やきとり「忠弥」で 旨いハラミほっぺ大串焼ぺてん特製カクテル

chuya.jpg開店時間らしき4時過ぎに店の前を通るとまだ暖簾は出ていない。 ひとまず中延スキップロードをぐるっとしてから、再び中延駅近くの路地へと戻ると、お、営業開始ですね~。 新参モノはと一旦右端の丸椅子に腰を下ろしたものの、品書きがまったく見えない位置だと判って、焼き台前へと移動します。
chuya01.jpgまずは瓶麦酒をお願いしつつ、頭上の品書きを凝視。 焼き台前の大将は、ニッてな笑顔でこの小さなメモに注文を書いておくれchuya13.jpgと促してくれる。 端からいただいちゃおうかな。 お~、「ハラミ」がいきなり旨ひ。chuya02.jpg旨味汁がじゅわんとね。 「はつ大串焼」はコリムニっとした歯応えが醍醐味。 chuya03.jpgchuya04.jpg 「タタキ」はつまり、つくね。 ぎゅぎゅっと詰まった挽肉がしどけなく解けて、一気喰い。 「ほっぺ大串焼」も大きくて、噛み応えと脂の魅力が両立しているぞい。chuya05.jpg 再び品書きを見上げている間にも、ぞくぞくとお客さんが入ってくる。 と、その中のひとりに向って大将が云う。 「今日は帰りな!」。 ん?っと思って入口を見ると、なるほど完全にアル中だと思われるオッチャンが所在無く立っている。 お店のスタッフ全員が宥めすかすようにでも敢然と口々に「今日はやめとけ」をコール。 仕方なく帰っていくオッチャン。 可哀想だが我慢しなきゃな、というのを決して切り捨てるようなことなく伝えているんだね。 そうして5時には全席が埋まるのであります。 chuya06.jpg オヤジなやきとり屋さんの定番「特製カクテル」に切り替え、同時にいただいた「煮込」がこれまた旨くって、堪らん。chuya07.jpgchuya08.jpg残ったスープはまるで博多長浜で啜ったとんこつスープのようで、極細麺を投入したい感じ(笑)。 「ぺてん」とは、店奥の壁に掲げられた「やきとり談義」によると「頭肉」のこと。 chuya09.jpgchuya10.jpg 右手中程でカクテルをお代わりしているお爺ちゃんが大将に話しかける。 「ココへ通って40年になっちまったよ」「今でも中延に恋人がいるって云われているんだ」。 応えるように大将が、「そうだねぇ、もうここを始めて50年だもんね」「開店来通ってくれてるのもいるよ」。 chuya11.jpgchuya12.jpg 「カタロース」を齧り乍ら、焼き台の上の手際と鉛筆を鉢巻の横にすっと挿し戻す大将の所作が鯔背だなぁと見入ってしまうのでありました。chuya14.jpg 「忠弥」 品川区東中延2-10-9 [Map] 03-3783-2257
column/02202

カレーをテーマにしたレストラン「東京カレーラボ」

currylab.jpgオープンからおよそ1ヵ月が過ぎた東京タワーのカレー研究所、「東京カレーラボ」へ寄ってみました。展望台のどっかにお店があるってなイメージを勝手に抱いていたもんだから、駐車場側から入ったフロアでいきなり「TOKYO CURRY LAB.」の文字を発見してちょっと愕いちゃった(笑)。ラボっぽさを表現すべく試験管にスパイスを収めたディスプレイを横目に店内を覗くと、あれれ、白いカウンターには一番奥に5人ほどのグループがいるだけで、手前は随分とがらんとしちゃってる。そのグループに並ぶように奥の席へと案内されました。「TCL005ダブルミンチカレー」か「TCL009スパイシーポークカレー」、はたまた「TCL011オニオンチキンカレー」か。トッピングを施した「プレミアム」はお休み中らしい。う~ん。まずはメニュー冒頭の1作目、「TCL001アーモンドチキンカレー」からいただいてみようかな。中央のこんもりライスから右手に向けてつぶつぶな粒子を窺わせるカレーが広がり、トンと鶏肉が鎮座、左には鮮やかなオレンジ色のコントラストにしなッと辛味を添える玉葱の酢漬けが配されています。カレーソースを舐めてみてもやっぱりつぶつぶ。アーモンドも擂り潰して入れてある、ってことでよろしいンでしょうか。粉っぽさとはまた違う舌触りの中に甘さを含んでいて、辛さの気配はほぼ、ない。チキンはしっかりジューシーで、いいね。結局、研究成果第一号の印象がどうだったかっていうと、うん、まぁ、うまいかな、って感じ。欠番のアイテムがどんなだったか気になるなぁと口直しのラッシーを飲みながら思いつつ振り返ると、お、いつの間にかカウンターは満席だ。空席を待つ人に早く席を譲ろうとそそくさとと席を立ち、お約束のワンカットをカメラに収めて、東京タワーを後にするのでありました。 >ヒロキエさんが先日お召し上がりの「4種盛り」 >華麗叫子さんが先日お召し上がりの「アーモンドチキンカレー」と「スパイシーポークカレー」 「東京カレーラボ」 港区芝公園4-2-8東京タワー2F 03-5425-2900  http://www.tokyocurrylab.jp/
column/02201

寿司「赤坂 鮨兆」

sushicho.jpg赤坂で所用の帰りがけ、山王下近くのビル3階にある「鮨兆」さんに寄ってみました。入口入って正面のカウンターに腰掛けるとすぐに、「はい、普通、多め、大盛り」と声が掛かりました。え?え?と戸惑う表情を向けると、改めて「盛り、どうします」とにこやか顔の大将。どうやらランチには「おまぜ」と呼ぶちらし寿司のみの提供となっているようです。「多めでっ」と応えて、硝子ケース越しに大将の手元を見ると、なかなかの早業で器にシャリを詰め、刻んだ具を盛り込んでいきます。「ほい、お待ち」。全然待っていませんて(笑)。どっかの誰かが「宝石箱やぁ~」と叫びそうな華やかさで、イクラ、烏賊、鮪赤身、カンパチ、海老、玉子焼などが鏤められた器を受け取りました。「味、ついてますんで、まずはそのままで」。世の海鮮丼は、どんぶりに載った刺身を一旦剥がし取って小皿の醤油に漬けるか、山葵を溶いた醤油を廻しかけるかをしなければならず、なんだかな~と思うことが多くて避けているんだけど、これならOK、食べ易い。酢飯を味気なく思うことがないよう、ほどほどの味付けがなされている。嬉しいのは、白味噌のお椀に続いて、すっと赤出汁が届けられ、「お代わりできますよぉ」とひと言。結構たっぷりした量のシャリが収まっているので、途中途中で汁っ気が欲しくなるのを充分心得てくれてる気がするな。食べ終えて席を立とうとしたところで、待って待ってと水菓子の小皿。改めてお茶を啜って会計を済ますと、今度はどら焼きのお土産だ。ほらほら、傘を忘れちゃいけないよ。こんな衒いない家庭的サービス精神が微笑ましい寿司店が赤坂にあったなんて知らなかったな。 「赤坂 鮨兆」 港区赤坂3-6-10第三セイコービル3F 03-3585-7917 http://www.akasaka-sushicho.com/
column/02200

RISTORANTE「ACCA」で 黒鮑のリゾットこのこのフェットチーネ

acca.jpgちょっとお祝いにと、有名イタリアンのひとつに数えられる広尾「ACCA」にお邪魔してみました。 エントランス周りは気取りのない設え。 右手フロアの奥からゆっくりと現れたのがシェフのお母さんと聞く方でしょうか。 傘や外套の扱い、テーブルへの案内などにルーティンな動きはなく、あれ?っとも思うけど、畏まった気分にさせなくて、それはそれでいいかもしれません。
飲み物を訊かれると、ビールかシャンパンだと云う。イタリアンらしくスプマンテではなく、シャンパンとするところになにか意図があるのか分からないまま、シャンパンのグラスをいただく(ちなみにワインリストには、スプマンテもリストされている)。 お母さんがちょっと震える手で三度四度とボトルを傾けてゆっくり注いでくれる様子をじっと見入ってしまった。 料理はおまかせコースのみ。 紙に記したメニューはなく、苦手なものを訊かれ、それを加味するカタチですべてのお皿を口頭で説明してくれるスタイルです。 説明された全部を覚え切れないのが切ないものの、なんだか期待が高まってきたぞっと。 まずのお皿は、野菜のスープパルミジャーノのせ。 玉葱をはじめとした野菜たちの甘さがすっきりと表されていて、そこにパルミジャーノがコクを添えています。 acca01.jpg続いて、大き目のスプーンが運ばれてきました。 フォアグラとはちみつのシャーベット。 一気に口に含んだ途端、熱々フォアグラの香りとコク味にシャーベットのヒンヤリとはちみつの香気が交錯して弾けた。 いやはや吃驚。思わず顔を見合しちゃったもんね(笑)。 リストから選んでみた白「Grande Bianco」は、フルーティな香りの中にふんわりとした甘さとキレがバランスしていてなかなか美味しい。 Slovenija、つまりスロバニア産のワインってことらしい。 さらなる前菜は、生ハムと京筍。acca02.jpg極々薄く、削るように仕立てた妖艶な生ハムの下に隠れているのが、炙って食感と香りが格段に増したタケノコだ。 ははは、なんて絶妙な取り合わせ。 メロンと生ハムを組み合わせるのが恥ずかしいことのように思っちゃいそうだ。 中華の料理人のような井出達の男性が立派な鮑を両手にテーブルにやってきて、トマトのパスタを黒鮑のリゾットに変更したいがいいかと訊く。もち全然OKっす、追加料金の心配も一瞬過ぎったけど(笑)。 柔らかくかつ適度に鮑らしい食感を残したぶつ切りの身をふんだんに含んだリゾットには鮑の肝の、イカ墨っぽい色合いのソースがかかっていて、お~、しみじみしちゃうお味。 底にバニラスティックを仕込んだ毛蟹のホイル包みでお約束の無口になってから、再びのパスタ。 acca03.jpgacca04.jpg フェットチーネほどの手打ち麺にたっぷり絡んだ橙色の粒子は、日本酒にあう珍味として知るこのこ(海鼠の卵巣)をカラスミ様に乾燥しさせたものを削りおろしたモノ。 このこの風味を念頭にいただくと、あはは、適切な塩味と一緒に頭に描いたのと同じ風味が口中に広がって、楽しいな。 お魚は、鰊のグリル。 柑橘をさっと搾っていただけば、ニシン独特の食味が不思議な軽さを伴ってくる。 acca05.jpgacca06.jpg そしてお肉は、仔羊のグリル。 トマトソースを纏った仔羊肉からしどけない旨汁がじゅんと滲んできて、この期に及んでペロンと食べてしまう自分がちと恥ずかしい。 acca07.jpg チーズスフレに胡麻のアイスが載ったドルチェにも感嘆符を打って、カプチーノ。 確かに、お母さんや男性スタッフにきりっとしたサービスらしいサービスのスキルは窺えないし、ホールにひとりその道のプロが就いたらお店の格が格段と上がるだろうことは間違いがない。 だけど、なんかいいんだよな、ゆった~りして消え入りそうなお母さんの接客も。 トータルの食事時間3時間。でも間延びした印象はなかったもんね。 帰りがけにお見かけしたのがおそらく林シェフ。 客にニコリともしない不遜なヤツとも思えるけど、人見知りでシャイな料理人と考えると、お店や料理全体を包むニュワンスがもうちょっと判ったような気がするンだけれど、どうだろう。


「ACCA」  渋谷区広尾5-19-7協和ビル1F[Map] 03-5420-3891
column/02199

日本料理「築地 ふじや」

fujiya.jpg築地4丁目信号を挟んで場外の斜向かいの一角にも料理屋さんが並んでいる筋があって、その中の一軒が「ふじや」さん。店頭には、「角煮定食」「かつお丼」「牛肉オイル焼き」「和風シューマイ定食」「さばの味噌煮」といったお品書きが黒い札で掲げられています。暖簾を捲くると、店内のカウンターには先客がひとり。もう12時も廻ろうとしているのにどうしたことでしょう。カウンター奥に佇むと、薄暗がりに漂うどこかどんよりした空気に包まれる気配がします。「ぶり照焼」をお願いしました。割と大き目の鰤の載った角皿。ベタつかず塩辛過ぎずの味付けは悪くないけど、熱々が食べたかったなぁというのが正直なところ。今焼いたワケではなくて、焼いておいてあったってことなのかなと思わす、緩い温度なのです。忙しいランチ時に焼き魚煮魚を美味しく供することの難しさに改めて直面したような気のするひと時でもありました。帰り際に女将さんが問わず語り。いつもはもっと混み合うンですけど、曜日によってムラがあるんですよぉ。いや、あの、私、そんな顔色してました? 「築地 ふじや」 中央区築地2-15-4 03-3541-0035
column/02198