「四谷神楽坂お濠沿い」カテゴリーアーカイブ

酒と牡蠣「酒徒庵」で 鳴門ウチノ海牡蠣の味噌煮と東京の地酒と

shutoann.jpgちょうど一年前の冬に初めて訪れた四谷「酒徒庵」。 牡蠣に対する愛情と日本酒に対する造詣とその掛け合わせとを堪能させてくれました。 と、その直後に移転したと聞いて、吃驚。 オイスターバー以外のJr.オイスターマイスター在籍店としても気になる「酒徒庵」。 真冬の寒さ凍みる夜に出掛けました。
四谷しんみち通りの先界隈から移転したのは、四谷三丁目。 ヘリコプターを展示していることでも知られる消防博物館の前を進み、 ひとつめの脇道を入ったところ。 shutoann01.jpg入口を覗くと、例の満席を知らせる黒板が見つかる。 ああ、「酒徒庵」だと不思議な安心感が過ぎります(笑)。

古びたビルの地階への階段。 無垢の木目の風合いを意識した様子の店内。shutoann02.jpgきっと以前は座敷であったろうスペースが板張りになっている。 案内されたテーブルは厚みを残した一枚板。 幅がないのが、なんだかちょっと不思議な感じだ(笑)。

shutoann03.jpg 「酒徒庵」の口開けといえばやっぱり、山口の「flight of wharf」。 特別誂えの、ここでしか呑めないお酒は、活性にごり発砲純米生原酒。shutoann04.jpg白濁りのグラスを口に含んで、皆んなが一斉に、おいしーと云ってくれるのが有り難い(笑)。 改めて、ボトルでいただくことにします。

まずはやっぱり生牡蠣から。 shutoann05.jpg“本日の牡蛎”には、北海道・厚岸から長崎・雲仙までの9種類がラインナップ。 北から攻めるか、西から攻めるか、みんなして腕組み思案(笑)。

最初にお願いしたのが、三重県は、答志島桃取プレミアム。shutoann06.jpgこの冬は、鳥羽産の牡蠣をよく見掛けるのだよなぁ、とそんなことを思いながら、 檸檬汁をほんの少し搾って、ちゅるん。 潮の速い海が育んだ滋味が鮮やかに弾けます。

続いて、徳島は、鳴門ウチノ海。 ウチノ海は、内の海。 鳴門といっても渦潮渦巻く海峡では勿論なくって、 海峡近くの四方を山に囲まれた内海でめきめき育った牡蠣。shutoann07.jpgこれ、旨いです、憶えておきましょう。

shutoann08.jpg 最近ポピュラーになってきた福岡は門司の牡蠣。 殻付きに続けて、焼きをいただいてみます。shutoann09.jpg生で愉しむ磯の旨味の鮮烈さが、火を入れることで丸く深みを帯びるのがよく判ります。

“酒徒庵名物”と謳うは、「牡蠣の味噌煮」。 こってりと煮〆たような、味噌漬けに近いようなヤツかと想像したら然にあらず。 それは、白菜なんぞの野菜と牡蠣とが仲良く小さな鉄鍋に。shutoann10.jpg白味噌仕立ての牡蠣鍋の小型版、といったところでしょうか。

「flight of wharf」のボトルをあっという間に呑み切って、 次のお酒に選んだのが、東京は東村山・久米川の。 豊島屋酒造という蔵の仕込み6号直汲み無調整生 純米吟醸「屋守 おくのかみ」。 久米川に酒造メーカーがあるとは知らなかったけど、これがなかなか旨いンだ。

移転前のお品書きでも気になっていたのが、「バジルポテトサラダ」。shutoann11.jpg葱の繊維を活かした、バジルを加えただけじゃない、個性派のポテトサラダだ。 「篠峯」のうすにごり ろくまる純米吟醸八反35号無濾過生酒あたりをお伴にね。

そして、牡蠣料理のラインナップから、「牡蛎ガーリックバター炒め」。shutoann12.jpg薄く叩いた粉がバターをしっとりと包んで黄色くなっている。 口に含めば、ちゅるっと消えて牡蠣の旨味とニンニクバターの風味が交差します。

お酒を埼玉の「五十嵐」純米吟醸直汲み生M-310酵母に替えて、「鯖のへしこ」。shutoann13.jpg旨味の凝縮した鯖の身を短冊に切った大根で挟んでる。 大根で塩梅を馴染ませつつ、糠の風味も合わせ愉しむ佳肴であります。

shutoann14.jpg やっぱりこれは外せないと、「牡蛎フライ」。shutoann15.jpgうんうん、ジューシーにして活性した身の美味さ。 衣も旨い気がします(笑)。

みんなで取り分けてシメましょうと、「牡蛎とあおさのチーズリゾット」。shutoann16.jpg一見柚子胡椒にみ見えるのは、蟹味噌でしょか。 滲み出た牡蠣のエキスにあおさ海苔の磯風味がよく似合う。 今度作ってみようかな。

日本酒専門にしてJr.オイスターマイスター在籍牡蠣の店、四谷三丁目「酒徒庵」。shutoann17.jpg「酒徒庵」はいまのところ、完全紹介制をとっていて、一見さんお断りとなっている。 日本酒を安く提供したいとの意図から少数精鋭での営業なので、 料理やお酒のオーダーや提供に時間の掛かることをあらかじめ承知して愉しみたい。

口 関連記事:   日本酒と干物と牡蠣「酒徒庵」で 日本酒でやる怒涛の牡蠣づくし(11年01月)


「酒徒庵」 新宿区四谷3-11 第二光明堂ビルB1F [Map] TEL 非公開
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あぶらそば「CHABUYA Zutto Branch」で 牡蠣エキスあぶらそば

zuttobranch.jpg06年、表参道ヒルズの開業に合わせて、「ちゃぶ屋」の森脇康二さんが勇んで出店した「MIST」。 「MIST」は10年01月には香港に海外初出店し、 11年版「MICHELIN HONG KONG」で一つ星を獲得したらしい。 ますます順風満帆かと思いきや、この01月早々にヒルズの店を閉めてしまったという。 移転のためということだけど、間違いなく高いであろうテナント料にいい加減嫌気が差した、というところではないのかな。 そんな森脇さんが、路線の違う新店を繰り出した。 それが、四谷三丁目の「CHABUYA Zutto Branch」だ。
ところは、外苑東通りが曙町に向かって右へ曲がる辺り。 「エリマキらーめん」が懐かしい「一心らーめん」の斜向かいといえば、 分るひとには判るはず。 節電モードの店頭だけど、硝子越しに「あぶら」と示す赤い提灯がみえる。 店内は、奇を衒ったようにまで思った「MIST」との連関は窺えず、嘗てのレストラン・バーを居抜きでテナントしたもののようにも映る。 zuttobranch02.jpgラーメン・つけ麺の店としては、十分にゆったりとした居心地。 壁には、「MICHELIN HONG KONG」一つ星を顕す額が飾られています。


ご注文はやっぱり、「特 牡蠣あぶらそば 正油味かつお風味」。 オリーブオイルと白胡麻油との”あぶら”に対して、 牡蠣エキスを織り込んでいるというのも気になるところ(笑)。 大盛りに、「温玉」をのせてもらいましょう。zuttobranch03.jpg 塩味グリルのチャーシューに支那竹、青葱、刻み海苔、刻みナッツのトッピング。zuttobranch04.jpg覗き込む麺の表情は、ぬらっとしつつも決してオイリーではない感じ。 さてさて牡蠣エキスはどんな活躍をみせてくれているかな、なんて考えつつ、自家製と聞く量感のある麺をズ、ズッと、啜ります。zuttobranch05.jpgん?お?うん? 確かに、今までの味わいの枠組みとは違うベクトルをもつ味わいだ。 丁寧に仕立てて、間違ってもジャンクな方向へ転ばないようにしているのがよく判る。 ただ、その分だけ、おおお!といった判り易いトキメキを齎すものではない模様。 ただのオイスターソース和え麺とも勿論違う。zuttobranch06.jpg 森脇さんが謳う、第六の旨み「油味」というのは、なんだか難しい、というのが正直なところ。 “牡蠣エキス”はどうやって抽出しているのかな。 温玉を崩して黄身のとろみを纏わせたり、卓上の意外と辛い唐辛子オイルを垂らしたりして、味の変化を愉しみつつ、完食です。

zuttobranch07.jpgお会計の際に、「TAP 2011」という青いロゴ・マークをあしらった箱を見つけた。 「TAP 2011」というのは、げんさんも応援しているプロジェクトだ。 元々は、世界の子供たちが「清潔で安全な水」を手に入れられるよう、ユニセフの活動を支援するものだったのだけど、巨大震災を受けて、ユニセフの「東日本大震災緊急募金」に協力するものとなったそう。 ここでも、ささやかな協力をいたしましょう。


「ちゃぶ屋」の森脇さんが繰り出した新基軸は、あぶらそば「CHABUYA Zutto Branch」。zuttobranch08.jpg「ちゃぶ屋が “ずっと” 続くように」、そして、「油そばを “ズッと” すすって明るく元気になってもらいたい」というのが、”Zutto”と名付けた意図らしい。 口 関連記事:   創作麺工房「MIST」で スタイリッシュに巻き麺偽寿司柳麺らぁ麺(06年03月)


「CHABUYA Zutto Branch」 新宿区舟町7 ポワロービルディング1F[Map] 03-5919-0752 http://www.chabuya.com/
column/03108

日本酒と干物と牡蠣「酒徒庵」で 日本酒でやる怒涛の牡蠣づくし

shutoan.jpg四谷に”日本酒と干物と牡蠣の店”を標榜する店があるという。 ありそでなさそなそのフレーズが、 当然ながらただただ気になります。 これは行かねばならぬと思うも、 ちょうど時季は師走も押し迫った頃。 問い合わせると、 忘年会らしき予約で連日満席のご様子。 隙間のように空いていた日取りに合わせて突撃です。
入口にある「洋食エリーゼ」を店先から横目で眺めつつ、しんみち通りを往く。 クランクして進んだ右手のビルにあるのが目的地「酒徒庵」です。 店先にはやはり、「満席」のお知らせ。 併せて、日本酒の専門店ゆえ、日本酒を呑み愉しもうとする方以外は遠慮願いたいと至極当然の断り書きがされています。 意外やずずずいっと奥行きのあるフロアとなっていて、案内されるまま一番奥のテーブルに着きました。 shutoan02.jpg 口開きにいただくのは、浅蜊の味噌汁。 大塚の居酒屋「こなから」の初めが蜆の椀であったことを思い出します。 まずは乾杯に、と紹介されていたのが、山口の「flight of wharf」。 雁木 活性にごり発泡純米生原酒、とあって、さらに<酒徒庵 特別誂え>とある。 それゆえ、ここ「酒徒庵」でしか呑めない酒ということになるらしい。 シャンパン的プロセッコ的日本酒で乾杯というのも一興だねと全会一致でオーダーです。shutoan04.jpgshutoan03.jpgガスを抜きながら慎重に抜栓してくれる「flight of wharf」のボトルは、澄んだコバルトのブルー。 白濁した滴をグラスに注げば、ぴちぴちと炭酸ガスが弾ける。 乾杯して口に含めば、ああ、すっきりフルーティな呑み口でお酒を呑んでる感じでは全くないのが危険であります(笑)。 捲るお品書きには、日本酒あれこれのラインナップに続いて、珍味・摘まみの類の酒肴に灰干し色々、惣菜にお食事が並んで目移り必至。 そこに更に、産地別”今日の牡蠣”が十数種類に「牡蠣料理」がこれまた十数種類。 この時点で牡蠣料理を端からやっつけることは不可能だと知り、早くも二回戦目の予感がしてきます。 やっぱり早速、生牡蠣からいただきましょう。 余り耳慣れない北九州エリアのものからいってみようと、 長崎・小長井モノに福岡・門司港モノ。 shutoan05.jpgshutoan06.jpg クリーミーで奥行きのある甘みタイプ、という解説をなるほどと横目にしつつ、両者の違いを比べるのもまた愉しいね。 これも珍味だよねとお願いした「牡蠣の塩辛」は、磯っぽさ満開かと思えば然にあらず。shutoan07.jpg 塩辛であるも、牡蠣のペーストのようでもあります。 「静岡由比 桜海老釜揚」や「灰干し 銚子 鯖」を挟んで今度は、三重のお酒で三重の牡蠣をいただこうという趣向に臨みます。 三重の牡蠣と云えば、的矢か鳥羽か。 的矢の牡蠣をちゅるんといただいて、なみなみ注がれたグラスのお酒を口に含むと一瞬、その酸とボディに白ワインで牡蠣をやっつけている感じになる。 shutoan08.jpgshutoan09.jpg そんな三重のお酒は、四日市タカハシ酒造の純米酒「天遊琳」。 ラベルにはなんと、<牡蛎限定 酸度三>とある限定品だ。 シャブリを呑んでいるかのような錯覚は、強ち間違いではなかったのだね。 そんでもって、さらに北上して岩手の「赤崎」を焼きでいただきます。shutoan10.jpg熱々の殻を外すと、ふふんと磯の風味。 やっぱり火を通すと、少し縮んだ身から澄んだ野性味がより感じられるようになって、いいね。 さてさて、沢山ある「牡蠣料理」の中からも幾つかいただきましょう。 いつか家でもやってみようと思っていたこともあって、気になる「牡蠣オリーブオイル漬」は、勝手に抱くイメージよりはやや浅い漬かり具合か。shutoan11.jpgこれには、「天遊琳」がふたたびよく似合います。 青森のお酒をと「豊盃」純米吟醸をいただいて、「牡蠣の時雨煮」。shutoan12.jpg例えば、柳橋「小松屋」の「かき佃煮」のように、一定の保存を念頭にじっくり炊いたものとは違って、塩辛くなく柔らかな仕立て。 でもお酒が進む酒肴であることには違いありません。 昼どきに「銀座 三州屋」で偶然逢ってしまったというtakapuのむちゃんに、やっぱりこれは外せないよねーと「牡蠣フライ」。 それは「三州屋」のものとは路線異なる、衣細やかなクリスピータイプ。shutoan13.jpg香ばしい衣との一体感もまた、カキフライの魅力なのだと何十回目かの再認識を(笑)。 散々食べて呑んでの挙句の仕上げに「牡蠣のチーズリゾット」。shutoan14.jpgいっそもっと牡蠣の身を刻んじゃってもいいのかもなぁと思いつつ、いやこんな感じがいいのかもとも思いつつ、あっという間にぺろんと食べてしまうのでありました。

接客も気持ちいい、日本酒と干物と牡蠣の銘店「酒徒庵」。shutoan15.jpg「酒徒」とはまさに、酒を呑むひと、酒好きのひと。 それと同様に、いやそれ以上に牡蠣好きのひとの店でもあります。 オイスターマイスターのいる店「酒徒庵」。 ああ、怒涛の牡蠣づくし、愉しからずや。 口関連記事:  大衆酒場「三州屋」で 夜のかきフライ風格の表情弾ける魅力(10年10月)


「酒徒庵」 新宿区四谷1-23上野KGビル1F[Map] 03-3351-6119  http://www.shutoan.com/
column/03067

本格焼酎屋「羅無櫓」で おまかせ吟味役小あじ唐揚げ蒸野菜鍋

ramuro.jpgいっそ住んでしまいたいと思う場所のひとつ、 四谷荒木町。 大井町や武蔵小山のディープゾーンとはまた違う、花街名残りの風情がちょっとオトナな路地路地がいいンだよね。 でも、そうは云っても、訪れる機会は多くない。 今夜はいっちょ、旧交温めに参りましょうか。 どこに潜もうかと選んだのが、 焼酎の店「羅無櫓」です。
味のある小料理屋、バー、エスニックに妖しいスナックなんかの看板を横目に路地を往く。 杉大門通りと車力門通りとの間を平行して走る柳新道通りという筋の暗がりを進むと、路傍の縁台に将棋盤が置かれ、駒が綺麗に並んでる。ramuro01.jpg小粋だねぇと思ったその場所が、目的地「羅無櫓」の店先でありました。 「羅無櫓」は、カウンターの店。 バックバーにも背中の棚にも、焼酎の瓶がずらりと並んでいるけれど、不思議と閉塞感なく、ゆったりと感じます。ramuro02.jpgそしてそのカウンターの中央で半袈裟のような井出達で迎えてくれるのが、 ご主人の官兵衛さん。 名刺には、「初代焼酎吟味役」の肩書きがあり、 柔和かつ含蓄のありそうな佇まいのオヤジさんだ。 一杯だけ麦酒を所望と、官兵衛さんに。 「羅無櫓」の「ギョーザ」は、具沢山のワンタンを焼いたような、 ちょっと異形のフォルム。ramuro03.jpg皮の魅力をまず全面に、かりかりと歯触りよろしく、香ばしく。 焼酎にも、勿論麦酒にもぴたりと寄り添う仕立てになってます。 焼酎はもう、官兵衛さんにおまかせで。 一杯目のグラスは、屋久島の「三岳(みたけ)」。ramuro04.jpgやっぱり、あっさりと軽めのところから、でもしっかりと風味のあるグラスだ。 ramuro05.jpg続く一杯は、甑島の塩田酒造の「六代目百合」。 ルイベ状態の「馬刺し」の解けるのを待つうちに、近況報告。 そこへ、扉を開けて入ってきたオッチャンの手には、 ナイロン弦のギター。 一曲演ってくれという声は掛からずに、見せる背中がちょと寂しい。 そうこうしている裡にグラスが空いて、お代わり所望。 「神座」は、黒麹仕込みのしっかり芋焼酎。ramuro06.jpg軽めタッチのものからグラデーションをかけるようにボディと風味の強いものへと変遷していく、官兵衛チョイス。 ちょっぴり加水でいただいております。 そこへ迎えたのが「小あじ唐揚げ」。ramuro07.jpgこれが、想定外に旨いのなんの! 炙り立ての干物に脂が滲んで、齧れば香ばしくも弾ける旨み。 皮と骨のぱりぱりした食感がまたその魅力を助長する。 あああ、うまい、焼酎に寸分のズレなく寄り添う也。 フクロウさんの彫刻が、そうそう素直に酔ってよいのだぞ、と静かに見守ってくれているようにも見えて心強い。ramuro08.jpgなんてことで、お代わりの手づくり本甕仕込みの芋「玉露」を舐めます(笑)。 バックバーの棚の上に、ピッケルや古びたごつい靴なんかが飾られているのは、 登山愛好家の印。 そう云えば、扉の脇に掲げた看板には、 ザイルを繋いで急斜面を登坂するシルエットが描かれているのです。 ramuro09.jpg 次からは温かいのでいただきたいですと官兵衛さんにお願いして登場したのが、じょかの一種でサーブされた黄金千貫仕込み「桜島」。 芋のボディが丸いふくよかさに整った呑み口になっていて、いい。

お隣さんのオーダーが気になって便乗したのが、「蒸し野菜鍋」。 ちょっと前より話題のタジン鍋を使った、野菜鍋なのだ。 ramuro10.jpgでっかい徳利のようなフォルムの蓋をぱかりと外すと、 湯気とともに一面のキャベツ畑が現れる。ramuro11.jpg 菜箸で底の方を起こすようにすると、トマトや人参、薩摩芋、鶏肉なんかの具材が顔を出す。ramuro12.jpgまだ口にしていないのに、具材それぞれの持つ旨みが活き活きとぎゅーっとその組織に沁み込んでいそうにみえる。 えへへ顔で箸を伸ばせば、キャベツの甘さがしゃくっと弾け、鶏の滋味がしみじみとし、ほの酸っぱいトマトの甘さが色を注す。 いいね、旨いね、美味しいね。 聞けば、アボカドオイルを垂らしているくらいで、出汁を入れるどころか、塩もしてないそう。 ふと、てんこ盛りに味わいの層を重ねるような料理に疑問が沸いてくる。 ramuro13.jpg素材が悪くなけりゃ、こんな調理でいいんじゃない?みたいな、ね。 具材たちのエキスを鍋の底まで綺麗に平らげる。 既に定番となりつつあるタジン鍋料理だけど、それが焼酎の素朴さと絶妙にマッチしているのだね。 最後の一杯を佐多宗二商店の定番「晴耕雨讀」でいただいて、うん、満足の夜でありました。

荒木町柳新道通りで縁台将棋が目印の、本格焼酎屋「羅無櫓(らむろ)」。ramuro14.jpgramuro15.jpg店名「羅無櫓」は、ネパール語でベリーグットとか、美味しいとか、素晴らしいとかを意味する”らむろっつぁ”の音から名付けたそう。 官兵衛さんがヒマラヤ山地の言葉に想いを馳せるのは、岳人ならではか。 ゆるゆると焼酎とそれに似合う酒肴がいただけるカウンターは、12年目を迎えたところだそうです。 帰りがけにやっと、以前何度か寄ったことのあるマジックバー「八時」の斜向かいであることに気がつきました。 口関連記事:  マジックバー「銀座 八時」で 水割り舐め舐め愉しむマジックサロン(06年03月)


「羅無櫓」 新宿区荒木町七番地[Map] 03-3358-9515
column/03028

餃子の店「おけ似」で 軽やかなる旨さの餃子と澄んだ滋味湯麺

okei.jpg飯田橋に餃子の旨い店があると聞いてから、 幾星霜。 以前訪ねた時は、想定外の店前の行列に愕然としてスゴスゴと退散していたのです。 所用ついでにふたたび、飯田橋早稲田通り。 警察病院の跡地に沿って右に折れます。
すると、左手前に見えてくるのが、 「飯田橋大勝軒」と一度お邪魔したことのある「青葉」飯田橋店。 そしてその並びにあるのが、餃子の店「おけ似」だ。 しんと冷える中でもやっぱり、空席を待つひと影が5つほどある。 夜は当然「餃子でビール」のひと達も多いのでしょう、回転は早くありません。 30 分ちょっと待ったでしょうか。 いよいよ手が悴んできた頃に暖簾の向こうへ呼ばれました。 カウンターの隅っこに案内されて、外で待つ間ぐるぐる考えて結局素直にと導いた結論をおねえさんに告げる。 「餃子に湯麺、お願いします」。 okei01.jpg お冷のコップに刻まれた「おけ似」の文字をしみじみ眺めてから正面に顔を上げると、観葉植物の鉢の間から硝子越しに厨房のシルエット。okei02.jpg湯気やら油らやがたっぷりと垂れたすっかり磨り硝子のようになっている。 厨房の熱気が伝わるようです。 お待ちかねのところにやってきた、「おけ似」自慢の「餃子」。okei03.jpg極薄の羽を頂いて、香ばしそうな焼色を魅せる7片の餃子たち。 okei04.jpg辣油と酢を溶いた醤油タレにその餃子の一片をちょんとつけて齧れば、するっと肉汁が滲んで軽快な旨みが広がる。 なによりこの、軽やかさが衝撃的ですらある。 薄手の皮とクドサのないあんの組み合わせに絶妙な手練を思う。okei05.jpg何個でも食べれそう、とよく云うけれど、まさにそれが当てはまる餃子であります。 いいなぁ。 いーが、うーが、りゃんが、というような、注文を厨房に通す符丁を脇に聞きながら、受け取る「湯麺」のドンブリは、全体を覆う透明感が印象的。okei06.jpg敢えて色味を避けたようにも思う、もやしに白菜の白と柔らかな黄檗色、透明なスープ。 鳥ガラメインと思しきそのスープは、滋味深いのにこれまた軽やか。 okei07.jpgokei08.jpg汎用的ながらも輪郭のしっかりした麺に妙なかん水の匂いなく熟成感があって、もやし白菜と一緒に摘まみ啜ってレンゲでスープ、の繰り返しに夢中になる。 ニンニクや化調をたっぷり使っていてはこうはならないね。 いいなぁ。


人気の絶えない餃子と湯麺の、40年を越える老舗中華「おけ似」。okei09.jpg創業の頃にイメージするのは、満州帰りの「おけい」ばあちゃんが大陸で覚えた料理をふるまう様子か。 今度はしっかりと腰を据えて、”麦酒でやっつける「おけ似」の菜単たち”を愉しみたいな。


「おけ似」 千代田区富士見2-12-16[Map] 03-3261-3930
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