「粉もんジャンク路面店の発露」カテゴリーアーカイブ

肉そば肉うどんのお店「南天」本店で肉うどん椎名町駅北口の味お巡りさん御用達

西武池袋線の椎名町駅は、池袋からすぐ、ひと駅目の小さな駅。
相対式2面2線のホームの上に橋上駅舎の載る、各駅停車の駅によくある構造の駅だ。
昔の駅舎の様子は覚えていないけれど、母の実家の米屋へと椎名町駅や東長崎駅から向かったことは記憶の断片にある。
母方の菩提寺が駅北口の目の前にある金剛院なので、椎名町に所用があるとすれば、ほとんどが法事であったりもする。

そんな椎名町駅にふと思いついて降り立つことがある。
その目的地は、橋上の駅舎の硝子越しに見下ろせる駅前にある。駅前のベンチには、ちょうどよい具合にベンチがあり、
どんぶり片手にゆっくり座って、
うどんやそばを啜るひと達の様子がよく見られます。

思い起こせば三年ほど前。
北口駅前に寄り道して初めてお願いしたのは、
やっぱり「肉うどん」でありました。粗く刻んだ長葱がいい。
そして案外、煮付けた豚肉のボリュームも悪くないのであります。
真っ先に「肉うどん」を註文してしまうのは、
武蔵野うどん土着の気質がゆえでありますね(笑)。

出汁とやや甘めにしたかえしのバランスやよし。
かえしが濃すぎないのに好感しつつ、
豚肉から滲んできたであろう脂とでいい具合の混然となる。うどんはと云えば、その断面やおよそ丸く、
京橋「恵み屋」的押し出し湯殿直落方式ではないかと想像が膨らむ。
つるるんとして、歯触りも心地よいぞ。

何処かからの帰り掛け、もう暗くなってから寄ることもある。駅前を行き交うひと達の様子をなんとなく眺めながら、
啜るのはやっぱり「肉うどん」であります(笑)。

似たような夜にお邪魔しても「天ぷらそば」な気分の時もある。蕎麦の食べ応えも立ち喰いとしてはなかなかのものなのだけれど、
ココではやっぱりうどんの方が好みであります。

常設メニューは、「肉」から「カレー」まで9種類でありましょうか。自前での製麺を示すかのように、
「南天」の店名の入った麺箱が積まれているのが確認できます。

「肉うどん」は、トッピングの肉をダブルにすることが出来る。うどんより豚肉の方が多いんじゃない?ってな感じになりつつも(笑)、
大満足で完食してしまうのでありますね。

駅北口のエレベーターを降りて左手すぐに交番がある。
いつぞやには、交番勤務のお巡りさんが、
自前の器を持って行って、そこへうどんをよそってもらい、
いそいそと交番へと戻っていく様子を目撃したことがある(笑)。
きっと日常的なことなのでしょうね。食べているベンチのすぐ近くに、
白チャリが停めてあったりするのも当然のこと。
「カレーうどん」に肉トッピングをお願いして、
「肉カレーうどん」にするなんて選択肢もまた、ありですね。

夏場の皆さんにおかれましては、
「肉うどんタブル冷やし」なーんて選択肢もまた、ある。なるほど、豚肉が硬くなっちゃうのはご愛敬。
冷たい麺にしても、独特の食感はその威力を勿論発揮するので、
ご心配なきようにお願いします。

椎名町駅北口の眼前に肉うどん肉そばの「南天」本店はある。“南天”と云えば、あの赤い実の植物を思い起こす。
音が「難転」即ち「難を転ずる」に通ずることから、
縁起の良い木とされているようだけれど、
果たして「南天」命名の理由はそんなことなのか、
今度寄った時にでも訊いてみよう。
ついでに、支店は何処にあるですか、ってところもね。

「南天」本店
豊島区長崎1-2-2 アクティスビル1F[Map]03-5966-3600

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餃子専門店「中央亭」で大中小焼いて茹でる餃子の旨さに裏を返す

何故だか離れ小島のように西武百貨店がある処としての印象と西伊豆を訪れる際の玄関口にして漁港の佇まいもまた印象に残っていた沼津の町。
車移動での中継点であることが多いこともあって、物凄く久し振りに降り立った沼津駅の南口。
2013年(平成25年)01月に撤退した西武百貨店の跡地は今、よしもと劇場等をテナントに擁した「沼津ラクーン」と呼ぶ施設になっていました。

そんな沼津を訪れていることを知った、
友人が教えてくれたキーワードは、
宇都宮でないのは勿論のこと、
浜松でもない”沼津餃子”。
正直なところ、へっ!?ってな気持ちをも抱えたまま、
南口正面に伸びる停車場線を南下します。

大手町交叉点にある紅い看板の銀行の裏手。
店があると思しき裏通りへと折れ入って、吃驚。既に大勢のひと達が今か今かと、
開店を待っているではありませんか!

店前のテント地庇の下に、
営業中と示した小さな幟が吊るされる。待ちかねた様子の皆さんの頭越しに認めた幟には、
餃子を模したであろう、
小さく描かれたイラストが歓迎の意を表してくれています。

「中央亭」のメニューは餃子専門店たる潔さ。
それぞれ6個8個10個からなる「小」「中」「大」の餃子に、
大盛りか普通かの「ライス」。
店内に貼られた品書きにはもはや、
「餃子」とはどこにも書いていない!
そして、ドリンク類の中にビールがあることにニヤリとします(笑)。

いきなり大というのもなんなのでと、
お願いしていた「中」のお皿が届きました。両サイドが三角に突き出てはいるものの、
フォルム全体の印象はぷっくり丸々。
厚手に思わせる皮にパリッとしたテクスチャはまったくありません。

促されるまま、まずはそのまま大口開けて齧ってみる。
ムニッとした包みの中からじゅわっと解け出るあん。
ありゃ!!
うまひ!!
芳ばしい餃子の美味しさとは対極にある、
でも、水餃子のニュルうまとは明らかにノリが違う。
成る程こりゃぁ行列するわなぁと膝を打つ。

正に裏を返して翌日また行列のひととなる(笑)。
卓上には、醤油注しに七味唐辛子の缶、
そして自家製からし油とテプラの貼られた油注し。
自家製ラー油には激辛注意のものが少なくないので、
加減しながら使うとこれが、あんまり辛くない。
油っぽくなり過ぎてもなんなのでと思えば、
七味に手を伸ばす手もありかと思ったり。

そして、昨日の今日でやっぱり美味しい。
ひと口でいけるサイズにしたらもっと旨いのではと思ったり、
いやいやこの量感だからいいのだと思ったり。「大」をぺろっと平らげお会計。
昨日もいらしてたわよね?とお姐さんに云われ(笑)、
ハイと頭を掻きつつ厨房を覗くと、
既に焼いたらしき餃子を並べたフライパンに、
たっぷりの湯が注がれている。
そう、ここ「中央亭」の餃子は、
焼いてから茹でるという方法で供される餃子なのだ。

それからおよそ二週間後。
またまた「中央亭」の行列に並んでいました。今度は、ライスの代わりにビールを所望しての「大」。
餃子の脇のお皿を覗けば成る程、
焼いた後に茹でたであろう、
油と湯が渾然となったような汁がみられます。

けれど決して油っこい印象はなく、
ムニンとしてちょっと官能的な皮と、
なにやらやたらと旨味充満のあんとの取り合わせは、
素朴にして唯一無二のもののようにも思えてしまいます。勿論ビールとの相性も悪くないけれど、
勿論ライスとのタッグも悪くないけれど、
ここ「中央亭」の餃子は、
ただただそれだけを貪り喰らうのがいい!
そんな気がいたします。

入口扉の脇の壁には、こんな内容の貼り紙がある。
当店には、支店、姉妹店、のれん分け等の店はございません。
類似店にご注意くださいませ。それが、沼津駅北口にある、その名も、
「北口亭」を指すのは暗黙の周知のことのよう。
はてさて何があったのかなと勘繰りたくなってきますね。

沼津餃子の店といえばそれは、
大手町にある餃子専門店「中央亭」のこと。テレビの下に貼られた貼り紙には、
3月にして、年末のお持ち帰りの予約が既に終了したとある。
「中央亭」の餃子を年末の恒例にしているひと達がどれだけいるのか、
地元に根付いた人気のほどが圧倒的な温度で伝わってきます。

「中央亭」
沼津市大手町4-4-7 [Map] 055-962-4420

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洋食スタンド「むさしや」で定番ナポにオムライスハンバーグ丼にカレースパもいい

musashiya既に取り壊しが始まってしまった武蔵小山を筆頭に、駅前の再開発が話題に上る場所が幾つもある。
国分寺駅の北口はきっともう随分と様変わりしちゃったのだろうなと思ったり。
横にも縦にも大規模な再開発が動き出している渋谷駅の北側にあるのんべい横丁から宮下公園の区画にも魔の手が伸びるのもそう遠くないのではと思ったり。
嘗てその1/3が消失するという火災に遭った、新宿西口の俗称ションベン横丁に対しても、地図を塗り替えてやろうと画策している輩がいるに違いないと思ったり。

ハモニカ横丁と呼ばれて人気の、
吉祥寺北口駅前の商店街も元はと云えば戦後の闇市が起源。
闇市の後の横丁路地の粋でオツな風情が今や、
失いたくない稀少なものになりつつあるのです。

新橋駅西口駅前にデンと構えるニュー新橋ビルも、
戦後の闇市をルーツとする区画に建つビル。
此処は既に、疎ましく思う再開発を半世紀近くも前に断行して、
昭和の匂い芬々の雑居ビルとして親しまれてきています。

そんなニュー新橋ビルの一階商店会、
南西の角寄りにあるのが、皆さんご存知「むさしや」。musashiya01嘗ての白い暖簾から今は、
シャビーな縄暖簾で匿ったカウンターの上には、
当地の旧住所が示してある。
東京市芝區烏森四。
現在の23区部に相当する地域であった東京市は、
1878年(明治21年)の当初設けられた東京15区から、
1932年(昭和4年)の東京35区、現在の東京23区と、
市を構成する区が変遷している。
その中に、芝区とか神田区とか、日本橋区、京橋区なんかがあったンだ。
大田区の前身が実は大森区と蒲田区であることは、
知られているようで知らないひとも結構いたりするよね(笑)。

久し振りに「むさしや」の「ナポリタン」。musashiya02musashiya03もうひと超え炒め切ってくれたらいいのにな、
っていうのが正直な感想になる。
ナポリタンって、一定の地点までは、
鍋を返した回数が美味しさに比例するのではと秘かに思ってる。
そこでどうしても思い浮かべ比べてしまうのが、
同じビルの二階にある喫茶店「POWA」のナポリタン。
いやいや「POWA」のナポが美味し過ぎるからイケナイのです(汗)。

ガッツリめに喰らう感じでいきたいなと考えながら、
空席待ちの列に並んだなら、
自家製煮込みの「ハンバーグ丼」がいい。musashiya04musashiya05濃密なデミソースに包まれたコロンとしたハンバーグ。
たっぷりのソースがなにより嬉しい。
スプーンの脇でハンバーグを切り崩しては、
デミソースと一緒にライスを掬う。
刻みハンバーグ付きのデミソースライス、
ってな食べ方をどうかお赦しください(汗)。

「むさしや」のカウンターは、ひとりでも多く座れるように、
厨房側への入口にも板を渡してくれている。musashiya06図らずも覗く格好になる厨房は、
当然のように狭くて年季が入っていて、
雑前とはしているけれど、
小忠実に掃除している様子が窺えます。

「むさしや」自ら謳う代表メニューのひとつが「オムライス」。musashiya07musashiya08フライパンを操ってくれている御仁は、
これまで通算して幾度、玉子で包む所作を繰り返しているのでしょう。
半熟の表情を湛えながら薄く均一にケチャップライスを包んだ玉子に、
手練の為せる技を思います。

シンプルに「カレー」でもいただこうと思い描きながら、
空席待ちの列に並んだおひる時。musashiya09気が付けば何故か、
カレーはカレーでも「カレースパゲティ」を註文していました。
カレー粉によるものが故か、
太麺の炒め具合必要十分で、なかなかいい。
ふと「ジャポネ」の「インディアン」もこんな炒麺だったら、
もっといいのになと思ったりして(笑)。

闇市の気配を残すニュー新橋ビルのメインコーナーに、
明治創業と謳う洋食スタンド「むさしや」がある。musashiya10中央の幕板に示した創業年は、明治拾八年。
ニュー新橋ビルの竣工が1971年(昭和46年)のことなので、
ビルが建つずっとずっと前に創業していたお店ということになる。
時代はぐるっと巡って、二度目の再開発が発表されたニュー新橋ビル。
南側の桜田公園あたりまでに陣地を広げての二棟立てらしいけど、
その一角にも「むさしや」の名があることを秘かに願っています。

「むさしや」
港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル1F [Map] 03-3501-3603

column/03683

長浜屋台「長浜とん吉一休」でご無沙汰の屋台街の静けさに焼酎お湯割り〆のラーメン

tonkichiずっとずっと昔の博多の思い出の一番は、タクシーで乗り付けた長浜の屋台街。
クルマを降りたところからその先に広がる屋台の連なりにまず驚いて。
おずおずと通りの両側に続く屋台の行燈看板を右へ左へとキョロキョロしながら歩き進んで、一番奥から今度は来た道をまたまたキョロキョロしながら引き返す。
結局どの屋台に入ったらよいのかまったく判らず、目に留まったお店にエイヤと飛び込んだ。
つまんで呑んでつまんで呑んでラーメン食べて、なにをどう計算したのか判らない少な過ぎるお愛想の金額にも吃驚したっけ(笑)。

何年振りかもう憶えていない、
長浜の屋台街へとふたたびタクシーで乗り付けた。
往時には確か、道の両側に屋台が居並んでいた筈なのだけど、
港に向かって右側には屋台がない。tonkichi01左手の屋台の数も随分と減ってしまって静かな印象です。

並びの屋台が兄弟店で、注文したツマミによっては、
別の屋台からそれが届くってなこともあったと思い出す。tonkichi02三つ並んだ「長浜とん吉」の屋台の、
真ん中の屋台に隙間を見付けて、
相棒と一緒に潜り込みました。

足許からスースー冷えるのでと、
焼酎のお湯割を所望する。tonkichi03ブロック塀の際に置かれた寸胴は勿論、
長浜ラーメンのスープでありましょう。

焼酎のお供にと一番最初に届いたのが、
「いわし明太焼き」。tonkichi04明太子を鰯のお腹に挟んで焼いたという、
ただそれだけのことなのだけど、
焼けた鰯の皮目の脂と独特の風味が、
半焼けの明太子に良く似合ってなかなかイケる。

串物類から「豚バラ」「味噌ホルモン」「つくね塩焼き」。tonkichi05恐らく冷凍してあるものを焼いたのだろうと、
そんな風にも思うけど、
こんな屋台にコップの焼酎とに良く似合います。

お代わりしたお湯割り焼酎を舐めているところへ、
自家製「餃子」のお皿が届く。tonkichi06ねっとりしたあんの餃子の、
薄手の皮の焼き目が芳ばしい。
焼き立てはなんでも嬉しいものでと、
また焼酎のコップを傾けます。

ここへ来たならやっぱり、
ラーメンをいただかない訳には参りませんと(笑)、
3つの屋台の背後を行き来するお兄さんに声を掛けます。tonkichi07以前の味はもう憶えていないけれど、
ややあっさりにも思うスープ。
やはりあんまりこってりしたり、獣が匂ったりするのは、
特に女性陣には受けが悪いのかもしれないと、
そんな修正がされてきているような気もします。

長浜屋台街の真ん中で、
三つ並んだ同じ屋号の屋台のひとつが「長浜とん吉一休」。tonkichi08どうやら、長浜の屋台9軒はこの2月に、
この場所から約150メートル離れた、
市鮮魚市場南側の市道に集団移転した模様。
福岡市が定めた屋台基本条例に基づく、
再配置の第1弾であるらしい。
屋台条例は、屋台を締め出して撲滅しようというものでもなく、
博多名物として観光資源になっている屋台の存在意義を明記した上で、
今後の存続を前提としつつ、
屋台に営業ルールを守ることを求めるもの。
地元の事情や賛否はきっと色々あるものの、
ぜひ屋台の情緒と活気を存続させて欲しいと、
たまーにしか訪れないクセして勝手なことを思うのでありました。
今度は天神辺りのあの屋台に行かなくちゃだね。

「長浜とん吉一休」
福岡市中央区港1-10 長浜屋台街 [Map] TEL非公開

column/03677

おでん・たいやき「にしみや商店」で 出汁の無垢な正しさ天然物鯛焼

nishimiya新富町の裏通り。
北風吹き抜ける寒い日も、
炎天に汗の滲む真夏の日にも。
からっとした空気が心地いい五月晴れの下でも、
颱風の余波で風雲急を告げる空の下でも。
「おでん」と染め抜いた暖簾と、
「たいやき」と記した暖簾とを庇に下げて、
今日も営む商店があります。

斜向かいの喫茶「バロン」の窓辺から見下ろす「にしみや商店」。nishimiya01角にはカーテンが閉まったままの食堂「かどや」のスタンド看板もちらっとみえます。

小昼時分には、買いに来た女性陣で行列が出来ることもある。nishimiya02その前を通る度にちょっと暖簾に近づいて、
出汁のいい匂いを嗅いだりなんかしていても、
一度テイクアウトしたことがあったっきり、
気になりつつもそのままになっていました。

それは、テイクアウトじゃなくて、
そこで食べたい!という気分が募っていた所為もある。
いつかそうしようと思いつつ刻々と時は過ぎていってしまっていたのでありました。

そんなこんなの幾星霜(笑)。
と或る初秋の日の夕暮れ時に意を決して、暖簾を払う。
「ここで食べて行きたいんですけど、おでん、いいですか」。nishimiya03一瞬「んん」っという表情をされたご主人が、
それならどうぞとスチールの丸椅子を出してくれる。

女将さんがおでん鍋の木の蓋を外すと、
湯気とともに出汁のいい匂いが立ち昇る。nishimiya04ええっと、大根に玉子に昆布、つみれに、えっと、烏賊下足がいいな。
はいよってな感じで熱々の種をお皿に盛り、汁を注ぎ足してくれる。

サッシュ枠の下にぶっつけるように据えられた、
細いカウンター前の丸椅子に腰掛けて、おでんのお皿を受け取って。
小瓶から練り芥子をお皿の脇へと擦り付けます。nishimiya05ふと振り返れば、「バロン」の窓際を望めます。

まずはやっぱり大根から。nishimiya06ああ、煮崩れずしてすっと箸の先で切れる大根とそこに滲みた出汁。
阿ることも飾ることも、勿論誤魔化すこともない実直さを思ったりする。
コンビニのおでんでは決して顕せない、無垢な正しさが宿っているような。
ただ、出汁の材料はちょっと奢っているかもしれません。

別の夕暮れときには、竹輪麩に、巾着などを盛ってもらう。nishimiya07うーんやっぱり出汁が美味い。
邪念過ぎることなく、ただただおいしい感じが佳い。
烏賊下足から滲む油少々もそっと旨さを呷ります。

またまた別の夕方には、串刺しの馬鈴薯あたりもお願いしてみる。nishimiya08でも、やっぱり王道の大根は外せないよね(笑)。

そして、おでんを食べ始める辺りでいつもおにぎりをひとつ所望する。nishimiya09サッシュに留めた厚紙に書かれてある通り、
おにぎりは「しゃけ」「たらこ」「うめ」「おかか」「しそのみ」の5種類各100円也。
お願いするとご主人が、店奥のおにぎりコーナーに入って結んでくれる。
手に塩する様子が想像される、塩のよく利いたおむすびをおでんと交互にいただけば、
なんだか益々癒されるような、そんな気分になるのです。

そしてそして、おにぎりを食べ終わったところで、発する声は、
たいやきひとつ、お願いします。nishimiya10「にしみや商店」の鯛焼きは、俗に云う”天然物”。
行列でも有名な人形町「柳屋」と同じように、一匹づつの型で焼く。
頭からえい!っと齧ると、薄く均質な絶妙な皮がパリッとして、
中から甘さを控えつつ小豆の風味がどっと攻めるつぶあんが顔を出す。
そのあんは勿論、しっぽの先の方までびっしりと詰まってる。
塩っ気が柔らかな甘さを引き立てている感じがいい。

時間帯的に毎度毎度という訳にはいかないけれど、
タイミングよく焼き立てにありつけた日には、
その美味しさが倍加する。
正直なところ、「柳屋」のそれよりも好みなんだなぁ。

新富町に残る昭和のひとつ「にしみや商店」。nishimiya11おでん、鯛焼き、そしておにぎりに、
ご主人の職人的拘りが魅力として宿ってる。
出来れば、近所の酒屋で扱っているカップ酒「新富座」あたりを持ち込んで、
ここの丸椅子でおでんで吞りたいと妄想しています(笑)。

口 関連記事:
  食事処「かどや」で 吾が町新富45年お好み惣菜とおにぎり定食(09年12月)

「にしみや商店」
中央区新富1-10-6 [Map] 03-3551-1638

column/03497