魚菜酒處 「かげ山」で 鰤はらす焼と懐かしの天使の誘惑にハッ

kageyama.jpg伏見駅界隈から流れてやってきたのは、名駅の裏通り。 暖簾には「かげ山」、とあります。 ほぼ満席の様子ですが、運よく、 8席のカウンターの真ん中に居場所を得られました。 そのまま新幹線で東京に戻る身としては、 名古屋駅がすぐそこというのはなんだかちょっと安心で、 でも反って長居しちゃいそうでオッカナイ(笑)。 名刺をいただいて知る、 快活な笑顔の主が影山さん。 そのまま店の名に出来る姓を享けていることが、羨まししくもちょと妬ける。
もう麦酒はいいやと、「宝山 芋麹全量」をいただいて、 「生鮪」と「まだか」のお造りを一緒盛りにしてもらう。 kageyama01.jpg「まだか」というのは、成長途上の鱸のことで、50cmを越えたあたりからこう呼ばれるらしい。 関東で云うところの「フッコ」にあたるのかな。 kageyama02.jpg すっと出されたアラ汁が素直に旨い。kageyama03.jpg 目の前には、今や懐かしくもある「天使の誘惑」が化粧箱に収まって飾られている。高いことになってンじゃないの?と訊くと、およそワンコインの格安値段で提供してくれた。ああ、そうだ深みあるもこんなシルキーな焼酎だったのだと、ハッとなる。 そして、小振りなハラスをイメージしてお願いした「鰤はらす焼き」は、 意外にも全長20cm級のダイナミックなお姿。kageyama04.jpg上品な脂がいじらしいぃ。 「松前漬って自家製?」と訊いた時のリアクションで店主の心意気が分かった気がするkageyama05.jpg。 その云いは、「あったりまえじゃないっスか~」(笑)。 お仕着せのものを出したりしませんよという拘りと自負が窺えて、頼もしい。 「かげ山」の本懐を知るにはまだまだ呑み食べ不足ながら、そろそろ帰路に着かねばなりましぇん。 kageyama06.jpg
見送ってくれた店主のVサインに再びヤンチャな頼もしさを思うのでしたありました。

「かげ山」 名古屋市中村区名駅3-24-9丸真ビル1F 052-565-0277
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お食事 「島正」で 卵コンニャク豆腐大根牛スジどて焼き

shimasho.jpgどっぶり名古屋な呑み処ってないかと探してみると…。 ありました、どて焼きの店「島正」。 御園座もほど近い、 桑名町通りという筋の黄色い看板が目印です。 暖簾の脇に沿わせたその黄色い看板shimasho01.jpgには、なにやら漢字が並んでいる。 「有朋自遠方来不亦樂呼乎」。 遠方より来る友あり、また楽しからずや、かな。 論語の一節のようです。
狭い間口の「島正」は、カウンターが奥へと伸びていて、そのカウンターが奥にある鍋を囲むように回り込んでいる。 ちょうどそのコーナーあたりに席を得て、まず麦酒。 眼前には、ふつふつと誘っている鍋。 shimasho02.jpgshimasho03.jpgその鍋を横目にひと皿をおまかせでお願いすると、 すっと盛られる、 まったりと八丁味噌を纏った「卵」「コンニャク」「豆腐」。 それなりに甘くもあるけど、そうシツコイものでもなく、うん、麦酒のいいアテになる。 しらすおろしのお通しを挟みつつ、やっぱりこれが白眉かと「大根」を。 shimasho04.jpg煮崩れることなく、でも箸の先がすっと入る。大根の酸味と赤味噌の相性がいい。 そして「牛スジ」もここではこんな風に煮込まれる。shimasho05.jpg濃いぃ感じは、ウーロンハイかなんかが一番合いそうでもあるね。
「島正」の店名は、御園座を舞台としていた島田正吾という俳優がここを気に入って立ち寄り、いつしか「島田正吾の店」と呼ばれるようになって、元の店名から改めたものなのだという。
そんな「島正」では、長っ尻の客は少なそう。 なんせどて焼き以外のメニューは「味噌串カツ」ぐらいのものだもの、すぐひと通り食べてしまいそう。 shimasho06.jpgと思ったら、入り口側のカウンターに所謂関東炊き的おでんの銅鍋を発見。 奥からこっちに移動して、 日本酒呑るなんて手もありだったね(笑)。 ランチの、牛スジどてやき丼「どてめし」、そしてそのどてめしにオムレツをのせるという味噌味「オムライス」も気になっちゃいます。


「島正」 名古屋市中区栄2-1-14 052-231-5977 http://www.shimasho.biz/
column/02475

専門うなぎ「いば昇」本店で ゆったりいただく出汁の櫃まぶし

ibashou.jpgプリンセス大通りの道すがら、 「ここの”いば昇”が本店なんだよ」と聞いたことがある。 以前お邪魔した錦/本重町通りの「いば昇」が唯一そのものかと思っていたので、へ~、とね。 で、やってきました丸栄先のちょこっと路地。 積年に応じて草臥れた感じが本店の風格とも思える表情で迎えてくれます。
錦の店に寄ったときは、空席待ちをするほどの盛況振りだったけど、 こちらのこの日の様子は、ゆったりとした空気。 ホールを動き回るおかあさんの張りのある声だけが、静かさの中に響きます。 左手の小上がりibashou01.jpgに上がり込んで、「櫃まぶし」をお願いしました。 お茶を汲む、古びたアルミの薬缶ibashou02.jpgが味であります(笑)。
お櫃がやってきました。 ibashou03.jpg櫃まぶしの絵面のイメージに浮かぶのは、「蓬莱軒」のもの。 その頭でいると、こちらのお櫃は口径も小さめで、あれ?可愛いなぁとなる。
特に食べ方指南もないので、まずはそのまま茶碗によそっていただきます。 ibashou04.jpgう~ん、悪くないけど、 外皮の香ばしさと身のフシダラさそれぞれに、もうひと声欲しい感じもする。 ibashou05.jpg 続いて、刻み葱の薬味を載せて。 ふうん、ま、こんな食べ口が一番相応しい気がするなぁと目を閉じる(笑)。
で、例によって三膳目は、お茶漬けで。 用意されていた汁継には、お茶ではなくて、薄く引いた出汁。匂いからすると昆布主体の出汁だ。 ずず、ずずず。 やっぱりお茶よりこっちの方がいいなぁ。お茶だと愛想がなさ過ぎて、拍子抜けしたような気分になっちゃうもので。 そういえば、錦のお店はお茶だったような気もするンだけど、どうだっけ。
可愛いボリュームかと思ったお櫃は、食べてみればこのぐらいが丁度よく、翻れば「蓬莱軒」のお櫃は大盛りに過ぎるということになるね。
奥のテーブルに収まった常連らしき客筋が肝焼きやう巻きで呑み始めた。どうやら、観光客は錦の方に流れていて、ここではゆっくりいただける。どっちに行く?と訊かれたら多分、こっちを選ぶと思います。ibashou06.jpg名物ひつまぶし 「あつた蓬莱軒」本店 でカリしっとりなひつまぶし(過去記事)   櫃まぶし 「いば昇」 でお作法に沿っての櫃まぶし(過去記事) 「以ば昇」本店 名古屋市中区栄3-8-121 052-241-3944  http://www16.ocn.ne.jp/~ibasyou/
column/02474

そば 「総本家 更科堀井」本店で 啜る更科見直す官能的さらしな

sarashinahorii.jpgここ最近、「永坂更科 布屋太兵衛」「麻布永坂 更科本店」とお邪魔して、 麻布十番更科御三家の最後に訪れたのが、 十番温泉の向かいにあるこちら、 「更科堀井」sarashinahorii01.jpgさんです。 辺りを照らす袖看板には「創業二百年」とあって、 これは会社組織となる前の旧布屋太兵衛の寛政元年の創業来を指しているらしい。 創業者の直系でありながら、商標権を持たないがゆえに「布屋」を名乗れずに、自らの姓「堀井」を含む今の店名としたのが、八代目当主なのだという。
暖簾の先へと進むと硬い表情の男衆三人が仁王立ちで迎えます。顔立ちが和らいだところをみると怒っているわけではないのね(笑)。 六角形を成すような、フロア中央の大テーブルへ。 さて、他の更科とおよそ同じものをお願いしましょうか。
sarashinahorii02.jpg例によって、ふたつの小さな蕎麦徳利がやってきました。 片方の白い徳利には「から」と書いてある。 ということは、もう一方は甘めなつゆですね。
「さらしな」のせいろが到着。 つやつやとした肌合いをみせる白いそばがなんだかそそる。甘口のつゆにひたっと晒して啜る。 ほっほ~(笑)。内緒ですが、三店の中では一番、口元を滑り舌に触る感じが官能的。 sarashinahorii03.jpg澄んだ旨味を含む甘口つゆとの出会いも具合がよく、更科も捨てたもんじゃないと見直させる気概がある感じだ。
sarashinahorii04.jpg随分ボリュームのある「かき揚げ」だなぁと箸を伸ばすと、へ?となる。 およそ半分の嵩を構成していたのは、かき揚げ本体ではなく、なんと天かす。よくぞ、丁寧に載っけたね、って。 それにしても、どういう意図なんだか解らない。特に食べ方の指南もないしね。ううむ。
そしてもう一枚、せいろが届きます。 こちらは一転して、浅黒く野太い蕎麦が鎮座する「太打ち」だ。 sarashinahorii05.jpg
ず、ずっ。もごもご。
挽きぐるみの田舎そばは好みなのだけれど、これは丸抜きではなくて、殻ごと挽いた粉で打った蕎麦らしく、如何せん余りにも啜り難い食べ難い。うううむ。
通りに面した佇まいは、比べれば一番艶がある。 sarashinahorii06.jpg今のところ、看板の「さらしな」が○だった「更科堀井」を御三家の筆頭と考えておこうと思います。普通の「もり」もいいのかも。今度は、お酒もいただかないとね。
総本家 更科堀井」本店 港区元麻布3-11-4 03-3403-3401  http://www.sarashina-horii.com/
column/02473

WINE RESTAURANT「A.te」で 鱈白子のペペロンチーノ

ate.jpg 前月、イタリアの新酒を味わうお店の候補にしていた 「A.te」は、 鮨「しみづ」と同じ路地のビル2階にあります。 銀座「Mardi Gras」を経てこの店を開いたのは、 女性のオーナー・ソムリエールだという。 そこここに女性ならではのセンスをも感じさせる「A.te」。 はて、「あ.て」というのはどういう意味なンだろうね。
カウンターの右隅に案内されました。 ate01.jpg白い壁に黒褐色の調度。 椅子やカウンターの立ち上がりタイルに赤のポイントを配した、 落ち着いたデザインは女性陣にウケがよさそうだ。
ランチメニューはA、B、Cとあって、この日のAが「オリーヴとバジル、モッツァレラチーズのトマトソーススパゲティ」で、Cが「ドライカレー」。 LunchBの「白子とほうれん草のペペロンチーノスパゲティ」を選んでみる。 ate02.jpg カリフラワーのスープとオリジナルサラダに続いて、 パスタのお皿が届きました。ate04.jpgate03.jpg白子=クリーミーの連想も働きますが、仕立てとしてはアーリオオーリオの具材のひとつに白子を使いました的なパスタで、クリーミーさよりも白子の風味そのものが基調になっている。うんうん。 なんの白子かなと訊けば、鱈の白子だという。 ate05.jpgそして、店名の「A.te」。 「A.te」は、イタリア語の”あなたに”という意味と“お酒のアテ”的意味合いを織り合わせたものなんだそうだ。 なるほど。
今度は、きっとソムリエールにあれこれワインの相談ができるだろうことと、ワインによく合うアンティパストが用意されていることを”アテ”にして、やっぱり本番の夜に訪れてみたいな。
移転前にも訪れていた「Tokyo Diary」のromyさん 「A.te」 港区新橋2-15-17あおいビル2F 03-5251-0607
column/02472