「惜別の移転閉店またいずれ」カテゴリーアーカイブ

青森創作郷土料理「大わ山」でねぶた漬けネバトロ丼サバの天ぷらかき天丼

owayamaそれは、八重洲通りからすずらん通りを茅場町側に入ってすぐの横丁にあるお店。
一階に立ち呑みなんぞの入るカサイビルというビルの横っちょから地下への階段を下りたところ。
ずっと以前は、ちょっと不思議なオバちゃんのいる「平蔵」という居酒屋でした。
それがいつの間にかなくなってしまい、また別の店となっていたような気がします。

そして彼是一年半も前の夏の或る日のこと。
すずらん通りを歩いていると、威勢よく気力漲る様子の兄さんが、開店を知らせるチラシを手にして声を上げている。
なになにと近づいて(笑)、チラシをみるとなんと、青森料理の店のオープンだという。
おー、それはそれはと話を聞いたことを思い出します。

それから暫くして、青森と云えばと夜の一献にtakapuをお誘いして件の「あおもり八丁堀」に突撃。
お惣菜八寸のあれこれや「スルメイカのガッパリ焼き」「金本町産の馬刺し」なぞをお供に、「田酒」や「豊盃」のグラスをいただいたことがありました。

時は流れて、ある秋の日のおひる時。
それは横丁に浮かぶ赤地に行燈看板が目印で、黄色い文字で「たげめよ」、そしてそこへ札を貼るように「おんでやんせ」とあるところ。owayama01店先に黒いA看板が立っているのを認めて、ランチもやっているんだと遅まきながら気がついた。
それはそれはと早速、地階への狭い階段を辿ります。

ドリンクはそちらからと兄さんの指先が示したのは、青森と云えばの林檎ジュースと冷たいお茶のセルフコーナー。
やっぱり林檎ジュースも飲んじゃいたいと、つまりは毎度、グラスふたつを使わせてもらうことになります。owayama02カウンターの隅に座ると目の前には、「田酒」の酒瓶に並んで青森創作郷土料理「大わ山」とラベルを貼った酒瓶が置かれていました。

まずお願いしたのが、「ねぶた漬けのネバトロ丼定食」。owayama03松前漬けに和布蕪、オクラ、山芋とお魚あれこれの載ったドンブリであります。

ネバネバトロトロ具合がよく判る泡立ちを眺めてから、落とし玉子を崩し広げる。owayama04松前漬けや山芋、若布の滋味栄養がまさに渾然一体となったところに鮪の赤身なぞの旨味が追い討ちをかけて来る。
なんだか一足飛びにより健康になってしまいそうな、そんな気分にさせてくれます。

別のおひる時には、「サバの天ぷら定食」。owayama05一時メニューから消えていたものを、リクエストにより復活させたものだという。
揚げたてをフーフーしながら齧りつけば、衣に包まれて旨味の凝縮した鯖の威力が真っ直ぐ味わえる。
うん、美味しい。
八戸の「サバの駅」を懐かしく思い出しながら訊ねると、さすがにブランドもの「八戸前沖鯖」ではないそうです(笑)。

またまた別のおひるには、A看板にみつけた「かき天丼定食」。owayama06鯖のちょっと青み思う旨味風味もいいけれど、牡蠣の滋味も負けてない。
噛んで芯の飛び出した長葱の甘さにもさらっとしたタレがよく似合う。
訊けば勿論、三陸の牡蠣だそうだ。

そんな風に通ううちにやっと気付いたことがある(笑)。
それは、「あおもり八丁堀」だった店名が「大わ山」となっていること。
兄さんに訊くと、「はい、でもそのままやらせていただいてますのでご贔屓に!」と仰る。

どうやら、以前の「あおもり八丁堀」は店を閉めた形になっていて、開店当初からの大将が独立するような形でほぼ同じ店構えで営業しているというようなことらしい。
「あおもり八丁堀」は、八戸出身にしてグローバルダイニング出身の方が営む「あおもり湯島」の2号店でスタートしたのだけれど、その後色々あったのかもしれないね。

カウンターの上には、「本日の鮮魚」と題する黒板があって、例えば「殻つき生ガキ」「アブラメ刺し」「真ソイ刺し」に「海峡サーモン」、そして「八戸前沖〆サバ」といった標題が上がってる。owayama07テーブル席側の壁には、八戸名物!と謳う「イカの丸煮付」「俺のイカメンチ」や「三戸産南部太ネギのつけ焼き」「十和田牛バラ焼き」、「田子産にんにくの天ぷら」などなどの酒肴が並んでる。
やっぱりまた夜に訪れて、青森の旬菜あれこれで「田酒」「豊盃」など青森のお酒を嗜みたいところです。

すずらん通りの横丁に青森創作料理の店「大わ山」がある。owayama08「大わ山」という山が八戸の郊外にでもあるのかと思ったら然にあらず。
開店時からの大将のお名前が「大和山」なのです。
店内に貼られた唎酒師の認定証を横目にしてそれが分かりました。
また機会をみて、夜にもお邪魔します。
「八戸せんべい汁」つきのランチも復活しないかな。

「大わ山」
中央区八丁堀1-8-6 カサイビル B1F [Map] 050-3321-7510

column/03519

Hawaiian Cafe 「HIWAHIWA OHANA」で ロコモコにスパムむすび

ohana池畔にある八幡神社にお参りしたり、
時には勝海舟のお墓を訪ねたり、
池に浮かぶ辨財天の鳥居を潜ったり、
水生植物園の八ッ橋を辿って、
ちょろちょろ動く御玉杓子の様子を眺めたり、
連なる杭の上に並んで留まる水鳥に感心したり、
そんな風に過ごす洗足池にいつも癒されています。

図書館の読書室にお世話になってる時など、
洗足池にいてのゴハン時ともなれば、
まず筆頭に思い浮かべるのは、洋食屋「クメキッチン」。
バスの駐機場の脇にあるハワイアンカフェ「Hukilau Cafe」にも、
何度かお邪魔しています。

そして、ずっと気になっていたお店が、
洗足池から環七方向へ中原街道の坂をてろてろ上がるその途中にある。ohana01それは、アメリカングリーンを綺麗に塗り上げた外壁が印象的なカフェ。

浜辺からそのまま上がっていくかのような、
白いペンキの階段には、木彫りのサーフボードが”SUNSET BEACH”と謳ってる。ohana02ああ、彼の地のサンセットビーチで夕焼け眺めてから、
随分と時が流れたことを思い出します(笑)。

窓辺に沿ってカウンターが据えられていて、その背後に2卓のテーブル席がある。
カウンターの隅に腰掛けて横目に留まるのは、
ウクレレにレイ、フラを踊るおねえさんなど、ハワイアンな装飾品たち。ohana03木製のブラインドの隙間から車行き交う中原街道の様子が覗けます。

ワックスを塗り込めている木の床をシャカシャカ云わして動き廻るヤツがいるかと思えば、
テーブル席の椅子に上がり込む勢いで嬉しそうにする、わんこ一匹。ohana04メニューの裏にしっかりと「Dog Menu」があるように、
こちら「HIWAHIWA OHANA」は、
Hawaiian Cafeであると同時にDog Cafeでもあるようです。

そこへ注文の品「グレービーソースのロコモコ」が到着しました。ohana07ドンブリものになるパターンが多いロコモコですが、
ココでは、ソースを敷き、ご飯、ハンバーグ、目玉焼きと縦積みにして、
平皿に高さを強調するように盛り付けている。

肉汁のベシャメルソースという感じのグレービーがまったりとして、いい。ohana06玉子の黄身が零れ、ハンバーグが崩れ落ち、ご飯とソースがより混ざり合って、
段々とぐっちゃぐちゃな状態になっていく。
それがちょっとジャンクな喜びに通じるような気になってきて、
不思議な満足を憶えたのでありました(笑)。

硝子扉を開け入ると、正面にオーダーのためのカウンターがある。
右手の棚にはハワイアンなコーヒーやリキュール類などが飾られていて、賑やか。ohana08ランチセットのドリンクで選べるお代わり自由なコーヒーは、
カフェハワイか、バニラマカダミア。
なにやら妙に高価らしい、懐かしの100%コナコーヒーも、
REGULARサイズ550円でいただけるようです。

今度は、あれ、をいただいてしまおうと洗足池からの道すがら。
例によって、カウンターの一席に佇みます。
この日は二匹のわんこがいるので、前回よりもさらに賑やかだ。

お迎えしたのは、木彫りの器に「スパムむすびプレート」。
スパムむすびを包んでいたラップを解けばこんな見映え。ohana09彼の地で初めてスパムにぎりを食べたのも、遥か遠い昔になりにけり。
お餅の粉を衣に使ってるというハワイアン唐揚げ、モチコチキンを齧っては、
崩れ落ちないように気をつけながらスパムむすびに齧り付く。
スパムとご飯の間に挟んだペッパーマヨがいい塩梅。
でもちょっと、女性が食べるには大きすぎないのかなぁ(笑)。

洗足池近く中原街道沿いに、
もうひとつのハワイアンカフェ「HIWAHIWA OHANA」がある。ohana10ハワイ語で「HIWAHIWA ヒヴァヒヴァ」は”大切な”、
「OHANA オハナ」は”家族”という意味であるという。
お店のイメージは、ラニカイビーチに行く途中、
ふと立ち寄った一軒のお店「KALAPAWAI MARKET」であるらしい。
実はずっと、なんちゃってハワイアンに違いないと思っていました、ごめんなさい。
次回は、「マヒマヒプレート」が狙い目です。

口 関連記事:
  洋食屋「クメキッチン」で 洗足池にこんな美味しい洋食屋があった(15年01月)
  Aloha!!「Hukilau Cafe」で ロコモコ的カレーにコナコーヒー(10年09月)

「HIWAHIWA OHANA」
大田区上池台2-14-4 03-3728-6700
http://www.h-ohana.com/

column/03508

広東料理「ハマムラ」河原町店で シャキシャキ焼鰕捲と路面店の魅力

hamamura京都のお食事処に対して、
“ほっこり”とか”はんなり”とかといった形容を安易に当てるのは、何処かその本質を見逃しそうでいけないことかもと、 最近やっと気がついた(笑)。
それでもその独特の空気感に、
思わずそんな形容詞を添えたくなるのが、
例えば、上七軒の広東料理「糸仙」。

北大路の「鳳飛」も独特な雰囲気を持っていたけど、
やっぱり「糸仙」の周辺の艶やかさの残滓と掛け合わさった情緒が印象深い。
そして、春巻の仕立ても酢豚のあんも感慨深い。

そんなことをちらっと想いながら、
三条通り辺りから河原町通りを下がっていました。
と、ひとの横顔を模した丸い看板が目に留まる。
目鼻口の処をよく見ると、それが店名「ハマムラ」を示してる。

おもろいデザインやんけとショーケースを覗き込む。
春巻も勿論ありそうだし、アーケードにすっかり馴染んだ様子もいい。
ちょっと寄り道してみようかな。

もう少しで満席になりそうな店内に、キョロキョロと居場所を探すと、
見兼ねたようにオバさまのご案内。
隅のテーブル席を充てがわれました。

麦酒に海老春巻きに、そうね、酢豚もお願いしましょう。
メニューには、例えば「古老肉(酢豚)」には、”くろよく”、
「焼鰕捲(春巻)」には、”しゅはきん”と読み方が附ってある。

麦酒をチビチビしつつのお待ちかねしてた春巻は、謂わば普通のサイズ。hamamura01「糸仙」のそれが、舞妓さんのおちょぼ口に合わせて細く小さくしているって噂を思い出して、
ニヤリとしてしまいます。

断面から覗くは、ギッシリの竹の子とその中央に挿した海老の橙色。hamamura02とろみのあるあんにせず、シャキッとした食感にフォーカスした仕立てと、
カラッとした揚げ焼きっぷりがとてもいい。

麦酒を干したところに、茶碗のご飯と一緒に「古老肉」。hamamura03敢えてパイナップルを探してしまうワタシをお許しください(笑)。

店名を目鼻口と顔に見立てたアイコンがトレードマークの「ハマムラ」河原町店。hamamura04京都の中華1号店とされる「ハマムラ」創業者の弟に当たる方が始めたという。
ところが、今度は「走油鶏(鳥あげもののあんかけ)」とか、
「干焼鰕仁(えびのチリソース)」「広東麺」あたりをお願いしたいなぁなどと思っているうちに、
残念ながら店を閉じてしまったらしい。
Webサイトによると、創業大正13年という「ハマムラ」の店舗は、
フードコートや専門店街の4店のみの模様。
そう思うと尚のこと、失ってしまった路面店の魅力を思わずにはいられません。

口 関連記事:
  廣東料理「糸仙」で 春花捲古老肉焼売乾焼蝦仁花街上七軒の色香(14年11月)
  廣東餐館「鳳飛」で 焼売の慈姑歯触り椒醤酥鶏柿子色鳳舞の系譜(14年12月)

「ハマムラ」河原町店
京都市中京区河原町通三条下ル大黒町58 [Map] 075-221-4072
http://www.hamamura-gr.com/

column/03503

中華料理「来集軒」で ラーメン来集メンソース焼飯旧き良き佇まい

raishuken.jpg最近頓にノスタルジックな光景に惹かれる。
そんなお年頃な今日この頃(笑)。
御徒町に昔乍らの中華の店があると知り、いそいそと仲御徒町の駅まで足を運びました。
それは、九月の終わり頃。
ところがなんと、九月末日まで夏季休業中ですと、そう知らせるメモがドア硝子に貼ってある。
暑い夏にはやってられないわってなことなのでしょう。
何時からの夏休みなのかなぁ。
そう云えば、野毛の至宝、三杯屋「武蔵屋」も酷暑の八月だけはお休みする。 空調でガンガン冷やして店を開けるというのを潔しとしない、 そんな処が同じ様にあってもいいんじゃないかと思うところ。 ましてや、営んでいるのがご高齢の方となれば、至極当然のことと存じます。

そんなこんなで、十月に入ってからの営業日にふたたびやってきた、 すえひろレンガ通り、嘗ての通称を新東京通り。 この近所に映画館があったなんて信じられないなぁと思いつつ、そっと扉を開きます。raishuken01.jpg店内は、期待に違わぬ、懐かしき昭和の匂い。 天板に貼ったメラミンを抑えるアルミのフレームの表情。 座面を紅く包んだパイプ椅子。 壁上方の角に据えたテレビは疾うに映像を流さなくなってる様子。

合板の壁に画鋲で貼ったお品書き。raishuken02.jpgその下に置かれた扇風機がそよそよと活躍しています。

おばあちゃんにお願いしていた「ラーメン」が届きました。raishuken03.jpgお店に似つかわしい、素敵な佇まいであります。

啜るスープは、煮干しがひたひたと利いたオツなお味。raishuken04.jpg raishuken05.jpgraishuken06.jpg こうでなくっちゃと秘かに頷きます。 麺もかん水臭いなんてもこともなく、 ツルっと具合とシコっと具合の加減もよろしくて。

お店の名前を冠したのが、ソース焼きソバ「来集メン」。raishuken07.jpg意外な具沢山に悦びつつ、「ライス小」との炭水化物攻撃に自らの身を曝します。

「湯メン」も野菜の甘みが充分スープに顕れていて、いい。raishuken08.jpgraishuken09.jpg今度は、ライスに飽き足らず、 「カレーライス小」をセットしてしまう。 ちょいがけ的おウチカレーにも一日の長があるよに思えてきます。

これまた別の日に、「ラーメン」のお供に添えたのが、「ソースチャーハン」。raishuken11.jpgカツなどにかけるソースは味が強すぎて正直余り好みではないのだけれど、 こうしてじゃっじゃと炒めたチャーハンとなると話が別で、 角の取れたソースの風味がそそる、そそる(笑)。 小柄なおばあちゃんに鍋を煽るよな調理してもらっちゃって、 なんだか申し訳ない気分にもなります。

1953年(昭和28年)創業とも1956年(昭和31年)創業ともいわれる、 町の老舗中華料理店「来集軒」。raishuken10.jpgずっとお元気で店を続けていただきたいとか、 もしかしたらもう辞めたいと思っていらっしゃるのに続けているのだったらとか、 暑い時にはたっぷり休むからダイジョブなのよ、なのかもとか、 働くのがアタシの活力なのよ、なのかもとか、 勝手なことをあれこれ思ってしまうけど、 やっぱりなくなってしまうのは寂しく、なくなれば二度と得られないお店であります。 平日も、水曜日木曜日は定休日なので気をつけて。 注文は、テーブルで待っていないで、厨房口辺りで声を掛けるのがよいでしょう。 どうやら、浅草の来集軒製麺所の暖簾分けのお店であるようです。

口 関連記事:   三杯屋「武蔵屋」で 絶好の武蔵屋日和三杯後のお猪口油絵の空気(14年09月)


「来集軒」 台東区台東2-31-9 [Map] 03-3831-3593
column/03461

三杯屋「武蔵屋」で絶好の武蔵屋日和三杯後のお猪口油絵の空気

musashiya00.jpg初めて野毛山動物園に行った、
夏のおもひでも冷め遣らぬ残暑の候。
ふたたびJR桜木町駅を降りました。
やっぱり東横線の駅がないことに違和感を覚えつつ、
例によって野毛方面へと国道16号線を潜ります。
迎えてくれるのは、動物園通りのゲート。
暑気も退いて涼やかな夕暮れ時の通りは、
ひっそりとしていました。

musashiya01.jpg動物園に行った際に、
「八月中はお休み」の貼紙があった格子戸には、
今はもう灯りが点っています。
既にほぼ満席の店内を眺めながら、
遠慮勝ちにおねえさんに簾戸越しに人数を告げると、
奥へどうぞと案内いただきました。

小上がりの細長く小さな座卓にご相席。musashiya03.jpgなんだか腰を据えただけで、安らぐ感じもしてくる。
まずは麦酒をいただきましょう。

カウンターには、いい感じに正しく枯れた風情の飲兵衛たちが、
心地よく嬉々として止まり木してる。
水栽培の八つ頭の茎がすっと長く伸びて、涼しげだ。

網戸を残して開け放った裏窓。
エアコンのない店内に天井で廻る、
古びた扇風機からのそよそよした風も手伝って、
ゆっくりと空気が入れ替わってゆく。musashiya02.jpg夏のお休みが明けてから後、
絶好の日和に訪れたことを確かめて、また嬉しくなります。

すっと届く、おからの和え物が何気に旨い。musashiya05.jpg麦酒もよいけれど、やっぱりお酒が似合うよね、
とそう思わせる。

玉葱の酢漬けを齧りつつ、お酒を冷やで所望します。
硝子コップふたつを届けてくれたおねえさんが、
今度は、小さめの薬罐を手にやってきて、とととつーっと注ぎ込む。
思わずおっとっとーと声を出しそうになる(笑)。musashiya06.jpgmusashiya07.jpg口縁までなみなみと注がれたコップにはどうして、
口から迎えにいかねばと、身体を折るように。
紳士淑女も皆、此処ではこうするのがお作法かと存じます。

鱈豆腐には、たっぷりのしらすに鰹節の糸削り。musashiya08.jpgタラの身が、素朴にして旨いのは、
浸した汁にも所以がありそうで。
櫻正宗をふたたびいただいて、澄んだグラスを傾けます。

朝の食卓にそのまま登場しそうな納豆も、
こうして簡潔な酒肴になる。musashiya09.jpg啜るように口にしてしまう、
ちょっと卑しい感じもまた、
気取りなき呑兵衛たちの所作なのでありますね。

三杯目の冷やをいただいていると、
常連さんとおばちゃんの楽しいやりとりが聞こえてきた。
阿ることも高ぶることもない、
平常で柔和な応対が心地いいのであります。

御新香が届いたらそれは、
三杯屋での三杯目を終えたお知らせ。musashiya10.jpg何気ないお新香で、有り難く残りの滴をいただきましょう。

musashiya13.jpg嗚呼、もうお仕舞いか名残惜しいなと思ったところで、
お猪口の一杯を進呈してくれる。
気持ちをそっと察してくれて嬉しいような、
気持ちを見透かされて面映ゆいような、
そんな素敵な気遣いでありますね。

野毛の至宝とも奇跡とも謳われる、
三杯屋「武蔵屋」ここにあり。musashiya12.jpgmusashiya14.jpg壁に掛かる額のひとつには、
嘗ての店内を表した油絵がある。
そこには、初代の銀蔵さんと、
そのお嬢さん喜久代さん冨久子さん姉妹がいる。
喜久代おばちゃんを若い子たちが慕うように守るように囲む、
今とはちょっと違う顔ぶれだけど、
変わらないその頃の空気が伝わってくるようです。
そして、別の額では、紙切りの銀蔵さんが三本指を立てて、
「三杯ですぞ」と窘めてる。
そんな「武蔵屋」に今度はいつ、お邪魔できるかな。

「武蔵屋」
横浜市中区野毛町3-133 [Map] 045-231-0646

column/03439