「銀座巡る一丁目乃至八丁目」カテゴリーアーカイブ

中華そば「伊藤」銀座で肉そば比内鶏そば中盛り激戦区画の中にあって

itou特別避けている訳でも嫌いな訳でもないのだけれど、どふいふ訳か銀座の中央通りを歩くことは最近頓に少なくなっている。
裏道や路地が好きなこともあって、歩いていると自然と裏へ裏へ、横丁へ脇道へ路地へと足が向いてしまう所為もあるかもしれません。
決して陽の当たる場所から逃れようとしている訳ではないのだけれど(笑)。
でもまぁ、銀座の真ん中で吞むなんて機会も最近ではめっきり少なくなりました。

それはまだ、灯りを落としてしまった三原橋地下街が解体のために周囲を囲われたばかりの頃。itou01白い万能鋼板の囲いの中に「シネパトス1・2・3」の看板がにょっきりと立っていました。
季節料理「三原」は今、コリドー通りに移転しているようですね。

Y字になった、嘗ての三原橋地下街入口を背にして新橋方向へ。
何故だかふと、ずっと昔になくなってしまった串焼きの「はやし」のことを思い出す。
串にした具材があれこれ並んだ笊からお好みで選び取って、自ら囲炉裏端で炭焼きするスタイルが斬新だった。
夏場は暑くて大変だったけどね(笑)。

そのまま六丁目に差し掛かると、左手はカラオケ店の入る銀座ウォールビルで、右手は東京銀座ビルディングという雑居ビル。itou02其処で、とうとう銀座にも出現したという中華そば「伊藤」のスタンドサインをみつけました。

一方の入口からそのまま地階へと降りると、正面に蛇腹に開きそうな硝子戸が並ぶ。
「伊藤」になる前はなんだのかなぁと思いつつ重たい扉を引き開けます。

入って正面に券売機。
まずはやっぱり、基本形の「中華そば」と思いつつ、指先は「肉そば」のボタンを押していました(笑)。
カウンターの隅に腰掛けて出来上がりを待ちましょう。

細麺ゆえか、「伊藤」のどんぶりの出来上がりは遅くない。itou03お久し振りの「肉そば」中盛りは、縁の広い、レストランのボウルのようなどんぶりでやってきました。

もう見ただけで、しゃくしゃきした歯触り歯応えとぷわんと香る粉の風味が想像できる麺。itou04中盛りゆえの盛り上がりを一瞬凝視してしまいます。

右サイドでは、叉焼とスープの表情を愛でる。itou05しっとり脂ののった様子の焼豚が半身を浸しているのは、煮干特有の浮遊物を浮かべたスープ。

正直なところ、北区豊島で初めて出逢った時程の感激はないけれど、濁らぬよう丁寧にとったのであろうスープと硬めに湯掻いた細麺とのコンビは申し分ない。itou06気がついたらどんぶりがすっかり空になっていました。
血圧気にしないといけないお年頃なのにぃ(笑)。

日を改めて、今後は「比内鶏肉そば」を中盛りで。itou07今や定番の低温調理を思わせる比内鶏は、パサつくことなく柔らかに味蕾をそっと攻める。

安定感のある煮干そばのスープから少々コクを増した感じのスープ。
ああ、またスープ増しにし損ねたと思いつつ、無化調にして如何にも旨味が凝集したようなスープというのは、なかなか難しいのかもしれないな、なんて思ったりもする。itou08そして、博多ラーメンのそれとはまた違う、エッジの利いた極細麺の魅力は、今日も当たり前のように此処にあります。

北区豊島に赤羽、浅草。
自家製麺にして煮干中華の「伊藤」が銀座にもある。itou09いつの間にかラーメン激戦区となった銀座六丁目十二番区画にあって、素朴な一杯が劣勢に立たされてはいかないか、少々心配でもあります。

「伊藤」銀座店
中央区銀座6-12-2 東京銀座ビルディング B1F [Map] 03-6274-6445

column/03516

回転レストラン「GINZA SKY LOUNGE」で 鉄道ジオラマとオムライス

ginzaskylounge生まれて初めてパスポート申請をしたのが、
ココの二階にあるパスポートセンターで、
お食事処に困った時に潜り込むのが、
「大正軒」や「ひょっとこ」のあるココの地下街で、
一階にある三省堂では、おざわゆきさんのコピー本、
「東京ヘタレめし 有楽町ガード下」を買い求め、
北海道どさんこプラザを覗くこともある。

そんな有楽町の東京交通会館ビルは、1965年の開業であるらしい。
都の交通局の庁舎跡地と「すしや横丁」一帯との再開発によって建設されたもので、
特に開業当時の人気と話題の中心であったであろう施設が、
最上階に載せたUFO形状の構築物。ginzaskylounge01有楽町ビルヂングの前からもその特異なフォルムが望めます。
往時は、まさに大注目の的だったのでしょうね。

UFOが待つ最上階へは、限られたエレベーターに乗り込んで向かいます。
エントランスとなっている14階からさらに階段を上がって振り向けば、
その先に明るく広がる視界の気配がしてきます。

案内いただいたテーブルに腰掛けて見遣るその先は、
床がドーナツ状に円を描くと同時に、
下界を見下ろすように斜めに収めた硝子がラウンドしています。ginzaskylounge02

そして、窓の外を眺めれば、
幾筋ものレールが走り、その上をミニチュアの列車が滑りゆく。ginzaskylounge03なんだか鉄道ジオラマを眺めている気分。
Nゲージなどについては、こちら「イヌゲージ鉄犬」へ是非どうぞ(笑)。
東京駅の駅舎やホームが間近に思えます。

東京會舘が営むレストランのランチには、
コースメニューあれこれに並んで洋食メニューが用意されている。
ビーフやシーフードのカレーもよいけれど、やっぱりオムライスも気になるところ。
「ふわとろ チキンオムライス ドゥミグラスソース」をお願いしましょう。

南瓜のポタージュスープがまず美味しい。ginzaskylounge04流石、東京會舘は伊達じゃないと思ったりなんかして(笑)。

じわじわ動く窓越しの景色をちらちら眺めつつスープをいただいて、
替わりに届いたお皿にオムライス。ginzaskylounge05「たんぽぽオムライス」よろしく、ライスの上にゆったりと玉子を横たえてある。
ご飯が既に褐色を帯びているのは、
たっぷりのドミグラソースでチキンと一緒に炒めているからと思われます。

お約束通り、真ん中から真横一文字にナイフを入れて、
玉子が内包していたところをひけらかす。
そこへポットに添えてくれていたドミグラソースをたっぷりと回しかける。ginzaskylounge06うーん、やっぱりズルい景色になるですね。
ふわとろの玉子の甘さとドミグラのすっきりした旨味とが重なり合って、
負けじとチキンライスが顔を出してはするっと渾然となる。
ああ、いいね、美味しいね。

帰りがけに14階のホールに置かれた料理サンプルを見てちょっと驚いた。ginzaskylounge07だって、今食べたオムライスの本物に見紛うほどの出来映えなんだもの(笑)。

東京交通会館の頂上で廻り続けて半世紀、
回転レストラン「GINZA SKY LOUNGE」。ginzaskylounge08このドーナツ状レストランは、およそ80分で一回転するらしい。
山手線で一周するよりもゆっくり廻っているんだね。
ここから見渡した開業当時の銀座の街並みは、
きっと今より空が広かったんだろうなぁなんて思ったりもする。
そうそう、西洋料理「Chez Rossini」のある丸の内の東京會舘ビルは、
区画の再開発により、取り壊してしまうそう。
今の本館での営業は、2015年1月末日までのようです。

口 関連記事:
  西洋料理「Chez Rossini」で 12種類の薬味とずわいがにと筍のカレー(07年02月)

「GINZA SKY LOUNGE」
千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館15F [Map] 03-3212-2776
http://www.kaikan.co.jp/branch/skylounge/

column/03508

茶房「野の花」で 睦月のごちそう人日の節句の七草粥ミズのコブコ

nonohana銀座松屋の裏通り。
伊東屋での買い物帰りに、
裏口から出た足でよくその様子を眺めていたのが、
野草・茶花の専門店「司」の店先。
もしかしたら、伊東屋裏にあった代理店で、
アルバイトをしていたうん十年前からあったのかもしれません。

そしてその二階にあるのが、茶房「野の花」。nonohana01店先に飾られた花器や鉢を横目に右手に回り込むようにすると、
そこから二階への階段が迎えてくれます。

階段を上がった処に下がる暖簾を払うと、
細やかな木花を挿した花器の並びが目に留まる。
左手中央に大きなテーブルが置かれ、その奥にも数卓のテーブル。nonohana02一番隅の椅子にと腰掛けました。

まだまだ正月の空気の残る頃のお品書きには、
「睦月のごちそう」と題するメニューもある。
前の日が人日の節句だったこともあり、
お願いしたのは、七草粥のお膳です。

枸杞の実のよな赤の他にも野の草の緑色が所々に混じる粥。nonohana04nonohana03後から届けてくれた紙の上の塩を摘んで加えて、匙を動かします。
七草の分量が特別多い訳ではないので、
野の草を満喫!という仕立てではないけれど、
その優しい味わいがほっこりとした気分にしてくれます。

添えた長皿には、数珠のような形状の草を煮付けたようなお惣菜が載っている。nonohana05訊けば、「ミズ」という山菜のコブコとか。
ミズコブとかミズムカゴ、ミズの実とも呼ばれるもので、
秋田から送ってもらっているものの佃煮だという。

どうやら野山に自生する植物の佃煮を定番の品としている模様。
煮物は、濃い出汁と塩糀のみで味付けでしているとある。
しっかり満腹のジャンクなランチとは対極にある自然派の膳が、
いつでも心穏やかにしてくれる、そんな気がします。

野草・茶花の専門店「司」の二階に茶房「野の花」がある。nonohana06ふと見た壁の貼り紙では、「野の花教室」の生徒募集中。
如月や弥生の「ごちそう」は、どんなお品書きになるのかな。

「野の花」
中央区銀座3-7-21 野の花「司」2F [Map] 03-5250-9025
http://www.nonohana-tsukasa.com/sabou.html

column/03504

名物カレーうどん「慶屋」で 手打ち細麺カレーうどん夏は冷やしで

keiya.jpg首都東京都区内をぐるっと一周、 取り囲むように環状に巡る山手線。 山手線(やまのてせん)が環状運転を始めたのは、 今を遡ること90年の1925年(大正14年)のこと。 東海道本線の起点が東京駅となったのは、 更に遡る東京駅開業の1914年(大正3年)のこと。 開業100周年を迎えた東京駅の丸の内駅舎は、 長い工事期間を経て見事に復元されたものね。

そして、東京駅の開業と同時に運行が開始されたのが、 当時の京浜線、現在の京浜東北線。keiya01.jpg日比谷から銀座へと向かう晴海通りが潜るガード脇。 真上を走り抜ける青いラインの京浜東北線の車両。 他所のガード下と同じく、半円形を描く天井の通路となっているトンネルが、 名付けて「有楽コンコース」。 京浜線や山手線が走り始めて以降、いつ頃に今の設えになったのでしょう。 壁の箱文字は、YやKやSが毀れちゃってて、 それもまた旧さを印象づけています。

レトロな味をこれでもかと盛り付けた「まんぷく食堂」を横目に進めば、 短いトンネルをあっという間に抜けている。keiya03.jpgkeiya02.jpg其処もまだ昼なお薄暗いのは、 東海道本線や東海道新幹線の高架が上を覆っているから。

そんな有楽コンコースの銀座サイドにあるのが、 黄色い暖簾が目印の「慶屋」であります。keiya04.jpgkeiya05.jpg背が高くて座り難くもそれがなんだか気分な、 紅い座面の丸椅子が迎えてくれます。

暖簾の奥の下がり壁に並ぶ品札。keiya06.jpg消費税率が変わってもそのままの変わらぬ風景とお見受けします。

keiya07.jpg向かって右手の壁に何気なく貼った張り紙には、こうある。 当店は、手打ちうどん・そば店です。立ち喰い店ではありません。 時間のない方は、御遠慮願います。
こふいふ、正に路面な立地だと、 駅そばのようにスっと注文してすぐさま立ったままズズっと啜って去る、 みたいなノリで立ち寄ろうとするひとも少なからずいるかもしれないけど、 そふいふ店ではないことは明らかにしておく必要があるのでしょう。

注文を受けたご主人は、タッパーに収めてあったうどんの束を取り出して、 そっと湯に投入する仕草をする。 既製の袋入りうどんや冷凍ものではないことが判ります。

街ゆくひとを眺めながらのんびりと待つ裡に、 お願いしていた「カレーうどん」が出来上がりました。keiya08.jpg追加したコロッケの下には、 とろみの強いカレー汁が待ち受けています。

「慶屋」のうどんは、 初めて見たときは少々意外な面持ちになったほど、細めのもの。keiya09.jpg稲庭と似ているようでいて、そこまでは細くない。 最近知っておウチで美味しくいただいている乾麺、 「田奈うどん」に近い形状だけれども、 此方のは、生麺ということもあるのか、より柔和で柳腰な仕立て。 カレー汁がよーく絡んで持ち上げます。

keiya10.jpg「カレーうどん」には、デフォルトでご飯がついてくる。 お約束の流れに従って、どんぶりにご飯を投入します。 そうすると益々、カレー汁が強いスパイスや醤油の濃さを避けた、 優しい仕立てであることが判ります。

夏のとある夜にも黄色い提灯が点ってる。keiya11.jpg品札の並びには、冬場には外されるメニューがふたつほどある。 そのひとつが、夏場の話題メニュー「冷やしカレーうどん」であります。

keiya12.jpg冷たくサラサラとしたカレー汁に、 醤油出汁を凍らせたシャーベットが浮かんでる。 油脂を多く含むつゆではこうはいきません。

そこへ冷たくシメた麺を浸していただけば、 頭に昇った暑気も束の間退こうというもの。keiya14.jpg細麺は、こうして盛りうどんにするのもよく似合う。 背景には、銀座の街の灯りがカラフルに点滅しています。

有楽コンコースの入口の暗がりに、 名物カレーうどんの店「慶屋」がある。keiya18.jpgkeiya16.jpgご主人に店名「慶屋」の由来を訊ねたら、 「そんなに難しいこっちゃないよ」と笑いながら話してくれた。 ご主人がキクチさんで、その頭文字KからK屋、転じて「慶屋」としたんだそう。 成る程、姓をそのまま使うより断然、目出度くて表情のある店名になりましたね。 店名を名付けたのは、いつのことなのかも訊ねればよかったな。


「慶屋」 千代田区有楽町2-4-11 [Map] 03-5222-8262
column/03474

揚鶏と水炊き「森川」で 博多落款の揚げ鶏定食親子丼究極に想う

morikawa.jpgその先に歌舞伎座タワーの背中を望みながら、 パスタハウス「山岸食堂」や「Dolce LA BETTOLA」の前をぶら歩き。 イタリアン「IL BIANCO」や暖簾分けして移転した、 蕎麦「流石本店」の入った雑居ビルの角を何気なく曲がると、小さく揺らめく暖簾が眼に留まりました。 何やら真新しく見える佇まいのその壁に木彫り看板。 「森川」と示した店名に、揚鶏と水炊きと肩に添え、 博多と落款が押してあります。

暖簾を払うと、こじんまりした木目基調の設えが迎えてくれる。 L字のカウンターに壁に寄り添うようなテーブルが幾つか。

「お昼ごはん」は、三本立てで、 「野菜 日替わり定食」に「究極の親子丼」「揚げ鶏定食」。 唐揚げ気分で注文すると、カウンター越しに揚げ音が聞こえてきます。 「揚げ鶏定食」は、唐揚げとチキン南蛮の組み合わせだ。

唐揚げは、粉の浮かないしっかり目の狐色。morikawa01.jpgうん、揚げ立てへの期待通りの食べ応え。 はふはふ、芳ばしく、ご飯が美味い。

タルタルがたっぷりかかった鶏カツは、飴色の照りが誘います。morikawa02.jpg唐揚げに対する変化が嬉しい一緒盛り。 うんうん、こっちもご飯が美味い。

日を改めて、今度はカウンターの中央へ。 「究極の親子丼」をいただきにあがりました。

成る程、卵の黄身の濃い色を連想させる表情にゴロっと鶏のぶつ切り。morikawa03.jpg温泉玉子も突き崩し、いざいざ。

morikawa04.jpg うんうん、やや甘めながら、 卵の甘さが愉しめるよな割下使いになってる感じ。morikawa05.jpg食べるの速いと叱られてしまいそう(笑)。 しっとり柔らかな身肉は、銘柄モノなのでありましょか。

世に最上級の修飾を謳う親子丼は少なくない。 例えば、人形町「玉ひで」の「極(きわみ)親子丼」。 身近な処では、茅場町「鳥ふじ」の「特上親子丼」。 未訪問ながら、「青山 鶏味座 本店」には、「究極の親子丼」があるらしい。

当然のように卵に拘り、鶏肉に拘り、ご飯に拘り、割下に拘り、三つ葉にまでも拘り。 調理に係る所作手順、道具器具一式にも最上を揃えて臨んでいるであろうところ。 そこに料理人の感性や思想が加味してこそと信じたい。

ただ、”特上”はまだしも、”究極”となると、 あの「究極vs至高」漫画が脳裡にチラついたりして、鼻白む感じになってしまう。 品書きにハードルの上げ過ぎを思うおひる時でありました。

東銀座の横丁にこの八月に開店した揚鶏と水炊き「森川」。morikawa06.jpgランチの営業は、まだ始めたばかりだという。 博多ご出身と聞く大将の本懐は、博多の手羽揚げやひな鶏の素揚げ、 そして水炊きのいただける夜の部にあるのかもしれません。


「森川」 中央区銀座2-13-17 [Map] 03-6264-3933
column/03437