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2005年03月まで遡って移築が済みました。
でもまだまだ3合目くらい。頑張れ自分(汗)。


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口restaurant「Quintessence」で本質を素直に表現するお皿たち

quintessence.jpg確か二年前の秋口の頃。
夕方に「カンテサンスです、キャンセルが出たのですが、いらっしゃいますか」と連絡があった。
キャンセル待ちを入れていた事を失念していてハッとなったものの、タイミングを前後して別の予定を入れてしまっていて、已むなくお断りしたことを思い出す。
その後ますます予約困難なレストランとなったと聞き、そんなアプローチをすることもなく過ごしていました。
そこへ、個室を予約してあるそうなのでご一緒しませんか、とお誘い。
うんうん、お値段張るけど、頑張って行く(笑)。


「カンテサンス」は、プラチナ通りをとことこと下っていって、出光のスタンドの脇を斜めに入ったところにある。
ウェイティングスペースで、初めまして、お久し振り、まいどとご挨拶をして、ホールから個室へとご案内。
個室には6名テーブル。壁一面をセラーにしてあります。


乾杯にとお薦めの「ALFRED GRATIEN Brut」。
滔々とテーブルに置いたシャンパンについての解説をしてくれるソムリエ氏。
淀みなく細やかな早語りに聞く方がついていけなかった(笑)ものの、変わり者の爺さんが、ステンレスタンクではなく木の樽を使って昔ながらの手法で醸る泡、という辺りは記憶できた。
うん、ミネラルな感じと酸味のバランスも好みで、美味しい。
quintessence01.jpgquintessence02.jpg
乾杯をして受け取ったのが、有名な「白いメニュー」。
見開きの左側に、「カンテサンス」はお任せコース1つのみの形式としていることの説明が丁寧にされている。
その理由は、「食材への拘り」。
食材の管理を徹底した上で、食材の状態がピークを迎えた時に口にできるようにするために、お任せコース一本としているとある。
そして、シェフが解釈したフランス料理の定義に基づいて、大切と考える3つのプロセス「プロデュイ(素材)」「キュイソン(火の入れ方)」「アセゾネ(味付け)」をふまえたお皿たちで食事を愉しんでいただきたい、とメッセージを添えています。


無機質なプレートの上に可愛いく載ってきたのが「鴨の腿肉とリエットのビスケット」。quintessence03.jpg繊細にした鴨のリエットがはっきりした腿肉の風味に一瞬の奥行きを与えています。


黒く四角いプレートには、グラスと小さなケーキ。quintessence04.jpgグラスに鼻先を近づけると懐かしいような匂いがして、
そっと啜ればなるほどの「焼き芋のスープ」。
小さなケーキは、塩をちょっと使った、タイトル「甘くないスイートポテト」。
鳴門金時の皮廻りと中身とを使った、デザートのようでいて甘くない前菜だ。


ふたつめのグラスには、「GRUNER VELTLINER Steinleithn Geyerhof 2008」。quintessence05.jpg白葡萄品種グリュナー・フェルトリナーで造るオーストリアの微発泡なビオワインだ。


白いボウルに、クリーム色と黄色とのグラデーションをみせているのが、
スペシャリテ「塩とオリーブ油が主役 山羊乳のバヴァロワ」。quintessence06.jpg京都から届くフレッシュな山羊の乳を使ったバヴァロアは、とことん滑らかですっきりとしたコクと風味。
そのバヴァロアを黄色く縁取るのが、
ミル・エ・ユンヌ・ユイル社というつくり手のオリーブオイル。
プレスを掛けないで自重で搾ったオリーブオイルだそうで、こんな澄んだ果実味がふくよかなオリーブオイルは初めて味わう気がする。
塩は、塩の花(フルール・ド・セル)と呼ばれる、ブルターニュ地方から届くもの。
散らしているのが、極薄切りのマカデミアンナッツと百合根。
甘みを引き出す塩に果実味で包み込むオリーブオイル、そして山羊乳の風味・コクとの三位一体がいいのだね。


ベージュの大理石の壁から切り出してきたようなプレートには、
「ポロ葱のロースととつぶ貝、剣先イカ」。quintessence07.jpg例えば下仁田葱を焦がして中身をいただくように、ポロ葱の緑の部分を白い部分に巻いて焦げるまで焼いて、蒸し焼き状態の白い部分を甘く香ばしくいただこうというもの。
ん?鮑?と一瞬思ったのはつぶ貝。剣先イカの柔らかな身とコンビを組んでいる。
周りを囲んでいるのが雲丹のソース。
有名寿司店御用達の北海道の卸から仕入れた雲丹を使っているという。


quintessence08.jpg
合わせるグラスは、ロワールの「M de Marionnet(エム・ド・マリオネ)2005」。
通常よりも一カ月上も遅らせて収穫した貴腐葡萄から選りすぐり、長期間発酵。
ロワールで初めて、無農薬・無添加・無濾過で作ったワインだという。
貴腐ワインに思うようなアロマがすっきりと華やぐ感じだ。


quintessence09.jpg漆黒のプレートに載って登場したのが、
「車海老に乗せた縞牡丹海老のタルタル」。
焼いた車海老の上に、生の縞牡丹海老をタルタルにしてソースとしてのせ、縞牡丹海老の殻からとったアメリケーヌを泡状にして添えている。quintessence10.jpg車海老と縞牡丹海老と、焼いた身と生の身と、タルタルとアメリケーヌと。
それぞれの要素が鮮やかに融合していて、思わず無言で食べ進む(笑)。


ウミウシのような不思議なフォルムで登場したのが「フォアグラを詰めたブリニ」。
ブリニというのはパンケーキのことらしい。
quintessence11.jpgquintessence12.jpg
蕎麦生地ではなくて小麦のパンケーキの中に焼いたフォアグラを詰めてある。
トッピングには、栗かぼちゃのペーストに丹波の栗。
溶けだしたフォアグラのエキスがケーキ生地に滲むように沁みています。


quintessence13.jpg寄り添うは、貴腐葡萄を厳選して作られる、セレクション・グラン・ノーブル「DOMAINES SCHLUMBERGER(ドメーヌ・シュルンバジェ)」。
なるほど、フォアグラと貴腐ワインとの相性とはこふいふことをいうのだね。


一転して白いお皿でやってきた魚料理が、「螺鈿のように焼いた真鯛」。quintessence14.jpg黒い板に虹色に光る貝殻の内側を嵌め込んだ装飾をみたことがあると思うけど、
あれが螺鈿(らでん)だ。
大きなサクのまま焼いて、少し寝かせてから切り分ける。
ジューシーに光る断面をそう例えているのか、香ばしくした皮目をそう擬えているのか。
タイムの泡状のソースに、エシャロットにケッパーなどを含んだ柑橘系のソース、有機栽培のキャベツ、溶かしバターとヘイゼルナッツが囲んでいます。


波状の硝子のプレートに紅い断面で誘うのは、「蝦夷鹿の3時間ロースト」。quintessence15.jpg蝦夷鹿肉を骨つき脂つきの塊のまま、オーブンで火を通しては休ませを30回近く繰り返して、ローストに要する時間が3時間。
そうするとこんなに麗しい表情に辿りつくのだね。
quintessence16.jpg弾力ある歯応えのあとに、すっと軽やかに赤身肉の旨みと柔らかなビジエな香りを運んでくれる。
シメジに、ジロール茸とトランペット茸というキノコのソースが旨みをよりふくよかにしています。


「ブルビーのフォンデュ」は、ラヴォー・ブルビー=羊乳を使ったチーズの真ん中あたりの美味しいところを卵黄とバターとでとろんと蕩けたフォンデュ状にしたもの。
付け合わせには、胡桃のトーストと乾燥イチジク。
ただカットしただけのフロマージュとのアプローチの違いを素直に愉しもう(笑)。
quintessence17.jpgquintessence18.jpg
グラスの底にゼリーを仕込んだ、なんとシャーベットに蕗の葦を使ったという「蕗の葦のソルベ」にリュバーブから抽出した赤と白が鮮やかな「リュバーブのジュレとクレーム・ドラジェ」。
quintessence19.jpgquintessence20.jpg
素朴に焼いたフルーツのようにもみえる「ブーダール」。
ブーダール峠にあったパテスリー・ブーダールのスペシャリテでレモンパイの原型にあたるものをモチーフに再構築したデザートだという。
このお皿へと至るその組み立ての物語は、原型を知らないゆえピンとこないのが残念だ。


そして、「メレンゲのアイスクリーム」。quintessence21.jpgここでクイズタイムとなって、
「今夜のメレンゲのアイスクリームに添えた香りはなんでしょう?」。
クンクンと花を近づけると、あ、中華でもお世話になってるこの香りは、八角、スターアニスだ。
このアイスクリームはズルいぞ。
この儚げでかつ奥行きのある風味は、文句なしに美味しいもんなぁ(笑)。


若き岸田シェフが紡ぐお皿たちを目指して予約殺到の、云わずと知れたモダンフレンチの雄、「カンテサンス」。quintessence22.jpg店名の「Quintessence」とはなんぞやと問えばそれには、Webページに解説がある。
お皿の上の料理たちに描き得る本質や真髄を素直に表現し、進化させ、提供したい。
そんな気概の表れなのでしょうね。


「Quintessence」 港区白金5-4-7 バルビゾン25 1F [Map] 03-5791-3715 http://www.quintessence.jp/

column/02914

口Wine Restaurant「Casa Vinitalia」で ココットの蟹リゾピラフ

casavinitalia.jpg二の橋と三の橋の真ん中辺り。
アロマフレスカの原田シェフが新しいリストランテを展開したと知ったのは、
かれこれもう4年も前のことになっちゃった。
そのうち行きたいな行きたいなと思いつつ、タイミングの合うところで予約が取れないことを繰り返すうちに今日まできていました。
今宵は、「カーザ・ヴィニタリア」お初訪問です。

十番から古川橋に向かってトコトコと。
あれ?この辺りだよなぁと不安が過ぎる頃に看板が見つかります。


1階はイタリアン・ワインショップ、という構えになっているものの、2階レストランへのレセプションとしての機能の方が主体なのだろねと思わせる。
そのまま左手の階段へと案内されて、階上の通り側のエリアへ。


早い時間ゆえ、先客はなし。casavinitalia01.jpgスプマンテを舐めながら開くメニューに、アラカルトという手もあるしーと悩みつつ、今日のところはコースでお願いすることに。


まずは、「カーザ・ヴィニタリア」の定番のひとつと云われるバーニャカウダ「菜園風 季節野菜のカーザヴィニタリアスタイル」。
銀盤に華やかに盛り付けられた生野菜たち。casavinitalia02.jpgcasavinitalia03.jpgゴルゴンゾーラのソースも選べるところを、常道なアンチョビでお願いしていたソースがふつふつと沸いている。
ソースの力でバリバリとウサギのように野菜を齧るも、たっぷり盛りに追いつけない。
生野菜を沢山摂るのって案外難しいと改めて思ったりする。


casavinitalia04.jpg
酸の大人しいところでとリースリングの「CA'DIFRARA Apogeo Riesling」をいただいて、選んだ前菜は、「スカンピのリゾットを詰めた花ズッキーニのフリット」。
casavinitalia05.jpgcasavinitalia06.jpg
どれどれとお花の部分にサクッとナイフを入れると、なるほど、トマト仕立てのリゾットが顔を出す。
海老の風味と食感と軽やかな外殻のフリットとズッキーニの仄かな青み。


片や、「ホワイトアスパラガスのオーブン焼き ポーチドエッグ添え」はもう、手放しで旨いって感じ。casavinitalia07.jpg


手打ちパスタかお米料理を選ぶ、Pasta o Risoでは敢えてリゾットを選んでみました。
ココットから取り分けてくれる、その名を「タラバ蟹、毛蟹、ワタリ蟹のリゾピラフ」。casavinitalia08.jpg蟹三種盛りの贅沢さに気持ちも上擦る感じになる。
絶妙の食感を残すイタリア米の一粒ひと粒が、蟹たちのエキスをたっぷり含んで纏って、香ばしい旨味の余韻。
うへへ、であります(笑)。


casavinitalia09.jpg
「本日の軽いメイン料理」には、
「和牛 岩塩と胡椒、スパイス風味」。casavinitalia10.jpg決して軽い量感でも切り厚でもないのだけれど、一度の噛み応えの後はすっと解けるように脂の甘みとは違うしっかとした肉の旨味を舌に残してくれて、うんうん、うんうん首を縦に振りながら咀嚼を繰り返すことになる。


casavinitalia14.jpg
ロゼなんて手もあるのじゃないのということで選んだのが、
「VIE DI ROMANS Ciantons 2006」だ。


添えてくれていた「野菜のココット」は、皮ごと焼いて真っ黒くした玉葱。
casavinitalia12.jpgcasavinitalia13.jpg
熱々のところをトップから覗き込むように外皮を割り剥がして、中の真っ白を取り出す。
とろんとした玉葱の甘さのなんとも幸せな滋味よ(笑)。


casavinitalia15.jpg
「シンプルパスタ お好みの量で」には、"シンプル"に相応しいよう、ペペロンチーノにしてもらう。
つまりは〆の麺は、するんと食べれてしまうのね。


ドルチェには、「プラリネのセミフレッド 温かいカフェチョコラータソース添え」。
casavinitalia16.jpgcasavinitalia17.jpg
そして、コーヒーとプティフールと。


レストランを深夜使いする習慣はないけれど、
25時までという深い時間の様子も気になるリストランテ「カーザ・ヴィニタリア」。casavinitalia18.jpg次回ここを訪れるときは、「アロマフレスカ」へと参りましょう。


口関連記事:Ristorante「Aroma-fresca」で 深夜の仔牛の脳のソテー(01年08月)


「Casa Vinitalia」 港区南麻布1-7-31 M.tower 1・2F  [Map] 03-5439-4110 http://www.vinitalia.jp/

column/02820 @17,700-

口中華料理「大宝」で ビール餃子と焼飯とニンニク匂いに包まれて

taiho.jpg首都高の高架を背にした古川橋近く。
ここの「タンメン」に鮮烈な印象を憶えたのは、いつのことだったかな。
車の中でいつ営業を始めるのか判然としなくて、首を長くして待ったことも思い出す。
正午になっても暖簾が引っ込んだままで、
折角来たのにもしかして今日は休みなのじゃないかとドキドキしたりした。

久々に今度は夜に来てチャーハンでも、と思って7時過ぎ頃に店の前に到着するとやってない(泣)。
臨時休業かなぁならば日を改めようと帰ってから調べると、なんと夜の営業は8時かららしい。


そうかぁということで、今度は20時ちょい過ぎに行く。
魚らん坂下から進んで古川橋を渡るあたりで、暗がりに黒字に赤い縁取りと「大宝」と黄色い文字が浮かんでいるのが確認できました。taiho07.jpgうん、やってるやってる(笑)。


ところが、暖簾を払って硝子越しに中を覗いてびっくり。
既にすっかり満席であります。
開店を並んで待って、開くと同時に席へと雪崩れ込む様子が脳裏に浮かびます。
こうなれば、素直に待つしかありません。

taiho01.jpg
右手頭上の品書きでは、「焼飯」の横に「お昼は焼飯は致しません」とある。
そうか、ランチじゃ焼飯食べれないンだ。


空いたカウンターの隅っこで瓶ビールをくいくいしながら、「餃子」が焼き上がるのを待つ。
大将が大きな北京鍋を返す度に大蒜の匂いがぶわーんと辺りを満たします。
うん、すごい凄い(笑)。


届いた「餃子」は、率直に旨い。taiho02.jpg
taiho03.jpg噛んで滴る脂と粗く刻んだ餡の味付け、むにんとした皮。
ビールの合わない訳のない。


そしてタイミングよくやってきた「焼飯」。taiho04.jpg
パラパラ感は見た目にもよく判る。
ただ、玉子しっかりコーティング系のチャーハンというよりは、油を薄く巧みに廻してある感じ。
それでいて、米の一粒ひと粒がベチャつくことなく活き活きとパラパラと。taiho05.jpg化調を臆せず使うのが街の中華の常道であって、チャーハンに感じる仄かな甘さは、旨味と背中合わせの化調の甘さなのかもしれないな。
それは特別否定的に思うことではなくって、
むしろ今日以降に食べるチャーハンの基準になりそうな焼飯だ。


古川橋のあの店と云えば、中華料理「大宝」。taiho06.jpgまた再びニンニクと化調の「タンメン」も食べたい。
すっと何気なく、相方の女性の小皿にスープを垂らしてその都度確認する所作が妙にいいんだ。


「大宝」 港区南麻布2-7-23 [Map] 03-3452-5625

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口麻布十番・天ぷら「畑中」で 油と衣の繊細魔法活性する甘さ

hatanaka.jpg例えば、今はピーコックの向こうへ移転した「かどわき」にお邪魔した時。
例えば、今は改装なった「鳳仙花」へとまわり道した時。
そのお店についてなにも知らないまま、横目でみる暖簾とその佇まい。
その情景に想う、ちょっとした敷居の高さとそれが故のささやかな羨望。
そんなずっと秘かに気になっていたお店「畑中」に出掛けてみました。

やや遠くからも目に留まる「天ぷら」の筆文字hatanaka01.jpg
朧に浮かぶ満月に蟹らしき影を描いた暖簾を今夜はすっと払います。

カウンターの右手隅に席を得て、まずはプレモルで喉を湿らせる。
目の前には、大振りな蓮根や茄子、アスパラなどなどを収めた桶が瑞々しい装いで据え置かれています。
予約の際にも、大変恐縮されながら値上げの旨伝えられていた、そのお安い方の「榎」hatanaka02.jpgでお願いしました。


まずは、さっと炙った墨烏賊。
噛めば炸裂する甘さに思わず顔を見合わせる事態を呼ぶ(笑)。
素朴なお皿から溢れる魅惑に日本酒が欲しくなる。
でも、炙り立てを逃しちゃいけないとペロッと平らげる。
烏賊には間に合わなかったけどと、山口の特別本醸造「東洋美人」のお銚子を。


最初に敷き紙の上に据えられた天ぷらは、剥いたばかりのマキ海老の頭。
煌く珊瑚にも似た色合いをさくぅとすれば、口腔に広がる軽やかな甘み。
続いてやってくる身の方は、まずは塩で。
そして、二本目は、やっぱり塩で(笑)。
素直な澄んだ甘みがじーんとくるのだね。


薄ぅく衣を纏ったアスパラが弾けさせる大地な甘さ。
衣の間から甘い湯気を立てる鱚の白身。
合わせた半切をそっと開けば秋の甘さ滲み出る茄子は松山の産。
中心に向けてほんのり桜色半生仕立ての帆立の甘さったらない。
肉厚蓮根のしゃくとした歯触りのその後から襲うほの甘さ。
くるんと丸まった穴子の身の甘さには野生が潜む。
揃え並べた隠元と伏見唐辛子の青い甘み。


油と衣の繊細な魔法は、
こうして食材の活性を色々な甘さで届けてくれるのだと教えてくれているようだ。


〆にかき揚げ。
天丼か天茶かのいずれかでってことなのだけど、そのままいただいて、天ばらにしてしまう。
だって、かき揚げに含む魚介や野菜の甘さを直裁に愉しむには、
こうするのが一番いいと思ったンだもの。


店主とのお約束もあって、店内の写真を載せるのは控えてるけど、それがちょっと残念です。


蝶ネクタイで凛々しく迎えてくれる麻布十番・天ぷら「畑中」。hatanaka03.jpgそれには、巷知る日本橋の老舗天ぷら店のトレードマークが思い浮かぶけど、それはどうやら見当外れではなく、日本橋へのリスペクトの想いが籠められているもののようです。


「畑中」 港区麻布十番2-21-10 麻布コート1F [Map] 03-3456-2406

column/02705 @10,500-

口中国料理「ロンフウフォン」 で仕立て柔らかなお皿たち黒酢スブタ

longfufong.jpgずっとずっと気になっていた白金の「ロンフウフォン」。
予約のとれない中華料理店の代名詞ともなっていたお店にやっとこ、お邪魔する機会を得られました。
月島仮面さん&くにさん、ありがとう。
広尾からトコトコ歩いて恵比寿三丁目から辿る、
白金北里通り。
以前訪れたことのある姉妹店の「ロウホウトイ」を右手に、「きえんきえら」を左手にしながらさらにその先へ。
目印のHITACHIの看板が見えてきました。
見上げるスポットに照らされた庇のテントに「LONG-FU-FONG」の文字が窺えますが、ぱっと見は町の電気店の建物。そんな何気ない電気店の2階に予約殺到のお店あるってところも、隠れ処的知る人ぞ知る感があっていいのでしょうね。

ビールで喉を潤して、前菜「ピータン豆腐」。longfufong01.jpgコクある豆腐にかけられた蟹味噌の似たピータンの風味。ヒメダケの柔らかい青みと食感が軽やかな印象にしています。


早速紹興酒に切り替えて(笑)、「ハグラウリと小メロンの雪菜炒め」。薄く刻んだ野沢菜にも似たちぢみ菜の雪菜(セッツァイ)での瓜の炒めものだ。
longfufong02.jpglongfufong03.jpg
ニンニクと聞けばしっかり香るニンニクの芽あたりを連想するけれど、金針菜にも通じるたおやかな山菜といった風情の行者ニンニクは「行者ニンニクとハルサメの軽い煮込み」。ちゃっと煮た何気なさの妙に感心です。
続く「リーキとヨモギのそば 翡翠仕立て」のリーキとはつまりはポロネギ。蓬を薄力粉で繋いだそばと炒め合わせているようで、うん、面白い。


ヤバイかも~と笑いながらさらに紹興酒をちゅるちゅるとしながら、「マコモとアマドコロの辛み炒め」。longfufong04.jpg初めて訊くアマドコロもユリ科の山菜らしく、コリコリとしたマコモダケ独特の食感とすっと寄り添って、厭味のない辛味にもよく馴染んでいます。


異形を埋め込んだ切り口の表情が興味深い、「ズッキーニとレンコン ゴマ衣揚げ」。
黒胡麻を含んだベーキングパウダーと薄力粉の生地を素揚げした、云わば変わり中華パンといったところかな。シャクっとしたレンコンやズッキーニの食感が愉しめます。
longfufong05.jpglongfufong07.jpg
気がつけば赤ワインもあたりを席巻していて、結果、紹興酒と赤ワインをちゃんぽんするという事態になる(笑)。

これはイカンと、ハマドウフとタラの芽の炒め物longfufong06.jpgをいただくあたりで、広東省の烏龍茶で身を清め(?)、「ロンフウフォン」のスペシャリテと思う「黒酢のスブタ」を迎えます。longfufong08.jpgいや~、これはいい(親指上向)!
またり~としながらすっきりしたコクと柔らかい酸味のあんの中から、香ばしく揚げた豚肉のエキスがググっと迸る。
全体を通じて小ポーションなのだけど、これは「オカワリ!」と叫びたいもの。
前半戦をしっかりめの白ワインできて、ここで赤をもらう、てな流れもありだなぁと腕を組む。


longfufong12.jpgそして裏メニューがやってきた。
ご同席のカリ~番長のリクエストは、つまりは中華料理屋のカレーだ。
早速喰らいつくカリ~番長(リクエストの主は普通のお皿)。longfufong09.jpgそれを追うように茶碗のそれを口に運べば、葱の甘さが心地いい。
たとえ賄い料理であっても、なにかが妙に突出しないあたりがここまでのお皿たちのトーンとも一致しています。

longfufong10.jpg
杏仁の香りの濃いぃ杏仁豆腐と消化を促すという緑茶をいただいて、
ふっと和む。

食材の相性、食感の組み合わせにセンスを感じさせる。
柔らかな塩加減を初めとして、香辛料や油の強さを丁寧に見定めている気のする今夜のお皿たち。化調中華との違いが際立ってしまうのね。
初めて聞く名前の山の幸に触れられるのも嬉し楽し。

「龍虎鳳」と書いて”LONG-FU-FONG”。
水を司る正義と吉祥の象徴「龍」、最強の動物とされる「虎」、想像上の瑞鳥「鳳」と中国の伝説のいいとこどりを連ねた店名とも読める。
供される品々は大陸的ダイナミックな中華とは一線を画すものだけれど、店名”龍虎鳳”そのものにはどんな意味が籠められているのだろうね。longfufong11.jpgうん、やっぱり電気屋さんの2階だ(笑)。


今宵のご同席多謝は、
月島仮面さん、「くにろく 東京食べある記」のくにさん、「築地市場を食べつくせ!」の築地王さん、「東京カリ~番長」の水野さん、「飯尾醸造 酢を造るといふ仕事」の飯尾さん、山口先生、「らーめんダイニング【ど・みそ】」の斎藤さん&奥様、pochiさん、Mikasaさん、日本コナモン協会・「誰じゃ?その駄洒落」のどるふぃんさん&奥様、 「ラ部生活」の青木さん、 の皆さんでした~。


口関連記事:
  中国料理「ロウホウトイ」 で紅い叉焼塩魚のチャーハン古咾肉(05年07月)
  和風Bar&Dining「きえんきえら」 でCAOLILA一軒家で和む(03年04月)


「ロンフウフォン」 港区白金5-12-17 2F 03-3449-5969

column/02585

口展望カフェ「CAFE la TOUR」 で束の間夜景とブリオッシュ

cafelatour.jpg
村田和人の声を聴きに、今度は東京タワーまで。
東京を象徴するような観光スポットのひとつに数えられてきた東京タワーも、夜ともなればひっそりしちゃってンだろなぁと思いつつ足を運ぶと、さにあらん、展望階へのチケット売場には行列ができていました。
なんか、意外ぃ。
修学旅行チックな一団やカップルたちに挟まれつつ、大展望台までのチケットを購入します。

改めて見上げる曲線に始まる勇姿。
東京タワー登るなんていつ以来だろうと考えても、なはは、思い出せません(笑)。
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cafelatour04.jpg大展望台1Fの「Club333特設ステージ」がこの夜のムラタの舞台。
いつもと同じ調子の肩の力の抜けたMCと拍子を変えたビートルズナンバーから13年振り(!)のオリジナルアルバムの曲までを伸びのいい声と洒脱なギターで奏でてくれる。再び身近で聴けるようになって嬉しいな。


第2部も聴かなくちゃと、その束の間を過ごしたのが特設ステージの横に構える「CAFE la TOUR」です。ぶっちゃければ、“喫茶 タワー”ってなところでしょうか。
火を使う調理が不可なのか、メニューにある食事は、サンドイッチやデザート系統のみ。
仕方なく、ビールと「テリヤキチキン&タマゴ」のブリオッシュ、なんてあたりで急場を凌ぐことに。

齧り始める前に、ふと、もう当分ここからの夜景を眺めることもないだろうな、と眼下の通りで流れる車の灯りを見下ろしてみたりする。cafelatour05.jpg新しいタワーではきっと味わえない情緒がここにはあるのだね。


さて、Tokyo Tower、Club333のThursday's Concert、
ムラタによる第2部cafelatour03.jpgがそろそろ始まる時間だ。cafelatour02.jpg


「CAFElaTOUR」 港区芝公園4-2-8東京タワー大展望台1F http://www.tokyotower.co.jp/

column/02560

口和食「福わうち」 で三宮な器たちにめくるめくくにろくオフ

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二幕目のくにろくオフに馳せ参じました。
この夜のお店は、ご存知白金「福わうち」。
ヒロキエさんの贔屓筋でもある「福わうち」にはこれで、
三度目の参謁となります。
「福わうち」といえば、
まずは三宮さんの福福しくも厳つい風貌が脳裏に浮かび、続いて、素材の魅力を活かしながらそれをさらに引き出す工夫を惜しまない料理たちの器が浮かびます。
さて、今宵はどんなめくるめくお皿たちを用意してくれているのかな。わくわく(笑)。


なにせお店を貸し切っての30人近い宴なもので、待ちきれずの局所勃発的乾杯がスタート。
あらためて、くにちゃんの小声な「乾杯ぃ」で会が始まりました(笑)。

まずは、「じゃこサラダ」「豆いわし揚げサラダ」に「パリパリおから」。
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おじゃこの香ばしい歯触り。一見ぬた風のドレッシングは、胡麻ペーストのような風味も感じられてふむふむ。サラダは双方とも、香ばしくしたものをフックにしてさくさく野菜を食べさせる仕掛けになってるね。そして、今や産廃として捨てられてしまうおからが、天かすを加えることで、意外や軽快な酒肴に仕立てられている。

fukuwauchi04.jpg飯尾酒造の飯尾さんが提供してくれた「はちみつ入り紅芋酢」をビールで割って呑み試す。今日のメニューにはそここに飯尾さん家のプレミアムなお酢がフューチャーされているンですと。

大きな角皿に盛り込まれた「刺盛」には、寒鰤、平目、真鯖、横輪鮪、槍烏賊、そしてアカムツがぐるりと囲む。fukuwauchi05.jpg熟成した印象の平目も、旬の寒鰤(九州からだという)も、身の味の濃いぃのどぐろも、つまりは全部、いい(笑)。


fukuwauchi06.jpgと、なにやらお店の中央にひと集りができている。
ナニナニ?と駆けつけるとそこには、大皿を抱えてハニカむスタッフが。
大皿にこんもりと盛られているのは、大鍋で仕込んだという「ぶり大根」であります。頃合よく鰤の香りの滲みた大根がいい(右親指立)。
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自ら湯煎する日本酒は、新潟の「緑川」fukuwauchi08.jpg。上燗あたりがいいかと思えど、いつの間にか熱燗に。


fukuwauchi09.jpg円い皿を彩った「むしやさい」を手渡しながら三宮さんがクイズを投げる。
「これ、なぁんだ?」。
これとは、2mm厚にスライスされて、縁取りにライトグリーンのグラデーションのあるヤツのこと。なんだろなんだろ、カリフラワーの茎!なんて声が出る中披露された解答は…、
fukuwauchi10.jpg「搾菜です」。
おー、所謂漬物のザーサイ以外のカタチで搾菜を口にするのはおそらく初めてだ。ほうほう。


そして、山葵をたっぷり盛る定番の「とろかつ」にあおさも素揚げしちゃうところがニクイ「筍の子の唐揚」、なんとも壮観なレア「牛ももステーキ」と続く。
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そうそうこのトマトには例のプレミアムなお酢が仕込んである感じ。
fukuwauchi14.jpgそのお酢は、ざくざく具沢山の「五目ちらし」fukuwauchi15.jpgにもたっぷりと。


そして〆のめしタイム。
「なすかれー」fukuwauchi16.jpgも「チャーハン」fukuwauchi17.jpgもいいけど、やっぱり「福わうち」といえば「肉じゃがカレー」。fukuwauchi19.jpgお茶碗に盛って欲しかった思うのは、我が侭でしょうか(笑)。


ああ、満腹満足、よく呑んだ。
くにちゃん、そしてご一緒した皆さん、お店のスタッフの皆さん、愉しく過ごせました。多謝です。

そして三宮さんはいつの間にかこんなお姿に…。fukuwauchi18.jpg

「福わうち」 港区白金1-28-2サーラ白金1F 03-5739-0264

column/02279再会

口そば 「総本家 更科堀井」本店 で啜る更科見直す官能的さらしな

sarashinahorii.jpgここ最近、「永坂更科 布屋太兵衛」「麻布永坂 更科本店」とお邪魔して、
麻布十番更科御三家の最後に訪れたのが、
十番温泉の向かいにあるこちら、
「更科堀井」sarashinahorii01.jpgさんです。
辺りを照らす袖看板には「創業二百年」とあって、
これは会社組織となる前の旧布屋太兵衛の寛政元年の創業来を指しているらしい。
創業者の直系でありながら、商標権を持たないがゆえに「布屋」を名乗れずに、自らの姓「堀井」を含む今の店名としたのが、八代目当主なのだという。

暖簾の先へと進むと硬い表情の男衆三人が仁王立ちで迎えます。顔立ちが和らいだところをみると怒っているわけではないのね(笑)。
六角形を成すような、フロア中央の大テーブルへ。
さて、他の更科とおよそ同じものをお願いしましょうか。

sarashinahorii02.jpg例によって、ふたつの小さな蕎麦徳利がやってきました。
片方の白い徳利には「から」と書いてある。
ということは、もう一方は甘めなつゆですね。

「さらしな」のせいろが到着。
つやつやとした肌合いをみせる白いそばがなんだかそそる。甘口のつゆにひたっと晒して啜る。
ほっほ~(笑)。内緒ですが、三店の中では一番、口元を滑り舌に触る感じが官能的。
sarashinahorii03.jpg澄んだ旨味を含む甘口つゆとの出会いも具合がよく、更科も捨てたもんじゃないと見直させる気概がある感じだ。

sarashinahorii04.jpg随分ボリュームのある「かき揚げ」だなぁと箸を伸ばすと、へ?となる。
およそ半分の嵩を構成していたのは、かき揚げ本体ではなく、なんと天かす。よくぞ、丁寧に載っけたね、って。
それにしても、どういう意図なんだか解らない。特に食べ方の指南もないしね。ううむ。

そしてもう一枚、せいろが届きます。
こちらは一転して、浅黒く野太い蕎麦が鎮座する「太打ち」だ。
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ず、ずっ。もごもご。
挽きぐるみの田舎そばは好みなのだけれど、これは丸抜きではなくて、殻ごと挽いた粉で打った蕎麦らしく、如何せん余りにも啜り難い食べ難い。うううむ。

通りに面した佇まいは、比べれば一番艶がある。
sarashinahorii06.jpg今のところ、看板の「さらしな」が○だった「更科堀井」を御三家の筆頭と考えておこうと思います。普通の「もり」もいいのかも。今度は、お酒もいただかないとね。

総本家 更科堀井」本店 港区元麻布3-11-4 03-3403-3401 
http://www.sarashina-horii.com/

column/02473

口そば「麻布永坂 更科本店」 で御膳そばと貝柱かき揚げ

sarashinahonten.jpg新一の橋交差点の向かいから眺めると、「更科本店」には灯りが点って営業中のようです。十番通りの「永坂更科」とは違って、老舗お蕎麦屋さんらしいしっとりとした雰囲気は保持しています。ホールの女性陣は仲居さん的和装でお揃い。玉子の黄身の変わり細切り「らんぎり」や「茶そば」、そして「御前そば」とを合い盛りした「三色そば」あたりからイクのが順当なところかもしれませんが、ちょっとした比較の意味からもここは「御前そば」大盛り、そこに「貝柱かき揚げ」を添えてみましょう。するするっと長い更科。辛汁はすっきりとしている。味わいになんだか愛想がないなぁと思うのは、蕎麦そのもののどことないモッサリ感によるものか、はたまたただツユとのバランスが悪いのか。う~む。一方、かき揚げは、海老、貝柱、獅子唐、椎茸、玉葱、三ツ葉などなどを含んだ大判豪華版ながら、油の温度が高過ぎなのかガリリと堅く、折角の貝柱がコンガリ焦げかかっている。う、う~む。このかき揚げ、単品で1500円なのになぁ(泣笑)。お店の雰囲気は「永坂更科」より断然好ましいものですが、意外にもお味の方は拮抗もしくは?という事態なのかもしれません。さて、御三家のもう一軒はどうかな。

「麻布永坂 更科本店」 港区麻布十番1-2-7 03-3584-9410

column/02413

口総本家 「永坂更科 布屋太兵衛」 麻布総本店

nagasakasarashina.jpg久々に麻布十番に寄り道して、更科系老舗三店の一角で夕食を。「信州更科蕎麦処」の木版を横目に暖簾を潜るその先に、団体さん御用達の観光施設チックなガランと広いフロアが目に映りました。「どちらでもよろしいですよ~」の声に導かれて、唯一先客が占めているテーブルの脇を抜けて奥へ。広いが故に、微妙に所在ない思いがしてきます。さてさて、お腹の方はしっかりぺこぺこなので、とお願いしたのは更科にイメージするところの「御膳そば」に「かき揚げ生粉打そば」。薬味と一緒に、「お好きなほうで~」と「あま汁」「から汁」ふたつのつけ汁の容器が運ばれてきました。お蕎麦のつけ汁は、つまりは「から汁」なのだとばかり思い込んでいたのだけれど、「あま汁」ってつけ汁もあるのだと識って、少し呆然となる(笑)。両方のそばが同時に運ばれてきて、少々愕いたものの、気を取り直してまずは、純白なる「御膳そば」をから汁の方でいただいてみる。シャキシャキとした極細い麺に汁が纏ってきて、粉の極ほのかな風味を引き出してくれるようで、悪くない。けど、から汁といいつつ、甘いつけ汁だね、これ。するってーと?と「あま汁」の方を舐めてみると、当然のことながらもっと甘い。ふむ~。かき揚げには裏側の方に粉がダマになっているところがあって、生っぽい。田舎風の「生粉打そば」は、ムニッとした食感が野生的ではあるものの、粉の香りは意外と奥ゆかしいンだ。ひとまずは、更科では更科をいただくのが常道、と覚えておきましょう。笊を下げにきたオバちゃんによると、老舗三店のうちどこかが定休日だとその分ひとの入りは増えるのだそう。それってつまりは、どちらに行っても大差はない、ってことなのでしょうか。

「永坂更科 布屋太兵衛」麻布総本店 港区麻布十番1-8-7 03-3585-1676
http://www.nagasakasarasina.co.jp/

column/02398

口RESTAURANT 「Chianti」 飯倉本店

chianti.jpg東京のイタリアン草創期。その少し秘密めいたサロンに集まる人たちがいたという。文化の先端者たちは、感性を擽り、刺激を交感し合える、居心地のいい、そして自ずと他者と差別化の図れる場所を好んで根城にしていたンだね。界隈にはまだ都電が走っていたという1960年の開店から、もう半世紀が過ぎようとしている。そんな時代の残り香を嗅ぎに、飯倉片町まで出掛けてみました。1階のカフェを覗きつつも、左脇の入口に廻り込んで地階へと潜ります。少し腰を屈める感じが、隠れ家に忍び込むような気にさせる。暗がりに浮かぶ紅白のギンガムチェックのテーブルに案内されました。左手のテーブルにはハーフの姉妹が食事を終えようとしていて、右手は、漏れ聞く会話から察するに、クライアントのお偉いさんが代理店の営業を誘ってのテーブルだ。ランチ「BIANCO」を、お薦めスープとお肉料理でいただきましょう。本日のスープは、かぼちゃの冷たいスープ。南瓜の澄んだコク味に、ブイヨンの煮凝り的塊りの旨味がいいアクセントになっていて、うん、美味しいスープだ。続くお皿は、仔牛とチーズの重ね焼き。バルサミコらしき酸味の裏に醤油の気配を思うような、どこか懐かしさを含んだソースが面白い。添えられているのは、「スパゲッティ・バジリコ」。バジリコの薫りがフンと香るワケでもないのは、乾燥バジリコ少々に大葉やパセリを多めに使う当時のレシピを守っているから、らしい。これが「キャンティのバジリコ」ってことなんだね。デザートは、レモン風味のタルト。暗さに目が慣れてから改めてみると、天井や床が赤や緑で塗り分けられている。その塗り重ねた様子やフロア中央の調度の傷み具合に短くない時間の経過を思ったりする。入口ドアには店内改装のための休業のお知らせが貼ってある。たった2日間の改装なので全面的なものではないにしても、こうしてまた往時の面影が薄れていくのですね。

「Chianti」飯倉本店 港区麻布台3-1-7 03-3583-7546 
http://www.chianti-1960.com/

column/02323

口焼鳥 「鬼わそと」

oniwasoto.jpg一週間前の「福わうち」からの帰りがけにその外観をチラ見していた「鬼わそと」に、早速お邪魔してみました。1階のカウンターは予約したスペースを除いてすべて埋まっていて、なかなかの人気振り。焼鳥屋さんのお約束、突き出し大根おろしを舐め舐めビールを呷りつつ、お品書きで品定め。「鬼わそと」だもの「鬼コース」で(?)とひとまず7本のコースをお願いしました。そうは云っても、あれこれ気になるフレーズが満載なメニューにまず、「白レバのたたき」を。これがいきなりの出色! 炙ってほんわか温かな外周ととろんとしたレバーの風味を湛える内側。それを胡麻油の香りが包んでいて、なんとも、だ。「鬼コース」1本目がメス鶏テール「みさき」。ぼんじりとはまた違うコリッとした食感も残しつつ、脂が旨い。お酒を「松露うすにごり」に替えての2本目が「えんがわ」。つまりは鶏のハラミで、牛のハラミにイメージする脂と旨味の凝縮具合に連想が飛んで面白旨い。3本目のオスのホルモン「きんちゃく」は、先の「みさき」とは違った歯応え噛み応え。4本目が、いつぞや荏原中延でもいただいた百合科の花の蕾「金針花」。これ、ボク、好き。「にごり黒」にグラスを替えつつ一品追加したのが、「山梨県直送原田さんちの豚」。あはは、ぶわっと滴る脂と旨味の濃さに顔を見合わせて笑ってしまうやん。方や、漬け込んだ梅もそのままいただける「麒麟山梅酒」を舐めている。5本目として、気管~食道の「さえずり」。なるほどそれらしい形状の串は、これまた食感が面白い。内腿の一部だという「そりレース」が6本目。グニニという歯応えとともにうめー汁が弾ける。グラスをさらに「小牧」にしてのまたまた追加の一品が「ささみバジル」。いや、あの、これ、うまひ~。ささみ独特の上品でかつジューシーなエキスがバジルの香気と合奏して、堪らん逸品になっちょります。香ばしき7本目の「手羽先」をいただく頃には結構いい感じの腹具合。そう云いながらお願いしたのが、横目で気になっていた「生ふ」。左側が蓬麩で右手が粟麩だそう。むにゅっとしてふわっとして素朴な香りが楽しめます。さらに(笑)、「福わうち」系の〆にこれは外せないでしょうと「野菜根菜カレー」。その名の通り、同寸に刻まれた野菜根菜たちをたっぷり含んでいる。蓮根のサクコリっとした歯応えが印象的な、スパーシー&濃い味のカレーだ。ふ~、ご馳走さまでした。こうして、部位を変えた串のそれぞれの食感や歯応え、香りといった特色が明解で、そしてそれぞれがそれぞれに旨いのがこれまた明解な焼鳥屋は、そうないぞ、っと(拍手)。

「鬼わそと」 港区白金2-2-4 03-3441-5729

column/02287

口和食「福わうち」 でうんめぇ酒肴にとろかつ肉じゃがカレー

fukuwauchi.jpg第9回のフードジャーナリスト会議は、「ミシュランガイド東京」11月刊行を控えるミシュランガイド総責任者ジャン=リュック・レナ氏がゲスト
内外装のグレードによってお店の評価が変わるか?について、あくまで料理が美味しいかどうかだと「貝殻の中にあっても宝石に飾られても真珠そのもの価値は変わらない」旨の例えで表現した行あたりが記憶に残る。
間接的にはお店の設えやサービスがその店の評価に少なからず関わることを暗喩しているようにも聞こえます。

さてさて、参加の4名さまはその足で白金へ。
今やメディアでの露出も定番となった感もある三宮大将の、随分前から気になっていた和食「福わうち」です。味ある風貌の大将が迎えてくれました。

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突き出しに、すり流したほうれん草に雲丹を浮かべたもの。
嫌味の微塵もないほうれん草の香味が、いい。

そしてまずは、「刺盛いろいろ」。
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たっぷり脂がうんめぇ赤むつに澄んだ甘さのヤリイカ、そして歯応えも楽しいサメカワ鰈などなど。

ビールを鹿児島の芋「酔楽人」に切り替えて、「野菜のから焚き」にお初な「子持ちしらうお」。
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フライされたしらうおのお腹にふつふつと細かな子があるね。

「社長納豆」は、
刻んだ刺身いろいろから雲丹、薬味、菊の花びらまでをガガッと混ぜていただくもの。
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うはは、うめー。

今度は夏期限定とある「繁桝うすにごり」に替えて、
その身の香りがそんじょそこらの干物とは違う「ほっけ」。
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そして「福わうち」話題の一品「とろかつ」。fukuwauchi13.jpgグラデーション鮮やかなおろしたて山葵を載せ口にすれば、レアな身肉がまさにとろけるように軽々と脂が消えていき、旨味の余韻がしっかり残る。いいじゃんいいじゃん。


〆にと届いた「肉じゃがカレー」もこちらの話題品。fukuwauchi14.jpgなーるほど、煮崩した肉じゃがであり、甘く仕立てたカレーでもあり。面白い。

帰り際に、梅果肉を中央にしてその周囲に鰯を綺麗に並べた、仕込み中らしき大皿を見つけた。なんかそれも旨そー。大将の顔を拝みに、また行かなくちゃだ。


ご同席は、食ブログ界のおやびんヒロキエさんジャポ二郎で食べある記なくにさんじぶん日記な55aiaiさん、のみなさんでした。

「福わうち」 港区白金1-28-2サーラ白金1F 03-5739-0264

column/02279

口カレーをテーマにしたレストラン 「東京カレーラボ」

currylab.jpgオープンからおよそ1ヵ月が過ぎた東京タワーのカレー研究所、「東京カレーラボ」へ寄ってみました。展望台のどっかにお店があるってなイメージを勝手に抱いていたもんだから、駐車場側から入ったフロアでいきなり「TOKYO CURRY LAB.」の文字を発見してちょっと愕いちゃった(笑)。ラボっぽさを表現すべく試験管にスパイスを収めたディスプレイを横目に店内を覗くと、あれれ、白いカウンターには一番奥に5人ほどのグループがいるだけで、手前は随分とがらんとしちゃってる。そのグループに並ぶように奥の席へと案内されました。「TCL005ダブルミンチカレー」か「TCL009スパイシーポークカレー」、はたまた「TCL011オニオンチキンカレー」か。トッピングを施した「プレミアム」はお休み中らしい。う~ん。まずはメニュー冒頭の1作目、「TCL001アーモンドチキンカレー」からいただいてみようかな。中央のこんもりライスから右手に向けてつぶつぶな粒子を窺わせるカレーが広がり、トンと鶏肉が鎮座、左には鮮やかなオレンジ色のコントラストにしなッと辛味を添える玉葱の酢漬けが配されています。カレーソースを舐めてみてもやっぱりつぶつぶ。アーモンドも擂り潰して入れてある、ってことでよろしいンでしょうか。粉っぽさとはまた違う舌触りの中に甘さを含んでいて、辛さの気配はほぼ、ない。チキンはしっかりジューシーで、いいね。結局、研究成果第一号の印象がどうだったかっていうと、うん、まぁ、うまいかな、って感じ。欠番のアイテムがどんなだったか気になるなぁと口直しのラッシーを飲みながら思いつつ振り返ると、お、いつの間にかカウンターは満席だ。空席を待つ人に早く席を譲ろうとそそくさとと席を立ち、お約束のワンカットをカメラに収めて、東京タワーを後にするのでありました。

>ヒロキエさんが先日お召し上がりの「4種盛り」
>華麗叫子さんが先日お召し上がりの「アーモンドチキンカレー」と「スパイシーポークカレー」

「東京カレーラボ」 港区芝公園4-2-8東京タワー2F 03-5425-2900 
http://www.tokyocurrylab.jp/

column/02201

口麻布十番・和食 「もち玉」

mochidama.jpg麻布十番のオヘソ「パティオ」に面した、格子戸が気になるお店「もち玉」に行ってみました。無理云って、厨房に面したカウンターへ。それで厨房の様子が覗けるかというと、目の前には日本酒や焼酎の一升瓶が居並んでいるので、ほとんど見えましぇん。ま、いっか。よれよれの手書き文字がお味なこの日お献立から、まずは「焼きなす」にしみじみ。軽妙な甘さの「とうもろこしのお刺身」を齧り終えたところで、眼前の「残波」の一升瓶を指差して、「コレを」。水割りにするとますます呑みやすくなっちゃって、かえってよろしくないのでは、ってな感じになる泡盛だ。続いて、「〆さんま」。フレッシュな秋刀魚もいいけれど、こうして手をいれて脂の旨味が凝縮された秋刀魚もなかなかオツでおま。「いももちのそぼろ煮」の「いももち」とはまさに芋の餅。汁に馴染んだ、ころころとした大き目のビー玉大のそいつを噛むとクニュっとした食感。お芋の煮ころがしとお雑煮のお餅のいいとこが合わさったよな、素朴に美味しい酒肴です。「かぼちゃの唐揚げ」「豚角煮大根」あたりも頂戴して、〆にと「わさび茶漬け」を。漬けた葉山葵と番茶でいただく茶漬けがお腹を満たしつつ和ませます。難を云えば、ご存知アブラムシが何匹もあちこち這い回っていたこと。飲食店の宿命だし、怖くはない(笑)けど、ちょと多いぞぉ。

「もち玉」 港区麻布十番2-2-8 03-5442-7480 

column/01967


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