「饂飩はズルっといこう」カテゴリーアーカイブ

肉汁うどん「うど吉」でウルトラもち麺肉汁うどん進化系にして土着の武蔵野うどん

西武池袋線の狭山ヶ丘駅を西口に出て、463号所沢入間バイパス方向へ向かうと、途中に水路の名残か暗渠と思しき緑地帯が斜めに交差する。
そんな辺りにあったのが、自家製麺無添加を掲げたうどんの店「うど吉」。
出色の肉汁うどんを喰わせるその「うど吉」が移転したのが、16年11月のこと。
移転先はそこから100m程南に進んだ住宅地の一角でありました。

縦格子で囲んだ家屋の周囲を
“うどん””肉汁うどん”と掲示する幟や懸垂幕が賑やかす。それはご自宅を改造改築してお店に仕立てたものに違いない。
松の枝が飾る門には白い暖簾が揺れていました。

門の脇に建てたお手製と思しき掲示板。
例えば、2017年06月には、
定番の「肉汁うどん」「カレー肉汁うどん」「赤肉汁うどん」の他に、
「塩肉汁うどん」や「ひやかけ」のご案内。すっかり冬場となった2018年12月の或る日には、
「あつもり」のご案内に並んで、
月1限定の「竹炭ブラック麺の日」のポスターも掲示されていました。

ずいっと通されたお座敷は、ふた間ぶち抜き。
中央に欄間が渡り、窓際には板張りの廊下が通る。厨房側には、座卓に座り難いひと優先の椅子席カウンターがあり、
いつぞやの猫のキャラクターも大事に飾られています。

そんなメニューあれこれの中から17年の某日にお願いしたのが、
「カレー肉汁うどん」大盛りひやあつ揚げ茄子トッピング。この頃には、デフォルトたる田舎麺に加えて、
“もち麺”という選択肢が登場。
堂々たる量感と麗しく褐色を帯びた麺にしばし見惚れます(笑)。

トッピングの所為で具沢山になっちゃったのが、
微笑ましくも嬉しい汁の椀。しっかりした出汁と加減のよいコク味のカレー汁は、
出来そうで案外なかなか出来ない仕立てとお見受けします。

カレー仕立てがあれば勿論ミソ仕立てもあるよということで、
「味噌肉汁うどん」を田舎麺でいただく。武蔵野うどんの麺として何気に完成度最高峰のうどんを浸すのは、
濃密なる味噌のつけ汁。
今はなき馬込「醤屋」以来、所々で見かける、
玉葱の粗みじん切りや一味を混ぜ込みつついただく、
つけ麺エッセンスも多分に含んだ肉汁うどんであります。

そんな、つけ麺であるところの「味噌肉汁うどん」も、
寒さ厳しき折には”あつもり”という手もある。湯気の立つ湯殿から引き上げたうどんは、
冷水に〆たうどんとはまた違う、活き活きとした表情をみせる。
うーん、どちらにするかまた悩みが増えるではありませんか。
そうじゃなくてもメニューからの選択に迷っているのにぃ(笑)。

そうこうしている裡に、さらなるもちもち麺、
ウルトラもち麺たるうどんが登場した。この辺りも日々進化を伺う「うど吉」の真骨頂。
ただコシがあるとかふわふわしているとかいう、
そんなテクスチャとは別世界の麺。
麺としてのエッジを保ちつつ、
ムニュムニュンとした妖艶な食感で迫る。
勿論、余所でいただいたことのないうどんだ。

そんなウルトラもち麺で偶には辛目のヤツをと、
「赤肉汁うどん」なんて気分の日もある。決して辛過ぎず、辛さを旨味に纏わせた汁がいい。
辛さ一辺倒のつけ麺店店主には、
ぜひ参考にして欲しいと思ってしまいます(笑)。

ふたたびスタンダードな肉汁をと訪ねた或る日。
その日が偶々月末近くの29日であったなら、
見るからに趣の異なるうどんとの僥倖と巡り合うこととなる。そう、毎月29日は、限定”竹炭ブラック麺の日。
食用竹炭粉をたっぷりと練り込んだ麺は、
どこかぬらぬらとして不思議な気分にさせるけれど、
その味わいに炭の気配はおよそなく、
つるるんといただける。
果たしてデトックス効果がありやなしや。

限定と云えば、時季により思い付き(?)により色々出現するのが、
疑いなき凝り性の店主を擁する、
「うど吉」が「うど吉」たる側面のひとつで、
例えば「鹿肉汁うどん」なんてのがいただける時がある。臭みとは勿論別ものの香りと滋味が汁にも滲んでいるような。
そんなつけ汁には、スタンダードな田舎麺がいい。
一緒にいただいた「ミニもつ丼」のモツも、
その処理と質の良さが滲み出た佳品であります。

入手できた食材などなどによっては、
より限定性と創作性が高まることもあるようで、
数量限定「カルボナーラうどん」なんてお皿を拝める時もある。ポイントのひとつが産直で入手したという、
極稀少、国産厳選極小玉の乾燥黒トリュフ。
桜の薫香芬々のベーコンの彩りやよし。
思いがけず軽やかにいただけたのは、
豆乳仕立てにするというアイデアの成功であります。

進化系にして土着の武蔵野うどん店「うど吉」ここにあり。基本形のうどんにも、限定のうどんにも、
柔軟な着想に試行錯誤創意工夫を加えて、
入念に練り上げた奥行きがある。
その一方で土着の気概を忘れずにいてくれる。
我々は狭山ヶ丘の住宅地を訪ね、
自信をもって繰り出してくれる器に、
ただもう身を委ねればよいのです、
なんちゃって(笑)。

「うど吉」
所沢市和ヶ原1-691-62 [Map] 04-2947-0500
http://udokichi.favy.jp/
https://www.facebook.com/udokichi/

column/03776

麺類「信濃屋」で多治見の炎天下ころかけにうどんに支那そばころは香露の発祥の店

記録的、と叫ばれ続けた暑い夏。
ガツンと頭を殴られるような、全身を熱波の圧に絡め取られるような、そんな瞬間が何度もありました。
例年、同じようなクソ暑い日が何日かは勿論あるのだけれど、それが何日も続いたのが、この夏の暑さが異常と云われるところなのでしょう。

近年では、熊谷市が観測史上最高を更新する41.1度を観測し、
「日本一暑い街」の称号を奪還したと云われ、名を上げた(?)。
その一方で、暑い町の常連だった岐阜・多治見は、
観測史上歴代第5位と、やや地味なポジションにあるらしい。

そんなことを思いつつ、初めてJR多治見駅に降り立ったのは、
盛夏にして晴天の八月上旬のことでありました。
ちょっと地味な順位だからって暑くない訳は決してなく、
路傍に佇んでいるだけで全身から汗がどっと噴き出してきます(汗)。

所用を済ませて向かったのは、中央本線の線路沿い。
ギラギラとした陽射しに照らされた踏切の向こうに、
人影がちらほらと窺える。もしやと思いつつ近づけば案の定、
麺類「信濃屋」さんの行列でありました。
この炎天下に行列するなんて自殺行為に近いものがありますが、
此処まで来たのだもの!という気概だけで汗を拭う。
その後屋根の下に誘導してくれ、ホッとひと息つけたのでした。

いい具合に年季の入った店先には、
これはそう、”手打ちうどん””ころかけ”と読むのでしょう。“ころかけ”の”ころ”と云えば真っ先に思い浮かべるのが、
旗の台「でら打ち」の「ころうどん」。
名古屋・岐阜方面をその発祥地とするものなんだろうなということは、
なんとはなしに思っていたので、
お、やっぱりそうなんだとニンマリなんかして(笑)。

暑いがゆえに長く感じられた待ち時間から開放されて、
外観に違わぬいい味の滲みた店内の小上がりに入れ込みとなる。
座布団にお尻を半分載せたような半身の格好で、
垂れ壁に掲げた天然木の扁額を見上げます。
「信濃屋」さんのメニューは、潔くも三品のみであるようです。

座卓の上へとまず受け取ったのが、
冷たいうどんであるところの「ころかけ」の小。伊勢うどんのような見掛けでもあるなぁと思いつつ、
数本のうどんを箸の先に載せて、啜る。
伊勢うどんようなふわんとした口触りが一瞬して、
その後から一転しっかりした歯応えが過ぎる。
ツユは濃そうでいて、さらっと仄かに甘い。
成る程、余所では知らない、素朴にして端正なうどんだ。

温かい方の「うどん」も小盛りにて頂戴する。「ころかけ」に比べて、うどんのしなやかさが増し、
ツユの出汁と醤油が柔らかくそれを引き立てる。
並盛りの半額っていうのもなんだかとっても申し訳ない(笑)。

申し訳ないついでに「支那そば(小)」もいただいてしまう。透明感のあるやや幅広の麺が独特。
ワンタンの皮の生地を細長く切ったようなテクスチャーで、
少しポソっとして、案外ツルっとした感じが不思議な気持ちにさせる。
たとえ年老いたとしても、朝から毎日いただる、
そんなどんぶりでありました。

「ころかけ(小)」「うどん(小)」、
そして「支那そば(小)」をぺろっといただけた。食べ終わり際に実直なるご主人が顔を出してくれ、
味の濃い薄いなど調整いたしますので等々を声を掛けてくれる。
実際に味を調整するのはタイミング的にも難しいとは思うものの、
行列が出来る店になってもなお、
お口に合いますか?と訊ねるような姿勢は、
なかなか真似のできることじゃない。
信奉者が増えて然るべきでありますね。

いまもなお暑い町多治見の踏切の向こうに、麺類「信濃屋」はある。そう云えば、”ころ”ってそもそもなんだろうと調べてみると、
Wikipediaに、その発祥についての件があった。
-現在は岐阜県多治見市にある信濃屋の初代店主が戦前、
名古屋市中区にあったうどん屋を任されていた際、
当時まかないとして食べられていた冷たいうどんを
「香露かけ」と名付けて客に提供したことが、
「ころ」の名称の由来である-
あああ!信濃屋さん初代が「ころ」の起源だったのですね。
御見逸れしました。申し訳ありません。
お邪魔できて良かったと、改めてじわじわ思っているところです。

「信濃屋」
岐阜県多治見市上野町3-46 [Map] 0572-22-1984

column/03761

手打ちうどん「今浪うどん」でスジ肉ごろごろ肉肉うどんこりゃ美味し嬉しい発見

いつ以来か思い出せないけれど、確か二度目の小倉駅。
そう云えば、小倉駅周辺は北九州市の中心地区に当たると思うのだけど、北九州駅ってのは聞いたことがない。
どうやら、元々小倉駅は嘗ての小倉市の中心駅で、1963年に門司市・小倉市・戸畑市・八幡市・若松市が合併して北九州市となり、そのまま特に駅名を変えることなく北九州市の中核に位置している、ということらしい。
さいたま市と浦和駅と同じような構図になっているんだね。

初めて小倉駅を訪れた時も乗ったので、
駅から南に向かってモノレールが走っているのは憶えてた。小倉競馬場のひとつ前。
北方という駅で下車します。

駅の階段を降り切って早速に目に留まるのが、
うどん店の店先の様子。純手打ちうどん「百合」に手打ちうどん「山ちゃん」。
界隈には他にも「北方うどん」とか「久野(ひさの)」とか、
「福ちゃんうどん」等、何軒ものうどん店がある模様。
うどん喰いの土地柄のようであります。

都市モノレールの高架から少し離れた駐車場の向こう。入母屋屋根の建物の軒先に、
暖簾の揺れるのが見付かりました。

暖簾を潜って引き戸を引いて一歩、
店内に顔を入れてまず目に飛び込んでくるのが、
湯掻いたうどんを水でしめるための盥。ボコボコとした年季の入り具合が美しい。
その並びに羽釜があるのも素敵な風情であります。

お店の奥に空いたスペースを見つけて、
カウンターの隅に腰掛ける。洗い込まれた様子の沢山の箸が、
出番を待ってくれています。

お願いしたのは「肉肉うどん」の中盛り。肉の盛り度合いを表現するために、
「肉肉」と肉を重ねて表記しているものと心得る。
スジ肉らしきコロコロとしたブロック状の肉がたっぷり。
常連の中には「肉肉肉うどん!」なんて註文を云い出すひとが、
きっといるのではないかなんて、
ふと思ったりなんかしてニヤリとします(笑)。

博多うどんとは毛色の違う黒っぽいツユ。
けれど決して塩辛いことなくかつ脂っぽさもない、
素朴に出汁の旨味の滲むツユ。麺もまた柔い博多のそれとは明らかに違う方向で、
しっかりとした持ち重りのする量感が実に素晴らしい。
小麦粉が濃密かつ均質に纏められ、鍛え上げられているようで、
讃岐うどんの”コシ”を凌駕しているとさえ感じます。
あれあれまぁ、こりゃ美味い(笑)。

おろし生姜をたっぷり投入しての味わいもご堪能。すぐ脇にあったガラス戸棚の中からひとつ、お稲荷さん。
おにぎりやお稲荷さんとの相性もばっちりのおうどんであります。

小倉駅から都市モノレールで南下した、
小倉競馬場近くの住宅地に「今浪うどん」はある。「どきどき系」なんて括りで語られているようで、
その由来がどうも判然と致しませんけれど、
兎に角もう、小倉周辺がこんなにもうどん圏だったなんて、
露程も存じ上げず。
なんだか妙に嬉しい発見をした気分なのです(笑)。

「今浪うどん」
北九州市小倉南区北方3-49-29 [Map] TEL非公開

column/03750

自家製麺無添加「うど吉」で灰褐色が旨い肉汁うどん研鑽が生むハイブリッド麺なぞ

西武池袋線が新宿線と交叉する所沢駅から3駅先にあるのが、狭山ヶ丘駅。
まるで狭山丘陵を代表するかのような駅名ではあるものの、何があるでもない長閑な環境の住宅地であります。
西口を出てそのまま所沢バイパス方向へと西進する。
八百屋の店先に置いた椅子にいつも座っているオッちゃんの姿を確かめればもう、目的地は目と鼻の先であります。

見上げたワインレッドな看板には、
「自家製麺無添加」「うど吉」の文字と共に、
「笑所福来」「一団和気」「一日一麺」の四字三行が並んでいます。ぱっと見で二階にはきっとスナックがありそうな、
そんな雑居ビルの並び(笑)。
うどんと標した幟はためく「うど吉」の暖簾をいざいざ、払いましょう。

カウンターではふっくらした座布団の上に、
猫がのんびりと横になっている。看板にもしっかり描いている通り
間違いなくネコ好きさんによるお店なのであります。

とるものもとりあえず註文したのは勿論「肉汁うどん」。武蔵野うどん的地粉の色気をあっけらかんと表現した、
“もち麺”と謳う灰褐色の麺がまず目を惹きます。

少々これでもか感は滲みますが(笑)、
業界で、はじっ娘とも一反木綿とも呼ばれる幅広部分は勿論、
手打ち麺の証左であると歓迎しましょう。ただ硬いばかりの麺ではなく、
独特の弾力に粉の甘みをフフンと湛えたところに、
腕組み大感心(笑)。

つけ汁は甘さを引き出した葱とお揚げがたっぷりで、
メインの具であるはずのお肉が隠れてる。でもでもその下からはたっぷりめの豚バラ肉が顔を出す。
サービス精神をも滲むつけ汁にふと感謝の念すら湧き起こってきます。

入口近くの窓辺を振り返るとそこには、
ひとつのポットが置かれてる。貼紙を読めば、二番出汁です。
つけ麺店のスープ割りよろしく、
つけ汁を割っていただくに加減よく。
これもまた気持ちの伝わるサービスであります。

また足を運んだ五月晴れのおひる時。
今度のご註文は、その名も「磯香る塩肉汁うどん」。煎り胡麻をたっぷり利かせた塩つけ汁には、
これまた塩出汁によく似合うもみ海苔も、
たっぷりと添えられています。

例によってうどんそのものは間違いなく灰褐色を帯びている。
掴んだお箸で引き上げれば、
想定外に長い長いうどんであるのもまた、
自家製ならではのサプライズでありましょう。

武蔵野うどんファン向けにと、
麦香る硬い麺と副題に謳う数量限定の、
「田舎うどん」に変更する手もあるようです。
こんなことから、硬い麺=武蔵野うどん、
という一種の誤解が生じるのではないかなぁ(笑)。

そうそう、卓上には「おうどんの話」と題する手作り冊子が置いてある。埼玉県のうどん生産量が、
香川県に次いで全国第二位であることに始まり、
諸説あって定義が定まらないながら、
武蔵野うどんを代表するのが「肉汁うどん」であること。
武蔵野うどんに使われる地粉の話から、
小麦の外側や全粒粉を含んでいるが故に、
黒っぽいうどんとなること等々、
「うど吉」のうどんが美味しい秘密や背景を丁寧に解説しています。

試行錯誤の中から生まれくるであろうメニューも様々で、
例えばこの日のお題は「ハイブリッド麺肉汁」。カカオでも練り込んじゃったのかとも訝る麺はと云えば、
最高級のうどん粉になんとかん水を加えて全粒粉を追加したもの。
ハイブリッドと謳うのは、
うどんとつけ麺の麺との二面性を併せ持つからなのですね。

もちっとしつつさくっと歯切れる芳ばしき麺に負けじと、
添えたつけ汁も力強い仕立て。たっぷりの魚粉で濁らせて、
背脂でぐぐっとコクを増したつけ汁だ。

狭山ヶ丘駅を最寄とする静かな住宅地の一角に、
弛まぬ研鑽の昇華した稀有な武蔵野うどん店「うど吉」がある。きっと、どこかのラーメン店・つけ麺店のように、
折りに付け繰り出してくる限定麺を常に追い掛けている、
「うど吉マニア」がいるに違いないと目論んでいる。
そんな「うど吉」は、16年11月に近くの新店舗に移転してなお、
盛業にして鋭意営業中のようです。

「うど吉」
所沢市和ヶ原1-41-8(移転前)
所沢市和ヶ原1-691-62(移転後)[Map] 04-2947-0500

column/03711

生そば「丸長」で冷たい雨の康生通り具沢山なお雑煮の土鍋にぬくぬく温まる

marucho何度か見聞きする土地や街の名前。
ざっくりあの辺りであろうとは思ってはいても、用事もないとそのはっきりした所在を知らないままという場所というのも少なくないものでありますね。
この冬にお邪魔した岡崎もそのひとつ。
岡崎市の位置は、浜松と名古屋のちょうど中間あたり。
豊橋や蒲郡と豊田や知立との真ん中あたりでもある。
時間的にはちょっと近い、名古屋から戻るルートで岡崎入りしました。

どちらかと云うと街の中心は、
岡崎駅ではなくて東岡崎駅の方であるらしく、
乙川の向こうにあるのが、岡崎城の城址を囲む岡崎公園。marucho01ああ、岡崎と云えば家康だと今更のように気づきつつ、
でも家康とどんな縁の城だったかは詳らかでない不見識(笑)。
おひる処を求めて冷たい雨の降る中、
康生通りと名付けられた通りを往けば、
岡崎が家康公生誕の地であることを知らせる時計塔が見付かりました。

それは、時計塔近く舗道から向かい側を眺めて認めた佇まい。marucho02左右に駐車場のスパースが空き、
背後にやや高めのビルが建つ。
地上げに抗い続けたとも思わせる空間にぽつねんと、
小さな蕎麦店が建っていました。

寒さに両手を擦りながら通りを渡り、
向こう側の舗道に立つ。marucho03生そばと黒抜いた縄暖簾がいい。
そして、硝子窓を守る木の桟に結わえた額縁には、
二行だけの季節の品書き。
「なべ焼うどん」に「おぞう煮」。
どちらも温まりそうだ。

ガラガラっと戸を引くと、
外観で想像した通りの設えが迎えてくれる。marucho04ふと、池上の「蓮月」を思い出しつつ、
店の中に、特に厨房との仕切り部分に庇を作るのは、
いつ頃の流行だったのかなぁなんて考える。
右手の壁には「人生は七十才より」と心得を示す額があったり、
“高いつもりで低いのが教養”といった十行を示す、
「つもりちがい十ヵ条」が掲げられたりしています。

お品書きは左手の壁に。marucho05そばにうどんが当然の充実具合。
中華そばもあるのかと思いつつ改めて見回すと、
「親子南波」に「鳥なんば」という札がある。
こちらでは、南蛮のことを南波と呼ぶみたいです。

お願いしていた「おぞう煮」がやってきました。marucho06ありそうでなさそうなメニューと思う「おぞう煮」が、
熱々の土鍋で届いて、温かな湯気を上げてくれています。

お野菜あれこれに占地椎茸榎茸、
蒲鉾に飾り麩も浮かぶ具沢山。marucho07ふーふーしてから啜った汁がこっくりと旨く、
寒さに悴んでいた肩先がふっと解れる感じのする。

鶏の身をつまみ、いよいよお餅に箸の先を伸ばす。marucho08土鍋に炊かれて、とろーんとしつつ、
煮崩れない加減のお餅の甘さにまた気持ちが和らぐのでありました。
はー、温まった温まった。

家康公生誕の地、岡崎の康生通りに生そば「丸長」の小さな店がある。marucho09おばぁちゃん、ぬくぬく温かなひと時をありがとう。
もしも今度があったなら「カレー南波」あたりをいただこうかな。

「丸長」
岡崎市康生通東2-5 [Map] 0564-22-2415

column/03673