「京橋八重洲日本橋丸の内」カテゴリーアーカイブ

中国料理「小花」で 吉例の鮮蠔湯麺解禁一気に開花の牡蠣の旨味

ohana.jpg京葉線東京駅コンコース直結の、 新東京ビルB1レストラン街。 その一角に、のむちゃんの記事でもお馴染みの 中国料理「小花」がある。 毎年一度は、こっそりと訪ねていて、 それは秋から冬にかけてのこと。 そのタイミングなのには勿論理由があって、 言わずもがなの「鮮蠔湯麺」が目的なのであります。

脳裏にあのどんぶりの光景と味わいが浮かんだら、もういけません。 足が京葉線の東京駅に向かう準備を始めちゃう。 改札を出たその足はそそくさと新東京ビルへと急ぎます。 そんなに慌てなくてもいいのにね。

店頭には、解禁を知らせるステッカーにサンプルのどんぶり。 「鮮蠔湯麺」に添えた副題は、”新鮮!生牡蠣のスープそば”。ohana01.jpgただ、「鮮蠔湯麺」が云えなくてもなんら問題はありません。 お店を仕切るオバサマに「カキ!」とひと言告げればよいのですから(笑)。

男性客ばかりの円卓に案内されて、ふと横を見ると、 お隣は女性客ばかりの円卓になっている。 女性がちょと気兼ねするのかな。 オバサマの差配はそんなふうにも気を利かせているのかもしれません。

あちこちから「カキ!」「かき~♪」「牡蠣をね」とドンドコ注文が入る所為もあるだろうけど、 きちんと丁寧につくるという厨房からどんぶりが届くのは、 意外と時間が掛かるのが常。 深呼吸して、落ち着いて待ちましょう(笑)。

はい、カキ、おまち遠さま。ohana02.jpg塌菜(タアサイ)彩る、お待ち兼ねのどんぶりがやってきました。

粉を叩き揚げた牡蠣の麗しいお姿。ohana03.jpg火入れの加減も素晴らしく、閉じ込められた旨味が甘めのスープに浸ることで、 一気に開花してくれるのです。 きっと、知ってる方々はうんうん頷いていただけることでしょう(笑)。

麺は自家製風の、粉の主張のある中太麺。ohana04.jpgすぐに伸びてしまうような柔なヤツではございません。

刻んだエリンギとともにたっぷり載った牡蠣の幾つかは、 こうしてご飯ノセしていただける。ohana05.jpgご飯に合わない訳が勿論なく、 この牡蠣使った中華丼も作ってくれないかしらんなんて思うのは、 自分だけではない筈と考えたりなんかいたします。

のむちゃんが記していたと同じように、 相席の円卓は「鮮蠔湯麺」のお客さんばかり。ohana06.jpg人気のほどが窺えようものですね。 ちなみに、「鮮蠔湯麺」は、シィェン・ハオ・タン・ミィェンと読むようです。

解禁の声を聞けば、「鮮蠔湯麺」目当ての客が群がる、 新東京ビル地階の中国料理「小花(こはな)」。ohana07.jpg実はもう今シーズン2度訪ねていることは、内緒です(笑)。

口 関連記事:   中国料理「小花」で 香りに驚く金胡麻の担々麺とかきソバへの誘い(06年02月)


「小花(こはな)」 千代田区丸の内3-3-1 新東京ビルB1F [Map] 03-3211-8570 http://kohana.dreamblog.jp/
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江戸前うなぎ「松よし」で うな重裏小路の暖簾熾る備長炭兜町の今

matsuyoshi.jpg永代通りと平成通りが交差する茅場町交叉点。 東京証券取引所の売買立会場に大勢が出入りし、 華やかなりし頃の賑わいは今はなく、 集積していた証券会社の本丸もあちこちに移転して、 その跡が目立つようになっている。 それでも、SMBCフレンド証券が本店を置き、 岩井コスモ証券や内藤証券、極東証券といった証券会社の看板が目に留まります。

秋の気配の夕暮れ時。 江戸橋の方向へ抜けて行こうと、 どこかの教会のようにも思う光世証券の建物の脇の小路へと何気なく折れ入りました。

すると目を惹く、何処か鯔背な気風を思わせる青藍の暖簾。matsuyoshi01.jpg店先に漂う雰囲気も積年の色合いを感じさせています。

通り過ぎようとしたところで、 粗い縦格子の間から厨房らしき部屋内が覗けてしまいました。matsuyoshi02.jpg覗き見して御免なさい(汗)。 でも、炭焼き台に備長炭が紅く熾ってる様子に引き寄せられてしまったのです。

暖簾の前へと踵を返して、店頭のお品書きを凝視する。matsuyoshi03.jpg鰻を焼く匂いに誘われるってのはよく聞く話だけど、 見詰めた炭火に誘われるって面白いなと自分を省みる(笑)。 下から二番目くらいが、庶民の偶の奮発に相応しいと心得ます。

よし!と小さく心の中で叫んでから(笑)、 引き戸に手を掛けようとしたら、 その取っ手が鰻を象ったものであるのに気がついた。 細かいところへの細工に心意気が窺えます。

その引き戸の中もなかなかの枯れた風情で、いい。matsuyoshi04.jpgクランクするように曲がったテーブル席の奥は、座敷になっている模様。 壁には、先代と思しき大将の写真が額に収められています。

湯飲み茶碗にお茶をいただき、注文を終えると、 さっき覗き見た処であろう部屋からパタパタと団扇を煽ぐ音が聞こえてきた。 フゴフゴいっているのは、鞴(ふいご)でも使っているのでしょうか。

つるっとして綺麗な塗りの重箱の蓋。matsuyoshi05.jpg刻んだ模様は、何でしょか。 山椒とはちょと違う植物のように見受けます。 矢張り、鰻のお重ほど、その蓋を開ける際の刹那がヴィヴィッドなものはありません。

パカリと開けたお重から仄かな湯気と匂いが沸き立ってくる。matsuyoshi06.jpg一瞬白焼きを思うような、全面均質に飴色な表情とはやや異なる焼きっぷり。 何度もバシャバシャにタレに漬けない流儀なのか、その加減なのかは分かりません。

稚魚の不漁や価格の高騰が巷間で取り沙汰されたり、 一転しての稚魚の豊漁や完全養殖の成功が報じられたりと、 何れにしても心配とともにその情勢が気に掛かる昨今の鰻事情。 ここはその恵みに感謝しつつ、有難くいただかなければなりますまいて。 割り箸に両手のひらを添えて、いただきます。

きりっとしたタレの風味が芳ばしさとともに甘い滋味の鰻の身を包んで、 うん、美味しい。matsuyoshi07.jpg重箱の右の隅から左の隅目掛けて、まっしぐらに箸と口を動かします。

実は、鰻というとどうしても、 浅草「小柳」でいただいた時のときめきが強すぎて困る。 ふっくらした鰻の身を備長炭に炙られた表面が薄く芳ばしい膜が包んで、 その張りたるや、なんとも絶妙なのでありました。 いかんいかん、そんな雑念は、 目の前の美味しいうなぎを美味しくいただくには邪魔になるだけですね。

兜町の裏小路に凛として暖簾を掲げる、江戸前うなぎ「松よし」。matsuyoshi08.jpgその佇まいや漂う気風は、ただただ魅力的。 きっと証券業界華やかなしり頃には、より繁盛していたのでしょう。 証券取引所界隈といえば、久し振りに「喜代川」へも足を向けてみようかな。

口 関連記事:   蒲焼「小柳」で 極薄い外周とふんわり身が解ける鰻重の旨さ(07年08月)   うなぎ「喜代川」で 小網町路地の鰻重備長炭の焼き目のシズル(11年06月)


「松よし」 中央区日本橋兜町9-5 [Map] 03-3666-0732
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フレンチ洋食「京橋ドンピエール」で 惜別のカキフライカレー

donpierre.jpg一月一杯でその永き営みの日々に幕を閉じてしまった京橋「京すし」。 その裏手に回っても既に閉鎖した建物が続く。 そしてそのひとつ銀座の寄りの区画、つまりは明治屋京橋ストアー裏手の区画も既に再開発の勢いに侵されている。 政府の都市再生緊急整備地域指定の影響を受けてクローズしてしまう店が其処にもありました。

2月の限定メニューをA看板に示す「京橋ドンピエール」。donpierre01.jpg冒頭には、こうメッセージされている。 22年の長きにわたり、ご愛顧いただきありがとうございました。

閉店を惜しむように足を運んだらしき客人たちがほとんどのようにも思う気配は、 気のせいではないでしょう。

「絶品カキフライ」か、はたまた「カキフライカレー」か、 散々悩んでの「カキフライカレー」が届く。donpierre02.jpg揚げ色麗しき牡蠣フライがみっつ、カレーの上に鎮座しています。

粗く挽いた感じの肉なぞをたっぷり含んだカレーは、 謂わば洋食のお店らしい濃密な仕立て。donpierre03.jpg牡蠣フライとの相性を問えば、 例えば、「銀座 楸」の黒カレーに軍配を上げるところなるも、 何気ない中に潜む和やかな旨味が印象的です。

広島産という牡蠣を丁重に包んだ衣。donpierre04.jpg海の養分が此処に結晶して、 生牡蠣の美味しさとはまた違う旨さを小さな身に湛えています。

京橋を代表する洋食店のひとつ、 シャンペンを発明した修道士〝ドン・ペリニョン〟マークの洋食「京橋ドンピエール」。donpierre05.jpg donpierre06.jpgレストラン「銀座ペリニィヨン」のカジュアルラインであったと思しき、 「京橋ドンピエール」は1991年11月の開店であったそう。 またひとつ、時間が醸す深みを感じさせるレストランがなくなりました。
口 関連記事:   洋食「京橋 ドンピエール」で 筋斗雲的楕円から松坂牛サイコロが(07年07月)   鮨「京すし」で 凛として気の置けない空気いなだ鉄火と庇の雪と(13年02月)   演繦料理「銀座 楸」で 赤穂牡蛎フライのせカレー牡蛎入りカレー(11年10月)


「京橋ドンピエール」dom Pierre 中央区京橋2-3-4 Ysビル1F [Map] 03-3242-0141  http://www.perignon.co.jp/
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鮨「京すし」で 凛として気の置けない空気いなだ鉄火と庇の雪と

kyousushi.jpgなんだかんだ云ってもやっぱり京橋のオヘソだと、 そう勝手に思っている明治屋ビル。 その並びはひと区画まるごとの再開発が進み、 ぐるっと仮囲いに囲まれてしまっている。 きっと大手ゼネコンが立派なビルを建ててくれるのだろうけど、その代わりに此処にあったお店たちはもう、 その姿を失っている。 真新しい大きな建物に入ったお店の、そのファサードの表情はきっと味わいに浅く、風情がない。

東京を降雪が襲った成人式の日の翌日。 そんなことを想いながら、京橋方面へと足を向けました。 目指すは、一月一杯での閉店を決めたと知った、ご存知「京すし」。 右手を白い仮囲いが無機質に迫ります。

既にほぼ満席ながら、カウンターの端に席を得て、腰を据える。kyousushi01.jpg閉店情報を受けて足を運んだひとが少なからずいるような、 そんな気配が静かなざわめきの中に含んでいるよな気がします。

kyousushi02.jpg 歩きながら、あっ!と気が付いたのは、前日の雪の漁や流通への影響。 青魚の入荷はないかもしれないなぁと危惧しつつ訊けば、案の定。kyousushi03.jpg鯵と鯖の「は~ふ&ハーフ丼」でとの目論見は、叶いません。

ならばとお願いしたのが、 いつぞやのいなだと鉄火の「は~ふ&ハーフ丼」。kyousushi04.jpg以前いただいた丼で、その艶かしさがとっても印象的だったいなだは、 またそれとは違う表情を魅せている。

そしてまた、旨みを熟し、酸味や香りをふくよかにした景色の鉄火。kyousushi05.jpg酢飯を按分して口に含めば、見かけの期待を裏切らない粋な味わいです。 これがもういただけなくなるなんてと思わずにいられません。

閉店を知ったひと達がランチ時に静かに参集するようになっていた、 「京すし」へと出足早めにふたたび。 鯵と鯖のハーフ丼はもう一度の機会にとっておいて、 久し振りに「にぎり」をと上からふたつめのものをお願いしました。kyousushi06.jpg kyousushi07.jpgkyousushi08.jpg やや厚めにおろしたタネの味わいをそのまま活かすかのように、主張を控えたシャリ。 ずっとこの握り方で一本筋を通してきたのだろうなぁと、 勝手ながらそんなことを考えたりして。

鯵と鯖目掛けて、もう一度訪れようと思っていたけれど、 風邪をひいて寝込んでいたところに身内の不幸が重なって、 足を運ぶ機会を逸してしまいました。 でも、年明けから二度お邪魔して、 凛としてかつ気の置けないあの空気に改めて触れられてよかったな。

明治十年代中頃の創業といわれる京橋「京すし」がその舞台の幕を閉じた。kyousushi09.jpg kyousushi10.jpgkyousushi11.jpg kyousushi12.jpg 「京すし」の庇に残る雪が溶ける様子はもうきっと見られない。 歴史を受け継いできた四代目ご主人の心情や五代目の想いや如何にと慮りつつ、 再開発というものの無情さや無粋を思うのでありました。

口 関連記事:   鮨「京すし」で どんぶり三昧熟成のいなだ丼鉄火丼にあじさば丼(10年06月)


「京すし」 中央区京橋2-2-2 [Map] 03-3281-5575
column/03344

ENOTECA「THE LOUNGE」で未来へのシークレットオイスターバー

lounge.jpg丸の内の仲通り。 おそらく開店直後のことだったんじゃないかと思い出すのは、富士ビルの角にあった、 「LES CAVES TAILLEVENT」。 「タイユヴァン」と「エノテカ」とが組んで開いたワインショップにBAR & LOUNGEが併設されていて、 一度だけランチしたことがありました。 その後「タイユヴァン」とのコラボは解消されたらしく、 今はワインショップ「ENOTECA」の「THE LOUNGE」となっています。
そんな丸の内の「THE LOUNGE」を久し振りに訪ねることとなったのは、 殻付き生牡蠣の伝導師氏からのお誘いがあってのこと。 静かに落ち着いた日曜日の仲通りを参ります。

いつぞやの富士ビルの角。 Closedの札が掛かる木目の扉。lounge01.jpg閉じた扉の中で繰り広げられようとしているのは、題して「シークレットオイスターバー」。 真っ昼間から怪しいでしょ(笑)。

見憶えのあるコの字に配した硝子のカウンター。lounge02.jpglounge03.jpg壁には、エチケットを中心に用いたデッサンの額。

lounge04.jpgと、サーブされたシャンパンのグラスの向こうに、 ひとが集まり始めてるのに気がついた。

みんなの目線を集めていたのが、この秘密の会の主役たち。lounge05.jpg小粒で端正な殻付き牡蠣が寄り添っているのに早速、好感です。

さて、真昼のSecret Oyster Barは、 「THE LOUNGE」のオーナーソムリエである濱岡さんが、 殻付き生牡蠣の伝導師こと佐藤Gen氏とタッグして、こっそり催すもの。

主の濱岡さんが選んだ乾杯のシャンパンは、 「ANDRE ROBERT CUVÉE DE RESERVE BRUT」。 白葡萄のみで作るすっきり系のシャンパンが牡蠣に一番合うのではとの思いから選んだ、 シャルドネのblanc de blancだ。

そこへ早速やってくるのは当然殻付き牡蠣かと思いきや、 それは意外なショットグラス。lounge06.jpg lounge07.jpgグラスの底に潜んでいるのは、 4ヶ月から半年ほどの、謂わば真牡蠣の幼稚園児「ヴァージンオイスター」。 小さな小さな牡蠣を殻から丁寧に外してくれている。lounge08.jpg幼生ゆえに未熟な味わいなのだろうかと思案げにグラスを逆さに傾ける。 ところがこれが、吃驚の美味しさ。 牡蠣の味わいと旨味の宇宙をとっくに内包していらっしゃる。 小さい分だけ焦点がブレず、よりヴィヴィッドに感じられる。 伝導師は、これを美味しい牡蠣の味の基準にと仰る。 うん、なるほどだー。

と、厨房から大きな銀のトレーを手にしたお兄さんがやってきた。 トレーには、どどんとデッカイ牡蠣が鎮座坐している。lounge09.jpgこれが大分豊後水道から届いた、1キロオーバーの岩牡蠣「弁天プレミアム」だ。

支えたままのお兄さんの両手が微妙にぷるぷるし始めるほどの重量感。lounge10.jpg当然ひと口で食べられる訳もなく、小分けにしていただくことになり。 すると当然、部位がバラけて配られることになり。 正直云って、大味な想いをすることになる。 ふと、築地共栄会ビルの「地下の粋」で特大の牡蠣を無理して頬張って、 目を白黒させたことを思い出したりなんかして(笑)。

ま、極端な例ではあるけれど、 大きな牡蠣は、楽しい牡蠣。 そして、ひと口ですっと食べられるのが美味しい牡蠣。

牡蠣が、貝柱や内臓やヒラヒラに海水を交えた構成のバランスが絶妙にとれた、 殻をお皿にしたひとつの完成された料理であるには、 ひと口で味わえるサイズであることが必須なのであります。

フランスでは、法律で牡蠣の大きさについて6段階の規定があるそうだけど、 日本にはまだそれがない。 サイズの規定規制がないのだから、オイスターバーで日本の殻付き牡蠣をオーダーして、 テーブルに届く牡蠣の大きさにバラツキがあっても現状では仕方のないこと。 いつか、好みの大きさで日本の殻付き生牡蠣をオーダーできる日が来るのかなぁ。


ワイングラスがパスカル・ジョリヴェがなすロワールの「SANCERRE」に。 ソーヴィニヨン・ブラン100%であることも、濱岡さんのリコメンド。 極小の牡蠣、特大の牡蠣に続くサプライズが、 白い蓮華的スプーンに載ってやってきた。

それは、岩牡蠣のヴァージンオイスター「岩牡蠣SS」。lounge11.jpg日本固有の岩牡蠣の、幼稚園児のものを供することは今までなかったことから、 一般の食べ手としては、世界で初めて口にするものになるという。

これがまた、旨い。 牡蠣の味わいの宇宙が凝集しつつ、歯応えも加減良く含んでいる。lounge12.jpgこれを食べると、ますます小さい牡蠣を選んで食べたくなってくるよね。

さて、ここでクエスチョン。 日本のオイスターバーでは、殻を開けた生牡蠣の身を”洗う”なんてことをしているかどうか。 答えは、保健所の指導があって、水やナノバブル水なんかでなんらかの洗浄をしなければならないことになっているらしい。 安心安全にいただくための指導そのものには異議はないけれど、そのために失っているものもちょっとあるよな気がします。

目に前にふたつ用意されたのは、 広島の大黒神島からやってきた若牡蠣「大黒神」。lounge13.jpg星形にも見える牡蠣の、ひとつは洗ったもの、もうひとつは洗っていないもの。 ちゃんと管理された牡蠣ゆえ、自己責任で心配なく食べ比べてみます。 ポイントは、洗うことにより牡蠣の身が水でコーティングされて、 それが生臭ささや味わいの素っ気なさに繋がっていないか、どうか。 正直なところ、食べ比べての差異はあまり感じなかったのだけれど、 例えば水に晒した刺身が美味しいかと考えると、 洗ってない方が滋味をそのまま味わえる気がするよね。

ただ、そのためには、雑菌やウィルスが混入することのない、 混入していない牡蠣を養殖する必要がある。 牡蠣を塊りで垂下していると殻の洗浄がし難いので、 結果、殻に付着物があるまま流通に乗せてしまうことになる。 シングルシード方式なんかは、その答えとしての一面もあるのだろうね。

そしてなにより、海の環境、そこへ流れ込む川とその流域の環境が問われるは当然のこと。 ああ、清浄なる日本の海よ。


ワインが変わって、今度はニュージーランドのシャルドネの。 シレーニSILENI社が供する「CELLER SELECTION CHARDONNAY」。 今度は一転、シアトルからやってきた牡蠣「至極オイスター」。 今や世界的なブランドとなっている「クマモト」に憧れてつくったという、 新しい種類の真牡蠣だ。lounge14.jpglounge15.jpg小粒でカップが深くて、味わいは濃いめ。 これも日本の牡蠣のDNAが為すものでもあると思うと、 なんだか不思議な気分になる。 シングルシードで作っていて、ひっくり返して眺める殻が綺麗だ。

殻付き生牡蠣の伝導師は、 “産地100点の法則”というキーワードも繰り返し説いてくれている。 産地まで足を運んで、そこで採れて間もない牡蠣をいただくのがやっぱり100点で、 そこから流通に乗り運ばれしていくうちに残念ながら劣化していってしまうもの、と。 それは、石巻の牡蠣小屋「渡波」で実感したこととも符合する。 牡蠣小屋では焼き牡蠣だけどね(笑)。

同じ、大黒神島からやってきた「かき小町」は、3倍体の牡蠣。 卵を作らず産卵しないので、養分やグリコーゲンを失わず、 それゆえ四季を通じて美味しくいただける。

その「かき小町」に添えられたワインが意外や!赤ワイン。lounge16.jpg8割のメルローにカベルネ・フランのボルドー、「レ・ロゾーLES ROSEAUX」。 さらに小皿には輪切りしたチョリソーが載っている。 ちょっと悪戯っ子な表情で(笑)、濱岡さんが説明するのは、 生牡蠣好きの多いボルドーでは、ダース単位で牡蠣をパクついて白ワインを合わせる。 ただ白ばかりでもと途中から赤に切り替えるンだそう。 その時に登場するのが、チョリソーだというのだ。

炙ったチョリソーを齧って、牡蠣を食べ、赤ワインを傾ける。lounge17.jpg牡蠣に赤ワインを合わせると、生っぽさや鉄っぽさが鼻につく感じになっちゃうけど、 こうして油脂、動物性脂肪を補ってやることで、意外やイケてしまうというね。 うーん、面白ーい(笑)。

〆は、牡蠣でちょっと冷えた体を温め、欲する脂を含んだリゾットで。lounge18.jpg牡蠣と浅蜊で採った出汁で玄米を炊いたもの、山菜のフリットを添えて。 牡蠣をいただくと体が油脂を欲しがる感じを明快に感じつつ、 ぺろっといただいてしまいます(笑)。

産地100点の法則がより叶う牡蠣を丸の内で愉しめる「THE LOUNGE」。lounge20.jpgワインショップのラウンジでありつつ、牡蠣の提供にも秀でているとは刮目に値するところ。 盛夏には、シャンパンと生牡蠣のイベントも開くそうだから、予約してぜひ出掛けよう。

口 関連記事:   BAR & LOUNGE「LES CAVES TAILLEVENT」で 軽いランチ(05年03月)   築地仲卸・築地三代直営「地下の粋」で 夏の真牡蠣に岩牡蠣に(10年08月)   かき小屋「渡波」で 万石浦採れ立て焼き牡蠣の衝撃的な旨さ(12年03月)


「THE LOUNGE」 千代田区丸の内3-2-3 富士ビル1F [Map] 03-3216-9118
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