「横浜おのぼりさん」カテゴリーアーカイブ

スタンドバー「日の出理容院」で床屋の残り香とイエーガーマイスタートニック割り

hinodeちょくちょく通うという訳にはなかなかいかないけれど、横浜で大好きなスポット、それが都橋商店街。
大岡川に沿ってカーブした細長い二階建ての建物が100m以上に渡って続き、そこに沢山の飲食店が連なっている。
両脇と中央の3箇所ある階段から二階に上がれば、川に面した外廊下に出る。
弧を描く廊下を歩けば、スナックやバーの小さな行灯看板が次々と顔を出す。
有名店「ホッピー仙人」の素敵なマスターも都橋商店街二階の住人のおひとりだ。

野毛の聖地「武蔵屋」の閉店を寂しく思い出しつつ、
野毛の中央通りに入り込む。
折れ入って焼き鳥「末広」の店先の空気を拝んだり、
洋食「センターグリル」の碧い看板を見上げたりしつつ、
都橋へと出る。
例によって商店街の二階廊下を徘徊し、
いつも満席の「ホッピー仙人」のギュウギュウ具合を覗き見て、
ずっと気になりつつ未だお邪魔したことのなかった、
商店街近所のバーの前へと寄ってみる。

すると、やや早めの時間にはいつも、
暗くてとても営業するようには思えなかった、
古びた店舗の硝子戸から明りが漏れていました。

木戸に填めた硝子には「日の出理容院」と、
懐かしい丸ゴシックの文字。
ほんの少しだけホラーハウスの扉を押すかのような、
そんな気分も織り交ぜながら開いた木戸は、
意外な程に軽やかだ。hinode01それでも覗き込むような風体で、
店の中に躰を入れる格好になる。
それとは対照的にとても落ち着いた笑顔が、
カウンターの中から迎えてくれました。
木戸の中は成る程、
此処が嘗て本物の床屋であったことを窺わせるような床や壁。
内装の基本は、朽ちるに任せるのが味であるぞとばかりに、
敢えてそのままにしているよな様子であります。

特徴あるボトルが目に留まってお願いしたのは、
イエーガーマイスター Jägermeisterのトニック割り。hinode02部屋の角の壁から壁に渡した小さなテーブルで、
傾けるグラスがキャンドルの火に透けるは深緋こきひ色。
ハーブの風味がトニックに解けてなかなか美味い。

イエーガーマイスターのボトルを眺める度に思い出すのは、
ザルツブルクの街角にあった揚げ物食堂、
Gassenverkauf「Steirische Weinstuben」。
扉を入ってすぐのところに100本を超える本数の、
緑のボトルが樽の上にぎっしり並べられていたのだけれど、
突然店を閉めてしまって今は営ってない。
それがなんとも残念なのです。

野毛の裏手、都橋商店街エリアに知るひとぞ知る、
「日の出理容院」という名のスタンドバーがある。hinode03いっそのこと、青白赤のクルクルサインポールでも回してくれると、
営業しているのかいないのか遠めにも判っていいのじゃないのか!
なんて思ってしまうものの、
だってもう、床屋じゃないし、
サインの灯りなんか点灯したら妖しい魅力が台なしじゃんと、
即座に思い直すのでありました(笑)。

「日の出理容院」
横浜市中区宮川町1-8 [Map] TEL非公開

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やきとり「国道下」で 戦前なまんまの駅下に昭和なまんまの居酒屋

koudoshita.jpg京浜運河に向けて視界を広げた、 鶴見線海芝浦駅のホーム。 東芝の敷地内にある海芝公園から愛でた、 煌く海辺の景色が脳裏に鮮明です。 鶴見川の向こう側、沖縄区と呼ばれる界隈の、 うちなーすば「ヤージ小」のドンブリも美味かった。 そんな記憶を抱きつつ、 陽が落ちた鶴見線のある駅のホームにいました。

鶴見駅を出たレールが、 鶴見川を渡らんと大きくカーブを描いたところに置かれたホーム。koudoshita01.jpg降りるひとも電車に乗り込むひとも疎らな駅は、 その名も「国道駅」。

改札口へと階段を下って、反対側への通路を進むと、 そこから更に下の通路が見下ろせる。koudoshita02.jpg何気に視線を降ろしたら早速、 お目当てのお店が突然視界に飛び込んできました。

鶴見線の所属駅はすべて無人駅。koudoshita03.jpgそれ故、何処も改札口付近に出場と入場をそれぞれチェックする、 Suicaの改札機が設置されています。

やや薄暗がりの通路を改札口から右へ出ると、 国道を渡る横断歩道に出る。koudoshita04.jpg成る程、国道駅は、国道15号(通称:第一京浜)をガードで渡った、 すぐ際にあるのです。 そして、逆方向に通路を抜けたところにある跨道橋を潜る道が、 旧京濱國道、つまりは明治時代の「1號國道」であるようです。

阪神の今津線にも阪神国道駅というのがあるらしい。 確かに国道の脇にある駅は全国あちこちにあるだろうけど、 トラック行き交う産業道路っぽい道路のガード下に入口を空けた此処にこそ、 古き1号国道の沿道にあり続ける此処にこそ、 この名が相応しいように思えてきます。

国道駅は昭和5年の開業以来、 これといった改築がなされていないという。 ふたたび戻った通路はやっぱり昭和の匂いが色濃く漂ってる。 まるで、ラーメン博物館を設えたのと同じチームが作り込んだセットのよう。koudoshita05.jpg「三宝住宅社」の看板が実に味がある。 中に灯りが点っているのだけれど、もしかして現役なのかしらん。 そして、その向かいには、白雪提供、お酒とお食事「とみや」の看板。 こちらはどうやら、とても残念ながら既に閉めてしまっているようだけど、 看板の下で今にも朽ちようとしている佇まいに昭和の残り香を思います。

そして、店を前にして、 余りに出来過ぎの雰囲気に気圧されて、少々たじろぐ(笑)。 意を決して、暖簾に顔を突っ込んで、空席を訊ねます。 カウンター席は一杯で、その背後に置かれた小さなテーブルの丸椅子に、 居場所を得ました。

瓶の麦酒をと女将さんに所望すると、手渡されたのは、 キリンラガーの瓶とコップ。koudoshita07.jpgこふいふ雰囲気には、此奴が一番似合います。

女将さんを通じて焼き台前に立つオヤジさんに通った注文は、 焼き鳥の盛り合わせ。koudoshita08.jpg大皿に仕込んであった串がもうすぐなくなりそうな、 そんなタイミングで何とか焼き鳥の串にありつけました。 タレの甘さが印象的。 そのためか、辛味味噌が添えてあるのかもしれません。

カウンターのお客様のおひとりが、仲間がやってきたということで、 外で呑むよとカウンターを離れたので、その後釜にと移ります。koudoshita09.jpgいままで座っていた丸椅子辺りを振り返ると、 このスペースが都橋商店街「ホッピー仙人」では、 ダークダックス的立ち飲みスペースになってるんだね、 なんて思ったりいたします(笑)。

お願いしていた「ポテトサラダ」が丁度目の前に。koudoshita10.jpgそれぞれの具材がごろごろっとしながら、 全体がしっとりジャガイモに包まれている感じの仕立てでございます。

奥の壁の隙間に押し込めるように貼られた変形黒板がお品書き。koudoshita11.jpg斜めの天井が階段下のそれだとすると、此処に二階があるのでしょうか。

「もつ野菜煮」は、さらっとした味噌仕立て。koudoshita12.jpg野菜から滲んだ甘さも含んでいるようで、 野菜も一緒に炊いちゃえっていう、ちょっとしたアイデアがいいね。

正面の棚をみるとそこには、近頃珍しいダルマのボトルも並んでる。koudoshita13.jpgこんな処にも昭和にタイムスリップしたような気分にさせるアイテムが潜んでいます。

亀甲柄のジョッキを見つけて、ハイボール。koudoshita14.jpgあ、角でなく、オールドでハイボールにしてもらえばよかったな。

お隣さんの注文の真似をして、「サンマさし」。koudoshita15.jpg脂ノリノリで蕩ける美味さに間違いはありません。

戦前のまんまの国道という名の駅の下に、 昭和のまんまの居酒屋、その名も「国道下」がある。koudoshita16.jpg koudoshita17.jpgkoudoshita18.jpg カウンターで行き交う話題は、地元色の濃いぃもの。 東芝や旭硝子、富士電機の事業所へと通うひと達がそこに混じって、 日毎賑わっている様子を想像したりしています。

口 関連記事:   うちなーすば「ヤージ小」で 煌めく海芝浦小旅行沖縄区ソーキそば(14年10月)   ホッピー専門店「ホッピー仙人」で 白生堀越さん都橋の仙境の男前(14年09月)


「国道下」 横浜市鶴見区生麦5-12-14 [Map] 045-503-1078
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うちなーすば「ヤージ小」で 煌めく海芝浦小旅行沖縄区ソーキそば

yaaji.jpg夏大好きな我等が村っちゃんこと村田和人が、 pf友成好宏と恒例の海の日に催したのが、 鎌倉歐林洞ギャラリーサロンでのコンサート。 今年もイケてる夏の曲たちで、 盛夏の訪れを知らせてくれました。 そんな鎌倉からの帰り道。 乗り換えた京浜東北線の車窓に映った鶴見の駅。 その時にふと思ったのは、 鶴見線って乗ったことがないなぁということでした。

そんな一瞬を思い出させてくれたのが、ご存知つきじろう師匠。 鶴見線に乗って行く海芝浦駅の光景を日記に綴っているのを読んで、 そいつは素敵!と、出掛けるにいい日和を窺っておりました。

そんなこんなでスカっと晴れた秋の日に。 鶴見駅で乗り換えて、海芝浦駅へと向かいます。 鶴見線は、扇町駅に行く本線、大川駅に行く支線、 そして海芝浦へと行く支線とがあって、 本数も少ないので、注意が必要なのです。

鶴見から、国道、鶴見小野、弁天橋、浅野と経て、 新芝浦では既に海の気配の旭運河沿い。 そして、辿るレールが終点、海芝浦駅へと至るのが見えてきました。yaaji01.jpg左手すぐに、海の色が広がっています。

車窓にみるは、ホームの手摺りの先すぐにある京浜運河。yaaji02.jpg対岸にみえるのは、扇島の東京ガスや昭和シェルの工場設備群のようです。

そしてその先には、東京湾に繋がる京浜港。yaaji03.jpgyaaji04.jpg左手を振り返れば、発電所のような建物が遠く望める。 「海に一番近い駅」として「関東の駅百選」に選ばれているというのが、 至極当然のことのように思います。

被写体の定番には、駅名標と時刻表。yaaji06.jpgyaaji05.jpg海縁らしく、金属が塩害を受けるのがいい味わいになっています。

新芝浦駅、海芝浦駅ともに東芝の敷地内にあるそうで、 海芝浦駅の改札の先には、東芝の関係者以外は進めない。 然もありなんと思っても、そこは天下の東芝さん。 自らの敷地の一部を開放して、「海芝公園」と呼ぶサンクチュアリを設けてくれている。

海芝公園の手摺り沿いに佇めば、煌めく景色。 遠くに大黒埠頭へと渡る斜張橋、鶴見つばさ橋の三角形がふたつ望め、 その前を貨物船やプレジャーボートが滑り行く。 なんだかとっても清々しくて、晴れやかな気分にさせてくれます。yaaji07.jpg海芝公園のベンチでお弁当に昼酒と洒落込んだ、 つきじろう師匠の気持ちがよく判る素晴らしい場所。 この京浜運河沿いは、夜ともなれば、 ライトアップした工場を含む夜景を目当てに訪れるひとも多いようです。

鶴見へと折り返す電車までの20分程をたっぷり楽しんだ後、 途中下車したのが、浅野駅。yaaji08.jpg本線へと大きくカーブする場所にホームがあるため、 ホームと電車の間が広く開いてしまっています。

ちなみに、鶴見から向かう車窓で認めたのが、こんな素敵な光景。yaaji09.jpgレールが幾つも交叉したり、うねるようにしている様子が、 何故だか大好きなのであります(笑)。 右へ曲がり行けば海芝浦、左を真っ直ぐ往けば扇町方面で、 どちらのホームも同じ浅野駅。 ホームをもう少し鶴見寄りに作れば、 こんな素敵なことにはならなかったのかもね、なんて思います。

素敵と云えば、のんびりした浅野駅のホームでは、こんな光景も。yaaji10.jpg日向ぼっこしていた猫が、せっせと毛繕いをしていました。

浅野駅の本線側のホームを眺めつつ、 踏切を渡って首都高の横羽線方向に向かいます。yaaji11.jpg撮影スタジオなんかがあるものの、 その道路はまだ東芝の敷地内であるようです。

横羽線高架下の入船橋という交叉点を、 何処にでもありそうな名前だなぁと呟きつつ通り過ぎて、 仲通商店街という一角にやってきました。yaaji12.jpgひと通りは余りなく、 住宅の間の所々にシャッターの閉まった商店が散在している感じ。 沖縄出身者やその二世三世が多く暮す町として知られているようです。

そして、静かな界隈にあって、ひとを集めて賑やかなのが、 うちなーすば「ヤージ小」。yaaji13.jpg「ヤージ小」と書いて、「やーじぐゎー」と読むのです。

人気があるようで、二階にも客間があるというのに、席が空くまで暫し待機。 一階のテーブル席へ相席でお邪魔します。yaaji14.jpgきょろきょろして振り返った壁に、 錚々たる沖縄料理あれこれのご案内。 なんちゃって沖縄料理店ではきっとこうは参りません。

向かいのオジさんが食べている「ナーベラ定食」も気になりつつも、 「フーチバ」をトッピングした「ソーキそば」に「ジューシー」を添えてもらいます。yaaji15.jpgででーん!と効果音が聞こえてきそうなソーキの威容。 そして、フーチバ(よもぎ)の葉もたっぷりと載っています。

大きなソーキを避け避けスープを啜るとそれがまたあなた(笑)。 業務用のスープなんかじゃ絶対再現できないような、 凛として豊かなコクと旨味。yaaji16.jpg丁寧にひいた豚骨スープに鰹の出汁が掛け合わさって、 重層的で奥行きのある汁になっている。 大口開けて齧るソーキの滋味と要所で顔を出すコラーゲンなところとがいいなと、 またスープをひと啜り。 そして、そこにフーチバの青い苦味が色を注す。 フーチバの苦みにふと、遠く石垣島の「栄福食堂」の「やぎそば」を思い出していました。

つるっとして粉の旨味を思わせる平打ちの麺もよろしからずや。yaaji17.jpg茹で置き油塗しのポソポソはなく、それでいてスープにもよく馴染みます。 もしや自家製麺ではありますまいか。

ハラハラとして、米粒ひと粒ひと粒を薄く覆う油っけが嬉しい感じ。yaaji18.jpg豚の出汁でしょか、 じっくりと潜んだ旨みにうんうん頷いては、 どんぶりのスープを追い掛けて啜ります。 ああ、旨かったです、満足です、ご馳走さま。

横浜市沖縄区とも呼ばれるらしい鶴見の仲通り商店街に、 沖縄料理の店、うちなーそば「ヤージ小(やーじぐゎー)」がある。yaaji19.jpg似非な気取った沖縄料理店がこっ恥ずかしくなるような、 そんな沖縄地元感が構えることなく存分に漂っていて、いい。 「ヤージ」は初代の屋萓(やぎ)さんから。 「グヮー」は”分家”とか”~ちゃん”という意味であるらしい。 今度は、島南部・八重瀬町にある沖縄そばの店、 「屋宜家(やぎや)」のカーラヤーの赤瓦を思い出しました。

口 関連記事:   やぎ汁「栄福食堂」で 塩振り喰らうやぎ肉フーチバ香るやぎそば(06年09月)


「ヤージ小」 横浜市鶴見区仲通3-72-2 [Map] 045-506-5754
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ホッピー専門店「ホッピー仙人」で 白生堀越さん都橋の仙境の男前

hoppy.jpg野毛のオヘソ辺りの有名焼鳥店の行列に、 急遽並んだ夏の日のこと。 「末広」のひと時を堪能したその足で向かったのは、 昼間その佇まいをじっくり眺め愉しんだ都橋商店街。 ひと気のほとんどなかった商店街も夜の帳が降りる頃には、少しづつ妖しさを帯びてくる。 沢山のお店が小さな看板に灯りを点して、その所在を示し、酔客ならんとするひと達を誘っています。

目指すお店は、商店街の二階にある。hoppy01.jpghoppy02.jpg商店街の両脇及び中央にある階段の、都橋寄りの階段を二階へと上がり、 大岡川に沿って湾曲した狭い通路を中央付近へと向かいます。

開店時間には少し間があるので、その扉は閉じている。hoppy03.jpg海から上がってくる風に吹かれながら暫く待つことにいたしましょう。 川面を向かい側の風俗店のネオンが妖しく照らしています。

開店を待つひと達が5~6名になった頃、 すぐ開けるからね!っと店主が現れた。 それが、初めてお会いする”仙人”、その人なのであります。

その日の一番乗りでL字カウンターの左奥へ。 お店の間口は、他の店と同じく一間半ほど。 小さなお店に酒瓶などなどあれこれがぎっしりと置かれ、 忽ち満席となり立ち飲みの人々が囲む店内は早速、 濃密な空気に包まれ始めました。hoppy04.jpghoppy05.jpg思わず、「仙人!一度来たかったのですよ~!」と訴えてしまう(笑)。 正面には「キンミヤ」のラベルを貼ったガラスの樽が鎮座しています。

仙人の発声により、この夜がスタート。 まずは、「白生ホッピー」をお願いしましょう。

仙人が、渋い真鍮色のサーバーからジョッキにホッピーを注ぐ。hoppy06.jpgジョッキに氷が入っていないのは、 ホッピー・焼酎・ジョッキの3つをよく冷やす、 所謂”三冷”での飲み方を仙人が説いているから。 それは、氷を入れると風味が損なわれるのでくれぐれも注意! とホッピービバレッジも推奨しているところ。

そして、ジョッキのひとつには、うっすらとハートマーク。hoppy07.jpgこれも仙人が供してくれるサービス精神の賜物のひとつ。 そして、仙人の音頭で皆一斉に「カンパ~ィ!」。 狭い店内が一体となる瞬間です。

ああ、円やかな呑み口のホッピーであることよ。hoppy08.jpg仙人、旨いであります。

hoppy09.jpg カウンターにあるのは、おつまみスナックのあれこれ。 「大人のばかうけ ナポリタン」が見つかりません(笑)。

そうそう、卓上には、類さんのサインの入った、 「BS-TBS 酒場放浪記」の酒枡や箸おしぼりセットなんかが置いてある。 仙人は、「キンミヤ」謹製の腕時計なんかも披露してくれました。

吉田類さん命名の「北米大陸の風」とどちらにしようか悩んだ末に、 もう一杯とお願いしたのが、その名も「堀越さん」。 注文に頷いてくれた仙人は、徐に白いスタンドのようなものをカウンターに置く。 スタンドの背には、「REAL HALF HOPPY By Project K」とある。hoppy10.jpg白ホッピーと黒ホッピーのハーフ&ハーフ「リアルハーフホッピー」を置くために作られたもののようだけど、他のジョッキの二層仕立てもきっとよく魅せてくれます。

「堀越さん」は、青リンゴサワーと白ホッピーのハーフ&ハーフ。hoppy11.jpg眺めて思わずニッコリの楽しいジョッキは、青りんごサワーの風味がいい感じに和らいで、 そこへ白ホッピーが顔を出す、少々女性向けな感じもするホッピーでありました。 「堀越さん」は、横須賀にホッピーを広めた元ホッピービバレッジの社員の方らしい。

ちなみに、「北米大陸の風」は、レモンサワーと黒ホッピーのハーフ&ハーフ。 仙人は、スプーンの背を使ってレモンサワーを静かに注ぎ入れてくれます。hoppy12.jpghoppy13.jpgこれもまた、つまりはホッピーによるぷちプースカフェスタイルだね。

長っ尻は無用、「また来ます!」と仙人に挨拶して席を立つ。 背中で呑んでいた方達に止まり木を譲りましょう。

野毛・都橋商店街の仙境、 ホッピー専門店「ホッピー仙人」は、この9月で13周年。hoppy14-02.jpg「ホッピー仙人」は、ずっとずっと訪ねたかったお店の正に筆頭でありました。 そんな、永いこと温めちゃった期待をまったく裏切らない素敵な空間。 コアなファンも初めて訪れて立ち飲みするひと達も一気に和気藹々と愉しくなれる。 常連が常連ぶることもないまま、にこやかに新参者も迎え入れてくれる感じもまた、 仙人こと熊切さんの、ひとあたりよくクレーバーで、分け隔てなく懐深い、 男前なキャラクターの賜物であるのは、誰も疑うものではありません。 仙人、またお邪魔しますね。

口 関連記事:   焼鳥「野毛末広」で 塩で皮ハツたれでレバモツ間合いも心地よき皿(14年09月)


「ホッピー仙人」 横浜市中区宮川町1-1-214 都橋商店街2F [Map] 045-242-1731 http://hoppysen.web.fc2.com/
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三杯屋「武蔵屋」で絶好の武蔵屋日和三杯後のお猪口油絵の空気

musashiya00.jpg初めて野毛山動物園に行った、
夏のおもひでも冷め遣らぬ残暑の候。
ふたたびJR桜木町駅を降りました。
やっぱり東横線の駅がないことに違和感を覚えつつ、
例によって野毛方面へと国道16号線を潜ります。
迎えてくれるのは、動物園通りのゲート。
暑気も退いて涼やかな夕暮れ時の通りは、
ひっそりとしていました。

musashiya01.jpg動物園に行った際に、
「八月中はお休み」の貼紙があった格子戸には、
今はもう灯りが点っています。
既にほぼ満席の店内を眺めながら、
遠慮勝ちにおねえさんに簾戸越しに人数を告げると、
奥へどうぞと案内いただきました。

小上がりの細長く小さな座卓にご相席。musashiya03.jpgなんだか腰を据えただけで、安らぐ感じもしてくる。
まずは麦酒をいただきましょう。

カウンターには、いい感じに正しく枯れた風情の飲兵衛たちが、
心地よく嬉々として止まり木してる。
水栽培の八つ頭の茎がすっと長く伸びて、涼しげだ。

網戸を残して開け放った裏窓。
エアコンのない店内に天井で廻る、
古びた扇風機からのそよそよした風も手伝って、
ゆっくりと空気が入れ替わってゆく。musashiya02.jpg夏のお休みが明けてから後、
絶好の日和に訪れたことを確かめて、また嬉しくなります。

すっと届く、おからの和え物が何気に旨い。musashiya05.jpg麦酒もよいけれど、やっぱりお酒が似合うよね、
とそう思わせる。

玉葱の酢漬けを齧りつつ、お酒を冷やで所望します。
硝子コップふたつを届けてくれたおねえさんが、
今度は、小さめの薬罐を手にやってきて、とととつーっと注ぎ込む。
思わずおっとっとーと声を出しそうになる(笑)。musashiya06.jpgmusashiya07.jpg口縁までなみなみと注がれたコップにはどうして、
口から迎えにいかねばと、身体を折るように。
紳士淑女も皆、此処ではこうするのがお作法かと存じます。

鱈豆腐には、たっぷりのしらすに鰹節の糸削り。musashiya08.jpgタラの身が、素朴にして旨いのは、
浸した汁にも所以がありそうで。
櫻正宗をふたたびいただいて、澄んだグラスを傾けます。

朝の食卓にそのまま登場しそうな納豆も、
こうして簡潔な酒肴になる。musashiya09.jpg啜るように口にしてしまう、
ちょっと卑しい感じもまた、
気取りなき呑兵衛たちの所作なのでありますね。

三杯目の冷やをいただいていると、
常連さんとおばちゃんの楽しいやりとりが聞こえてきた。
阿ることも高ぶることもない、
平常で柔和な応対が心地いいのであります。

御新香が届いたらそれは、
三杯屋での三杯目を終えたお知らせ。musashiya10.jpg何気ないお新香で、有り難く残りの滴をいただきましょう。

musashiya13.jpg嗚呼、もうお仕舞いか名残惜しいなと思ったところで、
お猪口の一杯を進呈してくれる。
気持ちをそっと察してくれて嬉しいような、
気持ちを見透かされて面映ゆいような、
そんな素敵な気遣いでありますね。

野毛の至宝とも奇跡とも謳われる、
三杯屋「武蔵屋」ここにあり。musashiya12.jpgmusashiya14.jpg壁に掛かる額のひとつには、
嘗ての店内を表した油絵がある。
そこには、初代の銀蔵さんと、
そのお嬢さん喜久代さん冨久子さん姉妹がいる。
喜久代おばちゃんを若い子たちが慕うように守るように囲む、
今とはちょっと違う顔ぶれだけど、
変わらないその頃の空気が伝わってくるようです。
そして、別の額では、紙切りの銀蔵さんが三本指を立てて、
「三杯ですぞ」と窘めてる。
そんな「武蔵屋」に今度はいつ、お邪魔できるかな。

「武蔵屋」
横浜市中区野毛町3-133 [Map] 045-231-0646

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