「濃いぃぞ名古屋」カテゴリーアーカイブ

麺類「信濃屋」で多治見の炎天下ころかけにうどんに支那そばころは香露の発祥の店

記録的、と叫ばれ続けた暑い夏。
ガツンと頭を殴られるような、全身を熱波の圧に絡め取られるような、そんな瞬間が何度もありました。
例年、同じようなクソ暑い日が何日かは勿論あるのだけれど、それが何日も続いたのが、この夏の暑さが異常と云われるところなのでしょう。

近年では、熊谷市が観測史上最高を更新する41.1度を観測し、
「日本一暑い街」の称号を奪還したと云われ、名を上げた(?)。
その一方で、暑い町の常連だった岐阜・多治見は、
観測史上歴代第5位と、やや地味なポジションにあるらしい。

そんなことを思いつつ、初めてJR多治見駅に降り立ったのは、
盛夏にして晴天の八月上旬のことでありました。
ちょっと地味な順位だからって暑くない訳は決してなく、
路傍に佇んでいるだけで全身から汗がどっと噴き出してきます(汗)。

所用を済ませて向かったのは、中央本線の線路沿い。
ギラギラとした陽射しに照らされた踏切の向こうに、
人影がちらほらと窺える。もしやと思いつつ近づけば案の定、
麺類「信濃屋」さんの行列でありました。
この炎天下に行列するなんて自殺行為に近いものがありますが、
此処まで来たのだもの!という気概だけで汗を拭う。
その後屋根の下に誘導してくれ、ホッとひと息つけたのでした。

いい具合に年季の入った店先には、
これはそう、”手打ちうどん””ころかけ”と読むのでしょう。“ころかけ”の”ころ”と云えば真っ先に思い浮かべるのが、
旗の台「でら打ち」の「ころうどん」。
名古屋・岐阜方面をその発祥地とするものなんだろうなということは、
なんとはなしに思っていたので、
お、やっぱりそうなんだとニンマリなんかして(笑)。

暑いがゆえに長く感じられた待ち時間から開放されて、
外観に違わぬいい味の滲みた店内の小上がりに入れ込みとなる。
座布団にお尻を半分載せたような半身の格好で、
垂れ壁に掲げた天然木の扁額を見上げます。
「信濃屋」さんのメニューは、潔くも三品のみであるようです。

座卓の上へとまず受け取ったのが、
冷たいうどんであるところの「ころかけ」の小。伊勢うどんのような見掛けでもあるなぁと思いつつ、
数本のうどんを箸の先に載せて、啜る。
伊勢うどんようなふわんとした口触りが一瞬して、
その後から一転しっかりした歯応えが過ぎる。
ツユは濃そうでいて、さらっと仄かに甘い。
成る程、余所では知らない、素朴にして端正なうどんだ。

温かい方の「うどん」も小盛りにて頂戴する。「ころかけ」に比べて、うどんのしなやかさが増し、
ツユの出汁と醤油が柔らかくそれを引き立てる。
並盛りの半額っていうのもなんだかとっても申し訳ない(笑)。

申し訳ないついでに「支那そば(小)」もいただいてしまう。透明感のあるやや幅広の麺が独特。
ワンタンの皮の生地を細長く切ったようなテクスチャーで、
少しポソっとして、案外ツルっとした感じが不思議な気持ちにさせる。
たとえ年老いたとしても、朝から毎日いただる、
そんなどんぶりでありました。

「ころかけ(小)」「うどん(小)」、
そして「支那そば(小)」をぺろっといただけた。食べ終わり際に実直なるご主人が顔を出してくれ、
味の濃い薄いなど調整いたしますので等々を声を掛けてくれる。
実際に味を調整するのはタイミング的にも難しいとは思うものの、
行列が出来る店になってもなお、
お口に合いますか?と訊ねるような姿勢は、
なかなか真似のできることじゃない。
信奉者が増えて然るべきでありますね。

いまもなお暑い町多治見の踏切の向こうに、麺類「信濃屋」はある。そう云えば、”ころ”ってそもそもなんだろうと調べてみると、
Wikipediaに、その発祥についての件があった。
-現在は岐阜県多治見市にある信濃屋の初代店主が戦前、
名古屋市中区にあったうどん屋を任されていた際、
当時まかないとして食べられていた冷たいうどんを
「香露かけ」と名付けて客に提供したことが、
「ころ」の名称の由来である-
あああ!信濃屋さん初代が「ころ」の起源だったのですね。
御見逸れしました。申し訳ありません。
お邪魔できて良かったと、改めてじわじわ思っているところです。

「信濃屋」
岐阜県多治見市上野町3-46 [Map] 0572-22-1984

column/03761

中華そば「丸デブ」総本店で中華そばわんたん連食並々と汁湛える小振り丼

まだ五月だというのに妙に暑いおひる時。
そふ云へば多治見が日本一暑い!なんてことが以前ニュースになっていたことがあったっけ。
そんなことをややボーっとし始めた脳裏に浮かべつつ、岐阜の街中にいました。
さて何処ぞでおひるいただこうかしらんと腕組みして、岐阜出身の友人へとメッセージを送る。
即答してくれた候補の中にちょっと珍妙な名前の店があったのです。

マルデブとな??
語感から重量力士が厨房に並んでいる様子を想像し、
そこから、巨漢の兄ちゃんがちゃんぽんの大鍋を搔き回していた、
嘗ての「日本橋長崎楼」を思い出したりしつつ、
髙島屋の向かい側へとやってきました。アーケードから横道を覗き込み、
立ち止まり見た店先に堂々と提げた暖簾には確かに、
マルで囲んだ「デブ」の文字。
それが丁寧にも登録商標であるらしいのだ。

ガラッと開いた引き戸の中に足を踏み入れる。
店内は七割の入りだ。奥の厨房の下がり壁には、
「中華そば」と「わんたん」それぞれ400円の札と、
六のつく日の定休日3日間を示す木札とが並んでいる。

潔くもふた品のみみたいだな、
大盛りとかないのかなと思っていると、
同じような疑問を抱いたであろう先客が、
ないのですよ~と諭すような答えを得てくれた。

お願いした「中華そば」が着丼して目を瞠る。
可愛らしい小振りなドンブリに並々とスープが張られ、
縮れのない麺が盛り上がるように盛られている。もしもドンブリ大きくしちゃったら、
見た目の魅力半減かもなぁと思いつつ、
醤油の酸味と甘みの利いた汁をたっぷり持ち上げる、
粉の風味が素朴にムニッと伝わる麺を啜り上げます。
ほーー。
スープに強い旨味を主張させる汁ではなく、
かん水をほとんど含まない麺を日本蕎麦の甘汁に浮かべたような、
そんな「中華そば」なのであります。

実際に少な目なのか、
ドンブリが小さい印象からくる錯覚も手伝うのか、
するするするりんとあっという間に「中華そば」が減ってゆく。
すると「わんたん」も食べられちゃうかもという思いが、
強烈に頭を擡げてきます(笑)。

「中華そば」を食べ終える前に註文んでいた、
「わんたん」のドンブリが卓上に届く。
ドンブリの大きさは勿論「中華そば」と同じだ。具は少々のまさに皮をいただくわんたん。
脂はすっかりスープに移したような歯触りの焼豚。
ちょっとドンブリを動かせば零れてしまう満載の汁。
なかなかどうして悪くない。

偶然にもその二か月後にも岐阜を訪れる機会あり。
ふたたびの炎天下、髙島屋の向かいへとやってきた。思わず「中華そば」と「わんたん」両方!と註文んでしまったけれど、
それはあんまりよろしくない…。
汗だくで熱々「わんたん」を啜っているうちに「中華そば」が届き、
その所為で「中華そば」の麺を少々伸ばす結果となってしまった。
あの麺の独特な食感は出来立てであってこそ。
しまったー(笑)。

岐阜は柳ケ瀬近く髙島屋向かいに、
中華そば「丸デブ」総本店はある。何故に「丸デブ」なのかこっそりホールのお兄さんに訊いてみた。
初代がなかなかふくよかな方で「デブ」。
それを縁起の良いといわれる丸で囲んだものを店の名としたという。
やはりというかそのまんまというか(笑)。
おデブさんのラーメン店主は少なからずいそうなことを考えると、
成る程、商標登録に手を打ったのは手堅い対策だったのですね。

「丸デブ」
岐阜市日ノ出町3-1 [Map] 058-262-9573

column/03732

生そば「丸長」で冷たい雨の康生通り具沢山なお雑煮の土鍋にぬくぬく温まる

marucho何度か見聞きする土地や街の名前。
ざっくりあの辺りであろうとは思ってはいても、用事もないとそのはっきりした所在を知らないままという場所というのも少なくないものでありますね。
この冬にお邪魔した岡崎もそのひとつ。
岡崎市の位置は、浜松と名古屋のちょうど中間あたり。
豊橋や蒲郡と豊田や知立との真ん中あたりでもある。
時間的にはちょっと近い、名古屋から戻るルートで岡崎入りしました。

どちらかと云うと街の中心は、
岡崎駅ではなくて東岡崎駅の方であるらしく、
乙川の向こうにあるのが、岡崎城の城址を囲む岡崎公園。marucho01ああ、岡崎と云えば家康だと今更のように気づきつつ、
でも家康とどんな縁の城だったかは詳らかでない不見識(笑)。
おひる処を求めて冷たい雨の降る中、
康生通りと名付けられた通りを往けば、
岡崎が家康公生誕の地であることを知らせる時計塔が見付かりました。

それは、時計塔近く舗道から向かい側を眺めて認めた佇まい。marucho02左右に駐車場のスパースが空き、
背後にやや高めのビルが建つ。
地上げに抗い続けたとも思わせる空間にぽつねんと、
小さな蕎麦店が建っていました。

寒さに両手を擦りながら通りを渡り、
向こう側の舗道に立つ。marucho03生そばと黒抜いた縄暖簾がいい。
そして、硝子窓を守る木の桟に結わえた額縁には、
二行だけの季節の品書き。
「なべ焼うどん」に「おぞう煮」。
どちらも温まりそうだ。

ガラガラっと戸を引くと、
外観で想像した通りの設えが迎えてくれる。marucho04ふと、池上の「蓮月」を思い出しつつ、
店の中に、特に厨房との仕切り部分に庇を作るのは、
いつ頃の流行だったのかなぁなんて考える。
右手の壁には「人生は七十才より」と心得を示す額があったり、
“高いつもりで低いのが教養”といった十行を示す、
「つもりちがい十ヵ条」が掲げられたりしています。

お品書きは左手の壁に。marucho05そばにうどんが当然の充実具合。
中華そばもあるのかと思いつつ改めて見回すと、
「親子南波」に「鳥なんば」という札がある。
こちらでは、南蛮のことを南波と呼ぶみたいです。

お願いしていた「おぞう煮」がやってきました。marucho06ありそうでなさそうなメニューと思う「おぞう煮」が、
熱々の土鍋で届いて、温かな湯気を上げてくれています。

お野菜あれこれに占地椎茸榎茸、
蒲鉾に飾り麩も浮かぶ具沢山。marucho07ふーふーしてから啜った汁がこっくりと旨く、
寒さに悴んでいた肩先がふっと解れる感じのする。

鶏の身をつまみ、いよいよお餅に箸の先を伸ばす。marucho08土鍋に炊かれて、とろーんとしつつ、
煮崩れない加減のお餅の甘さにまた気持ちが和らぐのでありました。
はー、温まった温まった。

家康公生誕の地、岡崎の康生通りに生そば「丸長」の小さな店がある。marucho09おばぁちゃん、ぬくぬく温かなひと時をありがとう。
もしも今度があったなら「カレー南波」あたりをいただこうかな。

「丸長」
岡崎市康生通東2-5 [Map] 0564-22-2415

column/03673

鰻「とみた」で茶漬けにしない櫃まぶし或る夏の日の想いで

tomita或る夏の日の想ひで。
その日は、名古屋にいました。
名古屋駅から市営地下鉄の桜通線に乗って、桜山という駅で下車。
真夏のことなので、桜の山は何処にあるのだろうなんてところに気が向くこともなく、市立の大学病院の脇の道を歩いていました。
ジリジリと照り付ける陽射しによろめきそうになりながら辿り着いたのは、菊園町という住宅地でありました。

通りをまったりとそよぐ風にハラハラと揺れる暖簾は、夏らしい絣でしょうか。tomita01鰻「とみた」にお邪魔しました。

注文をお願いすると、その注文の品であろう鰻が炭火の上に置かれる。tomita02炭火の遠赤外線が炙る様子を額の汗をもう一度拭いながら眺めます。

届いたのは、ご存知「ひつまぶし」。tomita03やっぱり、櫃まぶし専用に誂えた器なのだろうなぁと鰻を載せた器に触れます。

ザク切りした鰻の照りがいい感じ。tomita04妙にジューシーでなく、パリッと芳ばしそうなのが見て取れます。

茶碗によそって急くように箸を動かせば、見た目通りの芳ばしさ。tomita05ベタつかない旨味がグイっと迫ります。

櫃まぶしのお作法にまず則って、薬味の小葱をトッピング。tomita06うんうん、青い香気が鰻の旨味にちょっとしたキレを生んでくれます。

続いて、刻み海苔をトッピング。tomita07はいはい、鰻の香ばしさにちょっとした磯風味が加わって、ニンマリさせてくれます。

お作法ではこの後、茶漬けにするのですけれど、折角芳ばしく焼き上げた鰻を濡らしてベチャベチャにしてしまう手はあり得ません。
山葵をちょんと載せて、そのまま完食に至るのが宜しいかと存じます。

昭和区菊園町の住宅地に鰻「とみた」の暖簾が揺れる。tomita08「あつた蓬莱軒」や「いば昇」「宮田楼」あたりにも負けない櫃まぶしをご馳走さまでした。

「とみた」
名古屋市昭和区菊園町3-19-1 花園ビル1F [Map] 052-853-0386

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元祖手羽先唐揚「風来坊」で手羽先唐揚げささみ刺身手羽餃子に名古屋めしを思う

furaibo例えば「矢場とん」の八丁味噌をソースにしたとんかつは、諸手を挙げて称えるものとはちょと違う気がする。
鰻蒲焼はそれだけで旨いから、ひつまぶしの三段活用はなくてもいいんじゃないかなぁなんて思ったり。
「味仙」の台湾ラーメンのインパクトは強烈だけれど、一度でいいかなぁと思うのは「二郎」を卒業しちゃった身だからかなぁとか(笑)。
ただ、気の利いたイタリアンが点在していたり、「ままや」「おっこん」といった料理屋や矢場の居酒屋「大江戸」なんかは決して悪くない。
そうそう、居酒屋情緒からいけば、伏見の老舗「大甚 本店」や名駅の「のんき屋」あたりにも複数回足を運んでる。
京都大阪や東京の幅と奥行きがどんだけ広くて厚いんだってってことかもしれません。

名古屋名物と謳うもののひとつに、手羽先の「世界の山ちゃん」がある。
名古屋の街中にいるとここにも此処にもとあちこちで創業者らしき御仁のイラストが入った看板が見つかる。
そのうちの何軒かに入ってみたものの、正直なところこれも”名物に旨いものなし”ってことなのかなと思ったりした(笑)。
でもそれとは違う手羽先の店があると知って向かったのが、ボストン美術館のある金山駅です。

店の名を「風来坊」。
気風のいい力強い揮毫の暖簾を潜ると小ざっぱりした店内と気の置けない風情のオバちゃんたちが迎えてくれます。

燗のお酒をいただいて、まず迎えたのが「ささみ刺身」。furaibo01さっと霜降りした表皮の中から活き生きした鶏の仄甘さが愉しめます。

そしてやっぱり「手羽先唐揚げ」は外せない。furaibo02うんうん、某店の出汁殻みたいな手羽先ではなくて(笑)、骨を包んだ身がたっぷり味わえていい。
味付けも過度な調味料を思わせない自然な仕立てのタレがいい。

初鰹には早過ぎる?とかなんとか云いながら「かつおたたき」。furaibo03しっとりと澄んだ紅色に炙られた桜色が縁取る鰹。
さらっとした仄かな酸味の中に旨味が花開いてゆきます。

当然ながら春限定の「新竹の子の天ぷら」もいただきたい。furaibo04柔らかな筍の歯触りと滴るような甘さ香りは、春先の贅沢のひとつですね、オバちゃん。

「砂肝串焼き」は、ちまちましない大振り切り身でやってきた。furaibo05塩加減もよろしく、独特の歯応えも美味しさの大事な要素もひとつです。

んじゃ下足も焼いてもらおうと「いかげそ塩焼き」。furaibo06このぶつ切り具合が、串焼き屋さんのそれでなく、料理屋さんの串を思わせていいんだ。

しまった、鶏料理もまだまだあるんだったと「手羽餃子」。furaibo07手羽の皮の中にこれでもか!ぐらいに餃子あんを押し込んである。
芳ばしくもジューシーな皮目の旨味と餃子あんの渾然が不味かろう筈がありません。
ちょっと呑み過ぎのご馳走さま(笑)。

元祖手羽先唐揚げを謳う「風来坊」の金山店にやってきた。furaibo08「風来坊」は、小倉出身の創業者が興した店で、いまや名古屋市内を中心に多くの店舗元擁しているらしい。
鶏料理の項には、店の起源でもあるらしい「ターザン焼き」なる一品とか「しもふり」なるお題もある。
またお邪魔しなくっちゃだ。

「風来坊」金山店
名古屋市中区金山4丁目1-14 [Map] 052-331-8581
http://www.furaibou.com/

column/03545