BISTRO et BAR「ANDRA」で 牡蠣と苺焦がしフォアグラサンド

andra.jpg「山下達郎 Performance 2008-2009」を味わいに、 NHKホールまで。 実に6年振り、ファンクラブ限定のアコースティック・ライブ以来でもおよそ5年振りの達郎のステージが観れるとあって、楽しみにしていました。 古くからのファンから最近達郎を知ったであろうヒトまで、老若男女に喜んでもらおうと腐心したセットリストには、初期の頃の聴けそうでなかなか聴けないナンバーから往年のヒット曲、ここ近年の佳曲までをバランス良く構成していて、流石のひと言。 そして相変わらずの声量と新メンバーを加えたバンドの完成度。 3時間に亘るステージを休まずこなし、うん、オジサン頑張ってるなぁ(笑)。 いやはや、大満足でありました。
満足の余韻に浸りながら、近くでメシしましょう、ということで訪れたのが、NHKからほど近い区役所前の横路辺り。 コンクリート打ちっぱなしの外階段を3階まで上がったところにあるのがビストロ「ANDRA」です。 およそ埋まったテーブルたちが、賑やか。 予約の名を告げ、入口寄り窓際へと案内されました。 まずは乾いた喉をプレモルで癒してから、メニューをしげしげ。 定番メニューから、「玉ねぎのキッシュ」と「ポークリエット」。andra01.jpg白ワインで煮込んだ豚肉をペーストにと謳ったリエットは、こういふ風に缶詰のツナみたいにぱさぱさとしたリエットもあるのねンねと思わせる。 andra02.jpg 小皿に出された玉子焼き的なのがもしやお願いしたキッシュ?ちょっと違うよなぁと思っているところへ「玉ねぎのキッシュ」がやってきた。 玉子使いな感じがキッシュのイメージなのだけど、覗く断面に玉子っぽさはない。andra03.jpgトロっとさせた飴色の玉葱がメインのキッシュは、玉葱の甘さがそのまま伝わって、 これはこれで悪くない。 ただそれが創作っぽさにも映って、ほんのちょっぴり鼻白む(笑)。 andra04.jpg 赤をいただいちゃおーと選んだのがシラーの「CLINE sonoma 2007」。 ドッシリせず、ほどよい濃度とほのかな肉桂風味のスパイシーは、描いていたシラーのイメージにほぼ一致。 あ、でもこれ、カルフォルニアワインだね(汗)。 メニューの裏側に、川崎健氏の日本一の牡蠣料理、と括っている行がある。 川崎健氏ってどなた?と思って顔を近づけると、「殻付き生牡蠣」のところに「広島県地御前の川崎健氏」とある。 広島の牡蠣養殖の親方、ということなのでしょうね。 「牡蠣のグラタン」に「健牡蠣のシャンパン蒸し」、そして「牡蠣と苺の焦がし焼き」。 え?牡蠣と苺、ですと?? ここでよしゃぁいいのに、怖いモノみたさの気持ちが首を擡げたのは、ワインの所為でしょうか、それともさっき心の琴線を震わせてくれたタッツぁンの所為でしょうか(笑)。 サラダ仕立てにイチゴの赤が映えるお皿。andra05.jpg今にも駄洒落を云いそうなムッシュは、「牡蠣と苺一緒にどうぞ」と仰るけれど、う~む、これがどうもあんまり美味しくない。 ちょっと焼いちゃった苺の周囲が柔らかく、酸味が立って、牡蠣のソテーとはまさに不思議な取り合わせ。どういう発想からコンビを組ませようとしたのか、判らない。 もしやと妙な期待をして注文んだ方がイケナイのですね。 そして、アンドラ名物と謳ったメニューが「フォアグラのサンドウィッチ」。 カラフルな楊枝で留めた様子はクラブサンドのようでもある。 断面から覗いているのは、どうやら大根のよう。andra06.jpgandra07.jpgはむっと中身が飛び出さないように齧りつくと、やっぱり大根。 フォアグラ入りの大根サンドと説明した方が判り易いかもしれないな。 う~む。 デンマーク語で「2番目の」、もしくは「とっておき」「お気に入り」という意味という「ANDRA」。andra08.jpgメニューの選択を誤ったのか、今回はお気に入りとなるには至らず。 目先を変えた創作エッセンスが漂うお皿たちに、 こういふのが渋谷の若者にウケるのかしらんと腕を組む。 オジサンに渋谷の夜は難しい、のかも(笑)。 「ANDRA」 渋谷区神南1-7-5 アンドスビル3F [Map] 03-3464-5894
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とんかつ「まるや」で ヒレかつ1.5野菜コンビ衣さくぅぅうと天空切り

maruya-karasu.jpgヒロキエさんの記事でもお馴染みの、 「まるや」新橋烏森口店。 アイデアが浮かばない時の夕ご飯候補の筆頭として、 すっかりお世話になってます。 すっきりシンプルに纏めた店内は、右手に「豚花楽林」の額maruya-karasu06.jpgを横目に壁に向かうカウンターがあり、左寄りにテーブル席、そして奥の厨房前のカウンターというレイアウト。 真っ直ぐ進んで油鍋前に陣取るのもありかもしれません。
「まるや」は、ロースもいいけど、ヒレもいい。 ガッツリいっちゃいたい時でも迷わせるお品書きmaruya-karasu01.jpgで、限定2タイトルの「厚切りロースかつ定食」もあれば、「限定わらじヒレかつ定食」もある。 そして今夜は、「ヒレかつ1.5倍定食」でガッツリ(笑)。 ドンドンドンと、まさにカツ5割り増しな光景のお皿がやってきます。 maruya-karasu02.jpgmaruya-karasu05.jpgmaruya-karasu03.jpg コンガリしっかり目に揚がった衣のパン粉はやや大きめ。 さくぅぅう、という歯触りの直後に追い駆けるヒレ肉の軋み。maruya-karasu04.jpgその軋みからは、ロースの脂の甘さとはまた違う、肉齧りの醍醐味の一端が楽しめるのであります。 勿論、決してパサついたりはしない。 そして「まるや」の秘かなトピックが、符丁”コンビ”。 「野菜コンビかつ定食」は、その名の通り野菜のカツたちがタッグを組んでやってくる盛り合わせ。 maruya-karasu07.jpg ある夜の野菜は例えば、オクラ、茄子、椎茸、人参。 そして、小海老を包んだカツよりもさらに余所では見掛けることのないのが、カリフラワーのカツ。 maruya-karasu08.jpgmaruya-karasu09.jpg 魚の擂り身に玉子多目の衣を滲み込ませるようにした工夫と意外性がニクいのだ。 maruya-karasu10.jpg油鍋前に陣取ることの価値は、駅前ビルでもその真摯な姿勢が印象的だった店主の油切りアクション、謂わば「天空切り」が見れるから。 揚げ網と一緒に空へ向けて掲げた両手をひと呼吸。 それは、カツが軽やかになるように、念じるかのように祈るかのように。 あの衣の、さくぅぅう、はこの所作が生んでいるのかもしれないね。 今日も「人生カツを喰て勝つ!」の幟を翻らせて、 元気のあるヒトもないヒトも力強く誘うとんかつ「まるや」。maruya-karasu11.jpg今や烏森口のパワースポットのよう、であります(笑)。 口関連記事:とんかつ「まるや」 で限定厚切りロースかつ官能に訴える(08年02月) 「まるや」新橋烏森口店 港区新橋3-22-2 つるやTKビル1F [Map] 03-3433-6129
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手打蕎麦「笛家」で 曇りなき牡蠣の魅力蕎麦打つ音を聴き乍ら

fueya.jpg何度もその様子を覗きながら、どうも触手の動かなかったお蕎麦屋さん。 並びの建物が取り壊されて、入口廻りの景色が臨めるようになったら急に気になる度合いが増しました(笑)。 いまだ「新そば」の小旗を掲げているのを横目に、 「新そばの定義ってなんだろね」と思いながら、 枯茶の暖簾を潜ります。
店内に入ると途端に、「ダンダン、ズン」という音が聞こえてくる。 店の左手奥の硝子越しに麺打ち場があって、ご主人とお見受けするオヤジさんがせっせと蕎麦を打っています。 小さな子供連れの若夫婦を右手に、その横の小上がりに座り込みました。 fueya01.jpg 壁の貼紙には、「季節限定牡蠣そば」の筆文字。 だよね、だよねと(笑)、早速オバちゃんに声を掛けます。 麺打ち場から今度は、「トントントントン」とリズムカルに蕎麦を切る音が聞こえてきます。 届いたドンブリには、ゴロコロと牡蠣の身が主張していて、ささやかなる壮観。 fueya02.jpg 海苔を下に敷くというのは、牡蠣蕎麦のスタンダードな仕様なのかなぁと感心しながら、その海苔と牡蠣と蕎麦とを一緒に口に入れたりする。 臭みも曇りもない牡蠣の魅力が真っ直ぐで、思わず笑顔、であります。 fueya03.jpgfueya04.jpg そして蕎麦そのものも脇役に甘んじることなく、手打ちらしい口触りと風味を実直に訴えてくる。 甘汁も、醤油やや控えめで、その分誤魔化しのない出汁がすっきりと愉しめる。 今まで余所見してたのが、ちょっと申し訳なかった感じ。 旗の台の脇道にこつこつと、ダンダン、トントンと手打ちの音を鳴らしている手打蕎麦「笛家」。fueya05.jpg今度またちょっとした肴で冷えたお酒少々と冷たい蕎麦をいただきたいな。 暖かくなった頃の夕方にでも。 「笛家」 品川区旗の台3-13-3 [Map] 03-3782-6672
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Pizzeria & CafeBar「Cagna Cagna」で 薄切り茄子ピッツァ

cagnacagna2.jpgほんのちょびっと優雅な週末ランチをしたい朝。 そんな時思い浮かぶのが此処、 長原の「Cagna Cagna」。 こう書いて、「カーニャ・カーニャ」と読むンだ。 白い壁に描かれたイラストは、コックコートの男性をゴールデンレトリバー二匹が両脇から見上げているの図。 店先に時折、そのイラストのモデルかなとも思わせる犬がのんびり寝そべっていたりもする。 「Cagna Cagna」は、犬連れ客も集うイタリアンです。
cagnacagna2_01.jpg特別犬好きという訳でもないので、あんまりわさわさと犬がいると、なんだかなぁな気分にさせられるけど、一匹二匹が大人しくしている分にはそれもいいかと、そんな感じ。 棚には犬の置物がずらっと並び、犬関連雑誌も揃っているようです。 路地を照らす日差しを横目に、グラスの白。 ややあって届いたのが、ピッツァのお皿。 トマトソースベースのRosso、ソースをかけないBianco、そしてオリジナルな6品Cagna Styleとある中から選んだカーニャオリジナルの「ヴェルデ」です。cagnacagna2_02.jpg しっかりと盛り上がった耳で囲んだ生地の上に載るは、極々薄くスライスした茄子。 黒紫な皮を残したままスライスしているので、ぱっと見では刻み海苔を散らしたかのよう(笑)。 cagnacagna2_03.jpgcagnacagna2_04.jpgcagnacagna2_05.jpg これだけ薄~くしたところがひとつのアイデアで、それゆえ全体に敷いたバジルペーストと気の利いたバランスになっていて、いい。 別の週末には、塩味のリゾットを。 “イタリアの松茸”とショルダーフレーズした「フンギポルチーニのリゾット」がメニューの筆頭にある。 cagnacagna2_06.jpg イタリア人が目の色を変える、としたフンギの風味と旨味が頃合よくアルデンテにしたお米にじわっと沁みて思わず目を閉じる。 丸っこいイタリア米を含めて、種類の違うお米を混ぜているみたいだ。 cagnacagna2_07.jpgcagnacagna2_08.jpg 薄く載せたチーズや噛んだピンクペッパーの香り、イタリアンパセリの風味が相俟って、うん、旨い。 もっと大盛りだったらいいのにな(笑)。 平日の「カーニャ」では、「お昼のパスタランチPRANZO」があって、定番モノや日替わりモノ7種類ほどの本日パスタから選ぶパスタにグリーンサラダにバケット、珈琲紅茶がついてくる。 とびっきりの辛さ!と書かれた「ア・ラ・ビアータ」をペンネではなくスパゲティでお願いします。 cagnacagna2_09.jpg意外やそれほど辛くないのに安堵して(笑)、ちゅるんと啜るスパゲティにアルデンテはこうでなくっちゃねと思ったりするのであります。 犬好きさんたちにはきっと話題な、街角のイタリア家庭料理店「カーニャ・カーニャ」。cagnacagna2_10.jpg「Cagna」はまさにそのまま、「犬」の意味。店名が「犬×犬」、なんだね(笑)。 どうもランチから予約をするヒトも少なくないらしく、間が悪いと入れないことも少なくない。 厨房に漂う”本気”もまた人気の素のひとつ、そんな気がします。 「Cagna Cagna」 大田区上池台1-8-6 杵家ビル [Map] 03-3727-3085
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鳥料理「茅場町 鳥ふじ」で もつ入親子丼モツの匂いのアクセント

torifuji.jpg今やおそらく、茅場町で親子丼と云えば此処が筆頭に挙がるのかもね、の「鳥ふじ」で久し振りのランチです。 入口の引き戸に手を掛ける前に、待ち構えていたかのように向こう側から開けてくれて、いらっしゃい。 カウンターの真ん中に腰を据えて思うは、 ああ、そう云えばまだ、 夜に来たことがないなぁと省みる日々であります(笑)。
正面に見据える厨房の大将はぴりぴりムード。 忙しないランチタイムだからゆえ、よりスムーズにドンブリを提供したいというような心意気は判るのだけれど、廻りのスタッフへの指示の伝え方が厳しくて、それが居心地をやや悪くする。 萎縮気味のスタッフの所作が気に入らないと、チッ!と舌打ち。 そんなのはあんまり聞かされたくないなぁ、と。 大将が云ってることには、営業前のミーティングをあらかじめ重ねておけば、呼吸の合いそうなことが多いようにお見受けします。 ま、その日の気分もあるのでしょうけどね。 「鳥ふじ」のドンブリには、「たたき」と呼ぶ小鉢がついてくる。torifuji01.jpg細やかに挽いた鶏が小振りなつくね状に纏めてあって、煮つけた汁をたっぷり含んで、気の利いた口開きになっているンだ。 さて、お願いしていた「もつ入り親子丼」がやってきました。 torifuji03.jpgtorifuji02.jpg 大将が真剣な眼差しと一瞬を推し量るように立柄の親子鍋に向き合うことで生まれたふわとろ加減の玉子に文句はない。 ところどころで顔を出すモツの匂いが体のいいアクセントになっている。torifuji04.jpg割り下が妙な主張をすることなく下支えしていて、つゆだく具合も加減がいい。 torifuji05.jpg 「特上親子丼」には、稲垣種鶏場の名古屋コーチン、千葉の水郷赤鶏、兵庫の「日本一のこだわり卵」などなどを使っていると品書き裏にあるけれど、するとデフォルト「親子丼」「もつ入り親子丼」はどうなンだろうね。 「カツ丼」は、当然チキンカツだろうねと、別の日に。 とろーんとした玉子を纏ったカツには、割下の味がたっぷりと沁みていて、 意外な程噛み応え柔らか。torifuji06.jpgtorifuji07.jpgtorifuji08.jpgtorifuji09.jpgこれはこれで悪くないけど、カツそのものに特にコダワリは窺えない。 例えば、もっとコロンと厚切りにしてくれたりするといいのかも。 「特上親子丼」ほかドンブリものではしっかとした支持を得ている、茅場町「鳥ふじ」。torifuji10.jpgやっぱり夜の様子も覗いてみなくっちゃ、大将のご機嫌具合も含めてね(笑)。 口関連記事:鳥料理・親子丼「茅場町 鳥ふじ」で 濃いぃ玉子の特上親子丼(07年05月) 「鳥ふじ」 中央区日本橋茅場町3-4-6 本橋ビル2F [Map] 03-3249-6118 http://www.torifuji.net/
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