「踏切脇線路沿い鉄な情景」カテゴリーアーカイブ

バー「祇園サンボア」で山崎12年ハイボール山崎蒸溜所を訪ねて

gionsamboa.jpg山梨は北杜市の森にあり、 「南アルプス天然水」の湧く清澄な環境に包まれた「白州蒸溜所」。 振り返れば、あずさ号に乗り小淵沢を訪ねてから早くも4年が過ぎてしまった。 白州を訪ねたならやはり、山崎蒸溜所にもお邪魔してみたいと思うのが、人情というもので(笑)。 いつかそんな機会がないものかと、時折考えていたのでありました。

山崎蒸溜所最寄りのJR山崎駅は、ちょっと意外にも京都駅からたった15分ほど。 小さな駅の改札を出て、タクシー乗り場の脇にある周辺案内図を眺めると、 踏切を越えた北側がすぐに蒸溜所の敷地。 南側には、木津川、宇治川、桂川。 そこへ水無瀬川が流れ込んでいるのが分かります。

線路に平行した道を進むと、 その先にこんもりとした森を背にして「山崎」の文字が見えてくる。 gionsamboa02.jpggionsamboa03.jpggionsamboa01.jpg踏切の遮断機越しにキルン塔が望めるというのは、想像していなかった光景だ(笑)。

受付を済ませ、駅からの途上でやや遠くから認めていた壁の文字を見上げながら、 展示コーナーやライブラリー、テイスティングカウンターなどを備えた、 「山崎ウイスキー館」(そのままやん、笑)へ向かいます。gionsamboa04.jpggionsamboa05.jpggionsamboa06.jpggionsamboa07.jpg 申し込んでいたのは、蒸溜所セミナー「ウイスキー匠の技講座」。 樽熟成の魅力にスポットを当てた、見学を含めた所要時間110分の講座だ。

名水山崎の水を仕込む仕込槽の部屋から硝子越しにみる発酵槽の区画へ。 発酵槽に木桶も使っているのが特徴のひとつなんだねと、 足元のずっと下まである桶の側面を見下ろします。 gionsamboa08.jpggionsamboa09.jpg gionsamboa10.jpg 発酵室を背にして、向かいに建屋に近づくと、やや刺激のある独特の匂いに包まれてくる。 それは、もっとも蒸溜所らしい光景のひとつ、 ポットスチルを擁する蒸溜室から溢れ伝わるもの。 銅色を鈍く光らせて威風堂々と居並ぶポットスチルは、”かぶと(釜の上部)”の形により、 ストレートヘッド型、バルジ形、ランタンヘッド形などとタイプの違うものがひと揃え。 加熱する方式も、直火蒸溜、間接蒸溜と二つの方式を採っているそうだ。

蒸溜室の先には、”ニューポット”を収めた試薬瓶。 強いアルコールの刺激の中に幾つもの可能性を含んだ無色透明の雫だ。

そして、そのニューポットは樽に詰められ、永い眠りにつく。 冷んやりとした空気の貯蔵庫には、幾多の樽が整然と積まれてる。gionsamboa11.jpggionsamboa12.jpggionsamboa13.jpggionsamboa14.jpggionsamboa15.jpg 1924年の、つまりは我が国初のモルトウイスキー原酒の熟成樽をはじめ、 北海道のミズナラで作る和樽ほか、容量や出自の違う5種類の樽がひっそりと。 足元深く樽があった白州蒸溜所の貯蔵庫と違って、積んだ高さに嵩はないけれど、 東西南北や高さなど、樽の位置によっても醸される味わいが変わるという。 天使の分け前も樽によりその場所により、気候湿度により変化するそう。

こうして産まれるモルト原酒は、 イメージに合わせて厳選した酵母、二種類の発酵槽、タイプの異なるポットスチルと様々な材質や形状の樽、貯蔵庫の環境や置き場所等々により幾多のタイプや個性を持つものになる。

キーワードは、まさしく”多様性”。 スコットランドのように他の蒸溜所とモルトを融通し合ってブレンドすることのできない日本では、自前で様々なタイプのモルト原酒を持ち合わせる必要がある。 サントリーではグレーンウイスキーを含めて百タイプの原酒を持ち、ブレンダーがその匠をもって、それらのキャラクターを配合しているのだ。

セミナー室では、テイスティングのお楽しみ。gionsamboa16.jpggionsamboa17.jpggionsamboa18.jpggionsamboa20.jpg 透明なニューポットから、ホワイトオーク原酒にシェリー原酒、そしてミズナラ樽の原酒。 ミズナラ樽の熟成香を”伽羅の香り”と表現するのがなんとなく分かって面白い。

そして、「山崎12年」と山崎の天然水でつくったソーダとで贅沢なハイボール。 比率は、ウイスキー1に対して、ソーダが3。 ソーダは、炭酸の泡が壊れないよう、氷に触れないようにゆっくり注ぎ、 マドラーは縦に一回のみ。 そして、ピール。gionsamboa21.jpgああ、美味い。 有意義なひと時の〆にプレミアムな一杯です。


蒸溜所を離れて、洛中へ。 川端通り沿いの「蛸長」で一杯呑ってから向かったのは、祇園町南側。 久し振りに「祇園サンボア」の暖簾に向き合います。 件の暖簾を払おうとして、あれ?っと思う。 山口瞳氏が描いた暖簾は、右から左に「サンボア」だったのだけど、 目の前の暖簾は左から、そして「サンボア」の”ン”が小さい。

はてどうしたことかしらんとカウンターに沿って奥へ。 まだ浅い時間帯ということもあってか、一番奥のコーナー以外にお客さんがない。gionsamboa22.jpgそれ故、所謂”バー”をしげしげと振り返る余裕がありました。

柔和な表情と丁寧な応対が印象的な中川さんにオーダーするは勿論、ハイボール。 「山崎12年」バージョンでお願いします。

ソーダの泡も活き生きとした中に、「山崎」の芯のある華やかさが花開く。gionsamboa23.jpg「角」ハイボールの軽快な魅力を愉しむのが定番なれど、 時には「山崎」ハイボールもグッときて、いい。 ゆるゆると安らぎが増してきます。

そうそう、「祇園サンボア」の定番といえば、ホットサンド。gionsamboa24.jpgチーズとハムとを挟んだ素朴なツマミなんだけど、これが妙に美味いのだ。

ぼんやり眺めるバックバー。 gionsamboa25.jpgカウンターの目の前には、京都や旅に目線を置いた書籍が並んでる。 その中で「山口瞳の行きつけの店」だけが、何度も引き出され、背表紙の上のところが捲れているのが微笑ましい。 暖簾のことを中川さんに訊ねると、背中越しの壁に掛かる額へと視線を促された。gionsamboa26.jpg山口瞳氏が認めた暖簾は、傷みが重なってきて今は殿堂入り。 額に収められて、カウンターを見守っています。

gionsamboa27.jpgそれでは現行の暖簾はというと、 山口瞳のサントリー時代からの友人といわれるイラストレーター柳原良平氏によるものだそう。 あの、”アンクルトリス”を描いた方ですね、と立て掛けた額のイラストを眺める。 「トリス」を、いや、「山崎12年」をトワイスアップでもらおうかな。

云わずと知れた居心地のいい止まり木。 祇園の裏側で静かに佇む「祇園サンボア」。gionsamboa28.jpg gionsamboa29.jpggionsamboa30.jpggionsamboa31.jpg 中川さんが醸し出す柔らかで人懐こい空気に癒されに、またお邪魔したいと存じます。

口 関連記事:   Bar「Hakushu」 で白州25年素直な余韻と森の蒸溜所の休日(08年05月)   バー 「祇園サンボア」 でやっぱり角のハイボール(07年04月)


「祇園サンボア」 京都市東山区祇園町南側570-186 [Map] 075-541-7509
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かき小屋「渡波」で 万石浦採れ立て焼き牡蠣の衝撃的な旨さ

watanoha.jpg震災の後、いち早く“復興かき”の仕組みを立ち上げるとともに、牡蠣の養殖再興を軸に東奔西走し続けているアイリンク社長斎藤さん。 “復興かき”は、2万口を上回る応募を積み上げて、フロートやロープやアンカーなどなどの資器材や種牡蠣ほか、三陸の牡蠣養殖の復活に必要な物、事に直接寄与している(→復興かき活動報告)。 既に幾つもの海で三陸の牡蠣養殖を再開し始めているのです。
震災からそろそろ一年を迎えようとする頃、嬉しい取り組みを知りました。 石巻で「かき小屋」の営業を始めるというのです。 その名を「渡波(わたのは)」。 石巻駅から石巻線を女川方面にふた駅めが渡波駅だ。

仙台市内に前泊して、渡波に向かいます。 まだ仙石線が全線復旧に至っていないものの、 東北本線の小牛田(こごた)から石巻線に回る手がある。 訪れた前日に石巻-渡波間が開通してくれたのでした。

ディーゼルの振動に載せ、運んでくれたワンマン列車。watanoha01.jpgwatanoha02.jpg津波に晒されたであろう渡波の駅舎は、旧来のままのように映ります。

渡波駅を背にして真っ直ぐに海の方へと歩いて向かう。 女川街道を越えて、さらにそのまま真っ直ぐに。

するとその先に橋が見えてきました。 その橋が万石橋。watanoha03.jpgそして、その左手に広がる大きな大きな入江が万石浦だ。 ああ、何度もその名を読み聞きしていた場所にやってきた。

万石浦は、“カキじいさん”こと畠山重篤先生が著書「牡蠣礼賛」や「鉄は魔法つかい」で著しているように、”牡蠣養殖の父”と呼ばれる宮城新昌(かの料理研究家岸朝子さんの父上でもある)さんが、今行われている牡蠣の養殖法の元を開発する拠点としたところ。watanoha04.jpg日本各地に、 そしてアメリカやフランスに牡蠣種「宮城ダネ」を送り出した養殖場のひとつ万石浦。 静かに湛える水面の隅で鴎が翻ります。

橋を渡り切った辺りに幾連もの帆立の貝殻の壁がある。watanoha05.jpg次の垂下を待っているのでしょうか。

その並び、コンビニのココストアの敷地伝いにみえるテント。 それが、かき小屋「渡波」。watanoha06.jpgテントの前には既に沢山の車が停まっています。

ノートに人数を記入して、案内されたのは大きな冷蔵庫の前。watanoha07.jpgwatanoha08.jpg緑色の籠に盛られた沢山の牡蠣たちがお出迎え。 カキナイフ、ワンカップと一緒に仕込みます。

導かれた奥のテントも既にほぼ満席。watanoha09.jpgwatanoha10.jpg早速、焼き牡蠣をいただくお作法について丁寧に説明をいただきます。

汁が飛んでもいいように横に向けつつ、殻の平らな面をまず下にして焼き網の上に載せる。watanoha11.jpg もう一枚、と所望して二枚重ねの軍手は利き手とは逆の方へ。 利き手にはカキナイフで働いてもらいます。

殻の隙間から汁が沸き出るを見計らって、ひっくり返す。watanoha12.jpgそろそろいい頃だと、手元に寄せて、ちょっと空いた口にナイフを挿し入れて抉じ開けます。 焼き牡蠣は加減良くそこそこしっかり焼きましょう。

あああ、湯気を立てる牡蠣の身の美しさたるや。watanoha13.jpgやおらそのまま、その身を口に含んでみる。

ぬおおおおおおおおおおおお。watanoha14.jpgこれぞ、衝撃的な旨さ!!!

ぷにちゅるんとした食感とともに弾けた旨味が延髄に真っ直ぐ届く。watanoha15.jpgその旨味に一切の曇り濁りなし。

美味しさの鮮度が圧倒的に違う感じ。watanoha16.jpgいやーたまげた、こりゃ驚いたと慌てて一気に牡蠣を焼き網に並べます。 ワンカップの大関もいつもにも増して旨く思えるから不思議です(笑)。

熱気の篭るテントの外では、せっせと牡蠣の掃除をしてくれている。watanoha17.jpg何を隠そう、かき小屋「渡波」の牡蠣は、目の前の万石浦から揚がった牡蠣なのだ。 その引き揚げたばかりの牡蠣をテントの横で掃除して、そのまま焼き網の上へ。 ああああ、この衝撃的な旨さは、万石浦が育んだ滋味を採れ立てでいただく醍醐味の発露なのだなぁ。

絶滅さえ危惧された三陸の宮城の牡蠣を絶佳な美味しさと臨場感で愉しめる、 かき小屋「渡波(わたのは)」。watanoha18.jpgお金を出せばなんでも手に入りそうな東京にいても叶わず、足を運ばなければ手に入らないものがやっぱりあることを改めてすんなり教えてくれました。 そしてその一方で、以前のように、いや従前以上に三陸の牡蠣が流通して、より沢山のひとに口福を齎してくれるようになればいいなぁ。 ふたたび万石浦を眺めながら、そんな風に思うのでありました。


「渡波」 石巻市渡波字祝田75-5 [Map] 0225-24-5640 http://www.kakigoya.jp/
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中華そば「髙安」で 中華そば鶏乳化スープ脂の甘みスジの甘み

takayasu.jpg京阪の終点、出町柳駅で乗り換えるEiden、 叡山電鉄。 鞍馬山の鞍馬か八瀬比叡山口が終点なのだけど、 お世話になる駅は、一乗寺ばかり。 何故って、一乗寺には、いつぞやお邪魔した「天天有」やその隣の「夢を語れる」をはじめ、気になるラーメン店が目白押しだからなのです。
車両の先頭で切符の改札を受けて、一乗寺のホームの上。 乗ってきた新型車両を見送ると、向かい側に旧型車両がやってきた。takayasu01.jpg鉄っちゃんでなくとも、なんだか心踊る光景であります(笑)。

takayasu02.jpg やって来たのは、「天天有」なんかも割とご近所の中華そば「髙安」。 こちらも行列ができる人気店です。

定番「中華そば」は勿論のこと、 「スジラーメン」ってのも良さそうだなぁとなんだか妙に調子のいい感じの中国出身らしきスタッフ(店長?)にそう告げると、 「あ、スジ、今日はもうお終い〜」と本当に申し訳なさそうにする。 お品書きにあるように、数量限定のメニューらしい。

例によって、そう云われるとますます気になるけど(笑)、なければ止むなし。 「中華そば」をお願いしました。

大判のチャーシュー2枚が全面を覆うドンブリ。takayasu04.jpgスープは、如何にもな乳化色をしています。

早速啜れば、なるほど、鶏の旨味と脂の甘さがぐいっと煮出されたもの。takayasu05.jpgその魅力が、妙な濁りなく、真っ直ぐに引き出されている感じ。

床が多少ぬるついている(笑)のでも判るように、 脂もそれなりに強いのだけれど、そのコクが魅力と個性を発揮しています。 スープ完飲できちゃいます。

やっぱり気になる「スジラーメン」を求めて、およそ半年振りの一乗寺。 寒空の下の行列に耐えて、「スジラーメン」のオーダーを無事果たします。

なるほど見た目にもくたっとじっくりよーく煮込んだのがよく判る、 そんな牛スジがわらわらと白濁スープに浮かんでる。takayasu06.jpgどれどれとスープと一緒に蓮華に掬って啜り込む。

ああ、スジそのものは割と甘い感じに煮付けているのが、いい。takayasu07.jpgスープのコクとはちょっと別のベクトルの旨味を誘う感じ。

持ち上げのいい、かつ、つるんとした細麺とともにスジを喰らう。takayasu08.jpgtakayasu09.jpg途中でスジの甘さに変化が欲しくなったら、 テーブルに用意された「にらごま」を少々トッピング。 十分辛くなっておりますので、入れ過ぎには注意しましょう。

こふいふ仕立ても京都ラーメンの抽斗のひとつと思う中華そば「髙安(たかやす)」。takayasu10.jpgそれにしても、この界隈に名を馳せる個性派ラーメン店が散在するのは何故なのでしょね。


「髙安」 京都市左京区東大路北泉通下ル一乗寺高槻町10 [Map] 075-721-4878
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中華そば専門店「ホープ軒」で 今や懐かしの一杯とんこつ醤油

hopeken.jpg大塚有数の酒処「こなから」で、 気の利いた酒肴をあてにあれこれ呑んで酔った夜。 なはははと笑いながら(笑)、駅へと向かう道すがら。 ちんちん電車が目の前を往く。 そしてその向うに「ホープ軒」の黄色い看板が誘っていました。
誰からともなく、喰っちゃう?ということになる。 嗚呼、禁断の呑んだ挙句の夜半らーめん。hopeken01.jpgでも、たまにはいいよねと自分に言い聞かせ、そうとなればもうなにをどう啜っちゃおうか考えはじめます。 「ホープ軒」で思い出すのは、千駄ヶ谷の本店や吉祥寺のちょい路地の店か。 確か、環七の高円寺陸橋近くにもあったはず。 いまはもっと増殖しているのか、 それとも今どきのラーメンに押されて衰えてしまっているのか。 なにはともあれ、ものすごーく久し振りの「ホープ軒」のラーメン。hopeken02.jpgシンプルに「ラーメン」、でも「玉子」を味付で。 「ニンニク」もちょっと入れてもらっちゃいましょう。 ああ、そうだ、そうです、そうでした。 やや薄めのような気もするものの、その頃、思い出しては時折無性に食べたくなった動物系エキスがうるっと滲む醤油とんこつスープを思い出す。hopeken03.jpg見た目を裏切るさっぱりとそれでも脂にとっぷり、 という味わいに麻薬的な魅力を感じたものです。 むにっとした自家製麺での持ち上げも悪くない。 化調云々もかん水っぽさも不思議とどこ吹く風な気分。 hopeken04.jpghopeken05.jpg これがご馳走だったのだよなーとノスタルジックな気持ちを膨らませつつ、 また啜るのであります。

荒川線の車窓を彩る黄色い看板が目印の中華そば専門「ホープ軒」大塚店。hopeken06.jpg hopeken07.jpghopeken08.jpghopeken09.jpg “中華そばなら中華そばの”元祖・ホープ軒、が謳い文句。 開けっ放しの店構えは、屋台の名残りか。 他には、阿佐ヶ谷や古川橋にもあるらしいけど、 まずは千駄ヶ谷に行ってまた、懐かしい想いに浸ろうかな。 口 関連記事:   居酒屋「こなから」で のどぐろ真鱈白子焼酒盗和え酒肴いきいき(10年12月)


「ホープ軒」大塚店 豊島区北大塚2-14-8[Map] 03-3940-0982
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庚申塚「御代家」で めぬけかぶと煮かんはつもと都電のホーム

miyoke.jpgチンチーン。 ひと気なく、のんびりした雑司が谷の短いホームにベルの音が聞こえた。 やってきた都電の車両は見覚えのある配色とは違って、レトロなテイストを帯びたツートンカラー。 荒川線に乗るのは随分と久し振りだ。 大塚駅前で一瞬、路面電車らしい風景を車窓から見せるけれど、走る軌道はほとんどが住宅街。 下車駅はその先の庚申塚駅。 すっと降りたホームのその場所にあるのが今宵の酔い処なのです。
ホームを抜ける風に揺れる暖簾を払うとそこは、落ち着いた風情の居酒屋たる佇まい。miyoke01.jpgすぐ右手の小振りなテーブルに腰を降ろして視線を上げると、今潜ってきた暖簾の向こうに電車の走る姿を覗けます。 miyoke02.jpg 気の利いた烏賊のわた和えをお通しにビールを呷って、お品書きmiyoke03.jpgmiyoke04.jpgの品定め。 熱々の「ゆであげ だだちゃ豆」でまたまたビールをぐいっとね。 「新さんま炭火焼」とあるのだけど、お刺身にはなりません?と訊くと、できますよっと即答いただいて、おろし生姜と一緒に。miyoke05.jpgああ、甘いほどに蕩けるようにする秋刀魚は、焼くのも勿論、刺身も旨い。 品書きにある「チャンバラ貝 塩ゆで」のチャンバラ貝ってなんでしたっけとふたたび訊ねると、マガキガイですね、というお応え。 ああ、マガキガイかぁ。 マガキガイは、今部屋で飼っている海水魚たちの水槽で、毎日せっせとコケや残留物の掃除をしてくれている巻貝のことでもある。 それを喰っちゃうのはなんか忍びないなぁと悩んでいると、じゃそれ!とこの夜の相棒のひとり。miyoke06.jpgああ、神妙な顔をしつつも結局、試しにひとつ、食べちゃうンであります(笑)。 すでに舐めている焼酎は、「青酎」。 伊豆諸島の一角、東京都青ヶ島で醸す島酒だ。 三つ葉もこうすると沢山食べられるねーと「鶏とみつばの和え物」を平らげて、串焼きあれこれをお願いします。 食道あたりの部位だという「かん」は、まさに管状な部位を集めた串で、「はつもと」は、レバーとハツの繋ぎ目あたり。miyoke07.jpgむにっとしてでも歯切れよく、なかなかイケる。 滋味とほの苦味と甘過ぎないタレの妙味と焼き加減と。 ぱりぱりと「皮」の食感を愉しんで、「砂肝」「うずらベーコン巻き」。 miyoke08.jpgmiyoke09.jpgmiyoke10.jpg しっとりほっこりした「つくね」に至る。 すでに替えていた焼酎は、「八丈鬼ころし」。 今度は八丈島産の島酒。 芋焼酎に麦焼酎をブレンドした焼酎らしく、すっきりした呑み口だ。 黒板メニューに「めぬけ かぶと煮」。 これがまた、旨い。miyoke11.jpgmiyoke12.jpg頭の周りについた肉を解して、こそげて、しゃぶって、舐める。 脂の甘さに品が備わっているようで、ぬる燗をきゅっといきたくなるような、ご飯が欲しくなるような。 以前、赤坂の「築地 奈可嶋」でいただいた「きんきの煮付け」をふと思い出し、これもかぶと煮じゃなくて身がしっかりついていたら、もっと醍醐味だったろうになと遠い目になる。 ま、もっとも、かぶと煮だからお安く愉しめるのだろうけどね。 ちょっとシメっぽくなにか、ということでいただいたのが「鶏のひつまぶし」。miyoke13.jpg所謂鰻のひつまぶしの、薬味のっけの二杯目あたりをイメージしたのか、鶏の出汁で炊いたご飯に刻み海苔刻み葱が載っている。 うんうん、悪くない。 何気ないけど、あって嬉しいシメメニューでありますね。 ご馳走さまをして暖簾を潜れば、そこはやっぱり都電のホーム。 そんなロケーションに癒されつつも、いつしか「御代家」の酒、酒肴にも癒される。miyoke14.jpgこのまままた、やってきた一輌に乗り込んで、池袋あたりにハシゴしようかな。 チンチーン。 口関連記事:肴と酒の和味処「築地 奈可嶋」で のどぐろ一汐干しきんきの煮付(06年10月) 「御代家」 豊島区西巣鴨2-32-10 神宮ビル1F [Map] 03-3918-0084 http://miyoke.ume2001.com/
column/02860 @6,800-