bistrot「Quatre Avril」で鯖のキッシュ鶏腿のラグーまたひとつ失う闇市跡の情緒

quatreavril00例えば、新宿西口の通称ションベン横丁や花園神社裏のゴールデン街。
例えば、若者文化を取り込んで変化しつつ賑う吉祥寺のハモニカ横丁や再開発の圧力が日増しに迫っているような、そんな気もする荻窪北口の商店街。
そして、何度歩いても不思議なワクワク感の途絶えない大井町の東小路など、あちこちにまだまだ残る、闇市を起源とした昭和の味わい濃いぃ駅前の横丁が大好きだ。

そんな闇市の残滓漂う横丁が交叉する町のひとつが、
ご存知武蔵山駅前東南側に広がる一帯。
武蔵小山飲食店街「りゅえる」という看板も頭上に浮かぶ。
「鳥勇」の焼き鳥を立ち喰いするひと達を横目に路地に闖入すると、
その先にこれまた人気の立ち呑み処「晩杯屋」があった。quatreavril07quatreavril08あった、と過去形で表現せざるを得ないのは、
地域の再開発の本格的な施行を前にして、
その賑わいを一旦畳み、
都道420号線沿いの店舗に移ってしまったから。
ひと気のない店舗跡が妙に寂しく映ります。

交叉する路地に沿って味のある表情の店々が並び、
独特の風情と文化を内包する闇市跡の飲食店街。
こんなに魅力的な、謂わば歴史の遺産でもある場所を、
防災なぞの旗頭の下に一掃するしかないなんて、
なんて切ないことでしょう。

周囲がどんどん店を閉め始めてしまった界隈にあって、
流されぬ風情で営業を続けてくれている店のひとつが、
「晩杯屋」の路地の奥にありました。quatreavril角地の二辺を覆うテントには、
bistrot saisonnier「Quatre Avril」。
その下に透けている文字が以前ここに、
チュニジア料理の「イリッサILLISSA」があったことを示しています。

「イリッサ」の女性店主は今どうしているかなぁと、
そんなことも思いつつ入り込んだ店内は勿論、
小さな小さな店なので変更しようもなく、
レイアウトそのものは「イリッサ」当時のまま。quatreavril01狭いキッチンにカウンターが張り付いていて、
そこに幾つかの丸椅子が並ぶ。
特等席のテーブル席を予約して臨みました。

白のワインをいいただいて、
お食事はおまかせでお願いします。quatreavril02シェフがまずテーブルに届けてくれたのは、
「サーモンのハーブの香りのマリネ」。
マリネによってよりトローンとしたサーモンが、
ハーブの風味によって鮮やかな印象でいただけます。

そして、キッシュロレーヌを含めた前菜の盛り合わせ。quatreavril03quatreavril04定番のピスタチオ入りの鴨のパテや、
ジェノベーゼソースを載せたロティなぞなぞを、
中心のサラダに寄り添うように盛り込んでくれています。

頃合いよろしく次に届いたのが、
「ブルゴーニュ風 牛肉の赤ワイン煮」。quatreavril05ゴロゴロっとフルフルっと角切りの牛肉が踊るのは、
畏まったフレンチには望めない気どりなさ。
ワイングラスではなくて、
タンブラーでワインを呑みたい気分になってきます。


牛肉に続いて「鴨胸肉のロースト オレンジソース」。quatreavril06当然のように狭いキッチンから、
出来るものは出来るヨとばかりに繰り出してくるお皿たち。
ほとんど歩かずに360度回転しながら調理するのは、
最高に作業効率がいいのかもなって思ったりもいたします。

裏を返すように今度はランチタイムに訪ねると、
界隈の不穏な空気を察したひと達が、
あちこちから集まってきている様子が窺える。quatreavril09あっと云う間に埋まったカウンターの一席で、
フランスの有名ビール「1664セーズ・ソワソン・キャトル」。
1664年に設立された醸造所Kronenbourgクローネンブルグは、
ドイツとの国境近くのアルザス地方にあるらしい。

この日のキッシュは好物の鯖のヤツ。quatreavril10サバスキーの同志でも、
これに出会う機会が多くはないかもとほくそ笑む(笑)。
青魚の風味が期待通りに威力を発揮してくれています。

本日のお魚料理は、
イトヨリの、つまりはブイヤベース。quatreavril11quatreavril12アスパラガスの下に何気なく、
蟹が隠れていたりなんかして、
ひる間っからなんて贅沢なのでしょう。
お皿の底のスープが美味しいのは云うまでもありません。

何かを惜しむようにして、ふたたび訪ねたおひる時。quatreavril13ひよこ豆なぞなぞを炊いたスープで、
バゲットを齧りつつメイン料理の仕上がりを待つ。

選んだのは「鶏肉のラグー」。quatreavril14ぶつ切りにした鶏なのかとなんとなく考えていたら、
シェフから渡されたお皿には、
骨付きの腿肉がデデンと載っている。
大口開けて齧り付けば、閉じ込めた鶏の身と脂の旨みが、
ここぞとばかりに炸裂。
骨の際も美味しいのだよね(笑)。

武蔵小山飲食店街「りゅえる」の横丁の角に、
bistrot saisonnier「Quatre Avrilキャトルアブリール」があった。quatreavril15Quatre Avrilの意味は、4月4日。
何故に4月4日を店名に据えたのかと訊ねたら、
シェフの答えは、ウチの娘の誕生日だから!
そんな「Quatre Avril」は再開発を画策したヤツラの圧政に抗えず、
今は、不動前・かむろ坂に移転して営業中。
またそのうちにお邪魔しなくっちゃ。

「Quatre Avril」
移転前:品川区小山3-19-5 [Map] 03-6676-1802
移転後:品川区西五反田4-9-16 [Map] 03-6431-9363

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