448「LIBERMENT」で玉子の海のオムライス生姜な湖の豚ソテー溶岩流の煮込バーグ

中央区を南北に走る新大橋通り。
市場通りと俗称されていたのは勿論、沿道の築地に中央市場があったから。
中央市場が豊洲に移転した今後は、新大橋通りをそんな風に呼ぶひとはいなくなっていくのでしょう。
そんな新大橋通りと並行して、築地と兜町を結んでいるのが、平成通り。
新富町エリアでは、このふたつの通りの間に三本の裏通りが等間隔に並んでいます。

その裏通りの、ちょうど真ん中に位置する通り沿いには、
蕎麦「更科丸屋」、沖縄料理の「仲宮里」、
すたんどでの昼食もある割烹「躍金楼」に中華「曙軒」、
ちょっと様子の変わってしまった喫茶「バロン」などなどがある。
おばちゃんが亡くなって閉まったままの「かどや」の並び、
これまた閉店を惜しんだ「にしみや商店」の跡には、
「a」と示す小さな突出のサイン。
「Vin Nature a ヴァンナチュール アー」なる店が出現しています。

そんな通り沿いの角地。
鮨「はしもと」近くのこの場所には、
果たして以前何があったのかと思案顔で腕を組む。あ、そうだ「キッチンジロー」!
と今度は膝を打つ(笑)。
いつの間にか「キッチンジロー」が店を閉め、
新装なった店の真っ白い壁には、
“CLASSIC”そして”LIBERMENT”と題する、
ふたつの系統の洋食メニューが掲示されています。

木目のドアを引き開けて、カウンターに陣取る。
硝子窓の開口が大きく明るい店内だ。註文を告げるとサラダと一緒に、
ル・クルーゼのトリベッドがやってくる。

暫し後、その円盤状のメイプルの上に据えられたのは、
湯気を上げ熱気を帯びた「鉄板焼オムライス」。それはまるで、玉子の海に浮かんだリゾートアイランド(笑)。
匙の先で島の端を崩すように玉子の海へと流し込み、
渾然となりかけたところを口へ運ぶ。
島のライスはちょいと辛めの仕立てでもって、
じわじわと固まり始めた玉子は、刻一刻とその表情を変えていく。
なーんだ、オムライスは何も無理くり包み込まなくても、
旨いものは旨いのだ(笑)。

裏を返すようにやってきて、ふたたび同じカウンターへ。
次のお目当ては「ポークソテー」だ。今日の水面は、ジンジャーソースの湖。
湖面に浮かぶは、マッシュポテトを浮き玉にして、
厚切りの豚肉がぐぐいと迫る。
柔らかくナイフを受け止めるポークに、
按配よく生姜の利いたソースがなかなかに旨い。

ふたたびのフライパンにて熱々でやってきたのが、
デミグラスの溶岩流から顔を出したよな「煮込みハンバーグ」。エアーズロックのようなハンバーグの上では、
豆乳のクリームソースが、色味の変化をも演出。
玉葱の甘さ風味たっぷりのソースがいい。
すっとナイフを差し込めばその断面は、艶っぽい。
煮込みにしてこの仕立ては、
これまたなかなかではないでしょか。

新富町の裏通りに白いファサードの448「LIBERMENT」がある。448と書いて、ヨーショクヤ、つまりは洋食屋。
リベルマンとは、自由気儘な、という意味合いです、
ふざけた店名でしょとシェフは云うけれど、そんなことはない。
新川「津々井」で感じる、
料理人の気骨や創意みたいなものと同じものを、
ここでもふと思ったりするのであります。
ナポちん、「ナポリタン」は夜の部のメニューみたいですよ(笑)。

「LIBERMENT」
中央区新富1-11-7ミツヤ第3ビル1階 [Map] 03-6280-4433
https://448liberment.owst.jp/

column/03779

「448「LIBERMENT」で玉子の海のオムライス生姜な湖の豚ソテー溶岩流の煮込バーグ」への2件のフィードバック

  1. いつもありがとうございます。おー、448「LIBERMENT」さんですね。ここも美味しいですよね。
    ちなみに、キッチンジローさんがインド料理の店に変わり、その後2年ほど前にこちらがオープンしました(と記憶しています)。

    1. Re:バードさま
      あら!そうでしたか。
      そう云われれば、インド料理店だったような気もします。
      何故か記憶に刷り込まれないお店というのもあるようで、すいません(^^)。

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