定食「あらき」で 焼き目麗しき家庭的豚レバーソテー

araki.jpg 旗の台の商店街にある「あらき」は、 硝子越しに覗くといつも、 ほどほどにお客さんの顔が見える町の定食屋さんです。 職人さん風のオッチャンから学生風、スーツ姿のサラリーマン。 女性の姿は余りありません。
以前いただいたカキフライは、妙に入れ込んだところもない、家庭的な仕立てでした。 そして今夜は、ありそでなさそな「豚レバーのソテー定食」650円をいただきます。 焼き目麗しきソテーですが、そうは云っても豚さんの内蔵ゆえ、 臭みがあったらどうしようと、恐る恐る齧ると、araki01.jpg意外に柔らかな噛み応えで臭みなく、レバー独特の風味が甘さに似た旨味を伴ってくる。 バター醤油の濃いめの味付けが、ゴハンを進ませるのでありますな。 araki02.jpg追加でお願いした「オムレツ」も、どうとでもないお皿。 この極めて日常的なお皿たちに和んでいるひとが少なくなさそうなあたりが、 「あらき」がほどほどに混んでいる所以なのかもしれません。
「あらき」 品川区旗の台3-11-9 03-3783-6697
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ハンバーグの美味しい店「AOI」で パテもソースもダブルにソソる

aoi.jpg昭和通りを歩いていると、”ハンバーグの美味しいお店”と記されたスタンド看板が目に留まります。 その下には「AOI」の文字。 アオイ?と読みながら、よく見ると、「エーオーアイ」とカタカナ表記が添えられていました。 「AOI」とは、なにかの頭文字なのでしょうか。 ヒロキエさんによると、“愛する人と お腹 いっぱいに”という意味で、エー、オー、アイだという。 むふふ、ベタな感じがなんだか、いいよね(笑)。
いずれも100%国産牛のハンバーグたち。 「デミグラスハンバーグライス」「ハンバーグカレー」「おろしポン酢ハンバーグライス」と並ぶランチメニューから「ダブルハンバーグライス」を選んでみます。 aoi01.jpg 少々小振りのハンバーグが二個のったお皿には、 サラダと目玉焼きが添えてあります。aoi02.jpg じっとみる焼き目が、いい。 aoi03.jpg徐ら齧り付くと、ふんわり柔らかい噛み応えに続いて、辛みを含んだ強い風味が鼻を抜けた。 玉葱の辛みというよりは…、あ、大蒜の辛みと匂いだ。 辛味を想わせるほどの量のおろしたてニンニクをソースに潜ませてあるのだ。 これは後々しっかり匂いそうだと思いつつ、午後からひとに会うのにダイジョブかと思いつつ、ソソるじゃないかと急ピッチで喰らってしまうのは、なぜ(笑)? 肉量的にもやっぱ、ダブルがオススメです。
aoi04.jpg会計をして、お店を振り返ってからやっと気が付いた。 ここって、今は8丁目あたりにある「元酒屋」が元あった場所じゃんね。 もう十年も前の話になっちゃって、覚えているヒトもそう多くはないだろなぁ(と遠い目)。
「AOI」 中央区銀座2-11-9三和産工ビル1F 03-3541-1819
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そば処「弁天」で 鴨葱別皿の鴨せいろう

benten.jpg 浅草寺の北側、つまりは仲見世とは反対側の界隈は、 俗に観音裏と呼ばれていて、 洋食の「佐久良」や「グリルグランド」「大坂屋」なんかもこの辺り。 ぽつぽつと味な店の点在が気になるエリアです。 そんな、見番のある町、観音裏柳通りにあるそば屋「弁天」に寄ってみました。
暖簾を潜ると正面に厨房のオッチャンオバチャンの姿が映ります。 左手にテーブル、右手に小あがりがあって、その間に浮島のようなカウンターがある。 なんとなく所在ない感じにはなりますが、まぁひとり客用ですね。 寒空の下ですから、温かい「鴨そば」もありかと思いつつ、 お願いしたのは「鴨せいろう」です。 benten01.jpg鴨の脂と風味が滲んだつけ汁をイメージしていたら、なんとその鴨が別皿に盛られてきました。おー、そうきたかぁ。 ちょっと拍子抜けではあるけど、これはこれでイケるのかも。
まずは、そばのみを啜る。きりっとしながら風味にも量感があって、悪くないせいろだ。benten02.jpgつゆがちょいと辛過ぎるきらいはあるものの、江戸前な感じは醸してくれている。 そして別皿の鴨と葱。benten03.jpgお上品にしても始まらない(?)ので、えええいぃとつゆに投入して、蕎麦と合わせ口へ。 スジスジしないで、ムニニンという鴨独特の歯応えと柔らかさ。 ふむ。こうしてつゆと別にすることで、そのあたりが率直に楽しめるような気もする。
でもやっぱり、脂がダラシナくつゆに溶けた鴨せいろの方がボクは好きだなぁ。 benten04.jpg
口関連記事:洋食「グリル佐久良」 でさらりと旨味しっかりのハヤシライス(06年01月)弁天」 台東区浅草3-21-8 03-3874-4082
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Kitchen「Hayashi」で サクゥと軽妙なカキフライに大根おろし

hayashi.jpg神保町、専大前交叉点のビル地階。 階段を降りると、「元祖札幌や」から漂ってくる匂いに包まれます。 そしてそのお向かいにひっそりとあるのが、 Kitchen「Hayashi」です。 ファサードの表情hayashi01.jpgは、こだわりの珈琲薫る喫茶店かはたまた渋い装いの美容室か。 硝子扉を押し開けばそこは、飾らないテーブル席が並ぶ洋食屋さんであります。
この日のランチメニューは、「洋食屋さんのビーフカレー」「ハヤシライス」「ポークのからし焼き」「ビーフステーキ」に「メンチカツ」。そして文末に「カキフライ」。 この時季やっぱり、「カキフライ」をってことになるよね。
hayashi02.jpgサラダのお皿とカップのスープが先に届き、 暫らくしてメインのお皿がやってきます。 カキフライのお皿にもキャベツたっぷり。野菜は沢山摂らなくちゃね(笑)。 大きめパン粉が寄り添ったような揚げ口のカキフライ。hayashi03.jpg檸檬を絞って口に運べば、なんとも軽快な歯触り歯応え。サクゥって、ね。 そして滴る、牡蠣の身のエキス。本能的に齧り口を覗いちゃう(笑)。hayashi04.jpg 特に説明はなかったのだけれど、お皿の隅にポン酢おろしらしき小皿がある。 きっとお手製のタルタルがなくなったら、ちょっと和風にしちゃってみてねということかと勝手に解釈して、そのおろしをカキフライにちょんのっけして食べてみる。hayashi05.jpgおお。意外やちょと甘めにした大根おろしが軽妙なカキフライによく合うじゃん。沢山のおろしじゃなくて、ちょんのっけ、がポイント。またひとつ、ありそでなさそな食べ方に出会えたのかも。
&#8801 とっくに「Hayashi」に突撃していた「カキタベ!」カキタベニストのtakapuさん
「Hayashi」 千代田区神田神保町2-4九段富士ビルB1 03-5213-3737
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中国料理「奇珍樓」で ほの甘柔らか支那竹の竹ノ子ソバに再会

kichinrou.jpg 久々にあの一杯が食べたくなって、 元町から本牧方面、山手トンネルの先にある「奇珍樓」へ。 壁で所在を知らせる看板にも、袖で誘う紅い看板kichinrou01.jpgにも、示す店名は「奇珍」。 複数階のある高殿を意味する“楼”という記号をわざわざ表さないのも、 周囲に既知たる大正七年創業の風格ということなのかな。
黄色かかった硝子戸kichinrou08.jpgを押し、踏み入る店内はおよそ5年前と変わらない。 中華街のちょっとギラギラした熱気を含む雰囲気とは隔絶した、枯れた懐かしい空気感は、たまたまお客さんが少ないからということでは、きっとない。 その5年前と同じ、通り側一番奥のテーブルへ腰を据えました。 前回課題に思った「サンマーメン」も気になるものの、あの支那竹の誘惑に抗えず、再び「竹ノ子ソバ」をお願いしました。今回も、自家製手巻きの「シュウマイ」kichinrou02.jpgが一緒です。 kichinrou03.jpg 厨房からどんぶりを手におばちゃんがこちらへ向かってくる。 おっ、きたきた(笑)。 お約束の太口のシナチクがわらわらとトッピングされています。kichinrou04.jpg 啜るスープが何気に旨くて懐かしい。 あっさーりした表情乍ら、旨味の軸が奥床しくも厳然とあって、次々と啜ってしまうのだね。 箸にて持ち上げる自家製麺は、極細仕立て。kichinrou05.jpg加水のない、しゃきっとした歯触りは、博多系の麺とはどこか風味が違っていて、透明感のあるスープとよく合う。 kichinrou06.jpgそして、竹ノ子。 見かけには思わせない柔らかさを噛めば甘めの煮汁が滲み出す。このほの甘さがよくて、再びこちらに向かわせたのだ気がついた。 そういえば、高田馬場「渡なべ」の幅広シナチクが噛み切れなかった時に、ここのシナチクの柔らか仕立ての不思議さを思い起こしたことがあったっけ。
本牧通り沿いの紅いテントも目印な「奇珍樓」。kichinrou07.jpg また、ふと訪れてしまいそうです。
口関連記事   中国料理 「奇珍樓」 で大型メンマの竹の子ラーメンとシュウマイ(02年12月)   らーめん 「渡なべ」 で鰹節ダシの主張する濃厚らーめん(02年12月)
奇珍樓」 横浜市中区麦田町2-44 045-662-9494
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