「ローカル池上大井町線」カテゴリーアーカイブ

Noodle Cafe 「BumBun Blau Cafe」で澄んで滋味深き翠のラーメンとズルイ氷の外輪山

bumbun六本木にあったちょっと話題のお店が旗の台に出現したと知ったのは確か、14年の夏頃だったでしょか。
所在はと云えば、旗の台駅東口から南に下る商店街の雑居ビル。
雀荘やカラオケボックス、韓国語教室に「牛角」などが正に雑居したビルの二階。
お隣は居酒屋「庄や」。
以前、どんなお店だったのか全く憶えていないけど、今は「氷」の幟も貼られたラーメンショップになっています。

知らなければ、なんだか入り難いとも思う面構え(笑)。bumbun01-01“蜂の巣”を意味する「BeeHive」が旧店名のようであります。

商店街に面した窓からの陽射しが明るい店内。bumbun02突き当りから右へL字に伸びた部分に、
カウンターと厨房が据えられています。

テーブル席でいただいたのが、
「名古屋コーチン味玉醤油」。bumbun03なんだか深みのありそうな醤油の色合い。
そんなことを思いながら口に含んだスープは、
すっきりと澄みつつも多層的な旨味がどんどん開いてきて吃驚。
あれま、めっちゃ美味しいじゃありませんか。

あんまり美味しかったので、
裏を返すようにしてカウンターにいた(笑)。bumbun04醤油タレは、弓削田醤油の高級吟醸純生醤油を軸に、
二種類の生醤油を数種類の乾物と一緒に火入れしたもの、
と説かれています。
スープは、添加物なしのハーブ鶏・霧島鶏の丸鶏を、
沖縄金城アグー、瀬戸内産白口煮干と煮込んだものとある。
化学調味料を勿論使っていないから故の澄んだ旨味なのだ。

麺はと云えば、
鮮やかな翠色が印象的なしゃっきりとした歯触りの自家製麺。bumbun05国産小麦100%に数種類のかん水をブレンドし、
スピルリナという濃緑色の単細胞微細藻類を練り込んでいるという。
麺そのものの風味旨味がスープの風味旨味と絶妙に相乗して、
一杯のドンブリ宇宙を盛り立てているのであります。

混み合う前のカウンターにふたたび。bumbun06カウンターに並ぶおひとりさま女性客が多いのもまた、
こちらの特徴と云えましょう。

お待ち兼ねの手許に届いたのは、
「アグー叉焼の塩ラーメン」。bumbun07bumbun08トッピングは、在来種血統書付きのアグー豚の腿肉と、
低温調理の鶏胸肉のチャーシューと食べ口の違う二枚が鎮座。

フレッシュなオリーブオイルを溶いたかのような、
そんな色合いのスープに用いた塩ダレは、
数十種類の乾物の旨味を凝縮し、
モンゴルの岩塩と沖縄の海塩で仕上げたものだという。
bumbun09「全部のせ」のスープも勿論、オリーブオイル色。
幾つものハーブを織り交ぜたような多彩な風味と
奥深い旨味とが濁りなくやってくる。

パッと見では違いの判らないドンブリはなんと、
「白トリュフ塩らーめん」。bumbun10自家製の白トリュフ香味油がスープを覆う。
香味油が効果的なのは、
青森・大鰐シャモロックの丸鶏をふんだんに使ったという、
ベースのスープが多くの脂を含まずに、
すっきりと旨いからに違いない。

サイドメニューはと云うと例えば、
「こだわりの卵かけごはん」。bumbun11さっぱり系アローカナと迷いつつ、
濃厚系名古屋コーチンの卵を選んでみる。
まぁ、不味かろうはずはありませんね(笑)。

ガッツリいっちゃいたい時には、
限定数ありの「アグー叉焼丼」。bumbun12しっとり旨いチャーシューはおそらく、
沖縄在来黒豚金城アグー。
美ら海水族館もほど近い、
今帰仁村あたりから届いたものかもしれません。

ブンブンにはまぜソバもあって、
これも醤油か塩か、場合によっては汁なし担々が選べる。bumbun13bumbun14アルデンテに絶妙に湯掻いた細麺ストレート。
スピルリナ藻の色合いや風味が、
遺憾なく愉しめるのがまぜソバでありましょう。

さらにさらに、つけ麺もそんじょそこらのつけ麺じゃない。bumbun15bumbun16ザルか空のドンブリかなにかに盛られているのが、
つけ麺の通常の姿であるのに対して、
ブンブンのつけ麺は、麺が汁に浸かってる。
それってただのラーメンじゃん!と思うなかれ。
麺を浸しているのはタレを含まない和出汁で、
トリュフオイルでゆっくりとコンフィした、
イベリコ豚の浮かぶつけ汁に絡ませていただくのだ。
そして、麺が浸っていた出汁は、
そのまま割りスープになるってぇ寸法になっている。
なははは、だよね(笑)。

そしてそしてそして、ブンブンのもうひとつの顔が、
幾多にして日々変化するラインナップを持つ氷メニュー。bumbun17bumbun18こんなに沢山食べたらコメカミキーン!やなと思いつつ、
口に含んだ氷の軽やかなことったら。
居並ぶ子女たちがペロンと平らげるその理由が、
ちょっと判った気がしました。

こりゃ負けておられんと、
大人気メニューのひとつらしき、
「いちごエスプーマソース」に挑んでみた。bumbun19どろ~んとしたソースからは、
苺の甘い香りの主張がたっぷりと放たれている。

頂上部から召し上がれというご指南に従ってスプーンを動かすと、
成る程、みっしりと氷が積まれている訳ではなくて、
謂わば、ドーム状になっていて中に空洞がある。bumbun20エスプーマでムースとなった苺のソースと一緒に、
外輪山を削るようにして、スプーンを口へ運ぶ。
削る口へ運ぶ。
削る口へ運ぶ。
削る口へ運ぶ。
削る口へ運ぶ。
ああ、止まらない(笑)。
氷そのものが練乳を凍らせて削ったもののように、
ミルクシロップが浸透している。
それをソースと一緒に口に含めばそのまますっかり、
冷たいイチゴミルク味になるというカタチ。
これをズルイと云わずして、なにをズルイと云えましょうか。

旗の台駅東口近くに澄んで滋味深き翠のラーメンを届けてくれる、
NoodleCafe「BumBunBlauCafe」がある。bumbun20どうやら白トリュフオイルをラーメンに用いたパイオニアであるらしく、
通年でかき氷を供するラーメン店という点でも、
なかなかに稀有な存在でありましょう。
空席待ちの列が出来る忙しさの中で、
併設しているという女性専用エステは果たして稼動しているのかな。
いや、利用したいということではなくて(笑)。

「BumBunBlauCafe」
品川区旗の台3-12-3 J-BOXビル2階 [Map] 03-6426-8848
http://bumbunblaucafe.com/

column/03676

洋食屋「クメキッチン」で洗足池の桜と牡蠣フライ揚げ物もハヤシライスも得心の味

kume中原街道沿いにある洗足池。
洗足池駅から歩道橋を渡れば、疾うに閉めてしまった湖畔のレストラン「テラス・ジュレ」の看板が今も正面に見える。
歩道橋を右に降りて、ハワイアンなカフェ「Hukilau Cafe」の先を回り込めば、時々お世話になっている洗足池図書館の玄関前に出る。
歩道橋を左に降りて池に沿って往けば、改装なった池月橋の太鼓橋から千束八幡神社の鳥居に至る。
桜の季節には、池を囲んでずらっと屋台が立ち並びます。

今年、桜の時季に足を運べたのは、
冷たい雨の降った翌日のこと。kume01曇天のグレーを背にして、
仄かに赤みを含んだ桜の花弁から、
前夜の雨の雫が滴ろうとしています。
ぱきっとした青空を背景にした桜の絵も、
華やかで清々しいけれど、
こうした水墨画のような桜も、
風雅なものでありますね。

洗足池のお食事処と云えばやっぱり、
真っ先に頭に浮かぶのがこちら「クメキッチン」。kume02鉄扉の前に掛かった暖簾にもさりげなく、
「クメキッチン」の意匠が施されています。

桜が花開く前までのご馳走と云えば、
毎度お馴染みの「クメキッチン」の「カキフライ」。kume03岡山は寄島町産の牡蠣を、
漁師さんの声を聞きながら仕入れ、
「クメキッチン」の衣に包んでいただく牡蠣フライに、
毎回うんうん頷くのもまたお約束であります(笑)。

「クメキッチン」の揚げ物が素晴らしいのは例えば、
こんがり揚がったポークカツでも良く判る。kume04肌理の整ったパン粉の香ばしさが、
均質な厚みで具材を包み込む。
衣そのものへの微妙な味付けも、
美味しさに寄与しているような気がします。
そんなカツをいただいた「カツカレー」が、
そんじょそこらのカツカレーでないことが、
お皿の表情からも滲み出ています。

カツと云えば「クメキッチン」のメニューには、
「チキンカツ」「チキン南蛮」とふたつの鶏料理がある。kume05ピカタ風に玉子を含んだ衣に包み、
浅葱をたっぷりとトッピングしたのが「チキン南蛮」。
和風のソースのままもよし、タルタルを添えてよしの、
これまたイケてるひと皿であります。

「カツカレー」でいただいた欧風カレーの、
気風のいいコク味に、まさに味を占めて、
「ハヤシライス」への期待のハードルを上げて臨んでみる。kume06そうしてハードルを上げ過ぎたことに、
後悔することも少なくないのだけれど、
ベタつくことなく素直な甘味と大人な香ばしさを伝えてくれる、
ハヤシソースの美味しさに思わず、
動かすスプーンのスピードが妙に上がってしまいました(笑)。

二回に一回は、スープセットにしてもらう。kume07日替わりのスープは例えば、じゃがいものポタージュ。
スープにも手作り作り立ての鮮度ようなものが窺えて、
嬉しくなってしまうのであります。

そして、スープをセットした本丸はと云えば、
ご存知「ナポリタン」。kume08デフォルトにしてたっぷりのボリューム。
大盛りにしようとしたらやんわりと制止されてしまいました(笑)。

洗足池のボート乗り場のお向かいに、
町場の枠を食み出す美味しさの洋食屋「クメキッチン」がある。kume09これら一連の腕利き具合は、
一体どこで培ったのだろうかと訊けば、
「クメキッチン」のご主人は、東京會舘に永く勤め、
その後グリル満天にも4年ほどいたのだという。
ああ、成る程!
得心がいく、というのはこふいふことを云うのでしょうね。

「クメキッチン」
大田区上池台2-30-3 ビスタ洗足池 1F [Map] 03-6421-9517

column/03669

桜蕎麦「正乃家」で桜の借景と桜蕎麦大人のポテサラ月見韮お浸し鴨せいろもいい

masanoya大崎駅を新西口から出て、百反坂を漫ろ歩きすることがある。
坂のどこかに寄り道した後には、そこから大崎駅には引き返さずに、迷路のような裏道を大崎広小路駅を目指して探索する。
家々がみっしり詰まった住宅地の途中、南北に交叉する道を北進すれば、古式ゆかしい中華料理店「平和軒」のある、立正大学キャンパスの正門前に至る。
偶には逆方向へと進路を南にとると、これまた家々がみしみしっと詰まっていて、次第に方角を怪しく思う瞬間が増えてくる。

そんな道中の、戸越銀座の通りに到達するちょっと手前。
そこだけスポットライトを浴びたように華やいだ場所に、
偶然にも初めて出会したのが、
今からちょうど一年前の春のことでありました。

今度は、戸越銀座駅から戸越銀座商店街を真っ直ぐ進み、
第二京浜を突っ切って更に往く。
大東京信金の角でここ辺りと振り向くと、
その先に何時ぞやの桜の木の枝振りが望めました。masanoya01曇天の下ながら、凡そ満開の咲きっぷりを眺め上げ、
ちょうど客を送って扉を開けていた女将さんに小さく会釈します。

お品書きには、冷たい蕎麦うどんに温かい蕎麦うどん。
丼ものに牡蠣フライを含む各種定食。
唐揚げ野菜炒めなんぞの肉料理に江戸前天麩羅。
そして何故だかオムライス。
中華、と題したラーメン5品までもがラインナップしています。

酒肴系と思しき品書きもなかなかの粒揃い。
その中からちょっとだけよとまず選んだのが、
「大人のポテトサラダ」。masanoya02どの辺りが”大人の”なのかと思ったら、
糸唐辛子以外にもちょっと辛味を含んでいて、
その按配もジャガ芋マッシュのまったり具合もちょうど良い。

お蕎麦屋さんですものと蕎麦湯割りをお願いしたら、
ちょっと意外にもそれはグラスでやってきた。masanoya03とろーんとした蕎麦湯の風味の後ろから、
ぐいっと焼酎のボディが届く。
お品書きを読み返したら、
蕎麦湯割りオーダーは、もれなくダブルになるようです(笑)。

もうひと品で蕎麦湯割をやっつけちまおうと、
お願いしたのが「ニラのお浸し月見仕立て」。masanoya04韮の鮮やかな翠色が麗しい。
しゃくしゃきとした歯応えと明瞭な風味。
いい按配に湯掻いた韮に玉子の黄身のコクを添えると、
これまた魅力が増してくる。
シンプルにして粋な酒肴でありますね。

そろそろお蕎麦をと女将さんに声を掛けると、
今は期間限定の「桜蕎麦」がおススメだと仰る。masanoya05蒸篭に載ってやってきたそれはやっぱり仄かな桜色。

蕎麦の表情をよくよく拝むとそこには、
緑色の粒子が織り込んである。masanoya06桜の葉を細かく刻んで蕎麦粉に混ぜているそうで、
仄かな桜色は、桜の花弁を混ぜ込んでいる、
のではなくて、食紅を少々垂らした成果であるとのこと。
しゃきっとした歯触り喉越しのお蕎麦で、
するっと美味しくいただきました。

裏を返したおひるどき。
「鴨せいろ蕎麦」とともにお願いした、
江戸前「野菜天ぷら」がやってきた。masanoya07厚く切った南瓜に茄子、人参に隠元豆。
パプリカ(黄ピーマン?)の天麩羅もなかなかオツなもの。

蒸篭の蕎麦は、信州の丸抜き粉を使った手打ちの二八蕎麦。masanoya08脂の加減も柔らかな噛み応えもいい感じの鴨の肉。
辛汁とのバランスも特段の文句なし。
今度は「地鶏せいろ」を試してみようかなぁなんて考え始めます(笑)。

後日「地鶏せいろ」を試すつもりが何故だか、
「ラーメン」を註文んだら、これは大失敗。
お蕎麦屋さんでは基本、お蕎麦をいただくのがよろしいようです(笑)。

戸越銀座の横丁に”桜蕎麦”と謳う蕎麦店「正乃家」がある。masanoya09よくよく眺めるとその桜の木は、
お隣の和菓子屋さんの敷地から育っている様子。
借景というか、お隣の木一本で、
こうにも雰囲気を醸している事例も珍しいのではないでしょか。

「正乃家」
品川区戸越1-19-24 [Map] 03-3787-4835

column/03668

古民家カフェ「蓮月」で蓮月丼焙じ茶プリン惜しまれ閉店した蓮月庵家屋復活の姿

rengetsu大田区の池上といえば、本門寺。
例年の人出が15万人とも云われる程、年明けの本門寺は初詣の参拝客で賑います。
日蓮宗の大本山、本門寺へは池上線の池上駅から総門に向かってゆっくりと歩き、96段の石段による此経難持坂を上り往く。
やや大股で辿る石段を一気に登りきると、日頃の運動不足を実感する瞬間が必ず訪れます(笑)。

石段の先でやっと平らになり、
その先に仁王門が迎えてくれる。rengetsu01rengetsu18そうそう、石段の途中や総門の柱の脇あたりにいる、
猫に挨拶するのもちょっとした習慣になっています。

参拝を済ませて、お札を納め、
ふたたびさっき登ってきた石段をくだる。
総門を出て振り返った後は、どふいふ訳か毎年、
足が参道から外れて脇の道へ行こうとする。

それは、急遽閉店してしまった甘味処「あらい」のあった道。
そして、「あらい」の向かいにあった蕎麦処「蓮月庵」が、
ご主人が高齢のため引退され閉店してしまったのが14年6月のこと。
本門寺を訪れる度に、どちらに入ろうか、いっそハシゴしてまおうかと、
悩ませてくれた両店がいずれもなくなってしまっていたのです。

1927年(昭和2年)に建てられたものだという「蓮月庵」の古家は、
その佇まいをじっと眺めていられるほど魅力のあるもの。
蕎麦店として活かされていた建物がひと気を失っている様子は、
とっても寂しいものでした。

そんな「蓮月庵」の建物が、
カフェとしてふたたび活かされることになったと知ったのは、
ロレンスさんの日記から。
そんなこともあって、
参拝後の足は「蓮月庵」のあった裏道へと向くのでした。

元「蓮月庵」の建物は、およそ往時のまま。rengetsu17横っ面の板壁は流石に草臥れているけれど、
入口前に提げられた真新しい暖簾の群青が、
旧くして端正な表情にしています。

案内されたのは、
いつぞやの小上がりへ土足のまま上がったところに据えられた、
ふたり用テーブル席。rengetsu02-01rengetsu03奥には裏庭に面してソファー席があり、
横手には4席のカウンターが設けられています。
この辺りは蕎麦店の頃には様子の窺えなかった場所ゆえ、
なんだかキョロキョロしてしまいます(笑)。

座った場所から入口側を振り返ると、
コカコーラの冷蔵庫が置かれていた場所の屋根が、
そのまま残っているのが判る。rengetsu04左手の長押の上に掲げられていたお品書き「停止価格」は今、
入口の頭上に場所を替えています。

テーブルの脇には、
重厚感たっぷりの古式床しい金庫がある。rengetsu05今何が収まっているのか、
こっそり覗いてみたくなります(笑)。

蓮月庵と透かしのあった硝子戸の脇には、
新たに誂えたと思しきレトロな硝子の給水機がある。rengetsu06例えば、純氷を突っ込んだ、
白くて青い縁のホーローの給水機もここに似合うかもしれないね。

お願いしていたのは、
お店の名を冠した「蓮月丼」。
炙り豚丼との副題がついています。rengetsu07女性陣営むカフェゆえの感じをなんとなく想像していたので、
ドンブリから食み出さんばかりの、
予想外の肉の大きさにはっとします(笑)。

こうきたか~とドンブリを横から眺めると、
さらに肉の厚みも負けてない。rengetsu08どれどれと箸で掴んだ厚みある豚に齧り付く。
甘味を含んだタレ味とともにこれまた意外な歯応え。
食べ口の全体感はモソモソする感じ。
それは、炙り豚丼だとメニューで読んでいたのに、
何故だか頭の中で豚バラの煮込み、
つまりは東坡肉のようなイメージで齧った所為もある。
ただ、ボリューム感は嬉しいのだけれど、
さらに半分の厚さにスライスしたお肉で枚数増やして焼いた方が、
より美味しくいただけるんじゃないかなと思ったりもいたします。

テーブルの頭上の長押に小さな黒板が置かれていて、
デザートメニューなんぞが書き込まれている。rengetsu09ほうじ茶プリンなんて、いいかもしれません。

女性スタッフが運んでくれた「ほうじ茶プリン」をゆっくりいただく。rengetsu10しっかり甘くて、焙じ茶の香りもしっかりだ。

二階覗いてもいいですかと断って、
「蓮月庵」の頃からずっと気になっていた二階へと潜入する。rengetsu11rengetsu12rengetsu13表側からの階段を上がるとすぐに裏手に下がる階段がある、
そんな面白い造りになっている。
これなら大人数の宴会の際にも、
配膳するひと達や厠へと下りる客人たちなんぞで、
狭い階段が交錯するなんてことが或る程度防げそう。
階段の脇には大きな鏡が据えられていて、
鏡の右下隅には西宮酒造會社と焼き込みがあります。

二階は、打ち抜きで三間が続く、
広々として硝子戸も粋なお座敷、都合32畳。rengetsu14rengetsu15卓袱台が実に良く似合う純和風の座敷は、
レンタルスペースと利用することができるそう。
天井が特に高い訳ではないけれど、
落語の高座なんてのもきっとオツな催しになりそうだよね。

惜しまれて惜しまれて閉店した蕎麦処「蓮月庵」が、
取り壊されることなく復活した姿が、古民家カフェ「蓮月」。rengetsu16ひとまず「蓮月」を残したいと尽力した方々の想いと成果を讃えたい。
今度は、もうひとつのランチメニュー「温玉そぼろ丼」と、
のんびりした時間をいただきにお邪魔しとう御座います。

「蓮月」
大田区池上2-20-11 [Map] 03-6410-5469
http://rengetsu.net/

column/03652

とんかつ「自然坊」で丁寧に揚げるロースにヒレかつ唐津焼の表情と安定感が齎すもの

jinenbo蒲田、蓮沼、池上、千鳥町。
蒲田駅を離れた池上線は、ゆっくりと右へ左へとカーブを描きながら大田区の住宅地を進みます。
千鳥町の次の駅が、久が原駅。
此処でも池上線の基本形であるところの相対式ホームで、ホームの端に踏切があり、そこで上下線を行き来するのも池上線でよくみる光景であります。

千鳥町駅から少し標高を上げてきたレールが、
ほんの少しカーブして久が原駅のホームに流れ込む。jinenbo01jinenbo02白いペンキでお化粧してしまったけれど、
旗の台駅のものと同じ造りの木製ベンチが此処でも、
次の電車への待ち時間を過ごす止まり木になってくれています。

踏切を渡って、駅の東側に出て、
その先の五叉路を右に折れ、
道に沿って緩やかに左へとカーブしてゆくと、
左手に目的地が見えてきた。jinenbo03パール様の空色のタイルを貼った、
三階建ての建物のその一階にあるとんかつ店。
ちなみに、この道をさらにずんずんと進むと、
「マウンテンバーガー」のある上池上通りに至ります。

休暇の平日のおひるにお邪魔すれば、
それ相応に落ち着いた雰囲気の店内。jinenbo04L字のカウンターの隅に佇んで、眺めるお品書き。
箸を包んだ帯に刻んだ文字は「自然坊」だ。

注文を終えて、いただいたお茶の器にオッ!となる。jinenbo05少なくとも100均辺りで誂えた湯呑みではないことは、
ド素人にも自ずと判る。
ただの重さとは違う”厚み”と石の中から削り出したような表情がいい。

ふと、目の前の状差しに置かれていたパンフレットが目に留まる。jinenbo06手にとって見る表紙が示すのは、
中川自然坊 遺作展とその会期。
とんかつ店「自然坊」の店名は、
唐津の陶芸作家、中川自然坊氏に由来しているのだという。
お茶を淹れてくれた湯呑みもきっと、
その中川氏の作なのでありましょう。

ゆったーりとした時間が流れて、
あ、なんで麦酒を呑まなかったんだろうと、
やっと気がついたそんな頃(笑)。
お願いしていた「ロースかつ定食」が届きました。jinenbo07丁寧に丁寧に揚げられた様子が、不思議と伝わってくる、
そんな表情の感じがいい。

その断面を拝むと、
みっしりと表裏一体一身胴体の衣と身肉。jinenbo08Wedページには純国産のやまとのみ使用とあるが、
それは程良い脂を含んだもの。
うん、美味しい。
ソースをぶっかけちまうなんて勿体ない。
前半は塩で、後半を醤油でイクのがよく似合います。

日を替えてまた同じ、カウンターの隅。jinenbo09正面の壁に据えた食器棚は、
中が素通し出来る硝子戸の仕様。
整然と仕舞い置かれているのも、
中川氏の唐津焼なのでありましょう。

電熱線に炙られて、南部鉄器と思しき鉄瓶が湯気を吐く。jinenbo10ありそうでいて、
なかなか目にすることが少ない光景なのではないでしょか。

ロースの次にはやっぱり、
「ヒレかつ定食」を所望する。jinenbo11半裁したヒレかつが載せられたお皿もたっぷりした厚みがあって、
その重厚なる安定感が、
その上の小さな宇宙の基盤となっているようにも映ります。

ロースに比べれば勿論、
さらっとした食べ口のヒレかつ。jinenbo12こちらは前半を芥子醤油で、
最終コーナーをソースでいただく。
ふむふむ、うんうん。
綺麗な油で揚げ上げる様子が想像できる透明感がふと過ぎる。
ゆっくり目に刻んだであろうキャベツに、
東銀座「にし邑」のそれを思い出しました。

定食にはお口直しの冷菓がついてくる。jinenbo13とんかつの〆にバニラのアイスが、
これまた不思議とよく似合う。
真夏であってもソルベではなくって、アイスがいい。
何故だか、そんな気がいたします。

大田区久が原の住宅地のど真ん中に、とんかつ「自然坊」はある。jinenbo14敢えて云うなら、”オトナのとんかつ”と謳いたい。
冬の時季の「牡蠣フライ」がどんな悦びを与えてくれるか、
それも試しに行かなくちゃだ。

「自然坊」
大田区久が原4-19-24 [Map] 03-5700-5330
http://www.tonkatsu-zinenbou.com/

column/03641