「喰いねぇ 鮨天麩羅鰻」カテゴリーアーカイブ

日本橋天ぷらめし「金子半之助」で穴子一本揚げ海老天四本の天麩羅飯悔しい哉

kaneko日本橋室町の路地が好き。
例えばかつて、ヒロキエさんと伺ったステーキハウス「誠」やその並びに「シンセリティー」のある路地。
例えば、その旧き良き佇まいに毎度足を留めてしまう「大勝軒」裏手の、とんかつ「かつ平」のある路地。
例えば、移転を重ねて今は「二代目 長崎楼」と名乗るちゃんぽん皿うどんの店のある路地。
最近、その「長崎楼」の路地では、路地角地の行列の異様な熱気に驚くのが毎度のこととなりました。

当の行列を生んでいる犯人は、天丼「金子半之助」。
何故だか行列に並ぶ気が起こらないものの、
何度も眺める行列に、
行列を生むなりのことはきっとあるのだろうと、
そんな風に気になっていたのでした。

行列店「金子半之助」が、
近くに別の店を出したと知ったのが確か、
昨年の秋口のこと。
その場所は「誠」「シンセリティ」も間近な辺り。
先の店の行列の凝集感に比べればと、
ほとんど抵抗なく空席を待つ列の最後尾に着くことができました。

それでも20分程は待ったでしょうか。
厨房のざわめきがそのまま伝わる、
L字のカウンターへと案内されました。kaneko01kaneko02左右に2基の油殿がある模様。
油の中の天麩羅の表情を見詰める職人さんの頭上それぞれには、
排煙のための円い赤銅色のフードが飾っています。

お願いしていたのは「穴子の天ぷらめし」。kaneko03kaneko04独特の形状の容器の網の中央に載せられた穴子は、
ご多分に漏れず、しゅっとした一本揚げ。
薄からず、かといって決して濃いぃことのない揚げ色は、
これぞキツネ色と云えそうです。

単品で追加してもらっていたのが、
茄子にハゼ。kaneko05ぺろっと平らげた舞茸も、茄子もハゼも悔しいかな、素直に旨い。

時間はちょいと流れておよそ半年後。
久し振りに「大勝軒」前の通りを往くと、
通り両側の街路樹の枝先に春の気配が色付いていました。kaneko06その内の幾つかは既に花弁を開いていて、
その色合いは八重桜のような濃いぃめのピンク。
下げ掛けられた木札には「おかめ桜」と記されています。

その横の脇道にはやっぱり行列が出来る。kaneko07どふいふ訳か、天丼の店のようにアジア系外国人の姿は見られない。
その分、行列が短いとも云えそうです。

例によってカウンターに置かれたみっつの壺のひとつから、
牛蒡のお惣菜を小皿にいただく。kaneko08天麩羅が届くまでのひと時を繋ぐ役者として、
十分な存在感なのは烏賊の柚子和え的なおかずも同じこと。
これもコチラの何気ない魅力のひとつとなっているようです。

前回お邪魔した時にも勿論いただいていたのが、
専用の蓮華に載せられた玉子の天麩羅。kaneko09kaneko10ご指南の通り、ご飯の上に載せ崩し、
醤油を回し垂らし、卓上の醍醐味と呼ぶ黒七味を振り掛ける。
こうなるともう、美味しいに決まっているよね(笑)。

「海老の天ぷらめし」には、海老の天麩羅4本がメイン。kaneko11きりっとしたツユにちょいと浸し、
大根おろしをちょちょんと載せて齧りつく。
これまた悔しい哉、文句なし。

脇役のフリして定位置を確保している、
かしわ天には紫蘇の青い風味が利いている。kaneko12成る程、行列に理由がない訳ではないのだねと、
ヘンテコな納得をして腕を組みます(笑)。

三越前の裏通り、
日本橋室町エリアの脇道に天ぷらめしの「金子半之助」がある。kaneko13天ツユがやや塩辛いのと、
店内に流れる津軽三味線が気忙しいのが、
気になるところではあるけれど、
やっぱり天丼の方もいつかいただいてみたいと、
そう思う昼下がりでありました。

「金子半之助」
中央区日本橋本町1-4-3 ヴィラアート日本橋1F [Map] 03-6262-3734
http://kaneko-hannosuke.com/

column/03658

うなぎ「しらゆき」でうなたま丼うな重竹に月見親子丼鰻供するお店の苦慮と

shirayuki紅い看板の銀行の新富町支店がある交叉点の信号機が示すは入船一丁目。
築地に向かって左手に行けば、亀島川を新川に渡る南高橋(みなみたかばし)に至り、右手に往けば新富町の縁に沿い、首都高の京橋ランプを経て、昭和通りの新京橋から外堀通りへと抜けてゆく。
銀行の横手を新金橋方向へ進むと一本目の角にカレーの旨い「KHADONO」がある。
小さなパン屋さんの前を通り過ぎて、二本目の角にあるそば處「更科 丸屋」の手前にあるのが、うなぎ「しらゆき」です。

時に換気扇から流れ出る煙の匂いが鰻のものであったり、そうでもなかったり。shirayuki08厨房の気配を想いながら、店頭の品書きパネルを眺めます。

カウンターの隅に腰掛けると目の前には沢山の一升瓶の列。shirayuki02「獺祭」「五凛」「飛露喜」に「田酒」に「鶴齢」。
ここにずっと置いてあるのかちょと心配しつつ、その壁を眺めます。

まずお願いしたのが「うなたま丼」。shirayuki03それは、くたっとした玉葱を含む半熟玉子の覆いの上に蒲焼が三切れトッピングしたもの。
決して廉価ではない鰻さん故、お値段なりといえその通りなのですけれど、三切れの光景に一抹の侘しさも感じてしまいます。

ならば「うな重」をと思うも、竹、松、特とある中からの竹を選んでしまう消極派(笑)。
さすれば、当然のように周囲の隙間も甘んじて受け入れざるを得ない小振りのお重。shirayuki04松・竹・梅としないお店の苦慮をいじましく思ってはいけません。

「しらゆき」には、鰻以外のおひるメニューも並んでいて、例えば「きじ焼き丼」なんてヤツもある。shirayuki05一見、鶏サラダ?とも思わす見映えでありますが、炭焼きの雉の身の芳ばしさは悪くない。
サラダ菜を別のものにする工夫の余地はありそうです。

そして、メニューの筆頭が「月見親子丼」。
ゴロっとしたやや大振りの鶏肉と溶いた玉子のこんもり盛り付け。shirayuki06shirayuki07以前は「大山鶏の親子丼」というメニューだったのだけれど、いつの間にか大山鶏の冠が外れてた。
甘辛のタレはいい感じ。
値段が違うので比べちゃいけないと思いつつ、例えば茅場町「鳥ふじ」の「特上親子丼」やはじっこ銀座の「森川」あたりのどんぶりと比べると、もひとつシズルが弱いかなぁと思わないこともありません。

新富町の鰻処といえば、
「うなぎ青葉」か「とり福」か、はたまた「しらゆき」か。shirayuki01「しらゆき」という店名の由来を訊ねたら、こんなお応えをいただいた。
鰻の”しらやき”から転じて”しらゆき”としたンです。
気構えずに仕事帰りに寄り道して、居酒屋使いするのも似合いそうです。

「しらゆき」
中央区新富1-15-3 [Map] 03-6280-4524

column/03579

鰻「とみた」で茶漬けにしない櫃まぶし或る夏の日の想いで

tomita或る夏の日の想ひで。
その日は、名古屋にいました。
名古屋駅から市営地下鉄の桜通線に乗って、桜山という駅で下車。
真夏のことなので、桜の山は何処にあるのだろうなんてところに気が向くこともなく、市立の大学病院の脇の道を歩いていました。
ジリジリと照り付ける陽射しによろめきそうになりながら辿り着いたのは、菊園町という住宅地でありました。

通りをまったりとそよぐ風にハラハラと揺れる暖簾は、夏らしい絣でしょうか。tomita01鰻「とみた」にお邪魔しました。

注文をお願いすると、その注文の品であろう鰻が炭火の上に置かれる。tomita02炭火の遠赤外線が炙る様子を額の汗をもう一度拭いながら眺めます。

届いたのは、ご存知「ひつまぶし」。tomita03やっぱり、櫃まぶし専用に誂えた器なのだろうなぁと鰻を載せた器に触れます。

ザク切りした鰻の照りがいい感じ。tomita04妙にジューシーでなく、パリッと芳ばしそうなのが見て取れます。

茶碗によそって急くように箸を動かせば、見た目通りの芳ばしさ。tomita05ベタつかない旨味がグイっと迫ります。

櫃まぶしのお作法にまず則って、薬味の小葱をトッピング。tomita06うんうん、青い香気が鰻の旨味にちょっとしたキレを生んでくれます。

続いて、刻み海苔をトッピング。tomita07はいはい、鰻の香ばしさにちょっとした磯風味が加わって、ニンマリさせてくれます。

お作法ではこの後、茶漬けにするのですけれど、折角芳ばしく焼き上げた鰻を濡らしてベチャベチャにしてしまう手はあり得ません。
山葵をちょんと載せて、そのまま完食に至るのが宜しいかと存じます。

昭和区菊園町の住宅地に鰻「とみた」の暖簾が揺れる。tomita08「あつた蓬莱軒」や「いば昇」「宮田楼」あたりにも負けない櫃まぶしをご馳走さまでした。

「とみた」
名古屋市昭和区菊園町3-19-1 花園ビル1F [Map] 052-853-0386

column/03555

立喰「栄寿司」で立ち喰い八貫瓶麦酒アーケードの夕陽と束の間の滞在

sakaedushi所用にてお久し振りの京成立石の駅に降り立ちました。
習志野習志さんのお陰で、羨望のもつ焼「宇ち多゛」に潜入できたあの日以来のことになります。
真昼間の「焼酎のウメ割り」にガツンとやられて、二軒目のご近所「二毛作」まで千鳥足だったことを思い出す。
いやはやはっぱり、ほとんど生の焼酎のグイ呑みは効きますですね(笑)。

薄い雲を夕焼け色が染める頃。
商店街アーケードのゲートにも夕陽の銀朱色が映えていました。sakaedushi01再開発でこんな味のある景色を壊そうとするなんて、容易に考え及ぶことではありません。

そこから少し西寄りに行けば、立石仲見世のアーケードが口を開けて待っている。sakaedushi03中を覗くともう、「宇ち多゛」はシャッターを閉じている。
奥の人垣はどうやら、もう一軒のもつ焼屋「ミツワ」の行列である模様。

そんなアーケードの入口右手にあるのが、ご存知立喰い寿司の「栄寿司」の枯れた暖簾です。sakaedushi02遠い昔、健康診断からの足で覗いたのと同じように、暖簾をちょいと払って覗き込む。
するとお姐さんが顔を出してくれて、しばし待つよう促されました。

ちょっと待って、カウンター前に立つひとになる。
ここには、日本酒や焼酎の用意がなくて、あるのは麦酒のみ。
きっと、酒やら焼酎を置くと長っ尻(座ってないけど、笑)になって回転が悪くなるし、面倒くさい客も増えて芳しくないと踏んでのことなのかもしれないなと邪推する。

然らばと恵比寿をいただいて、まず迎えたのは、「いわし」に「さば」。sakaedushi04さっと皮を剥いだ銀色っていつみてもいいなぁとひとりごちます。

「生かき」をお願いすると同時に、どうやら舎利が新しくなったらしい。
そう告げられて目の前にしたのは、軍艦ではない生牡蠣のにぎり。sakaedushi05牡蠣が含んだ海水が舎利に滲みて、持ち上げようとするもハラハラと崩れてしまう。
舎利も落ち着いた頃合いってのがありそうで、こうして通し営業しているとこんなこともあるものですね。

「あんきも」も大胆にタネが載る気風の良さ。sakaedushi06うんうん、癖なき澄んだコク味が舎利と一緒に綻ぶ感じ。
改めて考えると「あんきも」には、帯海苔がされています。

「小肌」もまた一本筋の通ったヤツ。sakaedushi07このくらいの小ささが好みのサイズでありますね。

こちらは、軍艦捲いた「白海老」の。sakaedushi08白海老の甘さがムムムと広がるオツなヤツ。
お代わりしようかな(笑)。

煮物ラインナップから「煮帆立」を選んでみる。sakaedushi09さらっとした煮詰めが帆立のヒモにも絡んで旨くて、そして軽やかだ。

ここらでさっと切り上げようと、「白子」に手を伸ばす。sakaedushi10おろし生姜にちょろっと醤油を垂らして口に含めば、白子のクリーミーが軽快に味蕾の上を流れ消えてゆきます。

立石仲見世のアーケードで夙に知られた立ち喰い寿司「栄寿司」。sakaedushi11束の間の滞在時間は、およそ20分弱。
すっと寄ってさっと立ち去る屋台ノリは江戸の粋。
近所に暮らしていたならば、にぎりのラインナップを心得て、自らお決まりメニューを定めてしまいそうです(笑)。
「二毛作」にもまたお邪魔しなくっちゃ。

「栄寿司」
葛飾区立石1-18-5 [Map] 03-3692-7918

column/03524

立喰ずし「津々井」で秋刀魚小肌生牡蠣芽葱山牛蒡気風と紫煙

tsutsuiJR五反田駅の東口。
渋谷や池袋駅のコンコースに登場したのと前後して、
忽然と出来たユニクロの小粒店舗が、
往来をやや妨げるように建っている。
JR構内へのユニクロ出店計画は、
どんなことになってるのかいなと思ったりもする。
ただ、池上線と連絡するエスカレーターや、
エレベーターを設置する工事も済んでから、
工事資材や架台が減りすっきりとした感じもする。

そんな五反田東口駅前の喧騒の中。
如何にも仮設な「築地銀だこ ハイボール酒場」の狭いテラスで、
たこ焼きにハイボールでちょろっと寄り道ってもの悪くない。

そこからレミィ五反田へと渡る歩道橋の下へと回り込むと、
「五反田名物立喰ずし」と謳う看板が姿を現す。tsutsui01誰が”名物”と評したのかは扨置くとしても、
どうも印象があまりよろしくないここの暖簾をふたたび払ってみましょうか。

扉を引いて入ると、どんよりと語尾の不確かな「いらっしゃ…」。
早速出鼻を挫かれて、居場所をどこにしようかきょろきょろとしてしまう。
入ってすぐも落ち着かないので、鋭角に曲がるカウンターの右手を廻って、
右奥最深部へと進みます。

カウンターの隅に小さな手洗いがあるものの、
そこへ手を伸ばす気になれず、不織布おしぼりで手を拭います。

お飲み物はと訊かれて思わず「ウーロンハイ」と云うと、ありません。
じゃ、チューハイはと問うと、それもないと云う。
つまりは、焼酎を置いていなくて、酒類は、麦酒か日本酒のみ。
それではと、日本酒を冷(ひや)でお願いしました。
すると、そのお酒はしっかり冷えている。
お品書きを眺めると、日本酒一合(岩手「あさ開」、熱燗、常温、ひや)と書いてある。
いつから、ひやが常温でなくて、冷たくしたお酒のことになったのかなぁ。
ま、冷たいので特別困る訳ではないですけどね(笑)。

まずはちょいと抓んでと、「3点盛り」を。tsutsui03鰤の系統に鮪、細魚がやってきて、ひと心地。
ふたたび、お酒の徳利を傾けます。

徳利が空いたところでにぎりへと移りましょう。
おすすめ黒板メニューから、旬も終盤のさんまに小肌。tsutsui04秋刀魚の蕩ける脂はやっぱり美味しいね。
小肌は、わざわざ”自家製”と謳っているけど、
そうするとそう謳っていない酢〆のタネは、自家製ではないのかなぁなんて、
またツッコミたくなってしまう(笑)。

ふたたび黒板メニューから、生カキに活〆しまアジ。tsutsui05さすがに殻を開けての牡蠣ではないと思うけど、
その割には汁で舎利が濡れてぽろぽろとご飯が零れ落ちる。
思えば牡蠣ってこの点がにぎるのにちょっと工夫がいるところかもしれません。

今度は通常メニューから、浅〆サバにツメの穴子。tsutsui06鯖に入れた包丁は、随分と不揃いな包丁だけれど、
それはそれでお手製な感じがして悪くはない。
どうにもいただけないと思ってしまうのは、
大将と思しきオヤジさんの受け応えの愛想と気風のなさ。
どんよりして、活きのいい魚介を扱っている風情なく、
なんかお疲れなのかなぁ、気に病むことでもあったのかなぁと心配になる。

定番メニューの芽ねぎに黒板メニューのあおやぎ。tsutsui07実は芽葱のにぎりは大好物。
青柳に手を伸ばしたところへお隣さんの煙草の煙がすーと漂う。
うーむ、そうでした、此方は全面喫煙可の寿司店なのでした。

お茶をいただいて、最後に巻物をと「山ごぼう巻き」。tsutsui08頬張りながら、そう云えば山ゴボウってそもそもなんだっけと、
その場で検索してみると、アザミ類の根っこの山菜なんですね。

お会計を済ませてふたたび暖簾を払うと、頭上でゴゴゴと電車の動く音。tsutsui10見上げたところを萌黄色(黄緑6号というらしい)のラインが走ってゆきました。

五反田駅のガード脇、歩道橋下の暗がりに立喰い寿しの「津々井」がある。tsutsui09「津々井」の名はおそらく、筒井さんの姓から転じたもの。
京料理のお店など、苗字に別の漢字を当て嵌めて、
粋な感じにする手法はよくみられるところ。
あ、新川の洋食「津々井」も同じように筒井さんなのかな。

口 関連記事:
  にっぽんの洋食「新川 津々井」で 小振り細身なカキフライランチ(10年10月)

「津々井」
品川区東五反田1-26-2 [Map] 03-3440-1743

column/03499