海の幸フランス料理「ヌキテパ」で 土のジュレと西瓜ショート

nequittezpas.jpg ソニー通りから清泉女子大方向へ折れた住宅地の一角、ハンバーガーの「フランクリン・アベニュー」のお隣にあるのが、かの「ヌキテパ」です。 予約の時間丁度に到着、中央のテーブルへと案内されました。 まだ暮れきらない初夏の明るさがサンルームの設えの店内に注がれています。
まずは、球状に刳り貫いたスイカを浮かべたスパークリングワインを。nequittezpas02.jpg大のスイカ好きのシェフお薦めの食前酒。 ワインリストの表紙廻りや壁の絵には大きくスイカが描かれているし、中ほどに大振りなスイカが鎮座しているのです。 nequittezpas03.jpg続いてスプーンに何やら黒っぽいゼラチン状のものが載せられてきました。 なんと野菜の根なのどについていた”土”を使ったジュレだという。 恐る恐る口に運ぶと、やはりそれそのものには味がなく、時折ジャリっとする。 ん~、これは微妙だ。田辺ワールド奥深し。 添えるワインは、98年の「ブルゴーニュ ルージュ」。ピノの円やかな味わいと香りが楽しめます。 漁師風サラダnequittezpas04.jpgは、花を添えた大根と伊勢海老。千枚漬のようでもあり。 nequittezpas05.jpgそこへ真っ黒な蛤が届く。「地ハマグリの炭火焼き」だ。 蝶番の脇からナイフを差し込んで捻るとパカッと開くようにしてある。 熱々をハフハフといただくと、磯の香りとともに凝縮した旨味が広がります。 「イセエビの冷たいビスク」nequittezpas06.jpgは、焼いた伊勢海老の香ばしさと味噌の濃厚な味わいが楽しめる冷製スープだ。 三崎の海産物を重用している「ヌキテパ」のメインであるところの今日の魚は、鯛とイサキのポワレ。nequittezpas07.jpg微かに甘みを加える調味がされていました。 そしてデザートに「スイカのショートケーキ」。nequittezpas08.jpgなんと、スイカの厚切りがそのまま使われています。 そうくるか~、とその洒落っ気とも受け取れる着想に驚かされます。 「ヌキテパ」の田辺シェフは、元ランキングボクサーで、30歳を前にして料理の世界に身を投じた、らしい。骨太で朴訥とした風貌の印象とリンクするように、野趣に富んだ皿が多いように映ります。それにしても、スイカ、お好きなんですね。 印象的な響きの店名「ヌキテパ」は、「しばらくお待ちください」といった意味だそうです。


「ヌキテパ」  品川区東五反田3-15-19[Map] 03-3442-2382
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麺処「夢乃屋」で 白醤油の雅もうひと味欲しい黄金色スープ

yumenoya.jpg玉川高島屋の裏手に「柳小路」というフーズエリアが展開していました。 その東角に暖簾を掲げていたのが麺処「夢乃屋」。 甲府でラーメン店を営む店主が、一躍東京へ進出してきたということらしい。 白醤油を使っているという「雅」を大盛りでお願いしました。 一見澄んでいるようでその実、旨味を纏った脂を含んでいそうな黄金色のスープです。 レンゲでそのスープを啜ってみる。
う~ん、鶏ベースと思われるスープには繊細で重層的な工夫を感じるものの、 ただただもうひと味ほしいなあとも思う。yumenoya01.jpgトッピングされていた削り節と一緒に麺を啜ったら、薄い経木を口にしてしまったような食感でこれはよろしくない。 粉末のトッピングはありだと思うけど、削り節のトッピングは余計だと思う。 それで旨味を補おうということでもないだろうしね。 自家製と思しきストレート麺はシャッキリとしつつよくスープを絡めるので、○です。 「夢乃屋」 世田谷区玉川3-11-1 柳小路東角1F [Map] 03-5717-9211
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洋食「ヤナギヤ」で 松阪牛のハンバーグ大事に包む肉の旨さ

yanagiya.jpg洋食「ヤナギヤ」は、武蔵小山駅の北側、補助26号線沿いにあります。 カウンターとテーブル席を合わせて20席ほど。 洋食屋さんらしい佇まいをみせていました。 カウンターの中央に収まって、メニューを斜め読み。 やはり、と端から目当ての「松阪牛のハンバーグ」2,000円也をお願いしました。 カウンターの奥には、初老の客人がひとり。 リタイアした後、ここに足繁く通う常連さんなんでしょうか。
厨房側からスーッと滑らすようにプレートが届きました。 肉厚かつ端正な形状のハンバーグにナイフを刺し込むと、切り口からジワジワと遠慮がちに肉汁が沁みてきます。yanagiya01.jpgソースを絡めて口に運ぶ。 溢れんばかりの肉汁とともに楽しむというよりは、肉そのものの旨さを大事に内包している印象だ。 100時間も煮込むという評判のドミグラスソースは特段主張してはきません。 それが、肉の味をストレートに味あわせんがための処置だとすれば、なかなかに心憎いところです。 できれば、味噌汁ではなくて、ちょっぴり気の利いたスープを添えてくれると嬉しいな。 「ヤナギヤ」 目黒区目黒本町3-5-15 [Map] 03-3712-4184
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純廣東料理「慶楽」で 話題の上湯炒飯塩梅のよくなる頃

keiraku.jpg「日比谷映画」「みゆき座」も閉館し、閉鎖された飲食店が散見されて、黄昏を感じさせる日比谷のガード脇にある「慶楽」へ。 創業昭和25年というなかなかの老舗だそうですが、店全体から草臥れた印象を感じさせるのは、経年という理由からだけでしょうか。 マスコミでも話題の品だという、 「上湯炒飯」をいただきます。
まずはスープだけを掬って啜ってみる。 鶏がら中心のスープは、一定のコクも風味も感じさせない、浅い味わい。 熱々なのはいいけどね。keiraku01.jpg炒飯の塩分と混ぜ合わさると丁度いいように加減されているのかもと、 スープを動かしてからまたひと口。 確かに塩梅よくなって、奥行きが生まれてきた。 恐らくは、お酒と一緒に広東料理を楽しんだ後の〆に、サラサラといただくのが一番合うようにも思います。 「慶楽」 千代田区有楽町1-2-8 慶楽ビル [Map] 03-3580-1948
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焼鳥「とり健」本店で たれ塩八本煮込にしやしとまととり雑炊

toriken.jpgホテルユニバースの裏手筋へ廻り込むも目指す店らしき景色が見つけられない。 もしやと両手を伸ばせば左右に届いてしまいそうな路地へとさらに入り込むとそこに、それはありました。 「とり健」と標した丸い灯り。 店の顔を見ただけで、これはいけそうだとこうもはっきり感じさせられることは稀なので、なんだかワクワク。 余席が心配でしたが、運良くカウンターの一番奥に席を得ることができました。
ひとまず「おまかせ八本コース」をお願いします。 ジョッキとともに出てきた「寄せ豆腐」は醤油などではなく、出汁の利いた煮凝りでいただくもの。 ほうほう。 焼鳥は、それぞれ部位の特性に応じて、たれか塩かがあらかじめ決まっています。 まずは、「れば」「つくね」「皮」とたれのラインナップ。toriken02.jpgtoriken04.jpg火の通し加減が絶妙の「れば」に唸ります。 かりりとろりの「皮」も、いい。 そして「ささみ」「砂肝」「はつ」に「首肉」、「やげん」は塩で。 toriken07.jpgtoriken08.jpgtoriken09.jpg コリコリ食感とこびり付いた骨際の肉のコントラストを味わう「やげん」とは、軟骨のことだ。 「煮込」には、「ガーリックトースト」を添えてどうぞという提案に乗ってみる。 toriken05.jpgtoriken06.jpg ほうほう。悪くない。 焼酎は、黒糖「朝日」、芋の「白露」「竹山源酔」「ほていさん」で。 ちゃきちゃきの江戸っ子だってねーと(?)間に「しやしとまと」なんかをはさみつつ、toriken03.jpgtoriken10.jpg 最後は「とり雑炊」で〆る頃にはもう、すっかり満足の酔っ払いです。 茅場町路地の焼鳥「とり健」本店。 toriken01.jpgそれにしても、身近にこんな店があるなんて、知らなかったなぁ。 「とり健」本店 中央区日本橋茅場町2-14-8 [Map] 03-3639-9671
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