「北区赤羽足立北千住」カテゴリーアーカイブ

Bistro「2538②」で4種ワイン野菜たっぷりポトフにカスレに牛ホホ肉赤ワイン煮込

2538日曜日というのはやっぱり、定休日にしている飲食店が多い。
キリスト教でいうところの安息日は土曜日を指すようで、その翌日の日曜日は礼拝を行う日であり、一般に休日であるとされてきている。
日本の官庁は、幾つかの法律により日曜日および土曜日・祝日等を休日と定められていて、民間企業においても日曜日が休日であると、一般には認識されている。
だから、休日の日曜日に飲食店がお休みしていても当然といえば当然のことなのだ。
そんなことを今更のように考えてみると逆に、休日の日曜日に営業している飲食店が実に多いことに気が付く。
土曜日よりは圧倒的に選択肢が狭まるのも事実だけれど、日曜日に営ってくれているお店にはちょこっと感謝しなければなりません。

北千住は荒川の堤防際に建つ学びピア21では、
七階にあるレストランさくらのバルコニーが素晴らしい。
恒例の講座からの打ち上げに絶好のロケーションなのだけど、
その日に限って貸切されてしまっていて、残念無念。
已むなく打ち上げの店を探しつつ、
北千住駅方面へと漫ろ歩きしたのでありました。

いつぞやの牛串煮込み「藤や」はまだしも、
そのお向かいの有名店「徳多和良」は立ち呑みの店で団体さまお断り。
居酒屋「大はし」は勿論のこと「千住の永見」も日曜はお休みだ。
どうしてこう、居酒屋みたいなところしか知らないのだろう(笑)と、
苦笑いしながらサンロードという裏通りを歩いていたら、
横張りした板の空色が印象的な店のファサードに立ち止まる。
駅前の路地でも見たような気もする記号は「2538」。
ここなんか、いいのじゃないでしょか。

そんなこんなで、開店直後の店の二階に上がり込む。
253801女性受けもしそうな、どこか可愛らしいインテリア。
その隅っこのテーブルを囲みました。

グラスワインの4種セットなんて嬉しいタイトルを目に留めて、
早速白ワインで註文してみるい。253802説明によれば、仏蘭西の「フラマン」に、
西班牙の「ファウスティーノ7世」。
ブルゴーニュのシャルドネ「レ・ロジェ」に日替わりのもう品。
地域も葡萄品種もあれこれ異なるグラスを愉しめて、
グラスの凸凹変化もまた一興。
それで楽しくなってくるのは酔った所為(笑)?

俎板お皿に一緒盛りしてくれたのは、
「お肉の前菜盛り合わせ」。253803253804「パテ・ド・カンパーニュ」や「鶏白レバーパテ」「豚のリエット」、
生ハムや自家製ピクルスなんかの上に、
炙ったバゲットが被さるように載っている。
当然のようにワインが似合うお皿に、
これだけでいっか!みたない気分なってきます(笑)。

奥の壁に提げられた黒板を見上げると、
その筆頭にあったのが、この日のキッシュのご案内。253805253806今日のお題は、ほうれん草ズッキーニ。
うんうん、ジャガイモの甘さも、
ズッキーニの歯触りも悪くない。
そして勿論、グラスのワインがよく似合う。

2583(ニコミヤ)っつーくらいだからやっぱり、
煮込み料理をいただきましょうとお願いしていたお皿のひとつが、
2538オリジナルの「野菜たっぷりポトフ」。253807トマト風味のスープとしているところが特徴で、
煮込んでくたっとなった野菜と歯触りを残した野菜とが協演してる。
エキス滲むスープはスープで美味しくて、
ほろっとしたお肉はお肉であっさりといただけます。

煮込み料理5品のうちのもうひと品が、
ご存知「カスレ」。253808ソーセージ、塩豚と白インゲン豆の煮込みと副題があるように、
熱々のお皿目一杯に腸詰や豚の肉塊なぞが詰まっていて、
隙間を白隠元豆が埋めています。
太いソーセージを引っ張り出してから、
お豆がメインよとばかりに摘んではワインのグラスを傾けます。

ワイン吞み切っちゃったのでどうしようと悩んで、
選んでみたのが「シロックハイボール」。253809「シロック」というのは、葡萄でつくられたウォッカであるという。
ブランデーともグラッパともちょと違う葡萄の蒸溜酒であるらしい。
云われてみれば、葡萄の香りがするような柑橘の風味がするような。
あれ?でも、なかなか強いのかも(笑)。

そしてそして、煮込み屋名物と謳うは、
「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」。253810それはもう、期待通りの柔らかさと、
赤ワインやブイヨンの旨味を煮含んだ艶やかなコク味。
ハイ、赤ワインを貰いましょうね。

北千住の裏通り、サンロードの中程に、
煮込み料理を軸に据えたビストロ「2538②」がある。253813駅前の丸井の前から宿場通りに抜ける路地にあるのが、
北千住ワイン酒場・ビストロ「2538」で、
宿場町通り沿いのビル二階にあるのがItalian Bar「2538」。
そして、当のBistro「2538②」はその後、
和牛肉バル「2538」と変化を遂げているらしい。
黒毛和牛を一頭買いしての、
より肉々しい店になっている模様です。

「2538②」
足立区千住4-19-16 [Map] 03-3870-5600
http://www.c-second.com/

column/03678

呑処「千住の永見」でボールと千寿揚げカレーコロッケ牛煮込み豆腐ザ千住の呑処

nagami北千住に夕刻時分にいることは、偶にはあるようでいてそれがなかなかないもので。
とある初夏の夕暮れ時に北千住の西口にいたならば、そのまま帰るという選択肢は端から芽生えずにして、足は自然と横丁や路地へと向かってしまうのであります(笑)。

横丁や路地で見つけた、
両手に余る気になるお店たちを記憶に留めつつ、
ぐるぐるっと廻って結局、
西口のロータリーに辿り着かんとする、通称「飲み横」。
飲み横のおヘソの一軒が関西風串カツの立ち呑み処「天七」。nagami01そしてその並びで負けじと引力を発揮しているのが、
ご存知「千住の永見」であります。

店先のスタンド看板が揮っていて、
思わず立ち止まってそのコピーを読み上げてしまう。nagami02気の合う仲間と美味しい手(掌アイコン)作りの料理。
うまいビール(ジョッキアイコン)で乾杯すれば、
人生けっこう楽しいもんだ。

ひとり吞みしようとしているところにほんの少し複雑な気分も過ぎるも、
暖簾の中のカウンターには、ひとり吞みの御仁がずらりと並んでいて、
微かな寂しさも途端に吹き飛んでしまいます(笑)。

カウンターの端から端まで、ずらっと貼られた品札たち。nagami03さて、ひとまず赤星の瓶でもお願いしましょうか。

それとも、ちょっとした名物のひとつ「ボール」で喉を潤しましょか。nagami04「千住の永見」の「ボール」、
つまりは焼酎ハイボールはこんな色合いのグラスなのであります。

まさしく当店名物と謳うのが「千寿あげ」。nagami05千寿葱を思わす”千寿”の文字を見上げ乍ら、
お皿の脇に添えてくれた練り山葵をちょっぴり載せて口に含む。
成る程、ふわっとした食感の中から葱の甘い風味がやってくる。
コロンとした薩摩揚げの中にはとろんとした刻み葱。
美味いじゃないッスか。

お豆腐入りの方の煮込み「牛煮込み豆腐」を所望する。nagami06北千住の有名店、“千住で2番”の「大はし」external-link-blue-medium02-Shapes4FREE でも、
大鍋から届くザ煮込みと豆腐の入ったヤツとがあったっけ。
「大はし」の割とほろほろして味の滲みた身肉の煮込み。
対してこちらのは、こってりさせずにホルモンの甘さを引き出して、
ってな仕立ての煮込みで御座います。

「自家製ポテトサラダ」の丁寧に裏漉しした様子の、
しっとりテクスチャを舐めいただきつつ、
下町も居酒屋ならではの所謂「バイス」。nagami08nagami07どこかケミカルにも映る赤紫蘇の風味が、
とってもらしい、のでありますね。

これもまたこちらの定番「カレーコロッケ」。nagami09サラダと違って粗めにマッシュしたジャガイモに、
しっかりとカレー粉を塗して揚げた手作り感がいい。

「あさりと水菜煮びたし」をいただく頃にはコップ酒。nagami10nagami14硝子ケースの中を改めて覗き込んで、〆鯖をいただくも、
せめて註文を受けてから包丁して欲しいと小さく呟く恨み節。
それは、きちんと酔っ払った証左でせうね(笑)。

北千住の西口に幾多の呑み屋の星あれど、
地名を背負った呑処と云えば「千住の永見」でありましょか。nagami13また今度、ふらふらっと立ち寄れるのはいつの日か。
それは出来ればまだ日の残る黄昏前であって欲しい。
両隣に煙草を吸うオッちゃんがいないこともちょっぴり願って。

「千住の永見」
足立区千住2-62 [Map] 03-3888-7372
http://www.senju-nagami.com/

column/03600

割烹くずし「徳多和良」で羽太湯引き甘海老タレ焼白魚玉子とじ嗚呼季節毎訪ねたい

tokudawara昨年14年の夏のこと。
放送大学の東京足立学習センターが併設された北千住の「学びピア21」の講堂へ、laraさん達による放送大学講座「フルートのさまざまなカタチvol.2」のリハーサルに顔を出す、なんてことがありました。
その足で何処かで一献と向かったのが、北千住西口と日光街道の間を結ぶアーケードから脇道に入り込んだ場所。
立ち呑み処「徳多和良」が目当てだったのだけど、ちょうどお盆の臨時休業にぶち当たる。
そんな経緯でお向かいの牛串煮込み「藤や」さんとの僥倖に恵まれることとなったのでありました。

初夏の侯、所用にて夕刻に北千住にいる。
こんなチャンスはなかなかないと早速、何時ぞやの小路を辿ります。tokudawara01「藤や」向かいの、ややセットバックしたビルに小さく「徳多和良」の行燈看板が点っていました。
今宵は営業しているようです(笑)。

店前には、今まさに暖簾の奥へと雪崩れ込もうとしているひと達がいる。tokudawara02決して広くない店内ゆえ、大人数での来店やすっかり出来上がっての来店はお断りの「徳多和良」。
はてさて、居場所はあるでしょか。

運よくすんなりと奥寄りのカウンターに陣取ることができての「レーベンブロイ」。tokudawara03意外と吞める機会の少ないミュンヘン式ビールで口開けだ。

その日の日付の入ったお品書きからまずは「小肌」。tokudawara04300円均一から400円、500円、600円均一までに分かれていてとっても判り易いけど、結局やっぱりあれやこれやと悩ませるお品書きだ(笑)。

棚の向こうでオヤジさんが立ち動く様子を眺めながら「羽太(はた)湯引き」のお皿を受け取る。tokudawara08あくまで淡白な口当たりの中にじわっと旨味が揺らめく上品な身。
クルンと丸まった皮目もまたオツでございます。

はじかみ抱えた「赤魚くんせい干し」もまた皮と皮の際の脂とほろっと甘いその身が旨い。tokudawara07抜いた水分と入れ代わりに薫香がほんのり漂って、なかなかの佳品であります。

こりゃ日本酒だなと想いつつも「徳多和良」オリジナルという「徳ハイ」も気になって。tokudawara06ウィスキーと梅酒のブレンドによるサワーということで、成る程、その通りの味がする。
でもこれならワタシは、すっきり角ハイの方が好みです(笑)。

「目板かれい唐揚げ」は意外と優しげな揚げ色。tokudawara05これで縁側部分はどうかなと試しに齧ってみると、ポリポリいただく感じではない。
ふんわりとした目板の白身を愉しむノリの唐揚げだ。

ガンガンと注文を入れるお隣の女史の手許に届いた「甘海老タレ焼」が旨そうなので、真似して注文する。tokudawara09鮨軍艦に載る甘海老とは違って、まずは立派なサイズなのが頼もしい。
バリバリと頭から齧り付けば、タレの海老の殻とが互いに芳ばしさを発揮して、その中から味噌の旨みが追い駆けてくる。
なはは、こりゃ美味いや。

ここ辺りで、普通酒「本菊泉」から吟醸古酒の「吉の川」に切り替える。
比べちゃいけない、ぐっとコクを増す旨味。
でも、アル添の呑み口も嫌いではありません。

そこへお願いしていた「白魚玉子とじ」の器が届く。tokudawara10出汁のしっかり利いた汁にふわふわっと優しき白魚の甘味と溶き玉子の和らぎがいい。

ここでちょうど3年程前の想ひ出も振り返ってみる。tokudawara12暖簾が切り替わるのは、いつ頃のことなのでしょう。

あったら註文むの「しめさば」は、じっくり〆たよな佇まい。tokudawara13時季により脂のノリにより〆方も変わってくるのでしょうね。

シャッキリ歯触りと出汁とともに味わう「京水菜と油揚げ煮浸し」や芳ばしさが嬉しい「いわしのカレー風味揚げ」。tokudawara14tokudawara15 tokudawara16tokudawara17そうかと思えば「牛ロース」や「つくね」といった串料理もあれこれいただきました。

北千住の気の利いた立ち呑み処として夙に知られた、
割烹くずし「徳多和良」。tokudawara18 きっといつ訪ねても混み合っている人気店には、季節毎に、出来れば早い時間帯にお邪魔したい。
お隣女史やさらにお隣の常連さんによると元々は町屋にお店があったらしい「徳多和良」。
(立ち呑みだけど)長っ尻を避け、一時間ほどの滞在を目途にしておく方がよろしいようです。
あ、そうそう、laraさん達による放送大学講座のvol.3がこの晩夏にあるようですよ。

「徳多和良」
足立区千住2-12 [Map] 03-3870-7824

column/03583

大衆酒場「斎藤酒場」で 横丁に零れる穏やかな喧騒揺れる暖簾

saitosakaba.jpg京浜東北線の東十条駅からも徒歩圏の十条駅。 なかなか用事がない駅ではあるけれど、 行こうとすれば、池袋からたった二駅目。 いつ以来かまったく憶えはないものの、 改札を出て北口のロータリーに立ってみると、 不思議なほど明瞭な既視感がある。 どうやら初めての地ではないようです。

駅舎からすぐの大東京信用組合の建物の左脇。 そのロータリーを起点にして、「プチロード」という横丁がある。saitosakaba01.jpg十条銀座とも小さく謳う、横丁の左手すぐにあるのが、 有名居酒屋「斎藤酒場」であります。

「大衆酒場」と大きく揮った濃藍の暖簾。 その脇には、創業昭和三年とある。saitosakaba02.jpg半分開け放ったままの戸口。 暖簾をちょっと払って覗き込むと、ほぼ満席ながら、 ぽつぽつと空いた席がありそうな様子。 待ち合わせの旨を伝えて、席を確保する。 大木の根の辺りを真横に刻んだ一枚板がそのままテーブルになっています。

腰を下ろしたのは、畳を敷いた、謂わばベンチシート。saitosakaba03.jpgきっと人数増えても座れちゃう、柔軟にして味な設えでご座います。

おはこびのお姐さん達が巡回してくれているので、 間をみて、ちょっと手を挙げれば、テンポよく注文できる。 まずは瓶の麦酒、所謂赤星をいただいて、 向かい側の壁の天井近くにずらっと並べて掛け下げられている黒い品札を眺めます。 色々あって、悩ませる悩ませる。

「ポテトサラダ」は、しっとり仕立ての柳腰。 中学小僧の頃は、含んだ玉葱の苦味が苦手でした。

夏の名残りの「みょうが甘酢」は、オツな小鉢。 茗荷が大好物な子供っているんだろかと腕を組む。

「もつにこみ」は、すっきり味噌仕立て。 “モツ”を初めて口にしたのって何時何処でだろう、憶えてないや。

賽の目の「マグロ煮」は、じっくり味滲みてほろっとしたヤツ。 新幹線の社内販売でこんなの買えたら嬉しいだろな。

もっとヘルシーにと、「セロリ マヨネーズ」。 中学生までは嫌いだったけど、今はもう美味しくいただける。

「しめさば」は、ギュっとシマった男伊達。 大塚「江戸一」の美しき「〆鯖」と妙に比べてはいけません。

「カレーコロッケ」は、二個並びが標準形。 コロッケをカレー味にしちゃうなんて、売り出し当初はハイカラだったに違いない。

赤星の瓶が空いたら、シンプルに「酎ハイ」なんてのもいいでしょう。 品書きに読む「生葡萄酒」に何故か、「ささもと」の「葡萄割り」を思い出したりして。

男性客九割五分の高打率。 ザワザワガヤガヤとした穏やかな喧騒に包まれる心地よさ。 紫煙漂うのは此処では已むなし。 おはこびのお姐さん方の気遣いと間合いも悪くない。

創業昭和三年、銘酒場として知られる十条「斎藤酒場」。saitosakaba04-01.jpgsaitosakaba05.jpg戦前戦後の町の変遷、通い来る幾多の酔客たちの表情を見てきた暖簾は、 今日も横丁を抜けて吹く風に揺れています。

口 関連記事:   酒場「江戸一」で 白鷹かき醤油〆鯖鰯ぬた空中眺め合うカウンター(14年10月)   モツ焼きモツ煮こみ「ささもと」で 蕩ける串たち葡萄割り(08年09月)


「斎藤酒場」 北区上十条2-30-13 [Map] 03-3906-6424
column/03472

牛串煮込み「藤や」で 焙じ茶割串モツ煮込キャベ玉じゃがバター

fujiya.jpg荒川の河川敷に面して、 千住新橋の南詰に建つのが学びピア21。 放送大学の東京足立学習センターが、 区の図書館や講堂などとともに併設されています。 7階の「さくら」が意外と出色のカフェレストランで、 ナポちんも勿論既食の「ナポリタン」も素敵に美味く、 荒川を望む夕暮れのテラスで呑むビールも堪らん、 知る人ぞ知る場所なのです。 そんな学びピア21の講堂へ、laraさん達による放送大学講座「フルートのさまざまなカタチvol.2」のリハーサルに顔を出しました。

リハーサルが済んで、何処かで一献と向かったのが、 知る人ぞ知る立ち飲みの「徳多和良」。

ところが、丁度お盆の時季ということもあって、 夏季休暇のお知らせに突き当たる。

ならばと振り返ったお向かいのお店。 スタンド看板には、牛串煮込み「藤や」とある。 ひとン家の玄関先にただ暖簾を架けたようにもみえる佇まいも味のあるところ。 闖入を試みましょう。

サッシュ扉を開ければ、そこは正に玄関の土間のよう。 そこにL字形のカウンターを据えていて、その角に銅の鍋が鎮座してる。fujiya01.jpg奥に目を遣れば、テレビに向かう居間がある。 その奥が台所(調理場)となっている。 外も中もひとン家や(笑)。

鍋に臨むカウンターの角に陣取って、まずはジョッキの泡を。fujiya03.jpgfujiya02.jpgお通しの茄子の味噌煮にしみじみしつつ、 壁に掛った黒板の白墨文字を物色すると、気になるもの目白押しだ。

色味鮮やかな「クジラ刺」は、蕩けるような口当たりと美味しさ。fujiya05.jpg臭みなんて勿論ありません。 以前は、如何にも解凍したものです、という代物もあったのに、 冷凍解凍技術が向上したのか、はたまた流通事情に変化があったのか。 何れにせよ、捕鯨に対する風当たりは依然として強い中、 有難くいただくことといたしましょう。

「あじ酢」は、いい塩梅と〆加減。fujiya04.jpgさっと柔らかに旨味が解けるに嬉しき哉。

棚に並んだ焼酎は、キンミヤのラベルのみ。fujiya07.jpg実に柔和で篤実な人柄を窺わせるオヤジさんにどうやって呑るのがよいかと訊くと、 焙じ茶割りを勧めてくれる。 はい、焙じ茶割り、好いであります。

柔くなるまで待ってね、と告げていたオヤジさんが、 うん!という顔をしてから皿に載せてくれたのが、 「牛串煮込み」のハチノスにフワ、牛スジ。fujiya08.jpgfujiya09.jpgハチノスは、ご存知トリッパ。 肺であるところのフワが、歯触り妖しく汁をよく吸っていて旨い。 味噌でこってりとした煮込みも少なくない中、 割ときりっとした醤油仕立てだ。

fujiya10.jpg続いて、玉子と一緒に盛ってくれたのが、ハツモト。 ハツ=心臓の近く、大動脈辺りの部位がハツモトと呼ばれるらしい。 これ、切身によっては、噛んでも噛んでも噛みきれないものがあって、 噛みながら顔を見合わせて笑うこととなりました(笑)。

下町居酒屋でよくキンミヤとセットになっているバイス的なものが、 此処では原液をセルフサービスできたりする。fujiya15.jpgエキスの濃さや甘さを加減しながら呑むことができるンだ。 うん、愉しい嬉しい大好き。

「ポテトサラダ」や「剣先するめ」を肴にグラスを傾けているところに、 先に注文していた「キャベ玉」がやってきた。fujiya12.jpg成る程、そふいふ見映えでありますかと一斉に視線を集めるお皿には、 お好み焼きのような、スパニッシュオムレツの一部ような料理が載っています。 キャベツと玉子の自然な甘さが相俟って、ナハハと美味しい。 粉は使っていないので、お好み焼きとは違う。 家庭の味のようでいて、立派に気の利いた酒肴なのであります。

蒸かしたジャガイモにバター載っけたヤツ。 そんな想像しかしていなかったところに「じゃがバター」。fujiya13.jpgしゃくっとした歯応えを残すように炒めた感じが実にニクい。 これは、注文した方も素晴らしいといえましょう(笑)。

海鞘はどうも苦手でと顔を顰めるlaraさんにと「ホヤ塩辛」。fujiya11.jpg恐る恐る口にして、うん、ダイジョウブ。 新鮮でない刺身や酢の物に出会すとそれがトラウマになってしまうきらいがあるけれど、 こんな塩辛なら、大丈夫、じゃなくて、イケるでしょう。

北千住の裏通りに牛串煮込みの店「藤や」の暖簾。fujiya14.jpg他人様の玄関先で呑んでいる気分もあっと云う間にまったりと解けてきて、 下町情緒の居心地やよし。

並びにいらした下町チックに威勢よくずんずん話しかけてくるオバ様(笑)は、 翌日のレクチャーコンサートに参加してくれると、ちょっと酔った調子でそう仰る。 果たして本当に足を運んでくれるか、正直多少訝しんでいたものの、 しっかり参加していただいたのも、このお店での楽しい出来事でありました。


「藤や」 東京都足立区千住2-35 [Map] 03-3870-6677
column/03432