「和食割烹小料理あれこれ」カテゴリーアーカイブ

おでん一品料理「三幸」で梅貝春菊わかめの美味おでん白海老唐揚蓮根団子を菊姫で

miyuki香林坊交叉点近くの柿木畠商店街にある老舗おでん処と云えば「一寸一パイ」と暖簾に標した「高砂」。
味噌だれでいただく「牛すじ」とか「しのだ巻き」「ねぎま」、そして冬の時季の「かに面」等々、魅力溢るる酒肴で堪能させてくれました。
国道を挟んで対面には、カラフルな看板が誘う「菊一」があり、犀川寄りに下った片町の信号近くにある「赤玉 本店」は、創業昭和2年の老舗おでん店。
そして、観光客には実に便利な金沢駅構内の金沢百番街「あんと」にある、季節料理・おでんの「黒百合」も知られた存在であるらしい。

「赤玉 本店」が”金澤おでんの代表店”と、
自らを謳っているように、
金沢のおでんはそのまま”金沢おでん”と一般に称されている。
ただ、”金沢おでん”には、明確な定義や約束事がある訳ではなく、
特有のおでんの具を供することがある一方で、
つゆも関西風であったり関東風であったりと、
画一的なものでないというのもその特徴でありましょう。

とある地元の方が発した、
私はあそこが一番スキだという謂いに従って足を向けたのは、
片町エリアの外れ、犀川通りの大工町の信号近く。miyuki01通りから横丁を入るとすぐに見付かる赤提灯。
そこには”おでん”の文字がくっきりと浮かんでいました。

開店早々に窺うも店内は既にほぼ満席状態。miyuki02幸運にも一席だけ空いていたカウンターの隅にするりと収って、
すぐに穏やかに賑やかなざわめきの中のひととなる。

まずは「おでん」からとずらっと並んだ定番のあれこれから、
「車麩」に「ふかし」「梅貝」を註文んでみる。miyuki03大きな麩がたっぷりと出汁を吸っていい塩梅。
「ふかし」とは、浅く揚げたはんぺんのようなもの。
ふわふわっとして、するんと胃の腑に滑り込んでゆきます。
そして、正直びっくりしたのが「梅貝」の美味しさ。
肝の部分にも磯のエグ味なんて微塵もなく、
スカッと突き抜けるような滋味が外連味なく弾ける。
いやはや、こりゃ旨いウマい。

カウンターの中の黒板には、
本日のおすすめ品がこれまたズラっと書き留めてある。miyuki04miyuki05miyuki08その黒板の下に貼られた品札のひとつにあったのが、
「加賀丸葉春菊」と「わかめ」。
どちらもあっさりとおでん出汁に潜らすようにしたお皿なのだけど、
その火入れの加減が絶妙で、
繊細なテクスチャを感じさせつつ、兎に角美味しい。
特に加賀の春菊の美味しさときたら、
思わず絶句しちゃう愕きを含んでいます。

そんな、イケてるおでんと一緒にいただいていたのが、
「菊姫」の純米酒「先一杯」。miyuki06アルミのたんぽから、加賀菊酒との銘のあるコップへと燗酒を注ぐ。
ふーふーしてから啜るようにグラスを傾けて、
またおでんに手を伸ばします。

「加賀丸葉春菊」の品札の隣で何気なく、
その名を示していたのが「れんこん団子」。miyuki07ちょっと粗めに下ろした蓮根を丸めて炊いた、
その歯触りが素晴らしい。
ひいたお出汁も勿論美味い。
割烹料理の井出達で御座います。

朗らかに賑やかなカウンターの上を眺めると、
幾つかの大皿料理の存在も目に留まる。miyuki09miyuki10その中から「ポテトサラダ」をいただけば、
これまた記憶に残るポテサラの。
こりゃ、芋自体が美味いヤツじゃないかと目を瞠る。
細かくねっとりとさせた中に、
ざっくりほっくり食感が時々顔を出す。
塩梅や酸味の織り交ぜ方もお上手で、
思わず拍手しそうになりました(笑)。

黒板メニューからもお願いせねばと「白えび唐揚げ」を。miyuki11それは丁寧な薄衣。
儚げなその身をそっと噛めば、期待以上の甘さと芳ばしさ。
嗚呼、これもひとつの冬場の贅沢なのでありましょう。

「菊姫」の御燗のお代わりをいただいて、
それに合わせてと改めて定番メニューを捲ってみつけた、
金沢名物の糟漬けです、の文字。miyuki12「こんかいわし」「こんかさば」「こんか皮はぎ」とある中から、
どれも気になりつつ、やっぱりこれかと選ぶは鯖のヤツ。
凝集した鯖の旨味と香りがもろみの風味に曳かれて大活躍(笑)。
呑兵衛御用達の酒肴でありますね。

〆るでもないけれど、既に大満足ゆえ、
今宵の仕舞いとしたいと最後に選んだのが、
「とろろの鉄板焼き」。miyuki13miyuki14和風と洋風の二種類があって、
ハーフハーフにもできるというので、その様に。
花かつおのかかったサイドが和風でしょうね。
木の匙でひと口づつこそげるようにしながらハフホフと食べ進めば、
あっと云う間にするんと平らげてしまう軽やかさ。
名物と謳われる理由に合点がいった気がします。

金沢は片町エリア隅の大工町信号近くに、
おでんと一品料理で大人気の「三幸(みゆき)」がある。miyuki15定番の最右翼「みゆき揚げ」を食べ損なったと、
ふたたび訪れたらその夜はもう、店先から溢れる空席待ちの影。
偶然見付けた姉妹店も満席札止め。
夏でもおでんをいただくという金沢では、
四季を通じて人気のお店なのかもしれません。

「三幸」
金沢市片町1-10-3 [Map] 076-222-6117

column/03682

すみ処「寺田屋」でぽてサラごまサバあじフライにウチワエビ美味じゃありませんか

teradaya赤坂の居酒屋「さきと」もその日はお休みという日曜日の博多のひる下がり。
天神の地下街”てんちか”を右へ左へと徘徊すれば、それは成る程なかなかの規模。
全長600メートル、150を超えるテナントがあるという。
地上に出て警固公園を通り抜け、岩田屋本店の脇を往き、親不孝通りを漫ろに歩く。
ひと息入れてから今度は、けやき通り近くの知人宅をこっそり眺めたり(笑)、警固の信号近くのスペインバルの止まり木で0次会。
開店時間を見計らうようにして、大名地区の裏通りにあるすみ処「寺田屋」へとお邪魔しました。

行燈点る格子戸の白暖簾を払って靴を置く。
板廊下をずいっと進んだ奥のカウンターへとご案内。teradaya01teradaya02掘り炬燵式に足を延ばして座り、
視線を右に振れば小上がり風の座敷が窺える。
正面には硝子ケースがでんと構えて、
その中にはぎっしりと食材が出番を待っています。

硝子ケースの中身を眺めつつ、
麦酒と一緒に「ぽてサラ」をご註文。teradaya03ほっこりとしっとりのテクスチャのバランスが絶妙で、
過ぎないコクに旨味をそつなく湛えてる。
ポテトサラダの出来映えで、
その店の手腕を測るなんて云い回しがあるけれど、
そんな意味からは、期待を高めてくれる逸品と云えましょう。

この日のお刺身ラインナップから、
目敏く「ごまサバ」を見付ける。teradaya04大分空港に降り立った時から頭の片隅にあった、
関さばへの思慕(笑)がまたまた頭を擡げてくる。
周囲を固めるは、たっぷりと摩り下ろした白胡麻に、
細やかな刻み海苔、醤油タレに山葵、浅葱。
でも中央のスターの存在感は揺ぎない。
脂の甘さとともに鯖独特の香り旨味が真っ直ぐ届く。
美味しいじゃありませんか。

「かきフライ」をと思いつつも選んだのは「あじフライ」。teradaya05それは開きではなくて、半身を二片とした揚げスタイル。
関鯵とは謳っていませんが、
今度は鯵らしい香りが揚げ立ての細やかな衣の中から、
ふわんと湯気を上げて華開く。
美味しいじゃありませんか。

舐めてるのは、芋焼酎「坊の津」。
硝子ケースの中からのご対面は、ウチワエビ。teradaya06teradaya07ゾウリエビでもセミエビでもなくてウチワエビ。
ゾウリエビはぺったんこで、
あまり食べる身がなかった記憶があるけど、
焼いてくれたコイツは身のつまりもよく、
しかもその身が甘くて旨い。
あれま、美味しいじゃありませんか。

店の名に冠たる炭焼きモノは、
黒毛和牛に豚に鶏などなど。
品書きに豚も鶏も”やきとり”と呼んでいるらしきところを見付けて、
東松山を思い出す(笑)。teradaya08鶏の「四つ身」に「砂ずり」をいただい後、
こんなん如何と受け取ったお皿には、こんな串。
お手間をお掛けして申し訳ない気分も交錯しながら、
炙り立ての一粒ひと粒を口に含めば、
期待以上の甘い弾ける芳ばしさ。
なはは、美味しいじゃありませんか。

右目の隅でずっと気になっていたのが、おでんの湯殿。teradaya09teradaya10teradaya11選んだ具は「大根」に「ぎょうざ」。
水餃子みたいなことかと思った「ぎょうざ」は、
コロコロした丸天の中に餃子がインしちゃった感じで面白い。
そして、おでんにレタスと柚子胡椒。
うんうん、美味しいじゃありませんか。
いただいていた日本酒「寒北斗」にもよく似合います。

勢いあまって〆ちゃおうと「牛ねぎやきめし」。teradaya12刻んだソバは入っていないけど、
三宮の春日野道駅の高架下にある、
お好みハウス「ひかりや」の「そばめし」をちょっと上品にした感じ。
美味しいじゃありませんか。
ご馳走さま。

福岡は大名の裏通りに、
炭火焼と行燈に点した居酒屋、すみ処「寺田屋」がある。teradaya13すみ処「寺田屋」は、
狭い路地の奥にあって、
まさに”隠れ家”と謳われる本家「寺田屋」の新店であるらしい。
「寺田屋」と云えば「寺田屋事件」。
ただ、寺田屋騒動も坂本龍馬襲撃事件も舞台は京都。
此方の店名が、その「寺田屋」由来なのか、
それとはまったく関係のない、
寺田さんちの居酒屋、なのかの謎解きは、また今度。
この後、余裕をかまし過ぎて、
飛行機にギリギリで飛び乗ったことは内緒です(笑)。

「寺田屋 炭処」
福岡市中央区大名1-4-22-101 ドリーム大名 [Map] 092-714-4886

column/03679

純手打ちそば「奥村本店」で登美の丘ワイナリーの葡萄畑そこがゆえの日本ワインたち

okumura中央本線の特急に乗って何処かへ出掛けるなんてことは、うン十年なんとか生きてきてほとんど機会がなかったのだけれど、ここ数年で何度も特急列車に乗っている。
とっ始めは恐らく、初めて白州蒸溜所へお誘いいただいたことなのかもしれないなぁと思いつき、その時のことを思い出す。
昨年二度目の白州に訪れた時は、甲府まで特急に乗り、そこからレンタカーで小淵沢方面へ向かうルートをとった。
その際考えたプランのひとつが、甲斐市にある「登美の丘ワイナリー」に寄り道しての見学。
でもね、レンタカーで行ったら試飲できないじゃん!ということで(笑)、見送ることにしたりなんかしたのでありました。

そんな風に気掛かりだった「登美の丘ワイナー」に、
冬晴れの休日にやって来た。okumura01甲府駅からタクシーで30分弱くらいの、
まさに丘を背にした醸造所のゲートが迎えてくれました。

スイッチバックを含んだ坂道を案内いただいて、
丘の上の見晴台から晴々とした葡萄畑を心地よく眺める。okumura02okumura04春を待ち兼ねた様子の葡萄の木の列の先に、
甲府盆地の市街がみえる。
そのずっと向こうにはまだ真っ白な富士山のフォルムが望めます。

剪定されたメルロの樹からは、
丘の斜面から吸い上げた水分が、
雫となって滴ろうとしてる。okumura05陽当たりの良い、南向きの斜面の連なる高台の丘は、
標高が高いがゆえに冷涼で、それがワイン用の葡萄に好適地。
収穫時期の昼と夜の寒暖差が、葡萄の糖度熟度を高めてくれる。
一見すると作業性が悪そうな斜面や尾根を葡萄畑とするのは、
水捌けの良さを考慮してのことでもあるという。

石積みのセラーが格好いい。okumura06okumura07区画毎の葡萄を可能な限り別々に醸造を行うという。
ウイスキーのシングルバレルではないけれど、
同じ品種の葡萄であっても、条件等が少しづつでも異なることで、
それぞれに微妙に異なる表情を見せてくれるのでしょう。

何処かに続くトンネルにも思える薄暗がりの空間が、瓶熟庫。okumura08okumura09金網の閉じた棚がずらっと並んでいて、
栽培している品種それぞれの、それぞれの年次の、
早摘み遅摘みなどといった特長を湛えたボトルが、
整然と並べられています。
登美の丘が醸す貴腐ワインを大事そうに保管した棚も見付かります。

「登美の丘ワイナリー」は、
1890年(明治23年)に六代目川上善兵衛が開いた、
「岩之原葡萄園」がその起源。
後に「マスカット・ベーリーA」を生み出した善兵衛は、
“日本のワイン葡萄の父”と呼ばれているという。okumura30ただ、岩之原葡萄園のワインの販売は広がらず、
経営に窮した葡萄園の危機を救ったのが、
当時「赤玉ポートワイン」で甘味ワインのブームを作り出していた、
ご存知、サントリー創業者の鳥井信治郎氏であったという。
その後ふたりが、
ドイツのラインガウに似ていると評された「登美農園」と出会い、
今の「登美の丘ワイナリー」へと繋がっていく。
紆余曲折や停滞時期を含みつつも百数十年に亘って、
日本の気候風土にあった品種への改良・研究が、
積み重ねられてきているのですね。

瓶熟庫から引き返してご案内いただいたのは、
これまた葡萄畑や甲府市街、そして富士山を見晴らす、
その名も「眺富荘」。okumura10okumura12okumura11窓には葡萄の房や葉をモチーフにしたステンドグラス。
アプローチの階段には、もうひとつのシンボルツリーのような桜の木。
時季には最高の花見場所となることでしょう。

富士見ホールと名付けられた一室のテーブルには、
「登美の丘ワイナリー」が誇る、
主要銘柄のワインボトルが並べられました。okumura17白からロゼ、そして赤。
まさにワイナリーのバラエティを感じさせる光景です。

青柚子の一片を噛んだ時のような香りの、
「ジャパンプレミアム<甲州>」のグラス。okumura13-1グラス越しに富士山が望めるなんて、
なんて素敵なシチュエーションなのでしょうと、
小さくときめきます(笑)。
成る程、青魚や酢の物にさえ似合いそうな、
香りと酸味の<JP甲州>に対して、
遅摘みした葡萄を用いるという「登美の丘 <甲州>」は、
酸味が比較的柔らかで、
ゆったりとした中に仄かに渋みを感じる印象がします。

ずっとずっと昔、
勝沼あたりの某ワイナリーを訪れた時に試飲した白ワインは、
薄っぺらくて硬い酸味がするだけとしか思えなかったのだけれど、
きっと今は、山梨のワイナリー全体で、
味わいの底上げがされてきているかもと、
そんなことを思ったりもする。
此処「登美の丘」でも営まれている、
ワインに適したこの丘、この風土が醸す魅力を、
十二分に引き出そうとする努力とこだわりが、
“ここがゆえ”のワインを生み出しているのですね。

そして、兎にも角にもイチオシなのが、
花見の季節も連想させる穏やかにして艶やかな色合いのロゼ、
「マスカット・ベーリーA <ロゼ>」。okumura15-1仄かな甘みが華やかなベールとなって、
鼻腔や味蕾をそっと包む。
単独で呑むのも勿論のこと、
揚げ物や脂を含む和食系に添えても邪魔をしない気がする。
オールマイティに美味しいワインだと思います。

試飲させていただいのは他に、
柔らかな余韻がすーーっと続く「登美の丘 <シャルドネ>」に、
ロゼ同様、冷やしていただくのが美味しい「マスカット・ベーリーA」。
焼き鳥にイメージするような醤油を使った、
タレ味にも似合う「塩尻マスカット・ベーリーA」に、
程よい渋みを含む「登美の丘 <赤>」。
日本固有品種でありながら、
どこか欧州系品種のようにも響く「マスカット・ベーリー」には、
和名の愛称があってもいいのではなんてことも思います。

少し冷えてきたワイナリーを後にして、
やってきたのはやや遠く見下ろしていた甲府の市役所近く。okumura18問屋街入口という交叉点近くの蕎麦店「奥村 本店」。
なんと、江戸・寛文年間の頃に創業したという。
16代360年に及ぶ老舗の風格が今の佇まいにも滲み出ています。

使い込んだ木箱の積まれた麺打ち場。okumura19okumura20“登美の丘 ジャパンプレミアム”を刻印した樽が迎えてくれました。

テーブルにはふたたび、
「登美の丘 <シャルドネ>」をはじめとするボトルたち。okumura21それらが居並ぶ立ち姿は、
老舗蕎麦店が紡ぎ出す料理たちとの出会いを、
待ち侘びているようにも映ります。

繊細な白髪葱をいただいたオクラの和え物には、
「登美の丘 <甲州>」が良く似合う。okumura22自然と頭の中で日本酒との呑み比べをしてみたりするけれど(笑)、
これはこれでいい、ということに変わりはありません。

味噌ダレを添えた皮に包んだまま蒸し焼いた若筍に、
これまた春を思わせる蛍烏賊には酢味噌の風味。okumura23味噌の風味には例えば、
「登美の丘 <シャルドネ>」も嬉しい組み合わせ。
そしてそれは、魚介の滋味や貝類の風味ともすんなりと、
互いを盛り立てるようにしてくれます。

山葵の花をあしらった鯛や鮪、烏賊のたたきは、
卵の黄身に若布に刻んだ茗荷と一緒になって、
口に含めば色々な風味香気が小さく弾ける。okumura24「登美の丘 <甲州>」「登美の丘 <シャルドネ>」は勿論のこと、
オールマイティな「マスカット・ベーリーA <ロゼ>」の、
すっきりとほの甘い華やぎもまた、
面白い程の相性の良さを魅せてくれます。

「マスカット・ベーリーA <ロゼ>」の八方美人っぷり(笑)は、
こってりめに味噌ダレに包まれた牡蠣にだって如才なし。okumura25牡蠣には兎に角専ら白だとばっかり思い込んでいると、
ちょっと間違っちゃうこともあるのかもしれません。

鴨は鴨でもローストなどとは趣の異なるその仕立ては、
ふっくらとした治部煮の器。okumura26出汁に醤油を用いた和仕立ての鴨料理には、
登美の丘の葡萄と長野県は塩尻の葡萄とを合わせた、
「ジャパンプレミアム 塩尻マスカット・ベーリーA」もいい。
やや紫色がかった滴が成る程、
醤油ダレで焼いた焼き鳥にも似合いそうです。

料理の皿たちでも十分に思わせてくれた、
老舗蕎麦店としての地力を確信に仕上げてくれたのが、
漆の鉢に盛られたお蕎麦。okumura28程よく張りのある歯触りから滋味の滲む蕎麦が、
美味しくて小さく唸ってしまいました(笑)。

甲府の街の中心に、
江戸・寛文年間に創業の純手打ちそば「奥村 本店」がある。okumura29初代当主が”山奥の村から来た”からと、
「奥村」と名付けたという蕎麦店は、
16代360年に及ぶ老舗の風格堂々とした料理店として今に至る。

これからは、甲府の街を見下ろす「登美の丘」の葡萄畑と、
ワイナリーの様子を思い起こしながら、
“そこがゆえ”の日本ワインを愉しみたいなと、
帰路の特急に揺られながら思うのでありました。

そんなサントリーの日本ワインに詳しくは、
コチラ”日本ワイン サントリー”
手っ取り早く日本ワインを手に入れるには、
amazonのサントリー 日本ワイン特集 のサイトがいいみたい。

「奥村 本店」
甲府市中央4-8-16 [Map] 055-233-3340
http://www.okumura-honten.jp/

column/03666

酒蔵「瀬良美」で地酒燗酒一品稲里地物平目に焼き蛤常磐沖の鮟鱇鍋偕楽園の梅の花

serami相当昔のことにはなるけれど、笠間あたりのゴルフ場に時折出掛けたりしていたこともあって、遠いっちゃ遠いけどそのうち訪れる機会もあるだろうと思っていた場所のひとつが、水戸の町。
毎年、梅を愛でようと足を運んだ沢山のひと達で、水戸・偕楽園が賑う様子をニュースなんぞで眺める度に、あ、ここ一年も訪れる機会がなかったなぁと小さく思うのでありました。

漸く水戸を訪れる機会がやってきて、
それが図らずも凡そ梅の花咲く頃。
夕闇迫る時間帯なれど、
名勝の誉れ高き「偕楽園」へと足を運んでみました。serami01serami02もう盛りを過ぎたのか、これからひと盛り上がりあるのか。
全体的には閑散とした表情の梅の花。
狙ってきた訳じゃないので仕方はない、
またこなくっちゃと思いつつ御成門から園を辞することとします。

駅界隈に戻って、
何処かで水戸での一献を呑っつけようと辺りを散策する。
ペデストリアンデッキのある南口よりも、
国道50号線の終点となっている、
北口方面の方が賑っているようです。

例によって(笑)、
駅前から早速、横道へと忍び込む。
佇まいからして、そして店から漂い出る出汁の匂いに一気に惹かれた、
郷土料理の店「環翠」の暖簾を払う。
店の中に身体を入れると更に、美味しそうな空気に包まれるも、
なんと予約で一杯なのだそう。

成る程、人気なのだなぁと思う感心と、
そこにありつけなかったなぁと思う無念を交錯させつつ、
その先の横丁路地へと徘徊範囲を広げます。

ウロウロ歩き回った挙句辿り着いたのが、
国道沿い南町一丁目信号近くの酒蔵「瀬良美」であります。serami03駅から離れていることもあってか、静かな店内。
客間の真ん中に据えた囲炉裏端に腰掛けます。

お通しの長角皿には、
鮟鱇の煮凝り風ゼリー寄せに蛍烏賊、蕗の薹味噌。serami04冬が春の気配を帯び始める、
そんな時季を思わせる誂えでありますね。

水戸の地酒、辛口「一品」をぬる燗でお願いして、
お相手は、茨城は那珂湊の「ひらめ刺」。serami05旨味の廻った白身の歯触りは、むっちり系。
脂を含んだ縁側も艶かしく迫ります。

一個がそんなお値段(797円)なのですかとも思いつつ、
大洗産の「焼きはまぐり」も是非にとご註文。serami06挿し入れてくれた切れ目も嬉しい、
しっかりサイズの蛤くん。
熱々を頬張れば花開く清らかな磯の旨味滋味。
そんな身から滲み出た汁も勿論逃さずに(笑)。

選んだお猪口は笠間焼きですよと訊いて、
そこに注ぐのも笠間の地酒にしてしまおうと、
純米酒「稲里」をクピっといただきます。

おひとりさまで喰らうには量が心配ですねと云いつつ、
折角なのでとお願いしちゃった「あんこう鍋」。serami08調理場で煮立てた土鍋がそろりそろりと到着します。
ふつふつと沸く肝味噌仕立ての汁の湯気に、
燗酒が温めてくれた頬をさらに温くしてくれるような気がしてきます。

しっかりとした旨味を湛えつつ、
決して濃密な加減に転がらない汁がいい。
べったり濃いぃばかりの鍋はもう卒業のお年頃(笑)。serami07常磐もの入荷と品札にあるのは、
常磐沖とも呼ばれる茨城沖の鮟鱇であるという。
最近、何処も獲れなくなっているそうですねと訊くと、
一般には品薄と聞きますが、
ウチは長く培った仕入れ先があるので、
比較的安定していますと仰る女将さん。
常磐沖はつまりは浜通りも近いことをちらっと思いつつ、
一人前を美味しく平らげる。
流石に雑炊までには至れなかったのがとっても残念であります。

そうそう、女将さんによると、
鮟鱇は、雄が専ら小さくて、
偶に見かける唐揚げにしたものは、雄か外国産のものだという。
たっぷりとした鮟鱇鍋になってくれるのは、
主に雌の鮟鱇だということなのですね。

水戸駅からちょっと離れた国道近くの裏通りに、
日本酒専門店を謳う酒蔵「瀬良美」が静かに佇む。serami10日本地図の上に日本酒の銘柄名を認めた箸袋には、
創業昭和46年とある。
きっと半世紀近くの永きに亘って、
茨城や水戸の郷土料理やお酒を供してくれてきて今がある。
女将さんのお名前が、
良美さんであるかどうかは、訊き損ないました(笑)。

「瀬良美」
水戸市南町2-2-32 [Map] 029-227-3701

column/03665

味処「きく蔵」で大雪渓と特上馬刺しおやき的名物筍饅頭つらら麺松本の宵の口

kikuzo路上に雪が積もり残って凍り付いていても、こっちの人達は平気な顔で自転車を乗り走る。
一面に雪が凍り付いた札幌の舗道上でピンヒールのおねえちゃん達が闊歩していた光景よりは驚かないものの、ちょこちょこコケたりしないのかな、なんて思う松本市街の一日。
時刻が夕方に差し掛かってくるとやっぱり、地べたの底の方から冷気が上がってくるような気がする。
完全防備で訪れていたので、身体や足許は寒くないものの、風に晒した頬っぺたは流石に冷たい。
晴れていてよかったと、冬空の松本での仕事を終えました。

市街地を流れる田川という河沿いを往き、
蕎麦店はおひる時のみの営業の店が多いのだなぁと、
そんなことを思い乍ら例によって路地へ路地へと迷い込む。

ナワテ横丁と示す小さなアーチを掛けた、
妖しげで断然惹かれる路地にも、
灯りを点している店は余り多くない。
一度お邪魔したことのあるビストロ「橋倉」の店先の空気を確かめて、
路地の角にある居酒屋をちらっと覗き込んだりする。kikuzo01その先へと抜けて、大正ロマンの街なんて、
そんなフレーズを掲げた上土通り辺りを徘徊します。

枯れた風情がいい味わいの「本郷食堂」の店先を掠めて、
まだまだ雪の残る裏道を往くと、
右手に料理屋の灯りが見えてくる。kikuzo02「きく蔵」とひらがなに崩した名の看板の横には、
「菊蔵」と篆書体風の書体で藍の暖簾に白抜いてある。
店先の黒板には、本日のお勧め品が並んでいます。

開店早々、混み合う前のカウンター。kikuzo03おばんざいよろしく、
大皿の幾つかがカウンターの上に載せられています。

店先の黒板で認めていた「特上馬刺し」。kikuzo04滋味深そうな見栄えも、
届いたばかりはまだ凍っていて、
つまりはほぼルイベ状態。
暫く放っておいてから愉しみましょう。

御髪もびしっと決まった姐さんに、
「筍まんじゅう」とはと訊ねると、
当店の名物のひとつで、
刻んだ竹の子のあんを包んで揚げた、
自家製の饅頭だという。kikuzo05火傷しないようにしてくださいねと受け取った、
笊の真ん中に鎮座した「筍まんじゅう」。
そこには「きく蔵」と刻印が焼かれている。

どれどれと半切した饅頭の中には成る程、
湯気を上げる竹の子のあん。kikuzo06そぼろな肉や椎茸、
そして竹の子が濃い目の味付けで包まれている。
うんうん、酒のあてにもなるイケる口の饅頭、
いや、饅頭というより謂わば”揚げおやき”でありますね。

冷えた頬っぺたを温めようと、
信州安曇野の山の酒と謳う「大雪渓」の燗酒を舐めていたら、
お品書きの「白子天ぷら」が気になった。
kikuzo07信濃の国で呑る信濃の国のお酒に海のものもよく似合う。
期待通りの生き生きとした白子のクリーミーが、
揚げ立ての衣の中から弾け出ます。

ふと卓上の鉢の中に置かれたムック本の背表紙が目に留まる。kikuzo08その内のひとつは、太田和彦先生の一冊。
先達にはいつもお世話になっております(笑)。

カウンターの向こうで大将が、
いそいそと拵えているものがある。
チーズ状のものを臙脂色のあんで巻いているのだ。kikuzo09それって何です、いただけます?と訊くと、
何か特別な膳に添えるもののようだったけれど、
お裾分けをいただけました。
マスカルポーネと松の実を杏子飴のような生地で巻いて、
それを切り分けると妙にそそる断面。
こふいふのもオツ、というのでしょうね。

お代わりしちゃったお銚子のお相手に、
もう一品とお願いしたのが「新じゃが照煮」。kikuzo10コロコロっと丸くて小さめの新ジャガが、
皮付きのまま、味醂控えめの割とキリっとした煮汁に絡んで。
ホクホクがホイホイと食べれてしまいます(笑)。

新宿へ向かうかいじ号に乗る前に、
〆てしまおうと品書きのお食事欄を眺めると、
「つらら麺」なんて聞き覚えのないフレーズが目に留まる。kikuzo11訊けば、松本から北上した大町温泉郷で、
つららの出来るような寒いところで作っている、
塩を使わず納豆菌で打った麺なのだという。
成る程、このツルルンとした滑らかさはもしかして、
納豆菌の仕業なのかしれません

市街から松本城側に田川を渡る、上土通りとかつて呼ばれた裏道に、
割烹にして季節料理の味処「きく蔵」がある。kikuzo12店内に掲示された「フグ営業届出済証」には、
ご主人のお名前が示されていて、
そこには”菊”の文字がある。
今度もしも機会があるなら、
奥の個室で「ぼたん鍋」なんぞをいただきとう御座います。

「きく蔵」
松本市大手4-7-10 [Map] 0263-36-3728
http://www.matsumoto-kikuzou.com/

column/03663