「深川両国河むこう」カテゴリーアーカイブ

居酒屋「河本」で にこみとホッピーと女将さんのいる風景と

kawamoto.jpgまだまだ残暑厳しき頃のこと。 久々に降り立ったのは、東西線木場の駅。 改札を抜け、地上に上がれば、 交叉点を西に傾きかけた灼熱の陽射しが炙ってる。 忽ち汗ばんで参ります。 そこから永代通りを門仲方向へちょっと戻って、 左に折れる。 するとすぐに出会す川は、大横川という小さな川で、平野橋という小さな橋が架かっています。

その橋の袂から川の側道に出れるようになっていて、 そのまま川に沿って進めば、平久橋という橋の下に回り込む。kawamoto01.jpgちょっとした水辺の散歩道になっているようです。

時間調整も兼ねて、散歩道を往って帰ってしてから、 ヨーカドーなんかが入る「深川ギャザリア」方向へ足を進めれば、 手前の角に、歩道脇に草木茂らせた、 江戸茶色のリブ波トタンを貼り込んだ建物が見えてくる。kawamoto02.jpg酷暑の中やってきたのは、ご存知、居酒屋「河本」。 待ち合わせたのは、此処にずっとずーーっと来たかったの!と云う、laraさんだ。

信号の向かい側に佇んで、ほんの暫く、味わい深き「河本」の佇まいを眺めていると、 定時よりもちょっと早く、女将さんが暖簾を手に登場された。kawamoto03.jpgああ、すぐさますっとお手伝いするには距離がある。 店のすぐ前で、”シャッター”していれば良かったね。

ふと気がつけば、暖簾の左手にあった「河本」の文字が右手に動いて、 ちょっと凛々しい感じになっている。 以前の「河本」のアップリケ風文字は、ブログタイトルでずっとお世話になってます。

早速、暖簾から中を覗き込んで、久し振りのカウンターに腰掛ける。kawamoto05.jpg面取りしたところがさらに擦れて丸みを増したカウンターや、 修繕の跡も微笑ましい丸椅子が迎えてくれる。

ああ、くにちゃんたちとお邪魔した時も熱い日だったなぁ。kawamoto04.jpg冷房設備なんてないところが、これまたオツなのだと思ったことを思い出しました。

「河本」でいただく麦酒にはやっぱり、キリンラガーが良く似合う。kawamoto06.jpgとうとう来ちゃいましたね~(笑)、と祝杯のグラス。 汗ばんだ額と乾いた喉に、瓶のラガーが涼風を運んでくれます。
kawamoto17.jpg 左手の壁に掛った品札の文字を愉しく眺めてから、 まずはやっぱりここからと「にこみ」を女将さんに所望します。kawamoto07.jpgkawamoto08.jpg目の前の鍋から小鉢に取り分けてくれる女将さん。 ああ、あっさりしながら味が滲みて、ホルモンのふるふるが上手にいただける。 やっぱり、旨いです。

「にこみ」の隣に掲げられている札は、 「さらしくじら」とチョークの文字で。kawamoto09.jpgさらした鯨は、一種不思議な美しさ。 酸味抑え目の酢味噌との相性や、絶妙で、 味のないようにも思えるくじらが風味の表情を明るくしてくれます。
kawamoto10.jpg こんな肴たちには、 麦酒からホッピーに切り替えるのが自然な流れ。 ツー、シャコン!と焼酎を注ぐ女将さんの所作がいい。kawamoto11.jpgずっとずーーっと来たかったんです!と訴えるlaraさんの話に、 うんうんとにこやかに頷き返してくれる女将さんの笑顔と、 どこか飄々とした雰囲気がやっぱりチャーミング。 え!そんなに遠くから!と云ったときの表情なんか、特にね(笑)。

「かけじょうゆ」は、その脇に「マグロぶつ」と括弧書きが添えられて。kawamoto13.jpgkawamoto14.jpglaraさんが「やっこさん」の大200円也を女将さんに注文した時、 カウンターがほんの少しざわついたのは、 大のサイズがまるまるお豆腐一丁であるのを皆さんご存じだから(笑)。 「もろきゅう」もお供に、朗らかにゆっくりゆっくりホッピーを呑み干します。

kawamoto12.jpgふと、壁の額装を覗き込むと、どなたが認ためたのでしょう、 「居酒屋猫」と題した、「河本」を詠う素敵な書がある。 一節には、「女将は何のてらいもなく、只にこやかに客に対している」と。

戦前からの残り香がいまも心地よく漂う、老舗酒場、木場「河本」。kawamoto16.jpgkawamoto15.jpg若くして店に立つことになった頃の顛末も、 まさに衒いなくにこやかに話してくれる女将さん。 半世紀にも亘って店に立ち続ける間には、 いろんな苦労や難儀なことが幾つもあったことでしょう。 でも、そんなことは笑い飛ばしてしまうような気風も秘めている。 お元気でと願うのは、それが訪れる客自身のためでもあるから。 寒さが凍みる頃におでんの湯気に包まれるのもまたよいのでしょうね。 laraさん、初「河本」、どうだったかな。

口 関連記事:   居酒屋「河本」で ホッピーにこみにアジす漬仕舞た屋風情の倖せ(07年08月)


「河本」 江東区木場1-3-3 [Map] 03-3644-8738
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酒亭「わくい亭」で 洋風居酒屋メンチ赤ワイン煮トマトバジル炒め

wakuitei.jpg云わずと知れた墨田区本所の居酒屋へと、 本所吾妻橋駅から雨の中。 三ツ目通りを真っ直ぐ南下し、 春日通りに辿り着いたところで右へ折れる。 一見静かな佇まいをみせるは、「わくい亭」。 近づけば、暖簾の向こうから帯びた熱気が漏れ伝わってきます。
既に満席の様子のカウンター。 やぁやぁ、なんだもう、みんな着いているンだねとテーブル席のひとつへ落ち着きます。

麦酒をいただきつつ、これは最初にたのんでおいたよと、 名物とも謳われる「メンチカツ」が眼前に。wakuitei01.jpgまぁ、なんと云いますか、 なるほど如何にも草鞋サイズだよなぁと思わず足を乗っけてみたくなったりして(笑)。 お皿の真ん中に添えてくれているナイフで大胆にカツの中央からざっくりと両断! すると、これまた如何にも肉厚な表情の断面が顔を出す。wakuitei02.jpg牛脂あたりを挿し込んで、わざとらしく脂を滴らせるような真似はしていません。 wakuitei03.jpg云わば、衣香ばしく、衣が包むミンチもまた香ばしい、そんなメンチカツではないでしょか。 この「メンチカツ」は、黒板メニューには記載がないので、ないない!とあんまりキョロキョロしないように(笑)。

「岩がき」は、1ヶ350円也。wakuitei04.jpgその出自を訊いておきながら失念してしまったけれど、 コクの程度とミネラルな程度に思わず頷く生牡蠣だ。

続いていただいたのが、「和牛赤ワイン煮」。wakuitei05.jpgこってりした表情の赤ワインソースに包まれた牛肉にはバゲットが添えられています。 ナイフを刺せば、期待通りの柔らかさ。 その赤ワイン煮をバゲットにのっけて口に運べば、 あれ?居酒屋なんじゃなかったけ?という疑念が早くも沸いてくる。wakuitei06.jpgこの辺り、ご近所といえばご近所の、森下「山利喜」をふと髣髴とするところであります。

これまた小洒落た感じで攻めるのねぇ(笑)とご指名の「クレソンサラダ」。wakuitei07.jpg幾重にも積み重ねれらたクレソンとレタスのこんもりとした丘。 さらっと味わいを極めるドレッシングがさり気なく。

白ワインでもいいんじゃないとボトルでいただいて、「活きたこガーリック炒め」。wakuitei08.jpgスナップエンドウが色味と食感の変化を添えてくれています。

いよいよなんの店だか判らなくなってきたところで、「フルーツトマトバジル炒め」。wakuitei09.jpgバジル風味が包む、 火の入ったフルーツトマトの甘酸っぱい旨みに不思議な説得力を思います。

本所で、墨田区で、下町で有名な居酒屋のひとつ、「わくい亭」。wakuitei10.jpg今回はすっかり洋食居酒屋づかいしてしまったのだけれど、 「わくい亭」には勿論、日本酒にあう酒肴もしっかりある。 次回はそういう愉しみ方をしにお邪魔したいな。


「わくい亭」 墨田区本所3-22-12 [Map] 03-3829-3751
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洋食「深川 煉瓦亭」で 揚げ色しっかカキフライ艶やかバター焼き

fukagawarenga.jpg今季久し振りに訪ねた「新富 煉瓦亭」。 洋食元祖の矜持をみたような「カキフライ」仕立てが印象深い。 「カキバター焼き」も良かったな。 そんなことを思いつつ、 そういえば他にも「銀座 煉瓦亭」から暖簾分けしたお店があることを思い出しました。
距離はそう遠くないのに、足回りがいまひとつでどうも縁の遠い感じのする森下界隈。 市場通り(新大橋通り)を往って、そのまま新大橋を渡れば着くのにな。 ふと、バスでは行けないのだろうかと調べると、平成通りに新大橋を渡って錦糸町や亀戸に向かうバス路線がある。 時間を合わせてバス停に並んでバスのひと。 新大橋を渡ったバス停、新大橋で下車します。 「深川 煉瓦亭」は、新大橋通り沿い。 お店も多くなく、意外とひっそりした界隈に浮かべるマゼンタ色のネオンが目印だ。 扉を開けるとフロアはひっそり。 ただ、二階にもフロアがあるらしく、宴会モードの嬌声が漏れ聞こえてきます。 兎に角やっぱり「カキフライ」。 愛想のいいオバちゃんが「ハイね」と応えて、厨房にオーダーを通します。 ライスのお皿と一緒にオバちゃんが届けてくれたお皿には、「新富 煉瓦亭」の「カキフライ」を彷彿とさせるしっかりした揚げ色の牡蠣フライ。fukagawarenga01.jpg いつものことながら、芥子はどうやって使うのかなぁと思いながら、トッピングのマヨネーズ的タルタルとのせて、ふーふーしながら齧りつく。 fukagawarenga02.jpg うんうん、 交叉する香ばしき衣の歯触りと牡蠣の身の旨みに思わず頷く。fukagawarenga03.jpg弾ける魅力の醍醐味から敢えて比較しちゃうと「新富 煉瓦亭」のそれに軍配だけれど、これはこれでまったくもって悪くないであります。

森下側にアプローチする術を知ったので、も一度寄ろうとふたたびバスのひと。 今度は1階フロアはそれなりの賑わいでありました。 改めて卓上のメニューを漁ると、「深川の地ビール」なんてご案内もある。 白いラベルの深川神明宮、赤いラベルの芭蕉庵、そして黒いラベルが新大橋と三種のタイプがあるらしい。 ラベルの色はまだしも、ネーミングとの意味合いはよく判らないなぁと思いつつ、場所柄に配慮して、黒の新大橋ラベルの地ビールをお願いしました。 fukagawarenga04.jpg でもこれ失敗(笑)。 どこか薬臭い後味がして、あまりよろしくない感じ。 一気に呑んじゃって、お願いしていた「平日限定メニュー」記載の「カキバター焼き」の到着を待ちます。 艶やかにそして香ばしそうな表情でやってきた「カキバター焼き」。fukagawarenga05.jpg普通のビールをお願いしておきゃよかったなとちょっぴり後悔しつつも、 それは当然のことのようにご飯にぴったり。 加減よく火を入れてあり、旨みを凝縮させつつぷるっとした食感を伝えてくれます。 添えてくれた中華そば店のようなスープは、 是非洋食の店らしいものに再考いただきたい(笑)。

THE洋食の店の誉れ高き「煉瓦亭」暖簾の一軒、下町「深川 煉瓦亭」。fukagawarenga06.jpgfukagawarenga07.jpgWebサイトには、 銀座 煉瓦亭より昭和3年に当時の深川区森下町に、一番最初の支店として、暖簾分けをいたしました。戦争中の空襲のため、昭和25年7月に現在地の江東区新大橋に移転し、現在に至っております。とある。 「新富 煉瓦亭」の兄貴分にあたるということになるのだね。 文明開化の頃を思わせるようなレトロなシルエットデザインは、銀座の本丸そして新富のお店と同じ意匠です。 口 関連記事:   洋食元祖「新富 煉瓦亭」で 超揚げ立てカキフライあぁ至福の時(11年01月)


「深川 煉瓦亭」 江東区新大橋2-7-4[Map] 03-3631-7900 http://www.rengatei.net/
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自家製麺「麺屋 吉左右」で ワシと掴む大盛りつけ麺

kissou.jpgつけ麺を求める客たちが集まり行列必至という店へと木場まで足を運んでみました。橋を渡り、右手に折れると…。やっぱり、ひとの群がみつかりました。5脚が2列に綺麗に丸椅子が並びその先にも列が伸びています。およそ25名ほどが並んでいる。他に逃げ場も用意していないので、そのまま素直に並びます。結局1時間近くが経過。漸くカウンターに招かれました。積もった空腹感に背中を押されるように、オーダーは「大盛りつけ麺」。「量多いですけどよろしいですか?」と訊かれる。むむむ、450gだ。首をコクンと縦に振って、身構えます。つけ汁、そして麺の収まった深めのドンブリがやってきました。やっぱ、多いかぁ(笑)。“美味しく食べれる量をお願いする”を信条としているので、今日はそこから逸脱してしまったかもしれません。つやつやとした太めストレートの麺をワシとひっ掴んで、ドボと汁に浸して、ズズと啜る。ふむふむふむ。「麺彩房」あたりを思い浮かべる、好きな系統のつけ汁、そして麺だ。魚だしがしっかりと主張しつつ、ボディの丸く太いツユ。程よいトロミが麺に纏う。案の定終盤になって苦しくなってきたけど、残すなんていう失礼がお店にもお天道様にもないよう、頑張って咀嚼する。うー、満腹デス。 「麺屋 吉左右」 江東区東陽1-11-3 03-3699-5929 口related column:>つけそば「麺彩房」 五反田店(過去記事)
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Le Porc de Versailles「ベルサイユの豚」で イベリコ豚グリル

versailles.jpg錦糸町南口で待ち合わせて向かったのは、駅からすぐのビル5階。エレベーターの扉が開いた途端に眼に飛び込んでくるのは、ん?もしやマリーアントワネット?。豚を抱えているぞぉ。振り向いた右手の厨房前には豚のモニュメントがぶらさがっています。奥のテーブルに案内され、まずビール。ふと仰ぎ見ると豚がケツをこちらに向けている。失礼なやっちゃ~と笑いながら、「スペイン産ハモンセラーノ(西)」や「三元豚の冷しゃぶコブサラダ(米)」で前菜する。「豚トロのエスカベッシュ仕立て(仏)」は、つまりは南蛮漬けだね。インタな産地の豚でスタートを果したところで、ヴェネト州の赤「VALPOLICELLA CLASSICO」(伊)を開けて、「黒豚のメンチカツ(日)」「もち豚のゴーヤチャンプル(日)」と今度は日本の定番的素朴系のお皿をいただく。シラーの「LINDEMANS BIN50」(豪)に切り替えて、ベル豚ポトフの中から「白金豚ソーセージと芽キャベツポメリーマスタード添え(独)」選んでみる。パキッと折ったソーセージからの香り、ポトフらしい優しい味わいのスープがいい。ふと、ケツを向けていた豚を再び見上げると、あれ?今は横を向いている。訊いてみると、こっちのがアンドレでむこうのがオスカルなんですと。ま、いっか(笑)。お肉らしいのを!ってことでお願いした「スペイン産イベリコ豚のグリル(西)」は、がっしりした噛み応えの中から、濃密な風味が伝わってくる。ドングリが利いてるのかどうかは判らないけど。〆にとおススメの、10食限定「ローストオニオンポークカツとガーリックライスのミルフィーユ味噌カツ仕立て」。挟んだご飯を刻んであるカツもろとも掻き混ぜてただくのでありますな。世界あちこちの豚に着目して、あの手この手で仕立てて供してくれる「ベルサイユの豚」。反省を含めて思うのは、創作が匂うメニューはほどほどにして、豚肉の銘柄それぞれの魅力が極力ストレートに楽しめそうなメニューを選り分けていただくほうが満足度は上がりそうです。 「ベルサイユの豚」 墨田区江東橋3-13-6 KINSIAビル5F 03-5624-0320  http://www.diamond-dining.com/berubuta/
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