めん処「翔」

shou.jpg日本橋での野暮用のついでに、髙島屋近くの路地にできていた「翔」で夕食を啜ってみることにしました。コの字のカウンターが廻る、比較的ゆったりとしたレイアウトのお店です。券売機の上には、鶏・魚介系のあっさりととんこつ系のこってりと2種類のスープがある、とある。とんこつ醤油ってことだろうと当てずっぽうに「醤油チャーシュー」のボタンを押し、「岩のり」「味付玉子」を追加して渡すと、こってりだったら「中華そば」になるんだという。「中華そば」=どっちかちゅーとあっさり系ラーメン、という連想をしっかり否定されてしまい戸惑うも、値段も同じということですんなりと変更してもらう。う~ん、こってり系といいながらこってりしないように配慮し過ぎちゃったような、ピントの暈けた感じのするスープだね~。妙にエッジの立った麺とか、はらはらと蕩けるチェーシューとかとそれぞれのパーツは別段悪くはないけど、肝心のスープが弱いのがツライ。余計なお世話だけれど、「麻婆麺」「カレーそば」なんかで遊んでる場合じゃないような気もします。 「翔」 中央区日本橋2-10-2第一ビル1F 03-3281-3336
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Curry Dining「Tree’s」

trees.jpg人形町通りから覗き込んだ脇道にカレーハウスを見つけました。「欧風でもなく、インド風でもない」。そんなフレーズが気になって早速ドアを押すも、カウンターもテーブル席も既に満席だ。空席を待つ間に決めたカレーは、おススメメニューのひとつ「ツナトマト」。ライスとは別に、肉厚などんぶり状の器でやってきたカレーは、ほとんどとろみのないさらっとしたスープカレー状態のもの。一瞬、ライスを載せたスプーンをそこへ浸す所作をとろうかと思うも、なにかそれも違うような気になって一気にライスに流しかけてみる。形を残したトマトをはじめとした野菜たちがトップに残り、スープは当然ライスの底へ。ヘルシー志向を充分反映させたカレーらしく、野菜の甘さ酸味が優しくそこにあって、ツナさえも大人しい表情だ。時にしつこさにも至る小麦粉を使ったコクを避け、具材の味をそのままにという、オンナノコウケしそうなひと皿だね。スパイスは13種類をオリジナルにブレンドしたものだそうだ。いわば、カレー風味の野菜スープ、ライス添え、という感じ。同じスタイルのまま、鶏でも豚でも牛でもいいから、もっともっとガツンとしたスープがベースにあったらいいのにと率直に思うけど、そうすると志向している身体に優しいカレーとは別物になっちゃうンでしょうね。 「Tree’s」 中央区日本橋人形町3-6-8 人形町共同ビル1F 03-3639-2525
column/02109

中国家庭料理「アンジュ」で かきそば半チャーハン設えパブちっく

anjyu.jpg昼のソニー通り。色の褪せた写真を覆い隠すように手書きメニューがベタベタと貼られたスタンド看板に「かきそば半チャーハン」という文字を見つけて、吊られるようにその店の入口へ。 ドアの左手には白地に金文字の店名プレートが掲げられていました。 その名を「アンジュ」。 どこか新宿あたりの安スナックを思わすような、少なくとも中華料理店を連想させることのない店名でもあるような。 店内に入ってみると、あれれ、やっぱりここってもしや「アンジュ」という別の種類のお店だったのではなくって?と思わせるパブちっくな設えだ。
微妙に訝るような表情になりながら、一番奥のカウンターへ。 すり硝子越しの厨房では北京鍋が激しく動き、忙しなくも快活な熱気が伝わってくる。 ホール側もだんだんと混み合ってきた。 「はい、お待ちぃ」とやってきたどんぶりには、軽く片栗のあんを纏った大ぶりの牡蠣がごろごろと載せられている。anjyu01.jpg決して不味いワケではないけれど、大きさの割りには味が抜けちゃっているような気がするのが残念で、スープにも麺にもこれといって特段魅力的な要素は見受けられない。 なぁんてこと思いつつもズズズ、ズズズ、素っ気ないチャーハンと合わせて完食してしまう(笑)。 一見町場中華の「アンジュ」ですが、なによりも中華料理店としてその名をつけて、その内装にしたのかどうかが一番気がかりだったりしています。 「アンジュ」 中央区銀座5-4-14 国松ビル1F [Map] 03-3571-0789 [閉店]
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京のうどん「日の出うどん」

hinode.jpg腹ごなしにと足を伸ばして、修学旅行以来となる銀閣寺を拝んでみる。ゆっくりのんびり哲学の道でも辿ってみようかと思ってはいたものの、そんな風雅な気分にならず、早速タクシーに乗り、下がって南禅寺方向の「日の出うどん」に寄ってみました。なんだか喰い意地しか持ち合わせていないようで(笑)。静かな通りにぽつんとあるうどん屋さんは、半端な時間帯だというのに満席で、注文を伝えて暫らく待つ。回転よく席が空いて、カレーの薫り漂うお店の隅へ。夏には大活躍するのであろう団扇を眺めながらぼんやりと待っていると、やってきました「特カレーうどん」。あげきざみ、肉、ねぎが仕込まれたカレーうどんを“特”としているようで、おお、どろ~んとしたトロミたっぷりのあんの中に揚げやらお肉やらが潜んで出番を待っている。とろみもしっかりしているけれど、その底の方から出汁の厚みがむほっと湧き上がってくるンだ。デフォルトでは辛さ控えめながらスパイスの風味が食欲を追い掛け回してくる。うどん自体はコシや歯応えを主張するタイプではなくて、カレーあんと一体となってにゅるんとした絶妙の官能を生む仕立てのもの。へへへ、うまいうまい。黄色い滴を飛ばさないように留意しつつも、一気呵成に啜る啜る。さっきお昼と摂ったばかりだというのに、腹ペコさんのような喰いっぷりをみせてしまいました。ふ~。 「日の出うどん」 京都市左京区南禅寺北ノ坊町36 075-751-9251
column/02107

葱料理・湯葉とろろめし「葱や平吉」

heikichi.jpg大きな暖簾には“京都高瀬川水流るる”とある。葱料理の「平吉」は、その、さわさわと流れる高瀬川を背にして、西木屋町通りという細い粋な路地の一角にありました。「商い中」を示す木札の脇には、九条葱などの葱をはじめとした野菜たちが笊に盛られて置かれています。暖簾を分け入り、左手の囲炉裏を横目に大きなテーブルの窓側へ回り込んで、ちょうど川を見下ろせる席に腰を据えました。眼前の棚にもまた別の野菜たちが盛られていて、その先に見える厨房のバックバーには酒瓶が並んでいる。夜来るのも良さそうだなぁと思いながら、とろろめしに土鍋うどん、冷やしうどんが並ぶお昼の品書きを眺める。「名物湯葉とろろめし おばんざい付き定食」を選んでみました。まずは大きな枡にこんもりと盛り込まれた葱がやってきた。それだけで、なんだかニンマリしてしまう(微笑)。そして擂鉢状の器にある麦飯に、「湯葉ととろろを合わせ擂った湯葉ととろです」と云いながら、大きな擂鉢のどろんとしたそれを攪拌しながら目の前で流し込んでくれます。たしかにほんのりと湯葉の色合いを含んでいるように見える。早速、小口切りの葱を遠慮なくぶち込んで、海苔をちらし、鶉の玉子を割りいれる。多少ぐにっと混ぜてからやおら、啜る。繊細な甘さを思わす湯葉の風味ととろろのまったりとした口あたりが、優しい気持ちにさせるようだ。中途で塩をちょっと振っても、ちょっと醤油を垂らしても、その度にくっくと味わいのエッジが立つのも面白い。おばんざいとして添えられていた鶏と大根の炊いたんの、その出汁がまたうめぇ。「鴨葱煮込み」「胡麻唐豚煮込み」「牛スジ味噌煮込み」「つみれ京野菜味噌煮込み」「梅干入りきざみあげ煮込み」、……。その一方で実は、土鍋うどんにもめっちゃ挽かれていたのです。葱を目一杯投入してね、と。 「葱や平吉」 京都市下京区西木屋町通り仏光寺上る三丁目市之町260番地4 075-342-4430
column/02106