「喰いねぇ 鮨天麩羅鰻」カテゴリーアーカイブ

天ぷら「天房」で天麩羅定食穴子芝海老丼美しき赤身の限定鮪定食もございます

tenfusaどふいふ訳か、築地場内に足を運んでも、海鮮丼の店にはまったく食指が動かない。
そもそも魚がし横丁に海鮮丼の専門店が登場したのは、後発のことのような気もするしと思い至ると、それは「仲家」の印象があまりにも悪かったからそふいふことになっているのだと気が付いてそっと苦笑いする、なんてことを繰り返している(笑)。
刺身定食の方がいいに決まっているけれど、手軽に掻っ込む海鮮丼そのものに罪はない。

ずっと”うみさちもん”と読んでいた(恥)、
海幸門(かいこうもん)から1号館の前を通り抜ける。
この風景も遠からず見られなくなってしまうのかと、
ちょっと遠巻きに5号館から7号館辺りを眺めます。tenfusa01tenfusa02今日はそんなでもないかなぁと、
6号館前の通路の混み雑具合を覗き込む。
天ぷら「天房」の前にも空席を待つ人影がありました。

しばし待ってから女将さんに手招きされて、
壁に向かうカウンターの隅に席を得る。tenfusa03暖簾の内側から眺めるお向かいさんは、
築地ゴム長の元祖長靴専門店「伊藤ウロコ」の店先だ。

或る日には「天ぷら定食」。tenfusa04tenfusa05海老に芝海老、鱚に槍烏賊、獅子唐に海苔。
そこに稚鮎が加わる嬉しい時季もある。
求道的な揚げ口なんかではなく、
すっと馴染める揚げっ振りに和んでしまいます。

また或る日には、店先の貼紙を確かめてから「天丼」を。tenfusa06tenfusa07定食と同じく、海老に芝海老、鱚、
海苔に獅子唐が基本ラインで、
そこに帆立と鰯を添えてくれている感じ。
浸した汁は特段甘すぎることなくじわっと迫ります。

気が付けば一番多くいただいているのが「芝エビ穴子丼」。tenfusa08tenfusa09お約束通りに丼から食み出した穴子天を枕にして、
芝海老の天ぷらがズラズラっと並んだ画を壮観に思う。
海老の外殻の芳ばしき甘さがたっぷりと愉しめる、
そんなドンブリなのであります。

海老の身の甘さも堪能したけりゃ、
「大エビ天丼」という手がある。tenfusa10海老天の上に載せた海苔の天ぷらに一種の愛嬌を思います。

天麩羅専門店なのに!と語られていそうな、
「天房」定番にして限定メニューが「マグロ定食」。tenfusa11tenfusa12tenfusa13トロなんかで媚びることなき美しき鮪の赤身。
海鮮丼と比べるまでもなく、潔くも真っ当に旨い膳が此処にある。
そして、鰯の天麩羅がそっと添えられるのが、
天ぷら専門店の力みなき矜持なのでありましょう。

築地場内・魚がし横丁6号館のとば口にずっと構える天ぷら「天房」。tenfusa14店内の壁に豊洲市場での移転場所を示すフライヤーが貼られてた。
天ぷら「天房」は、「大和寿司」「富士見屋」と並んで、
青果棟の一階へと移るようです。
魚がし横丁の店々は、この一軒間口も魅力のひとつなのだけど、
豊洲ではどんな店構えになるのでしょうね。

「天房」
中央区築地5-2-1 築地市場 魚がし横丁6号館 [Map] 03-3547-6766

column/03689

うなぎ「ほさかや」で鰻塩焼き串ひと通りレバ酒蒸し自由が丘駅背にした昭和な鰻処

hosakaya東横線の自由が丘駅、元町中華街方面ホームの渋谷寄り。
線路の向こう側すぐに並んだ建物の壁には、ホームからの視線目当ての広告媒体がぎっしりと並ぶ。
その中にひとつに、藍地に白抜き文字と実に地味ながらも目を惹く看板がある。
それは、創業昭和25年と謳う、つまりは今から60年を裕に越える年嵩のうなぎ店の看板だ。

当ビル1階と示す案内に従って、
北口改札を出てガードを潜り、スタバの角を左に折れる。hosakaya01オジサマ達の憩い処「金田」の手前に、
駅ホームの看板の主の店構えが見付かります。
清酒「大関」の銘に並んで「キンミヤ焼酎」の文字と亀甲マーク。
いい感じじゃぁありませんか(笑)。

右手の焼き台を横目にしつつ、
暖簾を潜れば典型的なコの字のカウンターが迎えてくれる。hosakaya02それ相応に年季の入ったカウンターの丸椅子に腰掛ければ、
正面の壁に加減よく燻されたお品書きが目に留まる。
若干の料金改定の苦労は、鰻に纏わるご時勢でもありましょう。

カウンターの下には御新香の小皿がスタンバイ。hosakaya03hosakaya04浅漬けのキャベツをお供に瓶の麦酒から始めるのが、
正しき導入部のような気がします(笑)。

そんなこんなしている裡に、
お願いしていた鰻の串がやってくる。hosakaya05まずはタレ味とはちょと趣異なる「うなぎ塩焼き」。
ホロっとした歯触りの後から滲む旨みをより繊細に味わえていい。

「からくり焼き」に「きも焼き」、
「ひれ焼き」に「かしら焼き」で基本の串のひと通り。hosakaya06hosakaya07皮とその裏に均一に帯びた脂の旨みの凝集とか、
意外と上品な肝の苦味の気配とか、
端っこながらも成る程鰻の身の魅力も十分含んだ一本とか、
その違いをゆっくり愉しみながら昼の酒が進みます(笑)。

お店の奥の合板の壁に掲げられたもうひとつの品書き板には、
三枚も裏返された札がある。
裏メニュー3点盛りも「うざく」も「鰻とろろ」あたりも、
既に売り切れてしまった模様。hosakaya08hosakaya09然らば、あるのは全部と欲張ってみる(笑)。
だってなんだかすっかり、小粋な酒肴じゃぁありませんか。

「鰻レバーの酒蒸し」は、ちょっと不思議な歯触りの。
hosakaya10きっと夏バテに抗う滋養によいのだよ、
なんてほくそ笑む(笑)。

武蔵小山の「江戸一」では、
トマトに田舎味噌だったねとか云いながら、
「もろきゅう」の一本を齧る。hosakaya11hosakaya12まだ明るいうちからヤッツケるお酒の、
なんて美味しいことよのぉ(笑)。

お重をいただこうと別のおひるにやってきた。hosakaya13まだ空いている丸椅子も、
みるみる埋まっていくのです。

入口脇の焼き台で蒲焼を焼き炙る、
オヤジさんの背中を眺めつつじっと待つひと時も悪くない。hosakaya14hosakaya15こうなるともう、鰻の表面を炙る繊細だとか、
タレの甘いの辛いのにもまったくもって寛容になって、
ただただ貪るように喰らうのが心地いいのでありますね。

自由が丘の駅を背に、昭和25年創業のうなぎ「ほさかや」がある。hosakaya16自由が丘駅至近にして、
下町の一軒のような気取りのなさがいい。
混み合う時間帯も勿論あるけれど、
ふらっと寄っての一杯にも相応しき空気が頼もしいのであります。

「ほさかや」
目黒区自由が丘1-11-5 [Map] 03-3717-6538

column/03687

日本橋天ぷらめし「金子半之助」で穴子一本揚げ海老天四本の天麩羅飯悔しい哉

kaneko日本橋室町の路地が好き。
例えばかつて、ヒロキエさんと伺ったステーキハウス「誠」やその並びに「シンセリティー」のある路地。
例えば、その旧き良き佇まいに毎度足を留めてしまう「大勝軒」裏手の、とんかつ「かつ平」のある路地。
例えば、移転を重ねて今は「二代目 長崎楼」と名乗るちゃんぽん皿うどんの店のある路地。
最近、その「長崎楼」の路地では、路地角地の行列の異様な熱気に驚くのが毎度のこととなりました。

当の行列を生んでいる犯人は、天丼「金子半之助」。
何故だか行列に並ぶ気が起こらないものの、
何度も眺める行列に、
行列を生むなりのことはきっとあるのだろうと、
そんな風に気になっていたのでした。

行列店「金子半之助」が、
近くに別の店を出したと知ったのが確か、
昨年の秋口のこと。
その場所は「誠」「シンセリティ」も間近な辺り。
先の店の行列の凝集感に比べればと、
ほとんど抵抗なく空席を待つ列の最後尾に着くことができました。

それでも20分程は待ったでしょうか。
厨房のざわめきがそのまま伝わる、
L字のカウンターへと案内されました。kaneko01kaneko02左右に2基の油殿がある模様。
油の中の天麩羅の表情を見詰める職人さんの頭上それぞれには、
排煙のための円い赤銅色のフードが飾っています。

お願いしていたのは「穴子の天ぷらめし」。kaneko03kaneko04独特の形状の容器の網の中央に載せられた穴子は、
ご多分に漏れず、しゅっとした一本揚げ。
薄からず、かといって決して濃いぃことのない揚げ色は、
これぞキツネ色と云えそうです。

単品で追加してもらっていたのが、
茄子にハゼ。kaneko05ぺろっと平らげた舞茸も、茄子もハゼも悔しいかな、素直に旨い。

時間はちょいと流れておよそ半年後。
久し振りに「大勝軒」前の通りを往くと、
通り両側の街路樹の枝先に春の気配が色付いていました。kaneko06その内の幾つかは既に花弁を開いていて、
その色合いは八重桜のような濃いぃめのピンク。
下げ掛けられた木札には「おかめ桜」と記されています。

その横の脇道にはやっぱり行列が出来る。kaneko07どふいふ訳か、天丼の店のようにアジア系外国人の姿は見られない。
その分、行列が短いとも云えそうです。

例によってカウンターに置かれたみっつの壺のひとつから、
牛蒡のお惣菜を小皿にいただく。kaneko08天麩羅が届くまでのひと時を繋ぐ役者として、
十分な存在感なのは烏賊の柚子和え的なおかずも同じこと。
これもコチラの何気ない魅力のひとつとなっているようです。

前回お邪魔した時にも勿論いただいていたのが、
専用の蓮華に載せられた玉子の天麩羅。kaneko09kaneko10ご指南の通り、ご飯の上に載せ崩し、
醤油を回し垂らし、卓上の醍醐味と呼ぶ黒七味を振り掛ける。
こうなるともう、美味しいに決まっているよね(笑)。

「海老の天ぷらめし」には、海老の天麩羅4本がメイン。kaneko11きりっとしたツユにちょいと浸し、
大根おろしをちょちょんと載せて齧りつく。
これまた悔しい哉、文句なし。

脇役のフリして定位置を確保している、
かしわ天には紫蘇の青い風味が利いている。kaneko12成る程、行列に理由がない訳ではないのだねと、
ヘンテコな納得をして腕を組みます(笑)。

三越前の裏通り、
日本橋室町エリアの脇道に天ぷらめしの「金子半之助」がある。kaneko13天ツユがやや塩辛いのと、
店内に流れる津軽三味線が気忙しいのが、
気になるところではあるけれど、
やっぱり天丼の方もいつかいただいてみたいと、
そう思う昼下がりでありました。

「金子半之助」
中央区日本橋本町1-4-3 ヴィラアート日本橋1F [Map] 03-6262-3734
http://kaneko-hannosuke.com/

column/03658

うなぎ「しらゆき」でうなたま丼うな重竹に月見親子丼鰻供するお店の苦慮と

shirayuki紅い看板の銀行の新富町支店がある交叉点の信号機が示すは入船一丁目。
築地に向かって左手に行けば、亀島川を新川に渡る南高橋(みなみたかばし)に至り、右手に往けば新富町の縁に沿い、首都高の京橋ランプを経て、昭和通りの新京橋から外堀通りへと抜けてゆく。
銀行の横手を新金橋方向へ進むと一本目の角にカレーの旨い「KHADONO」がある。
小さなパン屋さんの前を通り過ぎて、二本目の角にあるそば處「更科 丸屋」の手前にあるのが、うなぎ「しらゆき」です。

時に換気扇から流れ出る煙の匂いが鰻のものであったり、そうでもなかったり。shirayuki08厨房の気配を想いながら、店頭の品書きパネルを眺めます。

カウンターの隅に腰掛けると目の前には沢山の一升瓶の列。shirayuki02「獺祭」「五凛」「飛露喜」に「田酒」に「鶴齢」。
ここにずっと置いてあるのかちょと心配しつつ、その壁を眺めます。

まずお願いしたのが「うなたま丼」。shirayuki03それは、くたっとした玉葱を含む半熟玉子の覆いの上に蒲焼が三切れトッピングしたもの。
決して廉価ではない鰻さん故、お値段なりといえその通りなのですけれど、三切れの光景に一抹の侘しさも感じてしまいます。

ならば「うな重」をと思うも、竹、松、特とある中からの竹を選んでしまう消極派(笑)。
さすれば、当然のように周囲の隙間も甘んじて受け入れざるを得ない小振りのお重。shirayuki04松・竹・梅としないお店の苦慮をいじましく思ってはいけません。

「しらゆき」には、鰻以外のおひるメニューも並んでいて、例えば「きじ焼き丼」なんてヤツもある。shirayuki05一見、鶏サラダ?とも思わす見映えでありますが、炭焼きの雉の身の芳ばしさは悪くない。
サラダ菜を別のものにする工夫の余地はありそうです。

そして、メニューの筆頭が「月見親子丼」。
ゴロっとしたやや大振りの鶏肉と溶いた玉子のこんもり盛り付け。shirayuki06shirayuki07以前は「大山鶏の親子丼」というメニューだったのだけれど、いつの間にか大山鶏の冠が外れてた。
甘辛のタレはいい感じ。
値段が違うので比べちゃいけないと思いつつ、例えば茅場町「鳥ふじ」の「特上親子丼」やはじっこ銀座の「森川」あたりのどんぶりと比べると、もひとつシズルが弱いかなぁと思わないこともありません。

新富町の鰻処といえば、
「うなぎ青葉」か「とり福」か、はたまた「しらゆき」か。shirayuki01「しらゆき」という店名の由来を訊ねたら、こんなお応えをいただいた。
鰻の”しらやき”から転じて”しらゆき”としたンです。
気構えずに仕事帰りに寄り道して、居酒屋使いするのも似合いそうです。

「しらゆき」
中央区新富1-15-3 [Map] 03-6280-4524

column/03579

鰻「とみた」で茶漬けにしない櫃まぶし或る夏の日の想いで

tomita或る夏の日の想ひで。
その日は、名古屋にいました。
名古屋駅から市営地下鉄の桜通線に乗って、桜山という駅で下車。
真夏のことなので、桜の山は何処にあるのだろうなんてところに気が向くこともなく、市立の大学病院の脇の道を歩いていました。
ジリジリと照り付ける陽射しによろめきそうになりながら辿り着いたのは、菊園町という住宅地でありました。

通りをまったりとそよぐ風にハラハラと揺れる暖簾は、夏らしい絣でしょうか。tomita01鰻「とみた」にお邪魔しました。

注文をお願いすると、その注文の品であろう鰻が炭火の上に置かれる。tomita02炭火の遠赤外線が炙る様子を額の汗をもう一度拭いながら眺めます。

届いたのは、ご存知「ひつまぶし」。tomita03やっぱり、櫃まぶし専用に誂えた器なのだろうなぁと鰻を載せた器に触れます。

ザク切りした鰻の照りがいい感じ。tomita04妙にジューシーでなく、パリッと芳ばしそうなのが見て取れます。

茶碗によそって急くように箸を動かせば、見た目通りの芳ばしさ。tomita05ベタつかない旨味がグイっと迫ります。

櫃まぶしのお作法にまず則って、薬味の小葱をトッピング。tomita06うんうん、青い香気が鰻の旨味にちょっとしたキレを生んでくれます。

続いて、刻み海苔をトッピング。tomita07はいはい、鰻の香ばしさにちょっとした磯風味が加わって、ニンマリさせてくれます。

お作法ではこの後、茶漬けにするのですけれど、折角芳ばしく焼き上げた鰻を濡らしてベチャベチャにしてしまう手はあり得ません。
山葵をちょんと載せて、そのまま完食に至るのが宜しいかと存じます。

昭和区菊園町の住宅地に鰻「とみた」の暖簾が揺れる。tomita08「あつた蓬莱軒」や「いば昇」「宮田楼」あたりにも負けない櫃まぶしをご馳走さまでした。

「とみた」
名古屋市昭和区菊園町3-19-1 花園ビル1F [Map] 052-853-0386

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