「巡る半島伊勢国紀伊国」カテゴリーアーカイブ

名代伊勢うどん「山口屋」で ごちゃいせうどんと淳素な伊勢うどん

yamaguchiya.jpg齢ウン歳ともなれば、それはそれでお年頃。 なんだかんだで心身にはいろんな澱も溜まる。 ここもまたお肌の曲がり角だと想ったりもする(笑)。 そうだ、ここは一丁、 お伊勢さんにお参りいたそうではないかと膝を打つ。 早速、週末の近鉄特急の予約を試みるも、 人気の観光特急「しまかぜ」は、やはり満席。 伊勢志摩ライナーのサロンカーの席を確保して、 近鉄名古屋の改札へと向かいました。

コンパートメントちっくな対面のサロンシートは、 窓が高くゆったりとして、いい。yamaguchiya01.jpg煌めく陽光に照らされた車窓の景色を眺めつつ、 うつらうつらとしているうちに伊勢市駅に到着。 変身モノのキャラクターみたいな顔だとなぁと思いながら、 サロンカーの黄色い車体を見送ります。

外宮に赴く前にまずは腹拵えと、 JR側に改札を出て、月夜見宮方向に向かう昭和通りという道を辿る。 右手に「名代伊勢うどん」と示す壊れかけたアクリルの看板が見えてきました。

店内はもう、ほぼ満席。yamaguchiya02.jpg女性のお客さんも多いようにお見受けします。

yamaguchiya03.jpg壁のお品書きには、伊勢うどんのあれこれが8種類に、 「うすうどん」をはじめとする「うすくちうどん」や「きしめん」なぞが並んでる。 さて、シンプルに行こうか、欲張りにしようか、そこが思案の為所だ。

結局欲張りに走ってしまったら、 こんな贅沢な伊勢うどんのどんぶりをお迎えすることになりました(笑)。yamaguchiya04.jpg「ごちゃいせうどん」には、麺を隠すでもするかのように、 刻んだお揚げに蒲鉾、お麩、海老の天麩羅に牛肉、薬味の葱なぞがごちゃっと載っている。

案の定、ごそごそとそれら具材の下からうどんを引っ張り出すこととなって、 やっとのご対面。yamaguchiya05.jpg汁をよく纏う麺は、ふわっとしつつ撓やかな感じ。 昆布系の出汁にたまり醤油が意外とさらっと利いた汁なのでありますね。

やっぱり、伊勢うどんは、せいぜい月見かきつねくらいにしておくのが、 実直な向き合い方であるなぁと省みながら向かいのどんぶりを表情を反芻する。yamaguchiya06.jpg薬味だけの「伊勢うどん」が淳素にして、乙だなと改めて想ったりなんかして(笑)。

昭和初期の創業という名代伊勢うどん「山口屋」は、老舗ながらの自家製麺。yamaguchiya07.jpgうどんの食感もたまり醤油の汁もお店によって、 やっぱり当然違いがあるのを教えてくれました。


「山口屋」 伊勢市宮後1-1-18 [Map] 0596-28-3856 http://www.iseudon.jp/
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伊勢うどん「ちとせ」で 地元民の伊勢うどん絵姿に憶える郷愁

chitose.jpg伊勢市駅のお隣、近鉄・宇治山田駅。 ロータリーの向かいから駅舎を眺めると、 そのどっしりした、枯れた風格ある佇まいに感じ入る。 宇治山田駅は、 伊勢神宮最寄りのターミナルとして開設された駅。 往時より長距離列車の終着駅として賑わったという。

ただ、昼下がりの駅周辺は人影も少なくて、長閑かな空気。chitose01.jpgおかげ横丁から運んでくれたタクシーの運ちゃんは、 「ちとせ」に行くと云ったら、「お、よく知ってますね〜」と褒めてくれた。 いや、受け売りなんですけどね(笑)。

駅前からすぐの稲荷神社の角を曲がったところに見つかるのが、 伊勢うどん「ちとせ」の看板。 如何にも町のお食事処らしい佇まいに癒されてしまいそうです。

chitose02.jpg 古き額に収めた品書きは、「伊勢うどん」から「中華そば」500円まで。 それとは別に「伊勢うどん」あれこれの品札も並んでいて、 中には「冷しいせうどん」なんてのもある。chitose03.jpg「中華そば」も気になりつつ、初志貫徹「伊勢うどん」をいただきます。

柔和なおかあさんがとどけてくれた「伊勢うどん」。chitose04.jpgやっぱりこのシンプルな絵姿に慈しむような郷愁を憶えてしまう。 伊勢に所縁がある訳でもないのにね。

どうしても、さっきのおかげ横丁「ふくすけ」の伊勢うどんと比べるところから入ってしまうのだけど、「ふくすけ」よりやや汁が多いかなという感じ。chitose05.jpgそして、丸い断面を思った「ふくすけ」に対して、やや四角い断面を思います。

優しく、底の方から天地返しをするように醤油汁をうどんに絡ませます。chitose06.jpgみるみる赤茶色く染まったうどんをそっと啜る。 魅惑的に思った麺の表面にあるハリのようなものは、 「ふくすけ」のうどんの方が如実であるものの、 量感のある柔らかさと麺自身の甘い味わいがやっぱりいい。 たまり醤油と出汁のバランスでいうと、やや醤油が強めかな。 なるほど、これが地元民に支持され続けている「伊勢うどん」なのですね。

宇治山田駅近く、大正6年創業という伊勢うどんの老舗「ちとせ」。chitose07.jpgふわふわと柔らかい太うどんとたまり醤油に負けないしっかりした出汁の汁が絡まる、 甘い愉悦。 食べるにつれ、「伊勢うどん」の魅力にどんどん嵌りそうな、そんな予感がいたします。

口 関連記事:   伊勢うどん「ふくすけ」で 内宮参りにプニっと甘い感触伊勢うどん(12年05月)


「ちとせ」 伊勢市岩渕1-15-11 [Map] 0596-28-3879
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居酒屋「虎丸」で 蔵中の気になる魚介酒肴たちかき土手ねぎ焼

toramaru.jpg近鉄の伊勢市駅と宇治山田駅。 存外に近いふたつの駅の間を抜ける街道沿い。 ひと気も疎らな通りからさらに脇道を入って、 一本裏手へ隠れるように忍び込む。 静かな住宅街と思う中にぽつりぽつりと商店や飲食店が見つかるのに、ちょっと驚く。 そのまま足を進めれば目に留まる白壁の蔵。 そこが今宵の止まり木、「虎丸」だ。

がっちりと重厚な鉄扉が入口かと思い近づくと、 その脇に「入口は路地奥で御座居ます」と示す板。toramaru01.jpgtoramaru02.jpg成る程そうなのかぁと当の路地を往くと、 電燈の向こうに三段の階段が見える。 蔵の横っ腹にある扉へと辿り着きました。

石積みの壁の上には、木組みの屋根が載っている。toramaru03.jpgtoramaru04.jpg外から眺めた鉄扉の内側には、 虎の文字を丸で囲んだ意匠の暖簾が提げられています。

壁の棚に沿ってずいっと横長に貼られたお品書き。toramaru05.jpg正に毎日認めるのであろう達筆の品書きは、 いちいち気になる酒肴ばかりで困ってしまう(笑)。 はてさてどのように運びましょうか。

まずは、伊勢の地ビールという「神都麦酒(しんとびーる)」。toramaru06.jpgラベルには、伊勢志摩産古代米使用とある。 苦味を含んだ柑橘系のホップの香りが印象的な飲み口だ。

やっぱりここからでしょうと、本日のお造りからお得「盛り合わせ」を。toramaru07.jpgそれぞれが天然活けモノの石鯛やハマチ、ふえふき、赤はたなど。 卓上の品書きの隅に、「魚料理を注文いただけない方はお断りします」とあるくらいで、 お造りには相当の自信と拘りがあるようです。
toramaru08.jpg 続いて到着は、 「ずわいかにと玉子のコロッケ」。toramaru09.jpg一見、ころんと肉厚なだけのコロッケにみえるけど、 ひと齧りすればなるほど、お題通りの魅力が弾ける。 粗く刻んだ茹で玉子にたっぷりのずわい蟹の身、バジルの風味。 麦酒にもよく、似合います。

初孫の「玄の舟唄(くろのふなうた)」をオススメの燗でいただいて、 今年は特に美味と謳う鳥羽産の牡蠣料理。 鳥羽は安楽島の「はちろべ」というかき屋の牡蠣であるらしい。 「かきフライ」「かきバター焼き」「かき土手ねぎ焼き」とあって、 全部!と叫びたいくらいだけど(笑)、やや珍しい「かき土手ねぎ焼き」を所望しました。

きっと殻付きで届いたものなのでしょう。 自らの殻を受け皿にソリッドなフォルムを魅せる牡蠣の身。toramaru10.jpg広くは中京圏ということか、土手の味噌は赤味噌で、 そんな濃いぃめの味付けにもまったく負けずに滋味を主張する鳥羽の牡蠣。 要衝は、牡蠣の旨味に味噌の風味と葱の甘みが交差するところ。 それ以上、何を語る必要がございましょう(笑)。

お皿といえば、こちら「虎丸」の器たちは、その多くに作家モノの匂いがする。toramaru11.jpgカウンタ-の目の前に積まれたものもまた然り。 横長に品書きを貼った棚には、値段をつけた焼き物もずらっと並んでる。 器にも相当の拘りがあるようです。

燗のお酒もちょうどとなったので、 〆の御飯をいただこうかと品書きの「ごはんもの」欄を眺めます。 流石お魚居酒屋と思わせる、 「うに丼」「まぐろ丼」から「てこね寿司」「ししゃも天巻」「握り寿司」と続くラインナップ。 お茶漬けに至っては、六種類も用意があるので、これまた大いに迷うところ。 「鳥羽産のり茶づけ」に的を当ててみました。toramaru12.jpg手加減なくたっぷりの海苔を大判に千切った感じで鏤めたお茶碗。 海苔の濃緑色でご飯がまったく見えない茶漬けというのは初めてだ。 存分に磯の滋味を堪能させてくれました。

ふと、カウンター越しにみえる奥の壁に見つけたのが、「杏仁豆腐」の文字。 “杏仁に人生と命を捧げた竹内俊記の絶品杏仁豆腐”と謳っています。toramaru13.jpgそうとまで云われると気になるでしょう(笑)と、デザートに。 なるほど、滑らかさこの上なく、杏仁粉そのものの風味が活き生きとしていて美味しい。 ここにも「虎丸」の拘りの一端が現れているようです。

伊勢の隠れ家居酒屋「虎丸」は、白塗り蔵の壁の中。toramaru14.jpg魚介を活かした酒肴たちは、そのどれもに正しい完成度を予感させる。 拘りが堅苦しさに繋がらなければとの危惧も一瞬過ぎるけれど、 スタッフの活きいきとした表情と快活な応対にはそんな心配も杞憂に過ぎないものと思う。 季節を追って訪ねられる、ご近所さんが羨ましいであります(笑)。


「虎丸」 伊勢市河崎2-13-6 [Map] 0596-22-9298
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伊勢うどん「ふくすけ」で 内宮参りにプニっと甘い感触伊勢うどん

fukusuke.jpg一生に一度はお伊勢さん。 そうかそうなんだと、 名古屋で近鉄の特急に乗り換える。 列車は一路、伊勢・志摩方面へ。 降り立った伊勢市駅は、 なんだかゆったり長閑なそしてどこか凛とした気配。 路線バスに乗って、 伊勢神宮の内宮(ないくう)へと向かいます。
鳥居をくぐり、五十鈴川に架かる檜造りの宇治橋を渡ると、 いよいよ神々しい空気が増してくる。 玉砂利を踏みしめ、手水舎を経て、 さらに五十鈴川に臨む御手洗場(みたらし)で手を清めます。fukusuke01.jpgふたつめの鳥居をくぐって神楽殿を横手に進めば、太い神杉に包まれてくる。

その先の階段下から見上げるのが、御正宮(ごしょうぐう)。fukusuke02.jpg30数段の階段を辿り、萱葺き屋根の御正殿でゆっくりと二拝二拍手一拝。 感謝を交え、願い祈ります。

ふたたび宇治橋を渡り、おはらい町通りへ。fukusuke03.jpgfukusuke04.jpg賑わいがひと波へと変わる辺りには、かの有名な「赤福」の本店。 五十鈴川に臨む座敷の隅にて、お召し上がりの小さなお盆を手にします(笑)。

そこからそのまま「おかげ横丁」界隈へと闖入しよう。 「おかげ横丁」は、伊勢内宮前に設けた45店舗からなる、古き伊勢路の再現ゾーン。 お目当ては、名物「伊勢うどん」だ。

「おかげ横丁」の伊勢うどんの店といえば「ふくすけ」。 常夜燈の脇からその先に望むは、太鼓櫓。fukusuke05.jpg賑わう横丁を進めばすぐに「伊勢うどん」の幟が見つかります。

fukusuke06.jpg暖かな陽射しの中、縁台にも沢山のひと達が腰掛けて、どんぶりを手に笑顔。 早速、食券売場に並びます。

ご注文は、「伊勢うどん」450円也。 札を受け取って縁台に腰掛け待っていると、 兄さんやお母さんが番号を叫んでくれます。fukusuke07.jpg受け取ったどんぶりには、 見るからにプニっとしていそうな、太めのうどんがどんぶり一杯に綺麗に収まってる。

軽く混ぜてからそっと箸の上に載せて、ゆっくりと啜ってみる。fukusuke08.jpg つるつるとふわふわとぷにぷにとが綯い交ぜになったかのような独特の食感だ。

麺自体に甘さがあるような、そんな優しい食べ心地。fukusuke09.jpgfukusuke10.jpg底に潜んだツユは、たまり独特の濃いぃフリして、 昆布やら椎茸やらの出汁がしっかり利いていてクドくない。 そのツユも飲み干して、あっという間に食べ終えちゃった(笑)。 この頼りなく柔そうに見えてプニっとしたハリのある感触は、やっぱり心地良い。

きっとスタンダードかつ代表的な伊勢うどんの店、 おかげ横丁「ふくすけ」。fukusuke11.jpg観光地に美味いモノなしの定説は、ここには当てはまらない感じ。 湯呑みのお茶を啜りながら、次々と札の番号を呼ぶ声も心地よく耳に響きます。


「ふくすけ」 伊勢市宇治中之切町52 おかげ横町内 [Map] 0596-23-8807  http://www.okageyokocho.co.jp/
column/03265

町の食堂「山為食堂」で あっさり乳化スープと太目麺の中華そば

yamatame.jpg考えもなく大阪から和歌山へと移動する。 ふと、丁度ひる時を和歌山で過ごす状況に気が付いて、これはラーメンだと突如として慌てるも既にお邪魔した「井出商店」以外アテがない。 困った時の神頼み。 ラーメン界の地獄耳御大に失礼ながら助言をいただく。 いくつか授かった候補から足を向けたのが裏通りに何気に佇む「山為食堂」です。 駐車スペースのためにセットバックしていて、気づかずに通り過ぎてしまいそう。 ただ、山形に為と群青地を染め抜いた暖簾はキリッとしています。
お品書きyamatame01.jpgは、「しのだ」「けいらん」といったうどんに始まって、後半の3行に「中華そば」がある。 ゴハンものもあるようで、そうか、中華そば店ではなくて、食堂なんだと認識を改める。夕方5時まで営業の、ね。 素直に「中華そば」、それにライスを添えてもらいます。 yamatame02.jpgちゃきちゃきっとした姐さんが箸を横に渡したどんぶりと茶碗を運んでくれました。 見た目は、和歌山ラーメンにイメージする通りのとろんと濃厚そうなスープ。 薄切りした蒲鉾の縁のピンクがラブリーであります(笑)。 yamatame03.jpgyamatame04.jpg おぉ。掬い上げた麺は意外と太め。 臭みのない、不思議なくらいあっさりとした乳化スープにしっとり馴染む麺がぐいぐい啜れて、 やばい。 そして、動物系の匂いが苦手なレディでも、ここの中華そばなら大丈夫かもと思ってしまう。 毎日食べれる和歌山ラーメン。そんな代名詞が掲げられそうです。 yamatame05.jpg食べ終えるところでどんぶりの底にたっぷりと粉が残って、ちょっとびっくり。 魚粉かなぁと口に含むも、およそ無味。もしかしたら豚骨の欠片、粉なのかもしれないな。 他のテーブルでちら見した「からみそメン」も旨そうだなぁと思いつつお店を後にして、はっと気がついて携帯を取り出した。yamatame06.jpgそっか、「i-modeとらさん」の「ラーメンバンク」を辿れば、和歌山の情報も得られたのですね。 口関連記事:中華そば 「井出商店」 で雑味なき豚骨スープに細麺中華そば(07年09月)
「山為食堂」 和歌山市福町12 073-422-9113
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