古民家カフェ「蓮月」で蓮月丼焙じ茶プリン惜しまれ閉店した蓮月庵家屋復活の姿

rengetsu大田区の池上といえば、本門寺。
例年の人出が15万人とも云われる程、年明けの本門寺は初詣の参拝客で賑います。
日蓮宗の大本山、本門寺へは池上線の池上駅から総門に向かってゆっくりと歩き、96段の石段による此経難持坂を上り往く。
やや大股で辿る石段を一気に登りきると、日頃の運動不足を実感する瞬間が必ず訪れます(笑)。

石段の先でやっと平らになり、
その先に仁王門が迎えてくれる。rengetsu01rengetsu18そうそう、石段の途中や総門の柱の脇あたりにいる、
猫に挨拶するのもちょっとした習慣になっています。

参拝を済ませて、お札を納め、
ふたたびさっき登ってきた石段をくだる。
総門を出て振り返った後は、どふいふ訳か毎年、
足が参道から外れて脇の道へ行こうとする。

それは、急遽閉店してしまった甘味処「あらい」のあった道。
そして、「あらい」の向かいにあった蕎麦処「蓮月庵」が、
ご主人が高齢のため引退され閉店してしまったのが14年6月のこと。
本門寺を訪れる度に、どちらに入ろうか、いっそハシゴしてまおうかと、
悩ませてくれた両店がいずれもなくなってしまっていたのです。

1927年(昭和2年)に建てられたものだという「蓮月庵」の古家は、
その佇まいをじっと眺めていられるほど魅力のあるもの。
蕎麦店として活かされていた建物がひと気を失っている様子は、
とっても寂しいものでした。

そんな「蓮月庵」の建物が、
カフェとしてふたたび活かされることになったと知ったのは、
ロレンスさんの日記から。
そんなこともあって、
参拝後の足は「蓮月庵」のあった裏道へと向くのでした。

元「蓮月庵」の建物は、およそ往時のまま。rengetsu17横っ面の板壁は流石に草臥れているけれど、
入口前に提げられた真新しい暖簾の群青が、
旧くして端正な表情にしています。

案内されたのは、
いつぞやの小上がりへ土足のまま上がったところに据えられた、
ふたり用テーブル席。rengetsu02-01rengetsu03奥には裏庭に面してソファー席があり、
横手には4席のカウンターが設けられています。
この辺りは蕎麦店の頃には様子の窺えなかった場所ゆえ、
なんだかキョロキョロしてしまいます(笑)。

座った場所から入口側を振り返ると、
コカコーラの冷蔵庫が置かれていた場所の屋根が、
そのまま残っているのが判る。rengetsu04左手の長押の上に掲げられていたお品書き「停止価格」は今、
入口の頭上に場所を替えています。

テーブルの脇には、
重厚感たっぷりの古式床しい金庫がある。rengetsu05今何が収まっているのか、
こっそり覗いてみたくなります(笑)。

蓮月庵と透かしのあった硝子戸の脇には、
新たに誂えたと思しきレトロな硝子の給水機がある。rengetsu06例えば、純氷を突っ込んだ、
白くて青い縁のホーローの給水機もここに似合うかもしれないね。

お願いしていたのは、
お店の名を冠した「蓮月丼」。
炙り豚丼との副題がついています。rengetsu07女性陣営むカフェゆえの感じをなんとなく想像していたので、
ドンブリから食み出さんばかりの、
予想外の肉の大きさにはっとします(笑)。

こうきたか~とドンブリを横から眺めると、
さらに肉の厚みも負けてない。rengetsu08どれどれと箸で掴んだ厚みある豚に齧り付く。
甘味を含んだタレ味とともにこれまた意外な歯応え。
食べ口の全体感はモソモソする感じ。
それは、炙り豚丼だとメニューで読んでいたのに、
何故だか頭の中で豚バラの煮込み、
つまりは東坡肉のようなイメージで齧った所為もある。
ただ、ボリューム感は嬉しいのだけれど、
さらに半分の厚さにスライスしたお肉で枚数増やして焼いた方が、
より美味しくいただけるんじゃないかなと思ったりもいたします。

テーブルの頭上の長押に小さな黒板が置かれていて、
デザートメニューなんぞが書き込まれている。rengetsu09ほうじ茶プリンなんて、いいかもしれません。

女性スタッフが運んでくれた「ほうじ茶プリン」をゆっくりいただく。rengetsu10しっかり甘くて、焙じ茶の香りもしっかりだ。

二階覗いてもいいですかと断って、
「蓮月庵」の頃からずっと気になっていた二階へと潜入する。rengetsu11rengetsu12rengetsu13表側からの階段を上がるとすぐに裏手に下がる階段がある、
そんな面白い造りになっている。
これなら大人数の宴会の際にも、
配膳するひと達や厠へと下りる客人たちなんぞで、
狭い階段が交錯するなんてことが或る程度防げそう。
階段の脇には大きな鏡が据えられていて、
鏡の右下隅には西宮酒造會社と焼き込みがあります。

二階は、打ち抜きで三間が続く、
広々として硝子戸も粋なお座敷、都合32畳。rengetsu14rengetsu15卓袱台が実に良く似合う純和風の座敷は、
レンタルスペースと利用することができるそう。
天井が特に高い訳ではないけれど、
落語の高座なんてのもきっとオツな催しになりそうだよね。

惜しまれて惜しまれて閉店した蕎麦処「蓮月庵」が、
取り壊されることなく復活した姿が、古民家カフェ「蓮月」。rengetsu16ひとまず「蓮月」を残したいと尽力した方々の想いと成果を讃えたい。
今度は、もうひとつのランチメニュー「温玉そぼろ丼」と、
のんびりした時間をいただきにお邪魔しとう御座います。

「蓮月」
大田区池上2-20-11 [Map] 03-6410-5469
http://rengetsu.net/

column/03652

「古民家カフェ「蓮月」で蓮月丼焙じ茶プリン惜しまれ閉店した蓮月庵家屋復活の姿」への2件のフィードバック

    1. Re:ロレンスさま
      そのようですね。いい空気感になってました。
      あ、そろそろ梅の時季がやってきますね。

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