きそば「富士見屋」

fujimiya.jpg10号館の一角にあるそば店の「富士見屋」に寄ってみる。お隣の「ざる」を一瞥してだけで止めておこうなんてちょっと失礼かもしれないけれど、ツヤのないおそばに食指が動かなくなってしまった。そこで少しでも魚市場らしいメニューをと、「ホタテ丼」をお願いすることにしました。勝手に、ちょい醤油で周囲をソテーしたホタテがゴロゴロっとのっていて、それをおろし生姜をちょんのせでいただく、な~んていうどんぶりを想像していたら、全く違うものが届いてしまいました。つまりはホタテの玉子とじ丼です。あのホタテの刺身のとろんとした独特の味わいはもちろんここにはなく、かといって別の魅力を引き出せているかと云うと、そうではない。じゃあ不味いのかというとそんなこともない。まぁそんな感じ。冬場の「かき南蛮そば」は試してみたかったな。 「富士見屋」 中央区築地5-2-1 築地卸売市場10号館 03-3547-6761
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洋食・カフェ「ルー・ド・メール」で ハンバーグカレー記憶に残る皿

loupdemer.jpg「ルー・ド・メール」は、神田外語学院の建物がそこここに建ち並ぶ内神田エリアにあります。 以前足を運んだ時は、 店を挙げてのイベント出張のための臨時休業で、その貼り紙を見て脱力した覚えがありました。今日は無事、通常営業のようです。 お昼メニュー筆頭の「北海道産黒毛和牛カレー」「ドライカレー オムレツのせ」、そして「甘口鴨カレー」「味噌ポークハヤシ」なんかも気にかかる。 さてなにをお願いしようかな。
あれこれ悩んで結局、やはり当初からお目当ての「ハンバーグ・カレー」をお願いすることとしました。loupdemer01.jpg 白いプレートにまず麗しい赤褐色のカレールーが敷かれ、左手に蕩けたチーズののったハンバーグ、その右手にフライドエッグ、奥にライスの小山が控えるというレイアウトになっています。 辛さはひとつのエッセンスにとどめ、下地の旨味に甘さや酸味が層を重ねてくるような欧風カレーで、コクがありつつベトつかない。ハンバーグは、ぎっしりと挽肉が詰まっていながらほどよくジューシーで、香り高い。 いいね、こういうのも。 「ルー・ド・メール」は、京橋「ドンピエール」の鈴木シェフがMyキッチンを兼ねた洋食カフェとして開いた店だということで、店全体によりカジュアルな志向が窺えます。 メニューには、焼酎・日本酒のラインナップもあり。 店名の「Loup de-mer」はフランス語で、海のオオカミ=スズキという意味らしい。 駅のホームでふと今しがた食べたカレーの皿を反芻するように思い出したら、すぐさま涎が出てきてしまった。 記憶に残るひと皿なのかもしれないな。
「ルー・ド・メール」 千代田区内神田2-14-3 03-5298-4390 http://www.perignon.co.jp/  
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うなぎ「ひょうたん屋」6丁目店

hyotanya6.jpg鰻が食べたいと思って閃いたのが、「ひょうたん屋」の6丁目の方のお店。”蒸さない鰻”に開眼させてくれた1丁目の兄弟店だ。佇まいそのものは本丸の風情には敵いませんが、おのずから期待してしまいます。L字のカウンターの右隅へ。焼き台が真っ直ぐ覗ける好位置なんだ。「うな丼」を。足元から串に刺されたうなぎを炭の熾きている焼き台の上にすっと載せて、大ぶりの団扇でハタハタと扇ぎます。ハタハタ、であって、バタバタでもソヨソヨでもない。ちょっと遠くの方からハタハタと空気を送っている。そんなちょっとした所作がなかなかオイシイ。下焼きなんかしていない鰻が次第に白みを増してきて、所々に薄っすら焦げめをつけ始めると、2度3度とタレに潜らせ、そして置き位置を右左に入れ替えたりしながらさらに裏表が焼き上げられていきます。そして、串を抜き、一旦フタで閉じられたどんぶりがカウンターに面した小窓から届けられます。どんぶりのフタって、この儀式のためにあるような気がしてくる。パカっとして、表情を窺う。ああ、うまそうだ。すぐさま焼き立て熱々のところをハフハフといただくと、じわんと旨味が広がるんだ。身が柔らか過ぎず、かといって萎んでもいず、しっかり張りがありながらふんわりとしているのがいい。タレはベタつかず甘過ぎず、ご飯は粒が立っている。うん、やっぱり「ひょうたん屋」の鰻は、旨いや。 「ひょうたん屋」 中央区銀座6-12-15 03-3572-2511
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CHICKEN「とりかつ」

torikatsu.jpgこんなところにこんな路地があったんだね。百軒店の道頓堀劇場(閉場した?)の向かいのアダルトショップの脇道。その脇道を入ったところに「とりかつ」はあるのです。古びたマンションの1階奥。明かりを灯す看板がいくつもあるからよいものの、これが控えめだったら初めて来るヒトはちょっと身じろぐかもしれないな。ぐるりとカウンターが巡る店内中央に。あれこれ迷って、「とりかつ」「メンチかつ」「オニオンフライ」の3品盛り合わせをいただきました。まず「とりかつ」。ジューシーな鶏の身に香ばしい衣がきちんと一体となっていて、なかなかよろしい。味がついているのか、なんにもつけなくてもOKって感じ。「メンチかつ」は、玉葱のみじん切りが沢山入ったツクリ。お肉がっちりでは、ない。「オニオンフライ」はお約束の玉葱の甘味がほどよく引き出されていて、悪くない。「はんぺん肉入りフライ」とか「厚揚げ肉入りフライ」なんてのも気になるゾ。それにしても、たまたまなのかなんなのか、やってくる客は若年性カップルばかり。ま、少なくとも「とりかつ」店内には色っぽい雰囲気はぜんぜんないけどね。 「とりかつ」 渋谷区道玄坂2-16-19都路ビル2F 03-3461-0298
column/01832

ミルクワンタン「鳥藤」

torifuji.jpg新橋から東京駅方面へと連なるガード下店舗群の中で、この有楽町北側あたりもなかなか怪しくて面白い。京橋口からガード下の暗がりを真っ直ぐ進んだ、そのずっと奥に「鳥藤」はあります。草臥れた具合がいい味だしてる。昭和、だね。ズリズリっと引き戸を開けて、カウンターの中央に陣取りました。「ミルクワンタン!」と告げると、「ミニチャーハン、つけますか」「はい」となる。すぐに出されるスープは極々薄味。横目にすると、肉じゃが風のおかずでチャーハン食べている客がいる。ん~、「鳥藤」さんてそもそもナニ屋なんだろね。と、そこへ「ミルクワンタン」が届けられました。湯掻いた肉入りワンタンをスープで割って温めた牛乳に投入し、そこへ肉じゃがをトッピングしてしまうというどんぶりだ。クリームシチューよろしく、とろんとして旨味を訴えるスープではなくて、ちょっと水っぽくてスープ自体にあまり旨味は感じない。もうちょっと煮詰まった感じの方がジャンクでいいのになとも思う。あ、夜、さんざん色々なものを呑み喰いして、最後の仕上げにズズっといくにはこんなんがいいのかもしれないな。 「鳥藤(とりふじ)」 千代田区丸の内3-7-9 03-3215-1939
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