「京成沿線立石柴又」カテゴリーアーカイブ

鳥料理「鳥房」でご存知半身の若鶏唐揚げ鶏皮生姜煮鳥ぬた味な佇まいに忍び寄る影

再開発計画が明らかになっている京成立石駅周辺。
計画の南口西地区には、夙に知られたもつ焼「宇ち多゛」や立ち喰い「栄寿司」、おでんの「丸忠」などなどを擁する立石仲見世通りアーケードを検討範囲に含む。
再開発計画はそのエリアだけかと思っていたら、その東側の区画、更にはなんと北口側にも広範囲な計画があるらしい。

いつぞやの駅北口の風景。
踏切を紅い電車が、♪駆け抜けてーゆーくー。
思ーい出がー、風に、巻き込まれーるー(笑)。そして、味な佇まいで魅せるのが、
ご存知「鳥房」の店先であります。

一旦、店左手の路地に闖入していくと、
お尻をペタンと路面に落ち着けた猫が、
此方を窺っている。そのちょっと先には、
これまた味なる看板のアーチが架かる。
残念ながら未だお邪魔できていない、
もつ焼「江戸ッ子」がその先に控えています。

ひと巡りして「鳥房」の横丁に戻ると既にそこには、
席を待つひとの並びが出来ています。年季の入ってきた暖簾越しに覗く店内は、
右手にカウンターがあり、左手は座敷になっている。

お願いした瓶の麦酒と一緒にお通しの鶏皮の生姜煮がやってくる。濃過ぎないように煮しめた鳥皮にはなるほど、
生姜の風味がしっかり利いていて、
これだけでずっと呑めてしまいそうな予感が沸いてくる(笑)。

唐揚げの前の麦酒のお供にもう一品と「ぽんずさし」。辛味をキリッと利かせてポン酢と刻み葱と一緒にいただく鶏刺し。
うん、これが不味かろう筈はないよね。

そしてメインディッシュ「若鶏唐揚」が到着。
日によって微妙に変わるのでしょう、
グラム数と値段の組み合わせ3通り程についての口上に呼応するように、
席に着いた冒頭に註文していたものです。初めて?とお姐さんに訊かれて頷くと、
あらそうなの?とばかりに、
目にも留まらぬ速さで鶏の半身をバラしてくれる。
憶えた?と訊かれ思わず頷いたものの、
まったく会得していない(笑)。
ま、いっかと齧りついた唐揚げは、
まさにカラッと揚がった皮目が期待通りの旨さだ。

それから暫し後、ふたたび「鳥房」の暖簾前に立った夜。今度は右手のカウンターの一隅に案内されました。
鈍く反射する黒の品札の並びを見上げます。

瓶のビールのお供はやっぱり、鶏皮の生姜煮。五反田の「信濃屋」みたいな鶏肉専門店が身近にあれば、
自宅で真似てみるのも一興かもねなんて思いつつ、
次から次へと箸の先を動かします。

「鳥わさ」も「鳥かわし味」も、
そして「鳥サラダ」も気になりつつのご註文は「鳥ぬた」。湯引きした鳥ももでしょうか。
添えた酢味噌と葱とを和えると表情が変わる。
素朴にして極めてオツな一品であります。

一部でおっかないとの評もあるお姐さん方だけれど、
燗の温度を気にしてくれたりして、
愛嬌たっぷりにして優しく気が利いている。

ふたたび、3種類のうちの真ん中のサイズでお願いしていた、
若鶏唐揚が揚げ上がって届けられた。今回は、お姐さんが何を訊くでもなく、
ささっと超絶慣れた手際で捌いてくれる。
ワタシきっと、懇願の表情をしていたのでしょう(笑)。
やっぱり兎に角、皮目が旨い。
そして、余すところなく、ホジホジし齧り、しゃぶり尽くすのが、
お姐さんへの返礼だと思い至るのでありました。

京成立石駅の北口すぐに夙に知られらた唐揚げの店「鳥房」がある。忍び寄る再開発の影に果たして、
この店の佇まいがどうなってしまうのか。
一度失えば二度と取り戻すことのできない風情がここにもある。
ちょっとおセンチな気分に思うのは、
加齢の所為でありましょうか(笑)。

「鳥房」
葛飾区立石7-1-3 [Map] 03-3697-7025

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立喰「栄寿司」で立ち喰い八貫瓶麦酒アーケードの夕陽と束の間の滞在

sakaedushi所用にてお久し振りの京成立石の駅に降り立ちました。
習志野習志さんのお陰で、羨望のもつ焼「宇ち多゛」に潜入できたあの日以来のことになります。
真昼間の「焼酎のウメ割り」にガツンとやられて、二軒目のご近所「二毛作」まで千鳥足だったことを思い出す。
いやはやはっぱり、ほとんど生の焼酎のグイ呑みは効きますですね(笑)。

薄い雲を夕焼け色が染める頃。
商店街アーケードのゲートにも夕陽の銀朱色が映えていました。sakaedushi01再開発でこんな味のある景色を壊そうとするなんて、容易に考え及ぶことではありません。

そこから少し西寄りに行けば、立石仲見世のアーケードが口を開けて待っている。sakaedushi03中を覗くともう、「宇ち多゛」はシャッターを閉じている。
奥の人垣はどうやら、もう一軒のもつ焼屋「ミツワ」の行列である模様。

そんなアーケードの入口右手にあるのが、ご存知立喰い寿司の「栄寿司」の枯れた暖簾です。sakaedushi02遠い昔、健康診断からの足で覗いたのと同じように、暖簾をちょいと払って覗き込む。
するとお姐さんが顔を出してくれて、しばし待つよう促されました。

ちょっと待って、カウンター前に立つひとになる。
ここには、日本酒や焼酎の用意がなくて、あるのは麦酒のみ。
きっと、酒やら焼酎を置くと長っ尻(座ってないけど、笑)になって回転が悪くなるし、面倒くさい客も増えて芳しくないと踏んでのことなのかもしれないなと邪推する。

然らばと恵比寿をいただいて、まず迎えたのは、「いわし」に「さば」。sakaedushi04さっと皮を剥いだ銀色っていつみてもいいなぁとひとりごちます。

「生かき」をお願いすると同時に、どうやら舎利が新しくなったらしい。
そう告げられて目の前にしたのは、軍艦ではない生牡蠣のにぎり。sakaedushi05牡蠣が含んだ海水が舎利に滲みて、持ち上げようとするもハラハラと崩れてしまう。
舎利も落ち着いた頃合いってのがありそうで、こうして通し営業しているとこんなこともあるものですね。

「あんきも」も大胆にタネが載る気風の良さ。sakaedushi06うんうん、癖なき澄んだコク味が舎利と一緒に綻ぶ感じ。
改めて考えると「あんきも」には、帯海苔がされています。

「小肌」もまた一本筋の通ったヤツ。sakaedushi07このくらいの小ささが好みのサイズでありますね。

こちらは、軍艦捲いた「白海老」の。sakaedushi08白海老の甘さがムムムと広がるオツなヤツ。
お代わりしようかな(笑)。

煮物ラインナップから「煮帆立」を選んでみる。sakaedushi09さらっとした煮詰めが帆立のヒモにも絡んで旨くて、そして軽やかだ。

ここらでさっと切り上げようと、「白子」に手を伸ばす。sakaedushi10おろし生姜にちょろっと醤油を垂らして口に含めば、白子のクリーミーが軽快に味蕾の上を流れ消えてゆきます。

立石仲見世のアーケードで夙に知られた立ち喰い寿司「栄寿司」。sakaedushi11束の間の滞在時間は、およそ20分弱。
すっと寄ってさっと立ち去る屋台ノリは江戸の粋。
近所に暮らしていたならば、にぎりのラインナップを心得て、自らお決まりメニューを定めてしまいそうです(笑)。
「二毛作」にもまたお邪魔しなくっちゃ。

「栄寿司」
葛飾区立石1-18-5 [Map] 03-3692-7918

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もつ焼「宇ち多゛」で シンキツルウメ割りタンホネカシラめくるめく

uchida.jpgかれこれもう10年以上前のことでしょか。 今は別の健診施設にお世話になっているけれど、 そこに替わる以前の健康診断は、 何故だか京成立石にある古びた診療所のようなところで受診していました。 検査後の帰り道には、立石のどこかに呑みに寄る。 まだちょっと陽は高いけど、 みんなしてバリウムと下剤を飲んだお腹を抱えつつ、 それが毎度の恒例行事になっていました。

同じ健診を受けていた同僚の中には、 勤務前でも築地の場内場外で朝から本格的に呑んじゃうこともある、 ステキな先輩が、いた。

その呑ン兵衛な先輩が、健診後の立石で我先にと飛び込む店があったのが、 京成立石駅前「立石仲見世」のアーケード。

ご相伴に与ろうと追随を試みるも、 既に満員御礼であることに驚愕とすることも恒例であったのが、 そう、ご存知「宇ち多゛」なのでありました。

結局一度もお邪魔したことがないと嘆いていたところ、 習志野習志さんからお声掛けいただき、懐かしの京成立石の駅に降り立つ。uchida01.jpg立ち喰い寿司で有名な「栄寿司」の暖簾を横目にアーケードに突入します。

なんとか口開けの店内に潜り込んで見上げる裸電球。uchida02.jpg常連さんエリアとそうでもないカウンターと。 一種独特の熱気と緊張感を帯びた空気に包まれます。

ひと口麦酒からと所望すると、 やってきたのはキリンラガーの小瓶。 何気にうーむやるなと唸らせる選択ではありませんか。

スペシャルメニューのひとつらしい「シンキ」のお皿。uchida03.jpg「テッポウ」と「コブクロ」のコンビが「シンキ」なのだけど、 今回は、コブクロがなく、代わりにガツナマとなる。 直腸であるところの「テッポウ」の、ふにゅくにゅ食感が堪りません。

続いて届いた串が、「ツルタレよく焼き」。uchida04.jpg芳ばしく炙った外側からその中へと滲みるタレ。 一瞬の噛み応えが解けて、滋味が炸裂。 「ツル」ってどこでしたっけと問えばなんと、俗に云う「おちんちん」であるという。 ああ、美味しいものなのね(笑)。

下町の、そして「宇ち多゛」の酒といえば、「焼酎のウメ割り」。uchida05.jpg色付け程度にさっと垂らす梅シロップなので、 実態はほとんど甲類焼酎のストレート。 昼からこれは、ガツンと効くこと間違いなし。

美しく、エッジの利いたフォルムでやってきたのが、「タンナマ」。uchida06.jpg加減よくボイルしたタンのスライスに醤油タレ。 パサつく気配なんてまるでなし。 “ナマ”と呼ぶのがすっと馴染む、官能的な生々しさに惹かれます。

「ホネ」と云えばつまりは、豚の顎の肉入り煮込み。uchida07.jpguchida08.jpg骨から剥がすようにしていだだく肉も意外な量感。 思わず手掴みで挑めば、なんかこう、野生なハイエナな気分もいたします。

スペシャルなメニューを経てから、 「ハツ塩」に「レバ塩」。uchida09.jpg捌き立てを思う、やや大振りなもつの身が温められて活き活きと中から膨らみ、 炙った表面に張りをつくる。

uchida10.jpg「おしんこ」と前後して、 「焼酎のウメ割り」のお代わりをいただく頃には、 一杯目の酔いが回ってハッピーになってくる(笑)。

程よくジューシーなカシラは、「カシラタレ」で。uchida11.jpguchida12.jpgナンコツはやっぱり、「ナンコツ塩」で。 鶏の軟骨とは似て非なる食べ口でございます。

最後は、「シロタレよく焼き」で大団円。uchida14.jpgザ・ホルモンのシロは塩もいいけれど、 成る程香ばしくタレで焼き炙れば、これまた旨いんだと知りました。

ずっとずっと気になっていた、 京成立石の有名もつ焼き店「宇ち多゛」に初見参。uchida13.jpg習志野習志さん、お誘いありがとう。 身を寄せるように過ごした、一時間にも満たない時間は、 実にめくるめくよなひと時でありました。


「宇ち多゛」 葛飾区立石1-18-8 仲見世商店街 [Map] 03-3697-5738
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麺香房「天照」で しっかりボディきりっと醤油スープに開化楼麺

tensho.jpgふと気が向いて、日頃割と縁遠いぃ葛飾区は堀切菖蒲園までやってきました。 なんとなく漂う下町な空気に和みながら目指すは、 駅からも程近いラーメン店「天照」です。 通りの向かいに見える「糀や」と書いた暖簾を眺め、「ラーメン 大」と大きく記した黄色い看板を目にして「蒲田のそれと同じかなぁ」などと考えているうちに、角の信号まで来てしまった。
あれ?通り過ぎちゃった?と引き返すと、あったありました。 お店のファサードが醸す雰囲気が所謂ラーメン店のそれとは微妙に違っていて、アジアンな装いであることも通り過ぎちゃった理由なのかもしれません。 店内も外観と同じトーンで、黒褐色が基調。tensho01.jpg幕板に竹を使っていたり、テーブルトップにはタイルを埋め込んだりと、そんな装飾が施されています。 開くメニューに「トムヤムらー麺」「タイカレー」「タイ風春雨サラダ」などとあることから、タイ風エッセンスを織り込んだお店のようですね。 オーダーは素直に、「天照らー麺」。そこへ「天然塩の味玉子」「三味ネギ」トッピング。 初見で印象的なのは、スープの醤油色がなかなか濃いぃこと。tensho02.jpgそのスープを蓮華で啜ると、見た目ほどの塩辛さはなくて、しっかりしたボディと魚介系出汁の風味、その後を追うように醤油の酸味風味が届いてくる。 ほほ~、いいかもしんない。 三味ネギは、長葱と浅葱と玉葱の三種ネギで、玉葱のみじん切りと深い醤油味のスープの組み合わせに、かつての「醤屋」を思い出す。 引き揚げた麺は、ゆるいちぢれに太さの割に力強い量感を湛えてる。tensho03.jpgスープによ~く馴染みながら、麺自身の旨味を伝えてきて、いいなぁと思ったら開化楼謹製だという。やっぱやるなぁ、開化楼。 tensho04.jpg太く柔らかい大判なめんまも、いい。 どんぶりの中でのバランスも取れてるしね。 うん、満足、「つけ麺」も気になるなぁと思う「天照」。 どうやら、かつて「二郎」だったお向かいの「ラーメン 大」、そして並びのうどん・麺処「糀や」の店主が展開した別ブランドなのだそう。 饂飩とラーメンスープのコラボ的どんぶりもあるという「糀や」tensho06.jpgまでも気になっちゃうじゃん、困るなぁ(笑)。 口関連記事:らーめん「醤屋」 で黒紫白からうすくち醤油の白玉葱みじん切り(02年11月) 「天照」 葛飾区堀切5-3-1 03-5680-3328
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