地粉つけうどん「福福」で辛味みそやつけカレーでもやはり肉つけ

fukufuku2.jpg武蔵野うどんをこんなに身近な場所で啜れる!ってことでいつもお世話になっている「福福」。 バール的かつ港屋的ソバの店「アマンシオ」は、路地を挟んでお隣さんだ。 丁寧な接客のおばちゃんふたりに迎えられて注文むのは大概「肉つけ」。 店内の様子を聞いていても、7割り方は「肉つけ」みたい。 皆さん、分かっていらっしゃる(笑)。
たまにはちょっと、趣向を変えてみようかとお願いしたのが、冷やしうどん「辛味みそひき肉」。fukufuku2_01.jpg云わば、ジャージャー麺のうどん版といったところでしょうか。 平皿に盛りつけた田舎うどんに胡瓜の千切りをあしらって、その真ん中にピリ辛味噌に仕立てた挽肉あんがトッピング。 たっぷりの薬味と一緒にぐにぐにと混ぜては、音を立てて啜ります。 fukufuku2_02.jpgfukufuku2_03.jpg うんうん、ほの辛い味噌のまったりが絡んでズルい感じになってくる。 そこへ胡瓜のシャキシャキがリズムを生んでくる。 でも、折角の地粉の風味は頭を引っ込めちゃってることになる。 帰り際、温かい「カレーうどん」はあるfukufuku2_04.jpgけど、冷たい「つけカレー」はできないのですかとオバちゃんに訊くと、右手を口元に添えて、大きな声じゃ云えませんが的雰囲気で「できます~」と仰る。 ならばと間を置かず出掛けた、雨のそぼ降る日。 「つけカレー、お願いしたいンですけど~」「あ、あ、はい~」とウインク(はしていない、笑)。 fukufuku2_05.jpgとろみの強いつけカレー汁に量感逞しいうどんをどぶんと漬けて、跳ねないように気遣いながらも、ズズと啜る。 やや塩っ辛いカレー汁に噛み応えで応じる、田舎武蔵野うどん。 うむむ、うむむと唸っているうちに、あ、なくなっちゃった。 お約束の如く、茶碗小盛りのサービスご飯を残りのカレー汁に投入して、掻き込めば、思わずお腹を叩きたくなる満腹満足。 だけどやっぱり、武蔵野うどんは、これでなくっちゃと連チャンかましにやってきた。 オバちゃんに告げるは、「肉つけ大盛りで、ご飯なしで」。 届いたお皿に思わず、おお、っと小さく呟いてしまう。fukufuku2_07.jpgイワユル、5Lくらいのボリュームはありそうだ。 逞しくうねる地粉うどんをまさにムンズとひっ掴む。粉は上州のものを使っているという。 fukufuku2_06.jpgfukufuku2_09.jpg そのうどんを堂々と迎えるは、ばら肉の浮かぶつけ汁。 噛み応えとともに粉の風味がぶわわんとし、そこにばら肉の脂の甘さと汁の出汁の旨味が相乗威力を発揮する。 fukufuku2_08.jpgfukufuku2_10.jpg うん!と膝を打つ気分のまま、口の廻りに汁の飛ぶのも気にせずに、 ずずずとぶわわんを繰り返します。 こうでなくっちゃなぁ(笑)。 なぜか八丁堀で営む地粉つけうどんの店、「福福」。fukufuku2_11.jpg得られそうで意外に得にくい望郷の味にこんな身近で浸れることの幸せに、改めて感謝であります。 口関連記事:ソバール「アマンシオ」で 冷たい汁の肉そば温か汁で鶏そば(09年04月) 「福福」 中央区八丁堀3-11-8 [Map] 03-3553-2929
column/01546 reprise-01 @850-

インド・ネパール創作料理「プラクリティ」でカレーセットのコク旨味

prakriti.jpgたん料理専門店「助六」の脇を入る路地。 お米屋さんが営むおこめカフェ「鈴木米店」の並び辺りでカレーの匂いを嗅いだのは、この4月半ばのことでした。 開店祝いの生花を飾る、 インド・ネパール料理の「PRAKRITI」。 スリットの間から店内を覗くと、あちらのヒトらしい人影がタンドールからナンを引き上げるところでした。 うー、カレーが呼んでます(笑)。
「カプリアティ」のランチメニューprakriti01.jpgは、「チキンカレーセット」から「プラクリティカレーセット」までの都合9本立て。 「マトンカレーセット」からいただいてみます。 辛さは、「中辛」くらいかな。 prakriti02.jpg サラダのあとに届いたのは、ナン、サフランライスとの一緒盛り。 焼き立てにバターオイルを塗ったナンをあちちと引き千切り、赤茶色いカレーを皿から掬って、垂らし載せるようにしてそのまま口へ。 prakriti03.jpgprakriti04.jpg うんうん、加減のいいコク味が素直に嬉しい感じ。 マトンの風味も柔らかで、そこへ針生姜が色を挿す。 相変わらず手がベタベタするのは、難儀なような、喰ったぞー感が増すような(笑)。 メニューの後段に「スペシャルカレーセット」というのがあって、それは選んだカレー2種類と「パパード」「チキンティッカ」も一緒盛りした豪華版。 チキンとポークとダブルに肉系カレーを選んで、迎えるお盆。prakriti05.jpg真ん中手前でナンの上に載っている丸いのが、インドのせんべい「パパード」。 そういや、長原の「MOON」では、パリパリとビールのあてにしたっけな。 赤く焼き上げた「チキンティッカ」を削ぎ取るように味わって、再びナンを引き千切る。 微妙に色合いの違うカレーをチキンから、そしてポークへ。prakriti06.jpg甘さに似たクリーミーさにとっぷりと含む旨味がいい。 やっぱり辛さは、中辛あたりがよろしいようで。 そんなに辛い訳じゃないけど、口腔のちょっとしたヒリつきはヨーグルトで鎮めてあげるンだ(笑)。 八丁堀の路地で営みはじめた、インド・ネパール料理の店「プラクリティ」。prakriti07.jpgおねえさん曰く、「PRAKRITI」とは「自然、という意味だそうです」という。 インド哲学的には、根本原理とか、母なる神とか、色々と深い意味合いがあるらしい。 インドで修行したネパール人料理長が厨房を取り仕切っているというのだけれど、インド料理とネパール料理に明確な違いはあるのかな。 今度また、訊いてみよ。 口関連記事:   たん「助六」で たんは焼かずにしゃぶに佳し唐揚げつくねに角煮(09年05月)   おこめカフェ「鈴木米店」で 穴子ご飯とお惣菜ご飯の甘さと和み(06年05月)   カレー居酒屋「MOON」でなかなかにソソる風景カレーチャーハン(08年10月) 「プラクリティ」 中央区八丁堀3-20-7 [Map] 03-3551-7828
column/02826 @900-

麺楽喰座「井田商店」で 特醤油特塩つけ太麺井出商店にあらず

idashouten.jpg荏原中延でラーメンといえば、ご存じ「多賀野」。 大御所大崎さんも辿った経路をなぞるように、「多賀野」の店の様子を横目にそのまま進む。 するとそこには、「昭和通り Shopping Town」と大きく示すネオン。 ところがその先の通りは商店の灯りも疎らで、その暗がりとネオンの派手さのコントラストが、随分と寂れた町を訪れちゃったな的気分を誘います。 そしてそのネオンゲートの足下にあるのが、「井田商店」。
ん?こんなところに「井出商店」?と思うヒトも少なくないはず。idashouten01.jpg狙ってない?いやいや、知らないはずはありません(笑)。 店内はL字のカウンターと左手の壁に向かう席。 赤いスツールが迎えます。 「井田商店」のラーメンは、醤油か塩か。 味玉、チャーシュー増し、ネギ増し、海苔増しにトッピングを盛った「特醤油ラーメン」をいただきます。 湖面の所々に脂の粒子がふつふつと浮かび、啜ればきりっと醤油の利いたスープ。idashouten03.jpg 随分前に食べた、あの店のスープに似ているのだけれど、それがどこだか思い出せないのがもどかしい。 麺は縮れの少ない細麺で、 見た目の濃さとは裏腹に意外とあっさりしたスープとのバランスは悪くない。 idashouten02.jpgidashouten04.jpg でももうちょっとなにか、ひと押しが欲しい、そんな気分になる。 idashouten05.jpg後日改め、「塩つけめん」も特盛りで。 つけツユを塩で出しちゃうってことは、スープに自信がなければできないことだよなーと思いながら、薄茶色のツユに太麺を泳がすようにして啜ります。 idashouten06.jpgidashouten07.jpg ああ、ツユが塩辛い。 大概つけ汁は塩辛い傾向のものではあるけれど、コシがあるというよりはどこか硬質な印象の太麺と拮抗させようとするうちに、どんどん塩が強くなってしまったかのよう。 それでいて、シズルな惹きがあまり感じられないのが、残念か。 荏原中延、昭和通りのネオンの下の麺楽喰座「井田商店」。idashouten08.jpgもうひと超えスープ自体に力強さがほしい、そう思います。 こんな感じが個性なのかもとも思いつつ。 口関連記事:中華そば 「井出商店」 で雑味なき豚骨スープに細麺中華そば(07年09月) 「井田商店」 品川区中延2-16-8 [Map] 03-6426-4616
column/02825 @850-

手打ちうどんそば「甚五郎」で糧うどんに知る武蔵野うどん繊細版

jingoro.jpg花小金井駅を南口から出て、小金井街道に出る。 今年一番の暑さの中、そのまま小金井カントリー方向へ南下すると、鑑賞鯉のお店の向こうに看板が見えてきた。 手打ちうどん、そば「甚五郎」。 郊外の、そして街道沿いのお店らしく駐車場を広く備え、 それなりの容量のハコだとその外観が示しています。 およそゆったりとテーブルを配した店内。 左手の小上がりの座布団に座り込んで、早速品書きを眺めます。
炎天を歩いてきた勢いで、「ビール!」と叫びたい気分をぐっと堪えて(笑)。 ところが、武蔵野うどんだったらやっぱり「肉つけ」系統だよねと決め込んでいるのに、パウチしたランチメニュー二枚の裏表にそれに該当するようなモノが見当たらない。 あれあれ、と思いながら綴じてある方の品書きを取り出して、そっちも捲る。 んー、ここにもないかぁ(落胆頭垂)。 それならどうする、と改めて品書きを眺めると、「糧」という文字が目に留まる。 以前「エン座」の「糧もり」で出会ったことのあるキーワードだ。 その「糧(かて)もりうどん」をお願いしましょう。 と、急にどこからかモノタリナイかもよーとの声が聞こえてきて(笑)、慌てて「野菜天ぷら盛り合わせ」を追加します。jingoro01.jpg 天ぷらが先に届くと、ますますビールへとイキたくなるよなぁと苦笑しているところへ、うどんの膳がやってきました。jingoro02.jpg おかあさんが「糧のお野菜もツユにつけて召し上がって」とひと言。 うんと頷いて、早速箸を割ります。 此処でいう「糧」というのは、野菜を味付けせず湯掻いたもの。 素うどんではなんなので、畑の恵で栄養を摂ってよ、なんてことなのかな。 湯掻いて水で〆たばかりなのがその表情からよく伝わる艶めかしさ。jingoro03.jpg薬味をさっと入れ、うどんを浸し、ずーーっと一気に啜る。 太さ量感、そして粉の風味ともに意外なほどに繊細で、野生的な顔つきが本懐ともいえる武蔵野うどんの中では異端かもしれない、そんなうどんだ。 だけれど、讃岐のそれとも違う魅力を孕んでいて、透明感のある粉のコク、とでも云いましょうか。 jingoro04.jpgjingoro05.jpg 加減よく丁寧に湯掻いた、茄子、大根、菠薐草、人参、白菜といった瑞々しい野菜たちも今日の糧になるのですね。 小平の手打ちうどん・そばの店「甚五郎」。jingoro06.jpgできればうどん専門店であって欲しい、というのは勝手な思い込み(笑)。 手打ちそばうどん、でなく、手打ちうどんそば、であるところにきっと意図はあるのでしょう。 関連あるや否やは別にして、武蔵野あちこちの「甚五郎」については、「Con Brio!!」に詳しいぞ。 口関連記事:武蔵野本手打うどん房「エン座」で むほほーの季節の霙糧もり(07年10月) 「甚五郎」 小平市鈴木町2-865-8 [Map] 042-385-8551
column/02824 @1,800-

ほうじ茶「森乃園茶房」で 抹茶と違いほうじ茶パフェは熟々難しい

morinoen.jpg洋食「Grill TSUKASA」への道すがら。 人形町通りから甘酒横丁へと折れ入ったところでいつも感じる香ばしさ。 煎ったお茶の薫りをふふんとさせている犯人は、ほうじ茶の店「森乃園茶房」だ。 日本茶あれこれではなくて、ほうじ茶の専門店として謳っているあたりが興味を惹いて、看板を見上げれば、創業大正三年とある。 人形町の老舗のひとつなのですね。
morinoen01.jpg店左手の脇道には、「甘味処 営業中」の看板。 へーと思いながらショーケースを覗くとそこには、 背の高いグラスのサンプルが並んでる。 そうですか、そうきましたか(笑)。 さすれば早速、人形町で「パフェラッチ!」。 横手の入口を入り、再び香ばしさに包まれつつ二階への階段を上がる。 殺風景にも映るフロアの窓際テーブルに進んで、一応お品書きを横目にする。 ほうじ茶のお店ですもの、何にするかは決めていたけどね。 morinoen02.jpg ほうじ茶を啜りながら、「ほうじ茶パフェ」の到着を待つ。 ひとりぽつねんとパフェを食べんとするオヤジがいる光景ってどうよ、 などと考えつつ(笑)。 トップのクリームは、如何にもほうじ茶色をしているけど、舐めてみると、モカのような、残り香に微かにほうじ茶の風味があるような。morinoen03.jpg最中の中身は滑らかな粒あんで、キューブ状のシフォンなヤツは、ん?なんだろう。 白玉に並んでいる褐色の玉にもほうじ茶が使われているような、そうでもないような…。morinoen04.jpgその下に潜んでいた薄茶色のアイスからは口の中で溶け終わる頃に、ほろ苦いようなほうじ茶の風味がする。 でもそれは、そう思って食べればこそのもの。 morinoen05.jpgmorinoen06.jpgmorinoen07.jpg そしてグラスの底の寒天が茶色を帯びて見えるのは、ほうじ茶由来かそうでないのか。 うーん、熟々、ほうじ茶パフェは難しい(笑)。 抹茶だったら、その鮮烈な風味とあんこなどとの相性もあって、創り易いだろうことが反って際立ってくるンだ。 自家焙煎ほうじ茶の店「森乃園茶房」。morinoen08.jpgここはひとつ専門店のこだわりを発揮して、食べるほどに舐めるほどに「おー、ほうじ茶だぁ~」とニヤケてしまうくらいの「新・ほうじ茶パフェ」の開発を期待しまっす。 口関連記事:人形町「Grill TSUKASA」で ハヤシライスがっつり赤身麦豚ソテー(09年06月) 「森乃園茶房」 中央区日本橋人形町2-4-9 [Map] 03-3667-2666 http://www.morinoen.co.jp/
column/02823 @1,050-