Cucina Casalinga「il DESTINO」で ジェノバソースのパスタ

ildestino.jpg新富の裏通り。 イタリアンと思しき一軒は、階段にして6段ほどGLより上げた床面に並ぶテーブルたちが視線を誘っています。 目線の高さ丁度にテーブルの食器たちが置かれる。 偶然か意図したものかには別にして、開口の大きな窓からそんな様子が窺えるのです。 晴れた日に映えるブルーのクロスが明るい店内。 カウンターバックや脇の棚には、そんな要求をするオヤジもいるのでしょう、ウイスキーやリキュールに混じって日本酒や泡盛のボトルも置かれています。
ランチは、ABCと値段の同じパスタが3種類。 この日は、「ベーコンとポルチーニのトマトソースパスタ」に「ビーフシチューパスタ」。 バジル好きが選ぶのは、「生ハムとセミドライトマトのジェノバソースパスタ」だね。 前菜の小皿のプチ充実が嬉しい。ildestino02.jpg白をひとつ、かなんか云いたくなる(笑)。 そしてパスタのお皿が届きました。ildestino03.jpg 少し乳化させるようにしたジェノバソースの薄緑に麺が滑る。 生ハムの塩っけと合わせ食べる麺。 ドライトマトの甘酸っぱさと啜る麺。 ildestino04.jpg それぞれに悪くはないけれど、お皿全体で考えると、バラバラというか意図が解らないというか。 うん、悪くはないのだけどね。 他のお皿はどうなのだろうと気になって、後日選んだのが「温泉玉子と明太子のパスタ」。 和風パスタのお約束、刻み海苔を絡ませながらややクリーミーな明太子ソースのパスタを啜る。そこそこにぴり辛いのを温泉玉子で和らげつつコク味にするってぇ寸法だ。ildestino05.jpgうん、悪くはないけどやっぱり、出来れば小さなときめきが欲しい!って感じかな(笑)。 ふと、オープン当初はもしかしてキリッとイタリアンで、 和風パスタも泡盛のボトルもなかったんじゃないかなぁなんてことを思う。ildestino01.jpg仮にそうだとすると、それをカジュアルにさせたのは、客筋の要請かはたまた店主・スタッフの気分か。どちらだろう。
「il DESTINO」 中央区新富1-9-4ファンデックス銀座ビル1F 03-6222-0890 http://city.linka.ne.jp/il_destino/
column/02640

魚の店「均一軒」で 佳品あじたたき囲む舞台たき川とーふ

kinikken.jpg暖簾越しに中を覗いては、オヤジたちの頭がぎっしりとカウンターを埋めている様子に、「やっぱり満席か~」と落胆すること幾度か。 魚の店「均一軒」。 席は、早いもん順。 予約は受けないし、同席者が先乗りしていても席の確保はできないという。 残り一席!の情報に、気を急くような早足で新橋の路地へと向かいます。
再び暖簾越しに店内を覗く。 と、丸椅子の座面が視線に捉えられました。あぁ、空いててよかった(笑)。 kinikken01.jpg麦酒を小瓶でいただいて、乾杯。 突き出しは、和布蕪。 まさに大将を囲うように配置したカウンター。その中央の真名板が「均一軒」の舞台だ。 奥の壁にした黒板から選ぶ「あじたたき」。 取り出した鰺の皮を矧ぎ、テンポのいい包丁運びでおろし刻み、二本差しの包丁の背でトトントンと叩く。途中で、八丁味噌らしき固まりや葱を加え、缶を振り、水っ気を添えてさらに叩く。 全体に艶がでてきたところで、包丁で整形する。kinikken02.jpgこれがね、あれ?なんで?って不思議に思うほど、旨い。 活きの良さを思わせながら、空気を含んだふんわりとした甘さにさえ及ぶ食べ口。 むほほ~。 こいつはイカンと、冷酒「賀茂鶴」。kinikken05.jpg 辛さが大人な谷中や「ぎんだらてりやき」にグラスが進んじゃう。 kinikken03.jpgkinikken04.jpg カウンターの幕板に膝頭をぶっつけながら、口からグラスを迎えにいくポーズに、我ながらオヤジだなぁと思ったり(笑)。 「たき川とーふ」は、固めのお豆腐をすすっと心太器で押し出した、いわば変わり奴。kinikken06.jpg 「ばい貝酒むし」「きぬかつぎ」、刻んだ「茗荷」。 kinikken07.jpgkinikken08.jpgkinikken09.jpg ひたひたと沁み入るようなお酒になってくるのです。 kinikken11.jpg「昼間、駕篭、出てますよね」と云うと、にやりとする大将。 そう、日中お店の前を通りかかると、河岸から魚を運ぶ役目を終えたらしき姫竹の市場かごが、干すように、そして、今日も仕入れしてきたことを示すかのように路地に面して掛けられているのが見つかるのです。 新橋の路地の臨場感、「均一軒」13席。 また、空席がありますようにとこの暖簾の隙間を覗いてしまいそう。kinikken10.jpg八時くらいが狙い目のようです。
「均一軒」 港区新橋2-8-2 03-3591-2928
column/02639

旬菜工房「一福」で おいしい樽生達人の秘密とキメアワ

ichifuku.jpg未だ一歩も足を踏み入れていない「赤坂サカス」を横目にしながら、赤坂通りを東京ミッドタウンの裏手方面へ向けて進む。 一本二本と当てずっぽうに左手路地を曲がり、三本目の路地で辿り着いたのが今宵のほろ酔い処「一福」。 でもどうやら、ただ酔っ払ってばかりもいられない、らしい(笑)。 何故ってなにせ今夜のコチラ、ウルサ方の面々を集めてのセミナー会場となっているからです。

ichifuku01.jpg入口脇の黒板にもあるようにそのセミナーのテーマは、「樽生」。 おいしい生ビール・旨い樽生の秘密を”樽生の達人”が披露してくれる、 ってな催しなのだ。
ビールはもちろん、ご存知「プレモル」。 そして、最初に云っちゃうけど、今夜のキーワードは、「キメアワ」。 講師は達人池辺さん。その講釈をちょっと振り返ってみましょうか。

まずは、”キメアワ”のためにサーバーを洗浄すること。 ichifuku02.jpgディスペンサーで溶剤を廻して、サーバー内の管を洗う。 当たり前っちゃー当たり前のことのようにも思うけど、 たまにビニールが溶けたような厭な匂いのするビールに出くわすことがあるけど、あれってつまりはちゃんと洗ってないってことなのだね。冷やす工程でわざわざ不味くしているお店があるって方が不思議だなぁと思う一方で、だからこそ基本動作をきっちりするのが大事ってことなのだね。

続いて、”キメアワ”ためにグラスをきれいに洗うこと。 洗うのはサーバーばっかりじゃなくて、ビールを注ぐ相手のグラスも綺麗じゃないといけない。 中性洗剤をスポンジでたっぷり泡立てて洗い、十分に濯ぐ。 ichifuku15.jpgバーテンダー御用達のクロスならまだしも、その辺の布巾で拭いたりするのは繊維がグラスに残って、それが大事な泡の邪魔をする。自然乾燥させるのが一番だ。 思うに、よくキンキンにグラスやジョッキを冷やしてくれるお店があるけど、そこに微かにでも霜がついてたら折角の配慮が徒に、なんてことになるね。

そして、”キメアワ”をホイップすること。 ichifuku16.jpg泡がビールのフィルター的フタの役目をして、炭酸ガスや風味を逃がさないように保ちつつ、ビールの持つ苦味を円やかなものにしてくれる。そのためには、より肌理細かくクリーミーな泡が必須なのだという。 すっと楊枝が立つほどの”キメアワ”。 サントリーでは、コックに工夫を重ねていて、その拘りには自負がありあり。

キメアワを施したグラスの泡の下には、さわさわと微細な泡が静かに沸き立っていて、それをスモーキーバブルスと呼んでいる。これがつまりは、泡が活性な証拠らしくて、スモーキーバブルスが活きていると呑むたびに泡を再生してその役目を継続してくれる。 ichifuku03.jpgichifuku04.jpg そしてそれは、注ぎ方で”キメアワ”の機嫌が全然違うのだ。

きれいなグラスで、”キメアワ”のビールを呑めば、グラスを置く都度の泡の輪がグラスに残る。 それをそのスジでは、「エンジェルリング」と呼んでいるそう。ichifuku05.jpgなるほど、グラスに幾重にも残るエンジェルリングがおいしいビールを呑んだ証左にもなるってことだ。「次は何呑も?」ばかりで、今まで飲み干したグラスをじっと見ることはなかったけど、呑み終えたグラスで今の一杯を、その泡の具合を確認する手もあるンだ。ま、旨いビールはすぐ旨いと判るけどね(笑)。

ichifuku06.jpg やっぱり缶ビールもきれいなグラスに注いだ方が断然おいしく呑める。 先に”キメアワ”を作るように注いで、泡との比率が7:3が望ましい。

そうそう、呑んでばかりでもいけません。 堰を切るようにテーブルに並べられた酒肴の数々。 季節の野菜を蒸篭にした「旬菜蒸し」で始めて、あっさりした和風出汁の「皿うどん」で〆る。 ichifuku07.jpgichifuku08.jpgichifuku09.jpgichifuku11.jpgichifuku10.jpgichifuku12.jpgichifuku13.jpgichifuku14.jpg セミナーのテーマにのっかって、ビールのグラスを重ねる分、じっくり味わう余裕のなかったのがちょと残念。やたらぱかぱか呑むのは、おいしい生ビールの呑み方ではないと反省したりして(笑)。

創業昭和23年の「一福」も「樽生達人の店」。 老舗日本料理店が、4種類の「赤坂ちゃんぽん」をはじめ中華系の料理を供するに至ったか。そのあたりを探りにまた、赤坂通りを辿ろうかな。

ご同席多謝のみなさんは、こちら サントリー公式グルメガイド公式ブログ「樽生セミナーin東京」 から。 みなさんお疲れさまでしたー。


「一福」  港区赤坂6-4-15 03-3586-1294 http://1fuku.com/ 参考情報
column/02638

Osteria「Clara」で ひる時ワインとペンネ牛肉&ほうれん草ピザ

clara.jpg心地いい夏の陽射しのおひる時。 旗の台東口から大井町線のガードを潜ったところにある「クラーラ」でランチです。 何故か随分と重たいスチールの青い扉をエイ!と引いて踏み込んだ店内。 そこは、ご近所のオバサマたちが占拠していて喧しい。 お喋りも気が済んだのか、ちょうど集団が椅子から腰を上げ始めた様子に安堵しながら、テーブルにつきました。 嵐の後のような(笑)、落ち着いた空気になったところでメニューを開きます。
clara02.jpg先に届いたしゃきっと冷えたサラダを合いの手にグラスの白をいただいて、 ゆったり。clara01.jpg 「クラーラ」のランチは基本、ピザかパスタ。 グラスを干したところへ、「ソーセージとキャベツのペンネ」がやってきました。clara03.jpg お料理教本に載っていそうなトマトソースのペンネだけど、 硬めの歯触りとキャベツの甘さが悪くない。 また別のお昼には、窓際のテーブルでピザ、「牛肉&ほうれん草」のMサイズ。clara04.jpgコルニチョーネと呼んでいいのか、円い額縁がこんもりと明快で対比させるように中央部は生地が薄くなっている。 一片を抓み折るようにして口に運べば、極薄のスライスが心地いい牛肉の下から蕩けたチーズが風味と塩っ気で支えてくる。もちもちっとした生地の食感と併せて、なかなかイケる。 clara05.jpgclara06.jpg クリスピーな仕立てでない代わりに、パサついたりモソモソする感覚がなくて、すっすと食べれてしまうのね。ペペロンチーノを幾つか挟んでみるのもオツであります。 clara07.jpgデザートは、 夏の明るさがよく似合うキャラメル風味のアイス。 圧倒的に女性率の高い、ランチ時の「クラーラ」。 ウルサ方の奥様たちにもきっちり支持されているってことなのでしょう。clara08.jpg硝子越しに静かな雰囲気が窺える夜も気になります。
「Clara」 品川区旗の台5-7-6-101 03-3786-0380
column/02637 @1,200

グリル「しき浪」で 特製ランチはチャプスハンバーグ大海老フライ

shikinami.jpg聞き覚えのある芸人の声が路上にも行き交う、 なんば花月前。 たこ焼の匂いを嗅ぎながらその先を左へと回り込んだ通りには、「サウスロード千日前」というアーチが架かる。 問屋風の家具店が並ぶ界隈は、花月前の喧噪が一転、ちょっとした侘びしささえも漂わせています。 その一角、堺筋の手前にあるのが今日のランチ処、 グリル「しき浪」です。
左手のカウンターには、コックコートの面々が忙しなくしていて、突き当たりのレンジではふたりが寄り添うようにフライパンを揺すっています。 shikinami01.jpg メニュー筆頭の「特製ランチ」に挑んでみました。 コーンポタージュに続いてやってきた楕円のお皿は、だはは、直球ボリューミー。shikinami02.jpgshikinami03.jpgshikinami04.jpgshikinami05.jpg たっぷりとタルタルを載せて尻尾の先を立てた大海老フライ。 ソースをとぷとぷと纏ったポークチャプス。 キャベツの千切りと厚切りのロースハムにポテトサラダ。 そして、デミソースに包まったハンバーグ。 海老フライもこれだけのサイズになると、如何にも頬張る感じになって、shikinami06.jpg齧り切ったその身の甘さが醍醐味あるノリで愉しめる。 ハム同様、厚みを保ってソテーしたポークも齧り甲斐がある。 shikinami07.jpgshikinami08.jpg ハンバーグは、お肉の凝縮感しっかりのコロンと高さのある仕立て。 安定感を思うソースとの相性もバッチシだ。 ふう。満腹。ってか、思わずお腹を擦っちゃう事態(笑)。 ひらきの海老フライとハンバーグ、魚フライの「Aランチ」あたりがジャストサイズかも、ね。 創業来半世紀になろうとする洋食の店「しき浪」。shikinami09.jpgショーケースに並ぶサンプルでまた迷ってみたい。 「特製上ヘレ一口カツレツ」「ハイシビーフ」に「チキン生姜焼」「エビライス」などなど。 そして冬場にはやっぱり、「カキフライ」だね。
「しき浪」 大阪市中央区日本橋2-5-9 06-6631-7530
column/02636 @2,100