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ただいま鋭意、旧サイトより記事移築中です。
2005年03月まで遡って移築が済みました。
でもまだまだ3合目くらい。頑張れ自分(汗)。


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ディープ荒川台東区アーカイブ

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口洋食「一新亭」で カキフライ付きオムライス古き下町の味わい

isshintei.jpg浅草橋の一角に古びた洋食屋さんがあるらしい。
ハヤシとカレーとオムライスを盛り合わせた「三色ライス」というのが、謂わばその店のスペシャリテ。
その「三色ライス」を食べずしてその店の魅力は語れない的な内容のことをテレビ画面が伝えていたことを覚えています。
もうちょっとで蔵前橋通りに至ろうとする、そんな辺り。
寒空の宵闇に揺れていたのは、
大きく「洋食」と墨した、潔き白い暖簾だ。

ガラっと引き戸を開くと、定位置と思しき椅子に腰掛けて相撲に見入っていたオヤジさんが、「あいよーっ」ってな所作で立ち上がる。


テーブルに腰を下ろして周囲をきょろきょろ(笑)していると、「三色ライスとかオムライスとかカキフライとか」と助け船を出してくれました。

ここで食指が動いたのが、オムライスに揚げ物を組み合わせるシリーズ。
デフォルトコロッケからメンチ、魚フライ、エビフライ、カツ。
やっぱりね(笑)、と「オムライスカキフライ付」をオーダーです。

isshintei01.jpg
揚げ音が響き始めた店内には、雷門の大提灯の向こうを都電が走る写真を始めとした古き下町の味わいを発露するモノクロームが飾られています。


isshintei02.jpg
味噌汁のお椀と一緒にお皿がやってきました。
ハコフグを連想させるような、やや角張ったフォルムのオムライス。isshintei03.jpgフライパンの立ち上がりが形造っているのかな。
そこへ寄り添うは、2片のカキフライとケチャップ炒めのスパゲティ。


たっぷり載せたケチャップごとスプーンを割り入れて、パクリ。isshintei04.jpg中のご飯もケチャップをたっぷり使った仕立てで、ケチャップの酸味が利いており、そこへ玉子内側の半熟が溶け込んでいる。
isshintei05.jpgisshintei06.jpg
カキフライともども気取りのない感じ、といったところでしょうか。
それは、今更衒うことはない、オッチャンオバチャンやお店の情緒とすんなりと一致する魅力です。


ひと通り少ない下町の一辺にある洋食「一新亭」。isshintei09.jpgお品書きisshintei07.jpgisshintei08.jpgを改めて眺めながら思うは、今度こそ「三色ライス」か、はたまたやっぱり一年中あるという「カキフライ定食」か(笑)。


「一新亭」 台東区浅草橋3-12-6 [Map] 03-3851-4029

column/02759 @800-

口寿司の伝導師「酢飯屋」で 都内某所に秘かに饗す宴黒米の握り

sumeshiya.jpgそれは年の瀬も押し迫った頃。
襟足を過ぎる風が身を縮めさせ、足下からセリアガる冷気が身震いさせる冬の夜。
都内某所のひと通り少ない裏通り。
閉めているはずの店にこそこそと、ひとりまたひとりと集まる挙動不審な輩たち。
そこが、裏世界で「酢飯屋」と呼ばれる闇寿司店の最近のアジトらしい。

自ら"寿司の伝導師"と名乗り、カルトで神出鬼没だという「酢飯屋」。
その「酢飯屋」を舞台に密かに饗された宴に潜入してみた。


まず提示しなければならないのが、持参した酒。
自らの嗜好や共有したい滴、怪しい場にふさわしいプレゼンテーションなど錯綜する想いを酒瓶に籠めろ、というのだ。

カウンターではなく、小上がりに案内されて、一同に目配せ。
早速マグナムな「POMMERY」を抜く儀式で、何事かが始まる。


卓上には、「煮貝の盛り合わせ」「小物の南蛮漬け」。
sumeshiya01.jpgsumeshiya02.jpg


そこへ大きく赤い異物が持ち込まれ、添えられた人数分のスプーン。
sumeshiya03.jpgsumeshiya04.jpg
大間の鮪のものだという中骨を中おちのついたままをデンと載せ、スプーンで削って食べるようにさせる様式は余興要素をも含んでいて愉しいが、これもまた何かの儀式ではないのか。


様々な瓶には、甘口赤の「天橋立ワイン」があるかと思えば、津軽のりんごジュースが差し出され、果たして梅干を入れ割る球磨焼酎「もっこす」。前後して、出処秘匿の無農薬米純米酒に発泡酒「すず音」に「酔鯨」に燗酒にと、いよいよ訳が判らなくなってくる。こ、これは危険だ。


酔いの縁を辿り始めたところに牙を剥いた異形にハッとする。sumeshiya05.jpg老成バラクーダにも似たグロテスクに黒いカマスを「しゃびの塩焼き」と謳って、まるで生贄のよう。
黒々とした外皮とふわりと軽やかな白身とのコントラストが妖しい。


海産が互いに僥倖を想うよな「牡蠣とブリの味噌鍋」で、ぶりっとした牡蠣の身の洗礼を受けたかと思えば、
sumeshiya07.jpgsumeshiya06.jpg
内子と味噌と剥き身が混然となった「豊前本ガニ」に陶然とする。


このまま酔いに任せてしまおうかと悪魔が誘う中で、めくるめく握り世界が展開されていく。
sumeshiya08.jpgsumeshiya09.jpgsumeshiya10.jpgsumeshiya11.jpg
赤酢にしては妙に鮮やかだなぁと想った酢飯は黒米仕立て。
sumeshiya12.jpgsumeshiya13.jpgsumeshiya15.jpg「穴子の押し寿司」を経て、「バラちらし寿司」へと至る。
sumeshiya14.jpgsumeshiya16.jpgsumeshiya17.jpg
ふう、なんとか無事に寿司の伝道師のアジトへの潜入を果すことができそうだ。


背中で遠ざかるアジトは、はて、いつまで其処にあるのだろう。
酩酊した脳裏で想うのは、そうとなれば今度は、ゆっくりと適度な酒量配分で、かつ、正対するカウンターで握ってもらいたものだということ。


今夜の宴の司祭は「築地市場を食べつくせ!」の築地王さん
そして執事役多謝の「フェティッシュダディーのゴス日記」のジュネさん
また、秘かなる宴の様子は、ワシ・ブロさん佃の旦那さんの潜入レポに詳しい。


「酢飯屋」 都内某所 詳細不詳

column/02751 @11,500-

口焼肉「スタミナ苑」で メクルメク満ち足りた幸せをありがとう

staminaen.jpgずっとずーっと行きたいと思っていた、鹿浜「スタミナ苑」。
でも、普段の生活圏とは離れているし、公共交通機関をどこからどう辿るのがいいのかイメージが沸かないし、なんだかスッゴい行列に並ばなきゃいけないらしいし。
そんなこんなで、つまりは勝手が分からないまま、ずるずるお邪魔することのないままでありました。
それが京橋で呑んでいる時にそんな話になって、晴れてこの日、参上することになったのです。
んも~ぉ、わくわく(笑)。


初めて降り立った赤羽岩淵からタクシーで到着すると、既に道端に行列が出来ている。
皆んなキャンプチェア持参で来てるンだ準備いいなぁーと思ったら、それは店が用意したものらしい。
秋のカラッとした清々しい陽光の中、のんびり駄弁ってその時を待つのです。

なんとか一巡目に入れそうな順番ではあったけど、人数を告げておいてもメンバーが揃っていないと後続さんたちに席を譲らなければいけないというルール。
シズるな匂いがしてきたけど(笑)、もうちょっと待ちましょう。
行列を振り返ると、うわー、ずっと向こうまで伸びてるね。


暖簾のすぐ向こうの、右側のテーブルが片付けられる様子を眺めながら、きっとあそこが今夜のステージだねと囁き合って、「どーぞー」の声を聞く。そして、いそいそとテーブルを囲みます。

きゅーっと氷点に冷えたジョッキの乾杯で迎えたお肉がまず「上タン塩」。staminaen01_joutan.jpg炙るようにして、もうそのまま、ムホっと口に放り込む。
心地いい歯切れとタンらしい香気に思わずニンマリ。

staminaen03.jpg
ニクい仕立ての「生野菜」を平らげて、
続くお皿が「上カルビ」。
staminaen04_joukarubi.jpgstaminaen05_joukarubi.jpg
濁りなき甘さの如き旨味がただただ、いいなぁ。


「ミックスホルモン塩」はこの表情。staminaen06.jpgstaminaen07.jpg子袋、センマイ、ハツ、ギアラ、ホルモン。
つまりは内臓たちなのだけど、なんだか妙に綺麗な印象なのは、鮮度に加えて、それだけ丹念かつ入念に仕込みをしてくれたから?なんて思ってしまう。
塩ダレと醤油ダレを比べてみると、断然醤油の方がホルモンそれぞれの味わい旨味が引き立ってくる。うんうん、はふはふ。


そしてすっごいお皿がちょっとコッソリやってきた。staminaen08.jpgこの艶かしさをなんと表現すればいいでしょう。
暫らくじっと見惚れてしまったとだけお伝えしましょう(笑)。
ぴんとしたエッジ。
お皿に余計な汁が垂れ滲んだりしないことで活きの良さが自ずと判るというものです。
いつもいただけるってもんじゃないのがますます気持ちを煽るのですね。
さくーっと歯の先を受け止めつつ張り付くような感触と鉄分の風味を含む澄んだ旨味旨味。
なは~、なはははー。


濃厚なるコンソメの「ホホ肉スープ」とか、こんなサイドメニューも「スタミナ苑」の底力。staminaen09.jpg

「上ロース」や「上ヒレ」にも大満足。
staminaen10_jourousu.jpgstaminaen11_jouhire.jpg
メクルメク感じも最高潮。
気持ちの割りに意外と量がイケなくて口惜しく思うことが多いのに、どんどんするする食べちゃえるノリになるのは、何故だろうね。
staminaen12.jpg
甘さ控えめ「手作り杏仁豆腐」でそっと気持ち落ち着く大団円です。


この満ち足りた幸せをありがとう。staminaen13.jpg焼肉の匂いの沁みた藍の暖簾に最敬礼であります。


今宵のご同席多謝は、「らーめんダイニング【ど・みそ】」店主みそもっこりさん「飲みたいから♪」築地人さん、ほかの皆さんでした。ありがとうございましたっ。


「スタミナ苑」 足立区鹿浜3-13-4 [Map] 03-3897-0416
http://www.mode-web.jp/sutamina/

column/02703 @7,000-

口天麩羅「千束 いせや」 で比べりゃ地味軽い海老穴子天丼

senzokuiseya.jpg日本堤の有名な天麩羅屋「土手の伊勢屋」の兄弟店が、
隣町の千束にあるという。
圧倒するようなシツコさにほぼノックアウトだった「土手の伊勢屋」だけど、兄弟店はまた多少違ったりするのかも、と冒険心が湧いてきました。

昭和通りと国際通りとを結ぶ金美館通りという鄙びちゃった通りのアーケード。
その一辺に、ひっそりとした表情の「千束 いせや」がありました。

「土手」ほどの枯れはありませんが、こちらのお店も年期の入った昭和な井出達。
使い込んだカウンターの丸椅子へ腰掛けようとしたら、「どぞ」とオカアサンに左手のテーブルを勧められました。

海老、きす、烏賊の「天麩羅定食」か「天丼」がひとまずの選択肢。
女性におススメの新メニューとある「海老と野菜の小天丼」をオッサンが注文んじゃ、オカアサン嗤うなかぁと悩んで、「若いヒト達はこれだわね、だいたい」という「海老穴子天丼」をお願いしました。若く見えたのでしょうか(笑)。

穴子の骨の刺さったどんぶりには、当然の如く、深く濃いぃ茶色の天麩羅が横たわる。senzokuiseya01.jpgサプライズな盛り込みだった「土手」の「穴子天丼」と比べちゃうと、地味な印象は否めません。

ところが食べ口は、意外と軽くて好感。
甘いツユには違いないけど、
そこへさっと潜らせたような衣には幾許かの軽妙さが残っているンだ。senzokuiseya02.jpg


メニューに車海老とあるのは、開いて揚げた一匹のことらしい。
他の二匹も含めて海老のサイズは寂しいし、ご飯はもう少し硬めに炊ていほしい。
そしてお椀くらいつけて欲しいよなぁ。
あれ?ぺろっと食べちゃったクセして、要望が多いかも(笑)。


思えば、胡麻油っぽさを強くは感じなかったあたりが、つまりは揚げ油の構成が「土手」と違うのかもしれないな。


“○に天”を暖簾の中央にする「千束 いせや」。senzokuiseya03.jpg


蔵前にもご兄弟のお店があるようです。


「千束 いせや」 台東区千束2-23-5 03-3872-5588

column/02486

口とんかつ 「河金」

kawakin.jpg入谷のとんかつ「河金」は、駅に極近くも、通り掛かりにふらりと入ることはそうそうありそうもない、そんな路地にあります。先客は、右手の小上がりにおふたりさま。新聞や雑誌が散らばっていて、どこか雑然とした印象のする中、奥のテーブルまで進みます。隣の座卓の座布団の脇には、黒い猫がすやすやと就寝中。そんな情景を微笑ましく眺めながらお願いしたのは、店名を冠した「河金丼」です。何気なく卓上のスポーツ新聞の文字を目で追っていると、背中の方からジジと油に揚げる音。そして、どんぶりが届けられました。「河金丼」というのは、つまりは、カツカレー丼。濃い色に揚げられたカツに、如何にも小麦粉をたっぷり使った見映えのカレーがどろんとかけられています。揚げ立ての衣の香ばしさがうどん屋的カレーと素朴にマッチ。カツもカレーも特にどうということもないものの、なんだか下町ックな魅力があると思いたくなってくるのが不思議だ。見上げた壁の上部に、「あさくさ河金 支店」の文字。大正の頃、屋台を牽いていた初代が発案し、浅草に開いた洋食のお店「河金」から分家したのがここ入谷「河金」ということらしい。元祖カツカレーは「河金」の、ということなのか。「トンカツ」の品書きをよく見ると、50“匁”とか200“匁”とかという表記になっている。一匁が3.75g。あれ? ってことは、200匁は、750gのトンカツってこと!? 見間違いかな(笑)?

「河金」 台東区下谷2-3-15 03-3873-5312

column/02347

口味の洋食 「キッチン よしむら」

yoshimura.jpg10日間煮込むというドミグラスソースを下地に、「ビーフシチュー」や「ハンバーグ」、各種カツから「オムレツ」「ナポリタン」までがラインナップする下町ックで庶民派な入谷の洋食屋「キッチン よしむら」でランチ。一階カウンターの半分は、食材やらなにやらの荷物で占められていて、味ある古色にちょっと雑然とした印象を加えています。ちょっと前にいただいた「メンチカツ」は、まぁ、可もなく不可もなくの印象。今日は、こちらのスペシャリテのひとつ「ハヤシライス」をいただきます。ナプキンのイラストを微笑ましく眺めているところへ、「はい!」と割と無造作に(笑)、お皿が届けられました。どちらかというと褐色の濃いソース。ころころっと牛のブロックが顔を覗かせつつ、どこか洋風ぶっかけメシ的な素朴さも思わすお皿だ。グリーンピースの彩りなんてしゃらくせーってなところかな。端からすっと掬ってライスと合わせ口に運ぶと、見かけと違って円い酸味が先立ってくる。しつこさはないけど、煮込んだコクも感じない。うーむ、と思いつつ、生クリームの部分を混ぜ食べると、お、途端に深みがグッと増して、旨くなる。煮込めども、ベタっとした食味にならぬよう見守って仕上げるのが本筋なんだろねと思いつつ、どこかでもう少し明解に旨味を挿してくるソースを期待してしまってもいる。うむ。ドミグラスソースについて、もうちっとリテラシーを上げていきたいなぁと思うであります。

「キッチン よしむら」 台東区入谷1-5-2 03-3872-0907

column/02269

口レストラン 「香味屋」 根岸本店 kamiya

kamiya00.jpg老舗洋食店のひとつに挙げられる「香味屋」の本丸に出掛けてみました。昭和通りから人影も疎らな根岸通りへ。ポール建ての看板を目に留めているにもかかわらず通り過ぎてしまいそうになるほど、素っ気ない店構えにちょっと驚かされました。いつ頃成された建物か分かりませんが、質実にそして変わらず、といった身上を暗に語るかのような表情です。窓際のテーブルへ。メニューには、「A定食」や「ステーク定食」といったコース料理から、肉料理、魚料理、そしてゴハンもの、スパゲティと立派なお値段の料理たちが居並びます。う~ん、えっと~と悩んで、「メンチカツ」にライスと「コンソメスープ」を添えてとお願いしました。あれれ?。贅沢な心持ちで啜った「コンソメスープ」ですが、何度慎重に味わってみても、中華料理店のスープを連想してしまう。そう、チャーハンにくっついて来る小皿のスープを想起しちゃうんだ。お醤油使ったりなんかしてないのに何故だろね。そのコンソメを干した頃、メンチカツのお皿が届きました。肌理の整った外殻はあくまでカリリとしていて、さらに力を入れてナイフを切り入れるとジュンと肉汁が溢れるつくりになっとります。上品な味付けのデミソースをナイフで添えて口へ。ふむふむ。普通に美味い。美味いけど、もしかして町場のお肉屋さんのメンチでもほぼ同じように旨かったりしちゃったりなんかして~と思いついて、ちょい複雑な心境に。あ、帝劇のお店で注文んだのも「メンチカツ」だったことを思い出しました。

「香味屋」 根岸本店 台東区根岸3-18-18 03-3873-2116
http://hayamimi.net/mall/kamiya/

column/01895

口酒 「鍵屋」

kagiya.jpg下町の居酒屋情緒溢れる「鍵屋」へ。永いこと、一度行ってみたいと思っていたんだ。言問通りから当てずっぽうに脇道に反れて裏道を覗くと、ちょうどそこに「鍵屋」のぼんやりとした黄色い灯りがありました。古民家を訪ねるようなそんな顔つきがいいやね。右手のカウンター席はほぼ埋まり、左手の小上がりの一卓に先客がある。よかった、入れるぞ。お通しは大豆の煮物。ちょいと喉を湿らせらすビールに、「うなぎくりからやき」と「合鴨塩やき」。ほどよい脂と辛めのタレがいい。さてお酒はと訊くと、「櫻正宗」「大関」「菊正宗」の3種のみ。順番にいただきます。ゆるりとした加減のいいお燗だ。卓上の木札のお品書きから、続けて「とり皮なべ」「さらしくじら」。頭の中で勝手にベーコン状のものを思い浮かべていたけど、そう「さらしくじら」はこの白ちりちりだ。鯨の尾びれの肉の塩漬けを薄くスライスし、ボイルするとこんなちりちりになるらしい。なんだか調子よくお銚子がグイグイ進んでしまい、「煮奴」「お新香」をアテにもう一本つけてもらう。頭上にはキッコーマン醤油の古いポスター。古道具店の中で呑んでいるような風情は、なかなかどうして悪くないね。「鍵屋」の今の建物は大正元年に建てられたもので、創業当時言問通り沿いに建っていた初代の建物は「江戸東京たてもの園」への移築保存されているそうだ。帰り際に送り出してくれる台詞がまたいい。「有り難う存じました」。

「鍵屋」 台東区根岸3-6-23  03-3872-2227

column/01850

口千住で2番「大はし」で 牛にこみ肉どうふと亀甲宮梅シロップ

ohashi.jpg以前、4時過ぎから開店を待って店前に佇むオヤジを認めたことがある。
そうまでして寄りたい店なんだなぁと。
場所は、「バードコート」のちょい先斜め前。
恐る恐るドアを引くと、店内は既にほぼ満席状態だ。
隙間の席を割り込むようにして確保。
ビールと告げ乍ら座り、正面の壁で目に留まった「かきバター焼き」もとお願いします。


手元のコンロで焼き炒めるスタイルのかきバター焼き。ohashi01.jpgはふはふと牡蠣の汁とバターの風味と。


やっと周囲を見回す余裕(?)がでてきて、ふと我に返った。
そうだそうだ、「牛にこみ」「肉どうふ」を真っ先にいただくんだった。ohashi02.jpg「大はし」の「牛にこみ」は、ホルモン系のドロンとした煮込みではなくて、牛スジやらカシラやらを極端に云えばあっさりと煮込んだひと皿だ。
豆腐は煮崩れる寸前のふるふるモノだね。

ohashi03.jpg
しょーちゅーしょっとでちょうだい、と云うと米焼酎「亀甲宮」がグラスから溢れます。
梅シロップ、入れときましょう。


壁に貼られた50種ほどの酒肴の札を右へ左へ巡らせる。
ohashi05.jpgohashi06.jpg
ありそでなさそな「勘八南蛮漬」、お手頃サイズの自家製「貝柱さつま揚げ」「あんこう肝ポンズ」あたりで、再三グラスをお代わりする。これだったらボトルでも良かったかも(笑)。

お品書きには、盛り合わせから「初がつおさしみ」、「しめさば」までと、お魚のバリエーションも少なくない。
一方、お隣のピン客さんが、「とんかつ」食べてみてよ~、と声をかけてくる。
そう、筆頭ともいうべき位置に貼られた札には、「とんかつ」と書かれている。
「え、美味しかったんですか?」と訊くと、「いやいや、どーかなーと思って、はははっ」。
「かにコロッケ」や「串かつ」には違和感がなくても、「とんかつ」には確かに微妙な差異を感じていたけれど、オジサン自分で注文んでよ~(笑)。


およそ短時間でぐるぐると入れ替わり立ち代りにほろ酔いオヤジができあがっていく様は、
なんだか楽しいぞ。
千住で2番「大はし」。ohashi00.jpg3年ほど前に建て替えたという店内は、どちらかと云えば素っ気無く、
小奇麗とも云えてしまいそうだ。
そう考えると、大衆居酒屋然としたであろう、建て替え前にも一度お邪魔したかったな。


「大はし」 足立区千住3-46 03-3881-6050 [Map]

column/01786

口もつ焼 「小林」

kobayashi.jpg番組中で石ちゃんが見せた、クツクツと煮えたもつの鍋の湯気の向こう側の「まいう~」の笑顔。その満面笑顔が脳裏に焼き付いて以来、お邪魔する機会を窺っていました。尾竹橋通りが荒川線と交差するあたりから裏道に入り込む。「もつ焼」と白抜かれた紺の暖簾が目印です。満席の不安を抱えたまま店内を覗き込むと、もつ鍋を囲む奥の席は埋まっているものの手前はガランと空いている。早速丸椅子に座り込みます。まずはひと皿5本の「串し煮込み」。クニクニとした食感のもつが衒いなく旨い。煮込み過ぎてベタつくような様子はない。「大根スライス」「トマト」「マカロニサラダ」あたりの酒肴をはさんで、かしら、はつ、しろ、たん、れば、5本ひと皿の「もつ焼」を。今や珍しくなくなっているホルモン系なので、ま、こんなもんかなぁと云いながら塩焼きバージョンも注文んでみたりする。あらかじめ梅肉を溶いてくれちゃうお湯割りに妙な味がしたので、後半はウーロンハイで。にんにくを利かせた「ガツ刺し」に「煮玉子」「お新香」をお願いしたら、ほとんどのメニューを制覇したことになった。これはそういう流れかと、「ラーメン」で〆に入る。築地「井上」ばりの味の素ラーメンという印象の一杯は、端から胡椒を入れるのだけは勘弁してほしいところ。ん~、柔和な面持ちの大将には申し訳ないけれど、期待して行くとちょっぴり肩透かしをくらったような心持ちになるかもしれないな。

「小林」 荒川区町屋2-8-16 03-3892-5447

column/01744

口天麩羅「土手の伊勢屋」で 穴子天丼しんどいベタっとしたタレと衣

iseya.jpgバスに揺られ、奥浅草とでも呼ぶべきエリアを抜けて吉原大門へ。
桜なべの「中江」のお隣、味ある日本家屋の前には噂に聞く行列はなく、すんなりと席を得られました。
裸電球のような心許ない電燈に照らされた入口脇のテーブルでお品書きを眺めてから、「穴子天丼」をみそ椀つきでお願いします。

待つこと暫し。
その薄暗がりに、穴子のどんぶりがドンとした威容を現しました。
2本の穴子天が両端をどんぶりからはみ出させている光景は圧倒的ですらあるね。
iseya01.jpg

そのまま齧ろうとして諦め、箸で適当な大きさにしてから噛み付きます。
部分的に胡麻油の香りとカリリとした食感を感じられるけれど、
全体にはタレと衣がベタベタとしている。
1本食べて、谷中生姜の天麩羅で目先を変えてみても、やはり後半がしんどくなってきた。
体調悪かったのかなぁ。
そんなことを思いながら、ほぼほぼ完食してしまう、俺って...。


「伊勢屋」創業は明治22年だそう。
古の建物は、戦禍にも見舞われなかったということなんでしょうか。


「土手の伊勢屋」 台東区日本堤1-9-2 [Map] 03-3872-4886

column/01683

口地鶏焼 「バード・コート」 Bird Court

birdcourt.jpg夕暮れ始めの早めの時間帯。ちょうど店から出てきたどんぐり眼の店員にまだ始業しいないのと聞くと、一旦店内へ戻って確認してくれたのか「一席だけ空いています!」と云う。なるほどやっぱり混んでいるんだと思いつつ、席を得られる幸運にほくそ笑んでしまう。時間をやり過ごして再び、「バード・コート」へ。開店と同時にほぼ満席になった店の喧騒も心地いい。まずはビールのビールは、「モルツ・スーパー・プレミアム・生」。コクある味わいが、ぐぐっと喉を滑る。焼き物の前に、「軍鶏の刺身」をいただく。胸肉、そしてしっとりとした脂のささみにおろしたての山葵をのせて。上品な旨さやね。焼き物は、奥久慈軍鶏「串焼き七本コース」で。わさび焼き、レバー、鶏皮、ぎんなん。決して塩辛くならず旨味を引き出すかのような塩梅が、なかなかに魅惑的だ。口直しにとんぶりをトッピングした大根おろしの小皿がくる。続いて、つくね。濃厚な味わいの玉子の黄身をつぶし付けていただきます。タレと黄身が混ざった残りがもったいないなぁと思ったところにバゲットがくる。我が意を得たり、だね。七本目はねぎま。葱は特定農家の"千住ネギ"だという。その間は、きんきんに冷やした小さ目のジョッキでやってくる辛口の白ワインで。〆に、「軍鶏の親子丼」をいっとく。ふるふる玉子と濃い味の軍鶏肉の甘くない仕立てを掻き込むように食べてしまう。なんだか満足のひと時も、気が付けばほんの小一時間の出来事でありました。

「バード・コート」 足立区千住3-68 03-3881-8818  

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