の文字。 ほー、きっとそれは、いいんでないの(笑)。 姐さんは、はいよってな調子で注文を受けてくれ、さっと届けてくれた鯖の肝。idujyu03.jpgその姿のままでありながら、パテにした鶏レバーに似た柔らかなコクを思う食感と味わい。 こりゃ、まさにお酒がすすんで困る、って奴だね。 そしてタイミング良くやってきた、「鯖と箱」。idujyu04.jpg「箱寿司」は、つまりは押し寿司で、小鯛、とり貝、えび焼身、厚焼き玉子、椎茸の押し寿司を碁盤の目にパッチワークしたかのように艶やかに箱に収めたものが「上箱寿司」のスタイルらしい。 組み合わせの「箱」は「並箱寿司」で、この時季は活き鱧で拵えるもの。idujyu05.jpg鱧のそぼろがほの甘く香ばしい。 酢飯とよく馴染んで、シンプルな姿に一種の手練を思わせます。 その背後に控えるは、対馬産鯖による「いづ重」名代「鯖姿寿司」の三片。idujyu06.jpg「昆布はとってから召し上がってください」ということで、やや粘りをみせる昆布をその周りから剥がすと、鯖らしい銀の縞模様が姿を現す。idujyu07.jpg切れ味潔い断面を愛でながら喰らいつくと、うん、旨い(笑)。 鯖らしい風味が丸く柔らかく凝縮していて、角なくこなれた酢飯との一体感もいい。 半本くらいお土産に買って帰ろうかしらん。 「いなり」も気になる、祇園石段下京寿司「祇園 いづ重」。idujyu08.jpg初代が奉公先の「いづう」から暖簾分けを許され、明治の末に創業したという老舗。 その「いづう」との食べ比べもしてみたいな。 「祇園 いづ重」 京都市東山区祇園町北側292-1 [Map] 075-561-0019
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Restaurant「DA Noi」で 名物スープと猪のワイン煮込みパスタ

danoitakanawa.jpgかかりつけの高輪の病院で診察を済ませた後、 てろてろと品川駅方向へと坂を下る。 台風の余波か、冷たい雨に強い風が混じってる。 どこかで昼ご飯したいなぁと思案しながら立ち止まった信号が、東武ホテル前。 あ、そうだ、ここに「ダノイ」があるんだったと急に思い出して、今日は営業してるかな、と振り向くと、三色旗が揺れているのが見つかります。 小熊のマスコットが迎えてくれました。
「ダノイ」のお昼は、パスタランチA、きまぐれランチB、シェフおかませランチC、 そしてステーキランチDと4つのグレードのコースランチがある。 あとは、数量限定の日替わりランチかいっそアラカルトか。 ここは素直に、Aランチ。 前菜から「ダノイ名物 豆と野菜を煮込んだスープ」、パスタに「スパゲティー二 猪の赤ワイン煮込み」を選びました。 気取らず、カジュアルにはなり過ぎず、のフロア。danoitakanawa01.jpgソファーの落ち着いた朱色やテーブルクロスのピンクもきっと、入口廻りのブランディングパネルの赤をモチーフにしているのだろうね。 スープ皿が届きました。danoitakanawa02.jpgdanoitakanawa03.jpg前菜と云えども、名物というからには、それなりの自信作なのだろうなんて気負いをやんわりと押し返す、優しいお味。 ひと口目は、ひと味足りないかもなぁと思うも、ふた口み口するうちに、あ、これでいいんだと妙に納得の豆と野菜のコク味がやってくる。 粉チーズをパラパラすれば、また違うひと口が愉しめるね。 賽の目肉を載せたパスタは、なるほど赤ワイン煮込みをソースにして和えた仕立て。danoitakanawa04.jpgdanoitakanawa05.jpgこの肉がイノシシかどうかと訊かれると確かにそうだと応える自信はないけれど、まぁそうなのでしょう(笑)。 あれ?醤油も使ってる?的な独特な風味はどこからくるのかなぁ。 もしかして昨晩のメイン料理の残りをパスタにアレンジしてたりして。 などと考えているうちにぺろんと啜ってしまいました。 danoitakanawa06.jpg デザートのタルトを食べながらふと思いつく。 そういや、遠い昔、キャベツのスパゲティが話題になっていたんじゃなかったっけと改めてメニューを眺めると、「スパゲッティーニ カーヴォロ」というのが、キャベツとアンチョビのパスタ。 そうだ、西麻布の本店でいただいたンだったとやっと思い出す(笑)。 もう、随分昔のことだもんなぁ。 「ようこそ我が家へ」。 ホテル附設のレストランであってもどこかアットホームな雰囲気をもつ「DA Noi」。danoitakanawa07.jpg西麻布の店1階の「パネッテリア」や栄「ラシック」にも出店していることもあってか、 最近はもう、Altri(その他の)とは呼ばなくなっているようです。 「DA Noi」高輪 港区高輪4-7-6 高輪東武ホテル1F [Map] 03-3440-4424 http://www.danoi.jp/
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