かれーの店「うどん」で 薬膳冬夜かれーで薬効に似た牡蠣の滋味

udon.jpgシトシト冷たい雨が降るよな夜には、 何故か此処に足が向く。 五反田駅から一号線を下って目黒川を渡ったところから右手に折れ入り、山手通りの手前辺り。 そう、今は赤い庇で迎えるすーぷかれーの店「うどん」。 目指すは、「うどん」の冬の夜かれーなのだー。 「冬の夜かれー」は、牡蠣バージョン。 それはバジルと薬膳の2タイプ。
udon01.jpg例によって、楽しく伝えるメニューカード。 去年の冬は、バジルで大喜びだったよなぁと思い浮かべながら、だからこそ今宵は薬膳タイプを所望したい。 ソースポットには、赤い湖に黒褐色の粉が浮かんでる。udon02.jpg「よく掻き混ぜてくださいね~」ということで、スプーンでくるくるっと混ぜてからライスを掬い、そのままスプーンをスープカレーに浸すようにする。 なはは~、確かに薬膳!な風味。 このちょっと薬っぽい辺りは、クローブに由来するものだそう。 暫くして気がつけば、額から襟廻りから汗が噴き出してくる。 こりゃ温まっちゃうぞーと汗を拭いながら、小粒な牡蠣の身をするっと口へ。udon03.jpgudon04.jpg なんだか牡蠣にも薬効に似た滋味があるように思えてくる、この不思議。 辛さからくるヒリヒリと表層的な温まりよりも、胃の腑の奥からじわじわほっこりとくる。 肝を冷やすの逆で、肝を温(ぬく)めるカレー、そんな感じです。 帰り道。 拭い切れなかった汗が冷えるのも心地よいほどに、冷たい雨の中でも温かに。 口関連記事:かれーの店「うどん」 でこの冬も牡蠣の夜かれーもう最高(08年01月) 「うどん」 品川区西五反田2-31-5 [Map] 03-5434-2308 http://www18.ocn.ne.jp/~c.udon/
column/01845再会 @1,000-

キッチン「ふるはし」で 素朴なる憎らしさマグロバター焼き

furuhashi.jpg散歩通りと呼ぶ広尾商店街は、 その先で90度左へ折れる。 曲がる手前で左に外れてそのまま突き当たった辺りにあるのが、今夜のめし処、キッチン「ふるはし」だ。 ドアの開いた瞬間にフライパンからのリズミカルな炒め音に包まれる。 いらっしゃいませ~と迎えてくれるコック帽。 その厨房を囲むL字のカウンターを左に、右手にはテーブルが4卓ほど。奥にもテーブル席が覗けるね。
メニューを開いて腕組思案。 さあ、ナニにするか、それが難題だ(笑)。 なにせ、気になる日本の洋食タイトルがあれやこれやとラインナップ。 視線が泳ぐこと必至なのです。 「オムライス」や「ナポリタン」「ロース生姜焼き」あたりをいっとくのが素直な流れかもしれないけど、そのあたりはeatnapo & Ginger コンビが既に紐解いてるしね。 何故だか目線を外せなくなった「マグロバター焼き」をお願いしました。furuhashi01.jpg 芳しい香りとともにやってきたお皿。 やや慌て気味に割り箸の先でマグロの身を割いて、周囲のソースをたっぷり擦りつけて口へ運ぶ。 薄っすら包んだ小麦粉の衣に纏うソースが素朴なる憎らしさ。furuhashi02.jpg醤油系ソースがぐいぐいっとシズルを発揮して、もうご飯に合うの合わないの考えるまでもない感じ。 「サーモンバター焼き」や「イカバター焼き」も同じ仕立てなンだろね。 「ふるはし」のメニューの筆頭に並ぶのは、A、B、Cのセットとお「弁当」。 Bセットと「弁当」は夜からメニュー。 カニコロとメンチにアジフライの三本立て、「Cセット」をお願いしたこともありました。furuhashi05.jpgたっぷりの野菜に寄り添うメンチカツはジューシーで、カニコロッケはベシャメルとろんとクリーミー。 furuhashi04.jpgfuruhashi03.jpgfuruhashi06.jpg 何気ないけど、これも昼に夜に近所にあって欲しいと思わせる日常使いのお店の顔のひとつ、だね。 広尾の庶民派、開いてて嬉しい洋食「ふるはし」。furuhashi07.jpg古橋さんちで今度は、「エビフライ」で麦酒呑んじゃおーっと♪ 「ふるはし」 渋谷区広尾5-18-2 [Map] 03-3444-3733
column/02728 @950-

豚骨醤油「蕾」で まぜそばクルルと蕾キャベツの軽やかクリーミー

tsubomi.jpgもしやまだ開けてたりしないかなぁと足を運んだ大井町の妖しい裏道。 でも残念ながら、「ajito」はとうに仕舞いとなってました。 同じこと何度もやってるよなぁ、はてどうしようかなぁとつらつら考えながら歩く。 そこで何気に送った視線の先に、「豚骨醤油」の文字。 お、そういふ手もあるね。 苦手な家系でなければいいのだけれど。
tsubomi01.jpgカウンターに腰を落ち着けて見上げた塩ビの仕切り板に、 「EMERGENCY地球侵略」とある。 そりゃ一大事やん!とその下を読むと、「創作麺類補完計画 第弐弾」。 「蕾風まぜそば クルル」がその正体らしい。 ドンブリをアニメキャラに擬える手法は、近所のお店の得意技だよねぇ(笑)。 そんなこんなで、豚骨醤油のドンブリをいただくつもりが、その貼紙を指差していました。 「マヨネーズとベビースター、入れていいっすか?」「え、あ、うん」。 ちょうど目線の辺りに置かれたドンブリに、ちょっぴり呆れるようにニンマリ。tsubomi02.jpgこれでどーじゃー的に魚粉がかけられ、ベビースターにマヨネーズに刻み葱、刻みシャーチュー、そして温泉玉子にラー油の底のような辛味がトッピング。tsubomi03.jpg「よぉーく掻き混ぜてからお召しあがりください」ってことで、ドンブリの底のタレごとひっくり返すようにまぜまぜ。 tsubomi04.jpgtsubomi05.jpg ぐちゃーって音とともに引き揚げた麺の見映えは如何にもジャンクだけだなぁと思いながら啜ると、お、これがどうして悪くない。 もうちょっとで、やっべー、と呟くところ(笑)。あんだけの魚粉にも抵抗感まるでないもんな。 あ、大井町ラオタ(ん?)のゆきむらさんもやっぱり食べてるね。 基本形メニューも啜っておこうと別の夜。 「蕾 キャベツ」に「味玉」「のり」。tsubomi06.jpg一瞬家系っぽい匂いがふっと通り過ぎるも、意外なほどのあっさりスープ。 勿論脂は浮いていて、乳化した濃厚さをイメージさせるのに、啜れば軽やかなクリーミー。 キャベツのしゃきしゃきも相俟って、ヌケのいい食べ心地。 tsubomi07.jpgtsubomi08.jpg へー、こうくるかぁ。 家系なのじゃないかと疑ったのは、何故でしょうの大井町「蕾」。tsubomi09.jpgその軽やかさから、秘かなる女性ファンも少なくないのじゃないのかな。 口関連記事:つけ麺「ajito」で ajitoのつけ麺専用Ζ型装備やっぱりやるなぁ(08年10月) 「蕾」 品川区大井1-34-7 [Map] 03-5742-3662
column/02727 @800

自家製麺「アイバンラーメン」で塩半熟玉子のり豚ローストトマト飯

ivan.jpg芦花公園にニューヨーク出身のアメリカ人が営んでいるラーメン店があって、評判だという。 環八の先から斜めに入る、久し振りの旧甲州街道。 そう云えば、この辺りのラーメン店に以前訪れたことがあったよなぁと思い巡らしながら「丸美ストアー」と書かれたアーケードの入口前に辿り着く。 あれ、ここが「いち」のあった場所じゃなかったっけ。 なんだかとってもお疲れのご様子だった「いち」のおばちゃんが忙しなく動き回る光景が思い出されて、そうか「いち」はもうなくなっちゃったのだ、と。 「アイバンラーメン」の前には、もう午後3時にもなろうとしているのに10数人の空席待ちだ。
「はい、らっしゃいませ~」。 アイバンさんがカウンター内の真ん中で迎えてくれる「アイバン」のメニューは、醤油or塩のラーメンorつけ麺。そして少量スープ仕様だという「スパイシーレッドチリ麺」「ローストガーリック麺」。 まぁ、基本形寄りからいきたい気分だなぁと「塩半熟玉子ラーメン」に「のり」をお願いしました。 口径小さめで断面三角な器で手渡されたラーメンから、断然旨そうな匂いが漂う。ivan01.jpg鰹的魚粉系のエキスもしっかりの様子が湖面からも十分に窺えます。 ivan02.jpgivan03.jpg 啜った印象は、濃厚で結構脂も強い感じ。 メニューには、長時間煮込んだチキンがスープのベースでそこに北海道産魚介出汁と秘伝の野菜スープをブレンドしている、とある。 そんな洗練ガッツリのとろみあるスープに自家製麺が好相性。ivan04.jpgivan05.jpgエッジの利いたデフォルト硬茹での細麺で、歯切れのよさが独創的ですらある。 うん、なかなか、なかなか。 穂先メンマもトロっとした厚切りチャーシューもいい。 サイドメニューにと「豚ローストトマト飯」。ivan06.jpgどどんと載るローストしたトマトの下には、チャーシューの端肉を解したような豚さんがたっぷり。 箸の先で押し切るようにすると、トマトからジュースが迸り、豚にご飯に香ばしさと一緒に酸味と甘みを注ぎ垂らす。 添えたオイルや香辛料も気が利いていて、これは旨いなぁ。 アメリカ人が作るラーメンなんてちょっと、というような心配は一切不要の「アイバンラーメン」。ivan07.jpgいつか母国で、とも考えているのかな。 口関連記事:九州らあめん「いち」で いちらあめんとお疲れのおばちゃん(06年05月) 「アイバンラーメン」 世田谷区南烏山3-24-7 [Map] 03(6750)5540 http://www.ivanramen.com/
column/02726 @1,400-

カレーキッチン「東印度咖哩商会」で 毎日食べれるさらさらカレー

higashiindia.jpg山手通り沿いの「かづ屋」訪問以来となる、不動前駅前。 改札を出て、左にちょっと行けば見つかるのが、赤いテントに店名を白抜いた「東印度咖哩商会」です。 スパイスの商社を小じんまりとやっているンです、なんて云われればなんの疑いも持ち得ない、そんなお店の名前だと誰もが思うよね。 誤解を与えちゃいけなよなってな配慮からなのか、店頭には「カレーの店」なんて貼紙もあったりするのだもの。
カウンターを右手に、正面奥にはインドの国旗が掛けられている。higashiindia08.jpg もしかして暖簾代わりになってるような気もするけど、そんなことはないか(笑)。 メニューは、「特製カレー」「コロッケカレー」「チキンカレー」「カツカレー」の4本立て。 「チキンカレー」を茹で玉子とサラダのセットでお願いしました。 平らのお皿に平らに盛り付けられたカレー。higashiindia01.jpgライスとカレーの境目もくっきりと、カレーの中に3片のチキン、奥に半切の玉子がレイアウトされています。 掬い食べるカレーは、さらさらとして野菜由来の優しい味がする。 higashiindia02.jpghigashiindia03.jpg 目の前の幕板に貼られた雑誌のページには、「味の決め手となる、キャベツ、トマト、スパイスを」とあって、ほう、と思う。 玉葱の微塵切りかペーストも勿論使っているのだろうけど、キャベツをカレーソースの主たる材料にしてるってのは面白いね。 なんだか毎日でも食べれてしまいそう、なんて思わせるのはトマトの酸味も手伝ってのキャベツ由来の軽やかさなのかもしれないな。 だからって、物足りない感じはしないのだぞ。 半分を過ぎたところで、カウンターの硝子容器を引き寄せる。 お手製ラベルには、「ビンダルゥ・ペースト 自家製・辛味の素」とある。 higashiindia04.jpghigashiindia05.jpg 入れ過ぎないようにと気をつけながら、1バー・スプーンほど。 その位なら、あぁ!からひ!なんてことにもならず、奥行きに広がりをみせるよな味わいが愉しめる。 別の夜には「カツカレー」。higashiindia06.jpgカツそのものは値段相応の薄切りではあるけれど、揚げ物をのっけても「毎日食べれそう」と思わせちゃうカレーに感心して、そのさらさらを改め凝視する。 いろんな野菜が入っているのだろうな、フードプロセッサーフル回転なのかなぁなんてね。 狭い間口に扉が二枚並んでいるような、ちょっと不思議な表情の「東印度咖哩商会」(哩の文字は、口へんに厘)。higashiindia07.jpg北インドでもなく南インドでもなく「東印度」であることは、どこか軽妙な味わいとやはり繋がりのあることなのかな。 「東印度咖哩商会」 品川区西五反田4-32-15 石井ビル1F [Map] 03-3495-4474
column/02725 @800