「中華韓流アジアン系」カテゴリーアーカイブ

タイの食卓「クルン・サイアム ×アティック×」で特等席バルコニーゆるり寛ぐ夏の夜

krungsiamちょろちょろと徘徊している割には、何故だか通りの名前を覚え切れないのが、自由が丘駅周辺。
奥沢駅前から九品仏川の緑道と交叉して大井町線を渡り、さらに東横線の踏切を横切るヒルサイド通りをクランクするように抜けて目黒通りに至るのが、自由通り。
「SHUTTERS」やMUJI、FrancFranc前の憩いのベンチエリアを抱える九品仏川緑道は、グリーンストリートなんて呼ばれちゃっているらしい。

目黒通りの八雲三丁目から南下してピーコックの前を通って、
大井町線を渡り往くのが、学園通り。
あれ?それじゃぁガーベラ通りはどの道だろう。
片や、正面口のロータリーに繋がる道は、
自由が丘デパートの脇を往く女神通りに、
目黒通り方向へ北上するカトレア通り。
さらにはメープルストリート、しらかば通り、
ヒロストリートなんてのが並ぶ。
マリ・クレール通りは、駅南口の前にある通り。
他にも、サンモア通り、サンセットアレイ通り、
ひのき通りにわかくさ通り、
からたち通りにくりの木通りなんてのがあるらしい。
それって一体どこやねん(笑)。

日の長い夏の夕暮れ時。
北口を出て、鰻「ほさか」の前を通り、
歩き向かうは、すずかけ通り。
すずかけ通り沿いの一軒にお招きいただきました。krungsiam01間口の狭いビルの上方を見上げつつ、階段に挑みます。

階段を4階までぐりぐりっと上がって行けば、
やっとこ女性陣占めるカウンターの一室に辿り着く。krungsiam02ただ、目的の場所はそこではなくて、
奥の階段からさらにもうふたつ上階へと昇るのであります。

やってきたのは最上階のフロアの窓の先。
さっき見上げた道路斜線で切られた斜め壁のところに、
バルコニーが口を開けているのでありました。krungsiam03東側に眼下を見下ろせば、
城南信金のポール看板の先に緑ヶ丘へと至る、
すずかけ通りの道程が走ります。

西側に眼を遣れば、夕焼けの空が美しい。krungsiam04角錐体に尖がったビルは、
メガネドラックや「バンコクキッチン」の入った、
サーカス自由が丘というビルである模様。

乾杯はやっぱり「シンハーSingha-beer」で。krungsiam05一定のコクを含みながらスッキリと吞ませる感じは、
こうして真夏の暑さの残るオープンエアーによく馴染む。
アジアのビールだなぁと思う風味はどこから来ているのでしょう。

お招きくれたGingerちんが真っ先に発注したのが、
「ヤム・ウンセン ぷりぷりエビと春雨のヘルシーサラダ」。krungsiam06パクチー押しなフリして、
レモングラスの風味がキュキュっと攻めるオツなヤツ。
お皿は一気に空っぽになって、お代りの発注が飛ぶのです(笑)。

お、空心菜!と嬉しがらせるのは、
「パックブン・ファイデン 空芯菜のニンニク強火炒め」。
krungsiam07メニューにも謳うくらいに一気呵成に炒め上げたであろう空心菜は、
シャキッとして仄か苦い独特の香りが活性している。
うんうん、美味しいね。

「トード・マン・クン」は、エビのぷりぷりさつま揚げ。
krungsiam08断面から覗く明るいピンク色が海老の気配を知らせてる。
どれどれと歯を立てれば成る程、
プリッとした海老の弾力と甘みが芳ばしくいただけます。

「シンハー」から同じインドシナ半島の、
ベトナムのビールに替えてみる。krungsiam09えーっと、これでなんと読むんだったっけ。
そうそう「333」と書いて「バーバーバー」。
どちらも割とすっきりと呑ませてくれて、
ちょっと汗ばむオープンエアーがやっぱり良く似合います。

ベトナムといえばこれは外せないよねの、
「ポピア・ソット 具沢山もちもち皮の生春巻き」。krungsiam11 krungsiam12そう謳っている通り、
モッチリした米粉の皮の食感が愉し美味しい。
幾らでも食べられそうな軽やかさがいいんだ。

エビ入りチャーハンは「カオ・パット・クン」と云う。
krungsiam10タイ米のパラパラはやっぱり、
こふいふお皿で特長を最大発揮する。
師匠も何気にお気に入りのようであられましたねっ。

暑い夜風の中にいたならモヒートもいただきたい。krungsiam13本格派とはいかないけれど、
頑張ってつくってくれました(笑)。

石垣旅行記を話していたら、
「パット・マラ タイ風ゴーヤチャンプル」がやってきた。krungsiam14そうはいってもなかなかの本格派。
ナムプラーつかってるっぽいところがタイ風でありましょか。

自由が丘すずかけ通りの小さな雑居ビルの上階に、
タイの食卓「クルン・サイアム ×アティック×」がある。krungsiam16ルーフバルコニー持っちゃってる友人宅のよな特等席で、
のんびり寛ぐ夏の夜のひと時に大感謝です。

「クルン・サイアム ×アティック×」
目黒区自由が丘1-13-13 KAWABE BLD 4F [Map] 03-6421-3677
http://www.krungsiam.info/

column/03620

シンガポール料理「シンガポール コピティアム」でご飯モノに負けない麺料理あれこれ

kopitiam八丁堀はすずらん通りのオヘソ辺り。
ランチもイケてるサカナバル「TURRE TURRE 築地」の斜め向かいにあるのが、シンガポール料理にして東南アジア料理の「シンガポール コピティアム」。
長年のキャリアに裏付けされた安定的ひと懐っこさで迫るお姐さまの待つ「コピティアム」へは、ご飯モノと平行して麺サイドへの旅も続けていました。

まずは東南アジアの麺料理として、
真っ先に思い浮かべる「ミーゴレン」。
それはここでは海鮮、チキン、野菜と3種類から選べるマレー風炒麺。

海老を選べば、
わさわさと海老の身の絡まる玉子麺から湯気が上がる。kopitiam02ケチャップマニスの甘さが気分をそっと、
バリ辺りの島々に連れていってくれるようであります。

その派生系「インディアンミーゴレン」には、
カレーの器が漏れなく付いてくる。kopitiam03「コピティアム」のカレーはしっかり辛いので、
いっとー辛くない仕立てでお願いすることにしている。
野菜バージョンのミーゴレンをそのカレーに浸したり、
ぶっかけたりしていただくスタイル。
うんうん、悪くない。
でも、カレーで炒めちゃったヤツも食べたい気もします(笑)。

ずっと昔の入船時代にもいただいたことのある、
「チャークァイティオ」を横目にし乍ら、
麺料理メニュー筆頭の「フライドフッケンミー」。kopitiam04ホッケン・ミーHok-kiàn mīは、つまりは福建ミー。
福建省出身の華僑・華人たちが、
シンガポール、マレーシア、インドネシア辺りに齎した、
麺料理ということであるらしい。

塩味かオイスターソース味かが選べて、オイスター味。
よく見ると、素麺的極細麺と中太麺とを
混ぜ込んで炒めているのが面白い。kopitiam05その辺りはシンガポール式でもクアラルンプール式でもなく、
「コピティアム」風ということでありましょか。

「湯麺」と呼ぶどんぶりが都合4種類。
その中から「鶏肉入り湯麺」を選んでみる。kopitiam06ケチャップマニスに象徴されるような濃いぃ色の炒麺に対して、
届いたドンブリのスープはとっても澄んでいる。

青梗菜や茄子人参、キャベツにもやしにシメジなどと具沢山。
細めの玉子麺が含むスープは軽やかにしてじわじわと滋味が滲むもの。kopitiam07解した玉子の黄身もいい活躍をしてくれます。

ペナンレクサは辛くて酸っぱいよと訊いて、
選んだのは「ラクサレマーク」。
御殿山の鶏飯店「MR.CHICKEN」のラクサも思い浮かべつつ、
受け取ったドンブリは成る程の白濁スープ。kopitiam08kopitiam09烏賊や海老の具を掻き分け引っ張り上げた、
麺のプヨツル具合も愉しいぞ。

そして夏のトピックのひとつが、
夏季限定の「清湯涼麺」。
それは、お姐さまに、ね、これ以上ないサッパリでしょ?
とそう云われて、ぶんぶん頷く爽やか具合。kopitiam10kopitiam11大判のレタスや千切り胡瓜の浸ったスープは、
まったく油っ気、脂っ気なく澄んでいる。
それでいて、期待するコクに十分応えてくれているから嬉しくなる。
そこへさらさら食感の極細の絶妙さが添えられて。
酷暑にへこたれた胃や身体になんとも優しい器なのでありました。

東南アジアの味の右の本格派、
「シンガポール コピティアム」は、
八丁堀すずらん通りのヘソにある。kopitiam12kopitiam13ずらっと並ぶご飯ものサイドの裏面には、
それに負けない数の麺料理が並んでいます。
どなたかコンプリートしてみませんか(笑)?

「シンガポール コピティアム Singapore Kopi Tiam」
中央区八丁堀2-18-5 [Map] 03-6280-3442

column/03606

中華「やじ満」で手作り焼売に牡蠣や浅蜊の季節らーガッツリ豚の生姜焼き丼もいい

yajima築地場内、魚がし横丁が大賑わいしているおひる時。
おおよそどこのお店の前にも行列が出来ていて思案顔になる。
そんな時につきじろう師匠も選択肢のひとつとしているのが、10号館にある「磯野家」の二階の方。
ここは比較的観光客比率が低くて、間がよく数席の空席が見つかる確率が高かったりします。
そしてその「磯野家」の次あたりに思い浮かべるのが、「米花」「髙はし」や「かとう」「鮨文」に並ぶ8号館の中華「やじ満」だ。

カウンターに空いた丸椅子を見つけて腰を下ろすと、
カウンターの懐が狭いので両膝が幕板にぶつかって、
おのずと両足を開く格好になる。yajima01yajima02両隣にお客さんがなければいいけれど、
そうでないとひとりで両脚広げて場所とっていられないので、
膝を幕板に押し付けて前のめる感じになります。
これもまた間口の狭い場内の店ならではのことだと、
ちょっぴり愉しくなる瞬間です。

開口一番で註文するのはやはり、
やじ満名物と謳う「手作りジャンボ焼売」。
一人前4個に対しての二個載せの「半個」でいくのが常。
オバちゃん、時にオネエさんが奥の厨房に、
ゆっくりと大きくハキハキとした口調で、
シューマイハンコ、とオーダーを通してくれます。

崎陽軒のそれと比べれば、三倍容量はあろうかという、
成る程、やや大振りのシューマイ。yajima03芥子醤油をちょん漬けして口に含むと、予想以上の柔らかさ。
粗挽き肉で肉々しさをというよりは、
緩めに仕立てたあんを愉しむ焼売でありますね。

店先に吊るした紙には、創業67年の味とある。
豚肉と玉葱のみの優しい味ともある。
余計なものを仕込んでいない素朴さが真骨頂なのであります。

「手作りジャンボ焼売」半個のお供といえば例えば、
シンプルに「中華そば」。yajima04鶏ガラや野菜由来かと思しきスープに醤油の利いた、
細麺似合う屋台ちっくなドンブリがいい。
結局コレでいいんですよと、そんな感じの一杯だ。

冬場にここに来たなら冬季限定「カキらーめん」。
ぷっくりした牡蠣の身とニラとがたっぷり載った塩仕立て。yajima05人気No,1と謳う「ニラそば」の派生系とも思う自信の一杯は、
なかなか滋味深いスープになっている。
広島産と訊くこの日の牡蠣は、たまたまなのかアカン海域の味がした。
それがちょっと残念でもありました。

そんな、冬場の「カキらーめん」の時季が過ぎると、
季節は「あさりらーめん」のものとなる。yajima06同じベースのらーめんではあるものの、
ぐいとくるカキらーめんに対して春めいた装いなのは勿論、
牡蠣と浅蜊のキャラの違いによるものなのでしょう。
生姜の風味もそっと利いている、
「あさりらーめん」にはバターを足すのが吉であります。

黄色が目立つ品札のひとつで、
ガッツリ行こうよ!と誘うは「豚の生姜焼き丼」。yajima07ドンブリになった生姜焼きってのも面白いなぁと註文すると、
それは成る程、ラーメンどんぶりにしっかり盛られたガッツリ仕様。
しかも、オバちゃんからご自由にどうぞと手渡されるのは、
大振りな業務用のマヨネーズ。
隠れマヨラーとしてはどうしても、
これまたたっぷしドンブリに注入してしまうじゃありませんか(笑)。

そしてそんなマヨネーズが辛めに味付けた豚肉に絡んで、
最高のマリアージュを演じ出す。yajima08思えばこれも「焼売」に同じく、豚肉と玉葱のみ。
かっ喰らうよな生姜焼きが場内にあるってGingerちん知っているかなぁ。

“味の開発”と前のめりの副題がついていたのに挽かれて註文したのが、
「塩ニラやきそば」。yajima09麺は同じ細ストレート麺。
ウスターソースどっぷりの焼きそばよりも、
断然好みのタイプなのだけど、
もうひと声ニラの加勢が欲しいとも思うところ。
でもまた註文んでしまうかも(笑)。

なんだかとっても落ち着く場内の中華といえば、
魚がし横丁8号館の「やじ満」のこと。yajima10新富町「松し満」、木挽町「小や満」と同様に
矢島さんちの屋号が「やじ満」となったとお見受けするところ。
また来る時季には「カキらーめん」の味を確かめにお邪魔します。

「やじ満」
中央区築地5-2 築地市場 魚がし横丁8号館 [Map] 03-3541-0729

column/03605

中華そば「若葉」で焼きばら海苔チャーシュー麺海苔だくに冷やし中華の細縮れ麺

wakabaじめじめっとした梅雨の頃。
気圧の具合によっては、肌寒い瞬間があったり、ただもう蒸し蒸しとするばかりの日もあったり。
立ち止まるひとも多くて、渋滞が頻発する築地もんぜき通りのアーケード。
いつもは、築地KYビルの側を通ったり、ターレの並んだ路上を敢えて歩いたり。
中華そば「井上」や煮込み「きつねや」前の行列を避けて往くと、ちょうど「若葉」の丸椅子のひとつに空きがあるのが目に留まる。
久し振りに寄ってよと呼んでくれているような気がしました(笑)。

丸椅子に腰掛けて、
寸胴の奥の壁に提げられた品札をみる。
その脇に視線を移すと、
ラミネートした貼紙の数枚がある。
好評につき期間延長、とあるのはきっと、
いつぞや習志野さんが啜ってたあのドンブリだ。

早速オヤジさんに、
「焼きばら海苔チャーシュー麺」をノリダクでと註文する。
”汁だく”ならぬ”海苔だく”ってのも楽しい言い回しであります。

成る程、真ん中の刻み葱以外を覆い尽くすようにもみ海苔が載っている。wakaba01wakaba02海苔そのものは、
食べずしてパリパリとした食感と心地よい磯の風味が感じられる、
そんなテクスチャだ。

そんな焼きばら海苔を分け入るように、
割り箸の先をドンブリに挿し入れて、
底の方から麺を引っ張り上げる。wakaba03その麺は、如何にも屋台のノリを彷彿とさせる細き縮れ麺。
キリッと醤油の利いた汁と、
芳ばしき海苔の風味を纏った麺が文句なく旨い。
ラーメンに海苔トッピング大好き派の自分には、
こんな有難いドンブリもそうあるもんでもありません。

いよいよ暑さも迫る梅雨の晴れ間には、
額に汗を滲ませながらのもんぜき通り。
「冷し中華」の幟に誘われて。

今度は三席の丸椅子のひとつではなくて、
店先の立ち喰い台へ。
「井上」ではこの手のテーブルも混み合っているけれど、
ここでは貸切なのがちょと嬉しい。

冷しにも「若葉」謹製の焼きばら海苔がトッピング。wakaba04練り芥子を少々溶いて、いただきます。

酸味ほど良いタレの感じもくらげにチャーシュー、
ばら海苔の具合も勿論悪くない。wakaba05ただ、中華そばと同じ縮れ細麺は、
冷やし中華にイメージするツルツル麺のような具合とはいかず、
温かい汁の中では魅力的だったのが一転してもっさりしたものになる。
もっとも、冷やし専用に別の麺を用意するってこととなると、
色々な課題もきっと顔を出してくる。
「若葉」の個性的な細麺は、
中華そばにこそ似合うと再認識する瞬間でもありました。

もんぜき通りのアーケードに昭和30年開業の中華そば「若葉」がある。wakaba06三代目、四代目によって守られ続けている味わいは、
「井上」のそれとも「大一」のそれとも違う伊達がある。
例え市場が近くになくなっても、
ずっとそこにあって欲しい、そんな一軒です。

「若葉」
中央区築地4-9-1 [Map] 03-3546-6589
http://www.tsukiji-wakaba.com/

column/03593

江戸中華「日本橋 よし町」で丁寧に油控えた軽やか叉焼麺焼売蟹肉炒飯と選手交代

yoshicho大勝軒といえば、東池袋にあったあの「大勝軒」が今も真っ先に脳裏に浮かぶ。
云わずと知れた「つけ麺」を世に広めたメッカのような場所だ。
店舗の二階から外階段を一歩一歩ゆっくりと下りながら、空席を待つ僕等に送ってくれた笑顔を時々思い出す。
脚が悪くて大層痛むのに、誰分け隔てなく接してくれたものでした。
07年の3月に閉店する間際に寒空の下居並んだ長蛇の列も印象深い。
沢山のひと達に親しまれ慕われた山岸さんは亡くなってしまったけれど、幾人もの弟子たちが今も「大勝軒」の暖簾を守っています。

そんな東池袋系の大勝軒や永福町大勝軒とは別に人形町系と呼ばれる「大勝軒」がある。
1914年(大正3年)の創業と云われる新川の横丁にある「大勝軒」。
レトロな佇まいがそそる横山町の「大勝軒」。
これまた昭和の香る室町本町の「大勝軒」。
ちょっと離れて、浅草橋の町中にある「大勝軒」。
そして、その本丸というべき「大勝軒 総本店」が人形町にあったのです。

残念ながら訪ねたことはありませんでしたが、訊けば洋食「芳味亭」の近くにあったのだという「大勝軒 総本店」。
人形町芳町の見番の裏手にあった「大勝軒 総本店」は、1905年(明治38年)の創業であったと階段の壁に掲示しているのが、銀座八丁目の江戸中華「日本橋 よし町」だ。yoshicho01 往時には色街の風情と賑やかさの最中にあったであろう「大勝軒 総本店」で27年間働き、20年近く料理長(チーフ)を務めた横山さんが1986年(昭和61年)の「総本店」閉店後には、同じ人形町で「大勝軒」を開き、永く「総本店」の味を引き継いできたとある。
その後2010年(平成22年)に縁あって銀座で腕を揮うこととなったらしい。

それを読んで、とんかつ「衣浦」の向かいにあった人形町「大勝軒」のことを礑と思い出す。
少々びっくりするような極細麺を自家製麺していると訊いて、妙に感心したはもう5年以上前のこと。
それが或る日訪ねたら忽然となくなっていて呆然とした、なんてことがありました。

白木のカウンターの隅に陣取って「叉焼麺」のドンブリを眺めます。yoshicho02昨今の足し算に掛け算を乗せたようなラーメンはどこ吹く風。
叉焼(チャーシュー)を縁取る食紅に年季の片鱗を漂わせています。

脂っ気を丁寧に執拗に控えた、そのお陰で澄んだコク旨味が淡々と滲むスープに泳いでいた麺を引き上げ啜る。yoshicho03それは実に嫋やかな、人形町で愕いた麺を彷彿とする極細麺。
スープに合わせて作った麺というよりは、自家製の麺に合わせて粋な中華を志向したら必然的にこうなったという風情のする。
うむうむ、これこそ呑んだあとにもすんなりといただける一杯でありましょうけれど、それはなんだか勿体ないことでもありますね。

思わず飲み干してしまったスープの底には「大勝軒」の文字。yoshicho04潜んでいた人形町の心意気を確かめてしまった気分です(笑)。

人形町でもいただいことのある「焼売」も是非いただきたいと。yoshicho05肉汁が滴ったり、強い香りのするのは粋じゃないとばかりの淡々とした佇まいのシューマイが口腔で綻びます。

「揚焼売」で麦酒が呑みたいと夜に出掛けたものの、焼売そのものが作った分全部出ちゃったのよとオカアさん。yoshicho06yoshicho07ならばと「細切りネギ叉焼」に「炸雲呑」を所望します。
胡麻油たっぷりでも辛味を利かすでもない葱とチャーシューの和え物にも一貫した仕立てが窺える。
揚げ物もあくまでカラッとして、油っこさを億尾にも出さないことに唸りながら麦酒のコップを傾けます。

そんな油を控えた和物な中華料理の真骨頂が「蟹肉炒飯」にも宿ってる。yoshicho08何気なく乗せた蟹足を解して匙を動かす。
世にパラパラチャーハンは数多あると思えども、ここまで軽やかなチャーハンはそうそうないでありましょう。
もうちょびっと油の薄い膜を纏ってくれていてもいいのではないか、いやいやこれでいいのだと想いが往ったり来たりいたします。

梅雨の晴れ間に出掛ければ、風に揺れる小さな幟に、冷やし中華はじめました。yoshicho09向かい側が喧騒の工事区画とは思えない穏やかな空気が漂っています。

目的のお皿はちょっと意外なモダンなお皿。yoshicho10少々奢った盛り付けも、お皿を決めた時点で既定路線になったのかも。
透明でレトロなお皿であったら違う見映えになったでありましょう。

具材の隙間から覗くはやっぱり自家製の極細麺。yoshicho11細いくせしてきちんと粉の風味を伝える麺ではあるけれど、どちらかといえばたっぷりのスープに泳がせてこそ真価を発揮するものなのだねとも思ったりする。
椎茸の旨みも印象的な初夏のお皿でありました。

色街人形町の残り香と「大勝軒 総本店」から引き継ぐ仕立ての江戸中華「日本橋 よし町」が銀座にあった。yoshicho12yoshicho13この6月で「日本橋 よし町」は閉店し、交代選手だという「山野辺」の開店準備へと移ったようです。

「日本橋 よし町」
中央区銀座8-4-21 保坂ビルB1F [Map] 03-3573-0557
column/03585