「あっぱれ郷土食」カテゴリーアーカイブ

鳥料理「鳥源」で新宿の思い出と水炊き雑炊コースビルの谷間の創業60余年の佇まい

torigen学生時代、新宿コマ劇場前といえば噴水のある広場でした。
学生やサラリーマン風情が、酔っ払った勢いで突入して奇声を上げている光景を何度も目撃したものです。
中村雅俊主演の青春群像ドラマ「俺たちの旅」のオープニングで、若き中村雅俊演じるカースケや田中健演じるオメダたちが噴水を横切るシーンがあったのは、同じ歌舞伎町の噴水なのでありました。
このシーンをよく憶えている方は、それなりのお歳だということになりますね(笑)。

そんな噴水の背景にいつもあったコマ劇場も、2008年(平成20年)の年末をもって閉場してしまった。
つい先日、物凄く久し振りにコマ劇場があった場所の前を通るとまだ開場前ではあるものの、すっかり建て替わって、シネコンTOHOシネマズのサインも目に留まる。
周囲の上空を見上げる視線に吊られるようにして建物の上方に視線を動かすとなんと!大きな爪のようなものが見える。
ゴジラがそんなところにいる、なんてね(笑)。

そして、待ち合わせは紀伊國屋書店の一階正面。
新宿での待ち合わせといえば、ミドマド(JRのみどりの窓口)か、ココだったものなぁ。
地階のカレーショップ「モンスナック」はまだまだ健在かなぁ。

独逸からの客人とご無沙汰ぁ!と手を振って、都合4名で集ったのは紀伊國屋の横っちょ、今はなき「NEW TOPS」とアドホックビルの間へと抜けていく道。
そこには、何度も何度もその前を通っているのに今まで一度もお邪魔したことのなかった店がありました。torigen01建物と建物の間でちょっと拉げたようにも見える古びた家屋が鳥料理「鳥源」の佇まいです。

予約の名を告げると、お二階へと招かれて狭い階段を上がる。
引き戸の奥は、何やら自然石の置物をずらりと収めた棚の控えるお座敷。
店主のご趣味なのありましょか。
おまかせ「水たき雑炊コース」をお願いしました。

ジョッキの麦酒をいただいているところにまず届いたのが、とりわさ。torigen02お通し的小鉢が、これから鳥料理が始まるヨと知らせてくれるようです。

続く突き出しの鶏皮ポン酢が、地味ながらもなかなか旨い。torigen03ちょっと炒ったような感じが芳ばしく、お酒を誘います。

「つくね」には、表面張力漲る黄身が添えられて。torigen04細か過ぎず粗過ぎずに挽いた鶏の歯触りが、すっきりしたタレと炭火で炙った芳ばしさでいい感じに纏まっている。
つくねをたまごの黄身のソースで喰ってやろうと最初に思い付いたには一体誰なんでしょうね(笑)。

12種類ほどある中から届いた串焼きは、わかどりに相鴨。torigen05合鴨じゃなくて、相鴨と書くのがちょびっといい。
鴨らしい香りが嫌味なく愉しめます。

そしていよいよ、鍋も登場。torigen06鍋の中は、当然のように白濁したスープがなみなみと。
ぶつ切りした鶏の身が顔を出しています。

二階担当のお姐さんの指示のまま、具材を鍋に投入して煮えるのを待つ。
いただいた独逸からのお土産は、シュナップスと可愛らしいスキットルのコンビ、そして小さなボトルが16本も並んだチョコレートリキュール。
ありがとう、でもどんだけ呑兵衛だとおもわれているのでしょう(笑)。

くつくつと煮えたところで、いざいざ。torigen07まずは、表層の白菜、エノキ辺りからいただきましょう。
もしかしたら、ずっとずっと昔博多でいただいた以来の水炊きかもしれません。
京都西陣の「鳥岩楼」でいただいたのは「親子丼」だったしね。

鶏のスープで炊いた野菜やらキノコやらをハフハフいただいてから辿り着いたのが、骨付きの身ややゴロッとしたブロックのような鶏の塊。torigen08まぁ、鶏の身そのものよりもこの白濁のスープにこそ本懐があるのかもしれません。

そうとなれば、雑炊は欠かせない。torigen09どちらも野菜の甘さも取り込んだ美味しい鍋になるけれど、博多の水炊きは一般的な水炊きに比べて鶏エキスのコクでひと味違うよね。

新宿紀伊國屋近くに創業60余年を数えるという鳥料理と博多水炊きの店「鳥源」がある。torigen10とんとご無沙汰の中洲辺りでもう一度、水炊きの鍋に正対したいものだなぁとそう思います。

「鳥源」
新宿区新宿3-17-11 [Map] 03-3354-7868

column/03556

八幡浜ちゃんぽん「莢」で八幡浜ちゃんぽん長崎でないちゃんぽんは純和風

saya遠くはないのになかなか用事のないのが、例えば新宿御苑辺りとか。
新宿三丁目までは行っても、そこから更に四谷方向へ赴くことはなかなかない。
なんだかコワ~い新宿二丁目というエリアが障壁のように横たわっていることがその理由であることも否定できない。
でも新宿御苑そのものをゆっくり歩いた経験が未だにないことに気がついたりする。
毎年、桜の時季になるとそう思うものの、果たせていない宿題のひとつなのです。

過日、野暮用があって新宿通り沿いの新宿一丁目辺りにいることがありました。
このまま二丁目探検に挑もうかと一瞬思うも踵を返して(笑)、四谷方面へと向かいます。
四谷四丁目の信号を渡ったところで目に留まったのが、植栽の向こうにある「ちゃんぽん」の文字でありました。

あ、”八幡浜ちゃんぽん”のお店は此処にあったのか!と早速のご入場。saya01白基調でシックなインテリアは、郷土料理的麺類のお店とは思えぬ雰囲気です。

一杯だけとウーロンハイを所望して、ちょいとしたツマミに「じゃこ天」をいただく。saya02八幡浜名物と謳う所謂さつま揚げは、ご存知の通り魚のすり身を揚げた”てんぷら”。
石垣島の”かまぼこ”とは違って、その断面は如何にも鰯の小魚を擂りおろしたような色合い。
魚の滋味をそのまま香ばしくいただける感じが嬉しいところ。
ハランボとかいう地魚を使うことが多いようです。

お願いしていたのは「八幡山 海鮮ちゃんぽん」。saya03それは、スタイリッシュなフォルムのドンブリによそられてカウンターに置かれました。

蓮華で啜るスープは、軽やかにして出汁の風味が素直に味わえるもの。saya04いりこ出汁の軸を下支えするように鶏のコクが添えられている様子。
濃さで迫ることなく、ひたひたと表情を現す感じが好ましい。

麺はと云えば、押し出し方式で作ったかのよな丸い断面のツルツル仕様。saya05どっちかと云えば、スープとの馴染みよりも口元のツルツルとシコシコ食感に比重を置いた感じ。
でもでも、たっぷりトッピングしていくれている野菜や魚介と一緒に併せ食べれば、うんうん頷く食べ口になるのであります。

荒木町のキッチン「たか」で「牡蠣のバターソテー」を狙って赴いたものの、どうやら最近では夕方頃までに売り切れ仕舞いになることが多いらしく、すっかりフラレた足をふたたび四谷四丁目にへと向けました。

この夜お願いしたのは「ちゃんぽん」ならぬ「八幡浜 焼ちゃんぽん」。saya06オーダーが通るとすぐに具材が用意された様子で、北京鍋の煽り所作が始まります。

焼きちゃんぽんなので、当然のように麺を浸らすスープはない。saya07でも、立ち昇る湯気の中には、過日嗅いだと同じスープの匂いが含まれています。

ドンブリに盛り付けた所為もあるけれど、麺も具も十分なたっぷり感。saya08焼いたちゃんぽんは、つまりは皿うろんやないんかと長崎の郷土料理を一瞬思い浮かべるけれど、思えば福建料理がベースといわれる博多ちゃんぽんは豚骨も使った白濁スープ。
八幡浜ちゃんぽんは、いりこなどの煮干し出汁主体の実に和風な麺料理なのだ。

それぞれの系譜は詳しくは判らないけど、所違えば品変わるのもまた愉しくも面白いことでありますね。saya09久々に博多の屋台の「焼きラーメン」が食べたくなりました(笑)。

四谷四丁目の交叉点の「莢」は、初めて出会った八幡浜ちゃんぽんの店。saya10八幡浜(やわたはま)ってどこかといえば、四国は愛媛県の佐田岬半島の付け根辺り。
豊後水道の近くゆえ、八幡浜港には地魚もいろいろ揚がるに違いない。
愛媛には、松山しか訪れたことがないので、四万十川から宇和島、八幡浜と巡る旅なんかいいかもなぁなんて思います。

「莢」新宿四谷本店
新宿区四谷4-9 グゥビル 1F [Map] 03-6380-4938

column/03549

長崎料理「銀座吉宗」で茶碗蒸し蒸しずしの夫婦蒸しに練り芥子で皿うどん

yosso長崎料理というとやっぱり、卓袱料理。
そう云いたい気もちょっぴりするものの、本格的な卓袱料理の卓についた経験が未だない。
初めて長崎を訪れた時には、おひるに長崎中華街のお店でちゃんぽんをいただいた憶えがあるっきり。
勿論、いきなり料亭を訪れるなんてことは全くもって考えもしなかったし。
ふたたびご当地に赴いて、ちゃんぽんや皿うどんをいただきたいなぁと思いつつ、そのまま今に至ります。

ちゃんぽん・皿うどんで思いつくのは、最近お邪魔した室町の「二代目 長崎楼」とか、八丁堀は桜橋近くの「長崎菜館」。
三軒茶屋は茶沢通りの「來來來」なんかも懐かしく思い出します。

そんな、ちゃんぽん・皿うどんを供する店が銀座の真ん中近くにもあると聞いて足を向けました。
松坂屋が解体されてすっかりぽっかり空が広くなった中央通り沿いにラオックスの免税店があるなんて知らなくて吃驚しつつ辿り着いたのが、長崎センターなるビルの前。yosso01以前は、長崎県関係の行政機関、マスコミ、飲食店が集まっていたものの、今はそんな長崎色は随分と薄れてしまっているようです。

そんな、長崎センタービルにあって今も鋭意健闘中なのが長崎料理「銀座吉宗」。yosso02地階への螺旋階段を降りると、漆喰を模した壁が設えてあり、料理屋の風情をなんとか醸そうとしている様子。
茜色の暖簾を払って、引き戸の中へと侵攻しましょう。

壁沿いの小さなテーブルに案内されて、運んでくれた湯呑み茶碗を受け取って。yosso03真ん中の島は、桟敷席のような仕切りがあってちょと面白い。
湯呑み茶碗には、長崎ちっくに唐船のイラストが焼き込まれています。

ご注文は、当店名代の一品と謳う「夫婦蒸し」。
いきなりドンブリをふたつ並べると何やら、ちょー腹ペコか、そもそも大喰らいであるかの気分も過る(笑)。yosso04ドンブリの蓋には、湯呑みと同じ唐船の図柄が刻まれています。

両の蓋をパカリと返すと、急にテーブルの上が華やかになる。yosso05一方が茶碗蒸しで、もう一方が蒸しずしのドンブリ。
このふたつのドンブリのセットは、「吉宗」初代が考案したものであるらしい。

鮮やかに映る蒸しずしは、三色の彩り。yosso06錦糸玉子の黄色に海老おぼろの桜色。
褐色エリアは、刻んだ焼き穴子が占めています。
玉子もおぼろも仄かで自然な甘さであるところが好ましい。
軽い酢飯であるところも好感です。

たっぷりとした量感の茶碗蒸しには、桃色と若草色でのの字を巻いた蒲鉾が浮かぶ。yosso07銀杏や椎茸、かしわ、小海老など9種類の具を辿りつつ、しっかりとした出汁と細かな玉子の肌理を味わいます。
溢れる出汁に茶碗蒸しが、蒸しずしをいただく際のお椀代わりにもなっていたりする。
内裏と雛が並んでいるような、似合いの夫婦のような蒸し料理であるところから「夫婦蒸し」と名付けているようです。

裏を返したお昼には、真ん中の桟敷にレインブーツを脱いで上がり込む。yosso08ふと眺めた壁の額には、長崎絵。
壁側のテーブルでは、いい感じにお銚子を開けているスーツ姿の御仁。
もうお仕事済んだのでしょうか(笑)。

ご注文は「長崎皿うどん」。
揚げ麺ではなく、柔い方の麺でお願いします。yosso09炒めたやや太の麺の上に載るのは、ラードで炒め和えたあん。
例えば「二代目 長崎楼」のそれと比べると、ぬめぬめとテカったあんだ。

卓上に練り芥子の用意がないので、近くのお兄さんに声を掛けて、小皿に貰う。yosso10普通に美味しいけれど、どっちが好みかと訊かれたら「長崎楼」の皿うどんが好みであることに気づいたと応じることになる感じ。

卓上にあるのは、皿うどん用のソース。yosso11皿うどんは練り芥子や少々のお酢でいただくって習慣は「長崎楼」で培ったものだけど、長崎のご当地では定番ではないのでしょうか。

中央通りの長崎センタービルに長崎料理「銀座吉宗(よっそう)」がある。yosso12長崎市筑後町にある「吉宗総本店」の創業者は、伊予松山藩士だった吉田宗吉信武で、長崎で「茶碗蒸し」に出会い虜となり、慶応2年(1866年)に商いを興したことがはじまりだという。
「吉宗」の東京支店として開店し独立したのが今の「銀座吉宗」で、ご当地「吉宗」には「皿うどん」や「ちゃんぽん」は品書きにないようです。

「銀座吉宗」銀座店
中央区銀座8-9-16 長崎センタービルB1F [Map] 03-3572-7686
http://www.ginza-yossou.jp/

column/03537

ちゃんぽん皿うどん「二代目 長崎楼」で戻った路地のちゃん竹皿竹とあの頃

nagasakiro今からもう20年以上も前のこと。
日本橋の室町のまさに路地と呼ぶべき場所に「長崎楼」というちゃんぽんと皿うどんの店がありました。
ガラガラっと開く古びた木戸を入って狭い階段を降りると、正面の小さな受付のようなところにおばあちゃんがいて、そこで注文をしてお代を払う。
引き換えに確か、木札か樹脂の楕円の札を受け取って、左手に降りた厨房のカウンターに並んで順番を待つ。
札とお皿や丼とを引き換えて自ら、空いている席に運んで座り込む。
奥に大きな鍋が湯気を上げていて、相撲経験者かと見受ける大柄な兄ちゃんがゆっくりと鍋の中を掻き回している光景を覚えています。

その後随分経ってから、何度となく通っていた店の建物が老朽化のため取り壊すこととなり、閉店してしまう。
ああ、もうあのちゃんぽんや皿うどんは食べられないのかと落胆した暫くした或る日、近くの古河ビルの地階へと移転していると知り早速出掛けたこともありました。
ただ、何が違うと説明出来ないものの、何処か往時の魅力を確かめられずに足が遠のいてしまったのでありました。

その後「二代目 長崎楼」があった古河ビルは、室町古河三井ビルディング、つまりはCOREDO2へと変貌を遂げた。
室町で映画が観れるようになったのかと、それはまさにCOREDO2のシネコンで映画を観た帰り道。
路地へと向く足の行くまま室町の裏道を辿っていた時のことでした。

路上に一匹の猫がいて、思わず立ち止まる。
愛想を振り撒くでも、逃げようとするでもなく泰然とした風情でそこにいる猫。nagasakiro01その先には、如何やら海外のひとを含めて有名らしい「金子半之助」なる天婦羅屋の行列の人垣。
その猫の前にあったのが、「二代目 長崎楼」の暖簾でありました。

おおお、もしかしたら元あった場所に戻ってきたのかしらんと思うも、うろ覚え乍ら以前の場所はもう一本「大勝軒」寄りではなかったかなぁとも思う。
何れにしても室町の路地に「長崎楼」が戻ってきたのだなぁと嬉しくなりました。

厨房の下り壁に貼った品書きには、往時と同じ、ちゃんぽん、皿うどん、炒麺(ちゃーめん)の三品が並ぶ。nagasakiro02松、竹、梅のボリューム三種も変わりません。

千円オーバーかぁとちょっと複雑な気分になりながら「皿竹ください」とオバちゃんに声を掛けます。
地下にあった頃と違って、テーブル2卓にカウンターだけの店ですから、厨房のオッチャンにもその声は通ります。
ちょっとあれ?っと思ったのは、オバちゃんに前金でと云われたこと。
そう云えば、移転したところでもそうだったかもしれないし、往時の受付オバちゃんへの先払いシステムを受け継いでいるのでしょう。
でも、喰い逃げするつもりはないですよっと(笑)。

湯気を上げてる「皿うどん(竹)」をオッチャンから受け取って。nagasakiro03量感は往時とほぼ同じかやや少ないか。
練り芥子を容器から多めに掬って、皿の脇に擦りつけます。

大きな保温ジャーから既に炒めてあった太麺を取り出して、そこへアンを回しかけるスタイルは、往時のまま。nagasakiro04胡椒の粗い粒が浮かぶのも往時のまま。
ただ、もっと海老烏賊浅蜊辺りの具材がたっぷりとしていたような気もします。

所々芳ばしく焦げている麺は、湯搔き立ての麺と違って、乾いている分あんとよりよく馴染む。nagasakiro05そこへ練り芥子を多めに混ぜ込んでいただくのがお作法なのです。
うん、悪くない。
ただやっぱり、なんとはなしにしっくりこないのは、通っていた当時の上手い!の記憶が強すぎることと、あそこまでの大鍋でたっぷりと作る訳ではないこととが相乗しているような気がします。

別の日には、テーブル席で「ちゃん竹」を。nagasakiro06トッピングのあんに思うところは皿うどんと同じこと。
以前はもう一声旨味の濃密なスープだったような気もします。

訊ね損なったけれど、この太麺は何処で製麺しているのでしょう。nagasakiro07思えばこの太麺を湯掻いている割には、ドンブリの出来上がりが早い時もある。
どんな裏技があるのでしょう。

世代を代えて室町の路地に帰ってきた、
ちゃんぽん皿うどんの「二代目 長崎楼」。nagasakiro08往時を懐かしんで訪ねるひとも少なからずいるものと存じます。

「二代目 長崎楼」
中央区日本橋室町1-11-15 [Map] 03-3241-7010

column/03532

青森創作郷土料理「大わ山」でねぶた漬けネバトロ丼サバの天ぷらかき天丼

owayamaそれは、八重洲通りからすずらん通りを茅場町側に入ってすぐの横丁にあるお店。
一階に立ち呑みなんぞの入るカサイビルというビルの横っちょから地下への階段を下りたところ。
ずっと以前は、ちょっと不思議なオバちゃんのいる「平蔵」という居酒屋でした。
それがいつの間にかなくなってしまい、また別の店となっていたような気がします。

そして彼是一年半も前の夏の或る日のこと。
すずらん通りを歩いていると、威勢よく気力漲る様子の兄さんが、開店を知らせるチラシを手にして声を上げている。
なになにと近づいて(笑)、チラシをみるとなんと、青森料理の店のオープンだという。
おー、それはそれはと話を聞いたことを思い出します。

それから暫くして、青森と云えばと夜の一献にtakapuをお誘いして件の「あおもり八丁堀」に突撃。
お惣菜八寸のあれこれや「スルメイカのガッパリ焼き」「金本町産の馬刺し」なぞをお供に、「田酒」や「豊盃」のグラスをいただいたことがありました。

時は流れて、ある秋の日のおひる時。
それは横丁に浮かぶ赤地に行燈看板が目印で、黄色い文字で「たげめよ」、そしてそこへ札を貼るように「おんでやんせ」とあるところ。owayama01店先に黒いA看板が立っているのを認めて、ランチもやっているんだと遅まきながら気がついた。
それはそれはと早速、地階への狭い階段を辿ります。

ドリンクはそちらからと兄さんの指先が示したのは、青森と云えばの林檎ジュースと冷たいお茶のセルフコーナー。
やっぱり林檎ジュースも飲んじゃいたいと、つまりは毎度、グラスふたつを使わせてもらうことになります。owayama02カウンターの隅に座ると目の前には、「田酒」の酒瓶に並んで青森創作郷土料理「大わ山」とラベルを貼った酒瓶が置かれていました。

まずお願いしたのが、「ねぶた漬けのネバトロ丼定食」。owayama03松前漬けに和布蕪、オクラ、山芋とお魚あれこれの載ったドンブリであります。

ネバネバトロトロ具合がよく判る泡立ちを眺めてから、落とし玉子を崩し広げる。owayama04松前漬けや山芋、若布の滋味栄養がまさに渾然一体となったところに鮪の赤身なぞの旨味が追い討ちをかけて来る。
なんだか一足飛びにより健康になってしまいそうな、そんな気分にさせてくれます。

別のおひる時には、「サバの天ぷら定食」。owayama05一時メニューから消えていたものを、リクエストにより復活させたものだという。
揚げたてをフーフーしながら齧りつけば、衣に包まれて旨味の凝縮した鯖の威力が真っ直ぐ味わえる。
うん、美味しい。
八戸の「サバの駅」を懐かしく思い出しながら訊ねると、さすがにブランドもの「八戸前沖鯖」ではないそうです(笑)。

またまた別のおひるには、A看板にみつけた「かき天丼定食」。owayama06鯖のちょっと青み思う旨味風味もいいけれど、牡蠣の滋味も負けてない。
噛んで芯の飛び出した長葱の甘さにもさらっとしたタレがよく似合う。
訊けば勿論、三陸の牡蠣だそうだ。

そんな風に通ううちにやっと気付いたことがある(笑)。
それは、「あおもり八丁堀」だった店名が「大わ山」となっていること。
兄さんに訊くと、「はい、でもそのままやらせていただいてますのでご贔屓に!」と仰る。

どうやら、以前の「あおもり八丁堀」は店を閉めた形になっていて、開店当初からの大将が独立するような形でほぼ同じ店構えで営業しているというようなことらしい。
「あおもり八丁堀」は、八戸出身にしてグローバルダイニング出身の方が営む「あおもり湯島」の2号店でスタートしたのだけれど、その後色々あったのかもしれないね。

カウンターの上には、「本日の鮮魚」と題する黒板があって、例えば「殻つき生ガキ」「アブラメ刺し」「真ソイ刺し」に「海峡サーモン」、そして「八戸前沖〆サバ」といった標題が上がってる。owayama07テーブル席側の壁には、八戸名物!と謳う「イカの丸煮付」「俺のイカメンチ」や「三戸産南部太ネギのつけ焼き」「十和田牛バラ焼き」、「田子産にんにくの天ぷら」などなどの酒肴が並んでる。
やっぱりまた夜に訪れて、青森の旬菜あれこれで「田酒」「豊盃」など青森のお酒を嗜みたいところです。

すずらん通りの横丁に青森創作料理の店「大わ山」がある。owayama08「大わ山」という山が八戸の郊外にでもあるのかと思ったら然にあらず。
開店時からの大将のお名前が「大和山」なのです。
店内に貼られた唎酒師の認定証を横目にしてそれが分かりました。
また機会をみて、夜にもお邪魔します。
「八戸せんべい汁」つきのランチも復活しないかな。

「大わ山」
中央区八丁堀1-8-6 カサイビル B1F [Map] 050-3321-7510

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